SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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補足:アインス
クールで落ち着いた大人の男性。普段やかましいオキ達とは正反対。
ある時からオキ達と共に活動している。状況判断能力を初めとする戦術、戦略に関する能力がずば抜けており、アークスとしての能力も高い。オキ達からすれば兄貴分のような存在で慕われている。カタナが好きで同じくカタナ使いのハヤマとは気が合う為、共に新戦術等を考案してはダーカー相手に喧嘩を吹っかけて切り掛かっている。


第8話 「フェザーリドラ」

オキはアルゴから仕入れたギルド作成クエストを早々に行い、ギルドを作成。

アインス、サラを除くアークスメンバー3名から、名前を募った結果『アークス』『アインクラッド支部』『ミケとゆかいな仲間たち』等、いくつかの案が上がった。

中でもオキが気に入ったのはハヤマの『ValiantKnights』という名前。『勇敢な騎士達』という意味だそうだ。それを改変し、オキはアークスの母体であるオラクルを混ぜ『オラクル騎士団』という名前を提案した。その結果全員が納得し、ギルド『オラクル騎士団』は結成された。

オキは早速ギルド結成をしたことをサクラやタケヤらのメンバーに伝え、彼らはすぐにギルド入りを申請してきた。また、この事はキリト達にも同時に伝え、キリト、アスナ、シリカ、リズベット、エギルの「事件の中心となる人物達」もギルドへ加入した。

その他のギルドとしてディアベル率いるキバオウ等のメンバーで『アインクラッド解放軍』、アインス率いるサラ等のメンバーで『怪物兵団』が同時に結成された。

アインスはアークスとして活動している自らのギルド名を持ってきたらしい。本人曰く

「こっちでも、出会ったメンバーそして俺についてくるメンバー全員、向こうで待ってくれている俺のチームメンバーと同様に家族同然の仲間としていたいからな。」

と言っていた。

オキは結成後にディアベル、アインスと既にギルドを結成していた『風林火山』リーダーであるクラインを呼び、ギルド連盟を結成する事を提案した。

オキはギルド同士の壁をできるだけ無くし、連帯できる状態にしたかった。今後は連帯無くして攻略できるものではないと判断したからだ。ディアベル達はそれに賛成し、かくしてギルド連盟『アーク’s』が結成された。

特にこれを喜んだのはクラインだった。クラインはどうやらサラの事をかなり気に入ったらしく積極的に彼女とコミュニケーションを取っていた。

サラはそれに対し満更でもなく対応しているようだ。

ただ、オキが気になったのが一つだけある。ディアベル達についてきていたヒースクリフだ。彼は元々、1層でオキ達がフィールドボスを速攻で倒したことを聞きつけディアベルがPTメンバーを募った際に真っ先に手を上げてきたという。また戦闘に関してもかなりの腕を持っているらしく、彼が苦戦しているところを見たことが無い。戦闘の仕方自体は素人であるが、キリト曰くシステムを利用してかなりの動きを見せているらしい。

そんな彼がディアベルの元を離れ、一人でギルドを作ったのだ。名前は『血盟騎士団』というらしい。オキは連盟の話を持ちかけたが断られた。理由に関して彼は

「私は私なりの考えがあるのでね。お誘いはうれしいが断らせてもらうよ。」

と曖昧な内容であり納得できなかったものの無理強いするつもりもなかったのでオキは諦めた。

 

 

こうしてギルド結成から1か月が過ぎた頃、オキ達は15層を攻略していた。

まだ気に入ったギルド拠点が見つからないのと資金がたまっていない為、相変わらず宿を仮拠点として利用していた。メンバーはオキ達の指導と元々ゲーマーの為にクエストや効率のいい狩場などを利用し着実にレベルと力を上げていっていた。

朝、宿のロビーでシリカを待っていたオキは2階から降りてきたシリカと合流した。

「よし。それじゃ行くか。」

「はい!」

オキはギルド結成後もシリカと組んでいる。他のメンバーがほぼ固定PTとなっている為、現状のバランスも考えて変える必要がないためである。今日はレベルを上げる予定でいた。

「あ、シリカちゃーん。」

宿を後にしようと進んだ直後に、宿からアスナが走ってきた。何かを持っている。

「はーい。なんでしょうか?」

「これ、持って行って。さっきハヤマさんとサラさんで作ったの。みんなに渡してるのよ。」

シリカが受け取ったのはアスナたちが作ったサンドイッチが入ったバスケットだ。

「二人で食べてね。」

ウィンクしながらシリカの肩を叩き親指を立てるアスナ。後ろから見ていたオキにはにやけているようにしか見えなかった。

どういう意味をとったのかシリカは顔を赤くしている。オキは苦笑することしかできなかった。

 

 

15層のフィールド、森林エリア。

すでにコマチから情報を得てここらで最も効率のいい場所の一つを教えてもらっており、周囲に他のプレイヤーがいないことを確認し、オキたちはさっそく狩りを始めることにした。

「よーし。そんじゃやってくか。」

「はい。今日もよろしくお願いします。」

二人は自分の持つ武器を構えてエネミーの沸く狩場へと走っていった。

昼すぎ、お腹のすいてきた二人は狩場を離れ、エネミーの出てこないセーフティエリアを探し、そこで昼食をとることにした。

地面に敷物を敷いて二人はアイテム欄からお茶や朝もらったサンドイッチを真ん中に置く。

「それじゃ、いただきます。」

「いただきます。あむ…ん! おいしーです!」

「うむ。またスキル上げたな。」

アスナ、ハヤマ、サラは2つのギルドの中でも最も料理スキルを上げている。

他にも上げているメンバーはいるようだが、この3名だけはダントツに高い。いずれはこの3名がアインクラッド内で最も早く料理スキルを極めるとオキは思っている。

今回のサンドイッチも以前食べた時より美味しくなっていた。こっちはツナ、こっちはタマゴ。

食べ終わった二人は満腹と暖かさの余韻に浸っていた。

 

ザアァァァァ

 

森林の木々が風に揺られて音を立てる。

「いい天気ですねー。気持ちがいいです。」

「うむ。戦いさえなければこの状況、ピクニックってところか。いいもんだ。」

「そうです…ね。ふぁあぁぁ…。なんだか眠くなってきました。」

あくびをするシリカ。オキもそれをみて自分もあくびをしていたことに気づく。

「寝てていいぞ。ほれ、膝枕なんかしたりして…。」

目を丸くするシリカ。次第に顔が赤くなっていく。

「なんて冗談…。」

「あ、あの、お願いします…。」

オキは冗談で言ったつもりだったが、シリカはそれにのってきた。予想外の返答にオキも一瞬驚いたが、そのまま膝にシリカの頭を乗せた。

「えっと…その、どうだ? 痛くないか?」

「だ、大丈夫です。」

その後沈黙が続く。気づけば顔を赤くしたまま眠っていた。

オキはそんなシリカの頭を撫でながら微笑んだ。

『こんなに小さいんだな。よくよくみると。まだ若いのにこんな戦いに巻き込まれて…守ってやらないとな。』

オキはそんな光景を誰にも見られてないことを確認して、自分も心休まるひとときを過ごした。

 

数時間後、先に目を覚ましたシリカは自分の肩にてを乗せて座ったまま寝ているオキの寝顔をみて現状の状況がいかにものすごい状況だということを改めて自覚し、更に顔を赤くしていた。

起きそうにないオキの寝顔をみるシリカ。

『オキさんって不思議な人ですね。こんな私に気を使って、こ、こんなことまで…。ん?』

シリカは自分のすぐ近くにもふもふとした塊を発見する。

「これは?」

起き上がってみるとそれはとても綺麗な水色の羽をした鳥のようなエネミーだった。本来、プレイヤーを攻撃してくるエネミーはこのセーフティエリアに出現することはない。つまり害のないモンスターだということがわかった。

シリカが起きたことに気づいたのかオキも目を覚ます。

「んあ…。やっべ寝てた。ん? どうした?」

「いえ、この子が…。」

「んー?」

自分の近くで一緒に寝ている鳥系モンスターをみて目を丸くするオキ。

「こいつは…。」

二人が起きたことに気づいたのかそのモンスターは起き上がった。

「キュル?」

ばさっと小さな羽を広げ、シリカに近づいてきた。

「どうやら俺たちが眠っていることに警戒をといて近づいたらしいな。」

「きゅるうう?」

その鳥のようなエネミーはサンドイッチの入っていたバスケットを覗きだした。

「ははは。腹がへってんのか? たしか2つくらいのこってたろ? シリカあげてみたらどうだ?」

「そうですね。えっと、はい。どうぞ。」

「きゅるるう!」

シリカに差し出されたサンドイッチの切れ端をむしゃむしゃと食べる。

「えっと…フェザーリドラ? 聞いたことない名前だな。」

「名前からしてドラゴン系ですね。」

「こんなに小さいのにドラゴンか…。どうしてもドラゴンって聞くとでかいのしか思い出せない。う…あまりいい思い出もないな。」

オキはアークス時に戦った龍族を思い出し苦笑する。

「オキさんってまさかと思いますけど、ドラゴンとかとも戦ったりするんですか?」

オキのセリフが知ってるかのような内容だったので聞いてみる。

「うむ。龍族っていってね。惑星アムドゥスキアという龍の住む星があるんだ。そこで龍人や巨大なドラゴン種とかとも戦ったことがある。火を操るヴォルドラゴンや全身鉱石でできたクォーツドラゴン、騎士のようなドラゴン・エクス…。」

「す、すごいんですね…。」

「きゅるうう。」

満足したのかフェザーリドラはそのお礼なのか、シリカの周囲をグルグルと飛び回った。

「きゃ! あはは! もう、なんですか? あはは。」

「お礼がしたいんじゃないか?」

「きゅる!」

オキの言葉に反応したのかフェザーリドラは返事をした。その時だ。シリカの目の前にアイコンが飛び出てきた。

「きゃ! え? モンスターのテイムに成功しました…。名前をいれてください…?」

「テイム? どういうことだ。」

「えっと…多分使い魔のようなものでしょうか。このゲームにもそのようなシステムがあるんですね。知らなかったです。」

フェザーリドラはシリカの座ってる目の前に降り立ち、じっとシリカを見つめる。

「…うん。決めました! 名前!」

目の前のウィンドウに名前を書き込むシリカ。

「早いな。なんて名前にしたんだ?」

「名前は…ピナです。私の、外の世界にある家で飼ってる猫にそっくりだったので。」

「ピナか…。おまえさんピナって名前になったぞ。」

「きゅるうう!」

嬉しかったのか、またシリカの周りを飛び、またオキの周囲も飛び回るピナ。

「あはは! よろしくね。ピナ。」

「きゅる!」

後にビーストテイマー『竜使いのシリカ』と有名になるきっかけとなった瞬間であった。




シリカの相棒、ピナ誕生の瞬間ですね。
また、オキとのイチャイチャも少しずつ増えていきます。シリカかわいいよシリカ。
そろそろクォーターポイントである25層も近づいてきていますが、その前にちょっとした事件。
次回「オレンジプレイヤー」
ペースあげたら上げてみるかな…。

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