コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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だいぶ遅れましたが43話です。どうぞ


第43話

自分達を追う者達の気配を感じながらアキラとジェノムは岩の上、岩と岩の間を通り追っ手を振り切ろうとした。

 

「気をつけろ。足場が悪い、足を滑らせると落ちるぞ」

 

ジェノムの言うとおり少し足を踏み外すと谷へと落ちてしまう。夜中で視界が悪い中で慎重に進んでいく。

 

『捕獲が目的なので殺してはいけません。ただし動けないようにしてください』

 

ディートハルトからの指示に部隊はアキラに向け発砲した。

 

銃弾が掠めながらもアキラ達は銃で応戦しながら先へと進んでいく。ジェノムもレバーアクション式の古びたライフルを取り出し応戦する。

 

進んでいくと断崖絶壁へと辿り着きアキラの足が止まる。

 

「ジェノム!!」

 

「ここを通るしかない!先に行け!!」

 

ジェノムは断崖に片手を置きもう片方の手のほうは銃をレバーのほうを軸に回転させ新しく銃弾を装填させると片手でライフルを撃ちながらアキラに続いて行く。

 

足場を気をつけながら進んでいくとプロヘラの音が遠くから聞こえてくる。

 

「アキラ、あれは…!」

 

遠くから武装ヘリがこちらへ近づいてくる。

 

「流崎アキラ、すぐに武装解除して我々に従ってください」

 

声の主はディートハルトだと気づきこの連中の正体が黒の騎士団だとアキラはわかった。

 

 

「アキラ……」

 

ジェノムはアキラの肩に軽く触れると視線を下のほうへ向ける。アキラもジェノムの視線を追うあるものに気づくと互いに視線を合わせる。

 

「あなたに逃げ場はありません。すぐにでも……」

 

上空から地上からと追い詰める黒の騎士団にアキラとジェノムは断崖から飛び降りた。

 

2人は断崖の下にあった。木の茂みへと落ちていった。

 

「くっ、追うんだ!」

 

顔を腕で隠しながらアキラは落下していき2人は川岸へと落ちていった。茂みで落下の速度が緩やかになりながらも身体に傷があちこちにできた。

 

「アキラ、こい!」

 

ジェノムに従いアキラは川の下流へと降りていく。武装ヘリがサーチライトでアキラの居所を探る。

 

2人はライトを掻い潜りながら下流へと降りて行く。

 

 

ヘリは機銃掃射で辺りを撃ちだしアキラをあぶりだそうとする。

 

 

「異能生存体なら、この程度で死にはしないはず」

 

岩陰に隠れて2人は銃撃を防ぐ。

 

「ジェノム、動くな。連中は俺達の居場所はわかってない」

 

 

今、機銃は闇雲に撃ってるだけで下手に動けば当たってしまう恐れがある。

 

アキラとジェノムはヘリの背後をとるとそのまま隠れて茂みの中へと消えていった。

 

「アキラ、ルートから外れるがこのままいけば下山できる」

 

しかし、茂みの中を駆け下り道が開かれる手前になりアキラはジェノムを止めた。

 

「サザーランドか!?」

 

敵も気づきライフルの銃口をアキラに向ける前に先アキラがショットガンでサザーランドの胸部を撃った。

 

 

 

「ん? 何事だ?」

 

軍ではない謎の集団がこの地にいるとの情報を掴みジェレミアはアーニャと共に調査に行っていたが銃声らしきものが聞こえた。

 

「アーニャ!」

 

「聞こえた」

 

「モルドレッドで先に向かってくれ。私達も続けていく」

 

 

 

 

 

 

 

アキラを追い下流へと降り探っていたディートハルト達は待機させていたサザーランドを発見した。このKMFは本国へ密入国した際裏ルートで仕入れてきたサザーランド1機であった。

 

「流崎アキラがこちらへ向かったか?」

 

だがその直後サザーランドがこちらへ向けてライフルを発砲した。

 

「うおっ!?なんだぁ!!」

 

玉城は戸惑いの声をあげるがディートハルトは辺りを見てあることに気づいた。腕を押さえて倒れている黒の騎士団の団員が蹲っていたのだ。

 

「あそこに乗ってるのは……」

 

サザーランドを奪い搭乗したアキラはジェノムを腕の上に乗せると走り去ろうとした。しかし、直後もう1機のサザーランドが現れアキラが乗るサザーランドを羽交い絞めにした。ジェノムもその衝撃で弾き飛ばされた。

 

「あのKMFに乗っているのはおそらく流崎アキラです」

 

 

機銃でアキラのサザーランドの足元を撃つが直撃はせず羽交い絞めしている味方機に命中していた。アキラの動きを止めるはずが逆に味方のサザーランドが行動不能になり脱出装置が作動し羽交い絞めが解かれた。

 

「なんでだよ!?」

 

玉城は命中しないことに困惑していたがディートハルトはもしやとニヤッと不適な笑みを浮かべると。

 

「そこをどけ!!」

 

ディートハルトは機銃席に座っている団員をどかしトリガーを握りアキラのサザーランドへ発射する。

操縦系統に異常が発生したのかアキラの動きが止まったまま機銃の銃弾の雨に晒され左腕が破損し機体は銃弾により穴だらけになったが脱出装置は作動せずアキラの機体は沈黙したままとなった。

ディートハルトはアキラの生死を確認しようと発砲を止めたがしばらくしてアキラのサザーランドはゆっくりと歩きだし足元に転がっていたライフルを拾い上げた。

 

「こっ…これが異能生存体…!奇跡だ!!私は今奇跡をっ!」

 

アキラの生存を確信しディートハルトは狂気の笑みを浮かべる。ゆっくりと銃口をこちらへ向けるアキラに彼はロケット弾のトリガーを押そうとし玉城は慌てる。

 

「おっおい!? アキラを捕まえるんだろ!」

 

「あなたも見たでしょ!彼は異能生存体、絶対死なない。なら…」

 

ディートハルトはアキラにゼロのギアスに匹敵する魅力に取り付かれていた。

 

「おいよせ!」

 

2人が揉めている瞬間、ヘリが大きな衝撃に襲われる。

 

 

アキラを助けようと身を乗り出したジェノムであったがどこからかミサイルの攻撃に巻き込まれしまった。

 

「アーニャ」

 

「ヘリ1機撃墜した。」

 

モルドレッドから発射されたミサイルでヘリは操縦不能となりこの場から離れていきどこかへと落下したのか爆煙を立ちこませる。

 

ジェレミアも現場へと到着した。

 

「ヘリは別働隊に任せる」

 

ミサイル攻撃で完全に沈黙したサザーランドをジェレミア達は囲み警戒しながらハッチを開くと意識を失ったアキラがいた。そしてアキラの身体を見てジェレミアは目を疑った。

 

「銃弾が身体に被弾していない……!?これが異能生存体……」

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の部隊に捕えられて数日、カレン達は独房へと閉じ込められていた。

 

「千鶴、大丈夫?」

 

疲労の色を滲ませる千鶴にシャーリーは心配そうに寄り千鶴は背伸びをして大きな口を開き欠伸をする。

 

「もうヒマだよ~。もう何日?」

 

「ったく、お前は緊張感ってのねぇのかよ」

 

千鶴の態度に坂口は呆れてしまう。そんな中カレンはベッドの上で静かに佇んでいる。坂口はカレンに近寄り話しかける。

 

「連中は軍か?それとも…?どちらにしろ俺らをこのままにする理由が……」

 

「もし理由があるとすれば………アキラ!」

 

「俺らを餌にするってわけか?」

 

「連中のことが分かればどう動けばいいかわかるけどね」

 

独房の扉が開き数人の兵士が入ってきてカレン達を見渡す。

 

「そこの女とお前でろ」

 

カレン、そしてシャーリーに銃口を向けられた。

 

「待って!私はいいけど、シャーリーはどうして?」

 

「そういう命令だ」

 

「命令?」

 

黒の騎士団でもないシャーリーを何故?

 

「カレン!」

 

シャーリーは深く頷く。素直に従おうと目で伝える。

 

「……坂口さん、すぐに戻る」

 

カレンとシャーリーは兵士に連れられ独房を出た。

 

 

2人が連れてこられた場所は花が植えられている艦とは思えない場所であった。

 

しばらくすると車椅子に乗った1人の少女が現れた。それはカレン、シャーリーがよく知っている子であった。

 

「っ!?」

 

「ナナちゃん!?」

 

先のトウキョウ戦で死んだと思われたナナリーであった。

 

「お久しぶりです」

 

「……生きていたんだね」

 

「はい……。シュナイゼルお兄様のおかげで」

 

「シュナイゼル………!」

 

カレンは周囲を見渡し監視カメラがあることに気づく。

 

「ナナちゃん、この艦は今「シャーリー待って!」」

 

ナナリーに聞こうとするシャーリーを少し強引だがカレンは遮る。

 

「ごめん。ナナリー、私達あなたに聞きたいことがあるの」

 

落ち着いた口調で話しかけるがカレンはナナリーがいつもと違うように思えて警戒している。

シャーリーもカレン、そしてナナリーの雰囲気が違うと感じ口を慎しんでしまう。

 

 

「それは私もです。そのためにここへ2人を呼んだのです。………カレンさん、あなた達は何故ブリタニア本国にいるのです?」

 

「それはナナリー個人の質問?それともあなたの背後にいる連中の指示?」

 

「両方です。……私はお兄様とアキラさんを止めるためにここにいるのです」

 

「お兄様…?ナナちゃん、ルルのこと……」

 

「はい。お兄様がゼロであったとそしてアキラさんのこと、異端者も! カレンさんあなた達はアキラさんが本国にいるのを知って密入国を?」

 

「…………知ったらどうだっていうの?」

 

「私はワイズマンがこの世界を裏で操っているのを教えられました。アキラさんもワイズマンの同じ存在の人だと」

 

「それはもう一人の兄さんのほうの口から聞いた話でしょ」

 

「全てを鵜呑みにはしません。しかし、私はアキラさんの心奥底から見える得体の知れない恐怖を何度も感じ取ったことがあります。時々あの人が恐ろしく感じるときがあります」

 

 

「そう、怖いんだねナナリー、ルルーシュと同じように」

 

「ギアスも同じです。お兄様はゼロを名乗って人の心を踏みにじってきた」

 

その言葉にシャーリーの表情が曇る。

 

「私はそんなお兄様が許せません!」

 

「でもそれはナナちゃんの事を…!!」

 

「だからです!!だから許せません!お兄様も私自身も……」

 

「それで、ルルーシュとアキラをどうするの?殺す?」

 

「………。それで全てに決着がつくのであれば私は罪を背負います!それで世界が生まれ変わるのであれば!!」

 

ナナリーのその言葉にシャーリーは強張り、カレンは深く溜息を吐いた。

 

「変わったねナナリー。もう立派な政治家の顔だよ」

 

皮肉にも聞こえるカレンの言葉。カレンから見てあのアッシュフォード学園にいたナナリーではなかった。

 

「アキラさんはどこにいるのですか?」

 

「知らない。知っていたとしても喋らない。あなたの話を聞いたら尚更ね」

 

ナナリーは悲しげな表情で俯く。

 

「それでどうする?私達を殺す?」

 

「カレンッ!!」

 

敵意を見せるカレンにシャーリーは止めようとする。

 

「シャーリー帰りましょう。もう話は済んだ」

 

「カレン……」

 

カレンは部屋から出ようとした時と数名の兵士達が現れ2人に銃口を向ける。

 

「っ!?」

 

すると更にコーネリア、ナイトオブラウンズを従えシュナイゼルが姿を現す。

 

「2人はもう少し付き合ってもらおうか」

 

「シュナイゼル………!」

 

「この要塞ダモクレスは今ペンドラゴンに向かっている」

 

中華連邦以来の再会となったカレンとシュナイゼル。急なことで不安げなシャーリーの前に立ちシュナイゼルから守ろうと彼を睨むカレン。そして1時間後、事態の急変していくことにまだ彼女は知るはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……誰だ?俺を呼ぶのは……? 待ってる俺を?……………ペンドラゴン………?すぐにはじまる…………―

 

 

「うっ………」

 

アキラが意識を取り戻し辺りを見渡すと医療器具に囲まれていた。自分は病室にいるのだとわかった。

すると突然自分の顔を覗くアーニャと目が合った。

 

「っ!?」

 

「起きた…」

 

アーニャは携帯を取り出す。

 

「ジェレミア、流崎アキラ起きた」

 

身体を起こそうとした時アーニャは銃を取り出す。

 

「動かないで。あなたは捕虜」

 

傍には自分の衣服と銃が置かれていた。

 

「ここはどこだ?」

 

「太平洋……もうすぐエリア11」

 

「エリア11…?」

 

「ルルーシュがあなたに用がある」

 

するとジェレミアが医務室へと入ってきた。

 

「あれから約12時間……あれだけ撃たれて致命傷も負わずにか……流石がと言うべきか流崎アキラ。君を連行することになった。大人しくしてもらおう」

 

「残念だがそれは無理だ。おそらくルルーシュはそれどころじゃなくなる」

 

「どういうことだ?」

 

アキラは医務室の時計を見る。

 

「もう時間だ。ジェレミア、ここで皇室専用チャンネルが映るはずだ。見せろ」

 

「何故、今それを…?」

 

ジャレミア達にはアキラの言っていることが意味不明に思えたがしばらくするとジェレミアの無線が鳴り応答すると

 

『大変です!ペンドラゴンが……!!』

 

 

 

 

 

 

 

エリア11にあるルルーシュの母校、アッシュフォード学園で行われていたブリタニアと超合衆国の会談はルルーシュの策略により神楽耶をはじめ各首脳陣達を拿捕しうまくいったが…………。

 

「ペンドラゴンが消滅!?しまった、先手を打たれたか!」

 

「おそらくフレイヤだ」

 

するとセシルからの無線が入ってきた。

 

『陛下、消失半径は約100km。推測どおりだとフレイヤによるものと思われます。それと、上空に巨大な要塞でしょうか?全長3kmはあります』

 

「ルルーシュ、やはり君の推測通り」

 

「あぁ。一次製造分のフレイヤ弾頭。間違いなくトロモ機関が開発していた天空要塞ダモクレスに搭載されているはず」

 

「ん?………、今ジェレミアとアーニャからアキラを捕えて今こちらへ向かっているとの連絡が来た」

 

「アキラがっ!?奴は本国にいたのか……!」

 

「面白くないな。そのタイミングでアキラか……」

 

アキラが潜伏していた本国の帝都ペンドラゴンの消失。C.C.には出来すぎる偶然でこれも異能生存体故なのかと毒づいた。

 

すると艦内の皇室専用チャンネルのモニターが乱れるとある人物が映された。

 

 

『他人を従えるのは気持ちがいいかい?ルルーシュ』

 

「シュナイゼル!」

 

『フレイヤ弾頭は全て私が回収させてもらった』

 

「ブリタニア皇帝に弓を引くと?」

 

『残念だが私は君を皇帝と認めていない』

 

「なるほど。皇帝に相応しいのは自分だと?」

 

『違うな。間違っているよ、ルルーシュ』

 

 

 

 

 

『お兄様、スザクさん。私は……お二人の敵です』

 

映されたナナリーの姿にアキラは特に驚く様子もなく。彼はナナリーの後方に立たされている2人の女性カレン、シャーリーに凝視していた。

 


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