SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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第102話  「市街地戦」

市街地に到着したオキ、クロ、シノン、そしてギャレット。

市街地は荒れ放題の少し小さな街であり、崩れかけたビルが立ち並んでいる。地図の詳細では大きなコロシアムもあるようだ。

先ほどの地図の情報では銃士Xをはじめ、闇風、そしてステルベンであるデスガンがこの市街地に入り込んでいるはずだ。

「ログアウトの表示はないな。」

「3人ともまだ名前が光ってるわね。」

地図上に光る名前は3人のプレイヤーの名前が光っている。位置は示されていないが、プレイヤーがあと何人残っているかだけは把握できるようになっている。名前が光っていれば、まだ生きているという証拠だ。

「市街地はどこから襲撃されてもわからないわ。慎重に行きましょう。」

「シノン、クロ連れて一番高くて見晴らしのいい場所に陣取れ。俺がおとりになってやる。」

オキが親指で自分を指さした。シノンは一瞬ためらったがすぐに首を縦に振り、キョロキョロと周囲を確認した。

「…あそこ。あの建物の屋上なら…。」

シノンが指さした建物。確かにほかの建物よりも高く、見晴らしはよさそうだ。

「クロ。」

「わかってる。ちゃんと守る。」

クロがオキの目を見ながら力強く頷いた。

「ギャレットの旦那。」

「おう。俺は、旦那の背中を守ればいいんだろ? お安い御用さ。」

ウィンクして微笑み後方についたギャレット。4人は方針が決まり、市街地の中をゆっくりとすすんだ。

 

オキの目算は目指す建物にシノン、クロを置きシノンでスナイプ。クロをシノンの防御役として。

オキはそのすぐ近くにあるコロシアム内にて待機。ギャレットを忍ばせておいておびき出す作戦だ。

市街地の中は風の音しか聞こえない。その中を少しずつ、周囲の警戒をしながら進む4人。

「マスター待った。」

小さく声を出したクロが皆の前に出て、視線でソレを指した。クロの視線の先には数本のワイヤーが引かれていた。目を凝らしてよく見てようやく分かる細さだ。瓦礫と瓦礫の間に隠され、見抜く事は困難だろう。

「トラップか…。」

オキは目で周囲を見渡す。おかしな場所は無い。

コロシアムはすぐ目の前にある。こんな所で立ち止まる理由にもいかない。

「ギャレットの旦那。」

「あいよぉ…。」

ギャレットは懐から数本の小さなナイフを取り出し、それを同時に投げた。

 

ドドドン!!

 

周囲一帯から3回の爆発。とはいえ構えていたオキ達に影響は全くない。

土煙が風に流され再び静寂が戻る。

「敵は?」

「見当たらん。」

動き出す気配も感じない。四方をそれぞれが確認するも特に変化はない。

誰かが仕掛けたままにしたものか。それとも場所を特定するものなのか。

少なくとも今の音でここにいる事がバレている。より警戒が必要だとオキが先に進もうとした時だ。

オキの目の前に予測線の発光が見える。

「正面!」

オキが避けると同時に全員が四方に散り、更に弾丸が飛んでくる。オキとギャレット、クロとシノンがお互いに近寄れるようにそれぞれ別れた為すぐにペアを組めたのは幸いだった。

「ちぃ…誰だ。」

赤いモヒカン頭に目を覆うスコープを付けた男が一瞬見えたギャレットはそれが誰なのかがわかった。

「闇風だ。」

前回のBoB参戦者にしてデスガンに殺されたイクシードより腕を持つと言われるプレイヤー。

「強いヤツ…か。」

オキが口元を歪ませ、ニヤリと笑う。その笑みをみたギャレットはゾッとしたと後に語ったという。

「旦那、こら持ってろ。」

「お…おぉ?」

ギャレットが受け取ったのはオキのトンプソンと最後のロールマガジン。バサりとコートをひるがえし手に取ったのはM29マグナムだ。

「楽しんでくる。」

そう言ってオキは瓦礫の上に飛び上がった。

「クロ! 行け!」

そう叫んだオキをみてクロはシノンを連れて予定通りビルへと向かった。

瓦礫の上を飛び跳ね猛スピードで迫ってくるオキをみて闇風は驚いた。

「何故ここがわかった…!?」

「地形読みゃ分かるんだよ!」

 

ドガガガ!

ドン!

 

闇風のM500AとオキのM29がビルの間で鳴り響く。

「なんつー速さだ…!?」

「オラオラどーした! そんなもんかよ!」

オキのスピードを見ていたギャレットは冷や汗をかきながら笑った。

「おい旦那…なんだよそれ。そんなの俺の時には見せなかったじゃねーか。」

煽るオキに苦戦する闇風。

ギャレットすら見た事のないスピードで周囲をぐるぐると周り、最初の1発以外撃っていないオキは闇風の弾丸を真正面から避けきった。

「まさか…重量を!?」

「ご明察。おやすみ。」

 

ドン!

 

再び1発の大きな銃声。オキのM29マグナムが闇風の腹に大きな風穴を開けた。

「っち…あんた…強いな。いいセンスだ。」

闇風はそう呟いてロストした。

「ふぅこんなもんか。」

タバコに火をつけ瓦礫の上で吸うオキに近寄ろうとギャレットが立ち上がった時だ。ギャレットの真正面、オキの背の方角に位置する建物の中。光る何かが目に写った。

「旦那あ!!」

ギャレットがオキをひっぱり、直後にギャレットがその場に倒れた。

「ギャレット!? っち!」

弾丸の先、そこに見えたのはライフルを構えるデスガンの姿があった。

姿は一瞬で消えその場に残ったのは倒れたギャレットと守られたオキだった。

「へへ…俺はここまでらしい。一思いにやってくれ…。」

「わかった。」

ギャレットに渡していたトンプソンを受け取ったオキはM29をギャレットへと向け、1発だけ放った。

「負けるなよ。」

 

ドン!

 

オキの弾丸はギャレットの額を撃ち抜き、ギャレットはそのまま微笑みながら消えていった。

「っち…。」

直後、ビルの中へと向かっていたクロ達が入口から出てきた。

「マスター!」

「クロ、シノン。一旦引くぞ。…ん? その武器どうした。」

クロが持っていなかった銃を持っていた。

「銃士Xがいたの。クロが速攻で倒したけど。その時拾ったの。」

周囲を警戒しながら状況を説明した。

オキは現在の状況を頭の中で整理。一瞬だけ地図を見た。

「マスター!」

 

チュイーン

 

空気を弾丸が通り抜ける音がオキの耳元で鳴り響いた。

「デスガンめ…。こっちだ。」

オキが頭の中に入れた地図をもとに走った。

「あいつは姿を消せる何かを持っているとみた。ギャレットが倒れたあと、ビルの中に入った直後、姿が見えなくなった。いくら暗いビルの中とはいえすぐに見えなくなるのはおかしい。」

先程みた状況から相手が何かしら姿を消せる何かを持っていると予測する。

「ここじゃダメだ。地図上にいい場所がある。そこで向かうぞ。足はこっちのが早いはずだ。」

走りながら説明するオキだったが、その後ろの角から何か変な音が聞こえてくる。

 

パカッパカッパカッ!

 

角を抜けてきたのは金属の馬に乗ったデスガンの姿だ。

「まず!?」

「オキ! あれ!」

シノンが指指したのは2台の車が置かれていた場所だ。

「あれ乗って逃げるぞ! こっちにしよう。」

その場にあったのはオープンタイプのオフロード車とトラックタイプの車だ。オキが選んだのはトラックタイプの車。ダッドザンというメーカーの車だ。

「ダットラとは趣味がいいぜちくしょう!」

運転席に飛び乗ったオキに、助手席へシノン。

荷台に飛び乗ったクロは先程銃士XからかっさらったM16A1を放った。

 

ガガガガ!!

 

馬の上で身体を傾け避けきったデスガンは近くまで走ってきている。

 

ドルルルルン

 

低いエンジン音を出したトラックはホイールスピンで土煙を上げながら走り出した。

土煙をモロに被ったデスガンは怯み、足を止めた。

「どおりゃ!」

ハンドルを切り、目標の場所を目指すオキのトラックに対し、怯んみ差が開いたとはいえスピードで負けていないデスガン。

「シノン、狙えるか?」

「…やってみる。」

トラックは市街地をはずれ、岩と砂のまっさらな地を走る。身を乗り出したシノンはライフルを構えるデスガンにスコープを向けた。

「…!?」

直後、シノンの身体が強ばる。それを横目で見ていたオキが一言呟いた。

「安心しろ。俺たちがついている。」

その言葉に耳を向けていたシノンは1度深呼吸してもう一度スコープを覗いた。

 

ドゴン!

 

シノンのライフル、へカートから咆哮が響いた。

「オマケだ!」

クロの持つM16A1の下部についているグレネードランチャーから1発の弾が更にデスガンへと追い討ちをかけた。

車の中へと戻ってきたシノンは一呼吸おいてオキへと報告をした。

「あいつのライフルは破壊できたわ。」

「上々!」

オキの飛ばすトラックは砂地へと入り込み、空は赤く染まりかけていた。




みなさまごきげんよう。
中盤戦が終わりました。
このへんのイメージはあまりできてなかったので中身スッカスカですね・・・。申し訳ない。まぁあくまでつなぎですから(震え声

さて、PSO2ドンキコラボ、行ってきましたよ最寄りのドンキ。
一瞬でなくなってました。。。ほしかったなー敗者ポーズ。
これが投稿される土曜日にはEP5の情報が出るそうで、楽しみです。面白い職だったらいいなー。

ではまた次回お会いしましょう。
※来週と再来週は出張の為、更新が遅れます。すくなくとも来週はお休みします。再来週は出来るかどうか・・・。

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