コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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ついにあの話を…では


第22話

別働隊がゼロ、天子そして神楽耶、カレンと合流し朱禁城から離れる間アキラは藤堂と迎撃に来たスザクのランスロットを相手に戦っていた。

 

『まさか君とこうして共に戦うとはな!』

 

「………俺もだ。」

 

新型機2機を相手にスザクも苦戦を強いられている。

 

接近戦を得意とする藤堂に距離が離れればアキラの銃撃が襲い掛かる。この2重攻撃にスザクは追い詰められいった。

 

「もう1機、この戦い方流崎アキラ、君だな!」

 

アキラが左腕に装着してあるハンドガンで撃ちスザクがブレイズルミナス防御している隙に藤堂が背後をとり襲い掛かった。

それに気づいたスザクは寸前で回避できたがフロートユニットの片翼が破壊された。

 

「しまった!?」

 

更に右腕に持っていたハドロンブラスターがアキラのライフルにより破壊されてしまった。

アキラが暁の右腕に装着させている銃身の長い大型ライフルはKMFの装甲を貫くことのできる徹甲弾を装填して強力だが連射できないのが難点である。

 

「これで背中の大砲は撃てない。」

 

『藤堂、アキラ撤退だ。ランスロットの動きを封じ込めただけで十分だ。』

 

 

 

ゼロの指示により2人は朱禁城から離れることにした。幸いスザクが追撃にくる様子もなく2人は難なく朱禁城から出る事に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルハウンドの出撃を!」

 

バーネット兄妹のところへ戻ってきたエリスであったが2人が止められた。

 

「残念だけどエリス、一足遅かったよ。」

 

「黒の騎士団は天子を強奪して逃げたわ。中華連邦の軍が動いてるけどこれ以上私達が動くことはできないわ。」

 

 

すると通信から井ノ本からの連絡が来た。

 

『陽炎の部隊に伝えるんだ。全軍、すぐに行動できるよう武器、エナジーフィラーの補給を済ませるんだ。』

 

「しかし……ここは中華連邦他国での軍事介入は……。」

 

部隊の責任者が返答する。

 

『心配ない。その問題はもうすぐ解消される。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中華連邦軍の追跡部隊を蹴散らしアキラと藤堂は黒の騎士団の黒の騎士団の浮遊航空艦斑鳩(いかるが)へと着艦する。

 

「アキラ、お疲れ様。」

 

「カレン、お前達が先に戻ってたのか。」

 

「えぇ、このままうまく蓬莱島まで戻れたらこの作戦は成功。一服どう?」

 

カレンから差し出されたドリンクにアキラは微笑を浮かべ受け取った。

 

「それにしてもみんなでゼロに化けて今度は花嫁を強奪ってホントよく考えつくよ。」

 

「だから奇策ってやつだろうな。」

 

「ふふっ、そうかもね。」

 

カレンはふとアキラの横顔を見た。彼女の視線に気づいたアキラは横を向き視線を合わせた。

 

「どうした?」

 

「い、いや…なんでも……。」

 

だがカレン意を決したように話し出す。

 

「ねぇ…アキラ、私ルルーシュに言われたの。全てが終わったら一緒にアシュフォード学園に帰らないかって。」

 

「……。」

 

特に驚いたように見えないアキラであったがカレンは続けた。

 

「それは私も同じ。もちろん全部が元通りに戻らないかもしれないけど今度はあなたを流崎アキラとしてみんなで迎え入れたいの。」

 

特に喜んでもなく怒ってるでもなく無表情でいるアキラにカレンは機嫌を悪くしたのかと心配するがアキラが口を開いた。

 

「テロリストを迎え入れる?おかしな話だな。だがあの連中ならやりかねないな。」

 

「ふっ、だろうね。」

 

これにはカレンはおもわず噴き出した。

 

「…だが、悪くないな。」

 

「…アキラ。」

 

「みんなと……お前とまたあそこで過ごすのも……。」

 

「……。」

 

「お前のおかげだ。あそこが俺の居場所になった。」

 

「だったら約束よ。2人で…あっ!ルルーシュも入れたら3人か。……帰りましょう。」

 

「……あぁ。」

 

2人はお互いの視線を合わせ微笑んだ。カレンが自分に与えてくれた安らぎの居場所また彼女と一緒に……そう思う自分の心境の変化は彼女の影響だとアキラは感じる。

 

 

だが………

 

 

 

 

その直後斑鳩の艦内から大きな爆発音が聞こえた。

 

「敵!?」

 

「嘘!? 敵が追いついた!?」

 

だが敵の追撃部隊が来た様子はない。次に行進曲のような音楽が大音量で流れ出した。

 

「何これ? どっかの故障?」

 

カレンをはじめ周りの団員も戸惑い、カレンはアキラの顔を見ると彼の顔が青ざめている事に気づいた。

 

「アキラ?」

 

「…………何故?」

 

「えっ?」

 

アキラは突然走り出し艦内の中へと入って行った。

 

「アキラ!?」

 

 

 

 

 

 

 

‐何故だ?何故?‐

 

 

 

 

 

 

 

アキラの後を必死で追いかけカレンは斑鳩のデッキへと着いた。

 

そこにはアキラをはじめゼロ、扇、藤堂達が集まりモニターに映っているものを注視している。

 

そこに映っているのは……。

 

 

戦場を駆けるKMFと兵士達の姿が映し出されている。

 

映されている兵士を見ると全員日本人でKMFはグラスゴーで濃緑の塗装が施されており日本解放戦線の戦闘映像だと判ったが違うのは右肩が赤く染められていることであった。

 

「陽炎……?」

 

カレンの言うとおり赤い肩をしたグラスゴー、おそらく敵グラスゴーを鹵獲したり独自で開発したKMFを中心にしたKMF部隊でまだ無頼ができていない頃の映像であろう。

 

「発信源は?」

 

「わかりません。強制的に割り込んできて映像を止める事はできません。」

 

扇達も突然陽炎の記録映像が斑鳩の艦内にて流れ出し戸惑いを隠せなかった。

 

「そうだ……俺は…陽炎………。」

 

映し出される映像にアキラはただ呆然を見ているがその顔色は悪かった。

 

映像は敵ブリタニアの軍事基地を攻撃している映像へと切り替わる。基地を壊滅し降伏した敵に対して陽炎は容赦なく銃弾を浴びせる。

 

「降伏した相手を!?」

 

虐殺を行っている姿に藤堂は驚きと共に陽炎に対して怒りの感情が出てきた。

 

その次ある町を陽炎が襲撃している映像へと切り替わる。

 

グラスゴーが民間人をライフルで射殺し死体の山を築きあげる。人の悲鳴、叫び声が艦内に響き渡った。

 

「嘘、なんで!? 同じ日本人を……っ!」

 

陽炎が同じ日本人を虐殺している映像にカレンは顔が青ざめるがアキラのことが気になり彼の顔を覗くが自分と同じように悲痛な面持ちであるがアキラは罪悪感も滲ませている。

 

「陽炎……俺が……忘れ去ろうとした……やめろ!止めてくれっ!!」

 

 

オペレーターを無理矢理退かし機器を操作するが映像が切断されることはない。

 

「噂は本当だったわけか……。」

 

動揺しているアキラの姿を見て朝比奈が呟く。

 

「基地に隣接する町を巻き込んで一つの町を壊滅させたって……。」

 

「更に町で強奪、女を襲ったりしたりと…。」

 

千葉もこの映像を見て嫌悪感を隠せなかった。

 

「アキラ…あなたまさか…?」

 

アキラはカレンからの視線を感じ苦い表情をする。

 

「……あぁ、そうだ!俺は陽炎、レッド・ショルダー!無慈悲な殺人鬼だ!!」

 

やけくそになったかのようにアキラの声がデッキ内に響き渡る。

 

止まない陽炎の映像、行進曲にアキラの心情が乱れていった。扇をはじめ皆からの冷たい視線にアキラは逃げるようにデッキから出て行きカレンは慌ててその姿を追う。

 

 

(これがアキラの触れられたくない過去……。そして陽炎のもうひとつの姿。)

 

ルルーシュはアキラが隠していた過去を、彼の深い心の闇を垣間見えた。

 

 

 

 

「……アキラっ!」

 

カレンはアキラが入って行った彼の自室の前へと立った。ドアに手をかけようとその手が止まった。

 

(今の彼に何を言えっていうの?)

 

今、アキラに会ったとしてどういう言葉をかけろと言うのだ。カレンは自問自答を繰り返す。現に今アキラ、陽炎の真実の姿を見て恐怖している自分がいる。

 

ドアに触れようとした手をカレンはゆっくりを引く。

 

先日、シンジュクゲットーで自分達を襲ったグループの1人の死に際の言葉が脳裏に蘇った。

 

‐悪魔‐

 

アキラが自分を拒み高い壁が隔ててるようにカレンは感じた。

 

 

 

(一体…誰が……?)

 

自室に篭ったアキラはベッドの上に座り未だ流れる何時の間にか行進曲が止まり静かになったがアキラの苛立ちが募るばかりであった。

 

(井ノ本達なのか?俺を狙って…?)

 

この仕掛けを誰がしたのか考えるが頭をよぎるのは先程自分に向けられた皆の冷たい視線、そして自分に恐怖しているカレンの視線であった。

 

「……っく!」

 

その時警報のサイレンが鳴り響いた。

 

「敵っ!?」

 

アキラの私室の扉の近くにいたカレンであったが扉が開き中からアキラが姿を現した。

 

「待って!どこ行くつもり?」

 

自分の腕を握るカレンの手を無理矢理離しアキラは走り去って行った。

 

「アキラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「敵が追いついてきただと!?」

 

ゼロは中華連邦軍がこちらへ追いつくにはまだ時間がかかると予測したが中華連邦のKMFガンルゥの部隊が並びそして空中に浮いてある1機のKMFが立っていた。

 

 

「…聞こえているか、ゼロ!天子様を返してもらいに来た!」

 

声の主、星刻は青の塗装のKMFを駆って斑鳩立ちふさがる。

 

「あれは神虎…!?」

 

星刻のKMF神虎を見てラクシャータの目の色が変わった。

 

「知ってるのか?」

 

「作ったのはうちのチームだからねぇ。紅蓮と同時期に開発したんだけど、ハイスペックを追求し過ぎてねぇ。扱えるパイロットのいなかった孤高のKMFそれが神虎よ。」

 

 

まだ蓬莱島へと戻っていていない今、ゼロはいかに星刻の追撃を逃れようと策を練ろうとした時斑鳩の格納庫から1機の暁が出撃した。

 

「あの暁は…。」

 

扇は機体の確認をしようと格納庫へ連絡がするが何やら騒がしい音が聞こえる。

 

「何があったんだ?」

 

『それが流崎が勝手に出撃したんですよ。』

 

「じゃあ……あれは!」

 

『いいから紅蓮に乗せて!』

 

聞こえてきたのはカレンの怒声だった。

 

「今出たのはアキラだったのか……。」

 

普段見せないアキラの行動にゼロはいやな予感がした。

 

 

格納庫ではカレンが紅蓮に乗ろうとするカレンと止めようとする整備班が争っている。

 

「まだエナジーフィラーの交換が終わってないんだ!」

 

「待てないこのまま行く!」

 

整備班を払いカレンはコックピットに飛び乗った。

 

「今、アキラを1人にはできない!」

 

 

 

 

 

「天子様……ん?」

 

星刻はこちらへ近づく1機の敵KMFに気づいた。

 

アキラの乗る暁は空から銃弾の雨をガンルゥの部隊に浴びせ撃破したガンルゥの上に踏むように着地し腰の後から折り畳み式の廻転刃刀を取り出し近くにいたガンルゥのコックピットに突き刺した。接近戦のできないガンルゥは距離を取ろうとアキラから離れる。

敵が接近戦できないとはいえたった1機で敵の中へと飛び込むのはアキラらしい戦い方ではなく今の戦いは荒々しくも見える。

 

 

 

―今度はあなたを流崎アキラとしてみんなで迎え入れたいの-

 

 

‐やめろ……俺のような人間がいてはいけない場所だ……‐

 

 

 

 

 

 

‐俺の……‐

 

ガンルゥを廻転刃刀で突き刺す。

 

‐居場所は……‐

 

ガンルゥのコックピットと一緒にエナジーフィラーも突き刺さりエナジーフィラーから液体が噴出しそれが暁にかかる。

 

戦場(ここ)しかないんだ…!!‐

 

液体がまるで血のように見え暁の姿は返り血を浴びた兵士のように不気味に見える。

 

 

 

「まるで獣のようだ……だが!」

 

 

神虎は中国刀のような刀器を構えアキラの暁を襲った。アキラは空へと逃げハンドガンで応戦するが神虎の両手首からフーチ型スラッシュハーケンが出され高速回転し銃弾を弾いた。

 

アキラは廻転刃刀を左手で逆さにして構え星刻の神虎と対峙するが神虎に赤い閃光が襲い掛かり神虎は後へと回避する。紅蓮の輻射波動砲弾である。

紅蓮はアキラの暁の前に立ち動きを止める。

 

『退がって!!1人で戦わないで!!』

 

「カレン、邪魔するな!」

 

『アキラ、落ち着いて!!』

 

カレンを払いアキラは星虎と再び対峙しする。星刻は中国刀にて応戦するがアキラは回避しながらライフルで狙い撃つ。

 

「流崎アキラ、噂以上の……だが闇雲に攻撃するだけでは!」

 

神虎の胸部が展開され紅蓮の輻射波動砲弾に似たビーム兵器が発射された。

 

アキラは咄嗟に上昇し避けようとしたが左脚が巻き込まれ膨張し爆発を起こした。

左脚がなくなったことでバランスを崩した暁はふらついてしまう。

 

更にスラッシュハーケンを暁の右脚に巻き付け地上へと叩き付ける。岩場にも叩きつけ砂埃が発生した。

 

「アキラ!!」

 

カレンは神虎に輻射波動砲弾を放つが回避されてしまう。

 

「このようなマネしたくはないが、私には目的がある。貴様には天子様を救うための人質に…。」

 

星刻はアキラを人質に捕らえようとスラッシュハーケンを巻き戻そうとするが砂埃から出てきたのはハーケンに巻きつけられた右脚だけであった。

 

「っ!? 奴は何処に?」

 

砂埃から猛スピードで現れアキラは廻転刃刀で斬り込み星刻は中国刀で応戦する。先程の攻撃でアキラは右脚をパージしたことで暁の両脚はなくなり岩場に叩きつけられたことで飛翔滑走翼の片翼が破損している。

 

「お前達か!俺にあんなものを見せたのは!!」

 

『っ!? 何を言って…!』

 

星刻は蹴りでアキラとの距離を取った。アキラは追撃をしようとするがカレンの紅蓮が立ち塞がった。

 

『いい加減にして!!そんな状態でどう戦うつもり!!』

 

「……どけ!」

 

『一旦退がってゼロの指示に従って!!』

 

「俺は陽炎だ……1人だろうと戦う!」

 

『アキラ…!?』

 

もう陽炎でもないアキラを今もこうして苦しめてる。カレンは今のアキラにこれ以上戦闘を続けるのは危険だとはやく共に撤退しようとするが

 

「仲間割れ?だが隙ができた!」

 

星刻は胸部を展開し天愕覇王荷電粒子重砲を発射する。それに気づいたカレンも輻射波動砲弾で応戦しぶつかり合い眩い閃光となりアキラはその隙に星刻の横へとまわり廻転刃刀で突き刺そうとするが神虎は左腕で暁の腕を払い右腕に持っている中国刀で左腕を切断させた。

 

アキラは右腕のライフルを構えるが更に星刻は右腕も切断させ最後は蹴りでアキラの暁を地上へと落された。

 

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

落下した衝撃で頭部を打ち付けたアキラは頭から血を流す。

 

「アキラっ!!」

 

戦闘不能になったアキラを捕らえようとした星刻にカレンは呂号乙型特斬刀で襲う。

 

「誰でもいい!誰かアキラを回収して!!」

 

カレンはアキラを巻き込まないようアキラから離れて戦う。

 

「エナジーフィラーの残量が…。輻射波動ももうそんなに……。」

 

『紅月カレン……邪魔を…。』

 

星刻はスラッシュハーケンを紅蓮の脚に巻き込み捕らえた。

 

「っ今だ!」

 

ハーケンを手に取りこちらへ引き寄せる。体勢が崩れた隙に最後の一発、輻射波動を直に叩き込もうとしたが

星刻は神虎のハーケンを切断し紅蓮の輻射波動を回避した。

 

「そっそんなぁ……。」

 

敵がいないところへ輻射波動が働いたため紅蓮のエナジーフィラーの残量がゼロとなり

紅蓮は動かなくなった。

 

「紅月カレン、君を使わせてもらう。」

 

星刻は残りハーケンで紅蓮を拘束しそのまま運んだ。

 

「だあぁぁ!!アキラの野郎が勝手に出なかったらこんなこと!」

 

拘束された紅蓮を見て玉城が嘆く。

 

「ッダメ!!今アキラを1人にしたら…!!」

 

カレンは計器を押すが紅蓮は動かない。

 

 

 

 

両腕両足を無くし身動きが取れないアキラの暁を味方機が運びアキラは連れて行かれるカレンの紅蓮の姿を最後に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐カレンとの約束、その希望を踏みにじるように俺が捨て去ろうとしていた過去が蘇った。俺が殺していった人間が亡霊となって俺を深い闇へと引き摺りこもうとする。

連れ去られるカレンの姿が俺をさけるように一歩二歩と彼女のほうから遠ざかっているように俺には見えた。‐




はい、第3部は読んでいただいておわかりだと思いですがサンサ篇をモデルにしてます。


まぁ早速暁はスクラップ行きですww


この作品を作るにあたって避けては通れないエピソードだったので原作ではキリコにはフィアナが最後まで傍にいてくれましたがアキラには……。

さてどうなるのでしょうか…?

ではまた。

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