SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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第131話 「行き着く先は」

ベトールがオキを誘い出した日、オキはオフィエルを名乗るマザークラスタ幹部に襲撃される。

オフィエル達と一触即発となったその時、アースガイドを名乗るヒツギの兄、エンガが現れる。

アースガイドによってその場は解散となったが…。後日、彼はアークスに協力を求めてきた。

エンガが所属する対マザークラスタレジスタンス組織『アースガイド』。幻想種を使役し地球全域に影響があるマザークラスタを抑え、彼らが行おうとしている『エーテル通信インフラを管理・支配し、世界各国の政財界に深く入り込み、地球を裏から支配する』という目的を阻止するために活動している。

エンガはその極東支部のエージェントだといい、アークスとはある情報筋から以前より存在を知っていたらしい。

「その情報筋ってのが…まさかあんたとはねぇ。相変わらずっていうかなんというか。」

ため息をつくオキに対し、表情を変えず相変わらずにやけ面の男、カスラ。

「いやはやおほめ頂き恐縮です。」

「ほめてねーし。」

カスラは現在アークスの情報部部長を務めている。かつてルーサーがいた実験研究室をそのまま使い、オラクル存続のために裏で暗躍している。

「暗躍とはひどい言われ様ですね。」

ハハハと笑うカスラだが、目が笑っていない事にオキは気づいていた。

「実質暗躍だろーが。ほとんど情報よこさねぇし、と思ったら急に情報大量に投げてくるし。おかげでシエラがゆでだこになっちまうよ。」

「なりません!」

忙しく端末を操作し、情報を整理しているシエラ。エンガの情報筋を調べる為にオラクルの情報網を屈指して調べようと情報部に顔を出した途端、犯人は私ですと言わんばかりに大量の情報を投げてきたのがカスラだった。

オキはカスラ、同情報部のクーナを艦橋へと呼び、詳しい話をさせていた。

「申し訳ありませんオキさん。できる限り情報漏えいを防ぎたかったために情報の秘匿を行っていました。これよりは必要な情報をすべてお渡しいたしますので…。」

クーナは申し訳なさそうにシュンとしている。どうやらカスラにかなりの重圧をかけられていたらしい。

「つまりすべてあんたが悪いと。」

「敵をだますならまず味方からというでしょう?」

ふふふと薄気味悪い笑みを浮かべながら艦橋を出て行こうとしたカスラは残りはすべてクーナに任せると言ってその場からいなくなった。

「クーちゃんも大変だねぇ。せっかくアイドル活動に専念できると思ってたのにさ。」

「いえ、これも皆さまの為だと思えば。それに昔ほどではありません。」

にこりと微笑むクーナの顔を見て、少なくとも心配はいらない状態だという事を把握。ならばいいと情報整理が終わるまでオキはタバコを吸うため喫煙所へと足を運ぼうとした。

「あれ、どこかでかける? 丁度こっち終わったんだけど。」

「すみません。お待たせした。」

クロとエンガ、そしてヒツギとアルが艦橋へと戻ってきた。エンガがアースガイドとして活動していたことを知らなかったヒツギはその説明を求めエンガはそれにこたえる為にアルを含んでの家族会議を求めた。オキは会議室の一室を貸し与え、クロはその監視役としてつけた。

「お疲れさん。とりあえずあんたらの事がこちらで把握できた。改めて歓迎するよ。ようこそアークスシップヘ。えーっと、アースガイドだったか?」

「よろしくお願いします。うちの妹がか・な・り、世話になったようで。」

オキは彼女ヒツギとの関係とマザークラスタがアルを狙っている事。こちらへ干渉し何かしらの目的があって何かを行おうとしている事をエンアがへと説明した。

エンガはアースガイドの一員として、アークスへ現在のマザークラスタ対抗のためにアークスへ救援を依頼。共に戦ってほしいと言ってきた。

オキとしては地球側の友軍はありがたい話だ。どこにマザークラスタの拠点があるか、調べやすくなるからだ。

オキは数日たった今でも怒りが収まっていない。

「あのオフィエルとかいった七三分けのおっさん。俺達を世界の病巣とかぬかしやがった。一個の星に住む一知的生命体が偉そうに…。喧嘩吹っかけたこと後悔させてやる。」

「どうどう。」

今思い出すだけでも腹の立つあの表情。オキの怒りをクロが抑える。もともと勝手に乗り込んできたのはむこうだ。オキたちアークスからすれば土足で乗り込んできた害虫はむこうである。末端の地球人はそれを知らされずただただゲームとして楽しんでいるだけなのでわからないだろう。だが、あの男含むマザークラスタメンバーは直接敵意をむき出してきた。

「ったく。こちらと深遠なる闇封印及び殲滅で忙しいってのに。」

ぶつぶつとつぶやくオキに頭を下げたのはヒツギとエンガだった。

「本当にごめんなさい。」

「申し訳なく思う。地球代表、とは言えないが謝罪する。」

それをみたオキは別にいいと一言で済ませた。

「それよりも、アースガイドとかいう組織はどこまで戦えるんだ? 情報が欲しい。」

「ああ。こちらとしても知ってもらっておきたい。」

エンガはアースガイドの情報をオキへと開示した。それが全てだという。アースガイドのメンバーはハギトやベトールほどではないものの具現武装を得ており、幻想種の迎撃、殲滅はできるという。アークスだけでは手が足りていない出現し増え続ける幻想種相手にはちょうどいいかもしれないと考えるオキはエンガへ都市部へと出現する幻想種の対応をアースガイドへと任せるとにし、マザークラスタの拠点を調査、つぶすことへと目的を変え、行動を共にする事にした。

「マザークラスタの拠点については本部が情報を仕入れています。我らアースガイドの長であるアーデムも会いたがっていますので、是非本部へ案内したい。」

ふむ、とオキは少し考えた。シエラの情報整理はまだかかりそうだ。情報が整理できていない以上、動くこともできない。

聞けば、ベトールも本部へ送られたらしく、ベトールから直接調査もできそうだ。

「仕方ない。俺はその本部とやらに行ってくる。」

「あ、アタシもいく!」

ヒツギが前に出てきた。

「オマエな。何があるかわからねーんだぞ。いくら本部とはいえ、ここよりものすっごく危険なんだぞ!? わかってんのか?」

エンガが半ばあきれた声でヒツギを止めにかかる。しかしヒツギはそれでもついていくと頑としてその気持ちは変わらなかった。

「わーったよ。ついてくるなら勝手についてくるといい。とはいえ、勝手に死ににいかれてもこちらは守れないからな。それはわかってるな?」

オキがヒツギを睨み付ける。ヒツギはその目を見てもひるまずコクリと首を縦に振った。

オキは生半可な覚悟で来られてもと思い、かなり殺気立った目でヒツギを睨み付けた。しかしヒツギはそれにおびえることなくコクリと頷いた。よってオキはヒツギを連れて行くことにした。

「ヒツギは連れて行くけど、アルはお留守番な。連れ回すよりここの方が安全だし。シエラおねーちゃんとクロおねーちゃんと一緒にいてくれ。」

「うん、わかった。」

いい子だとオキはアルの頭を軽く撫でた。暇にならないようにユウキやアオイを呼び、アルの遊び相手になるよう伝え、クロにはそのメンバーを守るように指示した。

「お守は苦手なんだけど。マスターの指示なら。」

「おう。頼むぜ。」

地球の人々はこのアークスシップに『ファンタシースターオンライン』、ゲームの舞台として乗り込んできている。今の所害はないものの、それがマザークラスタメンバーでしかも意思を持って襲撃しに来た場合、アークスシップ内では普通のアークスはフォトンの使用を限定されている為戦えない。

そしてクロはあくまでも最終防衛ライン。最後の砦だ。そこにたどり着くまえに迎撃の体制を作っておく必要がある。

「しゃーない。あの人に頭下げてくるか。」

オキはあるアークスの下へむかい、ヒツギやエンガ達は先に地球へと向かわせた。

「あれ? オキ?」

「おお! オキではないか!」

聞き慣れた優しい声と同じく聞き慣れた元気な声が聞こえてきた。マトイとクラリスクレイスだ。

マトイは同じ守護輝士の一人として、普段は通常のアークスとしての活動を行ってもらっている。クラリスクレイスはその補佐。立場上は戦闘部隊の副長であるが、実際の所、本来の戦闘部の方針となにも問題がないため、マトイについてもらっている。オキ達が地球に専念できるのも彼女たちのお陰でもある。

「二人とも。なんだか久しぶりだな。」

地球に降り立ち始め、暫く二人には会えていない状況が続いた。1カ月もたっていないとはいえ、こうして離れてみるとやはり二人とも大事な人だと改めて認識する。

「オキはどう? けが、してない? 何かあったらすぐに教えてね。リズちゃんと私で一直線に駆けつけるから!」

「そうだぞ? すぐに私と先代に教えるんだぞ! 貴様は私の中で先代と同じくらい大事なんだ。怪我したら、困る。」

二人は自分の事ではなく、オキ自身の事を真っ先に考えてくれている。そんなやり取りに微笑みながら二人の頭を撫でるオキ。

「わぷ!」

「ふにゃ!?」

驚いたものの、二人は心地よさそうにその手の感触を感じていた。

「ありがとな。大丈夫。二人に心配されているから俺は安心して出ることが出来る。何かあったら頼む。…ああ、そうだ。」

オキは二人にも現状と今後の可能性を考え、万が一の体制を取っておくように依頼した。

「一応、俺の中で一番防衛を任せることが出来る守護神に依頼はしてある。だが数の暴力でこられるとたまったもんじゃない。俺がいない間、アークスシップを、オラクルを頼む。」

ポンポンと頭を叩くと任せてと二人は力強く頷いた。

「任せておけ! 私と先代がいるんだ! オキは何も気にせず自分の信じる道を進むがいい!」

「うん。リズちゃんのいうとおり。オキがなにも気にしなくていいように私達で守るから。あなたの、大好きなこの場所を。」

二人のクラリスクレイス成分をぎゅっと抱きしめて補給した後、オキはキャンプシップへと向かった。

地球、北アメリカ大陸。ラスベガス。

エンガの記した場所へとオキは降り立った。東京と違い、豪華で大きな建物が並び道路は幅広く光り輝くネオンは昼間でも目をチカチカさせる。

「こっちですオキさん。」

「ん。」

このラスベガスという街は普段はかなり人が行き来するそうだ。そのため、シエラは情報整理をしながらも、エンガとヒツギに出会いやすいように人払いを行うため隔離領域を作ってくれた。

「この先にあるカジノホテルの地下が私たちアースガイドの本部になっています。」

「ほー・・・。」

東京都は違った風景に少し興味あるオキと、物珍しそうにキョロキョロと周囲を見渡しているヒツギ。

あまり離れるなよと心配そうに見るエンガと大丈夫と笑顔のヒツギ。兄妹という二人のやり取りに微笑みつつタバコを口にくわえ、ライターに火を灯した瞬間だった。

ガキン!

ライターの火が甲高い音と衝撃波により揺れ動く。その火が落ち着いた頃にオキはタバコに火を付けた。ハヤマ、アインスが遅れてやってきたと同時にソレは現れた。

「ふぅ…。ハヤマン、隊長あんがと。思ったより早かったね。」

オキの目の前に現れたソレの拳をオロチアギトの鞘で止めたアインスとソレの首筋にアギトを当てたハヤマ。アインスの抑えている片腕は相手の拳のせいで震えているものの体はどっしりとし微動だにしていない。微笑むその顔はまだ余裕がある。

「いやすまない。少々迷ってね。遅れてすまなかった。」

対してハヤマは触れれば切れそうな鋭い目つきでソレをにらみ続ける。

急に現れたソレに対し驚く様子の無いオキとハヤマ、アインス。驚いているのは目を丸くし動けなくなっているヒツギと、音が鳴ったあとに銃を構えたエンガ。そして、襲ってきた本人だった。

「あらあらあら。この私が不意打ちの一撃とはいえ防がれるとは…。」

金髪、スタイルのいいドレス姿の女性は首元に刃を突き付けられているにもかかわらず、ギシギシと防がれている鞘へと力を加えたままだ。

その女性にオキ、ハヤマ、アインスは異様な気配を感じていた。

「ふん。どこのどいつか知らないが、私の仲間に対しいきなり拳を向けるとはいい度胸だ。」

拳を防いでいる鞘から抜いた白銀に煌めく刃をソレに対し切りつけた。だが、その一閃は空気のみを斬った。

「お二方だけでなく、そちらのメガネのお兄さんも私の事は見えていたみたいですね。むしろ、助けられることがわかっていたようで。さすが、お噂通りの方ですね。ぜひお名前をお聞かせ願いたいですわ。」

ハヤマのアギトを手の甲で弾き、後方へと飛びのいたそのドレス姿の女性は深々とお辞儀をし名乗ってきた。

「私は火の使徒、マザークラスタのファレグと申します。以後お見知りおきを。」

その名前を聞いてエンガが口を開いた。

「ファレグ…魔人ファレグか!?」

「しってんのけ?」

マザークラスタの使徒の中でも最も危険な人物としてアースガイドは対応しているようだ。今までにいくつもの部隊が壊滅に追いやられたとエンガは説明した。

「あらあら、魔人だなんてそんな。私はただの人としての可能性を示しているだけです。 なのでその銃を下していただけないでしょうか。怖くて…。」

一瞬でその場から消え、エンガが気づいた時には足を振り上げるファレグの姿が目に移った。

「震えてしま…っ!?」

目の前にいたファレグが再び一瞬で消える。その代り、オキがファレグを狙い、伸ばしたエルデトロスがエンガの目の前に落された。

「っち。外したか。糸目のねーちゃんよう。俺に拳向けといていきなり浮気はねーんじゃねぇの?」

オキ、ハヤマ、アインスはそれぞれファレグの迎撃態勢を取る。しかしファレグはニコリとほほ笑んだままだ。

「まぁ御免あそばせ。つい脚が出てしまいましたわ。あなた、お強いですね。改めて、お名前は?」

「…オキだ。」

一瞬迷った結果、オキは彼女に名を明かす。

「オキ、オキさんというのですね? そちらのお二方も…。」

アインスとハヤマは口を閉じたまま。10秒ほどたって結局ファレグは二人の名を聞くことを諦めた。オキの名前だけでも得られたのがよかったのだろうか。

「まぁよろしいでしょう。本日は挨拶だけとさせていただきます。今度はぜひとも、お相手して頂きたく思います。では。」

軽くお辞儀をした直後、空高くへと垂直跳びで飛び上がり、隔離領域を破ってそのまま空気を蹴りどこかへと飛んで行った。

「なんだったんだ今の。びっくらこいたぜ。」

「ははは。微動だにしなかった君がか? 嘘は良くない。」

「とりあえずそっちの二人大丈夫ですか?」

まるで軽い事故でもあったかのようなノリで緊張を解いたアークスの3名を見て、肩の力を抜いたエンガとその場にへたり込んだヒツギ。

「あ、ああ。ヒツギ共々、けがはない。助けてくれてありがとう。」

ヒツギの手を取って立ち上げているエンガは近づいてくるオキに礼を言った。今でも体がこわばっているのかエンガは自分の手を見つめている。

「あんたらはすげーな。俺はあんな化け物と一瞬でもやりあってこれなのによ。」

エンガがそういうとオキはエンガの背中をバシバシ叩いた。

「なーにいってんだよ。あれが化け物だって? どーせエーテルの具現武装つかっての強さだろ?」

『いいえ。あの人からはエーテルの気配を検知できませんでした。あの人は自身の身体能力で戦っているようです。』

それを聞いてヒツギの顔が青くなる。エンガは舌打ちをしてファレグの飛んで行った空を見上げた。

「っち。化け物が。」

それに対しオキ達は平然としていた。

「ふーん。人にしてはやるねぇ。まぁ結局、人なわけで。うちの魔神に比べりゃ赤子も同然よ。」

「本気は出していなかったようだが。それでもシンキ君に比べれば全然だ。拳も軽かったしな。」

「むしろシンキは人と比べちゃいけないと思うよ。絶対、あんなのと比べるとか不敬。とか言いそう。」

はははと笑いあう3人に対しヒツギとエンガは唖然としていた。そして彼らが言うには更に上がいるらしい。アークスを敵に回さなくてよかったと胸を撫で下ろす兄妹だった。

 

 

 

おまけ

~幕間~ シエラの悩みとその原因

マザークラスタの使徒たちと出会い、アースガイドを名乗るエンガに会った数日後に時はさかのぼる。

「うーん…。」

アークスシップ艦橋にて悩む少女が一人。ハイキャストのシエラだ。

「ういーっす。あれ、どうしたんだ? 難しい顔して。」

情報の仕入れを行いにやってきたオキは難しい顔して悩んでいるシエラに訳を聞いた。

「あ、えっと…。実はですね…。」

シエラをはじめとするハイ・キャスト。その人格を1から作るとなると膨大な時間と労力が必要なことから、現在の戦力即増強を踏まえ総司令官であるウルクの人格をベースに作られている。彼女を含め、ハイキャストのメンバー達は総司令官であるウルクを尊敬しており、その人格を誇りに思っているという。

性能も普通のキャストと違い、シャオをベースに作られている為、アークスシップ一つの管理を軽くこなせる性能を誇る。

それを聞いていたオキは何を悩んでいるのかわからないと再び聞いてみた。すると

「問題は一つなんですよ! ほら、ウルク司令官ってすごくいい体系してるじゃないですか。同じ人格で作ったなら、体つきも同じようにしてほしかったんですよぉ!」

オキの口はそれを聞いてヘの字になる。簡単に言えばボンキュッボンなウルクの体つきと比べてスレンダーで小柄なシエラは納得がいかないという事だ。

「あぁ…そういう…。」

悩むのは大いに結構だ。人それぞれ、いやハイ・キャストそれぞれの気持ちもあるだろう。女の子に生まれたからには憧れるじゃないですかとわめくシエラ。

「なので、ハイ・キャスト会議にて満場一致で抗議することにしました。シャオさんに直訴し…あれ? 拒否反応!? …そうですよねー。私達がこうして直訴するのもすでに演算済みですよね~。」

泣きながら端末を操作するシエラ。シャオの高い演算能力なら、彼女たちが抗議してくるのも初めから御見通しであり、逆に彼女たちもそれがわかっていての行動だったのだろう。

「そんなことより仕事しろ? わかってますよ~…。あれ? えっと…君たちのボディは、ある人の好みで作られている? シエラは特にハイ・キャストすべてのベースなうえ、その人の所で…働くのだから!?」

端末を操作していたシエラがジト目でオキを見る。乾いた笑しか出てこないオキ。

つまり、シエラのボディ、そしてそれがベースとなっているハイ・キャストの体つきは、オキの好みで作られたとシャオが言っているのだ。

「いや…まぁ、そのだなぁ…。なんか、悪かった。」

プルプルと震えているシエラをみてオキが恐る恐る近づく。

「むー…。オキさんは、その…こういう方が、好みなんですか?」

口を膨らませながらも、ちらりとオキを見て質問した。

「ん、まぁ。はっきり言ってどっちもいけるが、どちらかと言えば小さい方が好きだ。」

何画とは言わないが、少なくとも否定できない。とはいえ小さいだけでなく大きい方も好きなのは間違いではない。

マトイや琴音は勿論の事、実はユウキも結構大きい方だからだ。

「そうですか…♪」

そんなことは気づかず、オキの言葉で機嫌を取り戻したシエラは今度は上機嫌になった。そんなやり取りで疲れたオキは出直してこようと艦橋を後にしようとした。

そこへシンキがちょうど現れた。ニヤケた彼女はすべてお見通しのようで、ただ一言オキへと放った。

「ロリコン。」

「うっせ、歩く18禁。そんな格好のおめーにいわれたくねーよ。」

今日のシンキは珍しくとことんご機嫌らしい。露出の高い服なのか、ただの裸エプロン姿なのか。どちらであろうとものすごい恰好で歩き回っている。そんな魔性の姿であっても菩薩のような母性あふれる包容力は変わらない。オキ達はこの時の彼女を『魔性菩薩』と呼んでいる。

「行き着く先は…。」

「殺生院…やかましいわ!」

ノリツッコミするオキにほほ笑むシンキ。その様子を背中で受けるシエラはクスリと笑っていた。




皆様。ごきげんよう。
FGO2章始まりましたね。さっそく特攻野郎Aチームの一人吹っ飛ばしてアナスタシアちゃん仲間に引き入れました。

今回はアースガイド本部まで行こうと思ったのですが、思ったよりファレグのところに文字数使ったのと、おまけの幕間入れたかったので予定を変更してここまでにしました。

次回はEP4で一番好きなキャラのオークゥとの出会いです。
好き勝手書くぞー!

では次回またお会い致しましょう。

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