コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

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第11話

先の戦闘が終わりアキラ達はすぐに出発の準備を進めている中アキラは撃墜したサザーランドであるものを見つけ機体から降りそのサザーランドを調べた。

アレクセイがどうしたのかと見るとアキラはパイロットの遺体を探っていた。

 

「どうしたんだアキラ?」

 

「アレク、こいつらを見ろ。」

 

アキラが回収したと遺体を見たアレクはあることに気づいた。

 

「この格好、軍のものじゃない。」

 

着ていた衣服も軍のものではなく全身を黒装束を纏っていた。

 

「どこかの特殊部隊?」

 

「いや、だとすればこれで終わるはずがない。軍ならこいつらから連絡受けたどこかの別働隊がここに来ているはずだ。」

 

「だが、そうだとしても何故俺達を……。」

 

アレクセイが思案する傍でアキラは心当たりがあった。

 

-あの金色のKMF、あの動きは常人じゃありえない。エリス……いや奴はあんな動きはしない。だとすれば………。-

 

ギアス

この言葉が頭をよぎった。

突然消えたり現れたりする現象がギアスなら納得できる。そうなると奴らの狙いは自分ではないかアキラは思った。

ギアスと関係があるのか定かではないがブラックリベリオンでナナリーを攫った謎の少年、ギアスに関しては未だわからない部分が多く井ノ本との関係、そして自分とどう関わっているのかこれも奴らからの刺客なのか。

 

「とにかくここには長居は無用だ。すぐに出立しよう。」

 

アキラはKMFに乗り込み皆と出立した。

 

「みんな、エナジーフィラーはあとどれくらいだ?」

 

アレクセイは皆にエナジーフィラーの残量を聞いた。

 

『また、ドンパチ始めちまったらすっからかんだ。』

 

『………こっちもだ。』

 

『アレク、山を降りるまでどれくらいかかる。』

 

「アキラ、あと1時間ってところだな。みんな残量には気を配れ、ここで止まったら命取りになるからな。」

 

予備のエナジーフィラーは岸谷が乗ったトレーラーと供に崖の下へと落ちたのだ。

 

『岸谷の奴も余計なことしてくれたぜ。』

 

「イゴール、死んだ人間を悪く言うな!」

 

『俺達が今から向かう場所は……。』

 

ジェノムは地図である地点を確認した。

 

『E-7中継基地、この山を降りてすぐにある基地にはいても十数人の小さな基地だ。』

 

「時間がない、ワシリー達は既にヤールンに到着しているかも知れない早く行きたいが……。」

 

次に行う作戦に使う爆薬をトレーラーと共に失っているのだ。

 

『アレク、俺に考えがある。』

 

アキラはアレクにあることを提案した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首都ヤールンから数十キロ離れた市境で雪でカモフラージュをして隠れているワシリー達の部隊がいた。

 

「ワシリー、アレク達との連絡が途絶えてからもう随分と経つ。」

 

ワシリーはアレクセイから山脈を越える迂回ルートからヤールンに潜入するとの連絡をもらってからアレクセイ達に合わせて行軍を進めていたが彼らからの連絡はここ数時間ないのだ。

 

「まさか敵に見つかって………。」

 

「まさか!?アレクに限って!」

 

「だが、いつまでもここに隠れているわけにはいかないだろ。」

 

仲間の言うとおりこちらのKMFは10機、数では敵のほうが圧倒的に有利、見つかれば一溜りもない。

 

「……もう少し待とう。あいつらが動いたとすればヤールンのほうも何か変化があるはずだ。」

 

アレクセイ達の無事を祈りながらワシリーはヤールンのほうに目を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

-1時間後-

 

山頂を降りアキラ達は目的地である中継ポイントを見下ろせる麓まで着いた。

 

『アレク、あれだな?』

 

アキラは基地の様子をモニターで確認する。

 

『………大きな動きは見えないようだ。』

 

「時間がない、急ごう。アキラ。」

 

アキラはKMFを降りエネルギーパックをダブルバレルのショートショットガンで撃ち流体サクラダイトが滴り落ちてきた。

 

ジェノムは準備していた、たいまつを流体サクラダイトに向けて放り投げた。

 

 

 

 

 

-E-7中継基地-

 

「しかし、寒いなぁ。」

 

「こういう時はこれだろ。」

 

1人の兵士がウイスキーのボトルを出した。

 

「おい、まだ…………。」

 

「構わないさ。こんなところに敵がでてくるはずが………。」

 

その時、地響きの様な不気味な音が聞こえた。

 

「ん、何だ?」

 

外の様子を見ようと兵士は山のほうを見た。

 

「あっ!?」

 

「なっ雪崩!?」

 

雪崩れ込む雪に兵士は真っ青な顔をした。

 

「に、逃げろ!!」

 

大量の雪が基地を襲った。

 

 

 

 

 

 

「成功だ。よしみんな行くぞ!!」

 

アレクセイ達は雪崩でできた基地までの道筋を頼りにKMFを走らせた。

 

「俺とイゴールは司令塔を叩く、アキラとジェノムは格納庫の制圧を頼む。」

 

アキラを自分が操縦するサザーランドの腕の上に乗せジェノムは基地にある格納庫へ向かった。

 

雪崩によって格納庫の入り口が埋まっていた。

 

「アキラ!!」

 

ジェノムの声でアキラはサザーランドの腕から身を投げ転がりながら着地した。

 

ジェノムはケイオス爆雷を投げ格納庫の一部分を破壊しそこへ向かって体当たりし格納庫に穴を開けた。

 

格納庫の中は雪崩によって倒れたKMF3機置いてあり兵士達が巻き込まれた仲間を助けようとしていたところへジェノムとアキラの襲撃を受けたのだ。

 

「大人しくしろ。抵抗するなら容赦はしない。」

 

アキラはショットガンを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉし、てめぇら動くなよ。」

 

アレクセイとイゴールも司令塔の制圧に成功した。雪崩の混乱により制圧には時間はかからなかった。

 

「こちらアレクセイ、司令塔を制圧。アキラ、ジェノム格納庫のほうは?」

 

『こちらジェノム、格納庫は制圧に成功。』

 

「了解、エナジーフィラー以外にも武器、弾薬の補給もすぐにはじめてくれ。」

 

 

 

 

 

「アキラ。」

 

「あぁ、聞こえた。。俺は今のうちにこいつを整備する。」

 

アキラは基地にあるサザーランドに武装の強化をはじめた。

それを見てジェノムは拘束した捕虜数名を近くにある個室へと連れて行きそこへ閉じ込めた。

 

「お前はそれを仕上げろ。俺はエナジーフィラーの補充をする。」

 

「頼む。」

 

 

アレクセイは地図を広げこれからの行き先を告げた。

 

「今は俺達がいるのはここだ。ここにある軍のトレーラーを使えばヤールンまでまっすぐに行ける。」

 

 

「だったらさっさと行こうぜ。」

 

アレクセイとイゴールは急ぎ格納庫へと向かった。

 

「アキラ、イゴール準備はできてるか?」

 

「エナジーフィラー、武器、弾薬は用意した。あとは……。」

 

「俺のほうも終わった。」

 

アキラが整備したサザーランドは右腕には銃身の長い大型ライフルが装着させた。

 

「のんびりはできない。KMFをあのトレーラーに入れる。」

 

KMFのエナジーフィラーを交換しトレーラーの中へと搭載させすぐに出発した。

 

「最後に確認する。街に入った後総督府を襲撃してマクシムを討つ。30分、長くても1時間だ。長引いて軍や義兵団が来たらこちらが不利になる。」

 

アレクセイの言葉に3人は深く頷いた。

 

「よしっ!ジェノムは運転任せたぞ。俺達はKMFの整備だ。さっさと仕上げちまおうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-首都ヤールン 総督府-

 

一方その頃各地で発生しているテロにデニスは手を焼いていた。

 

「ナホトカで200、ウラリースクにておよそ120の武装テロ集団が我が軍と衝突しております。」

 

「くぅ、これで何度目だ。援軍を出せ、足りないなら陽炎にも要請をだせ。」

 

 

(流崎アキラもまだ行方知らず、シュナイゼル殿下よりも早く捕らえたいところを……。)

 

デニスは歯軋りをイライラを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「政府からの要請で援軍でナホトカまで行ってくれってさ。いいのかねぇ首都の防衛を手薄にしちゃって。」

 

ドリーとジョディは政府からの要請があったと聞いたがまるで他人事のような素振りでいた。

 

「ここに来てから周りがうるさくて、そろそろ潮時かな?」

 

検査を終えたばかりのエリスは徐に立ち上がった。そんな彼女をジョディは制した。

 

「待ちなさいエリス、あなたの専用機がもうすぐ来るのよ。テロリストじゃあ物足りないけどいい実戦テストが行うことができる、楽しみにしてなさい。」

 

そう言われエリスは椅子に座った。

 

「ジョディ、お前は彼女に何吹き込んだ?」

 

ジョディは不敵な笑みを浮かべ眼鏡をかけなおした。

 

「より女らしくしただけよ。」

 

 

 

 

 

アキラ達はもう少しで首都ヤールンに入るところ無線の連絡が入ってきた。

 

『こちらE-7、敵の襲撃を受けた。敵は現在我が軍の車両を強奪し逃亡中……。』

 

「アレク、もうすぐヤールンに入る。」

 

「ワシリー達はやられていなければいいが………。」

 

前方を見ると検問を敷いてある部隊が待ち構えていた。

ジェノムはそのままアクセルを踏み検問を突破しようとした。

 

 

「!? 止まれ!!止まらんと撃つぞ!!」

 

兵士の呼びかけにも応じずトレーラーは検問を突破した。

 

「不審やトレーラーを発見!現在ヤールンの市街地に侵入しようとしています!!」

 

 

 

「皆、もうすぐヤールンに入る。準備をしてくれ!!」

 

アレクセイからの連絡をトレーラーのコンテナの中で聞いたアキラとイゴールは急ぎKMFに乗り込みすぐに動かせるように待機した。

 

市街地に入り戒厳令を敷かれた街の中は人も少なく燦々とした様子であった。アキラ達は総督府を目指し進んでいった。

 

「アレク!」

 

「見えた!ジェノム頼む!!」

 

アレクセイはコンテナの中へと入りジェノムは広い車道に入った所、武装したジープ数台が機関銃で行く手を阻んだ。運転席の窓が破られジェノムは被弾しなかったがタイヤをやられハンドルをとられ近くのビルに激突し止った。

 

兵士達がトレーラーに近づこうとした時コンテナの中から4機のサザーランドが現れた。

 

4機はジープを攻撃するがすぐにサザーランドの部隊がやってきた。

 

「来たか、みんな応戦するんだ!!」

 

アキラは右腕に装着させた大型ライフルで応戦した。このライフルは銃身が長くセミオートのため連射ができないが1発で敵を沈黙させるだけの威力がありアキラは狙いを定め1機を確実に仕留めていった。

 

「ん?あれはグラスゴー!?」

 

イゴールはグラスゴーの部隊が現れたのを発見した。カラーリングを見ると義兵団のグラスゴーだとわかった。

 

「援護に来たってことかよ。」

 

そう言うとイゴールは大型キャノンで応戦した。

 

「悪りぃが俺達も死にたくないんでな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「テロリストが襲撃!?」

 

アキラ達がここヤールンへ襲撃をデニスは総督府で聞いた。

 

「敵はKMF4機。おそらく、ここ総督府へ来るおそれが………。」

 

「たった4機で来たのか。トラウトマンに義兵団を出せと伝えるんだ!あと……。」

 

「総督、総督府の防衛は私におまかせを。」

 

「マクシム!?」

 

「敵は4機だけではない、おそらく味方機がどこかに潜伏しているはず。侵入を許した今、奴らがここへ足を踏み入れることはなってはいけません!」

 

マクシムの言葉にデニスは頷き部下に命じた。

 

「ここに防衛ラインを設け奴等を迎え撃つ。どんな犠牲も払ってもかまわん、奴等を討て!!」

 

その様子を見てマクシムは小さく呟いた。

 

「これでいい、あとは……。」

 

マクシムの顔を側近のカティアは不安そうに見つめた。

 

「カティア心配ない。全てはうまく運んでいる。」

 

「しかし、まだ……。」

 

「いいんだ……。」

 

マクシムは優しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

『……ク、アレク聞こえるか?』

 

「その声、ワシリーか!?」

 

無線からワシリーの声が聞こえアレクセイに安堵の顔を浮かべた。

 

『無事だったか。』

 

「遅れてしまってすまなかった。」

 

『こちらも街へ入った。総督府へはまだか?』

 

「……まだ着いていない。」

 

そう言うとアレクセイはKMFから降りた。

 

『アレク!?』

 

「アキラ、あとは頼む。俺はここから総督府へ行く!」

 

『KMFもなしで!?無茶するな!』

 

「大丈夫だ。ここの街は詳しいんだ。」

 

笑ってかえしたアレクセイはライフルを持って街の路地裏へと消えていった。

 

「アレク、待て!」

 

アレクセイを心配するアキラであったが敵の攻撃が止むことなく応戦するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリス、まだダメだ!!」

 

総督府ではエリスが出撃しようとしドリーが止めていた。

 

「流崎アキラだ……彼が来ている。」

 

「だとしてもまだだ。我慢するんだ。」

 

「エリス、もう我慢する必要はないわ。」

 

ジョディの言葉にドリーは振り向いた。

 

「来たのか?」

 

「えぇ、すぐにここへ。」

 

 

 

 

『なんだ!? 援軍か?』

 

イゴールは空中を2機の輸送機が街へ入るのを目撃した。

 

『総督府のほうへ向かっているぞ。』

 

「アレクが心配だ。俺達も行くぞ!」

 

アキラ達は敵の攻撃を掻い潜り総督府を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

首都ヤールンでのテロ騒動は潜伏していたカノン達にも伝えられシュナイゼルに報告した。

 

「まだ、流崎アキラなのか確認はできませんが……。」

 

『うん、今のうちにカノン頼むよ。援軍もハバロフスク基地から派遣されすぐにも来る。テロリストの鎮圧と流崎アキラの拘束も彼らにまかせるといい。』

 

 

「イエス・ユア・ハイネス。」

 

通信を終えたカノンは部下達に命じた。

 

「これから総督府へ向かう。これは隠密行動、敵だけではなくデニス総督達にも見つからないよう潜入する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

総督府にあるヘリポートから2機の輸送機が到着し機内から数機のKMFが姿を現した。

 

全身を黒く染め右肩を赤く染めたKMF5機、その中で1機だけ形状の違うKMFがあった。

 

「エリス、これがあなたの専用機よ。名前は、ヘルハウンドそしてこの4機はヒート・ヘイズ。この5機全部閣下が調査していた発掘した遺跡から発見したもの、所謂オーパーツを元に作られた特別なKMFよ。」

 

ヘルハウンドと呼ばれる機体にエリスは近づいて外観を見た。頭部にあたる部分は細長くファクトスフィアらしきものはなく代わりに2つのカメラが装着されてある。コックピットの下、そして脚部の横にはブースターを付けている。

 

そして右肩には専用のロングライフルを備え付けてあり左の肩には細長い盾のような物をつけその中に剣のような武器を納めている。

左腕の下には鋭利な爪らしきものを納めている。

 

一方、ヒート・ヘイズはヘルハウンドと比べ全体的にずんぐりとした形となっている。

 

エリスは黙ったままヘルハウンドのコックピットへと乗り込んだ。

 

「エリス、初めての実戦なんだ。あまり無理しないでくれよ。」

 

エリスはヘルハウンドを起動させた。頭部の2つのカメラが上下左右前後へと動く。

脚部に収納されているランドスピナーを降ろしヘルハウンドアキラ達がいる戦場へと駆け抜けて行った。

 

 

 

 

アキラ達はワシリー達と合流することができた。

 

『アレクはどうした?』

 

「1人で総督府へ向かった。」

 

『あいつ……心配だ。すぐに行こう。』

 

その時、ジェノムは早い速度でこちらへ向かうKMFをファクトスフィアでキャッチした。

 

「何かが来る……。」

 

 

 

 

-首都ヤールンでの戦い、これがサドナ王国で俺の最後の戦いになる。未だに姿を現せないエリスにどこか不気味さを感じていた。-




はい、出ました。エリスの専用機ヘルハウンド、そして陽炎の次世代機ヒート・ヘイズ

ヘルハウンドとはイギリス全土に伝わる黒い犬の姿をした不吉な妖精の名称からとりました。

そしてヒート・ヘイズは陽炎を英訳したものです。


ヘルハウンドはボトムズのベルゼルガ物語に登場するテスタロッサをレッドショルダーカラーにし頭部に少し改良を加えました。
ストライクドックにしようかと迷いましたがここは前者を選びました。

そしてヒート・ヘイズはシャドウフレアをモデルにしました。

両機とも井ノ本達がある遺跡から発掘されたもの、ここではオーパーツと呼びますがそのオーパーツを元に造られたものです。ですので両機はKMFであってKMFではないとの設定をし見た目もテスタロッサ、シャドウフレアだと思ってください。
またヘルハウンドはこれで完成という訳ではありません。話を進めるごとに追加武装等を考えています。
次回さらに詳しく描こうと思います。

次回は第一部の最終話です。お楽しみに

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