最強を目指して   作:匿名希望ただの人

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番外編 26

ブオオオォォッ

バイクをかっとばしてすぐに姫隠につく

うーむ、ちょっと来るのが速過ぎたかな?

文化祭で忙しいのか、校門から出てくる生徒の人数が少ない、もしかして来ない方が良かったかな?

待っていてもしゃあないから入っていく、決して無礼者とかあつかましいとか図々しいしや輩とは思わないでくれ

 

 

生徒会室

勝手に校内に入り勝手に生徒会室に入る俺

「柚子~、迎えに来たぞ~」

「あら、随分早かったわね」

柚子がなんか作業所をしている、もしかして本当は遊ぶ余裕なんて無いんじゃないのか?

「早く行くって昨日言っただろ!」

「そうだったわね、でも今日かなり時間かかるのよ」

「そうかよ、じゃあ今日はとりやめかな?」

「大丈夫よ、夕ご飯の時間までは終わらすから」

「いらん気遣いだ、ってか学校のダチと飯食いに行けよ」

毎回毎回俺とつるんでいるからな、友達居ないようにしか見えない、とても不安だ…

「お金が無いのよ」

なるほどね…

「…じゃあ俺はお前のサイフってことか?」

「そんなことないわよ、龍我くんのご好意でしょ」

大半は強制みたいなものだけどな、でもまぁ賭け事でいつも惨敗して買ってるからな、悲しい限りです!

「…柚子、後何時後に終わる?」

「そうね、6時には終わらせたいわね」

「そうか」

今は4時40分だから、えーっと

「1時20分後よ」

すぐに言う柚子、くそさすがは天才だぜ

「…じゃあ暇だから先帰ってるわ」

「あら、ゆっくりしていっていいのよ」

柚子がとなりにある椅子を叩きながら言う

「ヤダよ、待つのきらいキライ嫌い!」

「子供ね、じゃあどうするの?」

「海行って今日の飯のたしにする」

「海って、ここからじゃ遠いわよ行って帰るだけで大半の時間終わっちゃうわ」

うん、確かにその通りである

「ちぇ、しょうがねぇから買うか」

あと少し経てば小麦も収穫出来るし野菜も沢山取れる、ここで海に潜れば食品はほぼゼロのようなものである、地産地消はまた今度だな

「買いにも行かなくていいからね」

「…俺、暇!」

「大丈夫よ、あと少ししたら他の役員の人来るから」

「いやいやいや、それって俺居ない方が良いよね」

「大丈夫よ、ほら島田先輩も居るから」

「いやいやいや関係無いから」

「遅れました」

生徒会室に入ってくる2人の女性、1人は島田とかいう者でもう1人は…知らんな

「あ」

おっと、俺を見て驚く島田…さんかな?

「一昨日は御世話になりました」

深々と頭を下げて感謝の言葉を言う島田

「…何か俺やったか?」

「また忘れている、ほらまた助けたでしょ?」

「あーそーいやそーだったな」

「3回も助けられて、私なんとお礼をしたらいいのか」

「3回?ライブと学校の2回じゃないの?」

柚子が聞いてくる

「誘拐されそうになった時も助けてくれました」

「なるほど」

「んなの忘れたわ」

「そんなものかしら?」

「くだらねぇことはすぐに忘れる人間なんでな」

「あら、じゃあ私の件も忘れた?」

「あれ忘れてたら今とお前との関係は無いぞ」

「覚えてもらって良かったわ」

「…で、仕事の邪魔っぺーから帰る、終わったら優香に連絡してくれや」

「全然邪魔にならないわよ、いいのよゆっくりして」

そう言って再び隣にある椅子を叩く

「なんで隣?」

「ここにあるからよ」

「………」

「ほら、そこに居ると邪魔になるから座って」

確かにここに居ると2人の生徒の邪魔になる、仕方がないのでその場からずれる

「ねぇ、この人が例の男なの?」

「そうです、私の恩人です」

「へー、連絡先とか交換したの?」

「そんなこと、図々しくて…怖くて出来ない」

「奥手ね、もっとガンガン行かなきゃ」

島田とその先輩が話している、そんな会話など龍我の耳に入るわけがない、というより

「龍我くん、文化祭のパンフレットだけど目を通してくれない?」

「はぁ?俺見たってわけわからんがな、そこの生徒に見せろや」

「先輩方はやることがあって、忙しいのよ」

「ちっ、わーったよ」

文化祭のパンフレットを受け取り目を通す、うん実に上手に仕上がっているたいしたものだアッパレアッパレ!

「…いいんじゃないのか?分かりやすいし、強いて言うならば出店のメニューとか値段とか書いた方がいいんじゃねぇか?」

「わかったわ、参考にさせてもらうわ」

お?俺の意見が通ったぞ!やったね!

「会長、1年Cクラスが暗幕を使いたいそうですが足りません」

使う個数をかかれた紙を渡す

「困ったわね、Cクラスは確かおばけ屋敷ですよね?」

「はい、でも演劇部と他のクラスで全部使っちゃいます」

「そうね…龍我くん、聖蘭高校に暗幕あるかしら?」

「あ?知らねぇな」

「あるんだったら貸してくれるか聞いてくれない?」

「別にいいが期待はするなよ」

泉さんに聞けばなんとかなるだろ、最悪手編みだな

「期待するわよ」

「するなって」

「柚子さん食堂係りから予算を上げてほしいとのことです」

女子生徒が紙を柚子に渡す、予算上げて欲しいとか図々しいな予算内に納めろよな

「ん~…特産品の魚を使ったオリジナル料理だからどうしても高くなっちゃうわね」

困った顔をする柚子に

「魚が安く欲しいなら知り合いの漁師に聞いておくぞ」

思わず言ってしまう、言わなきゃよかったかな?

「できるの?」

「天下の聖蘭農業科をなめるなよ!」

主に野原先生が農林水産全てに関わっている人だからな、俺にも多少ながらあてがある

「ちなみにどの位安くなりそう?」

その紙を俺に見せてくる、なになに魚30匹6000円ね

「ん~、30匹なら4000円はなんとかなるな、後野菜ならうちので良ければやるぞ」

野菜の総額の値段を見て、半額にまでなら出来ると言う

「んじゃあ今から連絡取ってみる」

「最初に暗幕のことを連絡してくれないかしら?」

「泉さんに明日話しておくからいい、今から行ってくる」

俺は学校を出てバイクにまたがる

交渉は電話じゃなくて直接面と面を向き合ってやるもの、知り合いの漁師はちょっと遠い所に住んでいるが6時前には戻ってこれる、だが事前に連絡はとるので電話ボックスに向かい連絡を取る

 

 

 

5時52分

「お待たせ~、ビッチリバッチリ交渉して来たぜ~」

生徒会室に入るとまだいる2人

「結果は?」

柚子が聞く

「条件付きで安くしてもらえることになった」

「条件は?」

「まず特産品だから更に知名度を上げるように宣伝して欲しいのと、おいしく作ること」

「まあ基本ね」

「…とまぁこんな感じだ、後野菜のけんだが全部無料になりそうだ」

「と言うと?」

「偶々その場に農家が居て話をしたら、形の悪いものでよけりゃ無料でくれるそうだ」

「それは助かるわ」

「だから、値段はこれよりも少し安くしてみんなに食べてもらえるようにしたら良いと思う」

「なるほど、明日言っておくわ」

「後品物は前日の朝学校に届けに来るから誰か1人7時には学校に居ないとダメだぞ」

「わかったわ」

「よし、じゃあ作業頑張るよ!」

「もう終わっているわ」

「…じゃあ帰るぞ!飯じゃ飯ぃ!」

「そうしたいけど島田先輩迎えを待っているそうなの」

「へー」

「だから私も待つのよ、心配だもん」

なるほど、そりぁあれだけ狙われたんだから心配するわな

「へー、っつーか人気アイドルなのに学校呑気に居ていいの?」

「事件続きでしたので事務所が休みをくれました」

なるほどね、あんなことありゃ休みたくなるわな

「…文化祭は?」

「半日だけなら出れます」

「へー」

勉学と仕事の両立、やっぱ大変なんだな

「そろそろ迎えが来ると思いますので先に帰ってください」

お?優しい事?言うね~?

「だってよ、柚子」

「心配だからこのまま待つわ」

「ここでいいのかな?」

ここで生徒会室に入ってくる黒のブレザー姿の黒髪の女性

俺は見てマズいと思った、なぜなら俺の知り合いだからである

「あ、美穂さん」

「あ、いたいた島田さん迎えに来たわ」

「あれ、学校はどうしたの?」

「終わっているよ」

「そうじゃなくて、ここから遠いでしょ?」

「うち、島田さんの事心配だから迎えに同行したの」

「そうなの?大丈夫なのに」

「3回も襲われたら心配になるわよ」

「そうよね」

「お腹すいたから帰りましょ?」

「はい、あ、その前に紹介します同じジュエリーのメンバーの光月美穂さんです」

と、俺達に紹介をしてくる

「酒気柚子です、よろくおねがいします」

「よろしく」

柚子と美穂は挨拶をかわす、俺はしたら一発地獄行きだからよやめてはやく帰るのを待つ

「あら?あなたは確か一昨日島田さんを助けた人ですよね」

俺を見て言う、ま、マズいぞ

「はい、そうです」

島田が答える

「…やっぱり似ているのよね」

「…その人はこんなガラガラ声ですか?」

今だせる全力の低い声でガラガラ声を出す、喉痛ぁ!

「龍我くん、ワザとよねそれ」

ぬおぉ、柚子!いらんこと言うなや!

「ジャガマジイ!ダァットレェイ!」

「リュウガ、そうよ龍我くん」

「はて、私はあなたとは初対面なんだけど」

やばいぞ、完全に気づかれている、いやまて、やっぱダメか

「…でも彼な堂道館に入って私の後輩になっているはずだからき人違いよね」

うーわ、こうやって言葉にしている時点でもうバレているな

「よくわからんが人違いだ、いくぞ柚子」バレているからわからないのでとりあえず一刻も速くこの場から逃げたい、さようなら

生徒会室から出ようとする俺の手を掴む美穂

「あれ~?どこに行くのかな?桜義龍我くん?」

「はへ?なんのことでしょうか?」

「美穂さん、もしかして知り合いですか?」

「ん~…そうみたいかな?」

「俺は知らん、人違いじゃ!」

俺はめげないぞ!最後まで貫いてやる

「もう怒ってないから、素直になっていいよ」

その言葉に

「本当?」

「本当よ」

「じゃあお久しぶりです美穂さん」

「昔みたいに美穂ちゃんでもいいのよ」

「か、勘弁してください」

「知り合いなの龍我くん?」

柚子が聞いてくる

「そうだな、姉の夜空ね…さんと知り合いだったからその経由で知り合った感じだな?」

「高校は堂道館に進学するって言ったからうち楽しみに待ってたのに、違う学校にいっちゃうなんて」

「あそこお金かかるじゃないですか?遠いし」

「龍我なら学費免除で行けたわよ」

「いや、俺バカですから」

「龍那先輩が推薦してくれるわよ」

「うぐっ、すみません…約束破ってしまって」

「いいよ、今龍我くんに会えたからうち嬉しいよ」

そう笑顔で言ってくれる、よかったー

「でも約束破ったことは破ったから今日ご飯ご馳走してよ」

「いやー、実は今日柚子と飯食うから」

「柚子さん?もしかして彼女さんですか?」

「違いますよ、彼女なんか作れませんよ」

「よかった、安心した」

「と、言うわけで俺これから寮に戻りますので、またいつかあい…」

「柚子さん、私達もご一緒出来ないでしょうか?」

「いいですよ、部屋狭いですけどそれでいいなら」

「島田さんも行きますか?」

「え?でも迷惑じゃ」

「全然迷惑なんてありませんよ」

…なんか、俺抜きでどんどん話が進んでいってるなーおい

「…おい、足はどうするんだよ」

「うち迎えの車で来てるから」

「………」

 

 

 

 

 

「ここが龍我が住んでいる寮ね、堂道館よりも小さいね」

「あんなとこと一緒にしないでください」

「姫隠も寮あればいいのにね」

「遠くから来る人少ないですから」

「静かに行くぞ、お2方は顔知れているから」

2人は確か芸能人とかいうやつだ、知れたら騒ぎになる

静かに俺の部屋に移動し入る

「狭いね」

「1人用ッスから」

「うちの所は共同、毎日賑やか」

「こっちも負けちゃいませんよ…というかいつから標準語に」

京都弁を使っていた時に関わりを持っていたので凄まじく変な感覚に襲われる

「お姉ちゃんが直しなさいって言われて、一緒に直したの」

「へー、なるほどね」

「島田さんに教えてもらっていたけど、もうバッチリよ!」

うん、やはり年を取ると変わるなだから変な気持ちになるのか

「…さて、飯作って食べて帰れ!」

ホットプレート、ボウル、ヘラなどの道具と小麦粉、キャベツなどの材料を出す

「せっかくだから関西の味を味わうか」

「いいけど、期待しないでください」

「材料はあるから頼むわ」

慣れた手つきで作り出す美穂

「上手ですね」

「…それじゃつまんないから、誰か作ろう」

てなわけで

「キャッ!?」

「島田さん…料理出来ないの?」

「す、すみません」

ひっくり返す時思いっきり上へ飛ばしプレートの上に着地したらグチャグチャになっている

「ダッハハハ、柚子お前人に言えたことかよ」

先ほど作った柚子の不恰好のお好み焼きをさす

「なんですって?」

「イデデデ、冗談だってば!」

腹を抱えて笑っている俺に関節をきめる、いたいよー

「じゃあ龍我くんひっくり返してみなさいよ」

「みとけー、うらっしゃい!」

お好み焼きは家でもなんども作ったことがあるので当然綺麗にひっくり返す俺、それを見て悔しい顔をする女子

「上手ね龍我」

「いやはや、あの時美穂さんに教えて貰ったですから」

「あの時が懐かしいわ、飛鳥さんは元気かしら」

「飛鳥ならここの学校にいますよ」

「え?本当に?」

「はい、呼びますか?」

「会いたいわ、お願いします」

「ちょいと待ってろ」

「久しぶり飛鳥さん」

「み、美穂さん…どうしてここに?」

驚いた顔をしている飛鳥、彼女もまたもう逢うことは無いと思っていたのであろう

「飛鳥さんも龍我と一緒に来てくれると思ってたのに、悲しいわ」

「僕、強くありませんですし自分の身の丈にあった事したいんで」

「だったら尚更よ、入れば更に伸びたのに」

「…美穂さん、俺達は戦い好きで好んで戦う人間じゃないんですよ、そんな人間が入ってもすぐにやめますよ」

「それもそうか…でも一緒に修行したかったな」

残念がる美穂、すみません

「今度こそ、えい!」

今度は綺麗にひっくり返す島田

「やった!」

「うおぉ!?綺麗にひっくり返したな、やったなー!」

「はい!」

喜ぶ俺と島田を見て

「変わってないわね、龍我」

「やはりそう思いましたか?」

「ええ私の知っている龍我のまま、飛鳥さんもだけど」

「え?そうですか?私は随分かわったと思うんですけど」

「そんなことないわ、成長しているけど飛鳥さんのいいところはちゃんと残っているわ」

「そうなんですかね?」

「うまいなー、飛鳥も食べろよ無くなるぞー」

沢山食べる龍我、私もきっと龍我くんと一緒でいい所だけ変わってなのだろう

「え、あ、はい」

「美味しいわ、今度たこ焼きやってみたいわ」

「残念だがたこ焼き機ありましぇん」

「あら意外、あなたの事だからたい焼き機もあると思っていたわ」

「ねぇよ!どんな部屋だ!」

…とは言っても実家にはあったりするんだよね

「アイドル活動大変なんですか?」

「大変よ、でもそれだけやり甲斐のある仕事よ」

「女子なら一度はアイドルに憧れますよ」

「飛鳥さんも可愛いからなれるわよ」

「そ、そういうハデなことは苦手で…」

「飛鳥さんらしいわ」

「島田~…さん、俺のクラスの男子共全員ファンなんだよね」

「そうななんですか、嬉しいです」

「でさー、何かメッセージ的なものを与えたいんだよね」

「ビデオメッセージですか?」

「まあそうなるな、お願いしてもいいですか?」

「はい、わかりました」

俺は物入れからビデオカメラを取り出す

「それ買うならケータイ買いなさいよね」

「これは貰いもんだからいーの!」

ビデオカメラを使い取って貰う、とは言ってもF男子共なんか知らないから内容はありきたりである、明日見せてやろう多分喜ぶはず

「……これでいいのかな?」

「美穂さん島田さんありがとうございます」

ちゃんとお礼の言葉を言いしまう

「それじゃあ私達そろそろ行かないとマズいから、またね」

「なんだ、もう帰るんスか?」

楽しい時間とはすぐに終わるものだな、帰る支度をする2人、その前に言わなきゃいけないことがある

「あの~…美穂さん」

「どうしたの?」

「その~…なんと言いますか、僕の存在を言わないで欲しいんですが~…」

「そうね~…」

「お願いします、この通りです」

頭を下げ必死にお願いをする、こればっかしはシャレにならない

「ん~…いいよ、言わないよ」

やった!

「ありがとうございます」

「もう私達とは違う道を進んでいるみたいだしね、だから安心して学校生活を送ってね」

「はい!」

「じゃあね」

「お邪魔しました」

「あ、そうそう龍我さん飛鳥さん、近々堂道館が侵略してくるかもしれないから頑張ってね」

「…どういうことですか?」

「侵略するって…」

「3年生が全高校制覇を手土産に堂道館大学に進学するそうよ、今関西は全部制覇して残るは関東らしいわ」

「へー、わかりました」

「ど、どうしよう」

「それじゃ」

「柚子さん、明日学校にこれませんけどすみません」

「大丈夫です、先輩を推薦したのは私ですからそれぐらいは承知の上です」

「すみません、できの悪い先輩で…」

「お仕事頑張ってください」

「はい」

部屋を出て帰る2人、さてお開きにするか

「柚子送るぞ」

「あら?泊まってもいいのよ」

「明日学校じゃろうがい、片付けは俺やるから、飛鳥は帰っていいよ」

「何も出来なくてごめんなさい」

「…別にそういうわけじゃないぞ、もう時間遅いからさ…いくぞ柚子」

「はいはい、じゃあね飛鳥さんおやすみ」

「おやすみなさい柚子さん」

飛鳥と別れ柚子を送る、今日はいろいろとやったな~

 

 

 

 

次の日

学校

1-F教室

「ふぁ~、ダリィぜ」

あくびをしながらトボトボ歩き教室を入る、いつも通りの光景である

「おー龍我」

鬼豪がやってくる、そういや昨日来なかったな…まぁいいか

「おっ、そうだ!勇、お前に見せたいもんがあるんだよ!」

ここで思いだすあのビデオのことを、まず最初に勇に見せよう、この反応を見てどうするか考えしよう

「なんだ、見せたいものって」

「これじゃこれ!」

俺はビデオカメラを取り出し昨日撮った映像を見せる

「こっ…これは!?」

映像を見て固まる勇、やっぱりなー

「………龍我」

映像を見終わると俺の名前を呼ぶ、どうしたの?

「色々聞きたいけど、まずこれお前部屋で撮ったのか?」

「そうだよ」

「…いつ撮った?」

「昨日?一緒にお好み焼き食べた」

「………」

それを聞くと無言でこちらを見てくる、それはそれは凄まじい憎悪がこもった顔、恐ろしい

「っざけんな!なんでテメェだけこんないい経験できるんだよぉ!」

俺に近づき短ランを掴み揺らし声を上げる

「美穂さんとはやっぱり知り合いでさ」

「嘘つけ、信じられるか!お前拉致ったのか!?」

「嘘じゃねぇよ、飛鳥も知ってるから後で聞きな」

「くそっ、嫌みか自慢かちくしょう」

「いや、喜ぶかな?って思ったんだけど」

「嬉しいよ、嬉しいけど…できるなら生で会いたかった!会話したかった!」

まぁ、そうだな

「確か島田さんは姫隠の文化祭で半日出るとか言っていたような」

「なに!?」

「ってか姫隠行けば会えるやろ?」

「ファンの間ではタブーなんだよ!」

なるほどね、俺は関係ないから別にいいか

「そういやお前、女優の一ノ瀬 涼風(いちのせ すずか)とも知り合いだったよな」

鬼豪が言ってくる

「知り合いっつーか話したことあるだけだよ」

「……お前って顔広いよな」

「そんなことねぇよ、でもいろいろ首突っ込んでるからかな?」

よく事件事故に巻き込まれ突っ込み顔見知りが増えていく、ただそれだけである

「今度サイン貰ってくれよ、俺ファンなんだよ」

「無理に決まってるだろうがい!」

「ちっ、つかえん」

普通に無理だろ、連絡先も知らんてのに、その前に女優ってあの時知らなかったもん

「つかえんで結構だ」

そんな会話をしつつも俺は昨日美穂さんが言った堂道館の侵略について考えてしまう、一体何をやるのだろうか

そんな事を考えていたら昼休みになった

「はー飯だ飯」

教室で席を並べ飯を食べるいつのもの4人

「…なんか騒がしいな」

「気のせいだろ?」

「いつも通りだ」

「………」

ガラガラ

「よぉ龍我、遊びに来たぜ」

いきなり教室に入ってくる似た顔をもつ2人の男

「久しぶりだな、龍我…と鬼豪もな」

「ちっ、誰かと思えば海陸兄弟か」

「海陸兄弟?」

「まさか、あの五乙女(さおとめ)海王(かいおう)と陸王(りくおう)か」

聞いて驚くタイチと勇、それほど有名人なんかって?有名も有名、超有名人

なぜそんなに有名かと言うと、中学時代にここら辺の中学校全部敵に回し戦い勝ち支配下に置き県を制覇し全国制覇を成し遂げようとした兄弟(双子)である

「…で、お前らが何の用なんだ?」

「お前ら、堂道館って知っているか」

「堂道館…」

陸王が言った言葉に全員反応する、それもそうか、戦闘に特化した唯一の高校で最強と最も名高い高校である

「経緯は知らないが全国を制覇しようと活動してやがる、関西は全て制覇したらしい」

「次は俺達のこの地域を狙うそうだ」

「ここがか?」

「それに対抗すべく、俺達は協力をしようじゃないか」

「ほー、お前らからそんな言葉出るとはな、意外だ」

いぜんこいつらに協力を願いした時はなかなか飲み込んでくれなかったのに今回ははやいな

「陸王、何かあったのか?」

「兄貴、恵華さんがこの侵略で怖い思いをさせたくないから張り切っているんだよ」

「あぁ、なるほどね」

海王は恵華ちゃんを見て一目惚れ、そこからは常に思っているそうだ

「相変わらずバカな兄貴だせ…まっ、付き合う俺も俺だがな」

「お前は恋しないのかよ」

「兄貴と一緒にするな、俺は違うぞ」

「へーへー、まぁ座れや…ってか学校は?」

「今昼休みだ」

「そうだな」

「で、堂道館が攻めてくるから倒すと?」

鬼豪が海王と話している

「そうだ」

「となると、腕の立つ兵力がいるな…それも大人数」

「相手は戦いのプロだ、生半可じゃいダメだ」

「お前らは誰に声かけた?」

「お前以外の四天王全員には声かけた」

「ほえ~、そうかいそうかい」

「お前らから行動に移すとは珍しいな」

「だから言ったろ、兄貴は恵華に格好いい所見せたいんだって」

「んだよ、結局は女かよ」

「まっ、女の前で格好良い所見せたくなるのは男の性だよな」

俺も黎明先輩の前で格好良い所見せようと頑張ったもんな

「で、何人集まりそうだ?」

「さぁな、なんせ相手はあの堂道館だ聞くだけで戦意が消えるだろうな」

陸王の言う通り相手は全校生徒全員が戦いのプロ、喧嘩とは違う

「根性無いなー」

「無理も無い、あそこは能力者もいる無くなって当然だ」

海王が言う、そりゃ一方的にボコボコにされる戦いは進んでやりたくない

「人数は期待出来ないか…」

「人数に頼るとかお前らバカ?いつも通り俺達だけでやりゃいいんだよ」

俺がそう言うと

「はぁ!?バカはテメェだ」

「それは自殺行為だ」

「結果は見えている」

「勝ち負けじゃねぇだろ、何十何百人相手に1人で挑んで勝っても向こうは何を得られるんだって話だ…その前に、1つの学校ぐらい俺1人で充分すぎておつりでるわ!」

「言うな龍我、だがいくらなんでも」

「はー、テメェら俺にやられてからネガティブ思考になったのか?負け犬コース一直線だぞ」

「なっ!?」

「いつものお前らなら2人で真っ先に戦いを挑んだろ?」

俺の知っている五乙女兄弟はこんなんじゃない、たった2人で全国を狙おうとした猛者だ、数の暴力で目指している堂道館とは違う

「…そうだったな」

「ちっ…恵華さんの安全面を考えすぎて俺を見失っていたか」

好きな人を思って自分を見失うか、恋とは恐ろしいものだな、おー怖い怖い

「さて、覚悟は戻ったとして…」

「勝つ為にはやはり人数か」

「総力戦は分が悪い、代表戦に持ち込むか?」

「なんとも言えないな」

どちらにせよ苦戦は強いられる、難しい話だ

「一応聞くが、お前らは何人集められそうだ?」

「俺と龍我…勇とタイチも参加するか?」

「するかバカ!」

「さすがに勘弁してほしい」

ん~、やっぱりこの反応か

「…こんな感じだ」

「気にするな、期待はしてなかった」

「普通の学校だからな、仕方ない」

クラス戦争というものがある時点で普通の学校って訳じゃないんだがな、こういう時になるとさすがのF男子を含む聖蘭高校生徒も戦えないか

「磐城とかはどうだ?あいつ能力者だろ?」

タイチが言う

「磐城…確か岩石だったな」

「石じゃ防げないぞ」

「それ以前に参加しないだろ?」

あいつはああ見えて優しいから喧嘩沙汰は好意にやらない、まぁ無理だろう

「飛鳥は出るからいいとして…んー」

「氷堂はどうだ?」

「ダァメだっ!!」

「…どうした急に?」

「あいつは暑いのダメだから戦力にならんしあいつにはこういう道を知らないでほしい!」

「んだお前、自分はこっちの方につれこもうとしたくせに」

「あれは違う!」

あれは理由のある正々堂々とした真剣勝負、こんな喧嘩とは違う

「なんだそりゃ、まぁ別にいいがよ」

「集まって100人いくかいかないかだ」

「チームには当たったのか?」

「当たらねぇよ、今縄張り争い激しいとかいう話だ、下手に集めて刺激したら街の治安が悪くなる」

なるほど、意外に考えているな

「で、いつ来るんだ?堂道館は?」

「挑戦状では今月末だ」

今月末ね、結構時間あるじゃん

「…ちなみにその挑戦状ってお前んとこの学校だけ配られたのか?」

海王が持っている挑戦状、もしそうならその学校だけで戦えよな!

「いや、主だった高校には出しているそうだ」

…ってことは聖蘭は眼中に無いと

「なめやがって…ボコボコにしてやる」

それには鬼豪も怒りを燃やす

「ってことだ、今週末にまた来る…それまでに出来るだけ人数を集めてくれ」

「じゃあな、恵華さんによろしく言ってくれよ」

「言うかストーカー野郎!」

「ストーカーじゃねぇ!」

海王と陸王が教室から出ていく

「は~…めんどくさいことになってきたな」

「…本当に戦うのか?」

「あ?」

「あの堂道館だぜ?」

タイチが改めて聞く、確かに戦いをキホンとした唯一無二の学校で全国最強の高校と名高い、それを相手にするのだから誰だって心配する

「支配下なんざまっぴらごめんだ」

「そーそー、そもそも学校の名前借りなきゃ戦えねぇバカなんざぁ余裕だ!」

まだ学校名を名乗らず戦いに明け暮れた五乙女兄弟の方が良い、まあ俺が倒して止めたんだけどね!

「相手は戦いのプロだ、闇雲に戦う訳じゃない何か作戦はあるだろうな」

勇が言う、そりゃそうだろう

「とりあえず人数集めだな」

「いいんじゃないのか?先輩方も強いし」

タイチが言う、確かに先輩は強い…だが

「ダメだ」

「え?どうしてだ?」

「強いっつーても仮の能力を使って強いだからだ、フィールド出れはただの人間だ」

今回はクラス戦争ではない、つまり

「役に立たないと」

「その通りだ」

「なるほどな」

「集まっても5人か」

「ん?5人?」

鬼豪の言葉に首を傾げる2人

「俺と龍我、飛鳥、あとは」

「俺は出ないぞ!」

「その通りだ!」

「んだよ、つれねえな」

「やっぱりカウントしてあったな!」

「流石に戦いたくない」

「ちっ、ヘタレが…狂狼が聞いて呆れるぜ」

「昔はな」

「牙が取れ落ち着いてポチになったか」

「………」

おっ?黙り込んだぞ、さすがに効いたか?

「俺はやらねぇぞ、絶対にな」

…プライドを汚されても拒否するとはよほどやりたくないのだろう

「そうか…期待はしてなかったさ」

「それでいい」

「鬼豪、人数集めるなんてらしくねぇだろ」

「なに!?」

「相手が誰でどんな人数でもたった1人で戦う、それがお前だろ」

「…そうだな」

「じゃ、飛鳥に話をしてくら」

「はぁ!?お前こそ人数に頼って自信無いのか?」

「ちげぇよ、ちょいと事情があるんだよ」

「なんだそれ、事情ってなんだよ事情って」

「うるせっ!」

飛鳥も知っているとは思うが話をしなくてはな、おっと昼休みが終わる、なので放課後にしよう

 

 

 

 

 

「うらぁ!!」

ボッゴオォ

「いりゃあ!」

ドゴッ

「ちっ」

「くっ」

放課後、飛鳥に話を通した後グランドで鬼豪と戦っている、それは実戦を積む為とただ暴れたいからである

「死ねや!オラアァ!!」

両手を突き出し爆破を放つ

威力はグランドを覆い燃やすほど

「うおらあ!」

爆破に耐え前に前進し殴りにかかる、それを一歩後ろへさがりよけ

「ブレイクマシンガン」

ボゴゴゴゴゴッ

両手から連続で爆発を出すがそれでも前に出てくる龍我

「死ねやぁ!」

「うおらぁ!」

龍我の顔面に手を出す鬼豪と鬼豪の顔面を殴ろうとする龍我

「!?」

その間に斬撃波が通る、それに2人は気づき距離をあける

「ストップ、やり過ぎだよ体壊れちゃうよ」

止めたのは飛鳥、あの状況を止めなければ2人共大きな怪我をしたであろう

「ちっ、とんでもねぇタフガイだ…」

「手加減してるからだろーが」

「普通ならこれぐらいでやられるんだよ」

「堂道館は自分から望んで喧嘩売っているんだ…最悪殺せ」

「当たり前だ!」

「そ、それはダメなんじゃないかな?」

「相手も俺らを殺しに来るぜ」

「だろうな」

「でもそれはマズいよ」

「まぁ、そうだがよ」

「ってか堂道館ってそんなに強いのか?」

鬼豪が聞いてくる、確かになそこは気になるな

「七星大会、武帝大会では常に優勝しているからね折り紙付きだよ」

「かっ、あんなチンケな大会に優勝してもな」

「チンケって…凄い大会なんだよ」

「知っているさ、だが生憎腕試しでやって優勝したバカを知ってるんでな」

「…なんだ、そのシチセー大会とブデー大会って?」

何も知らない鬼豪、ダメなやつだ

「七星大会は武器を使って戦う大会」

「へー、有名なのか?」

「そうですね、全国で一番レベルが高くて武器の祭典とも言われるぐらいだからね」

「なるほど」

「武帝大会は素手だけで戦う大会、これも七星大会と一緒で有名だよ」

「へー」

知らない鬼豪に説明をする飛鳥、本人は適当に聞いているだけだけど

「じゃあ倒せば俺達が最強になれるのか」

「ん~…どうかな、でも凄いことだよ」

「オッシャァ、勝ってやろうじゃねぇか!」

「そんなに甘く見ない方がいいですよ」

「知るか!余裕だこんなもん!」

「余裕って…」

「あいつはアレでいいんだよ、それよりお前は大丈夫なのか?」

「それはその…心配です」

「なら修行修行!」

「そうですね」

「おー、いたいた龍我!」

ここで海王と陸王がやってくる、んだよよく来るなー

「おろ?どうしてここが分かった?」

「磐城が教えてくれた」

「あなた達とは中学の付き合いだからな、で…また喧嘩か?」

「まあそうだな、強くなる為の」

陸王が言う

「修行ですか…何かあるんか?」

「…お前らこいつに言わなかったのか?」

「そうだよ、なんで?」

「…はぁ、戦力は少しでも欲しいって言っただろ」

「そうか?」

「…何かあるのか?」

「実はですね」

ここで飛鳥が説明にはる入り

「…なるほど、堂道館と戦うのか」

「そうです」

「それで…俺にどうしろと?」

「そうだな、一緒に戦ってくれるなら心強い、やらないなら今すぐにどっか行けだ」

「いくら全国制覇の為とはいえ学校全体で荒らすのは許せない…俺も参加させてもらおうか」

おっ?意外な返事だ、まぁ嬉しいからいいか

「そうか…嬉しいぜ」

「なら早速だが俺の相手になれよ」

陸王が言う、恐らくだがこいつらも俺らと戦う為に来たと見た

「いいぜ、相手になろう」

「じゃあ俺は」

「飛鳥、相手になってやれよ」

相手を考えている海王に言う

「この女がか?冗談よせよ」

ひ弱な女性にしか見えない、だが戦えばわかる

「まあいい、お前も出るなら実力試ししてやるよ」

「よ、よろしくお願いします」

「こいよ磐城」

「あの時の借りを返させておらう」

こうしてそれぞれ戦うのであった

 

 

 

つづく


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