第二部 Return 開始です。
第13話
-エリア11 トウキョウ租界-
『所属不明のジェット機がエリア11の領海へと侵入したこの事件。侵入したと思われる機体がニイガタにて漂着されていたのを軍が発見し鹵獲されてからまもなく2週間になります。鹵獲された機体にパイロットをおらず今現在も捜索を続けております。軍の発表にると2ヶ月前サドナ王国で起こりましたテロ事件の犯行グループがエリア11へと逃亡したのではないかと思われます。市民の皆様は不審な人物を見かけたら警察、軍へと連絡を。続いては………。』
租界の市街地で電光表示板で流されるニュース映像を古びた黒いライダージャケットとサングラスをかけた男がじっと見つめて映像が切り替わると黙ってその場から離れた。
男は人で活気付いている街を避け裏通りへと入り迷うことなく奥へと入って行った。
狭い路地を抜け男の目の前に広がったのはガレキの山と化したビル郡、そして陥没して大小のクレーターの穴がいくもあり先程の華やかな街の租界とは明らかに異なる光景であった。
ここはシンジュクゲットー、男はゲットーの中へ入りかつて地下鉄として使われた入り口へと入っていった。
男はかけていたサングラスを外した。
男、流崎アキラは誰もいない地下鉄のホームの空いているスペースで腰を落とした。
-ニイガタでジェノムと別れトウキョウ租界へ戻って1ヶ月、カレン達の手掛りを求め数週間、各ゲットーへ聞いてまわったが有力な情報が得られないでいる。-
-ニイガタ-
『ジェノム、もう大丈夫なのか?』
『あぁ、もう杖なしで歩ける。それにいつまでも俺のお守りをしてたらお前が動けないだろ。』
『………これからどうする?』
『アレク達のところへ戻るのは難しいだろうな。故郷へ帰ろうと思う。親父達に心配かけたからな。』
『お前の故郷、アラスカだったな。』
『あぁ、皇帝のシャルルがインディアンを大量虐殺した事件あったろ。俺達の仲間はほとんど亡命したが俺の家族含めてアラスカに隠れて住んでいる。』
『アラスカはブリタニア本国の支配地だ。……帰れるのか?』
ジェノムはフッと微笑んだ。
『心配するな。自然が俺を助けてくれる。お前は自分のことを考えるんだ。租界へ行く伝手はあるんだろ?』
『あぁ、坂口のとっつあんが用意してくれた。』
アキラは1枚のメモ用紙を取り出した。
坂口がアキラと別れる前に渡したもので自分の名前を出せば協力してくれる同業者の名前が書かれた内容であった。
『そうか……じゃあお別れだな、世話になったな。』
ジェノムの差し出した手にアキラは黙って握手をした。
『アキラ………またみんなで会おう。』
ジェノムと別れアキラは一路ナガノへ行き坂口の同業者と合流し租界へと入っていった。
アキラは潜伏してると思われるゲットーへ行き最近来た日本人はいないかと捜し歩いたが有力な手掛りが得られなかった。そこでアキラはシンジュクへと入って行った。自分も巻き込まれた治安警察との戦いでシンジュクは壊滅的なダメージを負い多くのイレブンが他のゲットーへと移住しゲットーの一部が租界の再開発のエリアになりシンジュクゲットーの規模が半分以下となった。今、シンジュクに住んでいるイレブンは家族もおらず身体が不自由な人ばかりでゲットーは1年前以上にゴーストタウンへと変わっていた。
勝手を知っているここならカレン達が潜伏しているのではないかとここを中心に探しているのを数日行っていた。
自分の検討が外れているのかそれとも既に捕まってしまったのか様々な自問自答を繰り返しながらもアキラは少しでも体を休めようと目を閉じた。
-ブリタニア第2独立部隊陽炎 ヨコタ軍事基地-
1機の軍用輸送機が基地へと着陸した。
「う~ん、久しぶりのエリア11ね。」
「ブラックリベリオンの時以来だね。」
ドリーとジョディは陽気な様子で降り立ってきた。
2人の前に数名の部下を連れた1人のブリタニア人が現れた。
「陽炎ヨコハマ基地の責任者 レビン・オーウェン。お二人の長旅ご苦労であった。」
「あぁ、君が本国での
ドリーの言葉にレビンは黙って受け流した。
「それでもう1人、例の彼女は?」
ドリーとジョディのうしろに黙って周りの光景を眺めている女性が1人いる。
「彼女が例のパーフェクトソルジャー……。」
「そう、エリス。今回調整でこちらに寄ってきたけど最近変わったことは?」
「相変わらずテロの活動が続いている。だが1年前と比べると小粒のようなものだ。」
「そうかしら、彼女は何か起こる気配を感じるようだけど。」
エリスを見てジョディは目を細めた。
「エリス、あなたは誰を見てるの流崎アキラ?それとも……紅月カレン? んふふ。」
-翌日 バベルタワー上空-
晴れ間の空の中バベルタワーの上空付近を気球船が優雅に飛んでいた。
『……まもなくトウキョウ租界管轄空域に入ります。』
『了解、飛行目的は広報宣伝で間違いないか?』
『変更なし、滞空時間も申告どおりです。』
『……確認した上空飛行を許可する。』
-気球船内-
気球船の中では数人の日本人がいた。
「かつてゼロと共にブリタニアを恐怖させた黒の騎士団も、もはや我々を残すのみ。しかし、絶望にはまだ早い。この飛燕45作戦さえ成功すれば。」
皆、酒を飲み干した後、皆の顔を見てト部は叫んだ。
「日本、万歳!!」
全員が酒器を割った。
アキラはバイクから降り近くにあったベンチへ行き腰を落とした。今日は少し離れたゲットーまで足を運んだがカレン達の手掛りは掴められなかった。
アキラはバイクを摩った。バイクは坂口の同業者が譲ってくれた型の古いバイクであった。
さて、これからどうすると考えていると近くでチャイムの音が聞こえた。聞き覚えのある音にアキラは自然と音があったところへ向かっていった。
-アッシュフォード学園-
ここはかつてアキラが在籍していた学園、生徒達が楽しく過ごしている中1人の生徒が教師から追いかけられていた。
「待て、ルルーシュ!」
「だから、単位も取ってますからいいじゃないですかヴィレッタ先生。」
「頑張れ副会長。」
「ありがとうございますミレイ会長。」
生徒会長のミレイがルルーシュにバイクのカギを渡した。
「お前それでも生徒会長か!?」
「すみません、思わず。」
何も変わらない喉かな日常がここにはある。
アキラはバイクを押しながらアッシュフォード学園の正門近くまで来たアキラは嘲笑した。
(まさか、ここへ足を運ぶとは思わなかった。ここでの思い出に浸ろうとしているのかそれともまたここで……この時の俺は自分の意外な行動に呆れていた。)
学園へ入る事はできないがまるで懐かしむようにバイクを押しながら学園の周りを眺めていた。塀のほうを見ると監視カメラ1台があることに気づきアキラは先程の道を引き返そうとした時
「きゃあっ!?」
角に曲がった時出会い頭に学園の生徒と衝突してしまった。幸いバイクにぶつからずアキラと当たったため少しよろめいた程度であった。
生徒の姿を見たら長い髪の茶髪の女子生徒、アキラはこの生徒に見覚えがあった。
「シャァ……!!」
彼女の名前を言おうとした時今、自分はヘルメットを外し素顔を晒している事に気づいた。彼女も自分のことを知っているためここで騒がれたら面倒なことになる。
アキラは慌ててその場から立ち去ろうとした時、彼女のほうから先に声をかけてきた。
「すみません、大丈夫ですか?」
彼女の一言でアキラは目を見開いた。
(人違い……?いやだが……。)
アキラの様子を見て女子生徒は怪訝そうな顔を浮かべた。
「あの………。」
彼女の顔を見てアキラはハッとした。
「い、いや、大丈夫だ。俺のほうも悪かった。」
「そうですか、よかった。それじゃあ失礼します。」
何事もなかったかのように女子生徒はアキラの横を通り過ぎた。
彼女の後姿を見てアキラは不審に思った。
「演技……だとしても自然すぎる。」
とにかくここへ長居はできないと判断しバイクのエンジンをかけようとした時先程の女子生徒が正門で待ち合わせしていた友達と合流した。
「シャーリーどうしたの?」
「ううん、何でもない。」
アキラはシャーリーのほうを振り返り人違いではないと確信した。
(やはり、シャーリー!ならさっきのは?)
「なんだか騒がしいけど何かあったの?」
「あぁ、またヴィレッタ先生と追いかけっこしてるの。」
「えぇ、ルルまた~?」
シャーリーの言葉にアキラは驚きの表情をした。
(ルル!? あいつが……ルルーシュがいるのかここに!?)
ありえない、ルルーシュはゼロでここにいるわけがない。そう思いながらもバイクの音とともに聞いたことのある人物の声がした。
「シャーリー、あぶないよ。どいてくれ!」
「もうルルったら、ロロも連れて……。」
アキラは帽子を深く被り隠れて見るとそこにはサイドーカーに乗ったルルーシュの姿があった。
「ルルーシュ!?」
もう1人バイクを運転しているアキラの知らない男子生徒がいた。
事態が飲み込めないままアキラは急ぎバイクに跨りルルーシュが乗るバイクを追った。
「ったく、放課後くらい自由させてくれたっていいじゃないか。この前の試験だってトップだったのに。」
ルルーシュの態度にロロは呆れ返った。
「成績がよくったって日頃の行いが悪かったら意味ないよ。っで今日はどこ?」
「バベルタワーまで。」
「えっ!?そんなところに大丈夫?」
「大丈夫だって、ロロは先に帰っていいさ。」
バイクが信号で停まっている時ルルーシュはふと電光表示板に映し出されたニュースに目がいった。内容は軍とテロリストの衝突が続いているサドナ王国の映像であった。
「サドナ王国まだテロが収まってないな。」
「テロリストのリーダーのアレクセイだったかな。あちこちでテロ活動してるみたいだけど大勢の人がいる街を狙わず軍の基地だけを攻撃してるから英雄だなんて言われているよ。」
「そう言われて酔ってるだけさ。軍が本気になればテロリストなんて一気に潰されて悪者の烙印を押されるんだゼロみたいに……。」
ルルーシュから少し離れて尾行していたアキラはまだ混乱していた。
「ルルーシュ、何故お前がここいる?」
そして隣にいる謎の男子生徒、一緒にいるということは友達かもしれないがアキラは見覚えがない。
「ルルーシュにシャーリー………何がどうなってる?」
ギアスが一瞬頭をよぎったがだとしてもルルーシュがここにいる理由が分からない。
とにかく今は2人を追いルルーシュが1人になった時に捕まえてから問い詰めようとアキラは尾行を続け2人がバベルタワーへと入ったのを見て後に続いた。
-機密情報局-
各モニターにてルルーシュの姿が映し出されている中先程からルルーシュのあとをつけているアキラのバイクが発見された。
「対象の近くに不審なバイクを発見。」
「例の……。」
「いや……まだわからん。」
「モニターに映します。」
モニターのアップされた映像にバイクに乗ったアキラが映し出された。
「この男は!? 予定変更!対象X発見!別プランを平行して行うんだ!」
機密情報局内は騒然となり対応に急いだ。
バベルタワーの駐車場へと入ったアキラはルルーシュが乗っていたバイクを見つけた。
隣にバイクを止め2人が乗っていたバイクをよく見るとやはりこのバイクはリヴァルのバイクだと確信した。つまり生徒会の皆が学園にいるのだと思いアキラはこの違和感に不気味さを感じた。
とにかく今はルルーシュに接触しなければとアキラはヘルメットを取ってサングラスをかけた。タワーへと入っていった。
しかし、ルルーシュから遅れてきたアキラは彼がどこの階へと向かったのか分からず適当にある階へと入った。
その階の中はまだ建設途中なのか機材の音だけが聞こえていた。別の階へ行こうとした時、1人の作業員らしき男が声かけてきた。
「おいアンタ、こんなところで何してんだ?もしかして新人か?」
「道に迷った。人を探しに来たんだ。」
男はアキラの身なりを見た。
「お前さんイレブンだな?」
「……だったらどうする?」
「悪いことは言わねぇ、さっさと出たほうがいい。」
「なんだここのタワーは?」
「俺達イレブンを食い物にしてるんだ。」
数人の作業員が現れた。
「ここのタワーは今の総督カラレスが来てから造られたもので立派なのは見た目だけ。非合法のカジノ、人身売買、マフィア同士の会合の場に使われたりしてんだ。」
「俺達は休みもなしで働かされてんだ。」
作業員の話を聞きアキラはルルーシュがここへ来た目的がなんとなくわかった。
「そのカジノはどこでやってる?」
「はっははは、やめてほうがいい。俺達みたいなもんが行ける場所じゃねぇ。追い出されるぞ。」
「それともお前、軍資金でもあるのか?」
「金はない。だが場所は教えてくれ。」
「変な奴だなお前。」
その内の1人が慌てた様子でやってきた。
「おい、監督が戻ってきたぞ。」
それを聞き皆が慌てて作業へ戻ろうとした。
「47階だ。そこが一番でかいカジノやってる。追い出されるのがオチだがまぁ行ってみな。早く出ねぇと監督に見つかるぞ。」
アキラは47階へ向かおうと急ぎこの階から出て行った。
一方その頃カジノ場にいるルルーシュはあるトラブルが発生していた。
「大人の世界と学生、どちらが食べる側か、とりあえずこれでハッキリさせよう!」
ルルーシュは、持っていたケースを開け、チェスセットを見せた。
「兄さんやめよう。相手はマフィアだよ。」
ロロはルルーシュを諌めようとする。
「はははっ、威勢があっていいな学生、だが大人の世界を知らないものまた学生だな。」
「そうでもないさ、黒のキングさん。」
その名を言われ男は目の色を変えた。
「こっちの世界では名の知れた打ち手なんだろう?」
「ほう、知った上でかね。面白い相手をしてやろう。」
2人はテーブルへと向かった。
この事態を1人のバニーガールの姿をした女性は冷汗をかきながら見守っていた。
(はやく、ルルーシュをここから……。)
カレンは刻々と過ぎる時間に焦りの色を見せはじめた。
エレベーターで47階のカジノ場へと着いたアキラは派手なスーツなど富裕層の人たちで溢れ返っており自分の格好が浮いていることに気づかされた。
だがルルーシュも学園の制服の姿のため逆に見つけやすいと思いアキラは中を散策した。
ルーレットやスロットで遊んでいる人々が行き来しアキラはどこか居心地の悪さを感じた。サドナ王国でもこのような遊技場がありイゴールから誘われて入ったことがあるが自分はこれの何が面白いのかと口にしイゴールからはガキだなと笑われたことがあった。
そう耽っている時にふいにアキラは振り向き周りを伺った。
(誰かに見られている?)
背後から人の気配がし振り向いたが怪しい者が見られなかった。一度ここから出たほうがいいのかそう考えていると何か騒ぎ出したことに気づいた。
「黒のキングにチェスに勝負している奴がいるぞ。」
「相手は学生らしいぞ。」
「見に行ってみようぜ。」
その話を聞きアキラも急ぎチェスをやっている場所へと向かった。
チェスをしているテーブル席は人で見えずらかったが僅かな隙間からルルーシュの姿が見えた。
もっと近くで見ようとした時アキラはテーブル席から少し離れている1人のバニーガールに目が止まった。
(カレン………?)
見間違いではない、あれは間違いなく紅月カレンだ。何故ここにいる?様々な想いが交差するがアキラはゆっくりとカレンの所へ行こうとした時足が止まりうしろを振り返った。
(やはり、見られている!)
うしろを見ると黒いスーツ姿の男2人がいた。ここの店のガードマンのようには見えず自分の様子を伺っているようにも見える。
「………っく。」
名残惜しそうにカレンの横顔を見つめた。今、彼女に会えば巻き込んでしまう、そう思ったアキラはその場から離れていった。
「……えっ?」
カレンはふとギャラリーのほうに顔をむけある後ろ姿の男性を見つめた。
「あの人……。」
まさかと思いカレンはその姿を追おうとした時ギャラリーから声があがった。
「学生が勝ったぞ。」
「嘘だろ。」
カレンは基盤を見るとルルーシュが勝ったことがわかった。
「食べられるのはそちらでしたね」
「ふぅ…困ったな。こんな噂が広まっては私のメンツが立たない」
「言いふらすような趣味は!」
「違うよ学生君、君がしかけたイカサマの話をしているんだ」
「イカサマ!?」
「いけない子供だ」
「あっ!待ってくれ!」
ルルーシュは黒のキングに拘束された。
「さて・・・証拠を作ろうか」
「薄汚い大人が!」
「正しいことに価値は無いんだよ」
その時、轟音と共にバベルタワーが揺れ辺りが騒然となった。
カジノ場から離れ人がいない長い廊下を歩くアキラを男2人がついて歩いていた。
2人の気配を感じながらアキラは淡々と歩き角に曲がり2人もそれに続いて曲がった直後アキラは1人を蹴りで倒し残りの1人が銃を取り出そうとしアキラ隠し持っていたダブルバレルのショートショットガンを取り出し棍棒ののように持って相手のこめかみに向かって振り回した。
2人の銃を奪ったアキラはサングラスを外した。
「お前ら何者だ?俺に何のようだ!」
アキラの問いに2人は黙ったままでアキラは奪った銃で2人を殴打し懐から手帳を奪い中身を見た。
「機密情報局……?」
聞き慣れない組織名にアキラは頭を傾げた。更に問いただそうとした時屋上から轟音とともにタワーが揺れた。
何が起こったのかアキラはルルーシュとカレンの事が気になり2人を置いてその場から立ち去った。
「……対象Xと接触。申し訳ありません……武器を奪われました。」
『何をしているのだ!それでXは?』
「現在カジノ場へと逃走。」
『何としても仕留めるんだ。対象Xの捕縛また抹殺は皇帝陛下直々の命なのだ!』
アキラは急いでカジノ場へと戻ってきたが先程とは打って変わって悲鳴と怒号が飛び交う混乱の場となっていた。もちろんルルーシュ、カレンの姿は見えなかった。
何があったのか周りを見回ったが天井から数機のKMFが現れた。
「月下に無頼!黒の騎士団!?」
軍のサザーランドもタワーへと侵入し両軍戦闘へと突入した。
-陽炎 ヨコタ軍事基地-
「たった今入った情報です。バベルタワーを襲撃したテロリストは、KMFを数機保持している模様、機体の照合から黒の騎士団と思われます。」
この情報にドリー兄妹は顔を見合わせた。
「黒の騎士団の残党?」
「ここ最近目立った動きはなかったみたいだけどどうしたんだろうね。」
「けど面白くなってきたよ兄さん。」
隣で調整を終え眠っていたはずのエリスが目覚め起き上がり部屋を出ようとした。
「エリス、待ちなさい。」
ジョディの声でエリスは立ち止まった。
「ヘルハウンドはまだ調整が終わってないから出せないの。それでもいいなら行きなさい。」
エリスは黙って頷き部屋を出て行きジョディは通信で部下に連絡を入れた。
「エリスが出るわ。彼女1人で行かせなさい。」
「ジョディ、来ると思うか彼が?」
「兄さん忘れたの、彼女が勝手に流崎アキラと接触した時近くに紅月カレンがいたのよ。もしバベルタワーに紅月カレンがいるとすればあの男もいるはずよ。」
ドリーはやれやれと溜息を吐いた。
「同じ女のお前の考えだから通してやったが今のエリスは兵士としては欠点だらけだと思うけどな。」
ジョディはふふっと笑みをこぼした。
「兄さんには分からないでしょうね。嫉妬、憎悪、それらが増せば増すほど人間の感情が作られてそして恐ろしく強くなれるの特に女はね。」
ジョディは椅子から立ち上がりノートパソコンを取り出した。
「兄さん、特別席で観戦しましょう。」
ルルーシュと一緒だったカレンは途中はぐれてしまい一度仲間と合流した。
「ごめん、私がちゃんと捕まえなかったから」
「気にするな。今、卜部さん達が探している」
団員達がコンテナを開け中には紅蓮弐式が収納されカレンは機体に乗り込んだ。
カレンは紅蓮の右腕を見た。今、右腕にはアキラが搭乗した月下先行試作機に装着されるはずだった輻射波動機構の簡易型の甲壱型腕が装着されていた。
先程見た男の後ろ姿を思い出したがカレンは頭を振った。
「今はそんな時じゃない!」
起動キーを差込み、カレン紅蓮弐式を起動させた。
別の階では両軍との戦闘に巻き込まれないようアキラが非常用階段から下へ降りていた。
ここの中は戦闘が行われていないようでアキラは息をついた。
まだこの事態を把握していていない中アキラは工事区へと入った時2人の男性がいた。その1人が
「ルルーシュ!?」
自分の名前を呼ばれルルーシュは戸惑いの表情を浮かべた。
「お前には聞きたいことがたくさんある。この騒動もお前が仕組んだ事か!」
もう1人見知らぬ男子生徒がいたがアキラは気にとめずルルーシュに問いただしたが
「ま、待ってくれ。あんた誰だ?なんで俺の名前を……?」
ルルーシュの返答にアキラは呆気にとられた。
「何言ってるんだお前?こんな時にふざけてる場合か!」
「兄さん、行こう!」
顔を真っ青にしたロロがルルーシュの手を引っ張り逃げていった。アキラもその後を追おうとした時天井が崩れ瓦礫が落ちてきて道が塞がれた。
崩れた天井の穴から銃弾が飛びアキラは物陰に隠れた。
「対象X発見。今、交戦中です。」
『何としても捕らえるんだ。最悪殺しても構わん。』
「イエス・マイ・ロード。」
アキラは銃で応戦するが多勢に無勢でアキラはここから脱出しようとアキラはまた非常用階段へ行き下へと降りていった。
アキラから逃げた2人は別の工事区へと逃げていった。
(なんださっきの男?俺が仕組んだ?一体どういう……)
「……さん、兄さん!」
「えっ!?何だ?」
「どうしたの難しい顔して?」
「いいや、何でもない。安心しろロロ、絶対に逃げられる。逃がしてやるから。」
「そうだね、僕たちは…」
その時、黒の騎士団の1人がロロを狙っていることに気づきルルーシュは撃たれそうになったロロを庇い、銃弾が肩を掠めてバランスを失い 、同時に爆風が吹き抜けルルーシュが落下しそうになりロロが手をつかもうとするが間にあわずルルーシュは暗い闇へと落ちていった。
「兄さぁぁん!!」
アキラは広い工事区へ逃げ、辺りを警戒した。
「さっきの部隊、機密情報局って組織のとこか?」
次から次へと自分の知らないところで事態が動きアキラは苛立ちを隠せなかった。
「カレン、どこだ。どこにいるんだ!!」
近くで複数の足音がしアキラは舌打ちしここから出て行った。
とにかく今は黒の騎士団を探さなければいけないと思いアキラは走った。
落下したルルーシュは下に張ってあったネットで助かっていた。ロロを助けに行こうと階段を昇っていくとブリタニア人、イレヴン関係なく殺され、放置されている死体の数々を目撃しその中にゼロの写真を握った死体もあった。
「まだ、ゼロなんかにすがって…。」
ルルーシュの目の前に1機の黒の騎士団の無頼が現れた。無頼のコックピットが開き中から緑の髪をした少女が現れた。
「迎えに来た、ルルーシュ。私は味方だ、お前の敵はブリタニア。」
「え?」
「私はC.C.、私と契約しただろう?私達は共犯者」
「契約?共犯者?」
C.C.の言葉にルルーシュは困惑の表情を浮かべた。
「私だけが知っている、本当のお前を」
「本当の、俺…?」
その言葉に導かれるように、少しづつC.C.に近づくルルーシュ。
その時、銃声が響きC.C.が背後から撃たれる。
コックピットから崩れ落ちた彼女をルルーシュが抱える。
「お、おい!!………っ」
目の前にKMFと機密情報局局員数人が現れる。
「お役目ご苦労、ルルーシュ・ランペルージ君。」
「っ!?」
バベルタワー周辺が封鎖され車両が通行できないない中1台の装甲車が侵入してきた。
軍、警察が呼び止めるも無視し各車両に激突しながら装甲車はバベルタワーへたどり着いた。
装甲車から降りてきたのはエリス1人で装甲車から回転弾倉式のグレネードランチャー、自分の身長ほどの長さの機関銃を肩に背負いバベルタワーへと入っていった。
このC.C.という少女を誘い出すために自分が今まで監視されていた事。機密情報局達によって明かされ今、ルルーシュは必要なくなったことで銃を向けられた。
(俺は…終わる…?何もわからずに、こんな簡単に…………嫌だ!!力、力さえあれば、ここから抜け出す力!!世界に負けない力が!!)
その時倒れていたC.C.が起き上がりルルーシュにキスをした。
(力が欲しいか?)
(その声、さっきの?)
(力なら、お前はもう持っている。忘却の檻に閉じ込められているだけだ…思い出せ。本当のお前を、王の力を。今こそ封印を解き放つ。)
その瞬間ルルーシュの脳裏に様々な記憶がフラッシュバックのように蘇って来た。
(そうか俺は……俺が……!!)
ブリタニア人、イレブンの死体が転がっているロビーの中をエリスは淡々と歩いていき上階へ銃声が鳴り響きエリスは睨んだ。
アキラは敵に警戒しながら各階を散策する中倒れている男を見つけた。男の服装から黒の騎士団だとわかった。
出血の様子を見て彼は助からないと思ったがわずかに呻き声がしアキラは声をかけた。
「おい、しっかりしろ!」
「おっ……お前は!?」
アキラの姿を見て団員は驚きの表情をした。
「この作戦の指揮してるのは誰だ!ゼロか?」
「ち…がう……。俺達は……ゼロを…奪還するため………。」
「どういう事だ?」
更に問いただそうとするが団員は吐血し顔色が更に悪くなっていた。
「ト部さん…と…合流………してくれ……。たの……む……。」
そう言うと団員は目を閉じた。
アキラは彼が持っていた無線機に耳を傾けた。無線機は故障しこちらから声を届けることができず若干ノイズが入っているが声の主がト部だとわかり内容が理解できた。
銃弾が足元を掠め振り向くと先程の機密情報局の部隊が撃って来てアキラはライフルで応戦しながらある場所へと目指した。
燃え盛る炎の中ルルーシュの周りは機密情報局の局員達の死体が転がっていた。全員銃をを持っており自殺したように見える。
(あの日から、俺の心には納得が無かった。噛み合わない偽者の日常、ずれた時間、別の記憶を植えつけられた家畜の人生…
しかし、真実は俺を求め続けて…そう、間違っていたのは俺じゃない!世界のほうだ!)
天井をぶち破って紅蓮弐式と月下が現れ ルルーシュの前にひざまづく。
「お待ちしておりました、ゼロ様!どうか、我らにご命令を!」
「いいだろう!なぜならば、私はゼロ! 世界を壊し、世界を創造する男だ!」
ルルーシュの左目に紋章が浮かんでいた。この時黒の騎士団のゼロが復活した。
-ルルーシュ、ゼロの目覚め。俺のエリア11での新たな戦いがここからまた始まった。-
はい、やっとR2本編に突入(汗)
原作準拠ながらもオリジナルを入れていきたいと思います。
読んでわかると思いますが今回アキラは振り回されてます(笑)
まぁルルーシュと同じ巻き込まれたようなもんですから当然なんですけど。
アキラ、ルルーシュ、C.C.、カレン、ロロそしてエリスとバベルタワーに役者は揃いました。
さぁ、これからどうなるか楽しみにしててください。
あと余談ですが第一部がサドナ王国と名称なのに何故第二部で英単語になったか自分としてはあまり部の名称に特別こだわりはないというのもありますがR2に捩ってこの名称にしました。