SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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時間はさかのぼりクリスマスの数日前。気ままに過ごす猫とそれに興味を持った双子の出会い。
そんな双子に対して猫がとった行動とは?


第16話 「気まぐれ猫と双子の追いかけっこ」

「猫…かしら?」

 

「猫…なのです?」

 

私の名前はヒナ。そしてもう一人一緒に居るのはハナ。

 

二人してゲームが好きで、パパとママに無理してお願いして買ってもらった『ソードアート・オンライン』をプレイしようとログインした。でもログアウトできなくってHP0になったら死んじゃうとか言われちゃうし…。

 

挫けてても仕方ないから二人で徐々にレベルを上げて、この中層辺りで生活をしだしてもう少しで数ヶ月以上が過ぎようとしたいた。

 

そんなある日、ハナと一緒に37層のフィールドを歩いているとセーフティエリアである草原で寝ている人を見かけた。けど、なんだか猫耳みたいのついてるし尻尾もあるみたい。なんだろう。どう見ても猫っぽいんだけど。あんなの見たことないわ。

 

ハナと顔を見合わせて近づく事にした。私とハナは猫が大好きだから興味を引いた。

 

ある程度近づくと寝ていた猫っぽい人はピクリと動きゆっくり起き上がった。

 

「隠れるわよ!」

 

「はわわ…!」

 

ハナと二人で死角になっている坂の斜面に体を寝かせ隠れた。

 

「ふにゃー…。よく寝たのだ。」

 

周囲を見渡した後、猫っぽい人は私たちの方をじっと見つめていた様な気がした。その直後に跳ねるように走って草原を駆けて行った。

 

「なんだったのかしら。」

 

「わからないのです。でも、プレイヤーさんのようでしたね? カーソルアイコンが出ていたのです。」

 

確かに私もそれを確認していた。緑のアイコンが出ていたから間違いなくプレイヤー。

 

気にするごとにあの人の事を知りたいと思い始めた。

 

「追うわよ!」

 

「はわわ…。ま、待って!」

 

走って行った先を追う。なんとしてでも話がしたい。何故猫耳がついているのか。どうやればそんな尻尾が付くのか。

 

街まで走ったが結局見失ってしまった。その後も街中を歩いてみたがそれらしいプレイヤーは見つからなかった。

 

また会えるかな?

 

そんな事を思っていた38層の街中で、屋根の上に猫耳を生やしたプレイヤーが寝ていると通り過ぎた人から聞いた。

 

場所を聞き出して言ってみると確かに寝ていた。まるで日向ぼっこをしている様な猫のように丸まって。

 

「…ハナ。ちょっと会いに行ってみましょう。」

 

「ええ!? だ、だめなのです。邪魔しちゃ悪いのですよ。」

 

しかしそんな事は聞こえない。辺りを見回して屋根に上れる場所が無いか探す。あ、あそこの建物から行けそう。

 

「ま、まって!」

 

建物に入り3階へ駆けあがり、窓から屋根へ飛び乗ってゆっくりとその人に近づいた。足場が悪い。少しでも転んだら下に落ちちゃいそうで慎重になる。後ろを見るとハナも何とか歩けている感じ。そしてハナから寝ている人に目を戻すともう起きていた。

「あ!」

 

ゆっくりと背伸びをしてじっと見つめる。

 

「昨日ミケを追い駆けたのは君たちかなー? ミケに何の用なのだ?」

 

どうやらミケというらしい。余計に猫っぽい。

 

「どうしても聞きたいことがあるの。教えてくれないかしら?」

 

うーんと悩んだ後にミケは何かを思いついたようだ。

 

「ミケの事を知りたいのだな? ミケの事を知りたければミケを捕まえるのだなー!」

 

そういって走り去ってしまった。

 

逃げられた? うーん。追いかける!

 

「追いかけるわよ!」

 

「ま、まってー!」

 

よたよたなんとか付いてくるハナを背中になんとか走るが、足場の悪く不安定な屋根の上をスルスルと走り抜けていくミケには追いつけず、結局下に降りて路地裏に入ったところで見失ってしまった。

 

その日も結局探し出せず、次こそはと意気込んだ。だって追いかけてこいと言われたんだもん! 追いかけたくなるじゃない。

 

その日以降、ミケを探す日々が続き、見つけては追いかけて見失ってという追いかけっこが始まった。

 

「あーもう! 速すぎるよ!」

 

「追いつかないのです・・・。」

 

何日たっただろうか。少しずつ追いかけている時間が伸びているような気がするけどまだ全然追いつかない。むしろ待っている?

 

「なにやらお困りのようだネ。」

 

路地裏で休憩していたところにフードをかぶった人が声をかけてきた。

 

フードの中の顔にはヒゲがついている。女性? なんのようかしら。

 

「ミケの事をおいかけてるってきいてきたんだけド、キミタチだよネ?」

 

この人私たちのことを知っている?

「怪しい人じゃないヨ。おねーさんは、キミタチに情報をもってきたんダ。どうだイ?」

 

「もしかして、鼠のアルゴっていう情報屋さんですか?」

 

ハナが知っているようだ。ハナは私が知らない情報をかなり持っている。地道に調べていてその情報で私も助かっている。

 

「オレッチのことも知っているようなら話が早いネ。なに、ただ単なる気まぐれサ。あの猫が二人の女の子と毎日のように追いかけっこしているときいてネ。面白いことしているじゃないカ。」

 

「私たち猫が大好きであんな耳つけてる人初めて見たから。でもあの人逃げちゃうし・・・。」

 

「そうなのです。」

 

「あの猫はちょっと気まぐれでね。オレッチも持っている情報が少ないし、その情報元のある人物、あの猫との古い付き合いの人ですら謎な部分が多いと言っていたヨ。」

 

古い付き合いがあっても謎!? 一体なんなの、あの人は!

 

「あのミケは42層を拠点にしているヨ。ギルドは加入済みで『オラクル騎士団』の幹部ダ。普段は42層のどこかの屋根の上とかで寝ているのが多いみたいだネ。」

 

42層・・・オラクル騎士団!?

 

「オラクル騎士団ってあの攻略組最強って言われてるギルド!?」

 

「たしかほかの攻略組のギルドさんと連合を組んで『アーク’s』という名前で通っていたはずです。」

 

「ほう、知っているようだネ。むこうのギルドマスターにはすでに話を通してあるから行ってみるといいヨ。面白い結果を期待しているヨ。」

 

42層・・・いってみる価値ありね。ハナをみると頷いてくれた。考えてることは一緒みたい。

 

アルゴというおねーさんに礼をいってさっそく42層へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

「これでいいのかイ?」

 

「ああ。サンキュー。おれが出るより信憑性あるからな。それに女性の方が信頼感あるだろ?」

 

路地裏からアルゴ姉に小さな声で話しかけた。

 

「しっかしあのミケがねぇ。これは面白いことになりそうだな。」

 

「ニヤケてるヨ。オニーサン。」

 

いかんいかん。面白そうなことになるとつい口が緩んでしまう。

 

「じゃ、おれも家に戻るか。」

 

「後で結果、おしえてくれヨ。」

 

「あーよ。」

 

 

 

 

 

 

42層の街、サクラ。名前のとおり桜が咲き誇る街で現在攻略済みの各層の中でも1,2を争う綺麗な街。このどこかにミケがいる。

 

「いたのです!」

 

はや! たしかに屋根の上にいるわね。ん? 気づかれた!

 

「今度こそ捕まえるわよ!」

 

「はいなのです!」

 

今度はハナと離ればなれになって挟み撃ちを行う作戦だ。街の中の建物はほとんどが平屋で高くても2階建てがあるくらい。つながっているところも多い。その分路地裏も細かく街中をあっちいったりこっち行ったり。

 

「ハナ! そっちいったわ!」

 

「まってくださいです!」

 

ぴょんぴょんと飛び跳ね回り道を駆け、行き止まりに追い詰めたと思ったら屋根に登って逃げていく。疲れない体とはいえ、流石につかれそう。

 

「こっちなのだー!」

 

ミケはなんだか楽しそうに走り抜けている。追いかけているこっちもなんだか楽しい。

 

「今度こそ!」

 

一体どれだけ走っただろうか。すでに何周も街の中を走り抜けた気がする。結局捕まえきれないまま疲れた気分になって路地裏に座り込んじゃった。ハナもお疲れの様子。本当に捕まえれるのかしら。っていうか捕まる気があるのかないのか・・・。

 

 

 

「っは!」

 

気がついたら周囲は昼から夜になっていた。寝てた・・・?

 

「気がついたようだね。」

 

反対側の壁にタバコを吸っている一人の男性が私を見ていた。男!? 誰!? そうだハナは? あ、私の隣で寝ている。

 

「ハナ、起きて!」

 

「っし!」

 

男は口に人差し指を添えて静かにするようにとジェスチャーしてきた。ハナも起きたみたい。

 

「んー・・・。おねーちゃん?」

 

ハナも男に気づき、ビクっとする。そりゃそうね。寝起きを見られているのだから。

 

「・・・。」

 

男は黙ったまま私たちの後ろにある樽の上を指さした。ゆっくりと私は上をみる。

 

「「あ・・・。」」

 

ハナと二人でその寝ているもうひとりを見た。ミケが寝ていたのだ。

 

「捕まえな。」

 

男がそう言うと私とハナは顔を見合わせてミケの両腕をしっかり掴んだ。

 

「捕まえた!」

 

掴まれた衝撃で気づいたのかミケは眠そうな顔をしてゆっくりと起きた。

 

「ようミケ。捕まったぞ。」

 

「オキ、おはよーなのだ。ん、つかまっちゃったのだー。」

 

にっこり笑うミケ。これでようやくお話ができる。

 

「二人共よく頑張ったのだー。ミケは二人が気に入ったのだ!」

 

そう言ってミケは私とハナの二人の頭を撫でてきた。心地いい感触。すごく暖かい。でも、子供扱いしないで欲しいな!

 

 

 

その後私たちの近くにいたオキという人に話を聞いた。どうやらミケを追いかけるのに夢中になりすぎてあそこで寝ていたらしい。

 

その情報を聞いたオキさんは変な人に変なことされないようにずっと見張っていたらしい。そして私たちを見つけた時にはもうミケは寝ていたという。

 

ミケとお話できたのはそのあとだ。ここまでミケを追いかけてきたのはオキさん達『アークス』というメンバー以外で初めてだという。

 

そんなところを気に入って、私たちがどこまで追いかけてくるかを試していたとか。オキさん曰く

 

「ミケっちは意外と人見知りするからな。逆に気に入った人には気兼ねなくどストレートに対応してくる。そして気分屋で気まぐれ。まさに猫のようだ。そして謎が多い。ミケっちがそもそも男か女かすら教えてくれねーんだから。まぁしってもどうもないから聞かないんだけど。」

 

と言っていた。私達がもしかしたらミケの謎を解明してくれるかもと思い、あのアルゴさんに情報を渡したという。ここまでミケに気に入られた人は初めて見たとも言っていた。

 

そして私達の行動力の高さを評価したらしく、そのままオキさんの『オラクル騎士団』に勧誘されて断る理由もなく加入。ミケのPTに入ることになった。

 

 

そして今日はクリスマス! ミケは

 

「寒い! ミケはこたつで丸くなるのだ!」

 

といってコタツから出てこない。だから私やハナも一緒にコタツでぬくぬく。ミケの話だと後でミケやオキさんの仲間である『アークス』のコマチさんがいいものを持ってきてくれるという。たのしみだなー。




皆様毎度です。
今回は気まぐれな猫、ミケについてのお話でした。
双子の喋り方をみて気づいた方もいるかもしれませんが、この双子は某シュミレーションゲームの4姉妹のうち2人です。(ライとデンといえばもうお分かりですかな?)
ミケが大好きなんですよ。第六駆逐隊。

なのでその中でも特に好きな二人をPTに入れるために作った物語でした。今後の行動に期待ですね。そしてミケの謎は解明されるのか!

さて次回はコマチがなにを持ってくるかのお話になります。その時にある事に気づいた彼がとった行動とは?

PSO2の方では期間限定のクエストも終盤。現在白目になりながらアークスメンバーで周回しております。レアエネミーがで無さ過ぎる・・・。

では次回にお会いしましょう。

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