恋愛ものが楽しみな方には申し訳ないのですが、こういうのが少し書きたくなってしまいましたw
青春とは嘘であり悪である。そんな文章をレポートにして平塚先生に提出した覚えがある。
だがそれはその当時実際に思っていた、感じていたことで今でもそれを否定はしない。例えばリア充共がウェイウェイしたり、部活に励んだり、彼女を作りデートに出かけたり、学校の帰り道に何処か寄り道して行く。
そんな事が彼らにとっては青春なのだ。何故そんな事をするのか理解に苦しむところだが人には人の生き方があり青春がある。だからそれにどうこう言うつもりはない。
冒頭に戻るがそのレポートを提出した事により半ば強制的にある部活に入部をさせられてしまった。最初こそは何故こんな部に入らなければならないと文句を垂れていたのだが、今となっては入ってよかったのかもしれない。
校内一と言われる才女の雪ノ下雪乃とアホの子由比ヶ浜結衣と共に普通の高校生とは有るまじき行為、言ってしまえば異常とも思える事を今の今まで経験した。もといさせられた。
依頼があるとその度にすれ違いなどを起こして来たが今はその心配もきっとないだろうと思う。彼女たちの優しさ、純粋さに触れて俺も少しだけ変われた気がするのだ。
猫のブックカバーに包まれている本を静かに読んでいる性格残念系女子にピコピコ鳴らしながら携帯をいじる清楚系ビッチ。そして腐敗系男子の俺。
全く異なる人種が集められたこの教室には別の時間が流れているような気がする。そんな空間が俺は嫌いじゃない。
3人の目の前には長机が一つ置いてありその上にはティーカップが人数分。半分くらい淹れてある琥珀色の紅茶が静かに佇んでいる様子を尻目に読みかけの小説を読む。仄かに香る甘い匂いが鼻腔を擽り無性に喉が渇いてしまいティーカップを手に取り少しだけ口に含む。
鼻から抜ける味は独特なモノでスッとした感覚がする。コトリと音を立てて元に戻すと先ほどと同じように本を読む。
「おかわりはいるかしら、比企谷君」
「あ、ゆきのん私も〜」
飲んだのがバレていた。邪魔しない様に静かにやったつもりなのだが。まぁバレるよな。
「そんなに飲んでないが、頼む」
「えぇ」
なんでもない様な会話に幸せに感じてしまう。少し耳を澄ましてみれば鳥の鳴き声や生徒たちの話し声が遠目に聞こえる。雪ノ下の淹れるポットから出るお湯の音。そして俺たちの会話。
昔思い描いていた光景が今再現されている。言葉にせずとも分かり合える関係なんて言わないけれど何となく分かり合えている気がしてしまう。ふっと思わず笑みが溢れてしまう。
「比企谷君は何を笑っているのかしら気持ち悪いからこっちを見ないで頂戴」
「うわっ、ヒッキー……キモい」
「……ほっとけ」
ーーこんな日常を青春とよんでいいのだろうか。