SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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補足:ミケ
自由奔放に動き回りまるで野良猫のような生き方をしているアークス。
何故か猫耳が頭から、シッポがお尻から出ており付き合いの長いオキ達ですら謎。
口癖は「なのだー」
天真爛漫で周囲を明るく照らす笑顔を振りまく。ただし、問題も振りまく。
中性的な容姿で女性のようで、男性のようでもあり、女性に見えるが、男性にも見える不思議なアークスである。



第7話 「ギルド」

1層を1か月も掛けない内に攻略し、必ず攻略できる事を始まりの街にいるプレイヤー達に伝え、オキ達は一気に有名となった。

どうやらアルゴが他の情報屋にもオキ達の事を『イレギュラーズ』という名前で伝えたらしく、ゲーム開始時に啖呵を切ったプレイヤー率いる6名の『イレギュラーズ』が早々に1層をクリアし実績を上げた、と。本来攻略に1か月以上を見込んでいた他のプレイヤーはこんなに早く攻略できるならば自分達もとこぞって前線へと出向こうとしたという。

だが、さすがのアルゴ。1層ボスでの状況を細かく仕入れ、始まりの街にいたプレイヤー達へ難しさもある事を示し、無理な行動は誰でも死を招くことを常に伝えていたという。

1層を攻略したメンバーと、追いついてきたその他プレイヤー達はそのまま2層攻略をめざし、リーダーとしてトップにオキ、軍師又は指揮者としてアークス代表でアインス。プレイヤー側代表としてディアベルを置き、徹底したPTバランスと育成を行い、上層を目指した。

又、元々戦闘の素質の高いキリトやアスナ等、今後の戦いに必要と思われる力を持っているメンバーにはアークスが直々に戦い方を教え、力をつけていった。

2層以降はアークス各位はバラバラに動き回りフィールドを駆け廻った。

道中、プレイヤー達がエネミーと戦っている所を見かけては手を貸し、顔を広げつつできるだけ犠牲者が出ないようにと助け合った。

キリト等の元ベータテスター達はアインスやディアベルと共にベータ時代の情報をできるだけ思い出しながら進み、2層からなる長期キャンペーンクエストの違いや、各エリアボスでの変化点の指摘等も惜しみなく出しては協力し合った。

 

 

気が付けば10層のエリアボスまで難なくクリアし、11層の拠点となる街をアクティベートし、皆で打ち上げ会を行っていた。

11層は洋風の街並みで各所にプレイヤー達が多数集まる事が出来る館が存在。

その中でも1番大きな館の広間を使用し、攻略に参加したプレイヤー達でにぎわっていた。

「ではみなさん、飲み物はお持ちかな? では10層攻略完了を祝して、乾杯!」

「「「かんぱーい!(なのだ!)」」」

全員でコークと呼ばれるこの世界のビール(ノンアルコール)を一気に飲み干した。

「ぷっはー! うっめー!」

飲み干すと同時に周りから拍手喝采が上がり、周囲を見渡したオキは1層の時とは違った顔立ちになってきたメンバーに気づく。

「最近、だいぶメンバーもそろってきたし、腕も上がってきたな。」

「ああ。俺たちもうかうかしてられないな。すぐに追いつかれそうだ。」

アインスも元々1層で招集し、共に戦ってきたメンバーを見る。皆、勢いのあるメンバーでかつて共に戦っていたギルドメンバーを思い出していた。

「オキさーん。こっちですー。」

一人の少女がオキを呼んでいた。

「呼んでるよ。オキ君」

「あーよ。いってくるわ。」

アインスと別れ、オキは呼ばれたテーブルへと向かった。そこにはオキが2層以降で手助けし、共についてきたメンバーがそろっていた。

「オキさん、10層攻略おめでとうございます。」

「おめっとさん。」

皆がオキとに乾杯をしてくる。オキはそれに応え、皆と乾杯をした。

「すごいよねー。もう11層だよ。このままなら一気に攻略できそうだよね。」

サクラ。2層でクエストに苦戦していたところをオキ達が参戦、手伝った後、ここまで共に戦う攻略メンバーとしてついてきたプレイヤーだ。ほんのりとした性格はどこかマトイを思い返す。長い髪をしていて身長はアスナと同じくらいだと思われる。

「サクラ、余り油断はしちゃだめだよ。それですでに何人ものプレイヤーが…犠牲になってるんだから。」

ツバキ。サクラと一緒にいたプレイヤーでかなり仲がいいところをみると外の世界からの付き合いのようだ。気が強そうな性格でショートカットの髪の毛が似合う。サクラより身長がある。

「大丈夫だって。犠牲なんか俺が出さないさ。それにオキさん達だっているんだから。」

笑いながら一緒のテーブルで飲んでいる男はタケヤだ。2層から合流し、一緒にここまで来たメンバーの一人だ。調子のいいところが見受けられるが、仲間を想うところはオキと似ている。

「何言ってるのよ! またそんなこと言って死にかけるのはあんたなのよ!」

バシバシとツバキに背中を叩かれるタケヤは何すんだと言って彼女を追い駆けて行った。どうやら馬が合わないらしい。

「相変わらずだなぁもう。」

直ぐ隣にいたメガネをかけた男がため息をつく。タケヤと一緒のPTにいるレンだ。落ち着いた雰囲気を持っており、若干臆病な部分もあるが、なんだかんだでやる時はしっかりと行動する男でオキもそれを認めている。

「でもツバキちゃん、なんだか楽しそう。」

にっこり笑うサクラ。レンもなんだかんだで楽しんでるなと一緒に同感している。

「喧嘩するほど、仲がいい。」

ボソリとつぶやく渋めの中年男性。他の若い4名とは違い、一人だけ年齢がかけ離れているように見える。彼の名前はオールドといい、どうやらレンが誘い一緒についてきたようだ。この中で最も腕が立ち、オキ達が見てもその動きは完成されており槍の使い手としては多分トップだろう。

「あ、オキさん。一ついいですか?」

レンが質問をしてきた。

「んー? なんぞい。」

「オキさん達ってギルドを作る予定ってあります?」

「あ、私も知りたい。」

サクラも話題にのってきた。

「ギルドか…。なんでまた。」

ギルドを作るつもりではいたが、ここ最近の攻略でのやり取りでそんな考えも飛んで行ってしまっていた。たしかにあると便利かもしれない。

「いえ、ディアベルさんがギルドを作るって聞いたもんで。」

「うんうん。そんなことさっき言ってた。俺と一緒にくる人はついてこーい。って。」

「あ、似てる似てる。そんな感じ。」

「ほんとー? やったー。」

レンとサクラはノリノリで先ほどディアベルがしゃべっていたと思われる内容を声真似してはしゃいでいた。

「ギルドねぇ…。」

オキはアークスとして一緒に活動していたメンバーを思い返した。外ではみんな元気だろうか。たぶん心配しているだろう。

「何やら、懐かしいという思いをしているな?」

オールドが気づいたようにオキにしゃべりかけてきた。よく見てるなこの人。

「まぁ、外に置いてきたチームのメンバーがいたので。つい。ギルドか作るのもありだな。」

オキがそういうと先ほどまではしゃいでいたレンとサクラも食いついてきた。

「作るんですか!? 私、オキさんのギルドに入りたいです!」

「あ、僕も。たぶんタケヤもそういうと思います。」

「ツバキちゃんも誘ってみようかなー。オールドさんはどーします?」

「私もその話のらせてもらおう。オキ殿からはまだ学ぶことがたくさんある。よろしければ私もいいだろうか。」

オールドものってきた。そこに追いかけ回し走り疲れたタケヤとツバキも帰ってきた。

「ちくしょー。速すぎんだよおまえ。」

「うっさい。…ん? 何かの話?」

「あ、ツバキちゃんいい所に。今ね? オキさんにギルド作るのなら私達も入っていいですか?って聞いてたとこなの。」

「お、そいつはいい事聞いた。俺もいいっスか?」

どうやら全員のる気らしい。こうなっては作るしかない。オキも満更では無かった。

「オッケー。ならば作るとしよう。出来た頃にまた話すっからそんときゃよろしく頼む。」

オキはそのままハヤマ、コマチ、ミケ、アインス、サラを会場内で探し出し、先程の話をふった。

「ギルドかぁ…。俺は問題ないかな。」

「同感で。オキさんに任せる。」

「ミケも同じくなのだー。」

いつもの3人は同意し、ギルドにはいる事を約束してくれた。

「俺は自分のギルドを作るよ。俺が集めたみんながいるし、その子らの命を預かった限り、俺が責任をとらなきゃならないからな。オキ君すまないが、俺はそうするよ。」

アインスは頭を下げたが、オキはそれを予想済みだった。

「まぁそうくると思ったよ。律儀な隊長だから自分で作るだろうなって予測はしてた。まぁ別にそれでバラバラになるわけじゃないし。」

「はっはっは。流石というべきか。サラ君はどうする? オキ君の所に行くかい?」

サラは少し悩んでいたが、直ぐに口を開いた。

「んー。私はアインスの方にいこうかな。なんかあのメンバー見てると食事関係スキルとってなさそうだし、オキのとこにはハヤマがいるから大丈夫でしょ。」

どうやら日常の事まで考えてくれたらしい。頭が上がらない男性勢。

 

 

「ってわけで、ギルド作成をするにはどうするかおせーて。」

オキは1層から顔を出しに来たアルゴの元へと来ていた。ギルドを作るやり方を聞かないとわからないからだ。

「そろそろ来ると思ってたから用意しといたヨ。」

「さんきゅー助かったぜ。」

すでに情報をまとめてくれていたらしく、行かなければならない場所やクエストに関してを紙に書いていてくれていたようだ。

受け取ろうとするオキだったが、アルゴはそれをサッと引いた。

「・・・どういうつもりだ?」

「フッフッフ。俺っちがタダで渡すわけないだろう?」

そう言ってアルゴは手を出してきた。オキはため息をつきながらその手に自分の手を乗せた。

「わーったよ。ほれ握手。」

「握手握手ー。って違うだロ。情報には情報ダ。」

やはりダメだったか。当たり前の話である。

「はいはい。で? 何が欲しい。」

「んー…そうだネ。最近シーちゃんと仲がいいみたいじゃないカ。」

どうやらシリカとの話をしているようだ。確かに1層からずっと一緒にPTを組んでいる。バランスがいいような構成をとっていたらそのままの方がいいと気づいたからだ。

「まぁ悪くはないかな。いい子だし。戦闘の上達もはやい。」

「なるほどナー。で? おにーさんはどうするおつもりデ?」

にやけながら近づいてくる。コイツは一体なにを聞きたいのだろうか。

「どうするって。どういう意味だ。」

「とぼけても無駄サ。あんな美少女、すぐ隣にいたんじゃ考えるもなにもないだロ?」

どうやら異性としての話をしているようだ。なるほど、そういうことか。

「あー。わりぃけど、その話はパスだ。まだ俺の中で固まってないからな。」

「つまり、今後期待はできるト。」

「おい、メモするな。それにこういう話ならキリト達の方が面白いだろ。あっちのほうが進展してるぜ。」

「残念ながらすでに情報ははいってるんダナー。あの二人早ければ数ヶ月でくっつくとおもうヨ。」

恐ろしい子だ。すでに情報どころかこの調子だと本人達からも聞き出していそうだ。

「ま、別にいいけド。早くしないと取られちゃうヨ? ああいう美少女を守りたいって思う男性はごまんといるだろウ?」

「確かになー。気持ちはわからんでもない。だが、それとこれは話が別だ。そうだな。じゃあこうしよう。まだわからん。これでいいか?」

アルゴはンーっと考え込み妥協したようだ。

「ま、妥協点かナ。はい、これ。」

「ったくさっさと渡してりゃこっちも楽なのによ。恐ろしい奴を持ったもんだぜ。」

「ニシシ。」

笑顔だけは100点なんだがな。そう思いながら中身を確認する。頭に入れたあとは無くさないようにアイテム欄へと移動させた。

「あ、そうだ。アルゴ姉もうちのギルドくるか? それともソロ貫くか?」

アルゴはそれを聞いてすこし驚いた表情を見せた。

「どうした。」

「あ、いや。俺っちみたいなのでも誘うんだなっテ。ほんと、不思議なおにーさんだヨ。俺っちは暫くソロでやるつもりだヨ。お誘いは嬉しいけどネ。」

「そうかい。ま、気が向いたらまた聞くわ。情報サンキュー。」

そう言ってオキはアルゴの元を離れた。

「全く、誰でも優しくするその性格。後が怖いネー。」

オキが角を曲がり見えなくなってからボソリと呟いた。

 




一気に10層突破。次回からは一緒に戦った彼らとギルドを組み、中層を駆け回ります。
次回はオキとペアを組んでいるあの子の大事な家族との出会いを描くつもりです。
(うまくかけるかなぁ…。)

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