小池メンマのラーメン日誌   作:◯岳◯

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作者注 : コーヒー(ブラック)を片手にお読みください。


後日談
後日談の1 : キリハとシカマル


 

 

ここは木の葉隠れの居酒屋。ようやっと復旧した店のカウンター席で胃薬を受け渡す二人が居た。

 

「よう、久しぶり」

 

「ああ。これが、例の?」

 

「ああ胃薬だ。効果はてきめんだぜ?」

 

袋に入った胃薬。渡す方の男の名を、奈良シカマル。受ける方の男の名を、うちはサスケと言う。時刻は昼だが、今日から長期休暇に入る二人は昼間から酒を飲んでいた。男にはたとえ昼からでも、飲みたい時があるのだ。

 

「でも………お前がこれを使うような奴になるなんてな」

 

昔のお前なら使わせる方の立場になっていただろうに。シカマルの歯に衣を着せない物言いに、サスケはそうかもな、と呟きながら酒をあおった。

 

「………ここまで言ってもムキにならねえか。ほんと、お前里の外に出てから変わったよ」

 

「木の葉の連中にはよく言われるな………でも、兄貴と和解出来てなかったら、どうなってたかな」

 

もしかしてを考える意味もないが。考えたくもないと、サスケは手をひらひらさせる。

 

「でもそっちはどうよ。キリハ、火影になったんだろ?」

「まあな…………お陰でコイツの消費量が倍に膨れ上がったぜ」

 

と、今度はシカマルが酒をあおる。

 

「相変わらず無茶をしてるみたいだな………そういや、お前は予想通りだったな」

 

「胃薬か? っつーか、胃薬を初めて使ったのはお前が出てってからなんだけどな」

 

正確に言えばお前のせいじゃねーけど、グラスを持った手をゆらゆらさせる。

 

「いや、どっちにせよお前は胃薬マイスターになっていただろう。いのもチョウジもそう言っていたぞ」

 

「あいつら…………」

 

「それも仕方ないだろ」

 

あいつの傍に居ると決めたのなら。サスケはそういって、にやにやと笑う。シカマルはそれを見て、まさかと呟いた。

 

「チョウジか?」

「いの、の方さ。とある情報と引換にな」

 

いや兵糧丸が無かったら即死だった、とサスケは苦味が多分に含まれている丸薬の事を口に出しながら、料理を口に運んだ。シカマルは顔を掌で隠し、誤魔化すように酒を口に含む。その顔は、赤い。

 

「まず、馴れ初めは………」

 

「ってここで言うなよテメエ!?」

 

 

叫びつつ、シカマルは思い出していた。波風キリハと、初めて出会った日の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い雲の下、雨が地面を打つ音が耳に入ってくる。それなりに激しい雨だった。でも、傘をさせば濡れない程度のもの。オレはそんな中、一人里の中を歩いていた。将棋の相手をしてくれると約束したオヤジが、大慌てで外に出て行ったからだ。外で遊ぶこともできないから、散歩することを選んだ。おふくろも親父と連絡を取りあっているようで、忙しいらしい。

 

話の内容から、どうも誰かを探しているようだ。いったい、誰だろうか。オヤジとかーちゃんの慌てようを見るに、二人と親しい人であるというのは分かった。あるいは、オレの知っている奴かもしれない。とはいっても、オレが会ったことのある人間なんて、いのか、チョウジか、二人のオヤジさん達か。ちょっと親しいというと、いつも行くラーメン屋のテウチさんか。そんな事を考えている時だった。

 

「ん……?」

 

誰も居ない公園の中。雨に打たれているブランコの、その座る所に誰かが座っていた。

髪の色はいのと同じ金色。身体は小さく、オレと同い年くらいか。うつむいているせいで顔は見えないが、細い身体をしているので女だろう。

 

(誰だ………?)

 

こんな所に居れば風をひく。地面で跳ね返って足を濡らす雨の冷たさはホンモノだ。

傘をさしているオレでさえこうなのだから、それを全身に受けていれば、体調を崩してしまうだろう。

 

(………めんどくせーけど)

 

心の中で呟きながら、オレはブランコに座っている女に近づいていく。女の子に優しくしなさいとは、かーちゃんの言葉だ。だからめんどくさいけど、行くしかない。こいつが幼なじみのいのみたいに、元気に溢れて溢れすぎて爆発するような強いやつとは限らないから。

 

それに、明らかに元気のない様子だ。一歩、踏み出す。ぬかるんだ地面が、ぬちゃりと音を立てる。しかし女は気がついた様子もなく、うなだれたままクナイを取り出した。そして、止める間もなかった。

 

(っ!?)

 

もう片方の手で、クナイの刃の部分を握りしめた。そして掌が裂けたのだろう。赤い血が出て、雨に流されて地面へと落ちていく。

 

「やめろ!」

 

オレは咄嗟に叫んでいた。すると、女はびくりと肩を震わせ、顔を上げた。まるでお化けのような表情。唇は青く、顔色も青い。よく見れば、身体も震えている。しかし、それなのに。

 

(――――)

 

オレは、声を奪われていた。

そいつの――――綺麗な青球二つ。それを見た瞬間、動けなくなっていた。

 

「誰………?」

 

シカクさん、と女の子が呟く。

 

「オレ、は…………」

 

でも、情けない事に声が出ない。その双眸に見据えられ、何も言えなくなっていた。

 

「………私、波風キリハ…………あなたは誰?」

 

私を見てくれるの。懇願するかのような言葉。その顔は、今でも忘れられず、ずっと忘れられなかった顔。

 

――――思えば、あれが始まりだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?」

 

「オヤジ達に連絡して、事情を聞いて。そんで、いのとチョウジを紹介してな………」

 

火薬というか炸薬のように元気ないのを見れば、変わると思った。シカマルはそう言いながら、店主に目配せをする。

 

――――いのには内緒でお願いします、と。

みなまで言うなと、店主は視線で答えた。

 

「で、実際にその通りになったわけだ。女の子は明るさを取り戻しました、と」

 

「いのには感謝してるよ。元気が出すぎたのか、やんちゃが過ぎたこともあったんだけどな………」

 

今も変わらないと、遠い目をするシカマル。

 

「そういえばお前……アカデミーの頃からすでに苦労人のオーラが滲み出てたな」

 

「言うなよ………」

 

「でも、その甲斐はあった訳だ。アカデミーで初対面だったオレには想像もつかねえけどな………同じ班になった後も、あいつは前ばっかり見てた」

 

呟き、サスケは思い出していた。

 

「心当たりが?」

 

「ああ。まだオレが七班だった頃に受けた任務――――波の国での、任務のことだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒーローは居ないと言った子供。泣きそうな顔で叫んでいるガキ。うるさい、と思った。口にも出すと、ガキ―――イナリは、部屋から出て行った。その後で、母親のツナミと、祖父のタズナから事情を聞かされる。国を守ろうとして、ガトーに処刑された父親替わりの人、イナリがかつて英雄と呼んでいた男の話を。

 

それを聞いて、サクラは沈痛な面持ちをしていた。カカシは無表情だったが、何を考えていたのか。そんな中、キリハだけがすぐに行動を起こした。

 

「キリハ?」

 

「すぐに戻るよ………放っておけないから」

 

珍しくも、暗い声。その眼には、常時にはない何かが宿っていた。やがてキリハは出て行った。オレは、気になって後をつけた。カカシは、止めなかった。

 

追っていった先。桟橋の上に、二人は居た。キリハが、イナリに向けて言っている。爺さんから、カイザの話を聞いたと伝えているのだろう。そこでオレは、声がわずかに聞こえる距離まで近づけた。二人とも気づいておらず、会話を続けている。

 

「イナリくん」

 

「…………何だよ」

 

嫌そうに答えるガキ。それに対してキリハは、諭す言葉を――――投げかけず。問いかけるような口調で、言った。

 

「カイザさんは………此処を守ろうとして、戦ったんだよね」

 

「そうだよ! でも、力が足りなくて死んだんだ!」

 

ヒーローなんて居ないと叫ぶ少年。それに対して、更なる言葉をキリハは積み重ねた。

 

「そうだね………でも、カイザさんも知っていたんだと思うよ?」

 

「え………?」

 

「子供の君でも知ってるんだ。大人のカイザさんは、ガトーの恐ろしさを………君よりももっと、具体的に知っていたんだよ」

 

でもカイザさんは戦う事を選んだと。呟きながら、キリハはイナリを見つめた。

 

「知っていて、戦うことを選んだ。君とツナミさんを。そしてこの国を守るためにね」

 

「僕達を………?」

 

「きっと、そうだよ。力が足りなくて、殺されてしまったけど………殺されてしまったけど。だから、カイザさんは君の英雄じゃないの?」

 

負けてしまったら英雄じゃないの、と。問いかけるキリハの言葉に、イナリは首を振った。

 

「っ、違う! 父さんは………!」

 

「そうだよね………」

 

ぽん、と。キリハはイナリの頭に優しく手を置いた。

 

「すごいと思うよ。知っていながら戦ったカイザさんは。彼は本当に、英雄だと思う」

 

そこでキリハは屈み、視線をイナリに合わせる。

 

「私たちに任せて。カイザさんが皆に訴えかけたから、橋の建築が進んだ。そして彼の遺志を受け取ったタズナさんが………木の葉隠れに来た」

 

橋を架けるために。

 

「カイザさんの意志は"今"に続いてる………それが、私たちがここに呼んだ」

 

「お姉ちゃん達を………」

 

「そう。で、イナリくん」

 

やることがあるよね、とキリハが言い。イナリは、泣きながら頷き――――ごめんなさい、と。父に向けて、自分たちの英雄に向けて。謝る言葉を何度も繰り返していた。

 

――――キリハは、そんなイナリをだきよせ、その頭をずっと撫でていた。

 

まるで、昔の自分を見るかのように。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぬぬ………」

 

「いや、何でぐぬぬだ。子供に嫉妬してんのか」

 

「………過去にな。似たような光景をな。木の葉丸とな」

 

「落ち着けよ」

 

サスケは呆れながらも止めたが、シカマルはそれにムカつき反撃に出た。

 

「もしも、だ。お前の所の赤髪が同じことをしていたら?」

 

想像してみるがいい、とシカマルが言って。

 

「………ぐぬぬ」

 

間もなく、サスケの口がへの字になった。そこに、乱入者が現れる。

 

「あんたら………何、馬鹿やってんの?」

 

呆れるような声。発した人物は、黒い髪にダンゴの頭をゆったくノ一だ。

 

「あっ、テンテン中忍」

 

「あっ、白い悪魔」

 

「誰が悪魔よ。っていうか男二人で変な顔してないの。あんたら注目浴びすぎ」

 

テンテンは呆れた顔をしながら、店主に「いつもの」と頼んだ。

 

「………今日は、自分の足で帰ってくださいよ」

 

「大丈夫よ。愚痴も吐ききったし、それにこの前の"アレ"で心底懲りたわ。私も、火影様に睨まれるのは御免だもの」

 

手をひらひらさせるテンテン。その時の騒動と、キリハの顔を思い出して頭を抑えるシカマル。言葉と様子から事情を察したサスケが、ぽつりと呟いた。

 

「朝帰りか………やるな」

 

「違うわ!」」

 

「………おい」

 

立ち上がって叫んだ二人に酒場の視線が集まった。すぐにはっと我にかえり、テンテンとシカマルはすごすごと椅子に座る。

 

「………ちっ。アンタ、本当にいい性格になったわね」

 

「あの中にいりゃあ、嫌でも鍛えられるさ………いや、冗談だよ」

 

愚痴と事件の詳細は大体だけど聞いたから、とサスケが言う。

 

「アンタも大変だな。ゲジマユと海苔眉毛のお守とは」

 

「思い出させないで、泣きたくなるから」

 

と、テンテンは出てきた酒をぐいっとあおった。

 

「青春、青春とか暴走して………遺跡の調査だってのに、もっと慎重になりなさいよ!」

 

「いや、オレらに言われても………っと、そういえばガイ先生とリーが昨日、ウチに診療に来てましたけど」

 

「ちょっと、頭冷やしてもらっただけよ?」

 

テンテンはにこりと笑った。言い知れぬ迫力を感じた二人は、黙って眼を逸らした。

ため息がこぼれる。

 

「大体、ネジもネジよ~。自分だけさっさと抜けちゃってさあ」

 

「上忍になったんだから仕方ないでしょうが」

 

「それは、そうだけど………先生もリーも、悪いやつじゃないんだけどね…………」

 

ぐい、と酒をあおるテンテン。男二人は口に手をあてて、聞こえないように話し合う。

 

「上司を"奴"呼ばわりかよ………」

 

「言うなサスケ。察してやってくれ………っと、忘れてた。これ、約束の」

 

と、シカマルは胃薬をテンテンに渡した。

 

「ありがと………っと、思い出した。アンタ、キバの奴が何処に居るか知らない?」

 

「キバ達なら………国境付近の森で任務中っすよ。なんでも、例の妖魔っぽい大型の獣が現れたとかで。なんすか、用事でも?」

 

「いや、ハナビちゃんがね、再戦をって………いいわ、忘れて」

 

「ああ、前の模擬戦のリベンジっすか」

 

「忘れて。それよりも、また妖魔が現れたって本当?」

 

「ああ。そのことでオレが遣わされた、って訳でな。昨日に情報交換は終わって………」

 

裏での話もあるしな、とサスケは心の中だけで呟いた。

 

「伝書鳩で、本部への連絡も終わったしな………しかし、そっちにも現れてたか」

 

「ああ。まあ尾獣に比べれば全然小さくて、弱い奴だけどな。原因については調査中だからなんとも言えないが」

 

「まずは対処が優先よね。弱くても妖魔だし、油断すれば危ないって聞くし…………あ~あ、私にもあの耳飾りのような御守を贈ってくれる人が現れないかなあ」

 

ちらり、とテンテンがからかうようにシカマルを見る。

 

「ほう、"あの"耳飾りといえば………キリハの?」

 

そういえばそのあたりは聞いていなかった、とサスケがシカマルを見る。

シカマルはテンテンを半眼で睨みつける。しかし、その顔はわずかに赤い。

 

「………勘弁してくださいよ」

 

「いやよ」

 

「悪魔ですかアンタは!?」

 

「だから誰が悪魔よ! いいわ、そこまで言うなら悪魔らしいやり方で語ってあげる」

 

「くっ…………な!?」

 

止めようとするシカマルが、その場で硬直する。その隣では、サスケが写輪眼を元に戻している最中であった。視線の影になっているので、店の中の誰にも見えない。金縛りが解けないことを確認すると、サスケはテンテンに向けてぐっと親指を立てた。

 

「オッケー。私も、日向ヒナタから聞いた話なんだけどね………」

 

テンテンが話はじめる。盛り上がる二人。それをよそに、シカマルはその時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

サスケが連れ去られてから、一年後。男、シカマルはキリハの身を案じていた。傍目には明らかに無謀だと思える修行を、彼女はずっと維持してきたのだから。温泉での休息を終え、その幾分かの疲労は軽減されただろうが、このまま続ければ同じこと。

 

「キリハ」

 

「ん、シカマル君………?」

 

温泉で少し調子が戻った、キリハの顔の肌。それに安堵しながら、シカマルは言う。

 

「………無茶はやめろ。オーバーワークは逆効果だぞ」

 

「無茶なんて、してないよ。だから大丈夫」

 

キリハは怒らず、笑わず。淡々とシカマルの言葉を否定する。

 

「うん……無茶なんて、してない」

 

「キリハ………」

 

呟き、シカマルは無言のままその場に立ちすくす。どう見てもキリハは無茶をしていた、そして無茶をする理由を察していたからだ。

 

理屈もなく、ただ心を許しあえる存在。シカマルにだって分かっていた。この金の少女は、遠慮無く甘えられる存在を――――家族というものに憧れていたことを。

 

それが唐突に現れた。しかも自分の命を幾度か救ったのだ。本当は留まって欲しかったに違いない。だけど、その理由を知っているからわがままも言えない。

 

シカマルも理解していた。どうあっても、"うずまきナルト"は木の葉隠れの忍びにはなれないと。実際に会って、幾度か話を交わしたこともあるシカマルには、彼が木の葉隠れに戻らないということが分かっていた。

 

(恨んでくれていないだけで、僥倖なんだから)

 

戻るという選択肢はない。少なくとも、自分であれば御免だ。恨んでいないという様子。それを理解することは出来なかったが、シカマルには有難かった。

 

何しろうずまきナルトの師匠に、かつての四代目火影―――波風ミナトが居るのだから。オヤジ達曰く、裏切ることなどあり得ないという話だが、シカマルはそのオヤジ達程に信用しきれていない。謀殺されたも同然だ。どのような者が、その心の内を知ることができるのか。

 

敵に回った時のことを考えたことのあるシカマルは、今の状況が最善だと思っていた。

木の葉の、そのほぼ全てを知り尽くした火影――――敵に回したくない相手として、これ以上の者はいないが故に。

 

(キリハもその理屈の、一部分は………分かっているはずだ)

 

一緒に暮らしたいという想いを、未だ捨てきれないでいる事も。そのために力をつけ、説得を続けていることを。

 

でも、うずまきナルトは木の葉には戻るまい。加えていえば、彼はこのために早々に去ったかもしれないのだということを、シカマルは考え始めていた。いずれは訪れるであろう別れ。それは必然で避けられないもの。あるいは残ったとして、更なる惨劇が起こる可能性は非常に高くて。

 

それならば、と。もしくは別れによる傷が浅いうちに、と考えたのかもしれない。そちらの方が賢明な判断だとシカマルにも理解できた。人の心はうつろいやすく、でも九尾の傷は癒えていないのだから。

 

(耐え難い哀しみ………そんなものを、こいつに味合わせたくない)

 

こいつの、この少女の青い双眸から。純粋な哀しみから流れる涙なんて、見たくない。それが、偽らざるシカマルの本音だった。この、無茶で、でも純粋で、優しく、問答無用に自分を引っ張っていく女の子の事が。

 

「これ」

 

だから、渡す。御守にしてくれと。誰よりも会いたい、兄からの贈り物だと。

 

「本当!?」

 

そして、笑う。

 

シカマルはそれで、満足した。

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

そして、居酒屋のシカマルは金縛りが解けた後、首をかしげた。戸惑いを覚える。それは、目の前でにやついている馬鹿二人にではなく。

 

「兄貴と呼ばせてくれ」

 

「師匠! あんた、漢すぎる!」

 

「励ましのお便りを………」

 

「これでも飲んで元気をだして下さい」

 

鼻に絆創膏。いつかの中忍試験の試験管に、特別上忍の姿まである。彼の差し出した薬は受け取らないが吉だ。見覚えのある里の忍び。その全員が、自分に尊敬の眼差しを、敬礼を向けている。

 

シカマルは戸惑い―――そして悟った。テンテンが話した内容を、嘘をついて"兄からだ"と耳飾りを送った自分の話を聞いたのだと。そして、シカマルは見た。カウンターの向こうに居る店主が、顔を逸らしていることを。その頬に一滴、流れる涙が光っていることを。

 

「あんたら…………」

 

そしてシカマルは叫んだ。キリハに幾度と無く告げた宣告を。

 

 

「テンテン中忍! サスケも、全員ッそこに正座ぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~疲れた」

 

1時間にも渡る溶岩のような説教を終えたシカマルは、アカデミーに顔を出していた。

ちなみに、怒りによりアルコールは全て吹き飛んでいた。

 

「ちぃ~っす」

 

「お、シカマルか」

 

「アスマ………紅先生はどうしたんすか?」

 

教室の奥から出てきたかつての担当上忍に、シカマルはその奥さんの様子を聞いた。

 

「昨日にあの子が夜泣きをしてな。出かける元気もないらしいから、オレだけ出てきた」

 

「また……子育てって、大変そうっすね」

 

頭をかきながら、シカマルが言う。

 

「そうでもないさ。この程度、苦労のうちにも入らない」

 

オレの子だから、と猿飛アスマは言う。

 

「こんな職業だ。生きて会えたと考えれば、この程度の疲労なんて無いも同然」

 

「そんなもんっすか………子供が居ないオレにゃ、分かんねーっすけど」

 

ぼりぼりと頭をかくシカマル。そんな彼に向けて、アスマは爆弾を投じた。

 

「お前も、作りゃいいだろうに」

 

「はあっ!?」

 

何言ってんんだアンタ、といった具合にシカマルが顔を赤くする。それを見た猿飛アスマは、ほほをぽりぽりとかいた。

 

「いや、流石に今の時期は無理だろうから、あくまで冗談だったんだが………というか、そこまで進んでたのか」

 

苦笑するアスマ。

それを見たシカマルは、眉をしかめたまま懐からタバコを取り出した。

 

「紅先生にあることないことチクりますよ?」

 

「…………ずいぶんと過剰な反応だな?」

 

「それだけ微妙な状態なんっすよ………だから迂闊なことは」

 

「なんだ、男なら自分の惚れた女と"そう"成りたいって思うのは自然なことだろうが」

 

「まあ、そうっすけど。気心を知りすぎた仲ってのも、色々とあるんすよ」

 

「それで、タバコか?」

 

「それだけじゃねーっすけど。そもそもこれは、あんたに教えてもらったんっすよ?」

 

「そういえばそうだったな………でも、タバコは女に嫌われるぞ。例えば………」

 

と、アスマは口に出す寸前。何かを思い出したのか、苦い顔をしているシカマルの様子を見て、察した。その頬は、赤い。

 

「なんだ経験済みか? ―――いや、一時はどうなることかと思ったけどな」

 

にやつき、言葉を続けるアスマ。シカマルの耳は、ゆでダコのように赤くなっていた。

 

「こりゃめでたい。そうだ、紅にも………!?」

 

驚くアスマ。彼が最後に見たのは、こっちに向かって影を放つシカマルの姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったくどいつもこいつも………」

 

帰路の道すがら、こちらに向けて何故か敬礼をしてくる下忍や中忍達を見ながら、シカマルはため息をついていた。もしかして全部に知られたのか。

 

「あの二人、いつかやり返して泣かす」

 

そんな暗い心境に陥っている時だった。

背後、自分の背中をとんとんとつつく人物が現れた。

 

「ああ!?」

 

きっと、からかいの何かだろう。機嫌の悪いシカマルは、確認もせずにまず恫喝をした。しかし、その相手は。

 

「シカマル、くん………?」

 

驚き、涙目になっている話題の人物の姿だった。

 

「キリハ!? まだ一五時過ぎだぞ!?」

 

仕事じゃなかったのか、とシカマルは叫ぶ。キリハは涙目になりながら、わずかに視線を下に下げる。

 

「今日は早く終わったから…………それで、見かけて、一緒に帰りたかったんだけどね………」

 

いいよ、一人で帰るから。ぐす、とうつむききびすを返すキリハを、シカマルは慌てて呼び止めた。

 

「ちょ、誤解だ!?」

 

「ううん、良いんだよ………シカマル君に迷惑みたいだし」

 

本気で拗ね始めたキリハ。その後、シカマルが「お前と一緒に帰りたい!」と往来で本音を叫ばされるまで、その不毛なやり取りは続いた。

 

「どうしてこうなった………」

 

「えっへっへ~」

 

二人は並びならが、歩いていた。その右手と左手を、重ねあいながら。シカマルは変な顔で笑う我が火影様に「ちょっとは人の目を気にしろ」ツッコミを入れたくなったが、我慢した。

 

その言葉は、今更に今更すぎたからだ。シカマルは今までの苦労と羞恥を思い出し、心の中だけでため息をついた。

 

「はあ……で、キリハ。今日はばかに終わるのが早かったな」

 

「うん。なんか2時間前から、妙に書類が少なくなってね」

 

「そうか………」

 

心当たりのあるシカマルは、黙ってため息をはいた。

 

「………どうしたの?」

 

「ちょっと、あってな」

 

「妖魔のこと? ―――あれなら適任を送ったし、余剰戦力も待機させてるから大丈夫だよ。刺激しない程度には、ね」

 

「それなら心配してねーよ。あの3人なら妖魔の獣が得意とする奇襲なんて万が一にも受けねーし」

 

「そうだよね…………だったら、私と一緒に帰るのが嫌とか」

 

「そんなことあり得ないだろ」

 

息も継がせぬ即答。キリハは率直なその返答に、笑みを返した。

 

「良かった。もしかしたら、嫌われたんじゃないかと思って」

 

「だからあり得ないだろ。そんなに信用ないかオレは」

 

「ううん。だけどシカマル君、滅多に言葉に出してくれないんだもん。女の子としては不安になるよね」

 

テンテンさんの事もあるし、とキリハは少し笑って言った。

 

「だから、あれは違うんだって」

 

「それは、分かってるよ。でもおぶって帰ってきたのは事実だし…………背中に胸、当たってたよね?」

 

「う………でも、前に、横にして担ぐわけにはいかねえだろ」

 

「それは………そうだけど。でも、なんかムッと来たんだもん」

 

そう言うと、キリハは口をへの字に曲げて、ぷいっと顔を逸らした。シカマルはそんなキリハの様子を見ながら、苦笑していた。

 

(まいったな………いや)

 

めんどくせーけど、嬉しくもある。シカマルは口の中でそう呟きながら、いつかの耳飾りの贈り主がばれた時の光景を。あの時に交わした約束のことを、思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

木の葉の病室の中。地獄のような沈黙が、部屋の中に漂っていた。二人とも先の角都と飛段との一戦で深手を負って入院していた。キリハの方は幾分か傷が浅いが、それでも完治にはまだ少しかかる程度。シカマルは負った傷と出血多量により、割とやばい状態になっていたため、今もベッドに横たわっていた。

 

椅子に座るキリハ。ベッドに横たわったまま、シカマル。二人とも、ひとことたりとも言葉を発せない。それには、理由があった。

 

キリハは、自分の耳にある―――御守にもなったこの耳飾りが、目の前の幼なじみから送られたものだと知ったから。そして、意識してしまったから。見られたことと―――贈り物、という行為の裏。かつて自来也から聞かされていた知識から、ある程度のことは理解していた。もしかしたら、ではない。でも、あるいは。そう思ってしまって、そしてシカマルが、幼馴染でもあって、かつ自分とずっと一緒に居た人間の事を、男として意識してしまっていたから。

 

シカマルは、贈り主がばれたことと――――不意にだったが、キリハの柔肌を直視してしまったから。自己を保つために記憶の彼方に葬り去ったが、かつては一緒に風呂に入ったこともある。だからなんだ、と混乱しながら、自分の感情を整理しきれないでいる。両方とも顔色は真っ赤で、まるで好き合っているもの同士が偶然お見合いででくわしてしまったかの様子だ。

 

「「あの………」」

 

全く同時に口を開き、黙る。お約束をかました二人は沈黙を続ける。そして遂には耐えきれなくなったキリハが口を再び開いた。

 

「耳飾りのこと、聞いた。あれはシカマルくんからの贈り物だって…………何で、嘘ついたの?」

 

「それは………その方がお前が喜ぶと思って」

 

「え……?」

 

驚いたように、キリハが呆然と呟く。

 

「お前、兄貴と一緒に居たかったんだろ? ………無条件に甘えられる、家族ってやつが欲しかったんだ。そのために帰る場所を作ろうとした………違うか?」

 

「それは………」

 

「だからさ。これも、兄貴からの贈り物ってことにした方がお前が喜ぶ」

 

「ううん、それは違うよ」

 

はっきりと。キリハはシカマルの言葉を遮り、首を横に振った。

 

「家族は………欲しかった。うん。甘えられるっていうのは違うけど、憧れてたから」

 

知らなかったから。そう呟き、キリハはシカマルの方を見つめる。

 

「家族っていうのが何だか、知りたかった。兄さんと、父さんと会えて、それは少し知られて………良かった。でも、贈り物に関しては違う。シカマルくんに、その、こんな、女の子に贈るようなもの貰えて………その…………すごく嬉しい」

 

顔を俯かせながら、キリハはぼそぼそと呟く。いつもの快活な様子ではなく、恥じらいが含まれたその様子に、シカマルの顔まで赤くなる。

 

「うん。デザインも綺麗だし………シカマルくんが頼んだんなら納得できるかも」

 

「そ、れは、なんでだ?」

 

「だって………ぴったりなんだもん、なんか。この色ってば私の髪には良く映えるし」

 

兄さんと私の髪の色って、ちょっと違うし。キリハは耳飾りを触りながら、言う。

 

「改めて言わせてください………この御守には命を助けられました。シカマルくん、本当にありがとう」

 

大事にするよ、とキリハは笑う。その笑みはシカマルが今までに見たことが無いほどに嬉しそうで、思わずシカマルは顔を逸らしてしまう。

 

「………いいから安静にしてろよ、馬鹿が。お前最近無茶ばっかりだったんだからよ」

 

「ちょ、ひどい! ………っていうか寝込んでるのシカマル君の方じゃない。シカマルくんこそ安静にしててよね。あの時は心臓が止まるかと思ったんだから」

 

飛段に負わされた傷。そして何故か鼻から血を出して血まみれになったシカマルを見たキリハは、その時顔色が真っ青になっていたのだ。

 

「大体出血多量っておかしいよ」

 

「いや、そりゃあお前………あんなもん見たら…………」

 

と、そこでシカマルは自分の失策を悟る。

 

「う………」

 

顕になった胸を見られたことを、思い出したのだろう。キリハの顔は、爆発するかというぐらいに真っ赤になっていた。片手は隠すように胸の前に添えられていた。

 

「あ~~~~その」

 

「シカマルくんのエッチ」

 

そういうのはいけないと思います、とキリハは顔を赤くしたままそっぽを向いた。

 

「お前こそ、無茶はやめろよ……って言っても聞かないなお前は」

 

「本当に危ない状態になったら、きっとシカマルくんが止めてくれると思ってさ」

 

信頼してるんだから、とキリハが言い返す。

 

「いや、オレも四六時中お前を見てられるってわけねーから」

 

「そうだけど………でも、何とかしてくれそうなんだもん。昔からそうだったよね」

 

「はあ?」

 

「あの雨の日からずっと、私のことかまってくれて。いのちゃん達と引きあわせてくれて。無茶をしてもフォローしてくれて………ずっと、見守ってくれてたよね」

 

「それは………かーちゃんの教えもあるからよ」

 

「それでも、嬉しかったよ。あの時はほんとう、怖かったんだから」

 

震える手。その裏にある複雑な想いを考え、シカマルは眉をしかめた。

 

「お前はここに居るだろ。それを今更言わせんのか」

 

「ううん、ちょっと思い出しただけだから。あのことは吹っ切ったし、今はもう思い出せないぐらいだから」

 

「吹っ切りすぎだと思うけどな………いのの影響もあるんだけどよ。無茶をするところとか」

 

「ははは、いのちゃんが怒るよ? でも私、もともと不器用だからさ。一つのこと見るとほんとそれに集中しちゃって、周りも見えなくなるし」

 

「そうだな」

 

「即答?! そこはちょっと否定して欲しかったんだけど!」

 

「そりゃあお前、無理ってもんだろ。ったく、何度めんどくせー事態に巻き込まれたと思ってんだ」

 

数えるのもめんどくせー、とシカマルは眉をしかめる。

 

「だってシカマルくん、文句いいながらもフォローしてくれるからさ………って」

 

ぽん、とキリハは自分の手を叩く。

 

「私もしかして………シカマル君に甘えてた?」

 

「今気づいたのか!?」

 

悲鳴じみた声に、キリハは「う」とこぼす。

 

「だってだって、なんか気づいたら当たり前のようにシカマルくんが傍に居たし………うん、そうか。甘えてたんだ」

 

「無自覚だったのかよ………けっ、お前も女だったって訳だ」

 

「そうだね………だったら、私たちってすでに家族だったってことかな。兄妹?」

 

「血は繋がってねーだろ」

 

「う~ん、姉弟ってことはないよねえ」

 

「どの口でそれを言ってんだよ………あほくせー。つーか今更気にしねえよそんなこと」

 

シカマルは呆れながら、ベッドの横にある水のはいったグラスを手に取った。

 

「いくらでも甘えろ。オレは男なんだからよ」

 

「甘えて、いいの? 嫌いにならない?」

 

「ああ、約束する。どんどん甘えやがれ」

 

「うん………ありがとう。でも、そうだね………そういうのって、兄妹じゃないよね。どっちかっていうと………」

 

「またアホなこと考えてやがるな」

 

シカマルは付き合いきれんとグラスの中の水を口に含んだ、その瞬間。

 

「じゃあ夫婦?」

 

キリハの天然爆弾を間近で受けたシカマルは、盛大に水を吹き出した。霧になって水が散り、吹き出したシカマルは激しく咳き込む。

 

「え、ちょ!?」

 

無自覚天然が驚き。

 

「げほ、ぐゴッ!?」

 

苦労人が咳き込み。

 

――――そこに新たな乱入者が現れた。

 

じっと聞き耳を立てていたマダオだ。機は熟したりと、すぱーんと病室の扉を開き、開口一番に叫んだ。

 

「話は聞かせてもらった! 人類は滅亡するぐふぉ!?」

 

しかし跳ね返ってきた扉に顔の側面を殴打された。

 

「お父さん!?」

 

「ん、甘いよキリハ。そこは「な、なんだってー!?」と返すべきだね。しかし………」

 

唇の血をぬぐいながら、正真正銘のマダオとなったマダオは言う。

 

「決戦を前にしてちちくりあうとは、流石の僕も予想だにしていなかった事態だヨ?」

 

ふふふ、と暗い笑い。

 

「でも君の苦労人魂は正直涙を禁じえない………シカクさんに似ちゃってまた! ―――シカマル君!」

 

マダオはかつての火影の速度で走りだす。キリハの目をもってして捉えきれない速度でシカマルに近づき、

 

「娘をよろしくお願いします」

 

すっと頭を下げた。

 

「何言ってんすか!?」

 

頭の回転が早いシカマルは即座に言っている内容を理解。やがて混乱の極みに至る。

 

「けじめだよ。こんな機会はもう二度と無いと思うし――――ぶっちゃけて言えば生前一度言ってみたかった台詞だから」

 

「台無し!?」

 

「ということで覚悟はいいね?」

 

拳を振り上げる。マダオ。笑顔の鬼神が現れた。

拳に集められたチャクラが、光って輝く。

 

「娘を奪う婿に対する鉄拳――――こっちも、お約束ってもんだから」

 

笑う鬼。ガイ先生並じゃねえかと思ったシカマルは、じっと眼を閉じた。

 

そこでキリハが爆発した。自分の発した言葉の意味と、父が言う言葉の意味を理解したのだ。顔をゆでダコのように真っ赤にして頭頂から湯気を立たせながら、チャクラを暴走させた。そして、耳飾りがそれに反応し。

 

「もういい加減にして―――!!」

 

室内を、局地的な台風が蹂躙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イイハナシダッタノニナー」

 

「シカマルくんどうしたのそんなに黄昏(たそがれ)て」

 

「いつものことだ気にすんな」

 

シカマルは空を見上げた。辛い時は上を向いて歩くに限る。だって涙がこぼれないから。あの後、少しづつ少しづつ意識しあって、苦労の果てに今の関係に至れた事を、シカマルは感謝した。

 

「お天道さんに笑われちまあ」

 

「また壊れた………うん、じゃあ修理」

 

キリハはすっと前に回りとんとん、とシカマルの胸を指で叩き。

 

「ん?」

 

顔を下ろしたシカマルに。キリハは服の胸をそっと掴みながら背伸びをして、シカマルの口に自分の唇を重ねた。触れるような口付け。

 

驚くシカマルに、キリハは笑って言う。

 

「あー、また煙草吸ったね。やめて欲しいな、って言ったのに」

 

「あー、おー…………つーか往来で何てことしやがる」

 

見られてるだろ、とシカマルは周囲を見回すが、その場に居る木の葉隠れの人達はぐっと親指を立てていた。その中には先ほど説教した面子もあった。一部、昔キリハに告白したことのある中忍や下忍の男達は涙を流しながら走っていったが。

 

「いや?」

 

「いやじゃねーけど」

 

「じゃあいいじゃない。ほら、行こうよ」

 

キリハは全然気にせず、シカマルの手を引っ張っていく。

 

「今日はヨシノさんとフウちゃんが腕をふるってくれるって。何かあったのかな、かなりの御馳走らしいよ」

 

「あー………もういいや」

 

諦観に身をまかせたシカマルはぐいぐいと引っ張るキリハに逆らわず、すたすたと歩いて行った。

 

(……あの公園、か)

 

横に見えたのは、初めてあった公園。そこにはかつて、自分は誰なのかと泣いていた少女の姿があって。

 

シカマルは空を見上げた。

 

(まあ、あれならかなわねーのも仕方ねえよなあ)

 

むしろ負けてもいいかと笑ったシカマルは、キリハに引かれるまままた前に踏み出した。

 

 

頭上には、不器用ながら強く。木の葉隠れを今までも、そしてこれからも照らし続けるだろう、金色の太陽の姿があった。

 

 

 





あとがき

本作のシカマルのイメージソングは「フラリ/ゆず」⇒「幸せの扉/ゆず」だったり。

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