最強を目指して   作:匿名希望ただの人

149 / 167
意外な事実

「…ここは?」

気がつくと室内ではなく薄暗い森に来ている

「ここが異世界か、あんまり地球と変わらないな」

「造りは基本的に一緒なのよ、違うとすれば」

龍我に説明をするルナ、そこへ一匹の見たことのない1つの頭に目が4つある2つの頭があるライオンのような不気味な獣が襲いかかってくる、が、頭を掴まれ地面に叩きつけ踏みつける

「住んでいる生き物が違うことね、しかも結構凶暴」

「…なるほど、お前も異世界で育ったから凶暴なのガハッ!?」

納得した龍我の顔面にドロップキックを食らわせ倒れる所に首に足を巻き腕を取りそのまま絞める

「私のどこが凶暴なのよ!」

「それが凶暴って言わないで何になるんじゃい!」

「凶暴になるのはあんたが原因でしょうがあぁ!!」

「何をしている、こんな所でじゃれている場合じゃないぞ」

「ちっ、次言ったら折るわよ」

不満気に手を離し立ち上がる

「もう何度もお前に折られてるから脅しにならねーよ」

「サブミッションが得意なお前が関節を極められるとはな、ルナさんすげぇな」

龍我は関節技を得意とし周囲からも認められていることを知っている虎我は意外そうに言う

「あいつは別だ、教えてくれた人が凄過ぎる」

「そうか、なら今度教わるだな」

「これが終われば戦わねぇから教わる意味なし、だから断る」

「戦わないか、そうだな」

「で、これからどこに行く為にどっちに行くの?」

冥がこれからの事を聞いてくる、今何をするべきなのかを明白させるのは大事なことである

「そうだな、シャアが置いてある支部近くに転送してみたのだが正直ここがどこなのか私にもわからない」

「じゃあどうするの?」

「場所を確認しなければならない、私達は飛べるが3人が飛べない」

「クックックッ……やっぱ足手纏いだ、置いてくるべきだったな」

「全く、これだから普通の人間は弱いのよ」

「普通の人間か…私にはそうは見えないがな」

「え?」

「ルナ、悪いがなるべく低く飛んで今の位置を教えてくれ」

「わかった」

「位置がわかったなら森を抜けれるよう誘導して教えてくれ」

「わかったわ」

そう言うとルナはフワッと浮かび上がり空を飛び道を案内する

「空を飛ぶか、すげぇな龍我」

歩いている最中に虎我が龍我に話かける

「あんな簡単に飛ばれるとな、俺達はまだ未熟って思い知らされるな」

「ほっとけ、あいつらは別格だ」

「ほぉ、負けず嫌いのお前が対抗心を燃やさないとは意外だ」

「この1年で俺は変わったんだ、昔の俺じゃなくなる為にな」

「そうか」

「けっ、聞くより見たらどうなんだ」

「その為の力じゃないんだ」

「人権侵害とかで訴えねぇからよ、俺が許可するぜ」

「人生に足を踏み入れる気はない、弟でもな」

「そうかよ」

「何ごちゃごちゃ訳分かんない事話てるのよ、さっさと歩き始めてなさいよ」

冥が言ってくる、飛べるばすぐに済むことなのにわざわざ歩くはめになっているからイライラしてるんだろう

「そーいうお前は龍那さんと楽しそうに話してるじゃねえか、おー?」

「別にいいでしょ」

「まぁこっちは珍しい光景見てるから別にええけどよ」

「なによ珍しい光景って」

「いやあの誰にでも攻撃的で基本的に自分の事は喋らんトゲトゲしまくってたお前がハキハキと喋っているそんな感じになるとは意外だなって思ってよ」

「う、うるさいわね!」

「ははは、照れちゃってさ~顔赤いぞ」

「ぶっ殺す」

「おっ、いつもに戻ったな良かった良かった」

「そう言えば龍我は冥とは小学生の時と知り合ったんだな」

龍那さんが聞いてくる

「そうですけど、どうしたんですか?」

「いや、冥はどんな関係なのかなと思ってな」

「今と変わりないですよ、今も昔も同じで俺とは喧嘩友達」

「喧嘩友達か…そうか、なら良かった」

「?どうしたんですか?」

「いや、別になんでもない…だが後でお前には色々聞きたい事がある」

「いいですよ、自分も聞いてみたいことありますから」

「そうか」

しばらく歩くと森を抜けルナが降りてくる

「出たのはいいけど、どうするの?」

「ルナ、近くに村はなかったのだな」

「なかったわ」

「ならしょうがない、時間はかかるかもしれないが歩いて近くの村へ向かう」

「場所はわかるんですか?」

「あぁ、ちょっと待っていろ」

カッと目を開く龍那

「あれ何してるの?」

龍我がルナに聞く

「鷹の目、普通じゃ見れない遠くにある場所を見れる技」

「へー、凄いな」

「……、ここから約11.3キロ、東東南の位置に街がある」

「10キロか、結構近くだな」

「敵が出るかもしれん、気を抜くな」

「はい」

いつ敵が現れ襲ってくるかわからない状況、気を緩めず引き締めあるく

結局襲われることなく街についたのだが

「なんじゃ、こりゃ」

龍我達が見たのは建物が燃え崩れ、拭きが散乱し血が飛び散り死体が転がっている悪臭が漂っている、街とは言えない荒れ果てている

「これはヒデェな」

「恐らく今回の侵略に反対し滅ぼされたのだろう」

「酷い事しやがんな、協力性とかねぇのかよ」

「言う事を聞かないから殺す、それだけだろ」

「それだけって、ありえねぇよ」

「私達の世界の人間だってそうだ、今の地球は国々が協力して1つにまとまっているが昔は殺し合っていたんだ、異世界で起こっても不思議な事ではない」

「………」

「ここじゃ休むにも休めない、場所を変えよう」

「場所を変えるって、どこに行くんですか」

「もう一度探る、今度は滅ぼされてないかよく見てな」

そう言うと再び鷹の目で世界を見渡し近くの街をさがす

「…よし、ここからすぐ近くだが小さな村がある」

「どーせまた滅ぼされているんじゃないの?」

「大丈夫だ、人の気配もあった」

「気配があるってことは敵かもしれないってことね」

「そうだ、油断するなよ」

「わかっているわ」

パアァン

ルナの背後から襲ってくる化け物、しかし顔面を殴られ破裂しそのまま倒れる

「このようにね」

「ちっ、敵か…」

どこから湧いて出てくる化け物達

だが

「クックックッ…本格的な戦争だな」

「でも、あまい兵力ね」

瞬く間に冥とルナに潰される

「俺達の出番は無いようだな」

「そのようだな」

「………」

「ん~、やっぱ故郷なだけあるわ、体が馴染む!動きやすいわ!」

「生まれも育ちもこの世界だったからな、私もだ」

この世界で生まれ生きた2人にとっては懐かしの土地でもある

「………」

「どうかしましたか、花川さん」

いつもより雰囲気が違う花川に違和感を感じる龍我

「……」

花川は黙ったままタバコを吸っているだけである

「さて行くぞ、道中にまた襲われるかもしれん」

「楽勝よ、こんなの準備運動にもらりゃしないわ」

「油断は決してするなよ」

余裕の2人に注意する龍那、その考え余裕が戦場では命取りになるということを多くの戦場に行き最前線を立ち上げたからこそ言える言葉である

「わかってますって」

「…ならいい」

「腹減ったな」

「昼飯の時間だからな、村につくまで辛抱しろ」

「へーへー、はぁ、食べれそうな獣いないかな」

「いればいいんだがな」

と、村まで歩いている道中に小型の肉食獣が集団で襲ってきたので返り討ちにし食料を調達することに成功する

あと少しで村につくので食事は後回しにされる

 

 

 

 

 

「ついたぞ」

山の麓にある小さな村、建物こそは少ないが

「おー、温泉郷か」

あちらこちらに温泉が設備されている、が誰も入っていない、そもそも外に人が出ていない

「ここならゆっくり出来るな」

「ついでに疲れが取れそうだわ」

「私はシャアに連絡を取る、しばらくここで休んでいろ」

そう言うと龍那は村の外に出て交信をするらしい

「入って疲れ取りましょ」

「温泉か、久々だな」

温泉を目の前にしてウキウキのルナと冥は入りに向かう

「……兄貴、ここって」

「あぁ…そうだよな」

「…………」

 

 

 

 

「誰もいないけど勝手に入っていいよね」

「そこに温泉があるんだ、入らないバカはいない」

勝手に建物の中に入り服を脱ぎ勝手に入る2人

「ふー、暖かいわ」

「でも人の気配がしないな」

「逃げしたんじゃないのか?」

「まさか、普通は田舎に逃げるものでしょ?」

「くっくっくっ、そうだな」

来てそうそう勝手に温泉に入って田舎と言う行動発言共に失礼極まりない2人

「まっ、これから騒がしくなるんだ、今はその方が静かでいいけどね」

「そうだな…大きい戦いに血が騒ぐわ」

「そんな事言って、負けるんじゃないわよ」

「誰にもの言ってんだ、お前こそ死ぬなよ」

「そっちこそ誰にもの言ってるのよ!」

「お前だよ、弱虫」

「なんですって!」

「やるのか、相手になってやるわよ」

「上等よ!!」

湯船に浸かりながら取っ組みあいを始める

いつ何時どこでも気にせずかわらずうるさい2人組

「お前ら、何をしているんだ」

そこへ龍那がやってくる

「見ればわかるでしょ、リラックスしているんだよ」

「遊びに来たんじゃない、話があるから上がれ」

「えぇ~」

「つべこべ言うな」

嫌々ながらも湯船から上がる2人、いつもならふざけるなよ!とか言って怒るのに、龍那を慕うからこれで収まったのだろう

で、今は村の広場に集まっている

「…龍我達はどうした?」

「食料調達しに行ったぞ」

ルナの質問にあっさり答える龍那

「…ここら辺の獣は強いわよ、あいつらだけで行かせて大丈夫なの?」

「大丈夫さ、あの3人はそんなに弱くはない」

「…ならいいけど」

「さて、あいつらが来る前にお前らにシャアからの報告を言う」

「シャアには全員無事に到着した、そして私達が今いる所は敵地に近いとのことだ」

「なるほど、そりゃ避難する訳だ」

人の気配がしない理由がよくわかったルナ

「ならこのまま殴り込むのか?」

「私達だけじゃ無理がある、話しかけて合った結果明日にはこの村に何名かと合流することになった」

「ただの増援って訳じゃなさそうね」

「そうだ、私達だけで敵地に乗り込む、目的は混乱させること」

「そのまま崩壊させればいいんじゃないか?」

「そう焦るな冥、戦争は喧嘩とは違う焦ったら負けだ」

「ちっ、めんどくさいな」

「攻めるのは本拠地だ、深く攻めるのは自殺行為」

「本拠地に攻めるのも自殺行為だと思うけどね」

「大丈夫だ、黎明を連れてくる」

「ぐっ…」

「…そのまま崩壊させるんじゃないのか?」

「ま、まぁ、そうなったらそうなったらだ」

「ユリアも来るの?」

「ユリアは能力的にも性格的にも戦闘向きじゃないからな、救護班にいる」

「なるほど」

「さて、私達は今日泊まれる所でも探すか」

「探すって、人居ないんだから適当に家で寝ればいいんじゃないの?」

「人が居ない?バカ言え、いるぞ」

「え?でも気配も気も感じられないよ」

「はぁ、今後のお前らが心配だ」

「なっ!?」

「ここの村の者は随分と腕が立つようだ、争いを避ける為に家の地下に隠れているだけだ」

「なるほどね~」

「よそ者の私達は嫌われる訳ね」

「手当たり次第に声をかける、それが一番だな」

と、これから戸を叩いて訪ねるが返事の1つもない

「参ったな、誰も出てこない」

「無理やり入るしかないわね」

「やってみろ、無駄に敵を増やすだけだ」

「建物全て回ったけどダメだったから、野宿?」

「最悪そうなるな」

「まっ、まだ村の中だけマシだな」

「温泉もあるしね」

「あいつらには申し訳ないが、そうなるな」

「ちゃんとご飯取ってきているかな?」

「死んでなきゃいいけど」

「ところで、行く途中で狩ってきた獣達はどうした?」

「あれだけじゃ足りないだろ」

「…まぁ、そうだな」

と、野宿を覚悟し夕飯の話をしていると

「何か、お困りのようですか?」

植物が入った籠を持った虹色の透明のような長いグラデーションがかかった髪を持つ和服姿の女性が話しかけてくる

「もしかして村人ですか?」

「そうですけど、何かありましたか?」

「実は泊まり先を探しているんですけどなかなか見つからなくて」

「まぁ、それは大変お困りのようですね」

「そうです困ってます」

「このままじゃ野宿です」

ぐいぐい言うルナと冥、結構必死だな

「私の所で宜しければ」

「お願いします!」

「おいお前らな、いい加減にしろ」

それには龍那も呆れ注意をする

「いいんですよ、困ったら助け合うのは当たり前ですから」

「しかし、まだ3人もいますし大人数になりますけど」

「広いですから大丈夫ですよ」

「でしたら、一晩お願いします」

「はい、お連れの方が来たら案内しますね」

「いえ、後で見つけ案内するので大丈夫です」

「そうですか、なら行きましょう」

「お願いします」

「荷物持ちますよ」

「まぁ、ありがとうございます」

村を歩き山を登り案内されるがまま歩くと大きな寺が見える

「ここが我が家です」

「お寺…ってことは僧侶?」

「はい、申し遅れました聖命(せいめい)と申します」

「聖命…漢字ね」

「珍しいわ」

「さぁ、どうぞお入りください」

「お邪魔します」

入ると広い畳部屋に案内される

「広いわ」

「何もないですけどゆっくりしてください、何かお困りがあれば言ってください」

そう言うと部屋から出る聖

「いい人はいるものね、うんうん」

「逆に怪しいがな」

「大丈夫だ、下心がある用には見えない」

「それじゃあ私、あいつらを連れて来るから」

腰をおろして早々に立ち上がるルナ

「そうだな、頼んだぞ」

「迷子になるなよ」

「大丈夫よ、行ってくる」

「さて、私達は休んでいようか」

「そうね、温泉に行っていい?」

「合流したらな」

「ちぇ」

 

 

 

 

 

「これだけあれば充分だろ」

凶暴そうな獣を担ぎ魚を作った籠一杯に入れ村を歩く3人

「だがよ、肉なんか持って行っていいのか?」

「俺達は食べなきゃいい話だろ」

「え~…」

「だから、大量に山菜を取ってきたんだろ」

「はぁ、まぁ別にいいか」

「………」

「あ、やっと来たわね」

広場で待っていたルナが3人を見るなり手を振る

「なんだ、待ってくれたのか?」

「泊まる先が見つかったからね、案内するわ」

「そうか、すまないな」

「いいのよ、それより大量じゃないどうしたの?」

「肩慣らしに戦ってたらこうなった」

「村人にも分けてあげるつもりさ」

「相変わらず善人だな兄貴はよ」

「お世話になるんだ、それぐらいしないとな」

「そりゃそうだな」

「失礼の無いようにしなさいよ」

「へーへー…ちょっと待てや」

「なにかしら」

「もしかして、この先の石段を登るのか?」

「そうだけど…どうしたの?」

「…どうする」

「ちょっとまずいな」

「なに話てるのよ、歩きなさい」

石段を登って行くと泊まる寺につく

「ここが泊まる所よ」

「へ、へー」

「こんな偶然あるとはな」

「………」

「さぁ、入ってご挨拶しないとね」

「あら、お連れさん?…」

「はい、ほら挨拶」

「まぁ、」

「おばあちゃん、お」

「おばあちゃんって、失礼でしょ!」

失礼な事を言う龍我の頭を掴み地面に叩きつけるルナ

「ぐっ、じゃあなんて言えばいいんだよ!」

「聖命さんでしょ!!」

「こんなに大きくなって、成長したわね」

虎我の前に行き微笑む聖命

「お久しぶりです、聖命さん」

「また会え嬉しいわ、虎我、龍我」

「…は?」

「まさか泊まる先が聖命さんのご自宅だなんて」

「そんなにかしこまらなくていいのよ」

「ですが」

「いつも通りおばあちゃんでいいわよ」

「じゃ、じゃあまたお世話になりますおばあちゃん」

「虎我、知り合い」

「あぁ、俺達のばあちゃんだ」

「…どういうこと?」

「詳しい事は中に入ってから話すから、まず龍我を放してやってくれないか」

「え、あぁそうね」

押さえつけている手を放すルナ

「こんなろ、いって~」

「花川さんも、遠慮しないで」

「!?…あぁ」

「ただいま~」

「虎我、ご飯の支度手伝ってくれるかしら?」

「わかりました」

「龍我、お連れの方にお茶を出して」

「わかった」

「花川さんは、いつもの部屋に行けばいるわ」

「…わかりました」

「あれ、花川さん何か繋がりが?」

「………」

 

 

 

「お茶です、どうぞごゆっくり」

「なんだ、急にかしこまって頭いかれたか?」

「うるさいわ、黙ってゆっくりしておけ!」

「訳を教えなさい龍我、急にばあちゃんだなんて」

説明を求めるルナ、色々とひっかかる所があるのだろう

「ばあちゃんはばあちゃんだろ、他に説明のしようがないわ」

「ばあちゃんって失礼でしょ!」

「お前な、失礼も何もよ」

「ばあちゃんに失礼もあるかよ」

「何かあったのか、ルナ」

「おかしいのよ、ここを我が家のように扱っているのよ」

「龍我、テーブルの用意してちょうだい」

「はい、喜んで!」

聖命に言われすぐに動く龍我

「ね?」

「…なるほどな」

「まさか、いや…でも…」

ここで何かに気づく龍那

「どうしたの?」

 

あら、虎我この獣達はどうしたの?

い、いや俺達以外の人達が食べるんだよ

冗談よ、あなた達は関係ないわ

いや、でも

いいのよ

あれ、テーブルの場所移動したの?無いぞ

あ、隣の部屋に置いてあるわ

わかった

「……まさか、だが本当だな」

「???」

「あ、そこどいてくれない?」

大きなテーブルを持ってくる龍我は真ん中に置き再びどっか行くと座布団を持って戻ってくる

「えっと、後は」

「おい、龍我」

「どうしたんですか龍那さん」

「お前、まさかとは思うが」

「龍我、人手が足りん手伝え!」

虎我から呼び出しの声が聞こえる

「あ、すみません後でお話を伺います」

「まて」

「はい?」

「料理なら私が手伝う」

「いやでも、やらせる訳には」

「夫の食事は妻がつくるものだ」

「ありがたいのですが、今は招かれているので遠慮してください」

そう言い台所へ戻る

「招かれている…か」

「…なんとなくわかってきたわ」

「私も」

「…………」

しばらくすると料理が運ばれてくる

「こんなおもてなししか出来ませんが、つくろいでください、それでは」

「あ、少しいいですか?」

部屋から出ようとする聖命を呼び止める龍那

「なんでしょう」

「いえ、まだ自己紹介をしていないと思いまして」

「自己紹介?いえ、泊まる相手の名前を聞くのはあまり宜しくないかと」

「ただの自己紹介ではありません、とても重要なことです」

「そうなのですか、じゃあお願いします」

「織田龍那と申し上げます」

「織田龍那さんですね、はい」

「龍我とは、お付き合いをさせて頂き結婚をすることになりました」

「!まぁ、龍我、本当なの?」

「ちょ、龍那さん」

「こんな素敵な人と、ちゃんと幸せにするのよ」

「わかっているよ」

「こんな孫ですが宜しくお願いします」

龍那に向かって正座をし深々と頭を下げる聖命

「はい」

「…孫?」

「どういうことよ」

「言ったろ、ばあちゃんだって」

「違うわ、なに、あんた異世界の人間だったの?」

「それな、俺もビックリよ今日知った」

「おばあちゃん、ここって異世界だったんですね」

虎我が聞いてみる

「ええそうよ」

「そうですか」

「そう言えば、地球に住んでいるんでしたよね」

「はい」

「ご両親は元気かしら?」

「いえ、今は離れ暮らしてまして」

「そう、偶には顔を見せてあげるのよ」

「そっかー、俺って異世界の血液が流れているのかー」

「厳蔵さんは地球生まれだからハーフになるわね」

「龍我が異世界の血が流れているだなんて、意外だわ」

「クックックッ、世界は面白いな」

「こうしちゃいられないわ、お父さん呼んでくるわね」

そういい部屋から出て行く

「そう言えば花川は?」

「奥の部屋に行ったっきり帰ってきてないな」

「なにやってんのやら」

「だあっはっはっはっはっ、帰ってきたか孫ぉ!!」

着物姿の巨漢の男がバンと襖を開け酒とかかれたひょうたんを持ち笑いながら入ってくる

「じいちゃん、全然変わってないな」

「おー、龍我!じいちゃんは好きかー?」

「あんまりだー!」

「だぁっはっはっはっはっ、そうかそうか」

「息子にも会えて孫にも会えていい日だな、ダッハハハハ」

「修羅の親っさん」

「おう、花川お前も遠慮せんとどんどん飲めや!」

花川にひょうたんを渡す男

「はい」

「じいちゃん、花川さんと知り合いか?」

「おう、俺の組の若頭だ」

「え、じゃあこの世界の住人」

「あ、違う世界に紛れこんだんだよ、お前の親父厳蔵と同じでよ」

「へー」

「数年一緒にいたが、もう俺の息子同然だ」

「………」

「おう、お連れの方気を楽にしてじゃんじゃん飲めや食えや遠慮はいらんぞ!」

席に座り手を合わせ静かに合掌をする、さすがは寺に住む人だ、ある程度のことはしている

「ですが、ここはお寺じゃ」

「僧侶なのは私、お父さんはそちらの世界でいう極道者です」

「極道…」

なんとなく今の花川の繋がりがわかってくる

「さぁ、遠慮なさらずに龍那さん」

「おぉ、あんたが龍那さんか?」

「はい、織田龍那です」

「こんな美しい人と結婚だなんてやるやないか龍我!」

「ほっとけ」

「そちらの連れは名前なんて言うんだ?」

「ルナ、鬼愛星月です」

「夜神冥」

「そうかそうか、鬼愛ルナと夜神冥か~…」

笑いながら酒を飲むが

「ん、鬼愛…ん~、んん~?」

顎に手をあてルナをじっと見る

「も、もしやワールドさんの倅!?」

「ワールド?」

「ワールドもとい鬼愛龍ノ助、それとコスモさんえっと確か地球での呼ばれ名は星華さんの1人娘では!?」

「あれ、お父さんとお母さんの知り合い?」

「知り合いもなにもワールドさんが二代目をやっている時に若頭をやっていた者です、今は三代目会長をやってます」

「まぁ、ワールドさんの、お父さんよく分かったわね」

「当たり前だ、百年前に見たからな、いやーまさかまた倅を見れるとはな、いい日だなー」

「じいちゃんが鬼塚さんと繋がっていたとはな~、世の中狭いもんだな」

「会ったことあるのか?」

何も知らない虎我がきく

「あぁ、もうお亡くなりになっているがすげぇ人だぜ」

「そうか、俺も会ってみたいな」

「会ったら最後、生き方が変わるぜ」

「なら余計楽しみだ」

「花川さんも繋がりありましたよね、剛和会で」

「あぁ」

「やっぱり入ったのか剛和会に、どうだった」

修羅が聞く、自分が憧れ尊敬する人が入り新たに築き上げた組だ、そして花川に入れとすすめたのだから気になるのは当然

「聞いていたのと違いまして、辞めさせていただきました」

「そうか、時代は流れ築き上げたモノも古び錆び朽ちていくもんだ…仕方ない」

「話聞くとお前ってすげぇ血ぃ流れているんだな」

ルナをじっと見る龍我、これがあの人達の娘か~改めて見るが別になんとも思わなかったりする

「そうよ、羨みなさいよね」

「はっ、居候が何を言う」

「なに!?」

「これはデカい借りだぞおい」

「なによ、恩着せがましいわね!」

「別にそうじゃねぇよ、俺はただ借りを返してるだけだ」

「借り?」

「なんでもねぇよ」

「花川、久々に花札でもやらねぇか?」

「はい」

「よっしゃ、飯食った後でやろうな」

「虎我はいいお相手見つかったの?」

「いえ、自分はあまり女性には好かれないので」

「そんなことしていると、龍我に先を越されちゃうわよ」

「先って、もう結婚が決まっているのに越せるのは難しいかと」

「早く結婚をしてご両親を安心させてるんだよ」

「は、はぁ」

「そうだぞ兄貴、また親父が孫見せろ!ってうるさうなるぞ」

「厳蔵がか?だっはははは、あいつらしいわな!」

「私達も曾孫が見たいわね」

「大丈夫ですよ、孫なら龍我が見せてくれますよ」

虎我の発言に思わず食べているもの吹き出す龍我

「まぁ、嬉しいわ」

「ゴホッ、ゴホ…てえめえ兄貴何言うんじゃ俺はまだ高校生だぞ」

「じゃあ3年後だな」

「ふっざけんなよ」

「龍我、私はお前がその気なら」

「そんな気はありません!」

「そうか、残念だ」

「なんで悲しい顔するんですか…まだ認められた訳じゃないのに、はぁ」

「知らない家での一泊がこうもなるとはね」

「くっくっくっ、運命の巡りあわせってやつだな」

 

 

 

 

 

 

 

つづく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。