SAO ~ソードアークス・オンライン~   作:沖田侑士

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DF【敗者】を倒し、アークスの基盤を作り直している最中の出来事。
それは唐突に見つかった------。


プロローグ 「ルーサーの置き土産」

オラクル船団、アークスシップの一つ。そこにいた男女のアークスが今まさに出発しようとしていたところだった。

「さって。準備はいい?」

「おう。しかし、あの【ルーサー】の遺産。ねぇ。」

アークス《オキ》。アークスシップの一つを拠点に持ち、活動するアークス。周囲のアークス達からの評判はかなり良く、数か月前に起きた大事件、DF【敗者】ことルーサーの起こしたオラクル船団の管理者《シオン》の取り込み、そしてアークスの崩壊を阻止したほどで、その直後にはDF【敗者】との決闘で【敗者】を消滅まで追い込んだほどである。

もう一人の少女の名はサラ。同じくアークスで現オラクル船団管理者《シャオ》とよくいる縁者らしい。

クエストカウンターでキャンプシップを待っている所に更に数人のアークスが2人に気づき近づいてきた。

「ちーっす。何やってんの二人で。」

「おう、はやまんにこまっちー。ミケっちと…隊長?」

「やっほーオキさん。サラさんもこんにちは」

4人のアークス、《ハヤマ》、《コマチ》、《ミケ》、そして隊長と呼ばれる《アインス》が現れた。

ハヤマとコマチはオキがマスターを務めるギルドメンバーでミケはソロ、アインスは別ギルドのマスターである。ギルド等は違えど、共に活動をしているメンバーである。

「こんにちは。みんな。」

「また4人でなにやっとん?」

サラとオキは4人の組み合わせに珍しさを感じた。

「ちょっと俺の新しい技を試しにね。」

「で、ついでにクライアントオーダーもこなそうかと思って。」

「暇だったからついてくのだー!」

どうやらハヤマとアインスは新しい技のためしついでにクライアントオーダーをこなしに行く予定だったようで、コマチとミケはただ単なる暇つぶしというわけだ。

「オキさんはどちらに?」

「サラとデートd…ゴフゥッ!?」

「ふざけてんじゃないわよ。」

サラに腹を肘で殴られたオキはうずくまっている。痛そうだ。

「まったく。DF【敗者】、ルーサーの研究施設が見つかったの。今まで隠れていたから何か情報でもあるかなってね。そこでシャオからオキを連れていくといいって言われたから…。え? 何? うっさい! ばかシャオ! 違うわよ!」

シャオ。以前管理していたシオンの弟のようなものらしく、彼も特殊な生命体らしい。そんな彼と一部存在がくっついているサラは常にシャオと交信ができるらしいが。

「相変わらず、プライベートもないな。」

アインスも苦笑気味だ。顔を赤くしているサラはいったい何を言われたのだろうか。咳払いをしながら説明を続けた。

「で、その研究施設の調査に向かうところだったのよ。あなたたち暇ならついてくる?」

皆で顔を合わせて満場一致の同行だった。

 

 

 

「へぇ。こんなところがあったなんてな。知らんかった。」

惑星ウォパル。海に囲まれたこの惑星の海上に浮かぶ施設の一つに目的の場所があった。

ウォパルにある施設としては珍しく建物になっており、今迄見つからなかった理由としては周囲の景色と同化する仕組みになっていたらしく、それが最近になって解けたようだ。

オキが周囲を見渡したが、今迄にないくらい特殊な設備や研究資料が山積みされており、オキ達がルーサーと決着をつける直前までここで何かをやっていたらしい。入口だけでも大量の資料と研究資材の山だというのに、奥にはいったい何があるのだろうか。

「とりあえず、この山になっている資料の回収と、できれば確認をお願い。手分けしてやりましょ。じゃぁ解散!」

「「「はーい(なのだー)」」」

皆が分かれて施設の中にあるモノを片っ端から回収していった。

オキが担当したのは地下にある研究室だ。地下も上と変わりなく大量の研究資材が山のようになっていた。

「ルーサーの奴、一体ここで何やってたんだ? えーっと、これはモンスターの改良データ、こっちは…異次元エネミーの調査データ。ぅんでー、星の研究? これって以前の奴、じゃなさそうだな。」

以前、ルーサーの研究を調べて海底にもぐった際、星の改造を行った研究データを残していた。それをサラと取りに行ったことがあるが、ここにあるのはウォパルのデータではなく別の星のデータだった。

「ナベリウスやリリーパ…じゃないな。こりゃどこの星だ?」

データの中身を見てみるとそこに書いてあった名前は見たこともない惑星の名前だった。

「惑星Threa…スレア? えーっと、人間の住む科学の発展した星か…。あぁただアークスや他の星みたいに何かしらの能力とか何かを持ってるわけじゃないただの人が住んでるのか。へぇこんな星があったなんてな。場所は、遠くない。ほぅ。ダーカー侵食無しか。よくルーサーはここを襲わなかったな。…へぇ。平和な星、ねぇ。」

知的生命体が住むもしくは住んでいた星は見てきたが、人が暮らしており尚且つ発展した星は未だに見たことが無い。ルーサーが侵食しなかった理由も何と無く分かるが、オキは興味が湧いてきた。

「しかし、ルーサーはここで何を調べていたんだ? えーっと、んん?」

ルーサーが特に調べていたのはそこで起きる事件のようだ。

「起きる? まて、未来の話? ルーサーはなにをやってたんだ!?」

更に調べていると他の階の調査が終わった皆がオキが遅いので迎えに来た。

サラ達が駆けつけるとタバコを吸いながら椅子に腰掛けデータを見ているオキを見つけた。

「オキさーん。どうかしたのー?」

「あ? あぁ。なんか面白いの見つけたからな。」

調べたデータを皆に送った。

「これは…人の住む惑星?」

「そう。そこでルーサーが目を付けたものがあった。結局、飽きたらしいけど。」

皆が来る前にデータの中身を全て目を通したオキはその中身を説明した。

ルーサーが調べたのはまず異次元の事。どうやら新たな世界を作るには、と考えていたらしく異次元からのエネミー、ラッピーやここ最近出現するようになったニャウ等を調べたらしい。いろんな研究の結果、オキ達の近くにある設備を作った。そして目を付けたのがそう遠くない場所にある惑星スレア。そこは科学の発展した人の暮らす惑星。研究材料としてはうってつけだったのだろう。発展途上である惑星としてちょうど良い材料だったそうだ。

惑星の情報を仕入れた際に設備に情報をインプット、その惑星がどのように発展し、どのようになっていくかのシュミレートをしていた。

シュミレートした際に数多くの情報を弄り、世界の改変をした場合の研究をしていたようだ。

「自分で変化させるとどのような世界になるか。相変わらずぶっとんだ頭してんな。」

コマチは手を横に広げてお手上げの状態だ。そこから不思議なデータをルーサーは知る事になる。

どれだけ世界変化を起こそうが必ず起きる事件があった。それが『1万人大虐殺事件』。

「通称、SAO事件。」

「SAO? なにかの略称?」

興味を引いたサラが質問をしてきた。オキはデータの一部をサラに見せた。

「ソードアート・オンライン。ここの惑星で作られたモノで、電子ネットワークの中に作られている仮想世界で生活するゲームだそうだ。」

「へぇ。仮想世界を造れるってことはかなりの技術を持ってるのね。」

「とはいえ、人の頭にヘッドギアを付けてスキャン、五感を全て、そして意識をネットワークにインプットするらしく、その間本体である人の体は寝たきりだから長時間のインはあまりいいとは言えないな。」

感心するサラだったが、欠点もある事をオキは伝えた。

「ってかどうやってそんなことわかったの?」

ハヤマが疑問を抱き質問する。オキはそれに対して当たり前のように答えた。

「ルーサーが調べて律儀にレポート書いてたよ。まぁ腐っても科学者、研究者、探究者ってことか。」

呆れ顔になる全員。

「で、このSAOで問題が起こるらしい。作者である茅場彰彦という人物がSAOからのログアウトを不可能にし、1万人のプレイヤーをゲーム内に閉じ込めた。その後2年と数か月の間被害者たちは徐々に死んでいき、ある日突然残っていた数千人のプレイヤー達が同時に死んだそうだ。結果生き残ったのは0。1万人のプレイヤーが死んだことになりSAOを乗っ取った茅場彰彦は1万人殺害の大犯罪者として指名手配されたらしいが後に隠れ家であった場所で自殺していた事が判明するらしい。このシミュレータで何度もシミュレートし、データを入力してあちこちの因果関係を改変してみたらしいがどうしても起きるみたいだ。遅かれ早かれね。いくら因果関係を変えても、設備が悪いわけではないのに何度も起きる。これはおかしな話だとルーサーは興味を引いたらしい。最も、一番興味を引いたのはこの仮想世界の事らしいが。」

「この設備がねぇ。」

コマチがその設備に近づく。オキもその後ろに立ち更に説明を加えた。

「仮想世界に入った者がどうやって死ぬかの仕組みも調べているみたいだな。どうやらヘッドギアに脳をスキャンするシステムが組み込まれているみたいが、仮想世界で死んだ場合本体についているヘッドギアのスキャン機能が超強力な高周波エネルギーを発して脳を焼き切っちまうそうだ。簡単に言えばレンジでチンだな。」

「お、恐ろしい物ね。考えただけでもおぞましいわ。」

サラが身震いする。

「ところでオキさん。そのソードアート…。あーSAOっていったっけ。どんな世界なんだ?」

アインスは世界の事については何も説明がないので気になったようだ。

「やっぱり気になる?」

「そりゃあねぇ。隊長がソードとついているモノに対して興味ひかないわけないもんねー。」

ハヤマが笑いながらデータを見ていた。

「中身まで調べているとはさすがというべきか、相変わらず恐ろしいというか。SAOの中では剣を使って1~100層まである巨大浮遊城【アインクラッド】を攻略していく内容になっているね。中々面白そうじゃん。」

「ほう…。」

「あ、たいちょーの目が変わったのだ。」

「興味を引く内容だね。」

「続けるね。どうやらその中のプレイヤーは熟練度と呼ばれるシステムを使って使えば使うほどたまっていって、高ければ高いほど高位の技が使えるようになるようだね。でだ、ここからが本題だ。この攻略の流れまであのルーサーは調べたみたいだ。詳しい状況まではわからないけど、誰がどのように事件に関わった事はわかったみたいだ。その人物の名前がここに…。」

そこまでしゃべった直後にコマチの背後にあったルーサーのシミュレーターが急に作動を開始した。

「な、なんだ?」

「急に動き出したのだ! ちなみにミケはなにも触ってないのだ!」

「おれも触ってないよ?」

オキが近づきシミュレータを調べようとした時だった。

「気を付け…!」

「!?」

サラが異変に気づき止めようとした瞬間、装置は異常なまでにまぶしい光をだしオキ達を巻き込んだ。

「これは…。」

オキ達の目の前は一瞬で真っ白になり、意識が飛んだ。




はじめまして。うp主です。
初投稿であり、何年ぶりだと思われるほど完全に書き上げる勢いで書いています。
なので、文章力がほとんどありません。更に追い打ちを掛けるようにできるだけ確認は致しますが、誤字脱字が多く見られると思います。
もしよければ、ご承知おき願います。

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