SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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第110話 「世界を堕とす輪廻の徒花」

【深遠なる闇】は、ダークファルス【仮面】へと移り変わった。

マトイを助ける為、彼女を生かすためにようやく出した答えだった。

「どうなってもオキさんはオキさんだった。」

「まったくだ。」

自らの体で他人を守るのは誰もが同じ考えだが、自己犠牲の部分はオキは人一倍だ。何をするにもまず自分が先に手を挙げる。

「うっせぇなぁ。」

惑星ナベリウス近宙域。そこに大きな花が咲いていた。惑星を飲み込まんとする巨大な花。

「【深遠なる闇】は復活した。これはまだ始まりに過ぎない。ナベリウスを飲み込み、完全に覚醒するだろう。だから覚醒しきる前に叩く。今僕たちにできるのはこれしかない。」

シャオによる全アークスへの通信が入った。オキ達は目の前に広がる巨大な花へと向かい、その中心にいるであろう【深遠なる闇】を叩き、完全なる覚醒を阻止する。失敗すれば、それは宇宙の破滅を意味する。

オキらアークスが待機する揚陸艇の下には真っ赤に広がる空間と…

「にしてもいっぱいいるわねぇ。」

シンキがニタリと笑いながら『ソレら』を見た。言葉につられ、オキらもそれをもう一度見る。

オキらの下に広がる真っ赤な空間。【深遠なる闇】がいるであろう中心を守る結界のように張り巡らされた空間。そこには大量の巨大な城が動いていた。

「見てわかるとおり、【深遠なる闇】の手前にはダークファルス【双子】が陣取っている。実際にはコピーなのだろうけど、その力は計り知れない。とはいえ、これを突破しなければ【深遠なる闇】にも到達できない。時間稼ぎなんだろうけど。みんなには苦労かける。これを突破し【深遠なる闇】を撃破してくれ。」

シャオからの言葉を受け全員が頷き合う。

「なに、簡単なことだ。切り進めばいい。」

アインスが腰に下げているオロチアギトに触れながらいう。いつも通りの考え方だ。

「そうだね。何があっても切ればいい。」

ハヤマもアギトを握りしめる。

「眠いのだ。腹減ったのだ。ハヤマ、ミケにご飯を要求する。」

ミケはいつも通りマイペースだ。こんな時に何を言うとハヤマは怒るもブツブツいいながら、持っていた簡易食を渡す。

「ふふふ。」

その光景を見ながら微笑むシンキ。相変わらず余裕そうだ。

同チームメンバーであるクサクやユユキ等同チームメンバー達も戦いの合図を今か今かと待っている様子だ。

「大丈夫…大丈夫。」

「そんなに緊張するなよ。俺達がついてる。」

緊張してガッチガチに固まったマトイの頭をポンと軽くたたいた。

オキの顔を見て安心したのか頷き、肩の力が少しだけ抜けたような気がした。

「で? マスター、コマチは?」

クロから質問が来る。この場にいないメンバーが一人だけいる。コマチだ。

「あいつは別の場所の戦いに行っている。」

「別の場所?」

クロが首をかしげる。今回の戦いはアークス総戦力をぶつける。だが、完全に全てをぶつけては他の場所で起きている問題が同時に解決できない。という本人たっての希望でそちらへと向かわせた。

「古戦場が俺を待っている。だとさ。」

場所をファータ・グランデ星域。そこでの戦いは遠い未来、伝説となるがそれは別の物語。

「さて、いこうか。」

覚悟は決まった。まずは目の前にいる【双子】の壁の突破。【深遠なる闇】へと近づき撃破する。簡単な話だ。小難しいことはなにもない。

「「「おおおおお!!!(なのだー!)」」」

 

 

ポータルが開き、赤き地へと皆が飛び降りる。

ほかの場所でも多くのアークスたちが飛び降りただろう。

彼ら彼女らの目の前には真っ赤な光をその巨体に灯す4つの塔を脚とし、その中央にまるでおとぎ話に出てきそうな顔がついたお城。玩具系ダーカーを従える子供のダークファルス【双子】らしい本体の姿だ。

「こんなのどこ叩くんだよ!」

「塔にコア見えるぜ。あと顔の部分にある舌っぽいの。あれ本コアだろ。」

「消耗戦になっては思うツボだ。一気に叩き切るぞ!」

各人が弱点と思わしき場所へと走り込み、切りつける。

【双子】はそうはさせまいと、脚の部分である塔を本体の周りで勢いよく回転させ

アークス達を弾いた。

「ちぃぃ・・・!」

『フフフ…フフフフ。』

オキは睨みつけ、再び【双子】へと走り寄った。

ぴたりと止まり、4本の塔の2本にコアがついている。そこが完全にあらわになっている。

「叩けぇぇぇ!」

「おおおお!!!」

一番に攻撃を開始したのは怒号のような声を張り上げながら走り近づいたアインスだ。

猛攻をするアークスに対し、【双子】は笑うだけだ。

塔についた2個のコアが破壊され、中央の本体の顔から舌についたコアが露出される。

オキ達が今だと言わんばかりに集まり、コアへと攻撃を開始した。

「ヘブンリー!」

「グレンテッセン!」

「にゃにゃにゃ!」

各位の攻撃がコアへとはなたれ、再び舌は口の中へ。

「コアは!」

「こっちだ! オキさん!」

別の塔からコアが露出しているのがみえた。

コアが露出している塔は赤く光っている。まるで誘っているように。

直後、【双子】は大きく比翼した。

「飛んだ!?」

「こっちに向かっているぞ!」

【双子】は大きく空中に弧を描くようにこちらへと迂回。戦っているフィールドを飛び体当たりをしてきた。

二度、体当たりをした後にまたオキたちのところへと降りてきた。

降りた直後に【双子】は口から車型のダーカーを大量に吐き出した。

「カーニバルだよ!」

「マスター…それ違うやつ。」

クロに突っ込まれながらもオキは口元がニヤリと笑っていた。

「にゃはは! みながんばるのだー!」

ミケの声が聞こえてきた。その姿をみてオキはぎょっと目を見開いた。

ミケが車系ダーカーの上に乗り、操縦しハヤマを追いかけているではないか。

「ばかやろう! こっちくんなぁぁぁ!」

「フハハハ! たーのしー!」

車系ダーカーは色が普段の赤から青色に変わっており、よく見ると落書きまでされている。ミケが色を塗ったのだろうか。ダーカー因子も何故か感じられない為、心の中でハヤマに対し合掌しながら攻撃を再開した。

「ふーん…キリがないわね。」

少し離れた場所でシンキが遠くを見ていた。その目には戦うアークス達が写っていたが、コピーされた【双子】は量が膨大すぎる。これではいつここを突破できるかがわからない。

「くそ…きりがねぇな。」

「ええ。そうね。」

シンキにオキが近づき、舌打ちをした。一体一体はそこまで強くはない。このまま行けば目の前にいる【双子】は倒せるだろう。しかし、そのほかにも【双子】いる。

「オキ…。」

マトイが心配そうに近づいてきた。オキが歯ぎしりをした。

「くそ、数が多すぎる。どうしようか。」

少し離れた場所でも他のアークス達が戦っている姿が見える。そのまた遠くに、反対側にも。上空から見た膨大な数の【双子】。いくらアークスが総力戦で戦っているとは言え、あの数はそう簡単に突破は難しい。

「オキちゃん。」

「ん?」

シンキが微笑みながら片足を軽くあげた。

「進みなさい。そして終わらせてきなさい。」

 

トン

 

シンキが上げた足を紅い結界である地面をついた。直後、地面はわれオキ達は宇宙空間を落ちた。

「シンキ!?」

「っきゃ!?」

戦っていたハヤマやアインスたちも何事かと割れた中心を見た。

オキたちの下に揚陸艇が移動。空間に放り出される心配はなくなった。

オキがシンキを見上げると赤き光を放っていた。普段の力の光ではない。

「…わかった。」

オキは揚陸艇の操縦桿を握り、揚陸艇を【深遠なる闇】へと進めた。

「オキさん! シンキは!?」

「はやまん。あいつに任せた。俺たちは、俺たちの戦いをする。」

ほかのアークスたちも揚陸艇を進めていた。【深遠なる闇】がいる徒花の中心をオキは目指した。

 

 

「さて、任されたからには本気をださないとね。」

空中に浮く【双子】は一人残ったシンキへと狙いを定め、脚である塔の一本をシンキへと下ろした。

「誰に向かって足蹴している。不敬だぞ。」

シンキの後方に大量の黄金の光が灯り、その空間の裂け目から大量の剣、槍、斧、武器という武器が飛び出し、【双子】の脚は吹き飛び、バランスを崩してその場に崩れた。

そのほかの【双子】達がシンキの前へ集まってくる。シンキの姿はいつの間にか黄金の鎧を腰に付け、紅き紋様の入った体から光が放たれていた。

「出てきなさい。王律鍵バヴ=イル。」

シンキの目の前に黄金色の鍵のような剣を空間より取り出した。ゆっくりとそれを握り、柄を回した。直後に天を埋め尽くすほどの枝分かれした赤い線が走る。

そこから一際輝いた光が一つシンキの手元へと降りてきた。

空中からは剣と呼ぶには似つかわしくない、白と黒で彩られた円筒のドリルの様な物がでてきた。シンキはそれを掴み、握った。

「興が乗ったわ。見せてあげる。本当の私の力を。見てなさいオキ。」

自分の前へと浮かせたシンキはニヤリと笑った。

「原初を語る…。元素は混ざり、固まり、万象織り成す星を生む。」

赤く光っていた空間が割れ、より紅く光る空間へと変わった。シンキはそのまま『エア』とともに【双子】のさらに上へと笑いながら浮かび上がる。

「フフフハハハハハハハ!」

シンキの足元には銀河とも思われる光が【双子】たちの目にみえた。

「オキ! あれ!」

「ああ。シンキの…本気がくる。」

揚陸艇を飛ばすオキは目の前に広がる徒花へと進みつつ、後方をちらりとみた。あまりに膨大。あまりに巨大。見たことのない力がその一点の空間に集まっていた。

「しっかりつかまってろ! 衝撃波が来るぞ!」

シンキは乖離剣エアをゆっくりとあげる。次第に回転をあげる乖離剣は高く振り上げられた。

「死して拝せよ――。」

シンキは下にいる【双子】を見下ろし、乖離剣を振り下ろした。

 

光闇乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!』

 

大量に居る【双子】たちに覆いかぶさるように落ちていく銀河系と同等の力。コピーされた【双子】達が最後に目にしたのは、人類最古の地獄だった。

 

ごおおおぉぉぉ!!!!

 

「うわぁぁぁ!」

「きゃあああ!」

オキはシンキの力で放たれた衝撃はで揺れる揚陸艇を操縦し、その巨大な力を背中に受けながら、笑っていた。

 

 

オキ達はその後、【深遠なる闇】の本体を見つけた。

「あれが、本体か。」

紅く光る蕾のような頂点。スカート状に広がった大花。ダークファルスの親玉というにふさわしい異様な力を放っていた。

「いくか。オキ君。」

「ああ。まずは挨拶がわりだ!」

アインスの言葉に頷き、オキはコンソールを操作した。

揚陸艇の側面から8本の誘導ミサイルがはなたれ、勢いよく【深遠なる闇】へと向かっていった。

「FOX3!」

「なにそれ。」

ハヤマがオキの発言した不思議な言葉に疑問をもった。

「さぁ。スレアの映画で見た戦闘機乗りがミサイル飛ばした時にいってたからつい。」

ミサイルは【深遠なる闇】を追いかけるが、後方から放たれたレーザーでほぼすべてが破壊され、さらにスカート部からでた光により、周囲にあった揚陸艇がいくつか破壊された。

「突っ込んで来るぞ!」

【深遠なる闇】はそのまま体当たりをしてきたが、オキが操縦桿を操作し、回避。そのまま【深遠なる闇】へと近づいた。

「さぁおっぱじめるか!」

オキの号令で、【深遠なる闇】の側面を攻撃し始めるハヤマ達。

「気持ち悪い目、してるなぁ。」

クサクが嫌な顔をしながらヂュアルブレードを振る。側面についた盾のような場所に真っ赤な目のようなモノがついており、ぎょろりとこちらを睨んでいた。

他にも鎌のようなモノ、鋏のようにも見えるモノもある。だが、それでもオキ達は攻撃をやめなかった。

「お? これ、壊れるぞ?」

アインスとハヤマが攻撃していた盾のような場所が破壊され、欠けた。

「壊れるなら倒せる。切るぞ。ハヤマ君。」

「もちろん隊長!」

近宙域には【深遠なる闇】からでてきた小さな浮遊物体がいくつか浮いており、戦闘場となったフィールド場を飛び回り、アークスたちへレーザーを放っていた。そこまで痛くはないものの、邪魔でしょうがない。オキとマトイはそれらの処理に回っていた。

「これで、最後だ!」

宙に浮いていた物体は二人の攻撃によりすべて破壊された。直後に【深淵なる闇】の中心部にある巨大なコアが開くのがみえた。

「チャンス!」

オキはすぐさま揚陸艇を移動。コアの目の前に皆を誘導した。

「いくぜフルボッコ!」

「叩き切る!」

力任せに二本のアギトを振るわれた【深淵なる闇】はスピードを上げ、遠くへと逃げてしまった。

「逃げた!?」

「違う! 体当たりだ!」

猛スピードで近づいてきた【深淵なる闇】のそばをすり抜け、再び体についている物体を攻撃する。

先端を光り輝く力で伸ばした【深淵なる闇】は往復でこちらを切ってきた。しかしみなそれを避ける。

「遅い!」

再びあちこちの部位が破壊され、コアが露出すると思われた。だが、コアは開かず、強力な力を感じたオキは揚陸艇を操作。側面に移動しようとブースターを起動した。直後にコアから巨大なレーザーが噴射され、少し遅ければまともに食らっていた。

「オキ、まずいよ。」

「あん!?」

マトイが宙を見上げている。気が付けば、宙域は白く輝き、まるで星の昼間のような明るさになっていた。

「中心に近づいている!?」

【深淵なる闇】の作った徒花の空間その中心に近づきつつあることに気づいたオキは周りのメンバーに声を上げた。

「あいつも弱ってきている! このまま続けるぞ!」

【深淵なる闇】は皆の気合に合わせるようにコアを広げ、開花するかのごとく花を咲かせた。コアからは巨大な人型が現れ、そこからは力の中心であることが分かるほどの力を放っていた。

「変化した!? このまま決める気か!」

「やらせるかよ!」

ハヤマたちはより気合をいれ、振るわれる巨体の腕を回避しながら【深淵なる闇】の胸部を攻撃した。

「あれは…。」

「間違いない。俺、いや奴の力を感じる。」

紫色の巨大な羽。金色の体の内側に見える赤黒い力。ダークファルス【仮面】の力が感じる頭部。マトイとオキだけじゃない。その場にいる皆が感じているだろう。そして同じことを思っているだろう。これが最後の姿なのだろうと。

削られる力を解放するかの如く、【深淵なる闇】は胸部に巨大な目を顕現。力を貯め始めた。しかし、アークスからすればここを攻撃してくださいと言わんばかりの弱点。

ニタリと笑ったオキもその攻撃に加わった。

「おらぁぁぁ!」

猛攻により、目は破壊され、力を失った【深遠なる闇】は頭部を揚陸艇に載せるように倒れた。

「おらおらおら!」

「いくぜフルボッコ!」

「突撃…おおおおおお!」

オキやハヤマが武器を振るうさなか、アインスが少し離れ、距離を取った。

直後に勢いよく走り込み、【深淵なる闇】へと近づく。

「切る…進め…斬る…! 進めぇ! ここが…俺が! アークスだ!」

ジャンプからの切り下げ。直後に力任せの切り上げからの強力な突き。

チャンスと踏んだアインスの全てをその一撃に込めた突きが【深淵なる闇】の顔面に突き刺さった。

直後、【深淵なる闇】は少しだけ離れ、自らの頭上に巨大な光の玉を作り出した。

『形を示せ』

オキの耳にはアイツの言葉が聞こえ、目の前にノイズが走った。

「!?」

目をこすり、再び見開くと【深淵なる闇】の姿はなく、自分と同じ姿をしたモノが目の前に立っていた。

「これは…!」

「終わりだ。」

オキの姿を出したモノは腕を振り上げ、巨大な剣を振り下ろしてきた。

オキはそれを回避。自分と同じ姿のモノへとエルデトロスを振り、切った。

「逃がさん。」

今度は上空からの重力場が降ってきた。オキからすればそれは遅く、見て回避が余裕である。再びエルデトロスを振り、同じ姿をしたモノを攻撃する。

「やらせるか!」

 同じ姿をしたものからは【深淵なる闇】と同等の力を感じた。オキは朦朧とした空間の中であっても、それが敵であることは分かる。そしてなにより感じるのは『彼女を守りたい』ただその一心が胸の中にあった。

「邪魔を…するな!」

振り上げたエルデトロスをおろし、同じ姿をしたモノの顔へとそれを突き立てた。

直後にそのモノの顔から大量の闇の力が噴出。再びノイズが走り、オキは目をこすった。

その時に聞こえた。【仮面】の声が。

 

『あとは…任せろ。』

 

オキが目を見開いた直後には顔を抑え、近寄ってくる【深淵なる闇】。

「なんだ今のは!?」

「何があった!?」

ハヤマやアインス達は目の前で急に力が拡散した光景を不思議に思っていた。

オキだけがそれをしている。

「あのバカ。」

【深淵なる闇】は顔部に巨大な一つ目を作り上げ、そこに闇の力を溜め込んだ。

「マトイ!」

それが狙っているのはマトイ。そしてその直後に巨大で今までにないほどの強力なレーザーをマトイへと放った。

「負けない…わたしはもう…負けない!」

マトイは明錫クラリッサⅢを【深淵なる闇】へと向け、白き光のフォトンを放った。

「はぁぁぁああああ!」

力は拮抗し、どちらも譲らない。だが、それはマトイと【深淵なる闇】の力だからだ。

クラリッサにもうひとりの手が握られる。

「オキ!?」

「あいつも…戦ってる。あの中でな。」

「うん!」

クラリッサにフォトンをありったけ注ぎ込み、【深淵なる闇】の力を押し返すオキとマトイ。

「あああああああああ!」

「おおおおおおおおお!」

次第に押し返される力は【深淵なる闇】の顔を貫き、【深淵なる闇】は顔を抑えながら闇の力を拡散していった。

直後にナベリウスを食わんとしていた巨大な花は時計回りに回っていたのが、逆回転仕出し、食われていた大地がまるで巻き戻しのように戻っていき、闇の力も宇宙の空間へと吸い込まれ、最後には消えてなくなった。

「終わった…のか?」

「さぁ…。」

皆が困惑しているなか、オキとマトイは感じていた。

【仮面】の力が発動したのを。

「あいつも…一緒に戦っていたな。」

「うん…。」

 

ボン!

 

揚陸艇のエンジンから爆発音が聞こえた。聞こえた場所からは煙が出ており、揚陸艇は振りえながらナベリウスへと落ちていった。

「これ、不味くね?」

「落ちてる!?」

すぐさまオキはコンソールを開き、揚陸艇の様子を確認した。

「第一エンジンお釈迦。第二第三エンジン不調。第四エンジンもやばい。これ、落ちるわ。」

次第にスピードを上げナベリウスへと落ちていく揚陸艇。

「なんとかならないのオキさん!」

「まってろ…! クロ! 真正面の空間の時間を止めれるか!?」

クロは指示通りに揚陸艇の前方を覆うように空間の時を止めた。これでバリアの役目にはなる。しかしそれも長くは続かないだろう。クロの体力にも限度がある。

「ハヤマん! 隊長! その他の皆はクロに力を分けろ! どうやってもいい!じゃねーと燃えちまうぞ!」

すでに大気圏内に突入している揚陸艇の周囲は摩擦で燃え始めている。

「もえるのだー! みなもいっしょなのだー!」

「お前が燃えてどうすんだよミケ! あっちーーーー!」

ミケが揚陸艇の上を燃えながら走り回り、炎上させている。やめろミケ。熱い。

オキはなんとか操作しながら燃える揚陸艇をナベリウスの水上へ落下させようやく止まった。

「さいごはあいかわらずしまらない。」

「…グッダグダやな…。」

「是非も、ないのだー。」

オキとハヤマ達は蒼い空を見上げながら真っ黒に焦げたミケをみてマトイたちと一緒に勝利を笑った。




【深淵なる闇】撃破!
というわけで皆様ごきげんよう。
難しいですね。普段やってる事を文章にするのは。表現が難しい!

さて、【深淵なる闇】戦中の一騎打ち。あそこはWIkiの考察にあった内容を反映させました。

『周囲に【深遠なる闇】の本体が居ない事からして、
【深遠なる闇】のコアとなっている【仮面】(即ちEP3-7ルートAのプレイヤーキャラクター)が主導権を取り戻しつつあり、天罰を止めるため、皆を、マトイを救うために、元の一人のアークスとして、精神世界で【深遠なる闇】と戦い、打ち勝つ様子の演出なのではないかという推測※がある。』(Wiki抜粋)

つまり、今回の場合オキだけが見える不思議な光景としました。
他にもシンキがエヌマぶっぱなしたがってたり、ミケは車を操縦したいとか言うし。もうひっちゃかめっちゃかでしたが、楽しかった。

【深淵なる闇】もとりあえずは討伐し、番外編を終えて、今度はALOへと行きたいと思います。それではまた次回にお会い致しましょう。

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