SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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75層でのゲームマスター『茅場』との決闘を見守ってる最中に急な地震。
そしてどこかに飛ばされたオキはオレンジカーソルのついた少女にいきなり襲われることとなった。


第43話 「ホロウエリアとオレンジの少女」

キン!

キン!

「待て! 待てって!」

いきなり襲われ、対応に困っている状況だ。相手はオレンジカーソルをつけた少女。

オレンジ色のショートの髪で青色の軽装防具。見た感じアスナやリズと同じくらいだろう。そんな彼女はオレンジプレイヤーのようだが。

『どうみても錯乱している。この感じ、ただのオレンジプレイヤーじゃなさそうだな。まずは…』

「落ち着かせるか!」

「!?」

ドカ!

体当たりで吹き飛ばし、彼女の上に馬乗りになって両腕を押さえた。

「落ち着け! 馬鹿野郎! 話を聞け!」

「ううう!」

振りほどこうと暴れまわるが、すぐにそれは収まった。

「あんたたちなんかに私は…!」

やっぱりなにか勘違いされていたようだ。

「だから落ち着けって。こちらとこのエリアに来たばかりだっつーの! まったく…。」

落ち着いたことを確認し、彼女の上からどいた。彼女に手を差し出し、立ち上がれるかと聞いたが自分で立った。

「本当にここに来たばかりなの?」

「本当だ。75層でゲームの決着つける為に茅場との決闘を見守ってたらここに飛ばされ…!?」

ガサガサガサ!

何か来る! でかいやつだ。索敵スキルに反応が出た。

「なんだ!?」

ズズーン!

地響きを立て、土煙を撒き散らし振ってきたその姿を見て驚いた。

「スカル・リーパー!?」

「っち。撒いたと思ったのに…。」

『キシャァァァァ!』

74層のエリアボス。『ザ・スカル・リーパー』。その姿は誰が見てもわかる骨だらけの体。蠍のような姿で巨体。

「なんで74層のボスがここにいるんだよ!」

「やるしかないわね…。」

少女が走ってスカル・リーパーへとダガーをつきたてようとする。

『シャァァァ!』

スカル・リーパーの巨大な大鎌はそれを防ぎ、もう片方の大鎌で彼女を引き裂こうと振り下ろした。

ギィン!

「あ、あんた・・・なんで?」

スカルリーパーと少女の間に入り込み、大鎌を防いだ。

「目の前で襲われているやつを見過ごす大馬鹿野郎じゃないって…事さ! おらぁ!」

『!?』

ズズゥン…

大鎌を振りほどき、逆に押し返す。スカル・リーパーはあまりの勢いかそのまま後ろに倒れてしまった。

「軽い。こいつ相当弱体化してんな。おい、あんた。ここではこういうやつがうじゃうじゃいるのか?」

「知らないわよ! 私だってはじめて見たんだから。」

体勢を立て直し、鎌をすり合わせこちらの様子を伺っているように見える。ゲージは一本。

「名前が違う? ホロウ・リーパー。ここのエネミーって事か。レベルも85。低いな。いける。おい、手伝ってくれねーか? その後で話し合おうじゃないか。」

「…わかったわ。」

『シャァァ!』

再び大鎌を振り上げこちらへと走ってくる。それを受け止め、彼女を側面へと移動させた。

「そのまま側面から思いっきり切りまくってやれ!」

「やぁぁぁ!」

少女のダガーによるSSがホロウ・リーパーの側面にヒットする。たったそれだけで怯み、顔面をさらす。

「こいつの火力を試させてもらうか。 おらぁ!」

左右3連、突き2連。そのままジャンプし上空からの突き刺し。それを弱点でもある顔面に全てヒットさせた。

「ディメンション・スタンピード!」

『シャァァァ…。』

弱弱しい声を上げ、ホロウ・リーパーは地面へと沈み、結晶となって砕け散った。

「よっわ!? おいおい85レベのボスとは思えねーな。…いや、こいつが強いのか?」

紅く染まった魔槍を見る。きらりと光るそれを見て、彼女に目をやる。

「大丈夫か? 怪我ぁねーか?」

「あ、う、うん。大丈夫。攻撃は喰らってないわ。あなた、強いわね。」

あまりに一瞬でゲージを溶かしたこちらに対し、ぽかんとした顔で見ている少女に近づいた。

「何があったかしらねーが、オキだ。よろしく。」

「フィリアよ…。私と一緒にいないほうがいいわ。」

「なんで。」

名前はフィリアというらしい。彼女は背を向け再び森の中へと入ろうとした。

「私はオレンジプレイヤーなのよ? カーソルが見えないの?」

「見えてるよ? でも、お前さんの目を見ればわかるさ。何かに巻き込まれてそうなったと推測する。あんたは人を傷つけるような人間には見えないよ。まぁとりあえず待ちなって。」

立ち止まり、再びこちらを向いてくれた。素直でよろしい。

「私はね…私は…。人を殺したの。」

「なんと。そうだったのか。」

驚きすらしない俺に彼女は目を開く。

「そうだったのかって・・・言ってる意味わかってるの!?」

「そりゃわかってるさ。何があったか次第で俺の反応は変わるが、人を殺しました。はいそうですかというしか今はないだろ。それともあれか? 快楽で殺したのか? それとも襲われて仕方なしにやったのか? 俺には後者と予測するがね。」

今までに何人のそういう奴を見てきたか。特にここ一年で何十人と相手してきたせいか、目を見れば大体わかってしまう。

「私は…。」

しばらく黙り込んだ彼女は数分後に再び口を開いた。

「わからない。気がついたら…人を…。」

「ふむ。まぁいいや。危険な奴じゃいっぽいし。ここにはいつから?」

「まぁいいやって…。あんた不思議ね。」

諦めたのかそれとも呆れているのか。どちらか? いや、両方か。少なくともようやく微笑んでくれた。

「ここの情報が知りたい。少なくともアインクラッドではなさそうだが?」

「私は一か月前に飛ばされてきたんだけど。生き残るのに精一杯で、ほとんど探索できてないわ。55層のダンジョンに潜ってて。気がついたら…。」

うーむ。困ったな。そう思いながらアイテム欄からタバコを取り出し、火をつけた。

「ふぅ…。さーて、どうしたものか。どこかに転送門でもあれば。」

ふとフィリアを見るとこちらを見ている事に気づく。手を見てる?

「あなたの手についてるその紋章。むこうで同じものを見たわ。」

「手? なんじゃこりゃ?」

左手の甲になにやら紋章が付き、光っていた。こんなもの見たことがない。というか今気づいた。

そのときだ。アナウンスが上空から聞こえてきた。

『《ホロウ・エリア》データ。アクセス制限が解除されました。これより、適正テストを開始します。』

その直後に『ホロウミッション スタート』と書かれた文字が目の前に広がった。

「ホロウミッション? 知ってるか?」

「知らないわよ。あんた…一体何者なの?。」

適応者に認定試験か。そしてミッション。ミッション内容は『マッスル・ブルホーン』を1体倒せとのこと。

「ふむ。まぁ討伐クエぽいし、情報がほしいからやってみますか。敵のいる場所…この先だな。」

「この先なら私が見つけた紋章のほうに行けるわ。」

ならば丁度いい。ささっとやってその紋章とやらを見に行きますか。

「でも…。」

フィリアは一度立ち止まってこちらを向いた。

「オレンジの…しかも人殺しの言葉を信じていいの?」

そんなことかい。

「別に? 仮に襲ってきたとして、本気なら…俺はお前と倒さねばならない。死ぬつもりはないし、殺されるつもりもない。やるなら…やるけど?」

口を歪ませて槍を見せる。 

「…なんなのよ…あんた。いいのね? 知らないわよ? 案内するわ。」

「案内してくれりゃそれでいいさ。」

 

森の中を歩いていくと、牛の顔で体は人のようなエネミーが待ち伏せていた。

「ちょっと、強そうなんだけど。」

「レベル90か。楽勝だな。」

「え?」

軽く腕を振り回し、槍を構えて突撃した。

「おら! アサルトバスター! ってな!」

ランスのPA。突進力が最もある技だ。本来ならフォトンを貯めてから一気に放出する必要がある為、真似事である。

『オオオ!』

相手も殺されまいと持っている巨大な斧を振り回そうとするが、素早くその場を離れ、振り回した直後の隙を狙って再び牛へ槍を突き立てる。

「おらおらおら!」

『オオオ…。』

ゲージ2本のフィールドボス級はあろうと思われるエネミーだったが、3連撃SSと何度か槍を突いただけでHPバーは溶けた。

「なんでぇ。さっきのリーパーより楽しめると思ったのに。残念。」

「あ、あんたすごいわね。」

あまりの一瞬の出来事にフィリアの目が点になってポカンとしている。

「まぁねー。伊達にイレギュラーズの名をもらってないから。」

「イレギュラーズ…まさか、攻略組最強といわれる!?」

「そういうこと。攻略組、ギルド連合『アーク`s』。そのひとつ『オラクル騎士団』マスター、オキ。よろしくね。」

納得したのか、驚いているのか。ようやく求めた握手を返してくれた。

『クリアを確認。承認フェイズを終了します。』

「紋章が光ってる。」

「おおー。フォトンみてぇ。」

数秒間光り輝き、すぐに光は消えた。

「紋章までもうすぐよ。こっち来て。」

「あーよ。」

フィリアの案内で森を抜けそうだ。そして目の前に広がる大きな穴と、そびえ立つ球体とそれを支える細い塔が現れた。

「これは…。」

「あそこはこのエリアの中心点。たぶんあそこに行けばなにか分かるかもしれないわ。」

それじゃ早速行ってみますかね。二人で頷き目的地となる塔を目指した。

「ここが私の見た紋章の場所。これ見て。」

「確かにそっくりだな。」

塔へと続く橋。その入り口に二個の岩があり、その岩からバリアのようなものが出ていて道をふさいでいた。

バリアにはこちらの手についている紋章とそっくりの紋章が光っている。

「どーれどれ。」

「ちょっと! いきなり触るのは危険じゃない!?」

「大丈夫さ。」

ピンポン

甲高いチャイム音がしてバリアが解けた。

「ほらな。」

「もう…。」

ため息をつくフィリア。それに笑顔で答え、先へと進んだ。

球体の中へと続いていた橋を渡りきり、球体内部へと入るとそこには巨大なモニターと中央に奇妙な石版。さらに石版をはさんでモニターの反対側にさらに三角のモニュメントが浮いていた。

「これは…ホロウエリアの管理室か? えっと、『中央管理区』か。このモニターに全てが映し出されてるな。」

モニターの目の前にある操作パネルを操作し、情報を集める。

『ホロウエリアアクセス権限を確認しました。 以下の者『オキ』確認。操作を許可します。凍結データ解除。…データ確認。アップデート開始。』

再びアナウンスが鳴り響く。画面では何かのアップデートが開始されたようだが、邪魔なので隅に移動させた。

どうやらここはアインクラッドではなく完全に違う場所のようだ。道は全てつながっておりひとつの巨大な大陸となっている。

転送ゲートがそれぞれ主要な場所に配置されているようだが、今はまだ稼動しておらず転送はできない。

その為、探索できそうな場所は北東にある森のようだ。

何より気になるのは所々に描かれている、そこにいるだろうフィールドボスと思われる姿のシルエット。影となっている為にちゃんとした姿は分からないが、この形は間違いない。あいつらだ。

「ねぇ。これ転送門じゃない? ちょっと見た目違うけど。」

「なに!?」

フィリアが示した中央にある石版を操作すると76層への選択ができるようになっていた。

「よかった。これでアインクラッドに戻れる。」

「え? 本当? 私にはその項目欄が見当たらないんだけど…。」

「まじ!?」

彼女の顔をみると本当らしい。うそはついていないな。さて、どうしたものか。

手を見て紋章を見る。そして巨大なモニターに映し出されるホロウエリアの全貌。

そして気になるフィールドボス。

「フィリア。君が戻れない理由もここを探索すればもしかしたら分かるかもしれない。ずっとここにいるつもりはないんだろう?」

コクリと頷くフィリア。

「よし。すまんが俺は一回向こうに帰って準備をして仲間を連れてくる。あそこに描かれているボスっぽい奴ら。あれに俺は見覚えがあるから確かめたいしな。」

「え?」

「だからしばらく待っていてくれ。君を必ずアインクラッドに戻してやる。人を殺したとか何とか言ったがそんなことは知らん。その気があるなら黒鉄球に入ってもらうし、間違いだったならカルマ回復イベントくらい付き合ってやる。あれメンドイんだわ。」

その言葉にフィリアは驚いていた。

「そんなことって…。それにカルマ回復イベントの内容、何で知ってるの?」

「いろいろあってね。俺も一時期はめられてオレンジカーソルになっちまったことがあってな。オレンジギルド『ラフィンコフィン』知ってるか?」

「え、ええ。」

知らない奴はいないだろう。そりゃそうだ。あそこまで大暴れした犯罪者どもはそうそういないだろうし。

「あいつらを黒鉄球に放り込んだのは俺らだ。ラフコフリーダーのPoh。あいつとも戦ったさ。ほかのメンバーとも。何度もね。そんなときにグーリンカーソルだったあいつらを切っちまったらそりゃこっちがオレンジになるわな。とはいえ、やらなきゃなやられる。こちらとまだやる事があるんでね。仕方ねーからカルマ回復イベントやったんだけどまーめんどいの一言。」

手を広げお手上げをするしぐさを見せる。

「どちらにせよ、死にたいというなら知らんが、生きてここを出たいというなら、言う事を聞いてくれると嬉しいな。下手すりゃもう少しでこのゲーム、終わるかもしれん。」

その言葉に驚いたフィリアはこちらに近づいた。

「それ本当!? そういえばさっき茅場との決闘って言ってたけど…まさかゲームを作った!?」

「ご明察。75層のアホ…いや、ボス倒したときにうちのメンバーがプレイヤーの中に混じっていることに気づいてね。決闘を申し込んだんだわ。結局、なんかへんなことが起きて茅場は逃げるし俺はここに飛ばされるし。どちらにせよやることは進むだけだ。フィリアにその気があれば…だけど。」

手を差し出し、答えを待った。フィリアは少しだけ手を引こうとしたが、こちらの手に重ねてくれた。

「わかったわ。本当に助けてくれるのね?」

「任せとけ。頼もしい仲間を連れてまたここに戻ってくるよ。必ず、絶対に。」

「ありがとう…。」

少しだけ涙目になっている少女の顔を見る。うれし涙と分かっているとはいえ、やはり女性の涙には俺弱いな。

「それじゃあ、行ってくる。おとなしくしてるんだぞ?」

「ええ。分かってる。」

バイバイと手を振りながら笑顔で二人は分かれた。

その場に残されたフィリアはボソっと一言呟いた。

「不思議な人。あの人なら…。」

その場に座り込み、オキが再び転送門から現れることを期待しながら待つことにした。彼なら信じれる。そんな気がする、と。

「ふう。」

76層転送門のある『アークソフィア』。そこにオキは無事転送された。そして目の前に一人の少女が目を見開きながらこちらを見ている事に気づく。

「ただいま。シリカ。」

「…オ、オキさーーーん!」

涙を流しながら抱きついてきたシリカを優しく受け止める。

「もう! なにやってたんですか! 心配したんですからね!?」

「すまんすまん…。ちょっといろいろあってね。あ、たいちょー。ディアベルー。みんなー。ただいまー。」

無事に帰ってきたオキをため息をつきながら皆はホッと胸をなでおろした。

「ホロウエリア?」

42層のギルド拠点へと戻ったオキはそこで何があったかを一部始終伝えた。

未だに涙目になっているシリカを抱きかかえ、頭をなで続けながら。

「うん。こことはまったく別のフィールド。俺にはよく分からんが、少なくともSAO内なのは間違いないね。」

「たぶんだけど、オキの言っていることは本当だと思うよ。」

シャオがその場に現れた。相変わらずまぶしい。

「アインクラッドのデータを確認したけど、ホロウエリアなんて場所は存在しない。もうひとつのアインクラッドのような場所じゃないかと予測している。なにせ僕が見れるデータは限られるからね。」

「そこにお前を連れて行ければ分かるんじゃないか?」

「残念ながらそれはできそうにない。なぜなら君を探そうとしたんだけど見つからなかった。つまり僕はホロウエリアと繋がる事が出来ないという事だ。」

シャオすら出来ないとは。まぁ別にいいさ。向こうに行きゃ、なにか分かるだろ。

「それともうひとつ。…あのエリアには俺たちアークスが戦ってきたモノが勢ぞろいしている可能性がある。」

「「「!?」」」

アークスの全員の顔が変わる。

「それはどういうことだい? オキ君。」

「そのままだ。俺が見た管理室っぽい場所でのモニター画面。そこにフィールド上に示されているある場所数箇所にいくつかの惑星のエネミーのシルエットを確認した。ファング、ヴォル、ソーマ、クォーツ、あとはー何がいたかな。ああ、エクスもいたな。それ以外にも何体か。ごちゃごちゃ書かれてて中央付近はよく見えなかったからなんともいえないけどぱっと見そんな感じ。確かめに行く必要がある。」

惑星ナベリウスにしか存在しないはずのファング・バンサー。惑星アムドゥスキアの龍族達。惑星リリーパのヴァーダ・ソーマ。どれもこれもアークスが調査している惑星のモンスターばかりだ。

「ふむ。いく必要があるな。」

「ファング…ミケ…ナベリウスの元締め…っう、頭が。」

アインスやる気満々だ。

ハヤマん、懐かしいなそれ。ミケとの初遭遇の時じゃないか。その話はまた別の時に。

「エクストリームかな? 石くれたらいいな。魔石堀り行こうぜ。」

「ミケは任せるのだー。」

コマチは相変わらずと。

ミケは俺の判断に任せるという。俺はシリカをじっと見た。これだけ涙を流して顔をぐっちゃぐちゃにしながらも信じて待っていてくれた俺の大事な人。今度こそは何があるか分からない。

「俺と、シリカ、隊長でまず様子見だ。その後でどうするか判断する。」

「了解したよ。」

「留守番かー。まいっか。リーダーの判断に従うよ。」

ハヤマは少しだけ残念そうにするが、従ってくれた。

「オキさん?」

「ああ。大丈夫。お前とは離れないと約束したのにこれだったからな。今度は一緒だ。」

「…はい!」

笑顔で答えるシリカを再びなでる。あ~癒されるんじゃ~。おい、お前らそんな変な顔でこっち見るな。

「ゴホン! と・こ・ろ・で。こちらの情報はいいのか?」

キリトが咳払いをして素早くシリカは離れた。もう少しくっついてくれてもいいのに。

「そうだったな。ヒースクリフ…いや茅場の情報は?」

「それは僕から説明するよ。」

シャオが一部始終をユイとデータを確認してくれたのが役に立った。

キリトが茅場に最後の一撃をかまそうとしたとき、外から大規模な強制介入があったそうだ。

それにより、カーディナルは緊急信号を発信し、ゲームマスターであるヒースクリフを呼び戻し、彼をプレイヤーからはじいたそうだ。むしろそれをやらなかった場合、データ侵食が発生し全てのオンライン回線が切れる可能性が大いにあるほどの負荷がかかったそうだ。すぐさま茅場はカーディナルを操作し、負荷を軽減。シャオもこっそりそれを手伝ったらしい。

むしろそれをやらないと…。

「75層での一斉死亡。そういうことだったのか。」

そりゃルーサーがどのような未来予測、改善再びシュミレーションを行っても75層で必ず全員が死ぬわけだ。

「カーディナルの負荷限界を必ず突破される。それが一斉死亡の結果。僕らが介入した為にそれは防ぐことが出来た。」

とはいえ、カーディナルの負荷を請け負ったときには峠は越えていたらしい。

「たぶん、オキさんが最初に茅場にいった忠告。それを彼は無視しなかったんだろうね。」

ハヤマがはじめて彼との接触をしたときの事を思い出させてくれた。確かにあの時忠告した。

『外部からの介入に気をつけろ』

オキの言葉と、シャオの存在。それが彼らプレイヤーたちを救うことの鍵となっていた。

「茅場は今?」

シャオは首を振った。

「SAO内でプレイヤーとしての彼はもういない。いるのはゲームマスターだけ。」

少しだけ残念だな。俺もあいつとはやり合ってみたかったんだが。それになんだかんだでここまで一緒に攻略してきたんだ。一言くらい何か言わせてほしかったんだが。ま、最後にもう一度会えるだろう。いや、会う必要がある。天井をみて上にいるであろう茅場に向かって心の中でつぶやいた。

『そうだろ? ヒースクリフ? いや、茅場明彦。』




皆様ごきげんよう。
ホロウ・エリアに到達しました。これからはホロウ・エリアとアインクラッドの両方を攻略していこうと思います。
また、ルーサーが何度も因果関係を弄ってシュミレートしても回避できなかった一斉死亡の謎も解明されましたね。さぁ終盤に向けてこれからです。

PSO2の方ですが…。
ペット集めがめんどい! なんなんですかあれ。✩13どころか12すらでない。特に鳥が(
PSO2では『シリカ』でサモナー始めてますがペットのレアが出ないためうまくいかないですね。

さて、次回は新たな仲間が増えます。
あの生きる下ネタを入れるとなると…これから荒れそうです。
次回『妖精と悪魔と』おたのしみに。

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