最強を目指して   作:匿名希望ただの人

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番外編 21

 

 

赤い月夜、建物燃えモノは壊れ人の残骸が転がる廃都市に笑いかながら歩く者

その者は己の欲望に従い目にかかるもの全てを壊し殺していく、その度に快楽を得てそれを喜び狂う

「ハーッハッハッハッハッアーッハッハッハッアハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

 

「………」

気がつくと俺はベッドの上に横になっている

あれ、ここはどこだ?

俺に何が起きたかを振り返る、確かクラス戦争があって、なんか強い奴と戦ってピンチになって

ドックン

「うぐっ!?」

考えていくと頭が割れるような痛みが走る

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ壊せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ壊せ殺せ

な、なんだこの声は……!?

頭の中で鳴り響く声、ここで俺はハッキリ思い出した、アレを使ったことを

クソがぁ、これが本当の俺だというのか、俺の欲望だというのか…

声を聞いていくと体から力が漲る、体が破裂しそうだ

そうだ、あれになるとこの現象が起きるんだ

壊したい殺したい犯したい滅ぼしたい戦いたいとい俺がそれを望んでいる欲している少しでも気を緩めれば理性が飛び何しでかすか分からない、どうすればいい

何を迷う、欲に従い本能のままに暴れ狂え、我慢することなどない

誰かの声が俺の脳裏に響く

ふざけんな、俺はんな男じゃねぇ!!

だが、体が疼く破壊したいぶっ殺したい血を飲みたい戦いたい快楽に埋もれたいぁぁぁああああああああ!!

全身に力を入れ抑える、それでも俺の欲を抑えきれるはずがない

前はやったな、山に入り木々石岩、熊、猪相手に自分の思うがままに行動した、あの説きの快楽…思い出すだけでも行動に移したくなる

「ぅぅ…ぅぉぉぉお」

とうとう我慢することが出来なくなりプツンと理性が消え声を上げる

ガバッ

その時布団から手が出てきて俺の口を押さえ引き込む

「!?」

布団の中に入れられると何か柔らかいモノに当たる、温かくて優しい安らぎを感じる

「…………」

目を開け見てみると黎明先輩が俺を抱きしめているではないか

「ぷはっ、せ、せせ先輩!?」

俺は起き布団から出る

起きた?

黎明先輩は眠い顔をしながらペンを持ち紙に書きみせてくる

「起きたじゃないですよ!」

声大きい、今2時、迷惑

おっと、もうそんな時間か、声を小さくして

「なんでここに!?ってかここどこ?」

龍我の部屋、私は看病した

あーなるほどここは俺の部屋ね、よく見ると見慣れたものがある、そんな部屋に黎明先輩がわざわざ看病してくれたのか嬉しいな…ってそうじゃない

「なんで一緒に寝てるんですか!?」

龍我暴れるから

「暴れるって…」

落ち着いた?

「落ち着いたって…あれ?」

そう言えばさっきまで聞こえた殺せ壊せの声が止み欲望が消えた、残っているのは力の漲りぐらい

私は暴れないように抑えるの

「いや、だからって同じベッドで寝るのはよろしくないんじゃないんですか?」

なんで?

「なんでって……」

ここで一瞬らしくないことを考える、忘れろ、よし

「まー、なんでもないっす」

とりあえずこの場所から離れる為にベッドから降りる、んで外に出て公園にでも野宿するか

どこへ行くの?

「落ち着く為に散歩ですよ、明日の朝には戻るんで」

ダメ

「何がスか?」

私から離れないで

「…何言ってるんですか?」

俺はベッドから立ち上がる、すると頭が裂けるようは激しい痛みと再び殺せ壊せと囁いてくる

「うぐっ!?」

俺はたまらず頭を抱えうずくまる

クソが、またかよぉ!!

「ぅぅががが」

再び声を荒上げようとした時に黎明が口を押さえベッドの上に上げる、すると痛みと声が消える

「っはぁ…っはぁ…」

言ったでしょ?

「…先輩、何者ですか?」

桜義黎明

「いやそういうことじゃ…はぁ」

どうしたの?

「なんでもないです」

よかった

うむ、俺もよかったぜ

龍我苦しそうだったけど、何かあったの?

「いえ、なんと言いますか、信じられないかもしれませんが」

言ってみて

「…頭の中で殺せ壊せって頭痛がするような声で言ってくるんですよ、それにともなって俺自身もそれを望み力湧いて出てくるんですよ、正直自分が何するか怖い」

わかる

「え?」

私もそういう衝動に駆られる

「…と、言いますと?」

私も全てを壊したくなるの

…あれ、これは俺と同じ悩み?を持つ人間なのか?いやいやあり得ない

でもこれが私の桜義家の運命

「桜義家?」

私と同じ血が流れている可能性がある

なるほど、そういや名字一緒だからそうかもな、うん

「…じゃあ経験者の先輩として後輩の私から質問させていただいてよろしいですか?」

なに?

「再び衝動に駆られたらどう対処すればいいですか?」

こうするの

紙を見せた瞬間俺の手を取り引き寄せ抱きしめる

「な、なにするんですか!?」

抱きしめると落ち着く

「だ、抱きしめるって…」

肌と肌が触れ心臓の鼓動を聞くと落ち着き安心できる

なるほど、確かに今心から安心してる

信頼出来る人、好きな人だと効果高い

なるほど、よくわかる

だからこうやってギュッとする

そう言って強く抱きしめる

あぁ、なんだろうかこの心地よさ安心できる

その安心さと温かさ、優しさに気がつけば寝てしまう

おやすみ

 

 

 

 

「……ん?」

朝の光に照らされ起きる俺、隣をふとみると黎明先輩が寝ている

俺は起こさないように起きようとするが、ここで昨日のことを思い出す、ベッドから降りると再び狂気の衝動に駆けられると

迂闊に行動は取れない、とりあえず時計をみる、9:20………うん遅刻だ

「…先輩、朝ッスよ起きましょう」

肩を優しく触り起こす

目を覚ますとペンと紙を持ち書き見せる、なになに、今日1日私のそばに居る…なるほど

「…ベッドから降りるのは?」

その質問に首を横に振る

「…学校は」

これも首横に振る、つまり行かないということ

「……え?じゃあ今日1日先輩とつきっきりですか」

この質問には首縦振る

おー、嬉しいことなのかいや嬉しい、超嬉しい!超絶嬉しい!!超超絶怒涛嬉しい!!!

黎明先輩を目を閉じ横になり寝ようとする

「…先輩、せめて起きましょうよ」

すると紙を見せてくる、眠たい

「…自分、眠たくありまおわ!?」

手を取られ抱きしめられる、黎明先輩はそのまま寝ている、俺もその安心快楽に負け再び深い眠りにつく

 

 

ピンポーン

「ん?」

インターホンの音で目が覚める俺

起き上がり頭がぼーっとする中取りあえず時計を見ると4:20分

「………」

丸1日寝ていたのか…俺

俺の隣ですやすやと眠っている黎明先輩、なかなかのつわものであるな

丸1日寝ていたことは食事も筋トレもしていないということ、それマズい!日々鍛錬がモットーの俺にとっては絶対にやってはいけないことである

ここは静かにベッドから降りてまず飯を食べよう、すっごい腹減ってるもん

降りようとした所でまた離れると目覚めるのでは!?という事を思い出し踏みとどまる

選択は2つ、1つは大丈夫だろうと思い離れる、1つは先輩を起こす

ど、どうしよう

悩む俺、自分を取るか、先輩を取るか…ん~…先輩

俺は布団を先輩にかけ、ギリギリまで距離をあけて横になる

ピンポーン

…そういや外に誰かいるんだな

まっ、ほっとけばその内どっか行くだろう

俺は目を閉じて暇を潰す、あーもう一回寝ないかな~

「………」

ガバッと起き上がる黎明先輩

「あ、おはようございます先輩」

おはよう

「よく寝ましたね」

今何時

「4:15分ですね」

朝?

「夕方です」

お腹すいた

「自分もです」

何かある?

「下に食堂ありますよ」

行こう

「え、でも行っていいんですか?」

何かあるの?

「ほら、今日の夜みたいに衝動に襲われたりするんじゃないんですか?」

もう治まっていると思うよ

「そうなんですか?」

恐る恐るベッドから降り離れる…うん、なんともない

「あ、本当ですね」

ご飯食べにいこう

「そっすね」

俺は財布を持ち、先輩は服を着替ええええ!?

「ちょ、先輩、着替えっすか!?」

寝巻きを脱ごうとする先輩を止める、そりゃそうだろ目の前で着替えられちゃあ誰だって止める少なくとも俺は止める

どうかしたの?という顔で首を傾げてくる先輩

「いやその、普通は人前で着替えませんよ」

そうなの?という顔見てくる、これはマズいな

「あ、自分トイレの中にいるんで着替え終わったら言ってください」

俺は飛び込むかのように入る

何緊張してんだ、心臓の鼓動が速い小動物みたいだ、落ち着け落ち着くんだ桜義龍我!

呼吸を整え落ち着く、よし落ち着いた

ここでノックがくる、終わったのかな?

ドアを開けると下着姿の黎明先輩が、制服ここの中と書かれた紙を見せてやってくる

「うおわぁ!?」

し、刺激が強い、強過ぎる…俺には、とっても…耐えられない…

急いで目を閉じ背中を向ける

「は、はやく取ってください」

中に入り制服を手に取りドアを閉める

はぁー、死ぬかと思った

心臓の鼓動が速くなり血液の循環が早まり体にハリとツヤが増した気がする

グギュルルルゥウゥッ

ここで凄まじい腹の音が聞こえ腹に痛みを覚える

真っ先に脳裏に浮かんだ言葉が餓死、栄養が完全に無くなり死ぬ

ここで再びノックをしてくるので開けると制服姿の先輩がいた、ふー良かったー

「せ、先輩…ご、ご飯食べましょう」

行こう

靴を履きドアを開ける

「あっ」

氷堂と恵華ちゃんがいる、なんで?

「お久しぶりです龍我くん」

「恵華ちゃん」

「どうしたのですか?顔色悪いですよ」

さすが、平然を装っているのに見抜くとは

「ちょ、ちょっとな」

「もしかしてお腹すいているんですか?」

うおぉ!?ここまで当てるとは、さすがすぎる

「その通り、速く飯を食べないと栄養失調の餓死する」

「そんな訳ないだろ、いつもあれだけ食べているのだから」

くそ、氷堂は相変わらず酷いこと言いやがるぜ

「うるせえ、話は後…食堂へ行こう」

俺はさっそうと食堂へ向かう

「私は愛川恵華です、あなたは誰ですか?」

恵華ちゃんが自己紹介をし黎明先輩に話かける

桜義黎明、よろしく

先輩はいつも通り紙に書いて会話する、普通なら、なんで?喋れないの?とか聞くかもしれないが

「字綺麗ですね」

全く違うこと聞く、というより気にしてない

「字を書くということは喋れないのか?」

氷堂が聞く

喋っちゃいけないの

「そうなのか、大変だな」

そうでもない

「あ、じゃあ龍我くんが言っていた人は桜義さんですね」

黎明でいい

「黎明さん、手話出来るんですよね」

少しだけ

「龍我くんから話は聞いていますよ、凄いですね」

と、手を使い会話をしだす2人

「…通じているのか?」

「はい、ですけど知らない単語ばかりで難しいです」

とは言うが通じ合っているのでかなり出来ている

教える

「ありがとうございます」

「ひとまず食堂へ行かないか?龍我くんは先に行ってしまっているぞ」

氷堂がそう言い食堂へ向かう

 

食堂

「…………」

一足先についた龍我は席について白飯をがっついている

「……ご飯だけか?」

「食べないと今すぐにでも死んじまう気がする、出来る限りまでとりあえず食べる」

そう言いとにかく食べまくっている

「……私も注目するか、恵華はさんと黎明さんは何か頼むのか?」

「私はカルボナーラが食べたいです」

カレーライス

「あ、恵華ちゃんはいよ」

食べながら財布を渡す

「恵華ちゃんと黎明先輩の分払っといて」

「私の分は無いのか」

「はぁ!?なんでお前にをはらわガッ!?」

「料理出来たからはやく取りきなさいよ!」

龍我の頭上に肘を落としテーブルに様々なおかずが乗ったおぼんを置く

「つう~…」

「それと、差別はするんじゃないよ男なら小さいことは気にしないでいつもみたいに豪華でガーッと行きなさい」

そう言い持ち場へ戻る

「…てな訳だ、買ってきてくだされ」

龍我はそういい黙々と食べ始める

「結構入っているんだな」

「龍我くんお金持ちですね」

なんか俺の財布を物色し始めるが昨日にしないで食べる

「ん、なんだこの写真は」

財布から出てくる写真、そこには3人のメイドが写っている

「あ、これは中学の時やったメイドですね」

恵華と柚子、あと知らない女性の3人、どれも似合っている

「この女性は知らないが、友達か?」

「はい、龍美(タツミ)ちゃんです」

「タツミ、名前負けしていない凛々しい顔しているな」

ここで黎明が肩を叩き髪を見せる

龍我?

「黎明さん凄いですね、よくわかりましたね」

「え?どれが龍我くんなのだ?」

「真ん中の狐のお面をかけている人です」

真ん中のメイド、その人が知らない女性…ってことは

「…龍我くん、そんな趣味があったのか」

「違うぞ氷堂!!ってかその写真処分したはずなのにどうしてあるんだよ!!」

「知らないわよ」

「ちっくしょー」

よりによって氷堂々

に、それよりも黎明先輩に知られた、もう死ぬしかねー!

「わかったわよ、龍美ちゃん」

「くっそおぉ!!」

龍我は怒りと共に白飯をかき込む

「私は注文してくるから」

氷堂がお金を持ち注文しに行く

「龍我くんのメイドさんは評判良かったですね」

「…恵華ちゃん、俺の闇を引っ張り出さないで」

「闇なんかじゃありませんよ」

うぅ、人の悪い所を良く見れてしまう目を持つ恵華ちゃんには通じないか

「充分闇なんじゃないのか?」

注文を終えた氷堂が戻ってくる

「そんなことないですよ、可愛いですよ」

「…まぁ、確かにそうだな」

似合っているよ

恵華、氷堂に続いて黎明までもが言ってくる

「動画ありましたよね?」

「…ありません」

「確か動画投稿しましたよね」

「…やめて、マジやめて」

「へぇ、そんな事したのか?」

「色々やりましたよね」

「やったけど…そんな評判高いものじゃないじゃん?」

「そんなことないですよ」

「何で知らべればいいんだ?」

興味を持った氷堂が聞いてくる

「えっとですね、なんでしたっけ?忘れちゃいました」

よし、やったぜ!

「そうか、自力で探すとしよう」

諦めろよ氷堂!

「話は一旦置いておいて今日学校来なかったが何かあったのか?」

「え?疲れて寝ていた…なんて、あははは」

「君に限ってそれはありえない」

くそ、本当なのに

「………」

ここで静かに座っている黎明先輩が視線に入る、助けを求めたいが相手は初対面、なかなか話せないか

「そう言えば黎明さん龍我くんと一緒に部屋から出てきましたよね」

うおっと、余計な事を思い出したな恵華ちゃん

「そうだったな、何かあったのか?」

一緒に寝ていた

「……一緒に寝ていた、か…詳しく教えてもらおうかな?」

おっと氷堂の目つきがなんか怖くなったぞ

龍我、暴れる、落ち着かせる為に寝た

「暴れる…昨日のアレか」

昨日俺が暴れ狂ったことを思い出す

「暴れた…龍我くんまた出たんですか」

知っている恵華ちゃんは心配そうな顔で言ってくる

「……ごめんなさい」

「いいですよ仕方がない事ですから、黎明さんありがとうございます」

止めてくれた黎明に頭を下げ感謝する恵華

大丈夫

「…2人共昨日の龍我について知っているようだな、詳しく教えてくれないか?」

「私は詳しく知りませんから教えるようなことありません」

私も

「そうか…」

「氷堂さん、出来ましたよ」

厨房から呼ぶ声が聞こえる、俺も呼んでくれればよかったのに

「そういや黎明先輩の特別教室ってなんですか?」

俺らとは違う特別な教室で授業を受けている、それについて前から気になっていたので聞いてみる

特別な教室

うん、そのまんまだ

「…どのようなことをやっているんですか?」

勉強

うん、そうだね、俺らと全然違わない特別感ない

「ちなみにどんな勉強ですか?」

大学レベルの勉強

や、やばい、高校生なのに大学レベルの授業を受けているのかよ、と、特別だ…おみそれしやした!

「…石井先生絡み?」

石井さんが頼んでくれた

やっぱりな、あの人は人のために死力を尽くす人、ましてや子供なんだからなおのことだ

「そーいや石井先生と、家族なんですよね」

そうだよ

「どういう過程でいつ頃かは?」

5年前に知り合った、石井さんの家に住み始めたのは最近

なるほど最近か、そりゃあの時いなかったのか

何回か石井先生の自宅でたっぷりと教育された記憶がある、うーむ今思えばよい思い出なり

それにしても5年前か…俺には色々あった時期だったな

「石井先生結婚したんですか?」

ここで恵華が聞いてくる

養子

「私と龍我みたいな感じですね」

まぁ、そうだな

「お待たせ」

ここで氷堂が料理を持ってくる

「あ、手伝わなくてごめんなさい」

「いいんだ、気にしないでくれ」

そう言い恵華、黎明の分を置き自分の分を取りにいく

自分のを後にするとは、できた人間だ

「黎明先輩はカレーライス好きなんですか?」

普通

なるほど普通か

今日はそんな気分だったの

なるほど、そんな気分だったのか

「…龍我くんは何を食べているんだ?」

「見ての通り、様々だよ」

唐揚げ、鯖の味噌煮、卵焼き、ハンバーグ、味噌汁など多彩なおかず、今日はリッチだぜ

「おっと、ご飯が終わってしまったな」

自分専用の器に入っているご飯を盛る、中身はもうからっぽだ

「何合入っていたんだ?」

「確か5合かな」

「5合!?」

「まだ食べ足りないな」

俺は器を持って柊さんの所へ行き補充してもらう

「5合って凄いな」

「凄いですね」

「家での食事はどうだったのだろうか、ご飯間に合わないんじゃないのか?」

「龍我くんの家には炊飯器2つありますから大丈夫ですよ」

「…そうか」

一緒に住んでいた恵華は大抵の事は知っている、桜義家の男共は沢山食べるということを

「一食で20合近く食べるんですよ」

「食費が凄いなそれ」

「毎日が楽しかったです」

「家族団欒か…うらやましいな」

「氷堂さんは違うんですか?」

「私は姉さんと2人きりで、姉さんはバイト、学校で忙しいから一緒に食べることが少なかったからな」

「へー、忙しいわりには兄貴と遊んでいたけどな」

ご飯を大盛りに入れた器を持って戻る龍我

「高校は特待生で入ったか学費は免除されてたんだ、多少ゆとりはあったさ」

「俺はゆとり無かったけどね」

「それは知らない」

「恵華ちゃん、こやつ冷月さんの妹なんだぞ」

「やっぱりそうでしたか」

「やっぱり?感づいてた?」

「はい、似ていますから」

「…似ているか、ん~…微妙な、いや、似ているか…はぁ」

「最後の溜め息はなんなのだ」

「気にしないでくれ、はぁ」

「…一体何があったのだ?」

「龍我くん冷月さんのお気に入りでしたから」

「違うぞ氷堂、色々こき使われたんだよ」

ジュース買って来てとか、肩揉んでとか、俺は奴隷か!?とか

「でも楽しそうでしたよ」

「…そうか?」

「なるほど、姉さんとは仲が良かったのか」

「会って話たのは数回だぜ、そーんな仲良い訳じゃない」

「その割りにはあの時ハキハキと喋っていたじゃないか」

「アレは自己防衛の為の反応」

「自己防衛って」

「龍我くんお姉さんに人気ですもんね」

「そんな事無い…ハズ…」

「お姉さん、つまり年上か…凄いじゃないか」

「ほっといてくれ、ってか嬉しくない」

ここで黎明先輩が俺の肩を叩き紙を見せてくる

龍我、可愛い

ん~…可愛いか、言われたくない言葉なんだけど今回は悪い気分にならないんたなよな~

「可愛いか?」

氷堂が聞く

子供みたい

「なるほど子供か…」

確かに言動行動が子供だな、矛盾も多いし知らない事多いし思い返せば思い当たる節が多いことに気づく氷堂

「女性としての本能が君に好意を抱くのか」

「おっかしいな~、俺は男らしく堂々と生きてるのにそんな子供っぽとはな~…」

「どういう所がそうなのか、私には分からない」

笑顔が好き

「そうか?」

試合の後の笑顔

「!?」

試合の時の笑顔、あれは確か1学年VS2学年の時黎明先輩の前で良い所見せようと頑張った試合

「龍我くんどうしたのですか?」

食べる箸を止め黙り込む龍我を心配して声かける恵華

「いや、ちょっと…な…はは」

「顔色悪いですよ」

「そんなことないさ~」

「試合後の笑顔か…ダメだな、どうも私は挑発している場面しか思いっきり出せない」

当たり前だ、お前には挑発しているからな

「でも、決着は2学期に持ち込まれたけどな」

「は?」

氷堂の言葉がひっかかる、2学期に持ち込まれた?

「そうか、君は学校に来てないから知らないのか、1学年と2学年は今学期にクラス戦争をしてはいけない命令が下されたんだ」

「はぁ!?ザケんなよ!俺の屈辱はどーなる」

「知らないわよ」

「ザケンな、今すぐにでも戦えぶっ殺してやバラス!!」

痛みが

「食事中にぶっ殺すとか言うんじゃないの!」

犯人は柊さん、その手に持っているおぼんで叩いたのであろう

「次言ったら出入り禁止にするわよ」

「す、すみませんでした」

「じゃあ今日の食堂のお片付けお願いね」

「え~…」

「よろしくね」

「は、はい」

2人のやりとりを見て

「…姉さんもこんな感じで君を使っていたのか」

「そうですね」

「って訳だ、9時に俺は片付けを手伝うことになった、今何時?」

「5時20分ですよ」

「うーん、もう少し食べよう」

「まだ食べる気なのか?」

「まだまだ食べ足りない」

「一升食べてまだ食べる気なのか」

「あと少しだけ食べるから待ってて」

そう言い俺はご飯を盛り戻る

「…何合分だ?」

「5合?」

「少しじゃないな」

「ほっといてください、俺ははやく食べて黎明先輩を送り届けるという使命があるから」

「送るのか、偉いな」

「これが普通、そして送らないと石井先生に殺される」

女子1人を夜道に歩かせるバカがどこにいる!とか言って殴ってくるのが目に見えている

「って訳で、もう少しだけ待っててください」

俺は急いで食べ15分足らずで完食

「ごちそうさまでした」

「ちゃんと9時に来るのよ」

「はい!それでは!」

一旦部屋へ戻りバイクの鍵、黎明先輩の荷物を取りにに行き

「恵華ちゃん、ちょーっと待ってくれ」

「はい、安全運転でお願いしますよ」

さすが恵華ちゃん、俺が危険運転すること知ってるだなんてわかってるぅ!

「じゃあ行きましょう」

黎明先輩をバイクの後ろに乗せ石井先生の自宅へ向かう、んで今日学校を休んで何していたんだ!!と怒られゲンコツをくらわされる、すっげぇ痛い…

黎明先輩の話で何やったのかを知りさらに殴る、まぁこれはしょうがないな…、んでとっとと帰れ!と言われるので帰る、罵声と鉄拳をくらっただけで終わる

 

 

 

 

「くそ、まだいてぇ」

頭をさすりながら部屋へと戻る

「およ?」

恵華、氷堂だけでなく勇とタイチがいる…なんで?

「なんでタイチはともかく勇がいるんだ?」

「今日タイチの所で泊まるんだよ」

「鬼豪は?」

「察しろ」

「なるほど!でもなんで俺の部屋でゲームしてるんだ?」

「お前も誘おうと思って部屋訪ねたら恵華と氷堂が出たからな、招かれ一緒にゲームやってるんだよ」

「氷堂ー、俺の部屋に勝手に招くなよ、ってかお前を招いた覚え無し!」

「あら、一緒に入ったのに覚えていないのか?」

「…そうだっけ」

「…君は20分前のことも覚えていないのか」

「…すみませんでした」

「お前、リングでは上から散々言ってるくせに私生活では頭下げてんのかよ」

俺と氷堂のやり取りを見て言う勇

「ほっとけ、試合と生活のメリハリをつけているんだよ」

「だからってそんな頭下げないぞ」

「自分が悪いと思ったら謝る!」

「あんまり良くは聞こえないな」

タイチが言う

「え?」

「まっ、試合は当分お預けだがな」

「そーだお前ら、クラス戦争禁止になったんだな」

「なんだ知っていたのか?」

「抗議したのか!?」

「したさ、校長と話したがダメなものはダメだって譲ってくれなかった」

「あんな規模が大きい戦争をすれば停止はくらうだろう」

タイチが頷きながらいう、くそ納得しやがって

「くそ、ざけた校長だぜ」

「1ヵ月の辛抱だろ?」

そうか、そういや6月の中旬、7月には夏休みか…バイトか~

「夏休み…どうする?」

「また遊ぶか?」

「夏だからな、海でも行くか?」

「山は?」

俺は聞くと

「お前は山にでも籠もってろ!」

酷い返答が返ってくる

「山籠もりなら経験済みじゃ!」

「知ってるわ野生児!」

「うるせぇ野蛮人!」

「落ち着け2人共」

「くそ、失礼な奴だ」

「野蛮人はお前だろうが」

タイチに止められ落ち着く

「海いいですね、私も一緒に行きたいです」

恵華ちゃんが言ってくる

「人数は多いに限る」

「またいつもの面子になるんじゃないのか?」

「そうだな」

柚子もこの話を聞いたら来るだろう

「男4女4…良い割合か」

「女4?5じゃないのか?」

タイチが聞いてくる

「優香、玲子さん、恵華ちゃん、柚子だろ?」

「氷堂は?」

「氷堂来るの?来たら太陽光で溶けちまうよ」

「お前氷堂をなんだと思っている?」

「氷?」

「………」

「その前に水着家から取りにいかないとなー」

「買わないのか?」

「いらん出費は抑える、常識なり」

「だったら食費を抑えろよな」

「なに!?あれは必要な出費だぞ」

「ふん、暴飲暴食め」

「それで結構だ!」

「水着か、俺も新しいの欲しいな」

「なんだ、サイズ小さくなったか」

「そうだな」

「竿も持ってこなきゃなー」

俺が言うと

「…釣りはしないぞ」

「花火は?」

「やろう!」

「すいか割りしたいです」

「おー、スイカなら育ててあるから大丈夫だ」

「どーせ小さい奴だろ?」

「大玉作ってるからな、ましてや生徒は俺1人、独り占めよ!」

「便利だな農業科」

「入りますか?」

「遠慮する」

「悪いが俺達は進学だからな!」

タイチと勇は進学組なので毎日勉強をしている、頑張れ!

「泳ぎ勝負しようぜ」

「勇は泳ぎに自信があるのか?」

「まぁな」

「俺は微妙だけどな」

「そんなことないですよ龍我くん」

「そんなことないですよ、鯱みいたでしたよ」

「…それはどういう意味なんだ?」

タイチが聞くと

「凄い水しぶきを立てて泳ぐんですよ」

「凄いですよ、200mをバタフライでクロールに勝っちゃうんですから」

「いやさすがにそれは無いだろ?」

「クロールは速いぞ」

「そうなんですか?」

「普通に考えればそうなるな」

「へー、見てみたいな」

氷堂が言ってくる

「ふっ、水泳の授業は男女別なんでな」

「…別に授業中という訳ではないぞ」

「おっと」

「お前はバカか、それとも氷堂が行かない前提か?」

「しるか!」

「そういや女子は体育水泳入っているのか?」

「そうだな、もう始まっている」

「プールか…」

そういや選手か、熱い夜にバイクで走って喧嘩したから汚れた体を洗い興奮を冷ます為に学校に忍びプールに入った事を思いだす、そしてそなぜかその日に限って夜回りしていた石井先生に見つかり説教、挙げ句の果てにプール掃除したことを思い出す

「…プール、綺麗に使えよ」

「何言ってんのお前」

「明日体育あったっけ?」

「俺達は陸上だろ」

「あぁ、アンカー龍我にしたら終わるクソ授業か」

「てへ」

「お前足速過ぎなんだよ!」

「走れば走る程加速しますんで」

「死ねばいい」

元陸上部だった勇は負けてかなりショックだったらしい

「なるほど、前回の絶叫はそれが原因か」

「聞こえたのか?」

「水泳だったからな」

そういや事情があって体育はBクラスではなく今Aクラスと同じになっている、ちなみにAはバスケやっています

「陸上だから砲丸投げハンマー投げとかやりたいな」

「全て力じゃないか」

「筋肉バカめ」

「走るのもそうだろ」

「くそ、全身筋肉野郎が」

「全身に筋肉無かったら骨だけだろが」

「ぐぬぬぬ」

「ぬぬぬぬ」

「聖蘭高校の文化祭っていつあるんですか?」

睨み合っている2人と仲裁している1人をよそに恵華が氷堂に聞いてくる

「文化祭は確か10月だったな」

「私達のところは7月1日にあるんですよ、良かったら来てくんませんか」

「麗女って確か一般人はこれないんじゃないのか?」

「そうなんですか?」

「確か2年前に起きた暴力事件が原因で」

「それなら聞いたことあるぞ、確か警察も出てきたぐらいだからな」

「そうだな」

「そうですか、じゃあこれませんね」

「うーむ、なんとかして行けないのか?」

他校の文化祭は気になる、しかも女子高で麗女

「柚子の所はどうなんだ?」

行けないなら仕方がない、柚子の学校も知っているかもしれないから聞く

「確か7月の20日ですね」

「夏休みに近いな」

「そこは行けるんだろ?」

「はい、みなさんで行きましょう」

「柚子か~…からかいに行ってやらぁ」

龍我の発言、多分からかわれるだろうと大半の人は思ってある

「じゃあ恵華ちゃん今準備で忙しい?」

「はい」

「…今日何か用あって来たの?」

「文化祭来てくださいと言いに来たんですけど」

そうか、俺達が行けないことは知らなかったのか

「帰る時送るよ」

「ありがとうございます」

「あと30分で9時だから、もう行きましょう!」

「はい」

「ってことで解散!」

皆を追い出し部屋に鍵をし、恵華ちゃんを送って寮に帰るなり食堂の片付けをし風呂に入る、今日1回も筋トレしていない!明日から始めなければ

 

 

 

 

翌朝

気持ち良い目覚め、筋トレをしてから朝食を取りいつも通りに学校へ出る

「………」

学校の門が閉まっている、なんで

6月の第3土曜日

なんで休日なんだよ!!

 

 

つづく

 

 

 

「くっそっ、土曜日通学とかクソだぜ」

来たから何かしなければ、ってことで作物に水をやりウェイトルームへ向かうと自主部活動の人々が使っている、その隣でベンチプレスをやっていると、何かの部員からどっちか60kgを多く上げられるか勝負を仕掛けてきたので俺は相手の2倍上げての圧勝、更に何キロ上げられるか勝負した所170kgのベンチプレスを上げたら拍手喝采が送らた

「お前凄い筋肉しているな」

「噂の龍我だろ、強い訳だ」

「すっげぇ堅い腹筋だな」

「本当に筋肉かよ」

と、体を触られまくる

「どうやったらそんな体になるんだ」

「日々の鍛錬、そして弱さを捨てること」

「おー、格好いいな」

「それでこの体が作れたんだから反論できないな」

「どんなトレーニングやっているか見せてくれよ」

と、急にここから龍我のトレーニング講座が始まり熱弁した、意外に好評を得られなんか仲良くなったという話もあったよ

 

 

 

 

つづく


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