コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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第29話

逃げ惑う人々を掻き分けアキラはここはどこで何が起こっているのか把握しようとした。

建物が立ち並んでいるが日が見えないことを見るとここは地下だと思われる。

 

アキラは逃げる1人を捕まえた。

 

「何が起こった。」

 

「わからない!突然KMFが!」

 

アキラの真上を1機の暁が通り過ぎる。

 

「暁!?黒の騎士団か!?」

 

暁は逃げ惑う人々に機銃を撃ちアキラは巻き込まれないよう建物の陰に隠れた。

 

黒の騎士団がいるということはここは敵の施設なのかとアキラは近くにいる暁に接触を試みる。

 

 

 

ルルーシュ達、黒の騎士団による奇襲でギアス嚮団の施設は混乱に喫している。

 

「嚮主V.V.、皆の脱出が完了するまでこの男にジークフリートを。」

 

V.V.は処置によって気絶している高山を見るが

 

「いいよ。僕が乗る。」

 

「嚮主自ら!?」

 

「この男は使い物にならないよ。再強化したほうがいいよ。いずれ高山にはあの機体に乗せようかなって思う。」

 

V.V.が乗り込むジークフリートの横にもう1機球状のジークフリートに似た機体が立っている。

 

「シャルル、流崎アキラが覚醒する前に高山でも何でも利用しないと僕らの計画が潰される……。」

 

 

 

 

 

 

 

「何だ?ここは。ほんとに軍の施設なのか?」

 

作戦に参加した団員はゼロから言われた軍の施設にしては反撃してくる様子もなく女、子供の姿も見える。

 

「一体ここは……ん?」

 

団員は明りが点滅している箇所を見つけ接近し誰かがライトで自分の存在を教えている。そしてその人物は。

 

「流崎アキラ?」

 

アキラの姿を見てコックピットを開く。

 

「どうしてお前が?お前もこの作戦に参加してたのか?」

 

「この作戦の立案者は誰だ?」

 

「何言ってる?ゼロが中華連邦で秘かにつくられたブリタニアの研究施設を叩くと極秘作戦だって言っただろ。」

 

「ゼロが……?」

 

だが敵らしき姿がいないこの場所が軍の施設なのか?アキラはゼロに会わせろと言おうとした時足音が聞こえ2人は顔を向けると1人の子供が立っていた。

 

「子供が何で?」

 

1人の子供が団員に目を合わせると団員が突然懐から拳銃を取り出しアキラに銃口を向け引き金を引く。

 

「なっなんだ!?体が勝手に!?」

 

アキラは瞬時に体を回転し回避してホルスターからショットガンを取り出し団員に向け撃った。

 

アキラは突如味方から撃たれたことに戸惑い子供達が何かしたのかと疑問の目を向けた瞬間子供の目と合った瞬間アキラの体が突然硬直しショットガンを持っていた右腕が動き自分の顔に銃口を向けた。

 

「っ!?」

 

指が引き金を引こうとするがアキラは必死に抵抗する。

 

「や……め……ろ!」

 

子供もアキラの予想外の抵抗に驚きの顔を浮かべる。

 

「俺………を………!!」

 

次の瞬間子供の口、瞳、耳から血が流れ出てそのまま倒れてしまった。

 

 

「なんだ……さっきのは………?」

 

突然体の自由が利かなくなり操られような感覚でアキラは死んだ子供の死体を見て軍の施設とは別の何かではないかと感じた。すると1機の暁がこちらに気づき降り立ちコックピットを開いた。

 

「何故お前がここに!?」

 

「C.C.か。」

 

C.C.は参加していないアキラがここにいることに驚きの顔を浮かべる。

 

「教えろここはどこだ?」

 

「……中華連邦にあるギアス嚮団の施設だ。V.V.を捕獲するためにな。」

 

「中華連邦だと……!?」

 

自分はエリア11にいたはずが遠い中華連邦にいる。井ノ本に連れてこられたあの遺跡は何だ。アキラにあらゆる疑問が浮かんでくる。

 

「お前はどうやってここまで来たんだ?お前は日本に……っ!?」

 

瓦礫が崩れる大きな音がし2人は音があった方角を見るとジークフリートが現れゼロが乗る蜃気楼と対峙している。

 

「あの機体は!?」

 

ジークフリートはアキラが以前カゴシマにある陽炎の基地を襲撃したときに現れ戦ったことがある機体と同じであった。

 

「ジークフリート…!一体誰が………っアキラ!?」

 

アキラは操縦者がいなくなった暁に乗り込み発進した。C.C.は慌ててアキラに続いた。

 

 

 

 

一方、ゼロ達もジークフリートの出現に驚いた。

 

「ジークフリート!?ジェレミア、確かこの機体は。」

 

「はい。神経電位接続ですから私以外に動かせる者は。」

 

「ルルーシュ、ここまでだ。」

 

「V.V.!観察者が当事者になるとは。」

 

V.V.が操るジークフリートが次々と暁を撃破していく。

 

「いい加減、大人しくしてもらおうか。僕もいつまでも君に付き合っていられないから。」

 

「残念だがしばらく俺に付き合ってもらう。あの男を引きずり出すまでな。」

 

V.V.は鼻で笑う。

 

「まだそんな小さいことを言って。あの男が傍にいながら君は何も気づかないのか。」

 

「何を言って…!」

 

「まぁいいか。何も知らずに死んだほうが幸せか。」

 

 

両者は一面砂漠の外へと戦いを移した。

 

 

アキラも続けて行きジークフリートと対峙するが敵の動きでうまく捉えきれないでいた。

 

「邪魔だよ。」

 

ジークフリートからスラッシュハーケンが発射されアキラの暁の左腕とコックピットが巻き込まれ墜落してしまった。

 

「……っく。」

 

幸い中にいるアキラにケガはなかったがコックピットの一部が破壊されたことで外から露になる形になり暁も思うように動けなくなった。

 

ゆっくりと立ち上がらせるアキラであったが大破された他の暁に誰かがいるのに気づいた。

 

「機体は動けないか……っく。」

 

V.V.によって囚われていたコーネリアは隙を見て脱出し動かせるKMFを探っていた。

 

「このままでは……っは!?」

 

コーネリアのもとに1機の半壊した暁が近づいてきた。

 

暁はコーネリアの近くに降り立ちコックピットを開く姿を現したのはショットガンを構えたアキラであった。

 

「コーネリア……!」

 

「黒の騎士団……!!」

 

「どうしてお前が?」

 

「貴様らに答えることなどない!」

 

強気のコーネリアの足元にアキラが撃った銃弾が飛んだ。

 

「ここでお前は何をしていた?」

 

「………私を惰弱と侮ったここの当主に一矢報いようとしただけだ。」

 

「………V.V.か。」

 

「知っているのか?」

 

「……あんたはあの機体の構造がわかるのか?」

 

「だったらどうする?」

 

コーネリアはバトレーからジークフリートに関しては少しばかり聞いていた。

 

アキラは黙ってショットガンをホルスターに収める。

 

「手伝ってくれ。」

 

「信用するのか?」

 

「捕虜にする前にあんたを利用させてもらう。おかしな真似をすれば撃つ。」

 

「……っふ、わかった。あの武器をとってくれ。」

 

「その機体より俺のほうがマシだ。こいつを使う。」

 

敵同士の2人は暁に応急処置を施すのであった。

 

 

 

 

一方地下では嚮団の研究員達が寝かしている高山と共に脱出の準備が整いつつあった。

 

「嚮主V.V.。脱出準備が整いました。ひとまずE.U.方面でよろしいでしょうか?」

 

『うん。こっちを片付けたら合流するよ。』

 

「よし、あの実験体と例の機体の運送ももう間もなく完了する。そちらの進行状況は?」

 

通信にて確認の連絡を取るが応答が無い。再度連絡を取るが。

 

「どうした応答しろ!」

 

その直後脱出艇の入り口の扉が破壊される音が聞こえ研究員達はビクッと振り返る。

 

足音がこちらへと近づき研究員達は息を飲む。

扉が開くとそこには両手を血で染めた高山が立っていた。

 

「もう、私は自由だ。」

 

そして脱出艇の中は悲鳴と怒号で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルルーシュとV.V.の戦いは依然としてV.V.が押しておりルルーシュは劣勢に立たされていた。

 

「ロロ。何とかジークフリートに取り付けないか?」

 

『でも、V.V.相手じゃギアスは効かないし』

 

「取り付くだけでいいんだ。あとの策はある。」

 

『わかった。』

 

ロロのヴィンセントはジークフリートにより下半身が破壊されながらも取り付くことに成功したがジークフリートに装備された電撃を浴びせる電磁ユニットによりヴィンセントがダメージを負う。

 

「よくやってくれた、ロロ。あとはお前の機体に仕掛けた爆弾を。」

 

ルルーシュは秘かにヴィンセントに仕掛けた爆弾のスイッチを押そうとした時何者かがジークフリートの剥き出しとなった電磁ユニットを狙って砲撃し機体が傾いたことでロロのヴィンセントが落下した。

 

「ちっ、誰だ?」

 

「誰だい?ジークフリートの弱点を知っている攻撃…」

 

2人は砲撃のあった方向を見ると半壊した暁が寄せ集めの武器で攻撃し暁の上に乗ってあるコーネリアの姿が見えた。

 

「コーネリア!?何故こんなところに………アキラっ!?お前まで!!」

 

「流崎アキラ!?お前がっ!?」

 

剥き出しとなったコックピットにいるアキラにルルーシュ、V.V.は驚愕の表情をする。

 

「機体はまだ生きている。」

 

アキラは更に攻撃を続けジークフリートの装甲が破損する。

 

「っ!?敵の装甲が破損した!後は直接!!」

 

アキラに気をとられたがダメージを負ったジークフリートを見てルルーシュは追撃を開始する。

 

「しまった!!ジークフリートはもう……ルルーシュ、この呪われた皇子め。」

 

V.V.はモニターに写るアキラの姿を苦々しく見る。

 

「流崎アキラ………この異端者がっ!!お前がいなければ!!」

 

ジークフリートはアキラが乗る暁に目掛け墜落する。

 

暁の上にいるコーネリアは瞬時に飛び降りたがアキラの暁が巻き込まれしまう。

 

アキラはジークフリートに取り付きライフルで破損した箇所をさらに撃ち爆発を起こしその衝撃でジークフリートから離れた。

 

 

「V.V.はまだ……アキラには色々聞きたいことがあるが今は!」

 

ルルーシュはV.V.の居場所を探るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

這いずりながらV.V.はアーカーシャの剣へと向かおうとする。

 

「っ……ルルーシュ、アキラ……よくも…………。」

 

這いずるV.V.は何者かの足元が見え見上げるとそこには井ノ本1人立っていた。

 

「やぁ……君か。」

 

「アキラやルルーシュにやられたようだな。」

 

「おかげでこの通りさ。ルルーシュも記憶を取り戻していた。……流崎アキラがここにいたのは誤算だったよ。奴の……あの力が目覚める前に……。」

 

手を伸ばすV.V.に井ノ本は表情を変えることなく黙って見ている。

 

「君はアキラに敗れた。その意味はわかるだろ。」

 

「………何が言いたい?」

 

「KMFを駆使しルルーシュを圧倒しながら最後は敗れた。私がアキラをここへ連れてきた。それだけでだ。」

 

「っ!?」

 

「お前の……いやシャルル、マリアンヌ達の計画は初めから破綻していたのだ。」

 

「どういう事だ!!」

 

V.V.は目の色を変え井ノ本の足元を強く掴む。

 

その姿を見て井ノ本はかつて初めてV.V.と対面した時が蘇った。

 

-君が弟の友達か。シャルルが紹介したい人がいるって聞いてどんな人かと思ったけど……-

 

 

「-嘘の無い世界-

それは君達のためじゃない。流崎アキラが覚醒させるために必要な手段の一つに過ぎない。」

 

 

「っ!! 君は……お前は何を知ってる!!何故アキラをここへ………お前は…まさかっ!?」

 

「神の使者というところか。いや……お前たちが言う異端者達か。彼らはお前達の行動を全て見ていた。私は彼らの声に従ったに過ぎない。お前にも聞かせよう。」

 

その直後V.V.の脳裏から謎の声が自分の頭から聞こえてくる。

 

「っ!!? ……あっ……あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

絶叫で表情が歪むV.V.を横目に井ノ本は静かにその場から後にする。

黒の騎士団によって嚮団の施設が破壊されるのを井ノ本は静観して見る。

 

「ギアス嚮団………数百年の歴史が終わる……。哀れだな。彼らに操られるのも知らずに滅び去るのは……。」

 

 

 

 

 

アキラは大破した暁から脱出し同じく大破したジークフリートへ近づきV.V.を見つけようとショットガンを構えるがジークフリートのハッチが開いていた。

 

その時、何者かの絶叫する叫び声が聞こえ声のあった方向を見ると血痕があり既にV.V.が脱出しているのがわかりアキラは血痕を辿っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーカーシャの剣に続く扉付近までV.V.は体を壁にあずけながら歩いていく。

 

「シャルル……あれを起動させては……いけない。あれは……」

 

歩みを続けようとした時銃弾が頬を掠めV.V.は倒れこんだ。

誰が撃ったのか振り返るとそこにはショットガンを構えたアキラがいた。

 

「おまえっ……!!」

 

「お前が死なないのはわかってる。だが動けなくするのは可能だ。」

 

「お前がいなければ………僕らの計画が……!!」

 

懐から拳銃をとりだし撃とうとするがアキラが先に撃ち銃を持っていたV.V.の右手が吹き飛び、血肉が地面へと飛び散った。

 

再生しようとする体にアキラは素早く弾を装填し1発2発V.V.の体に命中させた。

 

「があぁぁ…!!」

 

V.V.を捕らえようとした時前方にある遺跡のような扉が僅かに開きある人物の姿が見える。

 

「お前は…シャルル・ジ・ブリタニア!?」

 

「流崎アキラ、貴公がまさかここにいるとはな。」

 

倒れているV.V.にシャルルは近づく。

V.V.は喉元を撃たれまだ再生が追いつかず声が出せずにいるがその表情は安堵していた。

 

「兄さん、無様ですね。貴方ですらこの男を止めることができなかった。」

 

「っ!?」

 

シャルルはV.V.の顔の前に右手を広げた。

 

「兄さんはルルーシュに刺客を送り込んだことを隠した。あなたはまた嘘を付いた。」

 

「シャ……ル……ル…!」

 

「あとは全て私が引き受けます。」

 

2人から眩い光が差しアキラは腕で視界を隠し光が収まり視線を戻すと死んだようにV.V.が倒れていた。

 

「流崎アキラ、まずは貴公からだ。」

 

その直後扉から先程とは違う光がアキラを覆う。

 

「これは…まさかっ!?」

 

 

 

 

 

 

「ここで生態反応。元のポイントに戻っていたか、V.V.」

 

V.V.の反応がし蜃気楼にて散策するルルーシュは倒れているV.V.を発見する。

 

「見つけた。すぐに……っ!?」

 

その直後突如目の前が眩い光に覆われルルーシュはこの現象に憶えがあった。

 

「しまった、これは神根島の!!」

 

視界が開け目を開けるとルルーシュは蜃気楼から降りており、自分の周囲を見ると先程とは打って変わって神殿の前に立っている。

 

「ここは?ホログラムとかじゃない?」

 

「その通り。」

 

祭壇らしき場所に1人の男が立っていた。

 

「貴様っ!!」

 

「我が息子、ルルーシュよ。時は来た。贖いの時が」

 

目の前にいるのは憎むべき敵そしてルルーシュの父親シャルルがアーカーシャの剣にて出迎えた。そしてアキラは………。

 

 

 


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