SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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【敗者】となった須郷を倒したオキ達は、彼のダーカー因子を消すために強硬手段を行った


第67話 「開催! アインクラッド杯!」

 

【敗者】となった須郷を叩きのめしたオキ達。フルボッコにされた須郷は気を失い完全に伸びていた。

「ふぅ、スッキリした。」

スッキリした顔で地面にグッタリと伸びた須郷に近づいたオキはダーカー因子の確認を再度行った。

「うん。確認、無し。これで問題ないだろう。」

キリトたちも近づいた。

「ちょっとやりすぎな気もしたけど・・・。まぁいっか。」

「あ、あはは・・・。」

苦笑気味のキリトに元々知人であったアスナは複雑な表情をしている。

ディアベルたちは一緒に襲ってきた元血盟騎士団やその他のラフコフメンバーを縄で縛り上げ黒鉄球へと向かわせていた。

「オキさん!」

「すごかったです! あれがアークスの武器ですか!?」

「かっこよかったー!」

「超やべぇ! まじかっけー!」

タケヤ達もオキ達へと近づき、先ほどのアークス状態を興奮しながら褒め称えていた。

「私が出る幕は・・・無かったようだね。さすが、アークスといったところか。」

聞きなれた声。それでいて懐かしいと思うその声。その場にいた全員が振り向いた。

「・・・ヒースクリフ。」

「そんな怖い顔しないでくれ。今日は別段君達に用があってきたわけではない。」

ヒースクリフが床でのびている須郷へと近づき、コンソールを弄り出した。

「何をする気だ。」

オキが睨みつける。

「なに、彼の持っている情報を少しだけ書き換えるだけだ。君達はこのまま黒鉄球に入れるつもりだろう? スーパーアカウントを取っておかねばまた逃げられるぞ? それに・・・。」

再度コンソールを弄り出すヒースクリフ。何かをしたのだろうか。

「君達のペインアブソーバを元に戻しておいた。下がりっぱなしなのも支障が出るだろう?」

オキはヒースクリフをじっと見て、一呼吸ため息をついた。

「はぁ・・・。そうかい。ならいいんだ。」

須郷が転送されるのを見届けて、ヒースクリフへと近づいた。

「彼とは・・・同じ道を歩んだ仲でね。・・・一緒に研究をできればと思ったのだが。残念だ。」

ヒースクリフは悲しそうな、さびしいようなかおをしていた。

「そうかい。まぁ仕方ねーな。ともあれ、これで障害は無くなった。後は上2つ。99突破してアンタの前に出るだけだ。少々待たせると思うが、やりたいことを残したくないからな。まぁまってろ。」

オキはヒースクリフを背にし、タバコに火をつけた。

「楽しみにしているよ。・・・それと、ありがとう。」

「あ? 何か言ったか?」

ヒースクリフの最後の言葉を聞き逃し、もう一度確認したときには、既に彼はいなくなっていた。

オキ達がギルド拠点へと帰り、反省会ついでに、ディアベルへと話をなげた。

「で? やりたいことがあるんだろ? 以前言ってたじゃないか。」

オキが98層を攻略している最中に、ディアベルからボソリと聞いたのだ。その言葉にディアベルが頷く。

「ああ。覚えていてくれたのか。アークスの皆には感謝している。皆から恩返しがしたいとあった。」

だが、何をすればいいのか。プレゼントをしたってデータの海に沈んでしまう。

思い出としてなにを残したい。だが、対外のことは皆でやってきた。いまさら何をやろうか。そう悩んでいる最中だった。

そこでキリトやシリカから提案があった。

『闘技大会をひらけばいいのでは?』

それにその場にいたプレイヤー全員が賛成したという。

オキ達はそれをきいて喜んだ。

「そんな事を考えてくれていたのか!」

「闘技大会?」

プレイヤー達は口々にいった。前回の鬼ごっこのときに負けたのが悔しいからではないと。

「言ってるじゃないか・・・。」

苦笑気味に言いながらも嬉しい気持ちでいっぱいのオキだった。

闘技大会への準備は既に進んでいた。

運営をアインクラッド解放軍が受け持ち、プレイヤー全員に通達が回った。

『集え! 第一回アインクラッド杯 闘技大会!』

キバオウの司会の下、50層のコロシアムで開催される最初で最後のSAOでの闘技大会。

多くの参加者と見学者が集まり、腕に覚えのあるプレイヤー達はこぞってイレギュラーズを初めとする攻略組に腕試しを行った。

「さぁさぁ! 98層も突破し、やることは済ませて帰らんとな! 今回もいっぱいの参加、感謝するでぇ!」

拡声器のような結晶を使って、会場いっぱいに進行と、実況を踏まえながらしゃべるキバオウ。

「思えばあの日、いきなりの宣言やった。だがしかーし! さらにいきなりのセリフをはいた奴がおった! イレギュラーズ! 彼らの言葉は半信半疑やった。せやけどな、ワイはみたんや。この目でよーとな! あのときの言葉はほんまやった! それを助けてくれたイレギュラーズ、いや、アークスのメンバーに恩返しや! つよぅなったみなの姿! みせたってやぁ!」

キバオウの言葉に歓声が上がる。それでいいのかプレイヤーの皆よ。

2日に分けて行う闘技大会は8つのブロックに分けた予選大会。そして16人が勝ち残った後に明日、決勝トーナメントを行うという。

予選では各ブロックにランダムで別れ、強攻撃の一撃ヒットで終わる初撃決着モードで行われ、トーナメント方式にて最後の2名になるまで行った。

アインクラッド解放軍の面々が審判を行い、あちこちで戦いが繰り広げられ、素早く予選が終了した。

結果、8つのブロックに分かれ、予選を突破したのが

『オキ、ハヤマ、コマチ、ミケ、シンキ、アインス』のアークスメンバーはもちろん

『キリト、アスナ、シリカ、リーファ、タケヤ、センター、オールド、ディアベル、ソウジ、クライン』の攻略組みメンバー。

予選に参加した攻略組み以外のメンバーは口々に

「まぁこうなるよなー。」

「しかたないよ。腕が違うもん。」

「俺、オキさんと戦えたんだが、一瞬で間合いつめられて終わった・・・。強すぎワロタ。」

「私はアインスさんだった。かっこよかったー! 負けちゃったけど・・・いい経験だったかな?」

と、特に文句を言う人はいなかったという。

夜、オキとシリカが寝るときにシリカが勝ち残ったことを祝った。

「明日、オキさんとも当たるんですかねぇ。」

「さぁなぁ。もし当たったら本気でこい。手加減は不要。俺を思う気持ちがあるならな。」

「・・・はい。」

シリカの頭を撫で、オキは一緒に寝た。

次の日、抽選の結果が発表された。

大きくコロシアムに張り出されたトーナメント表にメンバーは目を見開いた。

『1 オキ

 2 シリカ

 

 3 オールド

 4 ディアベル

 

 5 アスナ

 6 ミケ

 

 7 キリト

 8 リーファ

 

 9 シンキ

 10 タケヤ

 

 11 コマチ

 12 ハヤマ

 

 13 センター

 14 クライン

 

 15 ソウジ

 16 アインス』

「あ、初戦はシリカとか。」

「えええぇぇぇ!?」

シリカはかなり驚いている。無理もない。

「一応言っておくが、不正はあらへんからな。ほんまにランダムで選んだ結果や。」

キバオウは手を広げて困った顔をしていた。

「ほう。これは面白い。」

「隊長とかぁ・・・。よろしくおねがいします!」

アインス、ソウジは師弟対決のようなものだ。

「お兄ちゃ・・・じゃなかった。キリト君とかぁ。負けないよ!」

「ああ。そういえば、まだ剣道、続けてるのか?」

「うん。だから・・・黒の剣士にどこまで通用するか。試させてね。」

キリト、リーファは兄妹対決。

「しょっぱなからこまっちゃんとかぁ。」

「まじかぁ。」

ハヤマ、コマチはしょっぱなから同じアークス同士が当たるとは思っていなかったらしい。でも少し嬉しそうだ。

「さぁさぁ。驚いているのも無理ないやろうけど・・・ルール説明させてもらうで。」

今回の闘技大会はアークスサイドからのお願いも聞いてもらっている。

めったにないチャンスだ。せっかくなので、アークス同士で戦うときだけアークス状態で戦ってもいい許可を貰った。

闘技大会ルール(SAO 第一回 アインクラッド杯版)

・戦いはデュエルの『半減決着モード』を使用し、ルールも基本ソレにのっとる。(つまりどちらかが先にHPが半減した方が負け)

・武具はこちらが用意したものを使用。

・ユニークスキル、アークス状態は基本禁止

・ただし、ユニークスキル保持者同士の場合はユニークスキルは解禁。武器も好きなものを使用してよい。

・さらに、アークス同士の場合はユニークスキルに加え、アークス状態になることも許可。

「ざっと説明は以上や。質問は?」

全員が頷く。問題はないらしい。

「やったら、時間になり次第はじめさせてもらうで。」

「ううう・・・オキさんとかぁ・・・。」

「まーだいってんのかい。昨晩言っただろう? 俺を思うなら・・・。」

「本気、ですよね? 分かってますよ。」

少し怒った風にいうシリカ。だが、少し笑っている。

「オキさん。絶対に・・・負けませんから!」

「おう。」

コロシアムの選手待機席から中央へと進む二人にコロシアム観客席から多くの歓声が上がった。

『さぁさぁしょっぱなから大盛り上がりの予感や! 第一試合! イレギュラーな存在! 我らが救世主! ちょっとロリコンのスモーカー! アークス、オキ!』

「やかましいわ!」

キバオウのセリフに怒鳴りあげるオキ。

『かたや、その男を愛し、1層からずっとそばにい続け支えた小さな小さな竜使い! シリカ!』

「そんなに小さいいわないでくださいよぉ・・・。」

「キバオウ、アトデコロス。」

オキがにこやかにキバオウに微笑んだが、本人は遠くてそれに気づいてない。

『まさかの夫婦対決! 皆を失望させんでくれや? お二人さん? さぁ、始まりや!』

キバオウの声と共に二人はデュエルを申請し、開始する。そしてゴングが鳴った。

「ああああ!」

「やぁぁぁぁ!」

二人の武器に火花が散り、激しくぶつかり合った。




みなさまごきげんよう。
決戦前に行いたかったこと。『みんなで闘技大会』!
ようやくここまでこれました。長かった。
これが終わればようやく最終決戦です。
その前に闘技大会、お楽しみに。

なお、試合の組み合わせはオキ、アインス、キリトの順番だけ固定で、残りはランダムで作成したらこうなりました。ランダムなのにこの美味しい組み合わせってなんなの。。。

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