コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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第32話

黒の騎士団がカゴシマに現れたことによりここトウキョウ租界もKMFが配置され黒の騎士団の奇襲に備えていた。そして厳重な警備が敷かれている政庁の前を古びたマントを着た大柄な男がじっと見ていた。

 

 

 

-チバ-

 

海上の警戒が敷かれる前に出発しようと坂口のコンテナ船の中は船員たちが慌しく動いていた。

 

「とっつあん、これからどうする?」

 

「戦いが落ち着くまでハワイにでも行ってバカンスでも……って冗談だ。中東の辺りでも行くつもりだ。シャーリー、あの子は任せろ。俺が責任を持って面倒見る」

 

「頼む」

 

アキラは甲板のほうを見る。千鶴とシャーリーの2人がこちらへ手を振っている。

 

「じゃあなアキラ、死ぬなよ」

 

「あぁ」

 

タラップが港から離れていきアキラは船に背を向け歩き出そうとした時シャーリーの大きな声が聞こえた。

 

「アキラくん!!学園でまた会おうね!!」

 

アキラはそれに応えることなく黙って歩いていった。

 

 

「一言でも言えばいいのに。まっあいつらしいか」

 

「それでいいんだよ。アキラくんは」

 

シャーリーはアキラの後姿を微笑んで見ている。不器用なアキラらしく言葉でなく態度で応える。いつものアキラにシャーリーは制服姿でルルーシュ、カレンと並んで戻ってくるアキラが目に浮かんでくる。

 

 

 

 

 

 

-エリア11 租界 政庁-

 

「黒の騎士団が!?」

 

カレンは黒の騎士団の侵攻をラウンズのエリスから聞かされた。

 

「うれしいか?」

 

その問いにカレンはハッとする。

 

「アキラは必ず来る。お前がここにいるのだから」

 

「エリス……」

 

「私が勝ち奴を敗者としてここへ連れてくる。そんな姿を見られたアキラはもうお前の前に姿を現せることができなくなる」

 

「それであなたが慰めるとでも言いたいのエリス」

 

「何?」

 

「エリス、あなたと戦いたくないけどアキラを倒そうと言うなら私は彼を守る!そしてあなたを止める!」

 

「ここを出ると?」

 

「私は最後まで諦めない。チャンスが訪れるその時まで!」

 

カレンの強い視線にエリスは更に殺意が芽生えた。この女にアキラは何故惹かれるのか。今すぐにでも殺したくなるがカレンとはKMFでの戦いで白黒つけたいとの欲望があり踏みとどまった。

だがそれは自分がカレンがここから出てほしいと本心では願っているのか。このぐちゃぐちゃな感情にエリスは早く出たいと足早にここから立ち去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待機してあるランスロットを前にスザクは複雑な表情でいた。ランスロットにはニーナが開発した最新兵器フレイヤが搭載されている。

 

(乗るしかないのか?フレイヤが積まれたランスロットに。フレイヤを……ルルーシュを)

 

 

 

 

 

 

 

突如、ルルーシュから連絡が入り幼少時代の思い出の地、枢木神社2人だけで会いそこでルルーシュは自分がゼロでユーフェミアにギアスをかけたなど今までの所業を告白しその上でナナリーを助けてほしいと懇願された。

今更何をとスザクは憤りを感じた。

 

「シャーリーを殺したのも君か!?」

 

「………あぁ、そうだ。俺がアキラに頼んだ」

 

だがその時のルルーシュの目を見てスザクは悟った。今、ルルーシュは嘘をついている。秘密をしまいこんで罰を受けている目だと。ユーフェミアの件も今までの所業も言葉と裏腹に真実を隠し自分が罪を背負おうとしている。

 

スザクはもう一度ルルーシュに歩み寄ろうとしたが直後シュナイゼル達が現れルルーシュを捕らえた。

自分が尾行されていてようでその後同行していたギルフォードが突如ルルーシュを開放し共に逃亡した。これによりルルーシュとの戦いは避けられなくなった。

 

 

 

「全てシュナイゼル殿下のご命令よ。殿下は気づいておられたのよ。あなたとゼロはただならぬ関係だとね」

 

カノンから告げられルルーシュがゼロだと知られた。

 

「だとすればギルフォード卿の乱心も納得できるわ」

 

「…………」

 

「でも殿下にとってこれはただの余興の一つかもしれないけど」

 

「余興?」

 

「そう、殿下はこれから起こる戦いがどうなるのか見たいのよ」

 

スザクにはカノンの言ってる意味がわからなかった。カノンもスザクの困惑の顔を見て苦笑いをする。

 

「わからないでしょうね。殿下は今黒の騎士団の流崎アキラに深く関心をよせてるから」

 

「流崎アキラ?」

 

何故アキラの事を?っとスザクは疑問に思ったが脳裏に横切ったのはあの言葉

 

 

 

 

 

異能生存体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アキラ……これも君が起こした現象とでもいうのか?)

 

今自分はランスロットに乗り込み戦場に向かうしかない。必ず戦場にはルルーシュ、そしてアキラがいる。その結果何が起こるのか?

自分たちはアキラの手の上で踊らされているのか?それとも別の何者かが?スザクは見えない恐怖に押しつぶされそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-エリア15 元サドナ王国-

 

『アレク、黒の騎士団達はもうすぐトウキョウへ侵入するぜ』

 

軍用車の中でイゴールからの連絡を受けアレクセイは時刻を確認する。

 

「トウキョウへ侵攻予定時刻か………」

 

星刻達がカゴシマでブリタニアと戦闘を開始してから大分経つ。自分たちは黒の騎士団の支援としてエリア15で活動を開始させエリア15の軍の部隊の足止めを行っている。

現在アレクセイ達新生サドナ王国は部隊を分散させエリア15にあるブリタニアの各軍事基地を急襲している最中である。

 

 

 

 

『星刻、後方は俺たちに任せてお前はエリア11に向かえ』

 

『すまない。頼む』

 

『朗報を待っている』

 

 

出撃直前の星刻からの連絡を最後にまだ戦局はどちらに傾いているのかまだわからない。

 

 

『こちらワシリー!!敵の増援、被害増大!!』

 

ワシリーから連絡で我に返ったアレクセイは急ぎ指示を出す。

 

「わかった。ワシリー、我々の目的は敵の足止めだ!!目的を達成次第直ぐに撤退しろ!! イゴール、長いは無用だ。すぐにここから撤退する!!」

 

サドナ王国の開放のため今この戦局を乗り切らなければいけない。アレクセイは次の作戦に移行するために移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 エリア11

 

黒の騎士団、斑鳩艦隊がトウキョウへと侵入しブリタニアと衝突しようとしている。ゲフィオンディスターバーよってトウキョウ租界のライフライン、通信網が停止したことでアキラは政庁の傍まで来ていた。

 

アキラはKMFを搭載したトレーラーから事態を見守っているとき携帯が鳴りだした。

 

『アキラ、今どこだ?』

 

「政庁の近くに隠れてる」

 

『咲世子達のチームが先に政庁へと突入する。お前も合流しナナリーとカレンの救出に向かえ』

 

「わかった。咲世子と連絡して合流する」

 

ライフルの準備をしトレーラーから出たアキラは咲世子と連絡をとる。

 

「咲世子、俺だ……」

 

 

 

 

 

アキラとの会話を終えたルルーシュは敵軍の中にスザクのランスロットの姿を確認した。

 

(アキラ、せめてカレンとは再会させてやる。カレン、君との約束は守った。だがここまでだ!ここから先アキラにはシャーリーへの贖罪をさせる。その命で……!)

 

「藤堂。朝比奈と千葉に政庁の制空権を抑えさせろ。ロロ!そちらの突入状況はどうなっている?」

 

『もうすぐ咲世子達と合流するから』

 

「よし。必ずナナリーを確保しろ。……さて、スザク!」

 

『聞こえるか、ゼロ。戦闘を停止しろ。こちらは重戦術級の弾頭を搭載している。使用されれば4000万以上の被害をもたらす。その前に』

 

「お前の言うことなど信じられるか!」

 

 

枢木神社での裏切りで既にスザクを見限ったルルーシュに彼の言葉は届かないのであった。

 

ランスロットの前にジェレミアのジークフリートが立ちふさがる。

 

「ジェレミア卿ですか?何故!?」

 

『枢木スザク、君には借りがある。情もある。引け目もある。しかし、この場は忠義が勝る』

 

「………っく」

 

「黒の騎士団、斑鳩艦隊に告げる。シュナイゼル率いる主力部隊が到着するまでが勝負となる。防衛線を敷きつつ、ブリタニア政庁を孤立させろ。ナナリー総督を抑えれば、我が軍の勝利だ」

 

 

1年前のブラックリベリオンに続きまたトウキョウが戦場となる。

 

 

 

 

 

 

 

ゲフィオンディスターバーによって通信ラインが停止したことで政庁の中は混乱に喫した。

 

「早く回復させるんだ!提督の避難はまだなんだ」

 

「はっ……急ぎ。……っん?」

 

制御室の局員が慌しく動く何者かが制御室へと入り込んできた。

 

「だっ誰だ!うっわあっ!!」

 

簡単に持ち上げられ壁に頭を打ち付けられた局員はそのまま動かなくなった。

 

「さて……」

 

進入してきた男は周囲を見下ろす。制御室が暗いため何が起こったのかわからない局員は懐中電灯で声の主に光を当てる。そこにはここの局員の者ではない1人の男が立っていた。

 

「今からここは私のものになる」

 

高山は着ていた古びたマントを脱ぎその機体となった体を露にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機能が停止し暗い政庁へと進入したアキラは咲世子と合流しようとするが兵士数名と遭遇し銃撃戦を繰り広げていた。

 

2、3人撃ったアキラは更に奥へと進もうとするが背後から人の気配がし振り返るとこちらへ銃を向けた兵士が立っており応戦しようとするが兵士は前のめりに倒れた。そして兵士の背後に立っていたのは……

 

「咲世子……」

 

「先に行きすぎですねアキラ様。しかし、いつも先頭を行くのはあなたらしいですね」

 

「ロロも合流すると聞いたが」

 

「ロロ様はナナリー様を迎えに私たちとは別れました」

 

「………そうか。行くぞ」

 

咲世子達と行こうとした時、ゲフィオンディスターバーによって停電していた政庁に明かりが灯された。

 

「っ!?」

 

「どうして?」

 

アキラと咲世子は戸惑いを隠せないでいるがここで立ち止まるわけにはいかずそのまま先へと進もうとするが停止していた警備システムが作動し天井に設置してある機銃がアキラ達を狙い撃ち隊員2名が撃たれた。

 

アキラは身を隠し持っていた手榴弾で投げ警備システムを爆破させた。

 

「他のシステムも作動しているかもしれません」

 

「気をつけていくぞ」

 

アキラと咲世子は警戒しながら先へと進んでいく。

 

 

 

「すっすごい…!」

 

制御室の局員達は高山の命令により各制御ラインをつなぐ配線を高山の体に直接つなぎこのダイレクトリンクすることで政庁のライフラインが回復し灯りが灯された。

 

「よしっ、急ぎ総督の避難を…」

 

「そんなのはどうでもいい」

 

高山は生き残した3人の内1人を裏拳で突き飛ばし局員は机に激突し動かなくなった。

 

「もう、お前達に用は無い」

 

「ひっひぃ!!」

 

2人の局員は逃げようとするが高山に首根っこを掴まれその強化された握力により絞め殺された。

 

2人を殺した高山はモニターである人物を探す。

 

「いた」

 

高山が見ていたのは幽閉されているカレンが映っていた。

そして別のモニターには咲世子と共に進入しているアキラの姿が映っており高山は口の端を吊り上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

政庁のライフラインが回復されたのは敵と交戦を繰り広げている黒の騎士団、ゼロからも確認できた。

 

「灯りが!?どういう事だ?」

 

すると斑鳩から通信が入ってきた。

 

『上空にて敵の増援らしき航空艦数機確認!』

 

「何っシュナイゼル!?しかし、早すぎる!!」

 

蜃気楼から確認すると航空艦からKMF部隊が降下するのが確認された。

 

「あれは!?」

 

赤い右肩を施したKMF、陽炎のKMFヒートヘイズの部隊が降下し政庁へと向かおうとしている。

 

「陽炎…やはり来たか」

 

 

 

政庁上空で戦っていた藤堂達は陽炎が来たことで更に激戦となった。

 

「陽炎!! 井ノ本かっ!!」

 

ヒートヘイズにもヘルハウンドと同じフロートユニットが搭載され空中戦でコンビネーションを用いた戦術で黒の騎士団のKMFを次々と撃墜されていくのであった。

 

「藤堂さん!!」

 

「皆、1人で戦おうとするな!!」

 

藤堂は千葉、朝比奈と陣形を組み襲い掛かるヒートヘイズの攻撃に1つ1つ対処しながら1機ずつ撃破していくのであった。

 

そして赤い右肩の集団の中で1機濃藍のカラーリングのKMFヘルハウンドが混じっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カレンは外から聞こえる戦闘の音でみんなが戦っていることでいつまでもここへ閉じ込められていることに焦りが見え出した。

 

「みんな、みんな戦ってるのに……」

 

早く皆と合流しねければと焦るがすると部屋の扉が開き何者かが入ってきた。

 

「っ!?」

 

ここの警備の者かと思われたがその男は体が金属の体に覆われておりカレンはここの人間ではないと感じた。

 

「だっ誰?」

 

警戒するカレンを見て高山はゆっくりとカレンの幽閉している部屋の扉の前へと近づき手に触れ力を入れると透明の扉にひびが入り扉が割れ高山がそこから入ってきた。

 

「なっ何?あんた!?」

 

「紅月カレンだな。来てもらおう」

 

警戒するカレンは拳を振り下ろすが高山は易々とその拳を捕らえカレンの腕をまわし組み伏した。

 

「あぐっ!!」

 

「大人しくしろ」

 

捕らえたカレンを高山は連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どこだアキラ」

 

ヘルハウンドを駆りながらエリスはアキラを探していた。

 

「カレンはここにいる。さぁ来い!」

 

ヘルハウンドの前に3機の暁が立ち塞がりエリスは左の盾の中から数珠状に分割した剣、蛇腹剣を取り出し一振りで3機撃墜させた。

 

更に藤堂の斬月が制動刀を構えて現れた。

 

「隊長機?」

 

「この機体確かゼロが言ってたパーフェクトソルジャーという奴か!」

 

エリスは蛇腹剣を剣の形にし斬月と剣を交える。剣では互角に渡る藤堂であったが距離をとったエリスがヘルハウンドの動きでかく乱しながらライフルを用いた攻撃で翻弄されいく。

 

 

「藤堂さん!!」

 

千葉の暁が割って入り廻転刃刀を振り下ろすが回避されヘルハウンドの左腕に装着されたあるクローが暁のコックピットを捕らえそのまま押し潰そうし藤堂がその救出に向かおうとするがエリスは暁を斬月に向けて投げつけて衝突した2機は地上へと落下するが寸前で持ち直し地上からヘルハウンドを見上げる。

 

「千葉、陣形を立て直す」

 

「はい!」

 

2機は再度ヘルハウンドに立ち向かおうと上空へと上がる。

 

「邪魔をするな。どこだアキラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カレンの救出に向かうアキラと咲世子は途中別働隊から紅蓮を見つけたとの連絡を受け政庁にあるKMF格納庫にいた。

 

「エナジーフィラーは積んでいたので直ぐに動かせるのですが……」

 

アキラは目の前にある紅蓮を見て疑問に思った。

 

「細部が違う。どういうことだ?」

 

「どうやら、ブリタニアが手を加えたようで……」

 

アキラの目に引いたのは紅蓮の背部に装着してある折りたたまれる翼らしきものだ。

 

「アキラ様、これを」

 

咲世子はアキラに1冊のファイルを渡した。

 

「……聖天…八極式? この紅蓮の名称………エナジーウイング?背中のやつか。………こいつは出力が前の紅蓮と桁違いだ」

 

「カレン様には必要な機体ですので…」

 

その時、銃声の音が聞こえ2人は振り返ると1機のサザーランドがこちらへライフルを向け近づいていく。

 

「敵か!?」

 

2人は紅蓮の背後に隠れ他の隊員も身を隠した。

 

敵の銃撃が紅蓮を襲うが銃弾を弾き盾代わりになった。

 

「俺がこいつに乗って奴を潰す」

 

「これが起動キーです」

 

咲世子からキーをもらいアキラはコックピットの扉を開き中に乗り込み紅蓮を起動させる。

アキラは例のエナジーウイングを展開され紅い羽を展開した紅蓮は急加速でサザーランドを押し出す。

 

「うおっ!?」

 

アキラは紅蓮の予想以上のスピードに腕がとられそうになった。

 

政庁の壁をいくつもぶち抜き政庁の裏の外へと出たアキラは徹甲砲撃右腕部の鉤爪でサザーランドのライフルを払い、タックルで倒した。

 

「前以上にじゃじゃ馬になったな」

 

アキラは輻射波動機構を展開され止めを刺そうとした時敵サザーランドのコックピットの外壁が剥がれ落ち露になっているのを気づきコックピットの中を見た。

 

「っ!?」

 

中にいた人物にアキラは驚愕した。中には自分がこれから救出するはずのカレンが乗っていた。

 

「カレン……?」

 

何故KMFに?と疑問に思ったがカレンがこちらへ何か伝えようと叫んでいる。

 

「逃げて!!」

 

カレンのサザーランドが立ち上がりスラッシュハーケンをこちらへ発射した。

 

アキラは急ぎ回避し近づこうとするがサザーランドは攻撃の手を緩まない。

 

「カレン、どうした!!」

 

『いやぁ!!アキラ、逃げて!!」

 

「っ!! カレン、機体を止めるんだ!」

 

『ダメ、できない!!』

 

カレンの腕は手錠によって操縦レバーと繋がり離れられなくなっている。

トリガーを引いていないが銃弾は撃たれカレンではどうすることもできなかった。

 

 

 

 

 

「やはり来たか流崎、来ると思った。この女がいれば必ず現れるとな。」

 

高山はダイレクトリンクでカレンの乗るサザーランドを操作している。今、政庁は高山の掌握された言ってもおかしくなく。電力が回復したが外部への連絡を取れず、ナナリーが乗る脱出艇も動けない状態でいた。

 

 

サザーランドは落としたライフルを拾いアキラが乗る紅蓮に向け撃つ。

 

「脱出できないか!?」

 

「無理!アキラ、私のことは構わないで!!でないとあなたが死んでしまう」

 

自分が人質になった原因でアキラが苦しめる事はどカレンには耐えられないものであった。

アキラも今の紅蓮であれば簡単に損傷することはなくサザーランドを撃破することは簡単であるがそれだとカレンを巻き込んでしまう。アキラはそれだけは避けたい。しかし、いつまでもカレンをあの状態のままでいるわけにはいかない。

 

2機は政庁内へと戻りライフルの銃撃をアキラは紅蓮のエナジーウイングで防いだ状態で退がりつつあった。

 

 

『アキラ様!』

 

「咲世子か!手伝ってくれ」

 

アキラは紅蓮の傍に咲世子が控えている姿を発見し次に何かないかと周囲を見渡すとサザーランドの頭上に崩壊した階段の一部がぶら下がっているのを見つけた。

 

「俺がKMFを止める。お前は今のうちに」

 

「……っ!?わかりました!!」

 

アキラは紅蓮を急発進させサザーランドの腕を押さえる。この聖天八極式の出力ではサザーランドを簡単に組み伏せられるがカレンを傷つけることになる。

 

サザーランドはスラッシュハーケンを射出する構えを取りそうになり紅蓮はサザーランドのうしろにまわり羽交い絞めにした。

 

「咲世子っ!!」

 

咲世子は崩壊した階段からサザーランドへと飛び移った。

 

「咲世子さん!」

 

カレンを拘束している手錠を銃で破壊し咲世子はカレンを連れてサザーランドから飛び降りた。

 

「アキラ様!!」

 

 

2人の無事を確認したアキラは依然と動くサザーランドを突き飛ばした。

 

「ぬうぅ!!流崎!」

 

人質を奪還された高山はサザーランドを紅蓮に突入させた。

 

アキラは徹甲砲撃右腕部の鉤爪でサザーランドを押し出し壁へ押し付けた。

そして輻射波動機構を起動させ膨大な熱量によってサザーランドは膨張し爆発を起こした。

 

「っく、まぁいい。やはり私の手で直接決着をつける!!」

 

 

高山は制御室から出て彼は地下へと向かう。

 

 

 

 

「アキラ!」

 

紅蓮から降りてきたアキラへカレンは駆け寄りアキラは彼女を優しく抱きとめる。

 

「ごめんなさい」

 

「ケガはないか?」

 

「私は大丈夫」

 

「そうか……」

 

久しぶりに再会した2人は互いの無事に安心するのであった。

 

「アキラ様私たちはこれからナナリー様の救出に向かいます。カレン様、これは新しいパイロットスーツとこの紅蓮の説明書です。目を通してください」

 

「わかりました。アキラ、あなたを狙っている奴がいるわ」

 

「そいつがお前を?」

 

「えぇ、何かロボットみたいな奴でアキラ心当たりある?」

 

ロボット、アキラは高山ではないかと感じた。

 

「わかった。カレン、俺はKMFで先に出撃する。」

 

「アキラ……」

 

カレンの暖かい眼差しがアキラを見つめる。また別れることに名残惜しそうな視線にアキラもそれに気づき少し緊張の糸が解ける。

 

 

「生きてまた会えたんだ。お互い、生き残ろう。お前には話したいことがある」

 

「……それは私も!」

 

カレンは優しく微笑みアキラも笑みで返し両者は戦場へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキラが政庁から出た頃には既に租界周辺が明かりが灯されゲフィオンディスターバーが破壊されたという事だ。

ナナリーの奪取の知らせもなく予定時間が過ぎてしまったようだ。

 

そして上空には赤い肩をしたKMF、陽炎の部隊の姿が見え目の色を変える。

 

アキラはトレーラーに乗り込み後ろのコンテナへと移り天井を展開させる。

KMFに乗り込んだアキラはKMFを起動させその機体を起き上がらせる。

 

コックピットの横には折りためられた長い砲身のカノン砲、右腕に持っているのは銃身の長いライフル。更に銃身の下にはグレネードランチャー。左腕にはロケット砲を持たせている。

 

 

 

 

赤い右肩を背負いアキラの乗る機体晋電(しんでん)

 

ここにシンジュクゲットーで軍、治安警察を震撼させた陽炎が再び現れた。




アキラのKMF晋電ですが名前の由来は旧日本軍にて製作中止となった幻の戦闘機震電からとりました。

次回から暴れさせます

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