コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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第34話

「流崎の傍に朝比奈がいた。なのに……あの男だけが」

 

アキラの姿を見て千葉は戸惑いを隠せずにいた。

 

「千葉無事か?」

 

「藤堂さん!流崎が生きていたとすれば朝比奈も…」

 

「千葉、味方が総崩れだ。後退して立て直すんだ」

 

「しっしかし!まだ……」

 

「千葉!今は味方を立て直すのが先決だ………」

 

「……藤堂。私だ」

 

「ゼロか! ここは一旦……」

 

「全軍トウキョウ租界に降下しろ。ナナリーを探すんだ」

 

この状況で何を言っているんだと藤堂は耳を疑った。

 

 

「な、待て!他にも多くの犠牲が出て総崩れだ。今は…」

 

「知ったことか、そんなもの!! アキラが生きていた。ならナナリーが生きているはずだ!!」

 

「っ!!」

 

「ナナリーを探せ。最優先だ。全軍でナナリーを探し出すんだっ!!」

 

 

「アキラ………」

 

カレンもゼロからの指示に戸惑い紅蓮の腕に乗っているアキラを見る。

 

この混乱した戦場に長居すべきではない。一度撤退したほうがいいのではと思うがアキラと視線を合わせるとアキラは頭を横に振るう。

アキラも自分と同じ考えだとわかり……

 

 

「ルルーシュ……ごめん」

 

 

飛び立とうとする紅蓮の横にいるヘルハウンドが立ち上がる。

 

「何故だカレン……何故私を……」

 

「……助けたいと思ったからよ」

 

「私はPSだ!!敵に情けをかけられるなど……私にとって屈辱だっ!!」

 

「そう………でも助かったんだから命、大切にしなよ。そこにPSだろうが関係ない」

 

飛び立つ紅蓮と共に離れるアキラをエリスは苦々しく見つめ

 

「あああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

殺したいはずのカレンに助けられエリスは屈辱を感じ、己の情けなさに絶叫した。

 

そんなエリスのもとに数機のKMFと小型機1機が現れ小型機からバーネット兄妹が降りてきた。

 

「よかった無事なのねエリス。さぁ帰りましょう」

 

 

 

 

 

 

 

-エリア15-

 

各基地の襲撃を行い移動中だったアレクセイ達にもエリア11での近況が耳に入った。

 

「一時停戦!?どういう事だ星刻?」

 

『こちらでも今確認中だ。どうやらトウキョウで何か起こったらしい』

 

「トウキョウ?」

 

言われてみれば敵の追撃が緩まっているようにもアレクセイ達も感じていた。

 

『何かわかればすぐに報告する。それまでは無理しないでくれ』

 

「何があったんだアキラ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、斑鳩のブリッジでは会談を申し込んできたシュナイゼルに対する対応をゼロ、扇がいない中藤堂達が協議していた。そして斑鳩から逃亡を図ろうとしたコーネリアも同席し会談は始った。

 

「ゼロとは先日の勝負がついていませんでしたからね」

 

「ゼロは参りません。お話の内容を確認した上で」

 

「でしょうね。出てこられるはずがない。彼は人に相談するタイプではありません。一人で抱え込み、人を遠ざけるはず」

 

まるでゼロの事を理解しているかのようなシュナイゼルの言葉にどういうことかと顔をそれぞれ見合わせる。

 

「ゼロのこと、よく知っておられるような口振りですね」

 

「ゼロは私やこのコーネリアの弟です」

 

「なんだと!?」

 

「神聖ブリタニア帝国、元第11皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。私が最も愛し、恐れた男です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑鳩へと帰還しすぐに治療をうけるよう促すカレンであったが当のアキラは心配するなと返すが今現在アキラを無理矢理医務室へと連れて行ったのだ。

 

「少しの打撲と出血であとは大きい怪我はない。少し安静にすれば問題ない」

 

軍医はアキラの治療を終え部屋を後にしカレンは一息吐いた。

 

「でもホントよかった。」

 

「………」

 

 

 

フレイヤ爆発の直前アキラはあれがスザクの言っていた兵器の事かと察し戦線から離脱しようとした。

 

「待てっ!!」

 

朝比奈はアキラを捕らえようと追跡する。

 

スラッシュハーケンで晋電の左腕を損傷させ動きを止める。

 

「っく」

 

アキラはダメもとでロケットエンジンに火を入れる飛び立つが故障したエンジンでは思うように飛べず更に暁のハンドガンを被弾し晋電のバランスが崩れエンジンが暴走した状態で落下しそして………

 

 

 

結果として偶然、あのフレイヤの射程範囲から外れたアキラが助かり朝比奈は命を落とした。

 

 

「………運が良かっただけだ」

 

 

それを聞きアキラの服の片付けをしていたカレンの手が止まった。

 

 

-異能生存体は自身の生存の為に周りの環境を変える-

 

 

以前会った井ノ本の言葉を思い出すがカレンは頭を横に振るう。

 

「アキラ、シャーリーの事だけど…」

 

「あいつは今、ここにはいない。坂口の輸送船で脱出した。とっつあんのところなら安心だ」

 

「そう、よかった……アキラ、あなたに謝りたいことが……」

 

「………カレン」

 

互いに真剣な眼差しで視線を合わせる。

 

「カレン、俺は戦いでしか生きられない。過去を否定しない。………それでもお前の……」

 

「アキラ、みなまで言わないで」

 

カレンはアキラの手を強く握る。

 

「陽炎のことごめんなさい。私は陽炎の本当の姿を知ってあなたのこと怖くなった。それは本音よ。……でもあれがあなたの全てだとは思えない!

学園でのあなた、今ここにいる流崎アキラ、それもあなたの本当の姿だと思う。過去を否定しない。それを受け入れて前を進むならアキラ、私はあなたの支えになる」

 

 

カレンの微笑みにアキラは彼女を優しく抱き寄せた。抱く力が強くなっていくがカレンは苦痛に感じることなくむしろそれに応えるように受け入れる。

 

 

「………お前だけだな。弱いところ見せても構わないと感じる」

 

「っふふ、いいよ。」

 

「失望したか?」

 

「まさか、弱いとこ1つや2つあるよ」

 

「………そうか」

 

 

暖かなカレンの身体に安らぎを感じこのまま時が過ぎるのを忘れさせるくらいでその身体を押倒したい衝動に駆られたがそんなことをしてカレンを傷つけたくはない。

その感情を押し殺した。……カレンだけに芽生えるおかしな感情。

 

「アキラ?」

 

アキラに様子にカレンは体を離す。

 

「いや……なんでもない」

 

その時カレンの携帯が鳴った。

 

「はい……ゼロ!!………わかりましたすぐに。アキラごめんなさい。ゼロからの呼び出しで」

 

「こっちは心配するな。少し休む」

 

「用が済んだら戻るから」

 

 

カレンが退室しベッドに横になったアキラであったが外が騒がしく聞こえ何かあったのではないかと感じた。

 

体を起こし外の様子を伺おうとした時ドアを横切った団員達の話し声が聞こえてきた。

 

「おい、ブリタニアが会談の申し込みに?」

 

「それも第2皇子のシュナイゼルが外交特使で直接来たらしいぜ」

 

団員達の話を聞いたアキラはドアを閉じた。

 

休戦の申し込み?だとしても何故シュナイゼルが?ゼロが何かしたのかとアキラは連絡をとりたかったが病室の電話ではゼロの私室に繋がらずアキラはゼロに直接会おうと病室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロが…ブリタニアの皇子…!?」

 

シュナイゼルの放った一言によって混乱している黒の騎士団。シュナイゼルはギアスの存在を黒の騎士団に公表した。

 

未だ信じられない面々だったがヴィレッタを伴って現れた扇も彼女から伝えられた真実を皆に伝えた。

 

「彼が言った通り、ゼロの正体はブリタニアの元皇子ルルーシュ。ギアスという力で人を操るペテン師だ!!」

 

「こちらがギアスをかけられた疑いのある、事件・人物です」

 

カノンはギアスに関係する人物の写真を見せ更にゼロとスザクが密談した時に録音したテープを皆に聞かせた。

 

「私とて、彼のギアスに操られていないという保証はない。そう考えると、とても恐ろしい。更に私達は事前にフレイヤ弾頭のことをゼロには通告しました。しかし、彼はそれを無視しました」

 

 

「俺は彼を信じたかった。信じていたかった。でも、俺達は彼にとってただの……」

 

「駒だって言うのか?……ちくしょーっ!ゼロのやろー!!」

 

憤りを隠せない黒の騎士団にシュナイゼルはほくそ笑む。

 

「しかし、今回のトウキョウでの惨事を引き起こしたのはもう1人いるのです」

 

「もう1人?」

 

これには扇も頭を傾げる。もう1人ギアスを使う者がいるのかと

 

「そう……流崎アキラ」

 

「流崎っ!?」

 

「なっ何だ?アキラもギアスを使えるって言うのかよ?」

 

意外な人物の名に一同驚く中、玉城が口を開いた。

 

 

「いいえ、彼はギアスは使えません。しかし、ギアスに匹敵する能力をお持ちです」

 

「ギアスよりも………?」

 

「そう…彼については井ノ本寛司卿、彼が一番流崎アキラを調べていた」

 

「井ノ本が……」

 

藤堂はかつて日本開放戦線時代、陽炎にて変な噂を聞いた事がある。

 

「そう彼は流崎アキラをこう呼んだ。異能生存体と…」

 

「異能……生存体……?」

 

「まさか………!」

 

「藤堂さん?」

 

様子の違う藤堂に千葉は心当たりがあるように見えた。

 

「以前、聞いた事がある。井ノ本はある人間を探していると……不死の人間を」

 

「そう、生命体には他に比べ群を抜いて生存率の高い固体が存在する。この説を基づいて彼は流崎アキラを異能生存体と呼んでいる」

 

 

「要するに不死身ってことかバカか!あいつがそんなわけあるよ!」

 

ギアス同様とても信じられないように玉城は鼻で笑うが扇は顔が真っ青になる。

 

「いやあいつは何度も死にかけていた!太平洋の戦いでは奴は一度死んで生き返った。医者の話だとケガの経過を見ても奴の回復力は常人の倍以上だと…!」

 

カノンはある資料を黒の騎士団に渡した。

 

 

 

「これは彼が皆さんと合流する前サドナ王国、現エリア15で我々と戦闘を行った時のデータです」

 

黒の騎士団の面々は目を通すがどれも突発とした内容には見えないが

 

「ご存知だと思われますがパーフェクトソルジャーのエリス、彼はエリスとエリア15にて闘い生き延びた。それどころか生身でエリア15の吹雪の中を歩き生存できた」

 

サドナ王国は寒冷地で有名な地域、そんな場所を十分な装備も無く歩くなど無謀

 

「だがこれを見るとその後彼は偶然通りかかった民間人に保護されて助かったと書いてある。偶然、運よく助かっただけじゃないのか!?」

 

扇もこれ見るだけではアキラが異能生存体だとは思えない。だがシュナイゼルは微笑みを浮かべる。

 

「そう……運がよかった、偶然が起こった。そうそれが異能生存体なのです」

 

シュナイゼルの言ってる意味が分からず黒の騎士団の面々は困惑の色を浮かべる。

 

 

「流崎アキラは今までの戦いで幾度も生還してきた。それが偶然に起こった現象ではないとすれば……?」

 

「……何が言いたい?」

 

藤堂はシュナイゼルの言葉の意味にある答えが頭に浮かんできた。

 

 

「井ノ本卿によると異能生存体はどんな奇跡でも引き起こすことができる。自身の生死に関わると周囲の環境を変え生存を果す。故に異能だと………。そう、彼は自身の生存のために……」

 

 

 

「何をデタラメを!!仮に奴が不死身だとしても生きるために自分の都合のいいように事がが運べるはずがない!!」

 

千葉はテーブルを叩き怒りを露にする。シュナイゼルの話がギアスのように突発過ぎるように見えたのである。

 

「……では先のトウキョウでの戦い、我々そして黒の騎士団のほうで大勢の犠牲を出しました。なのに彼が生存しているのは何故?調べたところ彼は爆心地から近い場所にいたとか」

 

「それは……」

 

千葉の言葉が詰まってしまう。ならアキラの傍にいた朝比奈は何故?未だに見つかったとの連絡はない。

 

 

「私は思うのです。1年前シンジュクゲットーで起こった事件。彼は軍と治安警察の包囲網を掻い潜り生還しました。しかし、結果ゲットーは壊滅、治安警察も再編成を余儀なくされるほどの被害を被りました。これは指揮権を持っていた高山昌克が地下を壊滅させる程の爆破作戦により被害が大きいとされますが高山をそうまでさせた原因はなんだったのか?」

 

 

黒の騎士団の面々の表情が段々と恐怖で硬直していく。

 

 

「先のトウキョウ戦、枢木卿が重戦術級の弾頭フレイヤを撃つきっかけをつくったのは誰か。フレイヤを撃たなければならないところまで追い詰めたのは誰か」

 

 

「それでは朝比奈は流崎が助かるために死んだというのか…!?」

 

「じゃあ……異能生存体がいればそれに巻き込まれて……」

 

アキラの戦いで起こった現象は全て異能生存体のアキラによって起こされたものなのか。藤堂、扇は恐怖で顔が引き攣る。

 

「アキラが助かるかわりに俺たちが死ぬってことかっ!?」

 

恐怖に慄く黒の騎士団にシュナイゼルは口を開く。

 

「みなさん。私の弟ゼロ、そして流崎アキラを引き渡していただけますね?」

 

 

 

 

アキラがゼロのところへ行く途中、ロロと遭遇した。彼の様子を見ると目が虚ろで体がふらついていた。

 

「流崎アキラ……」

 

アキラの顔を見てロロは乾いた笑い声をだす。

 

「今、兄さんのところに行っても無駄だよ。お前なら尚更だ。ふっふふ……兄さん、僕の顔見たくないんだってさ………」

 

ロロはそう言うがカレンはゼロからの呼び出しで出て行った。どうやら入れ違いになったように見える。

 

 

「…………咲世子はどうした?」

 

「さぁ……ナナリーを見つけたって行ってたからたぶん一緒に死んだんじゃないかな」

 

「シュナイゼルとの会談はゼロの指示で応じたのか?」

 

「会談?何の事?言っただろ、兄さんはそれどころじゃないんだ」

 

「……」

 

それでもルルーシュに会おうと先へと進もうとした時複数の足音がし振り返るとライフルを構えた3人の団員たちがいた。

 

「流崎アキラ、扇副指令の命令でお前を拘束する。ロロ、お前もだ」

 

「……っ!?」

 

「えっ!?」

 

突然の事で2人は困惑した表情をする。

 

「武器を捨てろ」

 

「……ロロ、殺すな。ライフルだけでいい」

 

アキラの言葉の意味を察しロロはギアスを発動させ止っている間3人からライフルを奪った。

 

「なっ!?」

 

3人は手元にあったはずのライフルがなくなり戸惑っている隙にアキラは1人をショットガンで撲り、もう1人を壁へと打ちつけ最後の1人の腕をとり組み伏せた。

 

「詳しく説明してもらおうか」

 

「お、扇副指令はゼロとお前をブリタニアに引き渡すと!」

 

「何故だ!?」

 

「ゼッゼロはブリタニアの皇子で今までずっと俺たちを騙してきたとお前はシュナイゼルからの要望だと」

 

「にっ兄さん!?」

 

相手を気絶させアキラはライフルを手にする。

 

「急げ!!ルルーシュはこのままだと…っ!?」

 

近くにいたロロの姿がない。おそらくギアスで先回りしたのだろうか。アキラも急ぎゼロの私室へと走った。

 

 

 

 

「兄さんっ!!」

 

ギアスを使い急ぎ私室へと入っていったロロであったがそこにいたのは急に現れたロロに怯えるC.C.だけであった。

 

「そんな…兄さんはどこに?………っぐ!?」

 

ロロは胸の痛みで膝をついた。ドアが開きルルーシュかと顔を上げるがそこにいたのはアキラであった。

 

「遅かったか。おいルルーシュはどこに行った?」

 

 

「ごっご主人様なら女の人と一緒にえ……っと、かくのうこ?ですか?2人で」

 

「カレン!?っく、急ぐぞ!」

 

だがしかし未だにロロは胸を押さえ蹲っていた。

 

「どうした?」

 

「ふふっ、僕がV.V.から失敗作だって言われてた。どうしてかわかる?僕はギアスを発動している間心臓が止まっているんだ。はぁはぁ」

 

ゆっくりと壁に寄りながら立ち上がる。

 

「兄さんを助けにいく」

 

「お前を嫌いだと言っていた奴をか?」

 

「確かに僕は兄さんに使われていただけなのかもしれない。でも…それでも僕の意思で兄さんと一緒にいたんだ!誰かに言われたからじゃない」

 

重い足取りながら歩き出すロロ

 

「僕は兄さんを助けたい!だからこの命を兄さんのために!!」

 

足が躓き転倒しそうになるがアキラが支えて体を起こさせロロの手を自分の肩に回し歩き出す。

 

「どういうつもりだ!?」

 

「行くぞ。のんびりしている暇はない」

 

「……っふ、まさかお前にこんなことしてもらうなんて」

 

「俺が援護する。その間お前はルルーシュと一緒に斑鳩に出るんだ」

 

「お前は?」

 

「俺はやることがある。それに…カレンを1人にはできない」

 

「彼女のため?」

 

「………あぁそうだ」

 

「そうか…なら、そうさせてもらうよ」

 

 

 

 

 

 

格納庫へ向かう途中ゼロとカレンはエレベーターの中で2人だけとなっていた。

 

「カレン、よく無事でいてくれたな。救助が遅くなってすまなかった」

 

「……ルルーシュ、私ね、ナナリーと話したわ。私のこと助けてくれたの」

 

「………そうか」

 

いつもの口調でいるが仮面の下はどうなっているのか。戻ってみるとC.C.の様子が変わり、助けるはずだったナナリーが死に本当なら私室に閉じこもっていてもおかしくないはずだ。だが事態がそれを許してくれない。

カレンは少しでも気分が晴れる話題がないかと思案する。

 

「ルルーシュ、こんな時に言うのもなんだけど元気だして、いつまでもそんなんじゃシャーリーに会わせる顔にはなれないわ」

 

「シャーリー……、そうだな。生きていたら彼女なら今の俺を見たらどう言うかな?」

 

「えっ!?知らないの!シャーリーは生きてるよ!」

 

「何っ!?シャーリーはアキラに…」

 

「違う!!アキラは彼女を助けたの!!今、シャーリーは…」

 

その時、エレベーターが止まり格納庫へと着き話が途切れた。2人は少し歩くと…強い光が二人を照らした。

 

「観念しろ、ゼロ」

 

「よくも我々をペテンにかけてくれたな」

 

「君のギアスのことはわかっているんだ」

 

藤堂や扇、黒の騎士団達がライフルの銃口をゼロに構える。

 

「っ!?」

 

「何っ!?」

 

「伝説の英雄ゼロは志半ばにして戦死。しかし、その勇敢なる生き様は永遠に語り継がれることでしょう。本当ならあなたがブリタニアに勝利するところまで撮りたかったのですが、残念ながら番組は打ち切りです」

 

カメラを構えるディートハルト、そして扇達と一緒に並んでいるシュナイゼルを発見し事の顛末が大凡理解できた。

 

(シュナイゼル……!?そうか、これは貴方のチェックか。ならば万が一にも隙はないのでしょう)

 

「待って!一方的すぎるわ、こんなの!ゼロのお陰で私達ここまで来られたんじゃない。ゼロの言い分も」

 

「退くんだカレン、今まで死んでいった仲間はゼロや流崎のために死んだんだ!!」

 

「扇さん!?何を言って…」

 

突然アキラの名が出てカレンは戸惑う。

 

「アキラは異能生存体。自分が助かるために誰かを殺す死神なんだ!!ゼロと同じでここでブリタニアに引き渡す!!」

 

「異能生存体!?なんでみんながそれを……!?」

 

異能生存体、この中でそれを知っているの自分だけのはず。そう思ったのだがシュナイゼルを見て彼が皆にアキラの事を喋ったのだと確信した。

 

「彼も拘束されているはずだ。これ以上犠牲が出ることはない………」

 

「そんな……だっだめ!!アキラ逃げて!!」

 

 

すると突如ゼロと黒の騎士団との間から蜃気楼が割って入るように現れた。

 

「蜃気楼!?」

 

蜃気楼はハドロンショットで周りにいるサザーランドを撃破、扇達の周辺にも撃ち辺りを騒然とさせる。

更に格納庫におかれている暁KMFをハドロンショットで出撃不能にさせるとゼロとカレンを手の中に入れその場から離れていった。

 

「まっまずい!!皆ゼロを追うんだ!!」

 

周囲が火に包まれる中扇達は必死でゼロ達を追いかけようとする。

 

 

艦の壁を撃ち風穴を開けると蜃気楼は止まった。

 

「一体、誰が…?」

 

手の中でゼロは立ち上がると先にコックピットが開きそこにはアキラとロロが座っていた。

 

「アキラ!!」

 

「お前たち……ロロ!?どうしたんだ顔色が…お前まさか!?」

 

「時間がない。ルルーシュ、ロロと一緒に逃げろ」

 

「アキラ…もういいんだ。俺は…」

 

「こいつはお前を助けたいから無理をしている。その気持ちを汲んだ後勝手にしろ」

 

「アキラ……」

 

アキラはルルーシュを無理矢理蜃気楼に乗せると自分は降りていった。

 

「アキラ、あなたも逃げて!!皆あなたも狙ってる。だから!!」

 

「カレン、俺はここでやることがある。それまでは逃げない」

 

「でも…!!」

 

「この騒ぎを起こした張本人に用事がある」

 

アキラの強い瞳にカレンは引き下がる得なかった。彼は自分と敵対、支配しようとする者達から逃げずに戦う人だと。

 

「ルルーシュ、教えて。あなたにとって、私は何?」

 

「カレン……」

 

「答えて……」

 

「………君は扱いづらい駒だったよ。アキラと同じだ。俺の指示通りに動くと思えば突然動き出す。自分の意思を持って己のために戦う。」

 

「ルルーシュ……」

 

ルルーシュはゼロの仮面を捨て苦笑いを浮かべる。

 

「誰からの支配を拒み生きる。それでいい。カレン、君は生きるんだ」

 

複数の足音が聞こえロロはコックピットを閉じアキラとカレンを降ろすとギアスで消えていった。

 

「動くな!!」

 

扇達から銃を向けられアキラは手を上げる。

 

「戦闘可能な部隊は蜃気楼を破壊に出撃させるんだ」

 

「無理です!!先程の蜃気楼の攻撃でここにいるKMFは全部……」

 

「何っ!?」

 

「悪かったな藤堂、俺も無我夢中でな。まわりをよく見てなかった」

 

不適な笑みを浮かべアキラは扇の前に出る。

 

「流崎、君を拘束する」

 

扇達の後ろに控えて立っているヴィレッタに気づいた。

 

 

「なるほど、そういうことか……ボスを追放してまで連中とどんな商談をしたんだ?」

 

ニヤリと笑うアキラに扇は眉を八の字にする。

 

「連れて行け!!」

 

連れて行かれるアキラにカレンは駆け寄る。

 

「アキラ!!」

 

「心配するな」

 

「でも……」

 

連れて行かれるアキラの後姿をカレンはただ見つめる事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

一方、斑鳩から出たルルーシュとロロは黒の騎士団からの追撃部隊はないがブリタニアからの部隊が追撃に来ていた。

 

「もういいロロ、俺を置いてお前だけでも…!!」

 

ギアスを何度も発動させながら追撃部隊から離れる蜃気楼だが発動させる度にロロの顔色が悪くなっていった。

 

「こんな広範囲でギアスを…。ロロ、これ以上はお前の心臓が持たない」

 

それでもロロは聞かず発動し続けた。

 

「絶対守護領域の計算がこんなに大変だなんて。やっぱり凄いや、僕の兄さんは」

 

 

 

―――俺はやることがある。それにカレンを1人にはできない―――

 

 

「誰かのため…!!」

 

「やめ…」

 

「流崎アキラ!お前の気持ち少しわかったよ!!」

 

「…るんだ!!俺はお前を利用…」

 

「僕は嚮団の道具で兄さんに利用されていただけかもしれない。でもそれでも兄さんを助けたい!!」

 

「……していたんだ!!そんな俺を…」

 

視界がぼやけてくるがそれでもロロは止めない。

 

「誰からの支配を受けずに生きていく……僕もそんな風に生きてみたかった……アキラ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだね、流崎アキラ。中華連邦以来だね」

 

捕らえられたアキラはシュナイゼルと対面を果たす。

 

「あんたがこの騒ぎを起こした奴か」

 

「例えゼロだったとしても僕の大事な弟、無事連れて帰りたかったけど無理なようだ」

 

「その大事な弟となんで俺が一緒なんだ?」

 

「ふっふふ、君は僕の個人的な要望だ」

 

「っ??」

 

「君の事はエリア15、いや君が黒の騎士団に入った時から見させてもらってるよ。君は大変興味深い」

 

「……どうやら、シュナイゼル皇子は男のケツを追いかける趣味がおありのようだな」

 

「あなたはっ!!」

 

アキラの皮肉にカノンが珍しく声を荒げるがシュナイゼルが制する。

 

「異能生存体。君も聞き覚えがあると思うが…」

 

その言葉でアキラに一瞬、緊張が走る。

 

「……あの男の口車に載せられたってところか」

 

「いや、違うね。彼は君を恐れているが僕は違う。僕は君を神として見ている」

 

「っ??」

 

「そして、その神を手に入れれば。不可能を可能にできる」

 

「……何を言いたい?」

 

「君に皇帝を殺してほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追撃を逃れたルルーシュとロロであったがロロの体力が既に限界で今にも事切れそうであった。

 

「……ロロ、どうして俺を助けた?俺はお前を」

 

「兄さん…嘘だよね?僕を殺そうとしたなんて……僕が嫌い、なんて…」

 

ルルーシュは一瞬戸惑うが、ロロに優しく微笑む。

 

「そうか、すっかり見抜かれているんだな。さすがは俺の弟だ」

 

「そう、だよ…。僕は兄さんのことなら、何でもわかる……」

 

「ロロ……」

 

「兄さん……まだダメだ。まだ何も終わってない……」

 

「ロロ?」

 

「このまま終わるのはダメだ。抗うんだ、アキラのように……兄さんにはまだ抗う力がある」

 

「………」

 

 

 

――― 神根島 ―――

 

「まさか、ここのシステムを使うことになろうとはな。ラグナレクの接続。これで古い世界は破壊され、新しい世界が創造される」

 

石碑を前にいるシャルルから少し離れて井ノ本はその姿をじっと見ているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ナナリー、ロロ、黒の騎士団。俺は全てを失った。これが残された結果。いや、報いか。でも、だからこそ……。ありがとう、ロロ。お前がつないだこの命、俺にはまだ成さねばならないことがあったんだよな。そう、俺には)

 

 

つくったロロの墓を後にしルルーシュは蜃気楼に乗り込む。

 

「我が父、シャルル・ジ・ブリタニアよ。俺の地獄への道行きにはお前も一緒に来てもらう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 


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