SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

127 / 151
第124話 「タイトルはミケが食べたのだ」

コロシアムのフィールド上はシンキの魔法という魔法の組み合わせのオンパレードだった。

 

闇の炎を凝縮した極太のレーザー。光と氷の巨大魔法剣の乱舞。

 

風と雷の暴風を利用した突進。一つ一つがALOのシステムで作れる攻撃ではあるが、一般的なプレイヤーではまずむりだ。

 

組み合わせる魔法、放つタイミング。それら一つ一つどれでもミス一つあれば暴発し自らの身体を痛めつける。

 

だがシンキは全てをやってのける。しかもそれを幾重にも、だ。

 

「ハハハハハ! よい、よいぞ!」

 

高らかに笑い、楽しそうに振り下ろされる刃を杖をはじめ、防御魔法の障壁で受け止める。

 

空中にいるにもかかわらず、まるで針の上に飛び降りるかのごとく狭い足場となる場をみつけ、そこからシンキへ切りかかろうとするアインスもアインスだ。

 

高度な戦い方をする二人に多くの歓声が沸く。

 

「私が空中にいると、戦いづらそうねぇ。」

 

「なにかまわんさ。」

 

にんまりと笑うシンキに対し、多少の傷を負いながらもその不利な状況を楽しむように微笑むアインスはシンキに刀を向けた。

 

「どんな困難な状況にあろうとも、足場を探し、つくり、そして立ち向かう。それが俺であり、人だ。一番君が知っている事だろう?」

 

その言葉を聞いて一瞬キョトンとした顔をしたシンキは額に手を当てて大声で笑った。

 

「そうね。その通りよ。さぁ人の子よ。かかってくるがいい。この私を倒して見せるがいい!」

 

ぶつかり合う二人を見守るオキとその隣でドキドキワクワクしながら見るユウキ。

 

「すごい戦いだね! こんなの初めて見たよ! ボク達もあそこまでたどり着けるかなぁ?」

 

ユウキの言葉を聞いて困った顔をしたオキがぶっきらぼうにつぶやいた。

 

「やめとけ。ありゃ次元が違うワイ。」

 

ため息をつき、眉を八の字に曲げるオキ。自分よりも長く戦い、同じく闇と戦った百戦錬磨の隊長。その力は並のアークスだけではなく、オキやハヤマですら追いつくのに必死であり、いまだ成長段階という戦いに特化した人。

 

もう一人は簡単に言うならば具現化した魔神。圧倒的な力を持ちながらも、その振る舞いは母のような包容力を見せるソレは女神のよう。人間が相手できるモノではない。

 

「んん? でも、オキのチームのひとで、オキがリーダーなんでしょ? オキが強いんじゃないの?」

 

「俺はあの二人の足元にも及ばんさ。特にシンキにはな。」

 

オキは現在の強さを目でわかるように描いて見せた。

 

「いいか? 俺が地面に立っているとしよう。あぁ、上に行けばいくほど高い位置にいる意味で見てくれ。ハヤマんと俺が大体同格。お互いが坂道や山を上ったり下りたりする状態。んで、お空には隊長。で、宇宙にシンキだ。」

 

「宇宙って…。あ、ミケは?」

 

「あいつはどこにもいないし、どこにでもいる。格をつけること自体が間違ってる。」

 

ユウキはアハハと苦笑するしかなかった。

 

 

 

「おおおお!!!」

 

アインスめがけて急降下攻撃を加えようとしたシンキの腕を、攻撃を喰らいながらも掴み取り、地面へと引っ張り下ろしたアインス。その直後に魔杖『サイコウォンド』を叩き切ったのだ。

 

「ふふ…ふあはははは! やるではないか! だが…。」

 

サイコウォンドの力で飛んでいたシンキは、普通のプレイヤーが引っかかる飛行不可の制限によって地面へと立つ。

 

高笑いした後にちらりとアインスの姿をみた。

 

「その姿でも、まだ私と戦おうと?」

 

HPはギリギリ残っているとはいえ、かなり限界が近い。普通ならば「負ける」という感情が渦巻いているはずだ。だが、彼の目には一切それが無い。それどころか、いまだ勝つ気でいる。本当にとことん楽しませてくれる男だとシンキは微笑む。

 

「いいわ。諦めないその心。なくさない事ね。」

 

「っふ。この俺が? ないな。」

 

お互いふふっと笑うと、お互いの武器をぶつけ合い、次は地面を蹴りあっての戦いに転じた。

 

 

 

 

結果はシンキの勝ちだった。あれだけ圧倒的な戦い方をしたのだ。

 

だが、歓声はアインスの名前も多く飛び交った。後一撃。たった一撃喰らえば終わるはずのHPで、5分も戦い抜いたのだ。

 

臆せず、彼女への攻撃の手を緩めずに、むしろ増やしながら。しかし惜しくもシンキの曲剣がかすってしまう。

 

残念ながらアインスは4位、シンキが3位という結果となり、3位決定戦はALO史上に残る壮大な戦いで幕を閉じた。

 

「さぁ、オキはん。ユウキはん。思う存分、戦ってきぃや!」

 

それぞれの名前を叫んだ後に、ニカリと笑うキバオウ。他のメンバー達もコクリと頷く。

 

オキは槍をもって、ユウキは直剣を握って、フィールドへと歩き出した。

 

「さぁお互いがフィールドへと上がったでぇ! 二人は約束をしたそうや! また戦おう! 泣けるやないか! 約束を果たすためにこのフィールドにたった二人! さぁ盛大に声援を投げろ! 決勝戦! スタートや!」

 

大きな歓声が上がる中、ふたりはゆっくりと自分の武器を構える。

 

そしてカウントゼロと同時に掛け、武器と武器が重なった。

 




みなさんごきげんよう。
ようやくユウキとの決戦に挑めます。
次回は楽しみながらかけるでしょう。そう願いたい。
年度末に向けて仕事が忙しくなるなか、体調管理も気を付けないと。
さて、最近騎空士を始めました。なかなか面白いですね。
攻撃力が上がれば上がるほど楽しくなっていきます。
FGOが暫くシナリオ追加なさそうなので、今のうちに別のゲームも楽しみたいと思います。
では、次回またお会い致しましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。