SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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「攻略を開始するといったな。」
「そそそ、そうだ。早く開始してくれ。」
「アレは嘘だ。」
「うわぁぁぁ!」


第79話 「ミス・アインクラッド・コンテスト」

『ってわけで、ミスコンはじめるでぇぇぇ!』

「「「おおおおお!!!」」」

主に男達の声が会場に響き渡った。

「何で私がー!?」

ステージに立つシリカが涙目になりながら叫んだ。

「絶対オキの仕業ね…。」

「すごい良い笑顔で手を振ってますよ。ほら、シリカちゃん。振ってあげたら?」

頭を抱えるシノンと苦笑いするリーファ。

「はぁ…。私まで。しかもユイちゃんも…。」

「ママー。これから何がはじまるんですか?」

「大惨事大戦よ。お姉ちゃん。」

ストレアがニンマリしながら答えた。

「アスナはまだいいじゃない。綺麗だし? 可愛いし? 何で私なのよ。」

ため息をつくアスナの隣にガッチガチに固まったリズベットがいた。

「うふふ。」

笑顔でその様子を間近で見ているのはシンキだった。

盛り上がりは最高潮を迎えた決勝戦。オキとアインスの同時優勝となった闘技大会は幕を下ろし、長い一日が終わろうとしていた。筈だった。

『ありがとう。すごく楽しかった。一部のメンバーが再戦を希望しているが…まぁそれはおいおいだな。ともかくありがとう!さて、こっからは男性諸君お待たせした…。キバオウ!』

パチン!

オキの挨拶が終わるなり指を鳴らした。キバオウはいつの間にか着替えており、タキシードとなってステージ上でライトを浴びていた。

『レディース! エーンド! ジェントルメン!』

バン! バン!

キバオウが声を張り上げた直後に、レーザーライトがある女性達を照らし出した。

「え? え!?」

「なに? この光・・・。」

アスナ、シリカを初めとするプレイヤー勢のなかでも屈指の美少女達。その中にはシンキも混じっていた。

「あら? 私も?」

「ママー。私も照らされてます。何でしょうねストレア。」

「ユイちゃん、ストレアちゃんまで・・・。」

『はいはい。今照らされたメンバーはステージ上に上がった上がった。あと、オキはん、アインスはん、ティアベルはん、キリトはん、よろしく頼むで。』

「私もか。オキ君?」

「お、俺も?」

アインスとキリトは何も聞かされていない。これはキバオウ発案、オキら考案の最後のイベント。

『諸君! 最強のモノが決まった! ならば! 最も美しい! 綺麗! 可愛いは誰か! 決めようではないか!』

女性陣がステージに並んだ直後にキバオウがマイクに向かって叫ぶ。

『第一回! ミス・アインクラッド・コンテスト! 開幕やぁぁぁぁ!』

キバオウの言葉に男性プレイヤー達は歓喜の声を上げた。

「「「おおおおおお!!!」」」

「「「ええええ!?」」」

ステージ上の女性陣からも声が上がった。あげてないのは余裕のシンキと何も分かっていないユイ、そして楽しそうなストレアくらいなものだった。

「実はな。」

オキがアインスに説明をし出した。

98層でのやり取りの直後に行った定例の反省会。その時にあった闘技大会の話。

その後にキバオウらからオキに直接相談があった。

「ミスコンもやろーぜ。ってね。」

「ふむふむ。」

「まじかよ・・・。」

『そういうことや! 闘技大会を開いている最中に裏で集めたアンケートを元に今回の候補者を選ばせて貰ったで!』

闘技大会入場時、観客全員にアンケートが配られていた。

・アインクラッドで最もかっこいい男性を3人選んでください

・アインクラッドで最も頼りになる男性を3人

・アインクラッドで最も綺麗な女性を3人

・アインクラッドで最も可愛い女性を3人

等、いろいろ書かれていた。

その中でポイント制で1から3位までをそれぞれの項目で決定。上位に輝いた女性がここに上がっているというわけだ。

『まぁ大概がオラクル騎士団メンバーやったけどな。』

オラクル騎士団の活動範囲は下から上まで全て。腕、技量全てがトップクラスでありながら下層のプレイヤー達のフォローも行うことでその人気度合いはまさにアインクラッド1だった。

その中でも選ばれたのは

アスナ シリカ リズベット リーファ シノン フィリア ストレア ユイ そしてシンキと・・・。

『あれ、一人おらへんなぁ。』

選ばれたのは10人。アンケートでの上位10位を集めたはずだった。その大半がオラクル騎士団メンバー。だが一人だけ例外がいた。

オラクル騎士団に加入しておらず、その絶大な信頼度と幅広い活動範囲により高い認知度と人気を得ていた少女。

「アルゴの姉さん逃げたな?」

オキがステージに置かれた審査員席から立ち上がった。

『オキはん、どうする?』

「任せろ。」

オキがマイクをキバオウから受け取った。

『アルゴ姉―! いるなら今すぐ投降しなさい! 10秒待ってやる。それでも来なかったら・・・恥ずかしい写真をここに公開したままアインクラッド完全攻略するからな!』

会場がざわつき出す。だが、アルゴらしき姿は全く出てくる気配が無い。シンとした中、10秒が経った。

『OKわかった。ならでかでかと張り出してやろう。さぁ見たまえみなの衆! これがあのアルゴの寝顔だぁぁぁ!』

会場のスクリーンに映し出されたのは芝生の上で気持ちよさそうに小動物たちと包まって丸まったアルゴの昼寝姿だった。

「にゃああああああ!」

ステージの一部から悲鳴が上がり、プレイヤー達をかき分けながら一人の少女が顔を真っ赤にしながら走ってきた。

「なななな、なんでこんな写真持ってるんダ!」

「いつだったか忘れらた。ミケの昼寝場所なんだよ此処は。ある日、ミケを探している最中に偶然ここで姉さん見つけてな。あまりに珍しいもんだから、結晶アイテムでパシャリと一枚。」

「消セ!」

「なら参加しろ。」

「・・・ううう。背に腹は変えれヌ。恨むからナ!」

「はっはっは。」

普段のアルゴをしっているメンバー達からすればポカンとするほかなかった。あのアルゴが顔を真っ赤にしている姿は見たことがないだろう。

ミスコンは3回に及ぶ審査を通し、その審査で得た合計点と最後に観客から選ばれた100人のプレイヤーの投票で決まる。(100人はアンケート用紙の番号で抽選)

第一審査『自己PR』。

女性メンバーたちが裏で準備をしている中。

『尚、本日の衣装関連は全てヒロカブランドでお送りするで。』

審査員席に座っているショートボブの少女、ヒロカが小さく手を振った。

審査員長オキをはじめ、闘技大会優勝者アインス、アンケートによって出た結果上位2名のキリトとディアベル。

『尚、ディアベルはんは最も頼れる男性の2位、キリトはんは最もかっこいい男性の1位やった。』

「ちなみに頼れる男1位と3位はアインス君とオキ君。かっこいい男の2位と3位はアインス君とリンド君の二人だったそうだ。いや、ありがたい話だ。」

「隊長ぱねぇ。」

ディアベルの持っている紙に男性版のアンケート結果が記載されていたが、大半がアインス、オキ、キリト、ディアベルそしてリンドの5名が独占だったそうだ。

「私なんかが選ばれるとは。」

どう反応していいのか困るアインス。

『さぁ準備がととのったようやで? それじゃあでてきてもらおうかぁ!』

キバオウの合図により、それぞれの美少女達が私服姿で現れた。

「「「おお~。」」」

普段とは違う、新鮮な感じのする光景に男性陣はもちろん、一部女性プレイヤー達も声を上げた。

「さすがにこれは・・・はずかしいわね。」

「いつも着ている感じの服を選んだつもりなんですが、こうしてステージ上に立つと・・・。」

「うーん。これ絶対オキたのしんでるでしょ。」

「ゼッタイウラムゾ・・・。」

若干一名先ほどの件により、浮かない顔でオキを睨みつけていたが気にしない。

『これはこれは。眩しいほどや! ワイ直視できん! それじゃあ各自、自己アピールといこうか?』

キバオウがマイクをアスナに渡したが、かなり困っていた。

「ええ!? ちょっ・・・何言っていいのか分からないわよ!」

他の少女達も困った顔をしている。一部を除いて。

「自己アピールをすればいいだけですか? しかしソレで何の意味があるのでしょうか。」

「いいおねえちゃん。自己アピールして、私はこういうモノです。ってかわいくいうと、オキ達が点数をくれるの。高ければ高いほどいいのよ?」

「なるほど!」

オキは困ってどうしようもないパターンも考えていた。というかそっちが本命だったんだが。

「仕方ない。キバオウ。」

オキが指を鳴らす。待ってましたといわんばかりにマイクを取り返したキバオウ。

『せやったら仕方ない。仕方ないでぇ! ほんならこっちから質問していこうかぁぁぁぁ! ちゃーんと答えるんやでぇ?』

ニンマリとキバオウが笑う。それをみたシノンがオキ達の思惑にはまったと察した。

「しまったわね。こうなることをみこしていたわね?」

「どういうことです?」

リーファが聞き返した。

「私達がいきなり自己PRなんてできっこない。間違いなく誰でもそうなるわ。だから、その状態になることを見越していたんだと思うわ。全く・・・何を聞いてくるのやら。」

ため息をつくシノン。その横でちょっと残念そうにするシンキ。

「残念。せっかく悩殺できる言葉をいっぱい言ってあげたのに。」

「この場にいる男達全員魅了する気ですか? やめてください・・・。」

「えー。」

「えーじゃないです。おとなしくしてください。」

シノンの言葉に口を膨らませるシンキ。苦労が耐えない状態だったが、お互いに少しだけ笑っていたのをオキ遠くから見ていた。

『それじゃあ順番にいくつか質問をしていこうかのう。』

「その前にこちらから各個人の情報を説明してからだぞ。」

こうしてミスコンの始まった会場。

「ふむ。こういうイベントもありだったか。」

開発者である男はなるほどといいながらそのイベントを遠くから見ていたのを誰も知らない。




はい。すみません。やると身内に言っといて忘れてました。サーセン。
というわけで皆様ごきげんよう。ミスコン開始です。
まぁ次でおわらせて、ほんとうに攻略はじめますが。

さて、FGOは最終決戦。現在マスター達が全力で素材の奪い合いで魔神柱をころしにかかってますね。これはひどい。

今年の投稿はこれが最後となります。
皆様、メリークリスマス&良いお年を!
来年もソードアークス・オンラインをよろしくお願いします!

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