最強を目指して   作:匿名希望ただの人

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番外 11

「はあぁぁ!!」

腕を曲げ蹴りを受け止める虎我、すかさず飛び上がり蹴るがそれも防がれる

「はっ」

両足で挟み後方に回転し巻き込むように叩きつける

両指で着地し頭へのダメージを免れ更に指で体を押し上げ飛び上がる

一も体を捻り横へ投げるが虎我は足を掴み勢いよく地面に叩きつける

メキャアァッという音と共にリングが砕け破片が飛ぶ

「ふん」

そのまま引き寄せ殴り飛ばす、壁に激突し崩れるように倒れる

「なに手を抜いてるんだ、本気を見せてみろ!!」

「やはりわかりますか…さすがです」

「強くなったと過信しているな、未熟者が」

「先生に対しては過信してもいいじゃないですか、じゃないとやってけませんよ」

「そうか、それがお前のやり方なら文句は言わない、だが今から手を抜けば勝負はすぐに終わるぜ」

「わかってます」

虎我の笑顔など一切せず常に敵を狙っている戦いの顔、それを見た一は過信や慢心など一切せず目の前の強大な敵に集中し構える

じっくりと歩み寄り互いの間合いに入る

「はぁ!!」

しかけたのは一、踏み込み顔面めがけて拳を放つ

それを首を曲げよけると虎我も踏み込み顔めがけて拳を放つ

一も首を曲げかわすと中段めがけ蹴りを放つが腕で受けとめられる

虎我も膝で腹部を刺そうとするが手の平で受け止められる

「はあぁぁ!!」

虎我を押し一旦距離を空けると同時に自分の形をつくりすぐに距離を縮める

手や足を使った連続攻撃、一撃一撃が速く重たい、なにより次の動作へと繋がっている、隙をみせず確実に攻めている

「ふっ」

手を強く弾き飛ばし一回転させる、それと同時に放つ蹴りを受け流し背後を取る

「うるあぁぁ!!」

体を後ろへ反らし空高く投げ飛ばす

体を回転させ照明を台にし勢いを殺すことなく虎我めがけ方向転換する

「はぁ!!」

凄まじい勢いで飛び蹴りを放つ、両手で受け止めるがもう片足でガードを剥がし胸元に蹴りを連続で放つ

「はあぁ!」

回転し蹴りを放ちとうとう虎我からダウンを奪う

「さすがだ、一…基礎は完璧に出来ている…俺が教えた、いやそれ以上の事をして強くなっている」

笑いながらゆっくり立ち上がる

「ありがとうございます」

「俺についていくというのならば俺が持つ最強の拳法を、いや全ての技を教えよう」

「技ですか…光栄に思います」

「だがその前に今一度世界の広さを見せてやろう」

長ランを脱ぎ捨て構える、そして力み筋肉を膨張させシャツを破る

鍛え過ぎずそれでも引き締まった無駄の無い人間本来の美しい筋肉は見る者を虜にする……胸元にある激しい傷跡を覗けばより綺麗に見えたであろう

そして凄まじい爆風と共に稲妻を纏うアニを倒した時と同じように超覚醒を使う

「覚悟は良いなっ!!」

「お願いします」

互いに構えた瞬間、姿は消えた

聞こえるのは激しくぶつかり合った音と衝撃、速すぎて動きが捉えられない

「はあぁぁ!!」

叩き落とされる一、上から降ってくる虎我、体を回転しその場から離れ回避するが距離を詰められ顔を掴み地面に引きずり壁へ投げる

「がはっ」

飛び蹴りで壁を破壊し校内を飛び出す

「てやっ!!」

足をつけ海に入る直前で踏みとどまった一は勢いよく走ってくる虎我の顔に蹴りを入れる

「はああぁぁ!!」

そこから互いに激しく殴り合う

拳と拳が重なり合い、体に拳が当たったりするも引く事をしない

「ふん!!」

重なり合った拳ごと殴り飛ばされた一は海の上で何度もバウンドする

「やああぁぁ!!」

海中から出てきた一は虎我を掴み押しながら走る

ぶつかる障害物を壊しながら走り校内のリングへと戻る

虎我も足をつけ止まろうとするが壁にぶつかる

「うわあああああ」

背に壁がつき逃げれない虎我にがむしゃらに攻撃する

「!?」

猛攻の中から虎我の強烈なパンチが飛び腹部を捉える

「がっ、かはっ…」

よろめき後ろへ引く、更に追撃をかけるように蹴り上げる

「オラァ!!」

体を捻り落とすように殴りリングに叩きつける、一は大きくバウンドし転がり倒れる

口から血を流しピクリとも動かない

「キャーー」

それを見て悲鳴を上げる生徒達

「女の子相手に最低!」

「手加減っていうものをしらないの」

「学校やめちまえーー!」

それと同時に虎我にブーイングの嵐が巻き起こる

「………」

虎我は一礼をし黙ってリングを去ろうとしたその時

「黙れえぇぇぇっ!!!」

一が立ち上がり叫ぶ、その迫力にブーイングを鳴り止む

「この程度で悲鳴を上げるなら戦いなんてやるんじゃない!!今すぐ転校しろ!!」

「先生はできの悪い私にも一所懸命教えてくれた、弱い私にも戦うという楽しさを教えてくれた、生き方を示してくれた、そんな先生をバカにする奴は私が許さない!!」

一の言葉に全員黙り込む

「泣かせるじゃねぇか…一、俺は嬉しいぜ」

「先生、私、今すっごく楽しいです」

「そうか…ならよかった」

「これで思う存分戦えますね、先生」

「そうだな、全力でこい!!」

虎我は一の中段に蹴りを放つがしゃがみかわされ下段に蹴りを貰う

「ふん!」

正拳突きをさばき懐に潜り込み溝に肘を打つが両手で掴まれ後ろ捻りリングへ叩きつけられる

「ぐっ…はぁ!」

立ち上がり虎我の攻撃をかわしながら膝をめがけ何度も蹴り続け体制を崩す

「ぐっ」

「いやあぁぁ!!!」

力を溜めギリギリまで引き締めた右正拳突きを腹部に叩き込む

パアァン

「がはっ」

後ろへ怯み2、3歩下がり膝をつく

「超覚醒(これ)で膝つくなんて久しぶりだ…本当に強くなったな…心おきなく全力で叩き潰せる!」

血をふき笑う、目は青く光り蒼いオーラを発する

「ぐっ、まだ強くなるなんて…最高ですよ!」

「………」

「はあぁ!」

一の攻撃をかわし強烈な一撃を背に叩き込み吹き飛ばす

「がはっ、ぐっ」

立ち上がり再び挑むが殴り蹴られ飛ばされる

「はぁ、はぁ…はぁ」

それでも立ち上がりフラフラになりながらも虎我に向かって歩く

虎我の胸元に力無く殴る

「………」

足に力が入らずバランスを崩し虎我にもたれかかるように倒れる

「もういい、もう立つな…この試合はお前の負けだ」

優しく抱きしめ耳元でそっと囁く

「私は…まだ…」

「だが勝負はお前の勝ちだ、俺をここまで奮い立たせた者は居ない、さすがは俺が見込んだ者だ」

「先生……」

「よく頑張ったな、俺を信じてくれてありがとう」

それを聞くと微笑みながら意識を失う

両手で抱え静かにリングを後にする

 

 

 

 

「虎我、激戦だったね!」

ドンと背中を叩くミリア、それに虎我はしゃがみ込みうずくまる

「ど、どうしたの?」

「はぁ、はぁ、力入れ過ぎですよミリアさん」

「何やってるのよ、彼は肋骨5本折れて右膝骨折、左手は折れているのよ」

白衣を着た女性がかけつけてくる

「恐らく臓器にも影響与えているわ、私の力で」

「大丈夫です撫子(なでこ)さん、それより一さんを」

「何言ってるのよ、彼女なら安静にすれば大丈夫だから」

「彼女は愛沢を継ぐ者ですよ…撫子さんなら」

「昔は泣き虫だったのに、こんなに強くなって…わかったわ、行きなさい」

「ありがとうございます」

先生から許可を貰い試合会場へと向かう虎我

「こんなにボロボロになっているだなんて、強かったのね斎藤先輩」

「はい、さすがですよ…」

「…で、先生ってことは、弟子なの?」

「そうなりますね、詳しくは試合が終わったら話しますよ…この大会に優勝して指導してあげますよ」

「よろしくね」

「まかせてください」

 

 

 

「いよいよ決勝戦です、エクスティア選手対虎我選手、奇しくも1年生クラス戦争で勝敗があやうやになってしまったカードが2、3年の先輩方を差し置いてここに再現!!制するのはどっちだぁ!!」

「なお、激しい試合が予想される為異次元マップを特別にしようしています」

「先程の試合で相当な重傷を受けたようだが容赦はしないぞ」

「そちらこそ、先輩方相手に傷ついてるようですけど、全力でいかせてもらいますよ」

「面白い、試させてもらう!」

「それでは試合開始!!」

アナウンスと友だち斬りにかかる

「はぁ!」

虎我も手を硬化し受け止める

「あまい」

腹部に蹴りを入れ距離を取り斬撃を放つ

「くっ」

「せやぁ!」

横斬りをしゃがみかわし蹴り上げる

「はぁ!」

前へ前へ斬りどんどん攻めていく、虎我は受け止めるだけで防戦一方である

「どうした、傷が痛いのか、その程度で満足出来ると思うか!!」

首元に剣を突きつける、それには虎我も汗が流れる

「傷ついた者を斬る趣味はない、癒えてから改めて再戦を願おう」

「その紳士さ、騎士道精神…尊敬に価する」

紳士のように深々と頭を下げる

「なんの真似だ」

「さすがです…エクスティアさん…いえ、エル•サティフランカ•Q(クイーン)•アース•エクスティアさん」

「!?貴様、なぜその名を!?」

「その強さと覚悟に敬意を表し、見せてあげます24の英雄の力を」

煙が虎我の体を包み白銀の鎧を形成し身に付ける

「神武超業、ウィルガール」

「その姿は…白銀の英雄!?」

その変身に生徒や先生も驚く、誰よりも驚き驚愕しているエクスティア

「これで心おきなく戦えるでしょう…さぁ全力でかかってくるがいい」

「ふふ、面白い、アルガド王国を救った英雄が相手なら全力で戦うしかない!!」

「勝利へと導く槍(ロンゴミニアード)」

槍を手に持ち振り回す、それだけでも風を巻き起こし圧倒する

「はぁ!」

風をものともせず斬りにかかるエクスティア、体制を低くし突きを交わし下から斬り上げる

槍を横にし防ぎ押し返す、一歩退くと同時に斬撃を放つが掴まれ握り潰される

「なっ!?」

「龍閃」

放つ突きは白い龍となりエクスティアを襲う

「くっ」

受け流し横へ逃げることが出来たがそれでも衝撃を逃がしきれず数回転がり立ち上がる、龍は観客席を貫き民間を通り海を超え大陸を破壊する

「龍星」

空に槍を投げ無数に分裂し降り注ぐ

それらを弾きかわしながら距離を詰める

「セクエンス!」

飛び上がり黄金のオーラを纏った剣を振るう

「エンプリュウ」

巨大な黄金の盾が現れ弾き返す、空中で回転し体制を整え着地する

「セクエンスが通じないだと!?」

「セクエンスは受け継がれていたとは…だがそれまでのようだな」

「なんだと、我が血筋の技をバカにしてるのか!?」

「まさか、さすがと思いまして」

黄金に輝く神秘的な剣を取り出し構える

「師匠の意志を受け継ぐ者としてあなたの壁となりましょう」

高々と剣を持ち上げ力を込める、黄金の光が更に輝く、その美しさに見る者を魅了する

「これが24の英雄の中で最強と言わしめた一撃、見事受けてみせろ!」

光が頂点に達した時、一気に振り落とす

「絶対勝利の一撃(エクスカリバー)」

光輝く黄金の斬撃波が押し寄せる、進むにつれエネルギーが集まり更に巨大なものへと成長する

「この技は…」

技を見たエクスティアは驚きよける事を忘れ立ち尽くしいつしか光に押し潰され消える

斬撃波は建物や山、大陸をも斬り進み止まる事が無く地球を一周し両断する

ドオォォッ

いともたやくす斬られ爆発する、散らばった破片

それらが急速に集まりだし結合し新たに惑星を作り上げる

その惑星に一人立つ虎我、限りなく広がる世界を見渡す

「5年後に起こる大戦、からなずや勝利してみせよう…24の英雄にかけて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「試合終了!優勝者は桜義虎我選手!!」

「異次元マップを発動してなければ世界は終わってましたね」

「はい、とんでもない強さを持つ虎我選手、その正体は2年前地球を救った白き英雄!」

「強い訳ですね」

異次元マップから出るとなんか凄い騒いでいる、確かに目立つことはしたがここまで騒ぐものか

一礼をしリングから降りる

「まて…」

エクスティアさんが呼び止める、まぁ呼び止めるだろう、聞いてくる質問もわかる

「なぜ貴様があの技を…エクスカリバーを使える」

「俺の師匠があなたの先祖、エル•サティフランカ•Q•アースだからですよ」

「な、なんだと」

「それだけです、それでは自分用事があるので先に失礼します」

エクスティアに頭を下げ歩き出す

一にも会っておかないといけないし撫子さんにも挨拶に行かないと、あ、優勝したから表彰式とかに出ないといけないのかな?

などと考えながら歩いていると鷹田や冷月、ミリアが出口で待っている

「お、英雄様が帰ってきたぞ」

「おいおい鷹田、俺はそんな凄くねぇよ」

「本当そうね、身近な英雄さん」

「冷月まで…ちゃかすなって」

「虎我、あなたがあの白き英雄だなんて」

ん?国内だけだと思っていたが海外にも知れ渡っていたのか、意外…

「そうだぞーお前、こんな凄い奴に教わってんだから結果出せよな結果!」

「う、うるさいわね」

「んにしても偉い公表したな」

「そうだな、住みにくくなってきそうだな……転校しようかな」

「なにバカな事言ってるのよ、ほら優勝祝いにどこか食べに行きましょう」

「いいねー虎我の奢りで」

「うおいなんでそうなる」

「いいじゃない、大金持ちなんだから」

「なんでそうなるんだか…まぁいいやよーし焼き肉でも行くかー!」

「やったー」

「ミリアさんも行きますよね?」

「え?私?」

「そうですよ、久しぶりの大会で優勝したんですから祝ってくださいよ」

「わ、わかったわよ、そのかわりいい店に連れて行ってよね」

「任せてください」

皆の意見が一致し行こうとした時だ

只今より表彰式を始めますので、1位2位3位の方は集まってください

とアナウンスが流れる

「……これが、終わってからだな」

 

 

 

 

 

 

次の日

大会も無事に?終わり焼き肉をみんなで食べ楽しい1日を過ごした、さぁ気持ちを切り替えて勉強だ勉強勉強

学校に行くなり生徒達が押し寄せてくる

「きゃーー虎我さん」

「私、虎我さんに憧れてこの道を選びました」

「握手してください」

それは主に3年生だったりする…なんでだろうな

「………」

これには苦笑いしか出来ない虎我、なんとかその場を回避し教室に戻る、俺1人しかいないので安全地帯である

「大変そうだな、虎我」

「そうですね、まさかこんなに知れわたっていたとは知りませんでしたよ」

「そうか」

「……って、霧雨先生いつの間に!?」

会話している相手が霧雨先生と気づき驚く、なぜ驚いたかって?俺しかいないと思ったからだよ

「次の授業は私だからな…それより貴様があの英雄だったとはな、世界とは実に奇妙なものだな」

「あははは、先生は知っていたのかと思っていました」

元政府の役人なので知っているものだと思っていた虎我だが

「貴様の事はトップシークレットみたいなものだからな、なんせ秘密兵器だとかなんとかでよ」

「秘密兵器ですか」

全然秘密になってないけど、まぁあの変身を見せるのは初めてたがらそうでもないか

「強い訳だ…だがなぜ堂道館に入らなかったんだ、お前ならいけただろう」

「落ちただけですよ、それに自分はあそこ嫌いですから」

「なるほど、お前らしいな」

「でも一度は授業は受けてみたかったですよ」

「そうか、なら私が指導してやろうか?経験者だからそれ以上をしてやるぞ」

「遠慮しておきます、普通科らしく勉強します」

「変わった奴だな、私の友人に似ている」

「そうですか」

「よし、今日は証明を教えてやろう、死ぬ程難しいぞ」

「お願いします」

 

 

 

先生が余ってなかったので戦闘科の授業を受ける事となった虎我

「本日はータイガーくんに授業を進めてもらいマース」

フレイン先生が突然言ってくる、これには驚く虎我

「先生、自分は生徒ですので教えられません、そんな資格もありませんので」

「ノーノーそれは違いマース、大会で優勝したんデース、ユーは生徒達に教える資格はあるんデス」

そういえばそうだったな、まさかこんな所で使わられるなんて思いもしなかった

「てことでよろしくお願いしマース」

そう言ってどこかへ行ってしまう

どうしようかな、急に言われても何するか計画も立ててないし何を教えればいいのかわからない

「虎我さん、私にあの変身教えてください」

「あの黄金の斬撃ってどうすれば出せるの?」

「どうすれば強くなれるの?」

「剣技教えてください」

と、生徒達に囲まれ質問責めに合う、あんな試合を見せられたら色々聞いてくるのは必然だろうなのか?だが

「虎我、強くなるには地味な修行が必要だって教えてあげなさい」

ミリアが言ってくる、一番はミリアさんが短期間で著しく強くなっていることが理由だと思う

「そうなのミリア」

「そうですわよ、砂遊びにボール遊び、地味で難しい本当におかしなものばかりですわ」

「あぁ、あの砂を平らにするやつね」

「あとボールをはじくやつ」

「そうね、確かに地味だわ」

「よくやるね、ミリア」

「強くなる為ですから突然ですわ」

腕を組み胸を張るミリア、当然の事だが胸を張ってもいい事だと思う

「あれは弓や素手を上達する為であって、ちゃんと剣なら剣を槍なら槍の修行方法がありまして」

「それも地味なんでしょ?」

「まぁ、地味かもしれませんけど」

「えー、地味かー、なんかやだなー」

「うんうん」

生徒達も嫌がる、みんな派手がいいのか

「で、何教えるの?」

生徒が本題を戻す、おっとそうだったな、かんがえないと

「えっとですね」

そうだな、全員使う武器が違うから何かに統一しないといけない、となるのやはり

「基礎ですかね」

「基礎?」

「なんか地味ね」

「基礎、まぁトレーニングですね」

「トレーニングかー、つらそう」

つらくなければトレーニングではない、極限を超えてやっと力を身につくものだ、つらいのは仕方がないことだ

「本当に強くなれるの?」

「そうですね、一には基礎だけを教えましたから、基礎さえ出来ていればあれくらいにはなれますよ」

「うそ、基礎しかやってきてないの?」

「はい、基礎だけを叩き込み基礎以外するなって言いましたから」

「ストイックね、一先輩もよくやるわ」

「真面目ですから…それでどうします?自分が基礎を教え」

「よろしくお願いします」

…全部言う前に言われた、だがそれはやる気がある証だ、消える前にやろう

「それではまず体幹を鍛えますので片足立ちを2分やりましょう」

「うわ、地味ね」

「そうですか?でしたら2倍の重力で8キロのダンベル上げますか?」

「そのままでお願いします」

「よろしい、では始めます」

合図と同時に片足を上げる、両手を使ってバランスをとっている者が多いな、すでにフラフラな人もいる…あまり鍛えられてない人が多いな

「あと1分、頑張りましょう」

ほとんどの人がフラフラしている、足腰も弱いな、今日はそれらを重点に徹底的に鍛えよう

「はい、終了、20秒休憩したらもう4セットいきましょう」

「は、はい」

「5分休んでスクワット100回、3セット」

「休まずジャンピングスクワック30回、はい!」

「足上げ10回全力!」

「プランク左右1分2セット」

「ラストプランク5分、終わったら水分補給!」

ハイペースで進む虎我のトレーニング、しかし誰も文句は言わなかった、なぜなら

「………」

虎我も一緒にやっているからである、重力を上げやる回数も倍、今自分達がやってるトレーニングよりも過酷な事をしているので何も言えない

「休んだらさっきのメニューを繰り返す!」

プランクを終えるとすぐに立ち上がりダンベルを上げながら片足立ちになる、水分補給も休憩もせずそのまま続行する、汗を流しながら時々つらい顔をしてるのを見て相当つらいと思われる、負けてられないその意地が生徒達を奮いたたせる

「はい終了、お疲れ様」

チャイムと同時にトレーニングを終える

「はー、疲れたーー」

「もう無理立てない」

「いつもと違う感じだからツライ」

「一部集中なんてなかったもんね」

「明日は筋肉痛だな」

笑いながら倒れる生徒達、達成感があるようで楽しそうだ

「これをどうぞ」

虎我が水筒とペットボトル、紙コップを持って回る

「これはなに?」

「栄養ドリンクです、疲労回復にいいですよ」

「え?もしかし手作り」

水筒から原液を少し入れ水で割るのを見て聞く

「はい、別に怪しいもの入れてませんから、安心してください」

「…いただきます」

「ん、美味しい」

「なにこれ」

「甘酸っぱくてサッパリしてるわ」

「薬物感が全然しない、すっきりしてて飲みやすい」

などと絶賛する、口にあってよかった

「それでは次の授業に遅れないように…お疲れ様でした」

お辞儀し自分の教室に戻る虎我

「……」

次の授業も戦闘科と一緒である、しかも今回は3年生と一緒だ、確かに先輩方と一緒に授業を受けられるのは特別扱いな感じではあるがなんか悪意が感じられる、いや悪意がある

「今日は1年の虎我を交えての授業だ、先輩として恥ずかしくないように、虎我は先輩に負けないように、授業に励んでくれ」

スーツを着た男、花札 壮麗(花札 そうれい)先生、爽やかな対応に生徒達に人気である

「じゃあ今日は剣を使った技を教えるから2人1組になって」

先生の指示通り動く生徒達、俺もペアをたがそうとキョロキョロしていると一人の生徒がやってくる

「先生、お疲れ様です、昨日は御馳走でした」

一が挨拶をしにきた、これはちょうどよかったありがたい

「お疲れ様、昨日の事は気にするな…それと、先輩後輩あるからため口でいいよ、俺も敬語使うよ」

「いえいえ恐れ多いです、このままで」

「いやいや、それでは示しがつきませんよ、まだ先生って言われる程凄くありませんし」

「いえいえそんなことありませんよ、先生は私の大事な先生ですから」

互いになにかを譲り合っている2人に声をかける先生、時間を潰す訳にはいかないので互いに礼をし木刀を構える

「まずは準備運動として素振り30回、終わった者から座れ」

「はい」

言われるがまま素振りをする

「はっ」

基礎を叩き込んだだけあって一の素振りは姿勢よしと力の入れかたも無駄はなくとても綺麗である、見ないうちに予想を超える程上達している

「よし、みんな終わったようだな…それでは実技にはいる、今日の日直の人相手をしてくれ」

そう言うと日直の人が立ち上がり礼をし構える

「どこからでもきてくれ」

「いきますよ…せや!」

横斬り、それを木刀を回し巻き込み軌道をずらし隙が出来た所で首元に突きつける

「回し込みと言って佐須川流の1つ、突きだけじゃなくてカウンターやガードなど幅広く活用できる技だ」

「先生、基本中の基本じゃないですか」

「そうですよ、前にも似たようなの学びました」

「大会ではみんな攻めてばかりで駆け引きというものがなかった、受けも大切だということを思いださせる為に教えているんだ、初心忘れるべからずだよ」

確かに試合を見ていてもほとんどが攻めているだけだった、確かに攻めるのはいいことだが激しい動きを続けているかわ長期戦には向いていない実戦には程遠いものだった

「ちぇ、やろうか」

「そうだね」

納得したのかやりはじめる、素直に従う所はいいことだ

「先生、私達もやりましょう」

「そうだな…俺が受けるよ」

「はい、よろしくおねがいします」

「じゃあいくよ!」

横斬りを巻き込み首元に突きつける、先生が見せたように忠実に再現する一

「…どうですか?」

「…微妙」

「え?」

「中途半端だ、見本を見せる…全力でやれ」

「いきますよ、はい!」

木刀を回し横斬りを巻き込む、しかしそこからが違った、触れると同時に上へ力を加え手から木刀を放させる

上へ飛んだ木刀を掴むなり距離を詰め首元に重ね合わせて突きつける

「最初から出来るならこれくらいやらないとダメだよ、それとも手を抜けるほど俺は弱いのかな?」

「………」

「練習の場面だけど自分なりに考え本気でやらないと強くなれない」

そういい木刀を返す

「は、はい」

周りと同じ事をしても強くはなれない、周りを超える事をするから強くなれる

言われたことをやり続けても周りと平行した強さした得れない、強くなりたいのなら考えろ、授業を壊すような言い方だが勘弁願いたい

(受けた感じだと力でどうにかした訳じゃない、多分相手の力を利用して上に上げる時だけ力んでいた…あとはタイミングだ)

横に降る、受け流す、そこまでは同じだ、この後どうするか、虎我みたいに上げる技量はない、だから横へ木刀を弾き飛ばす、すかさず持ちかえ腹部に突きつける

「…そうだ、それでいい」

「ふぅ…」

「だがその程度で満足するな、一度覚えた相手に何度も同じ手は食わない、先を見た戦いを出来るようにしろ」

「はい」

「じゃあもう一回だ、隙あらばすぐに反撃するぞ」

「はい」

周りの生徒とは一味も二味も違う、質の深い練習をする2人

その世界には先生もなかなか声をかけられず別にさぼっている訳ではないので温かい目で見ながら授業を進めるのであった

授業終わりすぐさま先生に謝りに行く虎我の話はしなくてもいいだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

「そろそろ長期連休の合宿が始まりますねー、虎我さん」

帰る支度をしている虎我に鷹田が扇子をあおぎながら言ってくる、その扇子って中学の時修学旅行で買ったやつだな、使っていたのか…

「そうだな、練習メニューを考えないとな」

「一先輩に教えるんだろー、私も参加するからな」

「組手だけだろ?」

「あったりー!どんどん戦わせてくれよな」

「あぁ死ぬ程相手にさせてやるから覚悟しろよな」

「当然!」

「ところでミリアとかも一緒に教えるのか?」

今も教えているから混ぜて一緒に教えたいのだが

「鷹田、俺が一に教えるのはただ強くするだけじゃない、愛沢流を継承してもらうためだ、俺が認めた者以外に教える気はない」

「おぉ、さすが愛沢を継ぐ者!しっかり考えてるね、さすが!わたしゃ嬉しいよ!」

笑いながらあおいでた扇子を閉じペシペシと頭を叩く

「当然だ、伝承者としてしっかり受け継がせないとな」

「なにが気にいったか知らんけど戦う事楽しみにしているよ」

「そうか」

そんな事を言いながら笑う鷹田

「…で、用件はなんだ?」

だがそんな事を言いにきただけではないだろう

長年付き合っている虎我だからこそわかる雰囲気

「お、わかる?実はさ~」

「腹減ったからご飯食べに行こうぜとかだろ?」

こういう場合はだいたい食事に関してだろう

「お?さすがわかってるねー」

ほらな

「…じゃはくて、いやそれもそうなんだけど、頼みがあるんだ」

「頼み?」

「実は明日数学の追試があるんだよ」

「勉強教えろと?」

「かわりに出て」

「バカかお前、勉強教えてやるからちゃんとでろ!」

「やっぱだめかー」

当然だ、なに考えてんだよ

頭に手を当てながら笑う鷹田、やっぱ考えてることがわからんな

「ってことで今日は桜義家でお泊まりだな、冷月はもう帰って準備してるからもう決定だな!」

くそ、泊まることが真の目的だな、となると追試はうそか

「あ、追試は本当だから勉強教えてね」

心を読んだかのように言う鷹田、こっちは見透かされててなんか腹が立つな

「ってことで早速行こう」

「まぁ待て、ミリアさんと一緒に修行する約束があるんだ、その後だ」

「えーー、明日休みなんだから明日やれよ」

「あのな~」

「だったらミリアもお泊まりにさそえば」

「なにがお泊まりだ!」

「あーでも明日は水族館とか行く予定だしな」

「誰が決めたんだ?」

「私と冷月」

「俺をまぜろ!」

「えー、だってお前いろいろと忙しいから勝手に決めた」

「お前な、遊ぶ時は俺も遊ぶからちゃんと計画にまぜてくれ」

「よーし、じゃあ帰って計画を練ろう!」

「あ、おいコラ!」

 

 

 

ってことで

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく


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