SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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シリカと相思相愛になったオキ、それから一ヶ月後に起きたちょっとした2日間・・・


第14話 「クリスマス(前編)」

シリカと心を通わせてから1ヶ月程過ぎた。今までと極端に何かが変わったというわけではないが、しいて言うなら拠点の離れ、つまり俺の家にシリカが寝泊まりするようになった。それくらい。手は出してないぞ。

 

攻略は現在45層の迷宮区を攻略している所だ。上へと昇るにつれ、迷宮区の大きさが大きくなってきている。

 

順調ではあるが、敵も強くなってきている。その為、武器や防具も少しずつ新調しつつある。

 

俺たちはいろんなクエストを受け、リズベットと共に大量の武具資材を調達。ギルドメンバーに対して現在作れる最高の装備を分け、戦力を整えた。

 

そして、ある朝。

「ふぁーぁ。」

 

朝日の明るさに目が覚め、隣で寝ている小さな愛する人を重たい瞼で閉じそうな目をこすりながら揺さぶって起こした。

 

「ん…おはよーございまひゅ…。」

 

「ん。おはよー。」

 

同時に近くの机の上にある小さな籠の中にある専用ベッドで寝ていた使い魔もあくびをしながら起きてきた。

 

「さーてと。今日も攻略がんばりますかー…ね?」

 

2階の寝室の窓を開けると普段の桜の花びらが舞う空から白銀の雪が舞う世界に変わった街が目の前に広がっていた。

 

「ゆ、雪!?」

なにがあった。バグ? いや、その前にさみーし。惑星ナベリウスの凍土エリア並みではないが、現在の服装では寒いぞ。

 

「あ、オキさーん!」

 

下を向くとハヤマが家の前にいた。どうやら丁度うちの扉を叩こうとしたらしい。

「なにがあったこれ!」

 

「それについて説明するから落ち着いたら会議室にきてくれるー?」

 

シリカもベッドから起き上がり、外をみて呆然としていたがある事に気が付いたのか部屋の壁を見ていた。

 

「そうです…。そうですよ!」

 

「どうした?」

 

シリカが見ていたのはカレンダーだ。惑星スレアの年間カレンダー。オラクルのそれと同じ周期で進んでいるらしい。そして自分も今日の日付をみて納得する。この惑星にもオラクルと同じようなイベント事がある事を確認している。今日は12月24日。

 

 

 

そう、クリスマスだ。

「へぇ、この惑星ではクリスマスは神様が死んだ日として存在しているのか。」

 

シリカに教えてもらったが、惑星スレアでは大昔に神様となる人が降誕した日として語り継がれており、星全体でお祭りごとになるらしく、今日はその前夜祭として『クリスマス・イブ』という日だとか。お祭りの日が2日に渡ってあるらしい。

 

オラクルでは決まった日は無いが、クリスマスという概念はあり1か月弱にわたり特殊な祭りが開催されている。

 

やはり共通するところが多い。いずれこの星の歴史とオラクルの共通点を調べたいな。

後程会議室で何が起こっているのかを朝早くから情報収集に動いていたアルゴから話を聞くために緊急招集を行った。他のギルドからもギルドマスターを呼び、今日の状況を確認した。

 

今日は惑星スレアでクリスマスという事でイベントとしてアインクラッドの街やエネミーの出現しない安全なエリアで雪が降っているらしい。それもあってアインクラッドの各層では攻略で勤しんでいたプレイヤー達も童心に戻ったかのようにお祭り気分を味わっている。挙句、第1層ではクリスマスイベントという事で有志で集まった商人プレイヤー達がクリスマスフェスという本格的なお祭りを急遽企画、開催しているだとか。商人魂ってすげぇ。

 

ちなみにその主催はアインクラッド解放軍が指揮し、そのリーダーを務めているのがキバオウだ。ティアベル曰く本人らしいというか今までで一番生き生きしているだとか言っていた。なんとなくわかった。

 

また、キリト達攻略組の中でも特に精鋭メンバーは今日だけ出現するとあるボスエネミーを倒しレアアイテムを取得するべく動いているらしい。クエストの情報では現在プレイヤー全員の中でも特にトップクラスの強さを誇るキリト、アスナペアの実力ならば問題ないとよんでいるようだ。レアアイテムに関しては特に興味が無かったのでそちらはキリトに任せた。むしろ二人の邪魔はさせれない。どうせクエストを理由にデートする気満々なんだろうから。

 

イレギュラーズことアークスの面々はそれぞれ好きなように動くつもりだそうだ。

 

ハヤマはどうやらシャルに一緒に行きたい場所があると言われ、断ったがしつこかったので渋々OKを出したとか。とかいいつつ口元はにやけていたのを俺は見逃さなかった。ツンデレめ。

 

コマチはアルゴからある情報を得て、この2日間だけ出てくるレアエネミーを探しレアアイテムをかっさらってくると言って早々に出て行った。明日の夜を楽しみにしとけとまで言っていたが何を取ってくる気なのだろうか。それにそんな情報まで持っているとはアルゴ姉すげぇな。

 

ミケは『寒い!』と言って自分の部屋にあるコタツに丸まっていた。さすが猫。まぁお腹が空いたら出てくるだろう。

 

アインスはチームのメンバーと共に1層でやっていると言われるお祭りに向かった。サラ曰く、男性メンバーからは面倒見のいい兄貴分として信頼されているようで、女性メンバーからはクールで優しい所が惹かれるらしく人気が高いようだ。

 

引っ張られていく隊長は苦笑しつつも内心楽しんでいるかのような表情をしており、その背中を見ながら見送った。

 

サラはクラインと一緒にあちこちまわてみるそうだ。なんだかんだでいい感じだな。あの二人。

 

そして俺とシリカは…。

 

「指輪?」

 

「そうだヨ。こいつもこの2日間でしか受けれないというクエストがあるようなんだがナ? 前提条件がやっかいでネ。情報があまりでまわっていなイ。」

 

アルゴ姉からある情報をもらった。なにやらこの2日間で受けれる限定クエがあるらしく、その報酬が指輪らしい。アルゴ姉はニヤニヤしながら

『シーちゃんにどうだイ?』

と言っていたが。まぁプレゼントにはちょうどいいだろう。やばいクエだったら途中でやめればいい。指輪の事を伏せてシリカにその事を話すとシリカものってくれた。

 

「面白そうですね。限定クエですか。私も行ってみたいです!」

 

シリカもゲーマーということか…。全く。というわけで俺とシリカはそのクエの前提条件である情報をもらいにアルゴの元へ再度訪れた。

 

 

(後半へ続く)




すみません。今回本当は1話完結でやるつもりだったのですが、風邪をこじらせてしまい本日に間に合いませんでした…。申し訳ありません…。
投稿時現在はある程度治ってはいますが、病み上がりなのであまり無理できず、内容構成もあまり固まっていなかったので今回は前後編とさせてください。
(普段なら一週間の前半で構成を考え、木金土の3日間で書き上げるのが日課でした)

今年の風はかなり強いウィルスです。皆様もお気をつけてください。

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