最強を目指して   作:匿名希望ただの人

164 / 167
番外 10

あれからと言うもの

「…………」

「虎我様、おはようございます」

「虎我様、お昼いいですか」

「虎我様、一緒に帰りましょう」

「虎我様」

「虎我様」

 

 

 

……あれからというもの虎我にべったりしているセリュー

「はぁ…」

「モテ男は大変ね」

溜め息をついている虎我の元にミリアがやってくる

「別にそうじゃないですよ」

「嘘ね、顔が物語ってあるわよ」

疲れた顔で溜め息をついているのだからわかる、いつもなら溜め息つくときでも顔は和らいでいるのに心配である

「そうですか?」

「そうよ、何したのかわからないけどあまり女性にちょっかいしないことね」

「それは人助けはしない方がいいってことですか?」

「…ごめん嘘」

何かを感じとったのかすぐに否定し謝る

「なんとかして目を覚まさせないと…」

たかが助けただけであんな好意を持たれても俺にもセリューさんにもよくない、なんとかしないと

「嫌われる方法とかないかな!」

「嫌われる方法…んーそうね、更衣室を覗くとか?」

「それは社会人として終わりますよ」

「そうね、じゃあ姫様の前で悪い事するとか?」

「…芝居をうつんですね」

「まぁそうね」

芝居か、だがどういう事をすればいいんだ?

「例えばそうね、女の子をいじめてみたり、窃盗とかしてみたり」

ダメだ、そういう事は生理的に受付ない、体の隅々から拒絶反応を起こす

「本当に善人ね、演技なのに出来ないとか」

「勘弁してください」

「…待てよ、戦えばいいんじゃない?」

「戦う?」

「ほら、前私にしたみたいに完膚無きまでに叩き潰せばいいんじゃない」

なるほど、確かにアレなら周りの評価も下がるな…それより口に出すと言う事は気にしてたのかな?ごめんなさい

「あ、別に気にしてる訳じゃありませんから、むしろ感謝してるぐらいですわ」

…そう言われるとますます気にするが本人の言葉を信じよう

「近々大会があるみたいだからその時にやってみるば?」

「大会ですか?」

「合宿のメンバーを決めるものらしいんだけど、優勝者にはせ指導者になれるのよ」

なるほど、ようするにステータスだな

「実力がある生徒が出れるみたいだけど多分出れるよ」

「そうかな」

この学園の先生達にはあまり良い印象を持たれていない気がする、多分あり得ないな

「大丈夫よ、1学年で一番強いんだから」

「そんなことないですよ」

「クラス戦で一番取ったんだからそうよ」

「あれは途中で放棄しましたし」

「そうね、善人過ぎるわ」

「あはははは」

「出れたら頑張ってね、先輩方を倒して頂点をとってね」

そういい教室から出ていく、まぁ授業の時間になるからな

それと同時に豪竜先生がやってくる

「お、虎我居るな」

手には裁縫の道具など持っていない、今日はどんな授業をするのかな?

「今日は大会も近いから組手だ、みっちりしごいてやるぞ!」

がははははと笑いながら言ってくる、噂をすればまさかな

「大会とはなんでしょうか?」

「指導権争奪戦、お前は実力があるからな特別に出場できたんだ」

特別か…

「俺はお前に期待しているからな、勝てる用にたっぷりしごいてやる」

なるほど、だから動きやすい服装なのか

「…先生、もしかして戦いたいのですか?」

「わかるか?霧雨先生やフレイン先生にも勝っているのだから楽しみでしょうがないんだ、老人の相手になってくれよ」

「…わかりました」

「伝説の桜義虎我の実力を見せて貰おうか」

「伝説…ですか」

「そうさ、この業界では伝説だからね、さぁやろう」

「はい」

てなわけで外に出る、グランドでは他の生徒達が授業をしている、目立つな

「さぁ行くぞ、全力でかかってこい!」

鏝を手につけ首を回す、完全に戦う体勢だ

「わかりました…」

「はぁ!」

体勢を低くした高速タックル、虎我の足を掴みそのまま倒そうとするが

「!?」

ピクリとも動かない

豪竜先生は倒すことを諦め上へ持ち上げ後ろへ投げる

虎我は足を豪竜先生の首にひっかけ投げられた力を利用し投げる

「くっ」

回転し受け身を取り虎我に向かって走り出す

「はあぁ!!」

パンチやキック巧みに使った隙の無いコンボ、しかしリズムがしっかりしてる分見切りやすい

前蹴りをさばき懐に潜り込む、それを狙っていたかのようにパンチのラッシュを浴びせる

距離を取ろうとする虎我の腕を取り強引に引き寄せ殴る

「ふん!」

そのまま振り回し大木めがけて投げる

「はあぁ!!」

間髪入れず突進し大木ごと倒す

「どうした、まだ本気なんじゃないんだろ?」

虎我はゆっくり立ち上がり

「ダメですよ、木も命なんですから壊したら」

片手で折れた大木を掴み上げ折れ目を合わせる

「ハァァ」

折れけ目に触れ柔らかい光を放ち包む、しばらくすると折れ目が治り元通りになる

「さて、やりましょう」

そうは言うがただ立っているだけである、隙だらけでどこからでも攻められる

(全くと言っていいほどの自然体だ、なのになぜだ、なぜ隙が無いと感じるのだ……)

あえて攻撃を誘っている風に見えるが違うだろう、これが奴の構えなのか?

「うるあ!」

虎我に向かって走り真正面から攻撃をすると見せかけ素早く背後に回る

(もらった!)

脊髄めがけ指を突き立てる

しかしそれを見えているかのように手で掴み左足を後ろに下げ軸にし回転し溝落ちに肘を叩く

「ぐっ」

怯む豪竜先生、肘打ちから腕を伸ばし顔を殴る

助走を付け豪竜先生の膝を踏み台にし顎を膝でかちあげる

「がふっぐっ、うらぁ!」

虎我の肩を掴みそのまま倒れると同時に後ろに投げる

体勢をかえ両足で顔を踏み潰す

「いいねぇそう来なくちゃあな!」

口から血をダラダラ流しながら微笑むお豪竜先生、戦いへの渇望にゾッとする

「いくぜぇ虎我ぁ!」

服を脱ぎ構える、体が真っ赤になり熱気を放っている

「これが先生の能力か」

あの異様な熱気からしてうかつに触れていいものじゃない、まずは様子を見る

「はあぁ!!」

剛腕を振るう、飛び散った赤い液はジュワッと音をたて燃え上がる

これは…!?

「溶岩か…」

「その通りだ、俺ぁ体をマグマに出来る能力、溶岩の筋肉(マグマッスル)だ!」

両足から熱を放ち地面を黒く焦がす

「炎なんて生ぬるいもんじゃねぇ、全てを焼き溶かす!!」

「マグマ…か、ならば」

虎我の両足から青い冷気を放ち地面を凍らす

「こっちは正反対(氷)でいきますよ!」

「面白ぇ、溶かし尽くすまでだ!」

両手から大量の溶岩を放つ、それをかわすのは容易い、戦い超えてこそ強くなれるというもの

「はぁぁ!!」

冷気を放ち凍らす、しかし相手はマグマ、分悪い

(炎なら凍らすのは容易いが、やはり厳しいか)

「はぁ!」

だが、負ける訳にはいかねぇ!!どんな逆境にも劣勢にも負けやしねぇ全て乗り越え更なる高みへ登る!

冷気を更に上げ溶岩を凍らしその上に乗り走る

「バカな、マグマを凍らすなんて!?」

「冷徹!」

氷の刃で斬りにかかる、その鋭さは触れたものを瞬時に凍らし切り裂く、血など飛び散ることなく形そのままを綺麗に残して

「うおおおおお」

全身を溶岩へと変え受け止める

溶岩なだけあって凍ることなんてしない、鈍い音が響き冷徹を溶かす

「火山噴火」

虎我が立つ地面を突き破り溶岩が噴き出す

「炎怒の魔人(ルビカンテ)」

吹き荒れる溶岩を吸収し巨大化を果たした豪竜、目の先に虎我が上昇している

「!?」

その巨体化に驚き判断が遅れた虎我は

「怒りの炎壊(ジョークラッシュ)」

振り落とす拳を避けることが出来ずに直撃をくらう

「ぐっ…ぐぬぬぬ……」

地面に足がつき両手で押し返そうと力む

「ぶっ潰れろぉ!」

「なめんじゃねぇ…まだまだこっからだぁ!」

地面を蹴り飛び上がる力を利用し押し返し

「借りるぜ氷堂…」

両手を腰の当たりに置き力を溜める

「青く輝く凍てつく波動(フェイプルペイン)」

両手を突き出し青い波動を放つ

「ぐぐっ」

押し寄せる強大な冷気の波動に凍り始める

「うわああああああ」

ついには全身が凍りつき吹き荒れる風と共に砕け散る

「ぐっ、がはっ…まさかルビカンテが負けるとは……。」

空から落ちてくる豪竜は立ち上がろうとするが足に力がはいらず後ろへ大の字に倒れる

「やっぱ強いな…さすがだぜ桜義虎我」

「そんなことないですよ、豪竜先生も強かったですよ

「ふっ、敗者への情けか?だがあんたに言われちゃ名誉として受け取っておくしかないぜ」

「そんな大袈裟な」

「武神様がえらい謙虚だな、」

「まさか、自分なんかまだまだですよ」

「はっはっはっ、その謙虚さが強さの秘訣なのかな…まぁいい、授業はこれまでだ、楽しかったぜ」

立ち上がりボロボロの上着を羽織り歩きだす

武神…か…

 

 

 

 

 

 

 

 

虎我と豪竜先生の戦いはすぐに校内に広がり話題になる

「だっはははは、お前先生倒すのこれで何人目だ」

当然鷹田にも届いている、笑いながら俺の背中を叩いている

「まだ2人だよ」

「もうだろうが、いやー珍しいな、豪竜先生っていやぁ先生の中で一番強いって噂の猛者だぜ」

「確かに強かったが、霧雨先生方が強かったな」

豪竜先生は力任せで動きに雑があったので戦いやすかった、しかし隙が無い動きをした霧雨先生の方が戦いにくかった

「お、経験者は語るねぇ」

「まぁな、戦ってみればわかる…まぁお前なら勝てるだろ」

「マジかー、私より弱いのかー、しかも虎我のお墨付き!」

毎日戦ってるから慣れているがそれでも鷹田のトリッキーな動きで何をしてくるかわからない、それに加え並外れた身体能力に技量そしてあの能力だ、強くない訳が無い

「今度挑んでみよっかなーっはははは」

笑いながら何度も何度も強く叩く鷹田、正直に言おう!……痛いからやめてほしい

「叩くなって」

「おぉワリーワリー、でよ、お前大会に出るんだろ?」

「大会?」

「ほら、優勝すると先生になれるやつ」

あぁ、そんな話聞いたな、たしか参加は自由だったな

「まだ考えている、お前はどうなんだ?」

「とーぜん、出ないさー」

「そうだよな……え?」

あの戦い好きの鷹田が出ないと言ってきたので思わず聞き返してしまった

「だからでないの」

「なんででないんだ?」

「なんでって、優勝したら誰かに教えるんだろ?やだよかったりーし」

…なるほど、優勝したら面倒だから出ないか…なるほど、実に鷹田らしい発言だな……なめているな

「お前が優勝する前提かよ」

「とーーぜん、当たり前だろー!」

一体どこからそんな凄まじい自信が出てくるのか不思議である、実に気になる

「まーた客席から見てるから楽しませてくれよな」

「観戦が好きだったっけ?」

「ん?お前の試合は見ておきたいんだよ、なんせめったに見れないしな…それに、大会にはもう飽きたんだよ」

飽きた…か、つまり面白くないってことだな

「そうか…」

「そういうことだ、じゃあな」

そういい自分の教室へと帰っていく

面白くない、つまり相手が弱いってことだ…相変わらずなめてやがる…上等だ

「面白くしてやるか…!」

 

 

 

放課後

「虎我様、一緒に帰りましょう」

授業が終わり帰ろうと玄関に行くと下駄箱の前で立っているセリューさんと目が合うなり駆け寄ってくる

「お、こりゃ私はお邪魔かな~?先帰るわ」

一緒に歩いていた鷹田は気を使ってなのか別れを言うと全力で走り去る

「あ、おいこら」

当然俺の言葉なんて聞こえない、あのやろう行動がはやいんだよ

「虎我様」

「セリューさん、様付けはやめてくれませんか?」

「でしたらなんとお呼びすれば…虎我殿?ご主人様?あなた?」

「……呼び捨てでお願いします」

「そんな、虎我様を呼び捨てだなんて」

「じゃあさんとかでも」

「そんな、馴れ馴れしいこと出来ません」

いや、普通は逆だと思うんだよな、立場的に

「それより虎我様、一緒に帰りましょう」

それよりって、結構大事な事だと思うんだけどなぁ

「あれ、エクスティアさんやハルカはどうしたのですか?」

「ハルカさんでしたら家があるのでアルガトに帰りました」

そっかー、今はハルカがあの家を仕切っているんだもんな、みんな元気にしているかな

「エクスティアさんでしたら先程先生に呼ばれて行きました」

「そうですか」

なるほど、ならば一緒に帰った方が安全の為か、いやしかしエクスティアさんを待った方が良いのか

「……ダメ、ですか?」

目をうるうるさせて問いかけてくる、くそ、こんな顔されたら断れない

「やっぱり私なんかと」

「そんな事無いですよ、一緒に帰りましょう」

うつむいているセリューにそっと手を差しだす

「はい」

笑顔で差し伸べた手を取り歩きだす

「虎我様~」

手を握りっていたのがいつしか腕に寄り添う形へとかわっている

「セリューさん、その格好はやめてくれませんか?」

「どうしてです、好きな人と歩く時はこの方がいいとメイスさんに教わりましたが」

くそ、なんてことだ…しかしあの引っ込み思案のセリューさんがこんな積極的になるなんて、一体何をどうやってさせたのだろうか

「いえ、歩きにくいかなと」

「私は大丈夫ですよ、むしろ嬉しいです」

顔を赤くしながら微笑む、どうやら恥ずかしさを我慢して頑張っているみたいだ、だがそこまですることか?

「あ、虎我様、あの建物はなんですか?」

夕暮れの中目立つように光っている四角い建物を指す

「あれはコンビニですね」

「こんびに?」

「はい、正確にはコンビニエンスストアと言いまして、飲食物や文房具、本などの雑貨が置いてある店です」

「それは便利ですね、虎我様もよく利用するのですか?」

んー、便利なのだが値段が張るのであまり行かないな、買う時はどうも安く抑えようとする癖があるから自然と拒否している

「あまり利用しないですね」

「そうなんですか?」

「はい、セリューさんは入った事無いんですか?」

「そうなんです、ですから興味がありまして」

そうか、なら勉強の為にも行くしかないな

「でしたら寄ってみます?」

「はい!」

ってことでコンビニの中へ入る

「いらっしゃいませ」

店員が挨拶をしくてる

「いらっしゃっせーー」

そんな中、少し場違いな挨拶をしてくる店員、元気が良いのはいいことだがなんというかラーメン店のような挨拶である

「あ」

その声の主は鷹田だった、品出ししている所にちょうど会った

「鷹田、お前バイト始めたのか!?」

「わ、わりぃかよ」

「いや、悪くないが」

人に気を使うなんて珍しいとは思ったが、バイトがあるから先に帰ったのか

「お前こそ何してるんだよ、コンビニに行くなんて珍し過ぎだっつーの」

「いやセリューさんが行きたいって言うから」

「知ってた、まぁ見て沢山買って私の売上に貢献してくれよ」

そういうと仕事に戻る、邪魔しちゃ悪いので話かけないで置こう

しかしあの鷹田がバイトか…長い付き合いでもわからない事もあるんだな、あいつは俺の事のほとんど知ってるくせに、ましてや家族でも知らないことを……なんか不公平に感じてきた、今度色々問い詰めてみよう

「虎我様、これはなんですか?」

「あぁ、おにぎりだよ」

「おにぎりですか、以前虎我様が作っていただいたものとは色も形も違いますが」

「あの時は丸だったけど形は三角でも俵型でもなんでもいいんだ、あと海苔を巻かれているんだ」

「そうなんですか」

「食べてみる?」

「いえ、私は今お金を持ってなくて」

「……持ってないの?」

「はい、エクスティアさんに管理してもらってます、私が持つとダメみたいだそうで」

持つとダメか…なんとなくわかる、慈悲深い人だから困っている人に対して協力的過ぎる、俺が言うのもなんだが度を超えている

「いいよ、これくらい買うよ」

「え、ですが」

「気にしないでください、せっかく来たのですから色々試してくださいよ」

「…それではお言葉に甘えて」

「はい、どんどん甘えてください」

おにぎりを3つ買ってコンビニを後にする、合計324円の出費だ、うん、かわいいものだ、鷹田だとこれの数百倍だからな

歩きながら食べるのはマナーが悪いので近くの公園に行きベンチに座りいただくことに

「ありがとうございます」

「お気になさらずに」

「それではいただきます」

袋を破り食べようとするが、違った開け方をしてしまい海苔が破けてしまう

「あぁ、なんてことに」

初めて食べるのだから開け方なんてわからなくて当然だな

「ここのひらひらを下へ引っ張って後は左右の端を取れば、綺麗に取れますよ」

見本にひとつ開けて説明する

「まぁ、凄いです、画期的ですね」

「そうですね、考えた人は凄いですね」

「では、もう一度」

先程の見本通り開け見事綺麗に開ける

「やりました、みてください虎我様」

得意げにおにぎりを見せつけるセリュー

「凄い綺麗にとれましたね」

「はい…あ、でも出来て当然な事なんですよね、すみません、子供みたいにはしゃいでしまって」

「そんな事ないですよ、自分の弟なんか未だに綺麗に取れないですから」

「本当ですか?」

まぁ事実を言ったまでだ嘘ではない、我が弟ながら不器用だと思うわ、そのくせ裁縫とかはちゃっかりできてな不思議な奴だ

「はい」

「虎我様の弟様、一度お会いしてみたいですわ」

「あははは、会うと色々大変ですよ」

「そんなことないですよ、きっと強くて逞しくて少しおっちょこちょいで不器用で誤解されやすいけど人の為に頑張れる優しい人なんでしょう」

うん、恐ろしい事に全部会っている、ここまで的確に当てられるとさすがに怖くなる…いやまて、もしかして俺の性格を見て推測したのか…ってことは俺はそういう風に見られているのか!?

「?どうしましたか?」

「い、いえ、なんでもありません、それよりおにぎりの味はどうでしたか?」

「はい、とても美味しかったです、特にこのツナアンドマヨネーズが美味しかったです」

「ははは、そうですか」

「あと、この梅干しも酸っぱくて驚きました、この国では珍しい味が多くて興味があります」

「それはよかったです、こんど色々紹介しますよ」

「本当ですか、私嬉しいです」

「また休日の日にどこかでかけましょう」

「はい」

「とりあえず今日は時間も遅くなる前に帰りましょう、きっとエクスティアさんも心配してますから」

「はい」

それといって特別な会話をせずただたわいもない会話をし寮に送る、そのさいにエクスティアさんに剣を突きつけられたがまぁ気にいないでおこう

 

 

「ぬあぁ、失敗したぁ」

自宅では龍我がおにぎりの包みを開けるのに失敗して声をあげている、それを見てなんか溜め息がでる

「なに溜め息出しとるんじゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

学校

「虎我、貴様には指導権争奪戦に出て貰う」

霧雨先生が教室に入ってくるなりいきなり言ってくる

「…きょ」

「拒否権などある訳ない、強制だ」

ですよね、聞く前に言われたら何も言えない

「自分が誰かに教えるだなんて」

「ミリアにも教えているんだ、せっかくならば全校生徒をお前色に染めてみろ」

「自分色って…それは」

「今回は3年も出るんだ、強いお前でも充分楽しめるはずさ…あまり女をなめるなよ」

「なめてなんかいませんよ」

なめる程俺は強くない、ましてや女の方が強いと思っている

「同期にも下からの口調だからどうもなめてる風に見えるんだ、まぁ私は上下に厳しいからそう聞こえるだけなのかもしれんがな」

「そうですか」

「今度こそお前の真価を見させてもらう」

「あまり期待しないでくださいよ…それで、いつあるんですか?その大会は」

「今日だ」

と、唐突過ぎる……

「実の所もう始まっていてな、あと3試合後にお前の番が始まるから急いで試合場に迎え」

くそ、なんて世の中だ

急いで試合場に向かう虎我であった

 

 

 

試合場

「続きまして第68試合、1年桜義虎我選手VS3年C組佐々木瑞穂選手」

なんとか間に合った虎我は対戦相手にお辞儀をし構える、相手もそれを見て礼を返す

「はぁ!」

相手の攻撃をかわしながら観察をする、この学園はどのくらいのレベルなのか、どこまで教えているか

なるほど、3年生ってだけあって構えも動きも全く違う、実戦経験も技も豊富で手ごわい

だが

「てやぁ!」

基礎がなってない

剣を掴み拳圧で吹き飛ばし壁に激突する、相手は頭を強く打ち気絶している

「しょ、勝者虎我選手!」

強引な戦法なのかもしれないがキレがなければ怖くもなんともない、言っては悪いがその程度だ

試合を終え試合を観戦する為に観客席に向かう

「3年相手に圧勝か、やはりなかなかやるな」

向かう途中にエクスティアさんと出会う、格好からして参加しているようだ

「私は優勝に興味など無い、目的はただ一つ、桜義虎我、貴様を倒すことだ」

そういい剣を喉に突きつける、なるほど激しい敵意だ命を落とすかもしれない、しかもそれを望んでるいとならばこちらも答えないとな

「私に負けるまで誰にも負けるなよ」

「はい」

「ふっ、楽しみにしているぞ」

観客席

「あら、珍しく圧勝するなんて珍しいわね」

座って見ていると冷月が話かけてくる

「向こうも全力で戦ってきたのだ、当然の事だ」

「あら、全力を出していいか悩んでいたくせに、開きなおったの?」

「別にそんなんじゃない、それと本気を出してない」

「あら、それは相手への侮辱よ」

「…すまなかった」

「いいのよ、そよよりあのエクスティアって人、あなたに敵意向けているけど…負けないでよ」

「当たり前だ、俺を誰だと思っている」

「そうね、私もあなたの試合を見た事があるからわかるけど…やりすぎないでよね」

「わかっている…ただお前煽るのか抑えるのかどっちかにしろよ」

「あら、プラマイゼロよ、むしろないくらいに思ってもらわないとね」

「ったく、あらばっか言ってむちゃくちゃだな」

「あら、そうからしら?」

「あらそうですよ」

ここで観客が一斉にに湧き出す、なんだと思い見て見ると誰かがアニさんを打ち負かしたようだ

「へぇ、あの子も虎我に敵意剥き出しの子よね、可愛そうに虎我と戦えないまま負けるだなんて」

「あのアニさんを倒すなんて、相手は誰かな?」

「どうやら三年ね」

「なんでわかるんだ?」

「だって驚いているのが1年生なんだもん、2、3年生は当然とばかりの反応をしているしね」

なるほどな…瞬時に推測するなんて一体どんな観察力してるんだ、やはり侮れないな

「ほら、次はあなたの教え子よ」

ミリアさんが戦っている、相手は2年、だが今のミリアさんの相手ではないだろう

虎我の予想通り戦いはミリアが一方的に有利に進め楽々勝利した

「さすがに強いわね、指導者がいいからかな?」

「ミリアさんのセンスと努力によるものだ、俺はアドバイスしただけ」

「そのアドバイスが良かったのよ、もっと胸張りなさい」

「そう言うなって、俺授業あるからちょっと出るわ」

そう言うと教室に向かう

「授業ね…学校のイベントの用なものなのに変ね」

 

 

 

 

教室

「今日は子供の発育についてたっぷり教えてやるぞぉ!」

「お願いします」

大会があるというのに授業を受けしている虎我、豪竜先生の家庭科だ、次は本多先生の英語だ

大会と掛け持ちをして授業をしているので

ピンポンパンポーンと呼び出しのアナウンスが鳴り響く

「お、試合か、言ってこい」

「はい!」

元気よく教室から飛び出す虎我

(大会があるのに授業を受けたいだなんて変わっているな、まぁこっちは暇潰しになるからいいがな)

大会中は特にやることがないので暇な先生方は教えがいのある虎我にみっちり教え暇を潰していたりする

(暇になるし観戦でもするか)

 

 

 

 

 

「試合終了、勝者桜義虎我選手!!」

それからと言うも楽々勝ち進める虎我

「圧倒的強さです、これが男の強さなのでしょうか!!」

「いや、虎我が強いだけだと思いますけどね」

なんだかんだで勝ち進めてしまった、どこかで負けようと思ったがエクスティアさんとの約束もあるので負ける訳にはいかない、あと1戦であたる、それが準決勝というのが痛々しいが優勝しなければいいだけだ

さて、次の相手を見なければいけないので観客席に戻ろう、ここまで登ってきた相手だから楽しみである

「斎藤 一(さいとう はじめ)選手VS輪道院 想理(りんどういん そうり)選手!!」

輪道院か、確か六つの世界を表した体術を得意とする武の家系、その独特な体術は六道拳と呼ばれ独自の流派で名を轟かせた名門家である

「こりゃ輪道院の勝ちか?」

「さすがの一先輩でも所詮は普通の市民だからな、センスが違い過ぎるな」

「いやでも無名からここまで這い上がってきたんだからワンチャンあるかもよ」

「いやないだろう」

などと完全に輪道院が勝つと予想している生徒達

だが虎我は周りの言葉に流される事なく試合を見る

「お、やってるね」

ミリアさんが隣に座ってくる、包帯を見ると試合でした怪我を治してもらったのだな、やられはしたがいい結果を出したな

「試合お疲れ様、怪我大丈夫ですか?」

「うん、受け身はしっかり取ったからね、虎我もまだ試合あるけど頑張ってね」

「はい」

「話はかわりますけど、虎我はこの試合をどうみますか?」

「どうでしょうね、想理さんは強いですから」

「そうね、確かに強いし有名ですわ、でもあの一さんって人はただ者じゃないのですわ」

「そうなのですか?」

「ただの一般市民の出とは思えないほどの強さ、下(市民)が上(名家)を倒す事から下剋上の異名で有名ですから」

海外にも広まっているのか、それは凄いなーうんうん

「なにより恐ろしいのが、あなたと戦っている感じがしたのですわ」

「!?」

「戦う時はくれぐれも気をつけてください…まぁここで下剋上(勝つ事)が出来ればばの話ですけど」

確かにそうだ、どんな凄くても試合で勝った者が次と俺と戦うんだな

「あら、一先輩が抑れてますわね」

激しい攻撃のラッシュとここぞと決める必技で攻め追い詰めている、これは確かに厳しい戦況だ

「…どうしたの?虎我」

「ん?何がですか?」

「なんかソワソワしてない?足踏みしているし…どうしたの?」

足元を見ると靴の跡がくっきりと残っておりひび割れもしている、言われて気づく、俺としことが…だがソワソワせずにいられない、どうもハラハラしてしまう

(…手を抜いていな…)

「どうやら決まりのようね」

炎を纏った強烈な蹴り受け壁に激突し倒れる一

それを見た虎我は周りの事など気にせず立ち上がる

「なに手を抜いてるんだ斎藤!!」

そして大声で叫ぶ、それは声援というより罵声に近いものであった

「ちょと、虎」

ミリアも止めにはいるがおかまいなしに続ける

「そんな試合見せられちゃ先生怒っちゃうよ」

虎我の声を聞いた選手2人は一斉に視線を向ける

「これはこれは虎我さん…いくら私と戦いたくないからって口出しはやめてくれませんか?」

「だとよ、どうする斎藤?」

「そうですね…これは負ける訳にはいきませんよ!」

立ち上がりなにもなかったかのように埃を払い構える

「先生の顔に泥を塗る行為は断じて許しません、ですから覚悟してください!!」

「ふん、負け犬がこのままケリをつける!!」

「はあぁ!!」

先程まで圧倒されてた一が圧倒し始める、さっきまでの戦いが嘘のようである

「くっ、いままで手加減してなのね、気にいらない!!」

先程吹き飛ばした炎の蹴りを放つが掴まれ引き寄せると同時に殴り飛ばし壁を貫く

「ありがとうございました」

相手に向かって一礼をする、それを見て虎我は

「それでいい」

静かに座り腕を組む、いつもと明らかに雰囲気が違うので声をかけにくい

「虎我、今のって」

「先生、あれから私の成長をお見せしますので覚悟してください!!」

「楽しみにしている、合格点に達していんることを期待しているぞ」

「はい」

「はっはっはっ楽しくなってきたぜ」

虎我のおかげで大会の雰囲気ががらっと変わってしまった、本人は悪い事をしてしまったと思ったが特に後悔はしてない、なぜなら最高に嬉しいからだ

そんやこんやで試合が進みついにその時が来た!!

「おー、虎我の試合か」

「なんで本人がここにいるのよ」

目を閉じている虎我の近くに集まる鷹田と冷月、隣で座っているミリアに聞いてみると

「試合にむけて精神統一しているそうよ」

「へー、じゃあすげぇ強い相手なんだな、楽しみだな」

「そうね、それほど本気なのね」

「私にはよくわからないけど先生とかなんか言ってたわね」

「へー、先生ね~…わからん!」

「試合が始まればわかるわ」

そういい席に座る

「虎我選手VS一選手です!」

アナウンスと共に目を開け飛び上がりリングに着地する

「語る事はないな、斎藤」

「はい」

「ならば全力でかかってくるがいい!!」

「よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

つづく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。