恋愛物語集。   作:Aru96-

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今回は八幡とはるのんです!


月曜日。

意識が覚醒する。こんな事言うとまるでどこかのラノベの主人公みたいだ。ついでに言っちゃうか。

 

「……知らない天井だ」

 

天井に向かって手を伸ばす。……やっぱ知ってるわ。だって自室だし。朝から何やってんだ俺、黒歴史ノート、ブラッティビブレにまた新たな1ページが加わってしまった。

 

女に囲まれてる部活とかなんなの。やっぱりあれなの、顔なの? 頭良くて優しくて異能の持ち主。豆腐の角に頭ぶつけろよもう。

 

まぁ、あれだ、ちひろちゃんがーー

 

「んにゅ」

 

今の音何ですか、腹か腹なのか。やっぱり朝はお腹減るカラナー。

 

「んんっ、おはよー比企谷君」

 

知ってた。もう驚かないよ、だって起きた時から体にちょっとだけ重み感じたもん。上半身を起こし白く細い指で目を擦る雪ノ下さん。すごく可愛い。

 

色々とやばい俺の聖剣が目を覚ましちゃってるから。いや朝だからね? これは仕方がないよね?

 

「んー……んふふー、ひーきがーやくんっ」

 

寝ぼけて聖剣に気付いていないのかそのまましなだれるように覆い被さる。胸の辺りに柔らかな感触がする。無心、無心だ。この間に沈めておかないと完全に起きた時に何されるかわかんねぇ。

 

雪ノ下さんの頬が俺の頬に触れる。若干すりすりさせてくるのは彼女がこれ以上なくご機嫌だという証拠。させるがまま、何も望まず人形のようにじっとして俺は遊ばれる。

 

ただそこに感情はあって嬉しい気持ちでいっぱいだ。つい先日俺と雪ノ下さんは彼氏彼女の関係になった。理由としては曖昧だけどそこには確かな一人の女性としての好意があった。

 

そんなこんなで俺の家に泊まる事になった訳だが。まさか抱き合ったまま寝てたとはね。

 

「本当に比企谷君だぁ、こんな近くに君がいる」

 

両手で俺の頬に触れる。目を細めて女神のように微笑む彼女の視線に耐えられず顔を背けてしまう。

 

俺に跨っていたのを鼻歌を歌いながら横にずれる。互いに向き合うと雪ノ下さんは俺の脇に出来た小さな隙間に腕を入れて背中に回すと抱き着く形になる。

 

腕枕をしようとしたら雪ノ下さんは少しだけ頭を浮かせた。そして腕枕をした方の手で頭を此方に引き寄せると鎖骨あたりに彼女の吐息が伝わる。

 

「比企谷君ていい匂いだねー、好きかも」

 

擽ったい感覚がしながらも足を絡めてさらに密着度が増す。すると首筋にちょっとした痛みが走る。

 

「跡つけちゃった、これで君は私のもの。そして私は君のもの……大好きだよ、比企谷君」

 

そう言って口付けをする。甘い香りが口と鼻に広がりずっとこうしていたい気分。やがて離れると少し冷たい空気が唇に触れる。名残惜しさと愛おしさが込み上げて俺は彼女の頭に頬を当てる。

 

「ねぇ、二度寝しちゃおっか」

 

「……はい」

 

今日は月曜日だ。学校は通常通りある、だけど1日くらいサボっても大丈夫だろう。

 

「……好き、大好きだよ、比企谷君、ずっと一緒にいようね」

 

そうやって彼女は目を閉じた。こうやってストレートに感情を出してくれるのはとても喜ばしい。今は直接言えないけど、いつかは言えるようにしよう。

 

 

 

 

ーー愛してます。陽乃さん

 

 

 

 


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