コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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第5話

「ランスロット……枢木スザク!!」

 

トンモで謎のKMFと共に突如現れたランスロット。ブラックリベリオン以来の再会である。

 

「こんな時に……いつも邪魔を!」

 

アキラは弾幕を張りながら2機から離れようとしたが地上からエリスのグロースター、スザクのランスロットの両機が同時に攻めてきてアキラは思うように動けなかった。

 

空中にいるランスロットに向けライフルを放ったが素早い動きで回避し背中に装備している主砲らしきものをアキラに向け発射した。

 

「っ!?」

 

アキラは瞬時に回避したがライフルが巻き込まれ失った。

 

(機体性能が上がっているだけじゃない。何だあの背中の大砲は?)

 

アキラは残りの武器のスラッシュハーケンを使ったがスザクはMVSを使って切断し残りを蹴りで弾いた。

 

勝機がないと見込んだアキラはここから街に出られるルートを探り、そのルートに沿って逃走した。

 

戦闘に巻き込まれないよう一般市民が逃げ惑う中アキラは辺りを注意しながら進んでいったが横の建物を破壊し現れたのはエリスのグロースターであった。

 

「くっ。」

 

グロースターのソードを避けアキラはグロースターと組み合いとなりグロースターを建物に打ち付けた。

 

グロースターの頭部に右腕をパンチの要領で打ち付けその衝撃で右腕が破損してしまった。

 

グロースターは起き上がりソードでアキラが乗るグラスゴーの頭部と左腕を切断した。

 

アキラはこれ以上の戦闘が不可能だと判断し脱出装置を作動させ機体と分離した。

 

少し離れたところに不時着しアキラは急ぎコックピットから出て街に隠れようとした。

 

「っ!?」

 

コックピットのハッチを開いた瞬間目の前には白いグロースターが立っていた。

 

やられるとアキラは覚悟を決めたがグロースターのコックピットが開きパイロットの女が姿を現した。

 

「やはり………流崎アキラ。」

 

「………何故俺の名前を?」

 

敵パイロット、エリスは動揺し目が泳いでいるように見える。

 

「私の名はエリス。」

 

「エリス…………。」

 

「流崎アキラ、私はお前の事を知っている。」

 

「…………。」

 

「答えろ! お前は……私の一体何なのだ? 私の事知っているのか?」

 

アキラはエリスの問いの意味がわからずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アキラ、応答しろ! アキラ!!」

 

アレクセイ達は王国領内の小さな軍事基地にいた。 アレクセイはアキラに連絡をとろうとしているがアキラから応答がなかった。

 

「アレク、アキラの奴は?」

 

イゴールもアキラの安否が心配になり通信を呼びかけているアレクセイに声をかけたがアレクセイは首を横に振った。

 

「応答はない。あれから既に1時間は越している。」

 

「敵地の真ん中だ。生きてるはずがない。まぁ特進は俺が将軍に進言しておいてやる。」

 

初対面からどこか気に食わなかったアキラがいなくなったことでトニーは気分がよかった。

 

「隊長、アキラの救出に行かせてください!」

 

「俺も行くぜ!あいつのおかげで生きて帰れることができたんだ。このままじゃあ俺の気が収まらないぜ!」

 

アレクセイとイゴールはすぐにも出発しようとしたがトニーが止めた。

 

「たった1人の為に助けにいくような馬鹿なことはよせ。もう奴は死んだんだ、あきらめろ。」

 

「し、しかし……。」

 

「これは命令だ! それに他の連中は乗り気じゃなさそうに見えるが。」

 

トニーの言葉に2人は振り返った。ジェノムは腕を組み首を横に振った。

 

「吹雪が激しくなった。今行ったらお前達まで戻れなくなる。」

 

寒帯で過ごしアレクセイ以上に自然の恐ろしさを熟知しているジェノムに2人は肩を落とした。

 

岸谷は黙ったままその場をあとにし用意された個室へと入っていった。

 

「はぁはぁはぁ、誰が……誰がいくもんか。」

 

顔は真っ青になり体が震えまるで何かに怯えるように岸谷は体を丸くしている。

岸谷は徐に懐から小さなケースを取り出した。

そのケースの中身を取り出し岸谷の表情は安堵した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-3日後、ハバロフスク ブリタニア軍事基地-

 

演習場にて2機のKMFが模擬戦を行っていた。

1機はスザクのランスロット、もう1機はエリスのグロースター。エリスは俊敏な動きでスザクを追い詰めようとするがスザクも負けじと空へ飛び空中からエリスを攻める。

エリスはジャンプをしてランスロットに攻撃をしようとするが回避され地上に降りた隙を突かれ回し蹴りをもらい倒れてしまった。

 

 

 

「お疲れ様、スザク君。」

 

「どうだい、新しいフロートユニットは? 前使って物より数段に良くなってるよ。」

 

模擬戦を終えたスザクを特派のロイド、セシルが出迎えた。

 

「はい、ハドロンブラスターの重みも問題なく操縦できます。」

 

「まだできたばかりだからどこかでテストしたいなって思ってたらいい時にお呼ばれされたよね~。」

 

ロイドは楽しそうにしていた。

 

「失礼しますよ。」

 

部屋に入ってきたのはドリーとジョディ兄妹であった。

 

「ロイド伯爵、それとナイトオブセブン、枢木 スザク、エリスの相手をしていただき感謝します。」

 

「こちらもデータが入手できましたよ。ふっふふふ。」

 

「それでナイト・オブ・セブンに聞きたいことがあるのですが。」

 

ドリーはスザクに話しかけた。

 

「我々のエリスはどうでした?」

 

「………彼女の攻撃を回避するのがやっとでした。もしランスロットと同等の機体に乗っていれば結果は変わっていたのかもしれません。」

 

「っと言うと?」

 

「どこか機体が止まったりぎこちなくなっているように見えて、グロースターが彼女の反応動作に追いついていないように思って………。」

 

スザクの指摘にドリーは腕を組み考え込んだがしばらくして笑みをこぼしはじめた。

 

「ふっふふふ。さすがナイトオブセブン、1度の戦闘でそこまで気づくとは。」

 

「実は彼女の為に専用機を開発しているところなのです。」

 

ジョディは普通なら隠すことを惜しげもなく言った。

 

「専用機ですか………。」

 

セシルは聞き返すように呟いた。

 

「えぇ、もうすぐ完成します。」

 

「でも、いいの? そんなこと僕達に言っちゃって。」

 

ロイドはいつもの口調であるがその目は兄妹2人に不審な目を向けていた。それに気づいたのかドリーは苦笑いをした。

 

「エリスは本格的に陽炎の部隊に編入させ活躍させます。遅かれ早かれ機体はお目にかかれるわけですよ。そちらのランスロットには及びませんがいい機体になります。完成すればまたお相手お願いします。」

 

ドリーは不敵な笑みを浮かべて最後に一言。

 

「その時はランスロットを破壊しないようエリスには伝えておきますよ。 では。」

 

2人は部屋を出た。

 

「破壊しないように……言っちゃってくれるね。」

 

「でも彼女、エリスさんの動きはとても人間とは思えません。グロースターがあんなに動くのをはじめて見ました。聞いた話では体だけじゃなく脳に手を加えていると……。」

 

「戦う為につくられた兵士パーフェクトソルジャー。どんなものか僕も興味あるなぁ~。」

 

「もぉ、ロイドさん。」

 

いつもの調子に戻ったロイドにセシルはため息を吐いた。スザクは部屋を出ようとした。

 

 

「スザク君?」

 

「少し用事が……すぐに戻ります。」

 

 

 

スザクは基地の外れにある捕虜収容所にやってきた。いくつもある独房の中スザクはある独房のまえに立ち止まった。

 

「…………お前か。」

 

そこには拘束衣を着せられ座っているアキラがいた。

 

 

 

 

 

 

-ハバロフスク 市街-

 

「おい、その話本当か?」

 

軍、政府の動向を探ろうとハバロフスクにいた坂口は宿泊しているホテルである人物と連絡を取っていた。その話の中で捕まった捕虜について教えてもらっていた。

 

 

(最近、捕まった敵の捕虜に元陽炎だった奴……。)

 

それは間違いなくアキラだと坂口は確信した。

 

「………あぁ、俺もすぐに街からでる。あんたも捕まるんじゃねぇぞ。」

 

連絡を終えた坂口は窓から外を眺めていると2台の車から黒いスーツとサングラスをかけた7、8人の男の集団がホテルに入ってくるのを目撃した。

 

 

 

 

 

 

 

「この部屋だ。」

 

黒ずくめの男の集団は坂口がいる部屋の扉のまえにいた。

 

1人がホテルから用意してもらったキーを使い扉を開けた。

 

全員が雪崩れ込むように部屋に入り辺りを探った。

 

「いません。」

 

「ベランダにもいません。」

 

「感づかれたか、まだ近くにいるはずだ周りを探せ!」

 

 

 

 

「ふぅ、間一髪だったな。」

 

ホテルから出た坂口の額から冷汗が流れた。

 

「アキラに知らせなぇとな。こりゃあ大変な事になるぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独房越しでアキラとスザクは対峙していた。

 

「死んだと思っていたけど……生きていたんだね。」

 

アキラはスザクの格好を見た。

 

「………お前がラウンズだったのか、偉く出世したな。学園の連中は無事か?」

 

「今の君には関係ないだろ。」

 

スザクの冷たい視線をアキラは感じた。

 

「…………そうだな。」

 

「ゼロはもういない。何故戦う?」

 

「生きる為だ。俺はまだ死ねない。」

 

「彼女、カレンとまた会えると?」

 

「そのために今戦っている。」

 

それから2人は黙ったままであったが両者の鋭い視線がぶつかり合っていた。

 

「話は終わりか?ならもう帰ってくれ。」

 

「貴様になくとも私にはあるのだが。」

 

2人とは違う声し2人は声の主がいるところを見た。

 

「あなたは!?」

 

「井ノ本………!」

 

井ノ本はドリー、ジョディ兄妹を連れアキラがいる独房のまえに来た。

 

 

「…………確かにあんたとは色々話したいことはあるな。」

 

「話したいことか……だいたい察しはつくが。」

 

「あの女、エリスは一体何者だ?」

 

「ナイトオブセブン、失礼ですが少し………。」

 

ドリーがスザクのほうに顔を向けた。

 

スザクは黙って独房部屋から出て行った。 

 

「こうして直接顔を会わせるのは久しぶりだな流崎。」

 

「俺もあんたと再会できて嬉しいよ。できることならすぐにでも殺したいぐらいな。だがその前に……」

 

 

井ノ本は苦笑いをした。

 

「彼女の名はエリス。PS、パーフェクトソルジャーだ。」

 

「パーフェクトソルジャー……。」

 

「パーフェクトソルジャーは遺伝子工学、脳生理学などさまざまな分野のエキスパートを世界各国から集めて創められた計画、無論僕らブリタニア人も参加している。目的は完全なる兵士を生み出すためだ。」

 

ドリーが代わりに説明を始めた。

 

「マイクロコンピュータと一体となり精密な判断力、そして常人の限界以上に引き出せる演算速度。人間の人体、筋肉組織を最新の科学技術により遥かに発達させた。それともう一つ脳細胞に手を加えた。我々人間は日々進化する科学技術に全て対応できる訳ではない。しかし脳に秘める限界を引き出せばそれが可能となる。その為一度彼女の記憶を全て消去させることにした。つまり一度赤ん坊の様に無の状態にさせなければいけない。 その上で戦闘プログラムを脳にインプットさせる。それからは私たちと同じ人間として変わらない情報、知識が自然と与えられる。」

 

 

「………完全なる兵士、だがそれだけじゃないだろ。」

 

アキラは井ノ本のほうを睨んだ。

 

「俺が参加した作戦。それにもパーフェトクソルジャーが関係しているのだろう。」

 

「やはり知っているのだな。」

 

「あぁC.C.、あの女が拉致されていた。基地でギアスを研究していたんじゃないのか?」

 

「…………そうだ。このPS計画にはギアスも組み込まれている。」

 

「あんたがオカルトじみたもんに興味を持つんだな。」

 

「だが現実に存在する。ギアス、王の力、他者の思考に干渉する特殊能力。私はこの力を独自で研究しギアスを超越する人間を目指した。」

 

 

「…………そんな話俺に聞かせてどうするつもりだ?」

 

「実はあなたにお願いがあるの。」

 

ジョディは眼鏡をかけ直し話した。

 

「彼女と戦ってほしいの。」

 

「俺と?」

 

「今までエリスとの戦闘で無事生き延びたのはあなただけ。そんな貴重なあなたをここで死なせるのはもったいないから無理いってエリスの模擬戦の相手をあなたにさせたの。」

 

「…………なるほど模擬戦という名の処刑か。」

 

ジョディはふふっと不適な笑みを浮かべた。

 

「理解がはやくて助かるわ。もちろんあなたには拒否権はない。」

 

「…………わかった。」

 

「3日後、ここから60キロ離れた廃工場で行われる。KMFはこちらで用意させるから。」

 

 

井ノ本達が独房部屋から離れる前にアキラは井ノ本の名を呼んだ。

 

「井ノ本、あんたは突然、ブリタニアに寝返った。一体何が目的だ?」

 

 

「私は追い求めていたものが何なのか見極めるためにここにいる。」

 

その言葉にアキラはただ黙っているだけであった。

 

 

 

捕虜収容所をでたスザクは長い通路の窓を見つめた。外はまだ吹雪で荒れていた。

 

1年ぶりに再会したアキラは未だ自分達に盾を突き反抗を続けている。

自分にむけ彼は攻撃的な鋭い眼光を睨みつけていた。

 

 

(流崎アキラ、奴はユフィを……許すわけには。)

 

その時、遠くから足音しスザクは反射的に音があった方向に顔を向けた。

 

「あなたは!」

 

「君は……。」

 

物腰が穏やかな表情をした男性マクシムが数人の側近をつれていた。

 

「マクシム国王。」

 

「ふふっ、よしてくれナイトオブセブン。今はブリタニアに屈し国を捨てた愚な王だ。」

 

「そんな……長年のブリタニアとの戦いで国は疲弊したと聞きます。あなたはそんな国を救おうと戦争を早期に終結させようとしている。あなたの呼びかけでこちらへ恭順している勢力もありもうすぐサドナ王国も新しいエリアに編入されます。あなたのおかげで無駄な血を流さずに済むのです。」

 

スザクの言葉にマクシムは苦笑いをした。

 

「カティア、私のほうはもういい。スザク君、少し時間はあるかい?」

 

側近達と別れ、2人はマクシムの私室にいた。広いリビングにはマクシム自身の物から親族の者まで様々な写真が並べられていた。

 

「今日は冷えるな。」

 

マクシムは暖かいコーヒーをスザクに渡した。

 

「ありがとうございます。」

 

スザクはある1枚の写真を見つめていた。大きな樹木の下でマクシムと先程側近の1人でいた女性ともう1人見たことのない男性が写っていた。

 

「彼は私の親友だ。生まれも育ちも関係なく付き合えた友達だ。もちろん彼女のほうもね。」

 

「彼は今どこに?」

 

その問いにマクシムは曇った顔をした。

 

「失礼しました。」

 

「いや、いいんだ。」

 

その時マクシムはあることを思いついた。

 

「スザク君、聞きたいことがある。」

 

「なんですか?」

 

「君は敵国であったブリタニアに属しブリタニアの人間として今ここにいる。」

 

マクシムの言葉にスザクは強張った表情をした。

 

「君はこれからどうするつもりなのか?」

 

「………今、自分がブリタニアでいることで変えることができることがあります!ゼロのような他人を犠牲にするようなやり方ではなく違うやり方で、そのために今ここにいます!」

 

スザクの真剣な眼差しでマクシムはフッと微笑んだ。

 

「悪かった。アレク……いやこの写真の男にも同じことを聞いたことがあってつい君にも聞いてみたくなってね。」

 

 

マクシムは懐かしむように写真に触れた。

 

「スザク君、国をつくるのに必要なものはなんなのかわかるかね?」

 

「必要なもの……?」

 

「私が幼い頃、勉学を教えてくれた恩師が教えてくれたんだ。」

 

マクシムは写真をスザクに渡した。

 

「後ろにある樹木どう見える?」

 

「………樹齢が長い立派なものだと見えます。」

 

「首都ヤールンにある木で私の祖父の代からあると聞いている。………だがこの木の根は腐っている。」

 

「腐っている?」

 

「白蟻に食い荒らされ今にも倒れ掛かっている。…………この木そのものがサドナ王国だ。」

 

「………どういう意味ですか?」

 

「いかに立派な木でも時が過ぎれば腐りだし少しの拍子で倒れる。国も同じだ。いかに立派な国を建立しようが10年20年としだいに綻びはじめ何かのきっかけで崩れだす。」

 

「国は滅びるものだと……。」

 

「ブリタニアもそうだ。今の繁栄もそれがいつまでも続くわけではない。それが1年後、または20年後それは誰にもわからない。恩師は言った永遠なものはないと……だが国は倒れたままでは駄目だと、新たな木を植える者がいなければいかんと。国という新たな木を植える人を育てなければいけない。」

 

神妙な面持ちで聞いているスザクにマクシムはさら次の言葉を投げかけた。

 

「君がこれからどのような道を歩むか君次第だが憶えてほしい、誰かを犠牲にしなければ開けない道もあると。」

 

その言葉にスザクはキッっと睨むような鋭い目つきをした。

 

「あなたはゼロのようなやり方は正しいと!!」

 

「彼のやり方は人を欺き、利用する卑劣な手法だ。………だが時として誰かを犠牲にしなければいけない選択もある。その時君はどうする?」

 

「僕は認めません、あいつの………やってきたことを絶対に……!!」

 

失礼とスザクは立ち上がり部屋を出て行った。

 

(アレク………お前も彼と同じことを言うのだろうか……。)

 

 

 

 

 

-サドナ王国 首都ヤールン-

 

「あんた達!仲間を見捨ててよく呑気に酒なんか飲んでいられるね!!」

 

皆が女と酒を楽しんでいる店で女性が大きな声が響いた。

 

「ちょっとレイナ!お客様になんて事言うの!!」

 

客であるアレクセイ達に罵声をとばしたレイナに一緒にいた女性が制した。

 

「仕方ねぇだろ。俺たちだって死んじまうところだったんだ。」

 

機嫌が悪そうにイゴールは酒を呷っていた。

 

「あいつがいなかったら俺たちもどうなっていたか………。」

 

ジェノムも沈んだ顔で呟いた。

 

アレクセイも同席しているが岸谷だけは誘いを断りここにはいなかった。

 

「どうしたアレク、何か考え事か?」

 

先程から酒に手をつけず考え込んでいるアレクセイにイゴールは声をかけた。

 

「いや、ちょっとな……。」

 

 

 

(あの作戦で目的だった要人全員が殺されていた。俺達が殺したとは思えない。だが普通なら奪還するはずの要人を敵が殺すのか?………まさか殺されるような事をしたのか?いやだとしてもこんな手間をかけるような事を何故するんだ?)

 

トンモで行われた作戦、すぐに終わると思われた作戦であったが敵からの攻撃で自分達が取り残され標的であった敵の要人も死に作戦は失敗に終わった。

だがその要人は何者かによって殺されていた。

あの作戦は事前にこうなるよう仕組まれていたなのではアレクセイはそう思いはじめていた。

 

 

「坂口のおやじも連絡つかねぇしどうしちまったんだろうな。」

 

イゴールの言うとおり坂口の姿がここ数日見えないことから何か事件に巻き込まれたのか、それもアレク達の気が掛かることでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、アキラ達は基地から60キロ離れた廃工場にいた。

 

『いい、戦闘区域はこの廃工場の中だけよ。もし出ようとしたりしたらわかっているわよね。』

 

ジョディの言うとおり廃工場の周りには数機のKMFが囲んでおりアキラが逃亡できないようになっている。

 

『よぉし、準備はいい。いつでもはじめてくれ。』

 

ドリーの合図にアキラは用意されたサザーランドを起動させ廃工場の中へと入っていった。

 

アキラのサザーランドはライフルだけとシンプルな機体である。

 

周囲を警戒しながら進んでいく中ライフルの銃弾がアキラを襲ってきた。

 

アキラは回避し瓦礫を盾に隠れ奥からエリスが乗るグロースターの姿が確認された。

 

 

 

 

-お前は……私の一体何なのだ? 対峙しているエリス、あの女は自分が何者なのかわからずに戦場に立っている。そんな彼女に俺は銃口を向けている。井ノ本の手の平の上で踊らされるように…………-




マクシムとスザクとの会話はある有名漫画家のある作品から引用したものです。

少し話しのパートが長くなったので戦闘は次回で 

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