コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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今年最後の投稿となります。
少し長くなりましたが、では。


第26話

‐11日後 エリア11 アッシュフォード学園‐

 

 

まさかまたこの制服を着ることになるとは…アキラは学園の制服に袖を通し鏡で制服を着ている自分の姿に溜息を吐く。こうなった経緯は3日前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

‐3日前 蓬莱島‐

 

「はっははは!! しっかし、てめぇもなかなかしぶとい野郎だなアキラ!」

 

アキラがいる病室にてイゴールは豪快に笑い傍にいる坂口、千鶴も釣られて笑みを溢す。

 

「だから言ったろ。こいつは簡単にくたばらねぇって。」

 

「あんたが遭難したって聞いてどうなるかと思った。」

 

「……心配かけてすまなかった。」

 

 

「ホントだよ。あっ!あたし花の水を入替えるね。」

 

千鶴は花の入った花瓶を持って病室から出て行った。

 

「だがよ、まだ入院してるって事はお前まだ……。」

 

「それがよイゴール、こいつはもう治ってんだよ。凍傷していた腕も切るほどひどくなかったらしくてな。それ以外は骨折ですんでるんだ。今は検査入院ってところだ。」

 

 

「その運を分けてほしいぜ。 それでそれの……アキラ。」

 

突然、イゴールが神妙な面持ちになった。

 

「聞いたんだが、お前大丈夫なのか?その……陽炎の事で。」

 

陽炎、それを耳にしアキラは一瞬視線を落したが。

 

「……そうだな………死にかけたら考えが変わった。」

 

「ん?」

 

 

「あいつを……カレンを抱く前に死にたくないっと思った。」

 

アキラから発した意外な言葉に坂口とイゴールは目が点になったが2人は大きな声で笑い出した。

 

「アキラ!お前もそういう冗談を言えるようになったか。」

 

「そうか!!アキラ、てめぇもやっぱり男だな。はっはは! だったら尚更カレンを助けないとな。」

 

「ちょっと何2人大声で笑ってるのよ。」

 

千鶴が呆れた顔で戻ってきた。

 

「それよりイゴール、あんた仕事でこっちに来たんでしょ。」

 

星刻の仲介により黒の騎士団、アレクセイ達新生サドナ王国は同盟を結んだがアレクセイ達は流体サクラダイトの産出量がエリア11に次いで多くアレクセイ達はまだブリタニアに発見されていない箇所を知っておりこれを黒の騎士団に輸出し見返りとして黒の騎士団は最新式のKMFを新生サドナ王国へと輸出するという軍事同盟として結んでいる。

今回イゴールはその流体サクラダイトの輸送部隊の責任者としてここ蓬莱島まで足を運んだのである。

 

 

 

「おっとそうだった。じゃあな、アキラまた会おうな。」

 

「あぁ、アレクにもよろしくと伝えてくれ。」

 

 

イゴールが病室を出た後坂口は神妙な面持ちでアキラに問いただした。

 

「っで実際のところどうなんだ?ここの連中からもまだ白い目で見られてるんだろ?」

 

「おかげでディートハルトの下で働くことになって退院後エリア11に行きだ。だが陽炎のことは決着はつけてカレンを助ける。それまでは死ねない。」

 

「………そうか、それを聞いて安心したぜ。気休めにはならないけどよ俺やあのイゴールだって人様に知られたくないことをやってきたんだ。アキラ……お前だけじゃねぇよ。こんな時代だ、誰だって綺麗なまま生きていけねぇよ。あとはお前次第ってことだ。」

 

「そういうオヤジさんは今も人様に言えないことやってるけどね。」

 

「そのオヤジにメシ食わせてもらってるのはどこのどいつだぁ?」

 

2人のやりとりにアキラは笑みを浮かべ坂口と千鶴もアキラの笑みを見て安堵の表情をする。その時アキラの携帯がなり発信者がゼロであった。ゼロ、ルルーシュは今、エリア11にいるのだが

 

「どうした?」

 

『アキラ、頼みたいことがある。』

 

「………わかった。」

 

アキラは目の前にいる2人にアイコンタクトをし2人もアキラの意図を察して病室から出て行った。

 

「それでどうした?」

 

『アキラ、体調のほうはどうだ?』

 

「?? もう外には出ることはできる。」

 

『そっそうか。……ならアキラ、すまないがエリア11へと早急に来てくれないか。』

 

「……?何かあったのか?」

 

『あっあぁ、少し予想外の事態が起こった。』

 

どこかはっきりしないルルーシュにアキラは頭を傾げるが既に体調が回復し断る理由がなく、アキラは二つ返事で了承しエリア11へと向かったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ルルーシュどうぞ♪」

 

女子生徒の1人がルルーシュに手作り弁当をご馳走しようと昼休み2人っきりになってルルーシュに弁当を渡した。

彼女にとって一生懸命つくったものだが当のルルーシュは素っ気無い表情で黙って弁当箱を開き黙って食べ始めた。

 

「どっどうかな?」

 

黙々と食べるルルーシュに女子生徒は恐るおそる聞いてみる。

 

「……うまい。」

 

「そっそう、よかった。」

 

彼女は一安心したがある一つの疑問が浮かぶ。

 

(何かルルーシュいつもと違う?)

 

 

普段のルルーシュと違い何か近寄りがたい雰囲気を出している。

 

「……時間だ。」

 

気づくとルルーシュは食べ終え弁当箱を返した。

 

「………ありがとう。」

 

「えっ!?あっ……。」

 

用が終わったかのようにルルーシュはさっとその場から離れていった。

 

 

『ダメですよ。ルルーシュ様はそんな態度はとりません。』

 

耳に装着してあった通信機から咲世子からの声が聞こえルルーシュは溜息を吐く。

 

「他の連中もいる。これ以上時間をかけられない。」

 

『それでも今はあなたがルルーシュ様なのですよお願いします……流崎様。』

 

 

「……気をつける。」

 

ボイスチェンジャーを外しルルーシュの声から元の自分の声へと戻っていく。

 

 

何故アキラがルルーシュの影武者をしているのかというと本来ルルーシュの影武者を務めている咲世子が多数の人数、それも女性と約束をつくってしまいルルーシュ本人も相手をしていたがゼロとして上海にて通商条約の締結など黒の騎士団としての仕事もあり全てに対応できずそこでアキラには前倒しでエリア11へ来てもらいルルーシュの影武者をしているのであった。

 

『次に放課後、デートがありますのでお忘れなく。その後ルルーシュ様がお戻りになるので交代してください。くれぐれもルルーシュ様のイメージダウンだけは避けるように。』

 

「…………。」

 

 

エリア11に来て早々このハードスケジュールにアキラは呆れて何も言えなかった。

 

そして後に事の事態を知った会長ミレイの思いつきのイベントで事態は更に混沌としていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐蓬莱島‐

 

一方、蓬莱島の黒の騎士団の面々はある事で話題になっていた。

 

扇達が食堂にて集まっている姿を見てC.C.は物陰から聞く耳を立てる。

 

「何かの間違いじゃないのか?」

 

「医学に関しては専門外だけどこんなの誰が見てもわかるわ。」

 

皆、ラクシャータが出したある1人のレントゲン写真を見ていた。

 

 

「あちこち骨折してるのに2週間も経たずに完治、あの凍傷にしろ腕一本切ってもおかしくなかったのにここへ戻ると血行が元に戻ったって言うじゃない。医者の話だとアイツの経過を見てあの男の回復力は常人の倍以上らしいよ。」

 

 

「何だそれ。あいつ、陽炎にいた時体いじくったってことか?」

 

「だが、医者の話だとそんなところは見当たらなかったって言うぞ。」

 

「どうなってんだ?」

 

 

隠れて聞いていたC.C.はアキラの動向を振り返る。

 

「……まさかな。」

 

立ち去ろうとした時C.C.の足が止まり誰かと会話しているが近くに誰もいない。

 

「あの男がっ!?そんなはずは……奴らは……ならアキラは新しく……。」

 

C.C.の表情が青ざめていく。既に過去のものだと思っていたあるのものを彼女は思い出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてイベント当日、制服に着替えたアキラは地下の司令室で事の事態を見守っていた。

 

『アキラ、伝えたとおりにするんだ。あとくれぐれも…。』

 

「わかってる。女には傷一つもつけるなだろ。」

 

ミレイが立案した自身の卒業イベント、キューピットの日は相手の帽子を奪って被るだけで2人は強制的に恋人同士になるゲームのようだが説明をしているミレイから更に追加のルールが発表された。

 

『3年B組ルルーシュ・ランペルージの帽子を私のところに持ってきた部は部費を10倍にします!!』

 

『何っ!?』

 

「あの女……。」

 

面倒事が更に面倒となりアキラは思わず舌打ちをする。

 

 

「それではスタート!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐同日 同時刻 エリア11 総督府‐

 

 

 

 

 

扉を開けた先は樹木を植えられ、噴水・花壇が設けられ小さな庭園が広がりその中の1つのテーブルを挟んで井ノ本、カレンが対峙し傍にエリス、スザクが立っている。

 

井ノ本はカレンと視線を合わせると次にエリスに顔を合わせる。

 

「うむエリス、お前はさがってよい。」

 

エリスは黙ってさがる際一瞬カレンを目を合い何事もなく出て行く。

 

 

「エリスから話は聞いている。黒の騎士団のエースからのご指名とは。」

 

サングラスで表情ははっきりしないが穏やかな口調である。

 

「話を聞いてくださりありがとうございます。」

 

「そんなしゃりべ方でなくてもいい。私たちが敵であることに変わりはない。」

 

ふと井ノ本はスザクのほうを見る。

 

「ナナリー総督の命令で私が彼女の護衛を。」

 

「ふふっ、総督は私を警戒しているようだ。彼女を放してやりなさい。」

 

スザクは拘束を解いていいのかと警戒する厳しい表情をする。

 

「紅月君は私を殺して逃げるつもりかね?」

 

「まさか。あなたを殺したところでスザクとエリスの2人に嬲り殺されるのが関の山。」

 

拘束が解かれカレンは自分の手首を摩った。

 

「私はあなたと会いたかったの。」

 

「……そうか、なら。」

 

側近の1人がティーカップなどお茶の準備をはじめる。

 

「お茶を楽しみながらでも。」

 

微笑む井ノ本にカレンは表情を崩さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらラグビー部、ルルーシュ発見!』

 

「よーし!アッシュフォード学園全部活メンバーに通達。男子寮と中庭中心に包囲網を敷きなさい!」

 

ミレイの指示で他の部活生達が集まるが

 

『ルルーシュが野球部の包囲網を突破!何か格闘技のような技で倒された!』

 

「ルルーシュが格闘技?」

 

運動が苦手なルルーシュのはずなのだがとミレイは頭を傾げる。

 

「アキラやりすぎだ!」

 

『少し転がしただけだ。怪我は大した事ない。』

 

「そうじゃない!もう少し俺らしく対処してくれ。」

 

『別のグループが来た。』

 

「おい!!今度は穏便に対処してくれよ。」

 

『………努力はする。』

 

ルルーシュはこめかみに手をやり溜息を吐いた。

 

「兄さん、流崎は校舎を迂回して第二体育館へ移動していく。もうすぐ咲世子と合流して交代するよ。………この2人なら僕の援護は必要ないと思うけど……。」

 

 

「これじゃあ俺がスポーツマンにでもなったかのようだな。」

 

このイベントが終わったら運動部から勧誘されるのではないかとルルーシュは頭を抱えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐トウキョウ租界 総督府‐

 

 

「それで紅月君、私に何の用があるのかね?」

 

カレンは用意された紅茶に手をつけずに井ノ本とテーブルにて対峙している。

 

「私は………アキラの事をあなたから聞きたいの。」

 

「ほぅ…。」

 

アキラの名が出るが井ノ本は特に驚く様子を見せない。

 

「アキラの身に何か起こったのかな?」

 

「それに関しては黙秘させてもらうわ。でも改めて私はアキラの事を何も知らないって思い知らされた。」

 

「それで私を?」

 

「えぇ、陽炎の創設者のあなたならわかると思って会いたかったの。………あなたはアキラの何かを知っている!」

 

井ノ本はティーカップを口へ運ぶ。

 

「知ってどうする?」

 

「……彼の過去を知ったところで何もできないかも知れない。けどまた会うときにきちんと彼と向き合いたいの。」

 

「ここから生きて出られると?」

 

「私はそのつもり。」

 

カレンの真剣な眼差しに井ノ本は笑みを溢す。

 

「おもしろい子だ。なるほど奴が君に心を開いただけ信頼され強い信念を持った人間のようだ。」

 

 

井ノ本はゆっくりと自分のサングラスを外す。

 

「私が流崎アキラを陽炎に配属させて戦闘のプロへと育て上げた。私の半生は理想の戦闘集団づくりに捧げてきた。 だが優れた技術、管理も優秀な人的素材に敵わないと知り私は兵士として理想の人材を探してきた。」

 

 

「人的素材…?」

 

「そして私は探し当てた。流崎アキラを。」

 

「アキラ……。」

 

「生命体には他に比べ群を抜いて生存率の高い固体が存在する。私はそれを異能生存体(いのうせいぞんたい)と名付けた。」

 

 

「……異能……生存…体?」

 

聞いた事のない言葉にカレンとスザクが目が点になる。

 

 

カレンは中華連邦にてゼロとシュナイゼルがチャスで対局を思い出し、対局中にシュナイゼルがゼロの集中力を削ごうとしたのか何やら戯言を言い出したのだがカレンにはそれがただの戯言には思えなかった。

 

 

 

「はじめは日本のある研究所にて菌類からの発見されたものだった。あらゆる致命的損害でも死なない生命の法則に反する菌類。後にそれが人間にも存在することがわかった。」

 

 

「それがアキラってこと……?異能生存体、不死の人間?」

 

「そんな人間が存在するはずが…………いや!?」

 

カレン、スザクはギアスの存在を知っており、もしやアキラもギアス能力者なのかと疑った。

 

 

「………奴が存在を知ったのは奴がまだ赤ん坊の時だった。」

 

アキラの出生、その事実にカレン、そしてスザクも驚愕の表情をする。

 

 

「もっとも私が見たのはほんの一瞬だけで私の前から姿を消した。

だが8年後、奴が日本で生存していることを知った。日本とブリタニアが開戦する2年前の事だ。」

 

「日本!?」

 

「そう、小笠原、いやもっと南下してある小さな島の住民百数人の小さな集落に奴はいた。その時の私は奴が生きている事に信じられず私は軍をその島に派遣させた。

そして対ブリタニアのための最前線基地建造の名のもと島の住民を殺害した。アキラが本当に異能生存体なのか確認するために。」

 

「なっ!?」

 

「そんな……アキラ1人のために島の住民全員を!?」

 

この話にスザク、カレンは顔面蒼白となった。

 

「もちろん、アキラらしき子供を見つけ殺害、住民の遺体と共に焼却した。だがそれから4年後、ブリタニアとの戦争中に私は奴と再会した。火傷のあとも残さずに。」

 

「そんなバカなことが!?あなたの見間違いで死んだのは別の人間でアキラはその島にはいなかった!!」

 

怒鳴るように声を荒げるスザクを見てフッと井ノ本はほくそ笑んだ。

 

「君が否定する気持ちはわかるが私は目撃してるのだよ。異能生存体の奇跡を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキラは物陰からルルーシュに扮した咲世子の行動を見守っている。跳んだりとどう見てもルルーシュとは程遠い姿であるが追跡から逃れており捕まることはない。みんなにはルルーシュのお得意の口術で言い包めさればいいとアキラは次の行動に移ろうとした時上空に巨大な影が通り過ぎアキラは上を見上げた。

 

 

 

 

『おい、ルルーシュ。』

 

「どうした?」

 

 

『スザク以外のナイトオブラウンズが2人この学園にいるんだな?』

 

「あぁ…それが?」

 

「にっ兄さん!」

 

ロロの呼びかけでルルーシュはモニターに写ったものに目が入る。そこにはアーニャのモルドレッドが学園に侵入している。

 

「迂闊だったな。アーニャまで一般常識に欠けていたとは。」

 

『どうする?KMFも相手するつもりか?』

 

「作戦を最終局面に以降。咲世子は図書室に。」

 

 

 

校舎に入るところでモルドレッドが図書室に近づくのを見てアキラは咲世子に連絡を取る。

 

「咲世子、KMFがお前のところに……咲世子?どうした?」

 

応答のない咲世子にアキラは図書室へと向かい入ったところ意外な人物と会ってしまった。

 

 

「ルル!!」

 

何故ここにシャーリーが。アキラは周りを見ると近くで身を隠している咲世子を見つけた。

 

シャーリーがこちらへ近づこうとした時外からモルドレッドがこちらへ近づくのに気づいた。

 

「シャーリー、伏せろ!!」

 

モルドレッドがガラスを破りシャーリーが巻き込まれそうになりアキラはシャーリーを抱き寄せ階段から転げ落ちた。

 

「なっ!?モルドレッド!!」

 

地下から図書室へと入ったルルーシュはモルドレッドが現れ慌ててまた扉を閉めた。

 

「咲世子、無事か?」

 

『はい、私は無事ですが流崎様がシャーリーさんと。』

 

「何!?シャーリーが!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐トウキョウ租界 総督府‐

 

「私が奴を保護し軍に入れ私の理想の兵士へと育てあげた。」

 

井ノ本はあるファイルをテーブルに置いた。カレンはそのファイルを開くと中身はアキラの陽炎での戦歴が事細かく記録されていた。

 

「12歳、歩兵部隊に配属。アイチの軍事基地、攻略作戦に参加。作戦は失敗……えっ?」

 

カレンの目に入ったのはレントゲン写真であった。

 

「骨盤骨折に肋骨骨折で骨が肺を損傷全治3ヶ月……。これってアキラ……。」

 

「そう、奴がその作戦で負った怪我だ。だが奴は2週間後復帰を果した。奴が所属していた部隊は奴以外は死亡。奴の生存は奇跡と言っていい。」

 

「そんな……!」

 

カレンは他の戦歴に目を通し傍で見ていたスザクはある事に気づいた。

 

「アキラの部隊の配置、そして部隊の損害………そんな!?」

 

「そう、私はあえて生存率の低い状況に奴を置いた。そして奴は生き残った。この生存確率の際だった高さを見てばわかるだろう。」

 

 

カレンは今までアキラと共に戦ってきて彼が生死を彷徨う事が何度も目撃してきた。

先の太平洋の戦いでは一度死んだのだ。

 

(じゃあ、アキラが生きてこられたのはこの異能生存体の力って事!?)

 

 

 

 

「まるで作戦そのものがアキラに対する実験そのものだ……。」

 

そしてカレン、スザクは思った。これはギアスの力なのか?だがアキラ自身は負傷など生死を彷徨う危険な状況など記載されアキラがギアスを持っているのならそうなる前に危機的状況から脱することができるはずだ。

 

‐流崎アキラ、彼も気をつけたほうがいい。ギアスに匹敵する力を持っている‐

 

スザクは1年前ブラックリベリオンの時V.V.に初めて会った時彼からの忠告を思い出した。

 

「流崎アキラの……異能生存体はギアスとは別の力なのですか?」

 

(スザク!?)

 

スザクの問いにカレンは悟られないよう表情を硬くする。

 

 

「異能生存体とギアス。この2つの力は似て非なるものの存在。異能生存体は王殺しの力でもある。」

 

 

「ギアスを殺す力?」

 

「異能生存体はどんな奇跡でも引き起こすことができる。自身の生死に関わると周囲の環境を変え生存を果す。故に異能だ。」

 

「周囲の環境?」

 

「君たちも目撃している筈だ。1年前、行政特区日本を発布したユーフェミア・リ・ブリタニアの最期を。」

 

「ユフィの………?」

 

ユーフェミアの最期を目撃している2人は憶えている。彼女が乗ったKMFがアキラを狙ってライフルを撃ったが逸れてその銃弾が……。

するとスザクの顔が段々と青ざめていく。

 

「いや…そんなバカな!?ありえない!!」

 

カレンもユーフェミアの最期を思い出し井ノ本の言ってることの意味を知る。

 

「待って!じゃあ、あれはアキラが起こして事って言いたいの?」

 

「あれは銃弾が逸れ偶然彼女に銃弾が当たった。そんな低い確率の現象を引き起こした事が奴が異能生存体である証。」

 

スザクはアキラに対し恐怖にも似た感情を抱きつつある。生き残るためなら周囲の人間を巻き込む異能生存体。もし井ノ本の仮説通りならアキラは危険すぎる。

 

 

その時、スザクの携帯が鳴り少し離れて携帯を取った。

 

「アッシュフォード学園に?アーニャが!?わかった。すぐに!

すみません、緊急事態が起こりました。申し訳ありませんが彼女を頼みます。」

 

 

急ぎ部屋から出てスザクは一瞬扉の横に立っていたエリスと目を合わせ走り去っていった。扉越しからPSで強化された聴力で聞いていたエリスは握っている拳を強く握っているのであった。

 

 

2人だけとなったがカレンは話を続けた。

 

「でも、あなたの話だとアキラはその力のおかげで生き残れたってことになるじゃない。」

 

「……1年前、奴が熾したシンジュクの事件で君がアキラを助けに現れた。軍が街を封鎖している中を掻い潜り君がアキラのもとへと来る環境をつくらせたのがアキラの異能の力でもある。」

 

 

 

 

「………アキラは自分が異能生存体だって知ってるの?」

 

「私が直接告げた。だが奴は拒否した。」

 

「拒否?」

 

「発作だ。奴は幼い頃の記憶がない、思い出そうとすると発作を起こす。………私は異能生存体である奴に対し興奮と恐怖を感じた。私がエリア11を去る直前私は再度アキラの抹殺を図ろうとある作戦に乗じて奴を殺そうとしたが奴は生き延びた。」

 

アキラが捕らえられていたC.C.を発見し味方に裏切られた作戦だとカレンは思った。

 

「如何にしてアキラを抹殺することができるのか私は人工的に異能生存体を生み出すことにした。」

 

 

「パーフェクトソルジャーっ!?」

 

「そう、エリスはアキラに対抗できる唯一の存在。だが……もう一つ、異能生存体の根底を知ることができた。」

 

「異能生存体の根底?どういう意味?」

 

「ふふっ、君がアキラと共にいるのであればいずれ辿り着く。異能生存体、いやこの世界の姿を。」

 

 

まだ真意を隠している井ノ本に対し不審の目を向けるカレンであったが今、アキラに対し自分のやるべきことを決意を胸に秘めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……怪我ないか?」

 

薄暗い階段の下でアキラはシャーリーと2人でいる。

 

「うん、大丈夫。…………ねぇルル、聞きたいことあるの。どうして私にキスしたの?」

 

咲世子がルルーシュの影武者している時に起こった事はアキラは把握している。

 

「…………。」

 

「ねぇ、どうして黙ってるの?その……遊びだったの?あのキスは?」

 

「………………。」

 

「やっぱりおかしい、ルルらしくない。」

 

当事者ではないアキラに今のシャーリーになんて言葉をかけてやればいいのかわからないでいる。

 

「いや……俺は…。」

 

「ルル?」

 

返答に困るアキラであったが傍で別の人間の気配がし一瞬視線をそちらに向けその人間の正体を察したアキラは僅かであるが口元が緩んだ。

 

「好きだからしたくなった。それだけだ。」

 

「嘘。冗談でしょ。」

 

「冗談じゃない。俺はクソ真面目な男だ。」

 

シャーリーは吹き出すように笑う。

 

「クソ真面目ならキスする前に何か言う事あるんじゃない?」

 

その問いに困りアキラは目が泳ぎ、その姿にシャーリーはハッとした表情をする。

 

「どうしてだろう?今のルル見てたら思い出せないけど誰かに似てる。」

 

「えっ!?」

 

「そう、好きな女の子にどう接したらいいのかわからない不器用な人って感じの……ごめんやっぱり思い出せない。」

 

苦笑いするシャーリーを見てアキラは自分がここにいた頃を思い出しまだここに馴染めてない自分がカレンに冷たく接しているのを見て声をあげて怒ったのはシャーリーであった。

それからもシャーリーはアキラに対して別け隔てなく接してくれていた。

アキラはゆっくりと立ち上がった。

 

「シャーリー、俺がいいって言うまで目を瞑ってくれないか。」

 

「えっ!?う、うんわかった。」

 

目を瞑るシャーリーからアキラはゆっくりと離れていき階段を上っていき近くで隠れている人間と目が合った。

 

「あとは任せた。ルルーシュ。」

 

「任せたってお前!?」

 

「シャーリーが待ってるぞ。」

 

「くっ…。」

 

いつまでも待たせるわけにはいかずルルーシュは階段を降りていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう…開けてもいい。」

 

ゆっくりと目を開くシャーリーの前にはルルーシュが立っている。

 

「…………ッ。」

 

黙ったままのルルーシュにシャーリーは残念そうな顔をする。

 

「キスしてくれると思った。」

 

「えっ!?」

 

「いいよ。嘘のキスでも、私…」

 

「ダメだ!そんなの。」

 

声を荒げるルルーシュにシャーリーは微笑む。

 

「ルルに戻った。」

 

「えっ…?」

 

「最近のルル、らしくなかったから。……………ルル、今度はルルが目瞑って。」

 

シャーリーの要望にルルーシュは戸惑いながらも目を瞑ったが頬に痛みが伝わり目を開くとシャーリーがつねっていた。

 

「キスされると思ったんでしょ。」

 

「その……可能性の問題として。」

 

「ルルのエッチ。」

 

「いや、だから……。」

 

焦るルルーシュにシャーリーは優しく微笑んだ。

 

「でも、いつか本当に好きにさせてみせるから。言ったでしょ、恋はパワーだって、ね?」

 

 

 

 

その後、スザクのランスロットが現れたりと騒動が続いたがこのミレイの卒業イベントは無事終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井ノ本との話が終わりカレンはスザクの代わりにエリスによって車椅子で部屋を後にするが

 

「最期に聞きたいことがあるの。」

 

「ん?」

 

「あなたはアキラのことどう思ってるの?」

 

その問いに井ノ本は少し思案するが

 

「私の理想に最も近い男、そして最も危険な男だ。」

 

 

「……1つだけ言っておく。私はアキラを助けたいからシンジュクへ戻った。どれだけ敵がいようが関係なかった。今までもそう、私は自分の心に従って動いてきた。」

 

 

カレンの一言一言井ノ本は黙って聞いている。

 

 

「……異能生存体だとか関係ない。あなたの話だとアキラが人間じゃないように聞こえるけど私には血の通った1人の人でそんなアキラを人として私は……。」

 

「私がサドナ王国で奴と再会した時奴の瞳には生気を感じた。初めてだったあの流崎アキラが……。君が大きな影響を与えたのだろう。」

 

「それは私も同じ。アキラがいたから戦える。だから生きてアキラとまた会う。いつまでもここでいるつもりはない!」

 

部屋を出るカレン、エリスの後姿を井ノ本は無表情で見つめるのであった。

 

 

 

カレンを独房室へと入れエリスは出ようとするがエリスは立ち止まった。

 

「紅月カレン、アキラが異能生存体だろうが関係ない。お前を殺し奴を…。」

 

「そう……正直言って私はあなたと戦いたくない。」

 

「何っ?」

 

「似ているのよ。あなたがアキラと。」

 

「私が!?」

 

「初めて会った頃の誰も信じず1人孤独で生きていた彼に似ている。」

 

「何を……言って…?」

 

自分がアキラに?戸惑いの色を浮かべるエリスにカレンはエリスの手を優しく握る。

 

「私はあなたに教えたいの自分のモノにするとか支配するとかじゃない、本当の愛を。」

 

「本当の………愛?」

 

「あなたとは別の形で会いたかった。……さよなら。」

 

 

‐本当の愛‐

 

その言葉が理解できずカレンに握られた手を見つめエリスは独房の扉を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イベント終了後、地下の司令部へと戻ってきたルルーシュを不敵な笑みを浮かべているアキラが出迎えた。

 

「カップル成立おめでとうってところか。」

 

「何だ、その感情のこもってない言い方は。」

 

「せっかく、キスするタイミングを作ったんだ。あの時すればあいつが喜んだろうに。」

 

「お前……。」

 

「俺は帰る。」

 

「待て、またゲットーか。」

 

「ゲットーの塒に十分だ。ここは俺には居心地が良過ぎる。」

 

そう言うとアキラは司令部を出て行くのであった。

 

 

 

 

‐共にここへ戻ろうとカレンから言われた。だが今、俺がここへ戻ることはできない。過去の……陽炎との決着をつけるまで俺は……‐

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、キャスターとしてミレイが市街地の電光掲示板に映されている。

 

その近くのあるビルの1室にある男が市街地を見上げている。

 

『ジェレミア、これで8箇所目?』

 

「はい、別の箇所には例の男を。しかしV.V.、本当にギアスをかけられた人間はSPとして配置されているのでしょうか?」

 

 

『わからないからキレイにしているんだよ。君と彼には全てのギアスを破壊するギアスキャンセラーを手に入れたのだから。』

 

「了解しました。誰がギアスにかかっているのかはわかりませんが……。」

 

部屋にもう1人の男が入ってきた。

 

 

「そちらのほうは?」

 

「………完了した。」

 

「そうか……なら。」

 

ジェレミアは隠された左目が露になりすると何かを発動させた。

 

「これであとはアッシュフォード学園さえ落とせば、ルルーシュを……。」

 

隣にいた男から金属が擦れる音が聞こえジェレミアは横を見る。

 

「そうか…お前は流崎アキラであったな。」

 

「来る………奴はきっと!」

 

ジェレミアと同じく左目が隠された男、高山 昌克(たかやま まさかつ)は義手の右手を擦る音を大きくするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………思い出した。私のお父さんを殺したゼロは………ルルーシュ。」

 

ジェレミアと高山が近くでいる市街地にいたシャーリーは突然、脳に情報が流れ込んできて抜けた記憶が蘇り呆然と立ち尽くした。

 

 

 

 

 

 




まさかの高山復活w

そして原作通りシャーリーはその後……

来年から急展開を迎えます。
両作品をいい意味で混ぜ壊していきたいと思います。

では皆さんよいお年を。

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