小池メンマのラーメン日誌   作:◯岳◯

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8話 : 新ラーメンと中忍選抜試験

「分からんか? ……心じゃよっ!」

 

 

     ~小池メンマ・麺王への道 最終話「至高の調味料」より抜粋~

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけで新ラーメンの開発を始めます。準備は良いですね?」

 

「はい、先生」

 

遠く、海沿いの地に派遣した影分身が戻ってきました。

両手にたくさんの海産物を携えて。

 

究極の味を求めて三千里。望む食材は手に入れたので、次の段階に移る事としよう。

 

「目指すは和の味、魚介系スープ!」

 

助手も出来たし、ここは新しいメニューの開発に入るしか。

 

ていうか助手こと白嬢、侮れません。エプロン姿に悩殺されますた。

………いや、そっちじゃなくてね。

 

料理の腕もパネェっす。忍びなのに凄いね乙女だね、と言うと顔を真っ赤にしてました。再不斬さんのために、ですね分かります。

 

………あの眉無し、いつか絶対眉毛書いてやる。

もしくは味付け海苔貼っつける。

 

で、噂の彼は修行中。セーフハウスの結界内で影分身相手に奮闘している。

 

ちなみにセーフハウスは自分で作った。主に影分身で。

土建屋いらずの大工いらず。前世の修行時代は土方のバイトもやっていたので、ある程度の知識はありました。内陸部なので地盤も良い感じだったので。

岩と木材は風遁・飛燕で切って加工した。暮らしに役立つ忍術です。

 

後は、火の国の城下町で売られている本を借りて、見よう見まね。

建設地は里はずれの森の中です。侵入者対策として、森の入り口からこの家に至るまでの経路のそこかしこに幻術系の罠を張り巡らした。

 

これでもかっていう程に重点的に配置しているので、上忍でも成り立て程度の奴らではまずたどり着けないだろう。一見すると迷いの森のような感じになることうけあい。

 

再不斬氏の修行に関しては、彼の要望に答えただけ。訓練室と水を口寄せする術式が書かれた巻物を貸した。

才能はあるので、鍛える場所があってきちんと時間をかければ鍛えれば強くなること間違いなしだ。白嬢も同じ。むしろ純粋な才能でいえばこちらの方が上っぽい。

 

まあ、今はそんな事よりも今はラーメンだ。

 

取り敢えず以前より考えていた出汁を作りろうと思う。

まずは試作をしなければ始まらない。一度で求めている所に辿りつけるなどと、ラーメンの根源とも言える出汁の奥深さを甘くみたりはしない。

 

作りながら味見をし、それを繰り返し。飽くなき味を求め、修正して繰り返さなければいけない。

 

「ん………うーん、どうにも中途半端だな」

 

「ですね。何か、こう、バラバラといった感じです。味にまとまりがない」

 

二人で唸り合う。感想を聞いたけど、的確だった。

助手さんも良い舌をしているようだ。

 

それでこの出汁だが、どうも違う。前世で食べたスープはもっと、こう、何と言っていいか………そう、整った旨味があった。

昆布の種類が違うのか。煮干しの量が違うのか。それとも、何か足りないのか。

 

ううむ、特定できん。更に数を重ねますが、どうにも辿りつけない。

 

「………駄目だ。どうしても、はっきりしない味にしかならん」

 

それぞれがバラバラで、かつ具材の個性が相殺されている。

面白味の無い味の典型的なそれ。統率されていない愚連隊のような味にしかならない。

 

「えっと、どうします?」

 

いくらか、昆布の種類はあるし、量はまだまだある。

 

「どうしようか………うん、そうだな――――全部試す」

 

断言する俺に、白嬢は笑う。

 

「はは、本当に一生懸命なんですね」

 

「この道に命賭けてますから、自分」

 

何の気負いもなく断言できる。

俺の道は忍道ではなく、麺道なので。

 

「それに、さ。一応俺もラーメン職人のはしくれだから、来てくれた客に中途半端なもの出せない」

 

中途半端な品を出して、そんでもって客に不味いと言われた日にゃあ――――死ねる。

 

「そうですね」

 

「じゃあ、悪いけど」

 

「いえ、ちょっと無理やりっぽかったですけど、こういうのも楽しいです………こんな時間、今まで無かったですから」

 

背景を考えると、そうなんだろうなあ。忍者の、強くなるための修行に修行で、それ以外のことは最低限しか学ばなかったのだろう。それでもこの腕ということは、修行の合間に見よう見まねで覚えていったのか。健気すぎる。

 

まあ、何にしろ。

 

「そう言ってもらえるとありがたい。じゃあ、続きをしようか」

 

その日は徹夜で魚介系スープのラーメンについて煮詰めました。

 

 

 

 

 

○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

 

「ういー、帰ったよー」

 

「………おう」

 

こっちも疲れてるが、再不斬も疲れているらしい。

畳の上に座り込んで、こちらを見上げてくる。

 

「うい? どうしたのそんな疲労困憊で」

 

「………腕を上げれば上げるほど、貴様が遠くなって行く気がするぜ。お前、本当は護衛なんて要らないんじゃねえか?」

 

「そんなわけないでしょ。前者に関しては、そうだね………泥になって糞みたいに鍛えたからな」

 

一時期はそれこそ寝るや食わずで。もう思い出したくない程に。マダオ死ねと何度叫んだことか。まあそれでも、まあ夢の為にと思えば頑張れたんだけど。

 

えーと、話題が逸れた。護衛が必要か、って話だったよな。

 

「結論からいうと、必要だ。一人じゃあ、あんな奴らに勝てない。全部うまくいくとかあり得ないし、絶対に無理。それに今の俺じゃあ、タイマンしても暁の面々には及ばない。負けはしないけど、勝つことはできない」

 

「暁、か………そこまで言う程なのか?」

 

「特定分野ではかの五影をも上回る手練、かな。全員が全員手に負えないってことじゃないけど、そんな化物が複数居る時点で無理だ。それに、一人ってのはやっぱりきつい」

 

失敗すればそこで終わり、というのは心理的負担が大きい。柵の無い吊り橋を渡っているようなもの。それに加え、時間がなかった。あいつらが本格的に動き出すのは、早くて七年、遅くて九年。全速で危ない橋を渡るしかなくて、時折耐え切れず叫びたくなることもあった。

 

「それに………仲間っていうのはいいね、やっぱり。一人よりかはずっと良い。雇い雇われ、利用しあう仲でもさ」

 

「メンマさん」

 

「なんて、似合わないか」

 

その言葉に再不斬はふん、と返しながら家の奥へと去っていった。

 

「あ………ごめんなさい、再不斬さん素直じゃないから。きっと今の言葉は……同じ事を考えていたのだと思います」

 

「うーん、そうなのかな」

 

境遇的に重なるからだろうか、白は俺のことを疑うことはしなかった。むしろ好印象?

再不斬の方もそうだった。衝突があったのは、先週の模擬戦だけ。

それ以外は特にない。待遇も好条件だし、何より未来への道筋が見えてきたのが大きいのか。

 

でもデレるのは、隣に居る白ちゃんにしてね。

と、益体もない事を考えてしまう。疲れているようだ。

 

「それじゃ、今日はありがとう。おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

こんな会話が出来るのも良いね。

 

 

 

○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 

 

それから二週間か経過した。白助手の協力のもと、連日連夜の試行錯誤の果てに――――やっと、求めていた味に届いた。

 

「………うん、これだ、これ!」

 

店に出せる最低限。更なる研鑽は必要だけど、自信をもって提供できる味だ。

 

「やりましたね!」

 

「………ちっ、確かに美味えな」

 

喜んでくれている模様。

ああ、そうだよ、これだよ、この深みと旨味!

 

『うーん、僕たちも食べたいね』

 

感覚はある程度共有できるとはいっても、そのものではない。

 

(ああ、分かち合いたいこの感動………!)

 

試行錯誤して、努力して、報われるこの快感は何にも代えがたいものがある。

食えば分かるだろう。味合わせてあげられる。でも無理だ。

 

くそ、直接食わしてあげられないのが辛いな。

 

「……まあ、それは後で。取りあえず、店に出すか」

 

「そうですね」

 

白と頷き合う。これならば出しても恥ずかしくないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

そして、ラーメンが完成した次の日。

波風キリハ嬢が、1人で屋台に来た。

 

「いらっしゃい! お客さん、新しいラーメンありますよ」

 

「え、本当? ………じゃあ、それお願いします」

 

「へい」

 

記念すべき異世界初の和風ラーメン………この世界では名前を変えて、木の葉風ラーメンにしている。その木の葉風ラーメンの一番目の注文客は、キリハか。

 

(最近、一人で来る事が多いなー)

 

ちなみに白は微妙に変化の術を使っているので、キリハに正体がばれる事はない。

声もチャクラで変えている。結局追い忍の面は割られなかったので、白の顔は見られていないけど、一応ね。

 

と、そのキリハは出汁をレンゲですくって一口食べると、驚いた表情を浮かべた。

そして、もう一口。こんどは麺とメンマとを、一緒に食べている。

はふはふ、という吐息と共に、麺がつるんと滑りこむ。

 

その後の感想は、一言だった。

 

「………おいしい!」

 

「っしゃあ!」

 

快音一閃。最高の一言に興奮し、同じように笑顔を浮かべている白とハイタッチを交わす。うー、言われた瞬間、全身に鳥肌が立ったぜ。これだから止められないんだよな、料理って。

 

「あっさりしてて………お魚の風味もして、深みがある。喉の奥に広がっていく感じ」

 

流石の舌である。

 

「メンマさん………何て言うのかな、これ。えっと、旨味かな? 塩か何かですか、これ」

 

「ご名答にご明察」

 

と、キリハは解説を聞きながらも、無我夢中でかっくらっていく。うむ、良きかな良きかな。とか言ってる間にキリハは完食した。それだけ美味しかったのか。

 

そして勘定をした後だった。キリハ嬢がぽつりと呟いたのは。

 

「………でも、残念」

 

「え?」

 

味のことか、と思いきや全然違う事だった。

 

「明日からちょっと………しばらくは、来られないんですよ」

 

なんでだろう。その俺の疑問には、マダオが答えてくれた。

 

『中忍選抜試験のための、修行だろうね。少し前に連絡用の鳩を見かけたし』

 

(あれか。そういえば、そんな時機だったな)

 

キリハ曰く、「ちょっと、始まる前に修行しておきたいから」との事である。

そういえば最近、といっても波の国から帰還してからだが、服のあちこちが破れていた。修行に励んでいるのは分かっていたが、それでも足りないのか。あるいは、本格的な仕上げに入るのか。

 

キリハは残念風な顔をしながら、でも美味しかった、とだけ伝えて帰っていった。

 

 

 

 

 

 

その後も、常連の客に新ラーメンを勧めながら、考える。

 

ちなみに、新味ラーメンは木の葉の濃い面々に軒並み好評だった。

今までになかった新しい味とのことだ。うん、料理人冥利に尽きるね。

 

『それはいいけど、中忍試験の方はどうするの?』

 

店が終わり、隠れ家の手前まで来るとマダオがそんなことを尋ねてきた。

どうしようか、って答えは決まってるんだけどね。

 

『やっぱり行くの?』

 

「見たいこともあるし、確認したいこともある」

 

中忍試験。一応、出られるように仕込みはしているんで問題はない。

もちろん、前準備に加えて、現地での変装や隠蔽工作は必須になるのだが。

 

「噂の変態頭領とその力量は是非とも見ておきたいしなあ」

 

音に聞こえた変態忍者、その名も大蛇○。ぶっちゃけ怖い者見たさもある。でも、実力計りも必要だ。あと、どうしてもキリハ嬢が心配なのである。

 

『でも、どうするの?』

 

「こうします」

 

隠れ家の入り口。俺はきりと親指の肉を噛みちぎりー、ばばばと戌、猪、申の印を組んでー。

 

最後は、地面をバンと。これ即ち、口寄せの術。

ボン、という白い煙。手応えを感じた俺は、ぐっとガッツポーズをした。

 

そして煙が晴れ――――目の前に、現れたのは、金色に輝く美少女が一人。

 

「………は、え? 何じゃ?」

 

「おー、成功成功。予想通り、心の中の姿のまんまだ」

 

そう、口寄せしたのは檻の向こうの童女狐、九尾の妖魔ことキューちゃん。

最近どうも妖魔っぽくないけど。

 

ともあれ、口寄せの術は成功だ――――って、おい。

 

「お前もかよ!?」

 

余りにも予想外。なんと、目の前にはマダオの姿もあった。

 

「金魚の糞かよ」

 

「みたいだねえ」

 

何か、新鮮な感じだ。外でこうして対面するのは。その後色々と試してみたが、この二人はどうやら俺から離れられないみたいだ。距離が離れすぎると、俺の中に戻ってしまう。

 

二人の実力だが…………これも、問題はない。というか過剰戦力だ。

 

マダオは忍術は使えないらしいが、結界の中では使えるらしい。体術の練度は心の中と同じで、俺よりちょっと上ぐらい。それよりも重要なのが、下忍程度では対抗しきれないであろう圧倒的な実戦経験だ。格上にでも余裕で勝ちそうだ。

 

キューちゃんは身体能力と五感が異様に鋭い。これは狐であることが関係しているのか。身体能力だけでいえば、俺よりかなり上な感じ。

というか、俺でも両手でえいこらしょとしてようやく持ち上げられるだけの岩を、ひょいと持ち上げた時には驚いた。

 

「うん、問題ないね………」

 

キューちゃんが何やら俺をことを「正気かコイツ」という目で見てくるが、どうしたのだろう。

 

「あー、はは………流石といった所かな? 処置なしだね。いや、要らないのかなあ」

 

「お前に言われたくはないぞマダオ。さてと、準備は整った事だし」

 

と、いうことで行きましょう。

俺の提案に、二人はため息をつきながらも、分かった、と答えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日。

 

「準備はOK?」

 

「うむ。まあ、久しぶりの娑婆じゃしな………やってみるかの」

 

手加減しろよ、金髪美少女キューちゃんよう。つか外で見ると美少女っぷりが半端ない。見た目十歳ぐらいだが、それでもやばい。

 

「中忍選抜試験とか懐かしいな~。昔を思い出すね………バナナはおやつに入るんですかっ!」

 

黙れ。こちらは姿を変えた、黒髪少年のマダオ。力は十分の一程度しか出せないようだが、まあ十分だろう。経験値というか実戦経験は受験者の中でもダントツだから。

 

 

 

 

「じゃあ、行くか」

 

試験会場へと入り込んだ。白・再不斬は留守番だ。

連れて歩くのは無理です。いくらなんでも危険すぎる。

 

あ、ちなみに担当上忍は影分身を变化させている。

書類は偽造しました。マダオが。

 

よく偽造できたな、と聞くと、マダオ曰く、「応募書類ってちょっと考えれば抜けられるんだよねー。書類を捌くものしか分からない、盲点があるんだよねー」と黒い笑みを浮かべて教えてくれました。

 

さすがは元とはいえ里のトップ。木の葉の閃光(爆)。

別にそこに痺れもせんし、憧れもしないが。

 

 

 

 

―――――で。

 

会場に行くと、例の物体が亀の上でポージングをしていました。

 

「青春してるな、お前らー!」

 

いつも絶好調、我らが眉毛の御大です。店の時とは違った方向でのハイテンション。

いや、しかし、これはきつい。

 

「………なあ。あの、亀に乗っているモノはなんじゃ?」

 

「よい子は見てはいけません」

 

「そうだね。行こうか」

 

常連とはいえ、こんな衆人環視の中で関わり合いになりたくありません。

 

呆然とするキリハ達が居たけど、巻き込まれたくない。

抱き合う眉毛はスルーして、通り過ぎた。

 

あのノリというか海苔についていけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだな」

 

部屋に入ると、中にいた面々にじろりと睨まれる。

そして部屋の隅に、とあるデコ助を見かけた。

 

(砂の………一尾の人柱力のあの子、いるね)

 

(ああ)

 

砂隠れのチーム。我愛羅とテマリと……最後の一人って誰だっけ? 見事な歌舞伎っぷりだけど。カンタロウだったっけ? ああ、そうだろうねそういう名前だったか。

 

一方、我愛羅は静かに視線を左右に動かしている。誰かを捜しているのだろうか。

 

(っていうか、もしかしなくても君でしょ)

 

(言わんでくれ………)

 

全力で記憶の彼方に捨て去りたいことなんだから。

 

(テマリちゃんも誰か探しているようだね)

 

俺か? と思うが、違うだろうと思い直した。無駄な期待はもうごめんなさいである。勘違いとか恥ずかしい。白嬢の一件でこりました。

 

あと気になるのは、木の葉の面々。

実力詐称のクスリメガネは全力で無視せざるを得ないが。

 

こっちは別の意味で関わり合いになりたくないしね。

 

と、そこで見覚えのありすぎる人達が登場。

 

(あ、キリちゃんだー)

 

(迂闊な行動は控えろよマダオ)

 

今にもキリハを抱きしめに走り出しそうなマダオに、釘を刺す。厳密的には初対面である女の子にしょっぱな抱きつくとか、それ変態行為だから。

 

(ってそういえば、名前なんて登録したの?)

 

そのままだが。

 

俺は、春原ネギ

 

マダオは、長谷川泰三

 

キューちゃんは、氷雨チルノ

 

(長谷川って誰。っていうか最後のはどういう意図で?)

 

(⑨! ⑨! ⑨!)

 

(……分かったよ。全然分からないけど)

 

取りあえず端っこに寄っておきます。目立ちたくないんで。

 

 

 

そして始まる試験。

 

我らがダンディー、森乃イビキ御大の登場です。キャーイビキサーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取りあえず寝ていると試験が終わっていた。木の葉風ラーメンに続く新ラーメンの草案を練っているので寝不足なんです。

 

ってやべえよ、涎が机とテスト用紙に。

 

笑顔のイビキさんというレアな光景を見た後、寝起きにバナナを食べていると、妙にハイテンションなマダオが駆け寄ってきます。

 

ウザイ、と言って、食べ終わったバナナの皮をマダオの方に投げる。

 

 

しかしその時だった。事件が起きたのは。

 

 

俺が投げたバナナの皮を、よけるマダオ。

 

窓ガラスが割れる音。勢い良く着地しようとする試験官。

 

着地点がぴったりって、おい、そこはヤバイって―――――との言葉は既に遅く。

 

 

つるん、ゴン。

 

そのまま、滑って、転んで、ピクリとも動きません。

 

 

 

 

 

広げられた試験官の名前。

 

「みたらしアンコ」と書かれた巨大な幕のその下で気絶する彼女の姿は、とてもシュールだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけ

答案用紙を回収する。あの妙な3人組の答えだが………


・長谷川泰三

満点。でも何で丸文字なんだ?





・春原ネギ

1「出会いが欲しい」

2「彼女が欲しい」

3「切っ掛けが欲しい」

4「ロマンが欲しい」

5「π・O・2」

6「眉無し氏ね」

7「ロン、そのドラッ………(白的な意味で)!」

8「合コンしたい」

9「安西先生………彼女が欲しいです」

………訳が分からない。ってヨダレかこれ、汚えな。



・氷雨チルノ

全部同じ答えだ。

「1+1=3」



………イビキは混乱した!

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