コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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おまたせしました。

第1部 完結編です。


第12話

「敵はどれくらいだ?」

 

「おい、総督府の近くまで来ているぞ!」

 

「手の空いている奴がいたら出ろ!!」

 

アレクセイ達の襲撃に総督府も大勢の兵士達が行き来しており混乱しておりそれに乗じてアレクセイは総督府へ侵入した。

 

周りを警戒しながらアレクセイは1人の兵士を捕まえ建物の物陰まで隠れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おい、なんだコイツ?どう見てもKMFのスピードじゃねぇぞ。」

 

アキラ達はレーダーから1機の謎のKMFがこちらへ近づくのに気づいたがその速さは尋常ではなかった。

 

 

姿を現したKMFはサザーランドやグロースターに似ても似つかない形状で今までに見た事のないKMFであった。

 

ワシリー達の仲間2機が囲もうと左右へ回ったが敵は右に回った相手を右肩に備え付けてあるロングライフルを右手で持ち一発で相手を仕留めて左にいる相手には左腕を突き出し下に装着してある4本の爪、クローが展開され相手のグラスゴーを捕らえ、クローに内臓されてある銃口から弾丸のようなものが発射されグラスゴーの胸部、コックピットを貫通し大きな穴が開き拘束から解かれたグラスゴーは膝から倒れ爆発を起こした。

敵KMFは次にアキラ達を標的に定めた。

 

 

「固まってたらやられる。散るんだ!」

 

アキラは右腕のロングライフルを敵KMFの足下に撃ち雪煙を発生させ敵の視界を奪いその隙に全員ビルの中、遠くへと距離を取るなどして散開した。

 

 

 

 

「どこだ、流崎アキラ。」

 

ヘルハウンドを駆るエリスはうなじにあるインプラント機器に端子を差しアキラを探し頭部の2つのカメラを使い居所を探った。

ファクトスフィアの機能を持ち、2つのカメラが上下左右へと展開し、エリスは脳神経と機体のコンピュータを直結させることによって背後の確認もとることが出来る。

 

1機のグロスゴーを見つけエリスはヘルハウンドは獲物を狩るように迫る。

 

 

「はぁはぁ、何だあの動きは?」

 

アキラはビルの物陰に隠れライフルの弾倉を交換し辺りを警戒した。

あの動きは常人では無理だ。自分が闘った相手の中でいるのは枢木スザクともう1人……。

 

『うわぁ!!助けてくれ!!』

 

無線から味方の断末魔の叫びが聞こえた。少人数の兵力で1機でも減らされたら自分達が不利になる。アキラの額から汗がにじみ出た。

その時ランドスピナーの音がビル越しから聞こえアキラはハッとビルから離れた。

エリスのヘルハウンドが現れビルを破壊しアキラを襲った。

 

別のビルに隠れたアキラをエリスはライフルでビル越しから撃ちライフルの銃弾がアキラを襲った。アキラは身を屈めながらランドスピナーで走りながら回避した。

 

アキラが出てくるのを伺っているエリスであったがアキラは姿を現さない。

その時アキラのサザーランドがエリスの左側から現れ狙い撃った。

 

直撃するかと思われたがヘルハウンドの左に装着してある細長い盾の上下左右の端が展開され青いバリアのような盾が現れ銃弾を弾いた。

 

「何!?」

 

スザクのランスロットが使うブレイズルミナスに似た盾にアキラは驚愕した。

 

『……流崎アキラ。』

 

通信からの声にアキラは聞き覚えがあった。

 

「………エリスだな。」

 

『来ると思ってた。』

 

「新型機か……。」

 

『お前達に勝機はない。投降して私の元へ来い。』

 

「………断ったら。」

 

『このヘルハウンドでお前を力づくでも!!』

 

ランドスピナーでアキラに接近しアキラはランドスピナーを逆回転させ機体をエリスのほうへ向けたまま後退し、ロングライフルで応戦するがエリスのヘルハウンドは左右へと変則な動きで回避しアキラを翻弄した。

 

ヘルハウンドの左腕に装着してあるクローがアキラのサザーランドの右腕を狙いロングライフルを捕らえた。

アキラは先程の攻撃を思い出しライフルを機体から離した。

ロングライフルは4本のクローによって握り潰された。

 

スラッシュハーケン以外の武器を失ったアキラを追い詰めたエリスはライフルの銃口を向けたが何かに気づいたのか背後に旋回し銃口を向けた。

いたのはワシリーの仲間が乗っているグラスゴーであった。気づかれずに背後をとったと思ったがエリスの動きに驚き反応できずにエリスのライフルによって撃破された。

 

『アキラ、生きてるか?』

 

次に右側からイゴールとジェノム、ワシリーの仲間の1機が救援にやってきてアキラを援護した。

イゴール達の銃撃にも物ともせずエリスは回避しアキラと距離をとった。

 

『アキラ、こいつを使いな。』

 

イゴールはアサルトライフルをアキラに渡した。

 

『なんだあいつ、目がうしろについてるのかよ!?』

 

エリスの他ヒートヘイズ4機、グロースター数機がアキラ達を追撃にやってきた。

 

「他の奴等は?」

 

『ワシリー達なら無事だ。』

 

『へっへへ、俺達がおとりだと知らずに追いかけてきたぜ。』

 

 

ワシリー達は総督府の警備が手薄になっている箇所を狙い潜入することに成功した。

 

「よし、第1ゲートを通り抜けることはできた。あとは第2、3を突破し総督府に突入しよう。」

 

 

ワシリー達は総督府のゲートの前へと突入した。

 

 

 

 

 

『俺達もアレクの援護に行こうぜ。』

 

『だがその前に後ろの奴等をどうにかしないとな。』

 

アキラ達はビルに隠れながら対峙しているエリスとヒートヘイズ、ヒートヘイズと銃撃戦を繰り広げていた。

ヒートヘイズはヘルハウンドと比べるとスピードは劣るが通常のKMFを匹敵する性能を持っており大型キャノン、アサルトライフルをそれぞれ所持し左腕には2本のクローをしたスラッシュハーケン、または杭のようなものを装着しており様々な武装をした機体である。

 

そのうちの2機がアキラ達に襲い掛かった。

左腕を構えアキラに近づき腕に装着してある杭がスライドするように突き出しアキラを襲った。

寸前で回避したアキラはヒートヘイズの左腕を捕らえ脇が空いたところへライフルを撃ち撃破したがもう1機のヒートヘイズがワシリーの仲間の1機を大型キャノンで撃破された。

 

「野郎!!」

 

イゴールがライフルで応戦するが回避され次にエリスのヘルハウンドが襲ってきた。イゴールの銃撃をエリスはブースター、ランドスピナーのスピードでイゴールに接近する。

 

イゴールは応戦しようとするが通常のKMFではないヘルハウンドの動きで対応できず右往左往して気がついたときはエリスは自分の真横にいた。

左腕の盾でタックルしイゴールをビルに激突させた。

左腕のクローをイゴールのサザーランドの胸に狙い腕を振り上げた。

 

「や、やべぇ!」

 

イゴールは急ぎ機体を起こしたが右腕が捕らえられそのまま無理矢理右腕が引き剥がされた。

 

ジェノムがイゴールのサザーランドを支えるように運びアキラは2人を守ろうとエリスに弾幕を張るが決定打にはならなかった。

 

『アキラ、あのKMF普通じゃない。』

 

「あぁ……。」

 

アキラとジェノムは今、あのKMFには勝てないと焦りに色を感じつつあった。

 

『おい、敵がまた増えたぞ。』

 

イゴールは敵の軍がこちらへ近づくのが見えた。

それを見てジェノムはスモークのグレネードを放ち敵の視界を奪い3機は敵から姿を消した。

 

 

 

 

 

一方、総督府ではテロリストとの交戦での情報が行き来していた。

 

「テロリスト、第3ゲートにて交戦!押されつつあります。」

 

「数は?」

 

「約90。」

 

「総督、ここは避難されたほうが……。」

 

「ここを捨てろというのか!?」

 

デニスは不快な表情をした。

 

「まもなく、ハバロフスクからの援軍が到着するはずです。その時に……。」

 

「くっ…トラウトマンに伝えておけ、貴様らの軍でさっさと敵KMF部隊を片付けろと!」

 

デニスは側近2名を連れ司令室から出て行った。

 

「将軍も早く……。」

 

部下に促されマクシムは暫く俯いたが。

 

「………わかった。カティア、君も。」

 

マクシムはカティアを連れ部下の案内で出て行った。

 

 

 

 

 

 

アキラ達3人はエリス達から遠くへ離れ隠れていた。3人はコックピットハッチを開けた状態でいた。

アキラはワシリーと連絡をとっていた。

 

「イゴール、怪我はないか?」

 

ジェノムはイゴールの様子を聞いた。

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

 

 

「ワシリーからの連絡で奴らは今、第3ゲートで敵と交戦しているみたいだ。」

 

「俺達も急ごう。」

 

「あぁ、だがその前にあのヘンテコなKMFの連中をどうにかしないとな。右肩を赤く染めてる機体、あの連中は陽炎じゃねぇのかアキラ?」

 

「あぁ、だがあの機体は俺もはじめて見た。」

 

「仕留める事ができたのは1機。まだ出てくるかも知れない。」

 

「アレクも心配だがよぉ、これじゃあ総督府にも入れないぜ。」

 

アキラは腕時計の時刻を確認した。

 

襲撃からもうすでに30分は経過している。敵の援軍がいつくるのかわからない状況でいつまでもここで釘付けになっていては全滅する。

 

 

「………2人は総督府へ行け。俺が奴等を惹きつける。」

 

「なに1人でかっこつけようとしてんだ。何でそんな事言えるんだ?」

 

「あの盾付きは俺を狙ってるからだ。」

 

アキラはコックピットを閉じKMFを起動させた。

「俺もあとで合流する。行け!」

 

『ったく、勝手言いやがって死ぬんじゃねぇぞ。』

 

イゴールとジェノムを見送ったあとアキラはエリス達がいるほうへと向かった。

 

 

 

 

 

 

総督府を脱出しようとマクシムは地下へと入ろうとした時、マクシムは急に立ち止まった。

 

「どうしました?」

 

前方を警護していた兵士が振り向いた。

 

「ふむ………君、私に何か言いたい事があるのか?」

 

「………どういう事ですか?」

 

「そう、先程から視線を感じるんだ。君から……。」

 

マクシムの問いに暫く沈黙が流れたが兵士はマクシムにライフルを向けた。

傍にいたカティアが懐から拳銃を出したが兵士がメットを脱ぎその素顔を見て驚いた。

 

「アレク……!?」

 

「動くなカティア、例えお前でも容赦はしない。マクシムあなたもだ。」

 

銃を突きつけられながらもマクシムは慌てる素振りを見せなかった。

 

「久しぶりだな、アレク。」

 

「はい、まさかこんな形でお会いするとは思いもしませんでした。カティア、銃を捨てるんだ。」

 

カティアは懐から銃を取り出し床へと置いた。アレクセイはその銃を足で払い、ライフルの銃口をマクシムの首に突きつけ近くのエレベーターのボタンを押した。

 

「将軍!!」

 

「カティア、今はアレクに従うんだ。木を伐る(・・・・)時が来たんだ。」

 

マクシムの言葉にカティアは悲痛な表情をしながらも後へとさがっていった。

 

エレベーターに乗り込んだ2人は地下へと降りようとした。

 

「どこまで降りればいい?」

 

「一番下までだ。」

 

エレベーターの中でアレクセイはある事を聞いた。

 

「さっきのは何の意味だ?」

 

「なんの事だ?」

 

「カティアに言った事、あれはどういう意味なんだ!」

 

「………ふっふふ。」

 

エレベーターが止まり2人は進んだ。

 

「アレク、お前と初めて会ってから何年経った?」

 

「こんな時に何を!」

 

「時が経てば何もかも変わる。国も………人も。」

 

「一番変わったのはあなただ!! あなたは俺や……信じてくれた国民を裏切ったんだ!!」

 

「……そうかな。」

 

「どういう……っ!?」

 

 

2人はある部屋に入った。

 

部屋には数台のテレビカメラ、そして天井にも2台設置しており、カメラの先にはサドナ王国の国旗と小さなテーブルが置かれていた。

 

「会見室…!?どうして?」

 

気をとられた隙にマクシムはアレクセイの腹部に肘を入れ懐から隠し持っていた拳銃を持ちアレクセイから距離を取った。

 

「銃を捨てるんだ。」

 

アレクセイは素直にライフルを床へ放り投げた。

 

「だましたのか!?」

 

「お前が辞職したあと政府が地下の避難通路を改築していたんだ。」

 

マクシムは天井のカメラをチラッと見た。

 

「確かに私はブリタニアの軍門に降ったがそれは間違いだったと言えるのか?」

 

「当然だ!その結果国は混乱し人々は困窮している。」

 

「そうかな?」

 

マクシムは見下すように口の端をつり上げた。

 

 

 

 

 

 

 

一方ワシリー達は総督府の入り口前で敵と対峙していた。

 

「ワシリー、このままじゃあ敵に押し返される。」

 

「ダメだ!ここまで来て引き下がる訳にはいかない。」

 

今、一進一退の攻防を繰り広げているが敵の数のほうが多く旗色が悪くなりつつある。

 

「まずい!敵の援軍が後ろから。」

 

背後から敵のサザーランド2機がこちらへ近づくのがわかった。

 

「だめだ、ワシリー逃げよう!」

 

「くっ……。アレク。」

 

ここまでかとワシリーは覚悟したがその直後敵KMFが撃たれ倒れていった。

 

『おう、ワシリー生きてるか!!』

 

「その声、イゴール!」

 

『俺達が突破口を開くおめぇら轢かれたくなかったら道を開けろ!』

 

ワシリー達が盾にしてたジープなどをサザーランドで退かしイゴールとジェノムは総督府の入り口まで突入し待ち構えていた兵士にライフルで攻撃した。

 

「よし、俺達も続くぞ!!」

 

ワシリー達も突入していった。

 

「………イゴール、ここは任せた。」

 

『ジェノム、どうした?』

 

「アキラが心配だ。助けに行く。」

 

『おう、だったら俺も。』

 

「そのKMFじゃあ足手纏いだ。お前はこのままワシリー達と一緒に行ってアレクと合流しろ。」

 

そう言うとジェノムはイゴールを残しその場から離れていった。

 

「言ってくれるぜ。けどその通りだなぁ。」

 

イゴールはKMFを降りライフルを持ちワシリー達と総督府の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-総督府 地下 会見室-

 

「自分の選択は間違いではなかったと言うのか?」

 

ライフルを向けながらもアレクセイは強気の姿勢を崩さなかった。

 

「ブリタニアの傀儡になることがこの国の未来になるとでも……!!」

 

「この国の未来………元々この国に未来などない。」

 

マクシムの言葉にアレクセイは目を見開いた。

 

「この困窮した国にブリタニアと戦えるだけの力は既にない。そんな国に私が命を掛けられると思うか?」

 

「っ!? それは本音か!?」

 

「私はこの国と心中したくはない。強きものに従うこれは世の流れというものだ。」

 

マクシムの言葉一つ一つにアレクセイは打ちのめされるような衝撃を受けた。

 

「信じていた……俺はあなたを、いや民が! あなた、いやあんたそれを裏切った。ブリタニアがこの国を牛耳ることになれば民は今以上の苦しみを……。それをわかって。」

 

「民が犠牲になるのは当たり前だ。それはブリタニアであろうがサドナ王国だろうがそれは変わらない。これからはこの国、エリア15で私は将軍としてにいられるのだからな。」

 

「………黙れ。これ以上あんたの話は聞きたくない。俺があんたを討つ!」

 

「今のお前に私が殺せるかな?」

 

その直後、地上から大きな揺れが発生し地下にいた2人にも揺れを感じた。

その隙にアレクセイは床に落ちていたライフルを拾い銃口をマクシムに向け会見室に大きな銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

私室にて避難の準備をしていたデニスは突然の揺れに驚いた。

 

「テロリスト共が何か?こうしてはいられない早く。例の物(・・・)を……。」

 

「例の物とはこの事では……。」

 

自分しかいない筈の部屋に誰かの声がしデニスは部屋のドアに目をやった。

 

「カ、カノン様……!何故あなたが?」

 

「大事な物はちゃんと保管しないといけないわねデニス総督。」

 

カノンはファイルに収められた書類、メモリースティックをデニスに見せた。

 

「それは……!!」

 

「流崎アキラの事を監視する命令はしたけど調べろとは言った憶えはないけど。」

 

カノンの部下数人が部屋に入ってきてデニスにライフルを向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵!?」

 

敵と交戦していたアキラも上空から何か飛来しているのを見た。 軍用輸送機と爆撃機10数機がアキラの下を通った。

 

爆撃機から無数の爆弾が落とされアキラの周辺が爆発を起こし敵のサザーランド、グロースターが巻き込まれた。

 

「敵の援軍か……。」

 

爆発の中数機のKMF部隊が姿を現した。

 

「陽炎……エリスか。」

 

両者が対峙しているところへ何者かが陽炎の部隊へ攻撃を仕掛けた。

 

『アキラこっちだ。』

 

「その声!?」

 

ジェノムのサザーランドが姿を見せた。

 

『早く来い。総督府へはここからが近道だ。』

 

アキラはジェノムと共に総督府へ向かうことにした。

 

「イゴールは?」

 

『ワシリー達と合流している。』

 

「……何故戻ってきたんだ。」

 

『仲間を見殺しにできるか?』

 

「っ!? ………ありがとう。」

 

アキラの思わぬ言葉にジェノムは意表をつかれた顔をしたがフッと微笑んだ。

 

 

 

 

 

「カノン様!?」

 

「デニス総督はテロリストによって殺された。本国にはそう伝えてく。」

 

「ま、待って……。」

 

「あなたは知りすぎたのよ。」

 

カノンが部屋を出た直後部屋から銃声が鳴り響いた。

 

「義兵団のような傭兵達も後々面倒だから始末をお願いね。」

 

「イエス・マイ・ロード。」

 

「ヤールンにいるテロリストは全て排除しなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-地下 会見室-

 

部屋に鳴り響いた銃声が止み静寂な時が流れていた。

 

マクシムの胸から血が滴り落ち膝から崩れ落ちた。

アレクセイは息を整えながらマクシムに近づき彼の拳銃を取り上げようと銃を持った瞬間アレクセイは違和感を覚え銃の底を見てアレクセイは驚きの表情でマクシムを見た。

 

「何故マガジンが抜いている!?」

 

「………必要なかったからだ……。」

 

「っ!?」

 

「はぁ……カティア。」

 

カティアが静かに姿を現した。

 

「マクシム……。」

 

カティアは悲しい眼差しでマクシムを見つめた。

 

「マクシム、あなたはわざと!? どうして?」

 

「言っただろ。木を刈る時が来たと。新たな種を植えるためには古い樹木は刈らればならない。」

 

「っあなたは!?」

 

「アレク……ブリタニアと戦うには今のままでは戦えない。人をまとめることができる新たなリーダーが必要なんだ。」

 

「それはあなたが!!」

 

「それは無理だ。古い体制にしがみついている官僚どもが白蟻のように食い散らされた国家ではひとたまりもない。古い体制の象徴である私がいかにしようと腐った木は元には戻らない。新たなサドナ王国のために私が売国奴の悪名を背負って消えなければいけない。アレク……お前がみんなのリーダーとしてブリタニアと戦ってくれ。」

 

「マクシム!あなたは勝手だ!!」

 

「ふっ、わかってる。すまない……お前達を残して逝くことを……だが私はうれしい。最後にお前が来てくれた事に。」

 

マクシムは震える指である扉を指した。

 

「アレク……ここから先に脱出用のジェット機がある。2人で……脱出するんだ。」

 

「マクシム!!私もここで!」

 

カティアは懐から銃を取り出した。

 

「ダメだ!カティア、君はアレクを支えるんだ。ここで死んではいけない。」

 

「わ、わたしは……あなたと。」

 

「わかってる。私に最後まで付き従ってくれてありがとう。」

 

カティアから一筋の涙がこぼれた。

 

「アレク、カティア、お前達に会えてよかった……。部下ではなく友として私の傍にいてくれたことに………。」

 

マクシムは静かに目を閉じ首をガクッと落とし、アレクセイは項垂れるように肩を落とした。

 

「どうして俺には一言も……。」

 

「アレク……彼は言ってたわ。自分の後を継ぐ人間はあなただけだと。」

 

「カティア、君は知ってたのか?知っててここまで……。」

 

「えぇ、私はこの人に死んで欲しくなかった。でも………。」

 

カティアはマクシムの両腕を重ね合わせた。

 

「行きましょうアレク。彼の死を無駄にはできない!」

 

アレクセイはマクシムの亡骸を見つめた。

 

「俺はあなたの事は許せない……けど。」

 

アレクセイはゆっくりと立ち上がり銃を取った。

 

「カティア、案内してくれ!」

 

カティアは深く頷いた。

 

 

 

 

 

義兵団の部隊もブリタニアの援軍によって混乱していた。

 

「各部隊壊滅状態!」

 

「どうなっている?何故我々が攻撃されるんだ?総督はデニス総督とはまだ連絡できんのか!?」

 

G1ベースにて指揮をとっていたトラウトマンは焦りの色を滲ませていた。

 

「未だに応答ありません。」

 

「くぅ、トニー、戦況の報告を!」

 

『今現在ブリタニアと交戦!我が軍不利…援軍をお願い…う、うわぁぁぁ!!』

 

トニーとの連絡が途切れトラウトマンは拳を振り下ろし苛立ちを隠せなかった。

 

「全軍に撤退の命令を……。」

 

「ブリタニアの爆撃機、我々の上空に!!」

 

トラウトマンが気がついた時には辺り周辺が爆弾による爆発で味方機がやられG1ベースも巻き込まれ爆発を起こした。

 

 

 

『アキラ、もうすぐ総督府だ。』

 

第1ゲートを通り過ぎ第2ゲートに差し掛かった時、背後から銃弾が飛び2人は振り返るとエリスのヘルハウンドがこちらへ近づいてきているがヘルハウンド1機だけで他の敵は見当たらなかった。

 

『エリス、軍の動きがおかしいわ。一度部隊と合流しなさい。』

 

エリスはジョディの命令に無視し通信を切った。

 

『……敵は俺達を見逃してくれないみたいだな。』

 

「……あぁ。」

 

2人はすぐに臨戦態勢をとった。

 

「……イゴール、俺が奴の機体を止める。その間お前が背後からコイツで止めを刺せ。」

 

アキラは近くに転がっていたグロースターのランスをイゴールに渡した。

 

「このままだったら奴には勝てない。」

 

『……確かにな。アキラ、うまく脱出してくれよ。』

 

「わかってる。」

 

アキラはランドスピナーを倒しエリスにライフルを向け先手を打った。

左にある盾を避けながら攻撃するがエリスは難無く回避してみせた。

 

エリスの機体はスザクのランスロットと同等、もしくはそれ以上の性能のKMFだとアキラは感じた。

 

アキラは左右へと変則的にエリスの周りを円を描くように動きながらライフルで攻撃していった。

しかし、銃弾を回避しながらエリスはライフルでアキラが持っているライフルを撃ち武器のないアキラをエリスは左腕のクローでアキラのサザーランドの右腕を捕らえ動きを止めた。

 

『大人しくしろ。』

 

エリスの言葉に反しアキラは空いていた左腕でヘルハウンドの右肩を掴みさらに密着させた。

 

『っ!?』

 

「ジェノム!!」

 

『おう!』

 

ジェノムはランスは構えヘルハウンドの後にあるコックピットを狙った。

 

その動きにエリスは左腕の盾をイゴールに向けまた青いバリアのようなものが出現した。これによりランスが弾かれてしまった。

 

エリスはアキラのサザーランドを門に叩きつけ自分を掴んでいたサザーランドの左腕が右肩から外れエリスはアキラのサザーランドを持ち上げ地面へ3度叩きつけその衝撃でサザーランドの右腕が剥がれ、頭部が損壊し胸部がへこみ亀裂からアキラの姿が見える。

 

「アキラ!!」

 

ジェノムが助けに入ろうとしたがエリスはヘルハウンドの盾に納めてある剣を抜いた。

緑色の刀身はMVSにも似ていた。

その剣によってジェノムのサザーランドは左腕を切断され蹴りで倒されてしまった。

 

 

「脱出装置が壊れたか。」

 

アキラは亀裂を外が見えるまで広げフラフラとおぼつかない足で立ち上がったがエリスはライフルを構えて立ち塞がった。

 

『アキラ、私のところへ来い。』

 

「俺の………邪魔をするな!」

 

踏み込もうとしたエリスに倒したはずのジェノムのサザーランドがヘルハウンドを羽交い絞めにした。

 

『アキラ!!』

 

ジェノムのサザーランドは片腕がなくアキラのサザーランドがヘルハウンドの左肩を掴み2機でヘルハウンドを捕らえた。

 

「っ!?」

 

エリスが必死に引き離そうとする中アキラは亀裂から体を出しホルスターのショットガンをエリスに向けた。

 

『アキラ!?』

 

アキラから放たれた銃弾はヘルハウンドの装甲を貫通しエリスの身体へと迫ろうとしていた。

 

エリスは瞬時に身体を捻らせ銃弾がうなじに接続していた端子の有線を切断しそして左肩に命中した。

 

『くぅ!?』

 

エリスの動きが止まった隙にアキラとジェノムは機体から出てジェノムは自身が搭乗していたサザーランドのコックピットに手榴弾を放り込み脱出した。

 

2人はその場から離れ数秒後2機のサザーランドは爆発を起こしヘルハウンドは巻き込まれた。

 

「やったか?」

 

ジェノムは確認しようとするが硝煙が晴れた見えたのは青い光のバリアを発生させた。ヘルハウンドであった。

 

「ダメだったか。」

 

舌打ちをするジェノムであったがよく見ると右腕が損傷しそれ以外の装甲も爆発の影響を少なからず受けているように見える。

そしてヘルハウンドが動く様子は見えなかった。

 

「ジェノム行くぞ。どのみちもう俺達には奴と戦える武器はない。」

 

ヘルハウンドを残し2人は総督府へと向かっていった。

 

 

 

 

 

「はぁ……アキラ?」

 

コックピットの中エリスは自分の残し走り去っていくアキラの後姿を見た。

頼む、行かないでくれ。 そんな感情に駆られ機体を動かそうとするがヘルハウンドは動かなかった。

計器を見るとエナジーフィラーが底をついていた。

 

機体が動かなくなったとわかった瞬間アキラに撃たれた左肩が痛みだしエリスは肩を押さえた。

その時通信を切ったはずであったがジョディからの通信がきた。

 

『やっと繋いだ。エリス、今何処なの?あなたを回収に行くから教えて。』

 

エリスは撃たれた肩から流れる血をだた呆然も見ていた。

 

(アキラは……紅月カレンに会うため?だから撃ったのか私を?)

 

『エリス、聞こえてるなら応答しなさい!エリス!』

 

エリスは自分の血で染まった右手を見て乱暴に叩いた。

 

「はぁはぁ………はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

自分の中にあるどす黒い何かがアキラに対する欲望そしてカレンに殺意に近い感情を何かにぶつけたい気持ちにエリスはなっていた。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキラ達はアレクセイ、イゴール達を総督府の中で探している中建物の中は敵が混乱し逃げ惑っている姿が見受けられていた。

 

「総督がテロリストに暗殺された。」

 

「マクシム将軍も地下で殺されていた。」

 

逃げる人々から聞こえる話に2人はそれがアレクセイがやったことなのかまだわからなかった。

 

「アレクは生きてるのか?」

 

「わからん、マクシムが死んだとなるともう総督府の外に出てるのか?」

 

2人が先に進もうとした時兵士の1人が気づき銃を向けた。

 

「貴様ら、テロリストの仲間だな!」

 

2人は応戦しようとするが兵士が撃った銃弾がジェノムの右脚に命中しジェノムは倒れた。

 

「ジェノム!!」

 

アキラはライフルで応戦しながらジェノムを引き摺り身を隠した。

 

「す、すまない。アキラ、俺のことはいい。こんな足じゃあ足手纏いになる。」

 

アキラは黙ってライフルをジェノムに渡した。

 

「喋る元気があるなら戦え。それにまだ死ぬと決まったわけじゃない。」

 

アキラの姿を見てジェノムも足を引き摺りながらもライフルを取り応戦した。

すると、別方向からの銃弾が敵の兵士達を倒した。アキラは敵の背後にいた人物を見て身を出した。

 

「アレク!!」

 

「アキラ、無事だったか。ジェノムも大丈夫か?足をやられたのか?」

 

「あぁ、大丈夫だ。アレク、その女は?」

 

ジェノムは隣にいた女性を見た。

 

「彼女はカティア。俺の知り合いだ。」

 

「そうか……っでアレク、決着はつけたのか?」

 

ジェノムの問いに少し沈んだ顔をしたがアレクセイは口を開いた。

 

「あぁ、俺の手で……。」

 

「……そうか。」

 

「アキラ、脱出用の機体がある。イゴール達ともそこへ合流することにしている。来てくれ。」

 

 

 

 

アキラとジェノムはアレクセイの案内で建物の外へと出て行った。

 

「他の奴等は?」

 

「イゴールとワシリー、仲間数人わかったが他の奴等は……。」

 

「脱出機の場所は遠いか?」

 

「地下から来て機体を地上まで出して準備はできている。」

 

 

アキラはふと周りを見渡した。

雪の上にKMF、ビルの残骸が散らばり逃げ遅れた一般人が逃げ惑っていた。

 

「おう、無事だったか!!」

 

先に到着していたイゴール、ワシリー一行がアキラ達を待っていた。

 

「こいつがそうか。」

 

一般の軍のジェット機であった。

 

「アキラ、これで脱出するんだ。」

 

「お前達はどうするんだ?」

 

「ブリタニアと戦うため他のレジスタンスを集結させる。今、俺達が国を出るわけにはいかない。」

 

「なぁに、俺達は簡単にはくたばらねぇさ。」

 

アキラはアレクセイとイゴールの顔を見た。2人共微笑んだ。

 

「それにおめぇはエリア11に行かねぇとカレンちゃんに会えねぇぞ。」

 

イゴールは茶化すようにアキラの肩を叩いた。

 

「アレク、俺も……。」

 

ジェノムも同行しようとするが足の痛みで膝をついた。

 

「アキラ、ジェノムだけでも一緒に。」

 

「アレク!?俺は……。」

 

「ジェノム、気持ちは嬉しいが………。」

 

「………わかった。」

 

ジェノムは苦い顔をした。

 

「アキラ、頼む。」

 

アキラは黙って頷き、ジェノムの肩を担ぎジェット機へと搭乗した。

 

「アレク、イゴール、また会おう。」

 

「おう、アキラも死ぬなよ。今度会うときはカレンちゃんも一緒にな!」

 

アキラはレバーを握り機体を操縦する。周りは爆発や瓦礫でいっぱいの中離陸しやすい箇所を見つけ離陸の準備を開始する。

 

「ジェノム、行くぞ。」

 

「あぁ、頼む。」

 

スピードを上げ機体は段々と地上から離れ空へと飛び去っていった。

 

 

 

「行ったな……。」

 

「あぁ……。」

 

「アレク、俺達に指示を。」

 

ワシリー達を見てアレクセイは決意した。

 

(マクシム……俺は………。)

 

「生き残っている仲間を回収し首都ヤールンを脱出する!いいか、これからが始まりなんだ!皆、力をかしてくれ!!」

 

アレクセイの言葉に皆、大きく頷いた。

 

(見ていてくれマクシム、俺は勝ってみせる!新しいサドナ王国のために!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-上空から見える銀色の世界、俺のサドナ王国での旅が終わった。だがその余韻に浸る暇は俺にはない。エリア11、日本にカレンがいる。その先でまた血を流すかもしれない、だがそれでも俺は………-




少しあとがきです。

まずはこんな素人な作品を読んでいただきありがとうございます。

第1部はR2までの間の話という事であえてコードギアスらしくない作風にしようと思いボトムズのクメン編をモデルにした話にしてみました。でもそのままっていうのは面白みがなくあえて極寒の寒さを舞台にしようと思いました。

しかし、クメン編をモデルにしてるとはいえほぼオリジナルの話で思うように話が浮かび上がらず投稿が遅れたりと結局1年かかりました。
ボトムズのカンユーをモデルにしたトニーをもっと出したかった思いがありましたが尺の関係で最後はあっさりしすぎたかなと思います。
第1部を通して自分の悪いところも発見できたかなっと思います。
第2部からやっとR2本編へと入ります。できるだけ早く投稿できるようにします。




さてエリスのヘルハウンドの解説をちょっとします。
ヘルハウンドの専用ライフルは普段右肩に装着されておりガンダムWのトールギスのドーバーガンのようにしているとおもっていただければいいです。左腕の下に装着させているクローですがストライクドッグの腕をモデルにしたものです。ヘルハウンドはテスタロッサとストライクドッグを組み合わせたものとしたかったのでこの設定にしました。
それとエリスはビッグバトルのニーヴァのように機体とダイレクトリンクできるようになっています。ヘルハウンド自体は戦況に応じて武装等を変えることが出来る設定でそれはヒート・ヘイズも同じです。


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