SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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第96話 「惑星スレアのペルソナ」

『BoB』。最強のガンナーを決める大会、バレット・オブ・バレッツ(BoB)の略称だ。

GGO、ガンゲイルオンラインはニホンではなく、海外で運営されるVRオンラインだ。そのため規制が甘く、大会などででる商品もリアルマネーが出される場合が多い。特にこのBoBはGGO内でも最大の大会だ。賞金額もかなり高い。

「ふーん。で? それとデスガンの関係性は?」

「まぁ待てって。もう少しで到着するから。」

オキとクロは日の落ちる間際の夕方過ぎ、薄暗い狭い路地裏を歩いていた。

オキは濃い紅色のジャケットに白のシャツ、ジーパンというどこから見ても一般人の服装で、それでも相変わらずハット帽は外さない。

クロは黒いシャツ、黒いパーカーに黒いズボン。白のベルトを斜めにかけたりジャラジャラした装飾を付けたりとまさに厨二病スタイル。一応細めの黒縁伊達メガネをかけて左右色の違う、白と琥珀色の異瞳は隠していた。

「にしても誰も気づかないもんだねぇ。」

「それ相応に合わせたんだから気づくはずがない。」

彼女のキャスケットに帽ついている青いリボンが風になびいた。

「なに?」

オキがそれを見ていると不機嫌そうにクロが睨み付けてきた。

「いんや? べつにぃ。」

ニヤニヤとした顔で見ていたオキ。実は最初は帽子をかぶってなかったが、オキから「可愛げがまったくない」との理由でリボン付きの白いキャスケット帽が追加された。普段から服装にかわいさ等求めない彼女からすれば小さなリボンでも違和感があるのだろう。

「にあってんじゃね?」

「むー。」

ふくれっ面になりながらオキの先に進むクロ。なかなか珍しい光景なのでオキは楽しんでいる。

そんな彼女が少し遠くを見ると高層ビル群が立ち並び、上空からもぎゅうぎゅうに敷き詰められた建物たちが彼女の瞳に映っていた。

しかし今歩いている場所は古い建物が並び、高さもそこまで高くない。せいぜい4,5階がいいとこだろう。

「さて、ついたぜ。本家本元、『ルブラン』だ。」

古臭い建物たちの中に一つだけあった雰囲気のある喫茶店『ルブラン』。GGOの中にあるヤツではない。こちらが本家。つまり本物の『ルブラン』だ。

カランカラン

「いらっしゃい。ん? お、来たな?」

「どんも。おやっさん。」

オキが軽く頭を下げ挨拶をした。少し髭をはやしたダンディな背の高いすらりとした中年男性がカウンターにてタバコを吸いながら立っていた。

「オキ! えっと…ク、クロノス…もきたな。」

オキが来たことに気づき、ぱぁっと明るい笑顔を見せたと思ったら、クロの姿を見てすぐさまオキの影に隠れた少女。

「ようフタバ。話の通りクロもつれてきたぜ。あいつは?」

「オキさん。」

オキが客のいない店の中をキョロキョロと見渡しと同時に奥にある階段からメガネをかけた青年が降りてきた。

「今日は客もいない。もう店じまいとするから好きに使いな。」

微笑みながらタバコに火を消す店主。

「すみません。ありがとうございます。」

「いいってことよ。大事な話があるんだろ? 双葉から聞いてる。」

エプロンを外し、テーブルに座るようにオキ達を招いた。

「オキはアイスコーヒー、ブラックだよな。彼…ん? 彼女か? どっちがいい?」

クロの事を見ている。クロはきょとんとした目で店主を見ていた。

「ああ。同じアイスで。ミルクシロップは多めで。」

「あいよ。」

店主、双葉の父は一度店の外に出て看板をひっくり返し再び戻ってきた。

その間に上の階から多くの青年と女性が降りてきた。

「オキさん。お久しぶりです。」

「ごきげんいかがですか?」

「俺は数日前にあったばかりだがな。」

「えっと…。」

クロが困っている。それもそうだ。オキの知り合いとはいえ、ここは惑星スレア。星の住民と深く接触したのはこれが初めてである。

「紹介するね。クロ、こちら『ザ・ファントム』のメンバー。リーダーはこっち。ジョーカーと呼んでやってくれ。ちなみにカウンターの向こうでコーヒー用意してくれてるのは佐倉惣治郎さん。ここの店主で双葉のお父さんだ。」

「よろしく。」

「おう。よろしくな。」

カウンターの向こうからも笑顔で手を振る惣治郎。

先日であったばかりのジョーカーをはじめ、先日いなかったパンサー、フォックス、クイーン、ノワールをオキは紹介した。

「…あれ。そういえばもう一人いなかった? たしかモナ?」

「俺の事だな? 俺の名前はモルガナだ。よろしくな。…おい。オキ。これ聞こえてるのか? 実は聞こえてないとか言ったら怒るぞ。」

カウンター席の一席に座っている一匹の黒猫がクロに向かってしゃべった。

「この星の猫もしゃべるんだ。ん? 猫? 猫…。」

クロは少しだけいつもより目を開いてモルガナを見た。

「猫じゃねぇ! モルガナだ! …え? 俺の声、聞こえてんのか!?」

「聞こえるもなにも。君、しゃべってるじゃん。別にしゃべる猫なんて不思議でもなんでもないけど。ねぇマスター。」

目を細くし、ため息をつきながらあきれ顔でいうクロにオキは苦笑気味だ。

「なはは…。あーまぁ向こうにはニャウがいるが…。ここまでかわいげはないぞ。」

「かっこいいと言ってほしいな。」

モルガナがドヤ顔でいう。

「どうやらモルガナだけが不思議な個体みたいでな。」

オキがそういうとクロはじっとモルガナを見つめた。

「よ、よせよぅ。照れるぜ。」

恥ずかしがる猫。しかしクロはじっと彼の奥底まで見つめた。

「ふーん。面白い体してるね君。こういうのもいるんだ。猫の身体を持った奇跡の存在。へぇ。」

一人納得しているクロ。よくわかっていないのはコーヒーとカレーライスを持ってきてくれた惣治郎だった。

「ん? なにが奇跡の存在だ? こいつか? あーそういや以前なんか話してたな。あれだろ? 認知世界の存在、だろ?」

「大体あってる。なんだお前。なんでわかった!」

驚いているモルガナや周囲のメンバー達。一部メンバーはオキを見ている。

「一応言っとくが、モルガナ含めお前たちの話はほとんどしてないぞ。話したことはGGOで関連する事だけ。お前たちがやってきたっていう戦いや、裏の世界の事は何も話してないぞ。こいつはな、そういうモノが見える上に扱える存在なんだよ。簡単に言えばアークスの中でも突然変異個体ともいうべきか。そんなとこ。」

実際の所クロが本当にアークスの突然変異個体なのかどうかはオキは分かっていない。わかっているのは本人と、わかってそうなシンキだけ。これもまたシンキと同じで不思議な存在であり、オキはその出生を気にしないし気にしてない。知るつもりもない。

「ってわけで、話は戻して。デスガンの話に戻そう。」

「おい双葉。俺は戻ってるぞ。オキ、ゆっくりしていけ。お連れさんもな。…あー、戸締り、頼んだぞ。」

「了解だ!」

ビシっと敬礼するナビこと双葉。

「さって、さっきの話の続きだな。クロにはどこまで話したっけか。」

BoBとデスガンの関連性。そうつぶやいたクロに対しそうだったそうだったと手を打ったオキは続きを説明した。

「これはジョーカーたちが持ってきてくれた情報なんだが、どうやら先に死んだ、いや殺された奴らは前回のBoB優勝者であり、片や準優勝者だったそうだ。そして二人とも共通することが『GGO内にいるプレイヤーの大半に恨みを買っている事』。」

「恨み?」

そう、といってオキはコンソールを出してクロへと情報を渡した。ジョーカーたちザ・ファントムのメンバーが集めた情報をオキがアークスが扱える情報へとまとめ直したものだ。

「相変わらず便利だなそれ! 私もほしいぃ!」

オキの隣にいる双葉が目をキラキラさせながら覗いている。

「ふーん…。卑怯な奴だったんだ。」

そこに載っていたのは殺された二人は嘘の情報を流し、前回BoBで勝てるようにライバルを減らし、かつ相当なレア品で身を固め結果、優勝と準優勝したというやつらだった。スレアのネット上では『ざまぁ』とか『これこそ、いんがおほー』とかが書かれており、前回のBoBトップランカーメンバーが狙われているという情報も各地に流されているらしい。

「今のところ、恨みによる殺害が可能性が高い。」

「なるほどね…。あ、カレー美味しい。」

クロがカレーを一口食べた感想は『美味しい』の一言に尽きる味だった。

「でしょ!? 惣治郎さんのカレー、すっごくおいしいんだよねー。私大好き!」

パンサーと紹介された金髪のツインテの美女が笑顔でカレーを食べていた。

「私も好きかな。たしか、双葉ちゃんのお母さんが考えたレシピなんだよね。」

クイーンが双葉に聞いた。双葉は大きく首を縦に振った。

「ああ、そうだぞ。お母さんが考えたレシピだ。私もいまその味を出せるように修行中だ。」

嬉しそうにする双葉。気に入ったのかクロは手が止まらずに何度も口にカレーを運んでいた。

「ここまで美味しいカレーは初めてだ。君の母には感謝をしたいね。伝えておいてくれ。」

クロがそういうと双葉はちょっと複雑な顔をして頷いた。

「う、うん。言っとくよ。」

「あー。クロ、双葉の母親は…。」

チラっと双葉を見たオキがフォローしようとしたが、双葉が首を振って自分から説明した。

「いいよ。私が話すから。お母さんは、殺されちゃったんだ。だから今はもういない。」

「そうだったのか。すまない。」

申し訳ない顔で謝るクロ。

「ううん。大丈夫さ。それに今は惣治郎がいるから。」

はははと笑う双葉だが、周囲の雰囲気は先ほどの明るさとは違ってあまりいい感じではない。

「…オキさん。」

「ん? ああ。そろそろ続きと行こうか。こんな話のあとで申し訳ないが、相手の殺し方だ。」

ジョーカーの合図でオキは話を切り替えた。

「クロならわかったはずだ。いきなり死んだという現象が。」

「え? ああ。うん。最初に見せてもらった男。いきなり時間が切れた…って説明すればいいかな。」

「そうだな。」

クロの目で見えたのは最初に死んだ男ゼクシードの生きている時間が急に止まった事。急に止まる事ということは何かしらの外傷、もしくはそれに近い原因があるはずだ。だが、彼の場合見た目ではそれがない。

「心臓麻痺。僕には彼の心臓が急に止まったのが見えた。」

「それだ。いきなり心臓麻痺が起きる身体でもなかったそうだ。となると…起こす手段を相手が持っているということだ。」

「そこからはこちらが話そう。」

ジョーカーが手を挙げた。周囲のメンバーも顔がこわばる。

「まずどこから話そうか…。」

彼が説明したのは不思議な物語。しかし現実に起きた殺人事件。

認知の世界『パレス』そして『メメントス』を舞台に彼らが戦ってきた話だった。双葉の母親もその陰謀に巻き込まれ殺されてしまった。

「ペルソナ…。」

説明を受け終わった後、マスターの顔を見ながらゆっくりとつぶやいた。

「偶然だ。俺達とは何も関係ない。彼らの不思議な能力は『ペルソナ』からきている。」

事件が終わった後も認知の世界を使って悪さをする人が出ないようにいろいろと動いているらしい。

『ペルソナ』彼らの能力。自らの仮面を剥ぎ、自分を認めることで覚醒した能力。認知の世界でしか使えないらしいが事件が終わった今でもその能力は健在。特にジョーカーは普通なら一人に付き一つのペルソナを持つはずが数多くのペルソナを持っているという。彼曰く『ワイルドのアルカナ』という立場らしく、かなり珍しいと言われたそうだ。

「ま、力とかそんなのはどうでもよくて…。」

オキが言いたかった事それは

「その認知の世界には、もう一人の自分が存在する。それが死んでしまうと現実の世界の自分にも影響して生きていくことが出来なくなるってことだ。」

「死に方は心臓発作が起きるように見える。実際死因もそうなる。今回のケース、似ているんだ。」

「とはいえ…。」

ジョーカーの説明後、モルガナが言いにくそうに声を上げた。

「問題はメメントスやパレスの力を感じないんだ。以前その世界に入れたのはジョーカーの持っていたアプリのおかげ。俺は一人で探し当てることもできるが…今のところその感じはない。となると…別の方法と見るのが妥当か。」

ふーむと皆で考える。しかしその後もあれこれと論議したがこれといった答えは出なかった。

「カレー、美味しかった。後で店長さんにお礼いっといて。」

「うん。クロまたな!」

「クロノスでいい。」

双葉の笑顔で見送られ、オキとクロはルブランを後にした。

キャンプシップ内で今後の動きを話し合う二人は、一度ALOへと向かうことにした。

「ってわけで、デスガンを直接捕まえた方が早いと思ったから捕まえることにしたわ。菊岡のおっさんにも手伝ってもらうことになってる。」

「相変わらず唐突な…。」

「面白いことやってるねぇ。」

ハヤマとコマチはため息をつきつつも、すでにあきらめており、ミケは何も聞いていない。

ALO内の中心部にある都市の一角。その建物すべてがオキ達のギルド拠点として運用されている。

その最上階にオキとシリカの部屋があった。今日はキリト、アスナをはじめとするスレアのメンバーとオキ、ハヤマ、コマチ、ミケ、シンキ、クロ、アインスのアークスメンバーが集まっていた。

オキが今の現状とやろうとしている事を説明。明日から始まるBoB参加を話した。

「ま、死ぬことぁねーから安心しろ。」

「それはまぁ心配ないけど…。」

キリトが苦笑しながらオキを見た。

「オキさん達はいいとしても、シノンは大丈夫なのか?」

「私? 大丈夫。オキさん達が守ってくれるから。ね?」

かなりの信頼があるようだ。それともプレッシャーをかけているのか。

それでもオキはどちらでとらえようとも彼女に指一本触れさせる気はさらさらない。

「任せろ。一緒に動くからには守ってやるさ。」

「オキさん。」

心配そうに見つめてくるのはシリカだ。彼女の肩に乗っているピナもこちらをじっと見つめている。

「安心しろ。心配すんなって。念には念をいれて今回は動くさ。相手の素性がわからない以上、保険はかけるさ。シノン、明日は会場で会おう。」

「ええ。了解したわ。」

そういってオキが立ち上がった。

「どこか行くの?」

「ああ。明日、予選だしな。クロの武器調達しねーと。おら、GGOに行くぞ。」

「え?」

相変わらずの急な行動。オキに首根っこ捕まえられて引きずられながら涙を流すクロにその場の皆が合掌した。

「もう。急すぎる。」

「フヒヒ、サーセン。っと…ついたな。」

GGO内の中央区域にある大きなビル。

「ここらへんで最も大きなガンショップだ。新品から中古品、なかにはジャンク品まで何でもござれ。射撃場からゲームコーナーまである。」

「へぇ…。」

扉を通り過ぎ、中に入ると壁という壁にたくさんの銃が並んでいた。

「一階はその時期のおすすめと新商品。中には特集とか言ってセール品も並ぶ時がある。あとあっちはゲームコーナー。」

「ゲーム?」

オキが何かを思いついた仕草で手を叩いた。

「資金の足しにでもするか。クロ、ついでだからGGOでの動きも説明しよう。こっちだ。」

オキが連れてきた場所は薄暗いビルの端。そこに木製の家が建っており家の中にはコインのようなものがびっしりと入っているのが見えた。

「だぁぁぁ!」

一人の男が知人と見られる男たちに囲まれ、ゲームをプレイしていた。

「お、ちょうどやってるやつがいるな。見てみな。」

家に向かって柵のある一直線の道を走って進んでいた。距離は約20~30mほど。

『HAHAHA! カモン!』

家の前に陣取っているのはカウボーイの姿をしたロボットが彼に向かって銃を撃っていた。

「ああやって撃たれた弾をよけて、あのロボットに触れることが出来れば、あそこに書いてある数字の金を手に入れることが出来る。おーお。こりゃまたたまったなぁ。」

そこにはかなりの桁数の数字が電光掲示板に書かれていた。

ガガガン!

3連続の銃声。走っていた男は避けることが出来ずに一発体にあたってしまった。

『ユールーズ! HAHAHA!』

大笑いをするロボット。悔しがるプレイヤーは柵の外へと出て行った。

「そんじゃ久々にやりますかね。」

オキが前に出ようとした時、クロがオキの前に出た。

「マスター。僕がやっていい?」

「お? いいぜ。おら、おめーらどけ。」

悔しがる先ほどのプレイヤー達をどけるオキ。一度睨み付ける男たちだったが、オキの姿を見てすぐさま道をあけた。

「ドン・ペルソナだ…。」

「げ、東のマフィア!?」

「おいおいまじかよ。クリアが見れるぞ!」

「ちくしょう。また持って行かれるのか。」

口々にいう男たち。さらに店にいたほかのプレイヤー達も少しずつ集まってきた。

「マスター、人気ありすぎ。あと、また?」

「なはは…。以前初めてこのGGOに来たとき、資金調達はコイツでやってたからなぁ。」

なにやってるのとつぶやいたクロを柵の中に押し込んだオキは後ろから説明した。

「いいか? 撃たれる直前に予測線、バレット・ラインという線が一瞬見える。その線が弾の軌道だ。だが気を付けるのはその線通りには弾は飛んでこない。若干のずれが生じる。まぁ俺やお前ならそんなの無くても避けれるだろう? おらいってこい。…力はつかうなよ。見るだけにしろ。」 

「了解、マスター。」

ニヤリと笑ったクロの後ろで、オキがコインを一枚機械にいれ、ロボットが動き出した。

『HAHAHA! カモン!』

「…っふ!」

地面を蹴り、一気に距離を詰めるクロ。それに対し、ロボットは銃を乱射してきた。

ガン! ガン!

「そんなもの!」

クロは瞬時に左右に移動して避け、更に距離を詰めた。

『シット!』

リボルバー式の銃を素早くリロードしたロボットは先ほどよりも早く連射をする。今度は3連発。さらに3連。それらすべてをまるで踊るように避けるクロ。

「おおおお!?」

「おいおい! あの嬢ちゃんやるぜ!」

「すっげぇ…いくらバレット・ラインが見えてるとはいえ…。」

『ファッ○ン!』

更にロボットの撃つスピードは速くなった。今度は6連発。銃に入っている弾すべてを一気にクロへと吐き出したのだ。

「ふん!」

クロの目には弾がどの方角へ何発飛んでいるかがゆっくりとした動きで見えていた。後は自分がどう動けば避けれるか。

クロはスライディングですべての弾を避けた。

距離はあと少しの所まで。ここでロボットは持っていた武器をホルスターへと戻し、どこから出したのかマシンガンを取り出し、クロへと狙いを定めた。

『チィィイイ!』

ガガガガガガ!

マズルフラッシュがクロの目の前で光り輝いた。スライディングしていたクロにマシンガンを乱射したロボットだったが、クロが目の前にいない事に気づいた。

『ワ、ワッツ…!?』

「バンってね。」

クロはスライディングから一気に飛び上がり、ロボットの上を飛び越え後方へと回り込んでいた。

『NO…NOOOOOO!』

頭を抱え叫ぶロボット。直後に家の扉が開き、多くのコインが外へ飛び出してきた。

「「「おおおお!!!」」」

それを見た観衆たちは大騒ぎ。

「すげぇぇ! さすが東のマフィアのとこだぜ!」

「見たことないけどかっけぇぇぇ!」

「だぁぁぁ。やっぱ持って行かれたー!」

「つーか、あの子かわいくね?」

「女の子かな? 男の子かな?」

周りの騒ぎようをみてオキは怒鳴り声を上げた。

「おら、てめぇらどかんかぁ! 邪魔だ!」

その一声で周囲にいたプレイヤー達は一瞬で逃げて行った。

「まったく。マスターの人気すごすぎ。」

「しらねーよ。暴れてただけだ。」

ハンドガン系がいいといったクロをハンドガンのあるコーナーへとひきつれてやってきた。あれこれと持っては構え持っては構えとやって選んでいる。

「セミオートがいいのか? リボルバーはいいぞー。弾づまりおきねーし。なにより渋い。」

オキは自分の持っているリボルバータイプのハンドガン『S&W M29』をクロに見せた。

「うーん。僕はこっち系の方がいいかな。…ん?」

クロが少し高い位置にある二丁の拳銃に目を付けた。

「へぇ。それに目を付けるか。」

クロが手にしたのは『DE.50AE』。アクション・エキスプレス弾を使用するセミオートマチックの大口径マグナム銃だ。

しかもそれを二丁。普通のプレイヤーならいくら破壊力があるからと言って装填数の少ないデザートイーグルをサブウェポン程度でつかうとしかあまり思わない。しかし彼女はメインで、しかもダブルハンドで使用しようとしているのだ。

「ま、お前なら問題ないか。」

カラーリングを白と黒に変え、購入。念のために予備のナイフも買っておけというオキからのアドバイスからタクティカルナイフを選び購入した。

「服も変えてみた。」

「ほお。」

普段、アークスの時に来ている様々な装飾がされている大き目のローブとは違い、白のロングコートを羽織った下に、黒のすらっとしたシャツとパンツスタイルでオキに合わせて着こなした。

「いいんじゃねーか? ついでにリボンでもつけるか?」

「…やめとく。」

はぁとため息をついたクロはなんだかんだで楽しそうにオキの銃についての説明を聞いているのだった。




みなさまごきげんよう。
FGOでCCCコラボが確定し、BBちゃん配布で喜びの悲鳴をあげながらこれを書いている私です。
連続のノッブイベントが終わり、ようやく落ち着いたと思ったらまさかのCCCコラボ発表。
いやー止まりませんね。

さて、GGO偏もBoBに進みます。ここから相変わらずのチート級の能力で大暴れ。
P5のメンバー? ただ出したかっただけです。特に伏線とか何もありません。ご了承ください・・・。

では次回にまたお会い致しましょう。

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