鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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少しだけ原作改変。
はやてが来るより先にジークの変身が解除。


そしてまたもや駆け足なうえに“静”なる回。
今回のおまけも、次々回のオリジナル展開な本編に繋がる大切な伏線になります。
一応、そこまで読んでいただける嬉しいです。




八十話

俺は今、たいへん怒っていらっしゃる。

怒りすぎて口調が変になっている。

 

「だ、だからごめんって言うてるやん……!」

「まじ許さねぇ」

 

ジークちゃんはジークだった。

クロの魔法で子供の姿になっていただけだった。

 

「ぶっ殺す」

「な、なんでや!?」

 

人の同情心に漬け込みやがって……!

どうしてくれようか、コイツ。

 

《焼きましょう。いつの時代でも汚物とは消毒されるものなのですよ 》

 

悪くないな。

 

「……うー、何でそんなに怒るん? (ウチ)のこと、そんなに嫌い……?」

「いや、別に嫌いではない。分類的にはむしろ好きだぞ」

「へぇあっ!?」

「驚きすぎて声おかしいぞ、べジーク」

 

こんなに面白い玩具は他にない。

 

「まぁ、でもハリーのが好きだけどな」

「……それは、ポッターのことやよね?」

「ハリー・トライベッカに決まってんだろ馬鹿か」

 

馬鹿か。

 

「な、なんで!? なんで番長なんや!?」

「当然だろ。飯はうまいし、家事全般やってくれるし……あんな()()()探したって他にいないぞ」

 

冬場のこたつのごとく愛してる。

 

「……な、なんや、そういう意味やったんか……良かった」

「……よくわかんねーけど、良かったな」

 

そんじゃ、ま。

 

「覚悟はできてるよな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。

ジークへの制裁は完了した。

次にすべきことは……。

 

「ヴィ~ヴィオちゃんっ!」

「……ぷいっ」

 

……くっ、めげないぞ。

これくらいでめげたりしないぞ……!

 

「な、何で怒ってるのかな?」

「……私がファビアさんと話してたのに」

 

……なるほど、つまりクロが存在しなければこうなることはなかったと。

 

「クロてめぇ覚悟しろ」

「……えっ……!?」

「な、何でそうなるんですか!? ちょっ、チヒロ先輩、ストップ!」

 

クロにも制裁しようとするが、ヴィヴィオちゃんに止められる。

 

「あーもー! わかりました! 許しますから、ファビアさんに何もしないでください!」

「えっ? 本当に? 本当に許してくれるの?」

「本当です!」

 

よっしゃぁぁぁああああッ!

 

 

「ーーーーあーのー……出遅れてるうちに状況が解決してもーた……ってことでええんかな?」

 

 

おっ、ベストなタイミングで八神司令が来たな。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、八神司令が来てくれたおかげで事態は完全に収束した。

ヴィヴィオちゃんたちは……えっと……ウ、ウェー? ちゃんとやらが見つけたエレミアの手記を残って読むことにしたらしい。

俺はーーーー

 

 

 

《さ、目的は達成しましたし、さっさと帰りましょうか。あのレズ女の日記読むなんて絶対にごめんです》

 

 

 

というように謎の声が騒ぐので、無重力空間に酔ったという嘘をついて帰ることにした。

現在はクロをしょっぴくために同じく無限書庫から出ようとする八神司令たちと行動を共にしている。

 

「ねぇ」

「あん?」

 

確かこいつ……ルーテシア、だっけ?

 

「まだあなたとはちゃんと喋ったことなかったよね? 私はルーテシア・アルピーノ。あなたは?」

「篠崎チヒロ。趣味は盆栽」

「ぼ、盆栽って……な、なかなか渋い趣味ね」

 

嘘だけどな。

 

「無重力空間に酔ったっていってたけど……大丈夫?」

「あー……大丈夫大丈夫。まだ酔い始めって感じだから」

 

本当は酔ってすらいないけど。

って、そうだ。

 

「クロ」

「……チヒロ」

 

クロに話しかける。

 

「獄中生活がんばれよ。出所したらまともに生きるんだぞ」

「いや別に刑務所入るわけじゃないよ!?」

 

ルーテシアがそう叫ぶ。

えっ、捕まる訳じゃないの?

 

「んだよ、甘いなぁ、管理局」

「ですです」

 

……誰だこのガキんちょ。

 

「あ、ご挨拶が遅れました! リインフォース・ツヴァイです! よろしくお願いします!」

「あ? あ、あぁ……よろしく」

 

何だろう……誰かに似てるような……?

 

「……チヒロは」

 

リインフォースが誰に似てるのか思い出そうとしていたら、クロが話しかけてきた。

……ま、これはいつか思い出すだろ。

 

「なんだ?」

「……チヒロは、私に刑務所に入ってほしいの?」

「え? 別に」

 

どっちでもいい。

 

「……そう」

「……え? 終わり?」

 

終わりみたいだ。

 

「……ま、よくわかんねーけど。こってり絞られてこい。(……説教なんざ聞き流してりゃ)(いいんだからな)

(……わかった)

 

ぽんぽん、と頭を撫でてやる。

 

「また今度遊ぼーぜ、クロ」

「…………うんっ!」

 

 

 

 

「あの魔女っ娘……あんなに喜んでるけど、目の前の相手に騙し討ちされたっての覚えてないの……?」

 

 




“INFINITY WAR”はまたもやお休み。

おまけ
《無限書庫からの帰り道 ※篠崎チヒロ視点》

「あれなに?」

道端で何かが光っていた。
近寄って拾ってみる。

「……玉?」

不思議な色をした、ビー玉くらいの大きさの玉だ。
しかも光を放っている。

「……持って帰ってぐにゅ子に見せてみるか」

あいつならなんか分かるかも。

「よし、そうと決まればさっさと帰るか!」

光る玉をポケットに入れ、帰路についた。


ーーーー結局、俺はこの玉の存在を忘れてしまいぐにゅ子に渡すことができなかった。それがまさか、()()()()()になるなんて……。


to be continued……





次回、ついに。

(ジークの)平和(ピース)が終わる。“V”が目覚める。


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