最強を目指して   作:匿名希望ただの人

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番外編 6

クラス戦争が終わって1週間が経った

「あ~、長い長い休みが終わって学校か~…ダルいな~」

この1週間、学校に来るなと言われそれは好都合だと、海へ行き野原先生の紹介のもと漁師の家に泊めてもらい1週間漁業をこなした、船酔いが激しいぜ、今もまだ気持ち悪い…

「よっ、龍我久しぶり」

声をかけるのはいつもの3人

「んだよ、いつもの面子じゃねぇか」

「こうやって話かけてもらえるだけありがたいと思えよ」

「なんだそれ」

「お前の部屋に遊びに行ったけど居なかったぞ、どこへ行ってたんだ?」

「あ、ちょっと研修にな」

「研修?何やったんだ?」

「さぁ?」

「お前色々と矛盾していないか?」

久々の友達との会話、うむいつもと変わらない平和だね~

「そういや、お前が居ない間大変だったんだぜ」

「あ?何かあったのか?」

「あの後キレた3年Bクラスが俺達に戦争を仕掛けてきてよ」

「ほ~…度胸あるな」

「お前がボコボコにしたから楽だったけど、能力者が多くてさ」

「でも勝ったんだろ?」

「当然」

「で、何が大変だったんだ?」

「その後だ、2年Cクラスが戦争仕掛けてよ、理不尽な内容でさ」

「受けたのか?」

「受けなかったら逃げたとか言いふらすらしいからな、まっ圧勝だったけどな」

鬼豪の爆破と勇制作奇襲攻撃により倒せたらしい

「全然大変じゃないじゃんか」

「バカ、連戦でこっちは大変なんだよ」

勇が声を上げている、そりゃそうだ、1週間のうちに2回も戦えば疲れる、しかもこちらにメリットは何1つもない

「知るか」

「でもって今度はクラスマッチもあるし」

「クラスマッチ?なんだそれ?」

「クラス対抗サッカー対決、もちろんクラス戦争式で能力あり」

ちなみに女子はバレーボールである、平和だ

「じゃあファールし放題だな」

「まぁそうなるな」

「だが今点数が低い俺達にとっては厳しい」

勇は紙を見せます説明する

「ゴールを決めるごとに相手クラスに10点のダメージが当たる、0点になった者は出れない」

「…なるほど、そりゃキツい」

「で、今俺達の平均点数が100ちょっと、0の奴もいる」

「俺なんか150点だ」

「俺は54点」

「鬼豪、お前は元々の点数だろ?」

「うるせぇ!」

「とにかく戦力が圧倒的に少ないから俺達を潰しにくる」

「最大2試合だろ?」

「学年1位のAクラスはシード、俺達はCクラスとだ」

「へー、でいつあるの?」

「再来週だ」

「へー、まだまだだな」

「一応覚えとけ」

「へーへー」

サッカーか、苦手だな~

「みなさ~ん、HR始まりますよ」

ここで泉先生が教室に入ってくるのでみなは席につく

「今日は副担任を紹介します?」

副担任?今さらすぎね?

「先生、副担任の紹介だなんて今さら過ぎませんか?」

勇が聞く

「私も詳しく事情知りませんが、今日まで忙しくて顔だせなかったそうです」

「んだよそれ、副担任って言えるのかよ」

「先生、どんな人ですか?」

タイチが聞くと

「今から紹介します、入っください」

ガラガラと教室に入ってくる気合いの入った角刈りにピチピチのスーツ、体格の良い男が入ってくる

「す、すげぇ」

「あれが教師かよ、格闘家かと思ったぜ」

「怖そうね…」

その男睨んだつもりはないがこちらを見ると威圧によりクラスは静かになる

「Fクラス臨時副担任の石井大助、居る時と居ない時があるのでご注意を」

「えー、石井先生は国数英理社全て教えられる先生ですので分からない事があったらどんどん聞きに行ってください」

「泉先生、ハードル上げないでください」

「すみません、ですが皆さんあてにしていますから」

この石井先生、俺は知っているいや知らない訳がない

それは気づれないのうに気配をけしうつ伏せになる

「それではHRは終わります」

泉先生の話と連絡が終わりSHRが終わる

「龍我さん鬼豪さん、石井先生が呼んでいますよ」

泉先生が俺と鬼豪にいう

「………」

「………」

俺と鬼豪、互いに顔を合わせ

「最悪だ…」

「なんでいるんだよ」

「どうする?」

「あ?1つしかないだろ」

俺と鬼豪は大きく頷き

「はやくきなさ」

ダッ

俺と鬼豪はその場から急いで去る、幸いに授業は教室じゃない、全力で廊下を走り抜ける

「あ、行っちゃいましたね」

「大丈夫です、すみません」

「いえそんな…」

「では、俺は用事があるので」

そう言い石井先生は教室を出ていく

「何やってんだあのバカ2人は」

「さぁ?」

 

 

 

 

昼休み

「おい居るか?」

俺と鬼豪は弁当を取りに教室へと戻る、その時教室にアレがいないか確認しながら

「居ないな」

「ふぅ、なんか急に息しづらい環境になったな」

「まったくだ」

俺と鬼豪は椅子に座り一息つく

「どうしたんだお前ら、いつもよりなんか大人しいな」

「さてはあの石井って人が絡んでいるな」

「なわけ」

「石井先生なら帰ったそうよ」

「なんと!?それは一安心なり」

「息しやすくなったぞ」

「で、お前今日弁当どこで食べるんだ?」

「そうだな~…久々に教室で食べるか」

「そうだな、たまには教室でな」

机をくっつけ座り食べる

「龍我、お前凄い食べるな」

「ん?そうか?」

俺の机の上には弁当とおにぎり2つ、パン1つ、ササミ1個

「普通そんなに食べないだろ」

「こっちは食べないとすぐに痩せちまうんだよ」

確かにあの筋肉量なら考えられることである、その体格を維持するのは大変なんだな

「最低5000カロリーは取らないと厳しいからこっちは必死必死」

「そんぐらいとったら太るだろ」

「なめるなよ、こっちは太りにくい体質ななんだよおかげでまだ58だ」

「う、うそだろ」

「60ないとかよ」

俺の体重を知り驚く勇とタイチ、そこまで驚かなくても

「お前らも体鍛えろよ、男は強くなくちゃな」

俺は笑いながらおにぎりを食べる

「鬼豪はパンなんか食べねぇで米食え米、強くなれねぇぞ」

「あ?うるせぇ、俺ぁ焼きそばパンがありゃいいんだよ」

「ふん、添加物の取り過ぎで死ね」

「ならおにぎり俺にくれ」

「嫌だ」

「死ね」

「なに!?」

「なんなら玲子作ってもらえればいいじゃねぇか?」

「お、それいいな」

「いい考えだ勇」

「嫌だ!なんで玲子の手作り弁当を食べなきゃいけないんだよ」

「いいじゃねぇか、女子の手料理はめったに食べれないんだぜ」

「カップルなんだし」

「そーそー、付き合ってるんだからいいじゃねぇか」

「何がカップルだ誰が付き合ってるって?」

「お前だよ」

「後で言っておくぜ」

「うおい!」

「…鬼豪」

ここで玲子が包みを持ってやってくる

「れ、玲子!?いつのまに!?てかそれは!?」

「お弁当…作ってきたの」

「はあぁぁ!?」

「言うまでもなかったか」

「愛とは凄いな」

「かっかっかっ、愛する者からの手

作り弁当たぁ幸せ者だ鬼豪」

「ふざけるな、俺は絶対に食べないぞ」

「鬼豪…」

「う、うるさい」

グギュルルルルッ

ここで鬼豪の腹の音がなる、パン1つで足りる訳がない

「ほら、腹減ってるんだから食べなって」

「ぐっ…」

「恥ずかしいなら席外すぜ」

「鬼豪…食べて…」

弁当の蓋をあけ、鬼豪の目の前におく、とても美味しそうなお弁当である

「ぐっ…くく…」

グキュルルルッ

「後で回収するから、食べてね」

い玲子はそう言い友達のもとへと戻っていく

「ほれ、行ったぞ」

「食べてやれ」

「くっ、食べ……」

弁当に蓋をしようとするが手がとまり

「てやる!!」

食欲に勝てず食べる

「う、うまい…」

「だろうな」

「やったな鬼豪」

「ち、ちげぇし、これは、捨てるのは勿体ないから食べただけで」

「はいはい、わかったわかった」

「………!」

「かっかっかっ幸せ者やな鬼豪」

「るせぇ!」

愉快にお昼を食べていると

ガラガラ

「さ、桜義龍我くんは…いますか?」

氷堂がやってくる

「龍我~お前に客人だろ?」

「客人?おぉそうだ客人で思いだした、辰巳の小沢が鬼豪に用があるから今日の夜8時に山上公園で待ってるってよ」

「なに!?上等だ、ボコボコにしてやる」

「まっ、頑張れよ」

「おい龍我、氷堂が待っているぞ?」

「待っている?おぉそうだ待っているで思い出した、タイチ、お前柚子に」

「なにごまかしているんだ、さっさと行ってこい」

全く行く気のない俺に勇が言ってくる

「…何が?」

「お前耳あるのか?ほれ、氷堂が呼んでるからとっとと行ってこい」

「おっと、そうだったか悪い悪い、席外すわ」

しょうがねぇから俺ばドアの前で立っている氷堂の元へ向かう

「よー、久しいなヒョードー、どーした?」

「まずは礼を言わせてくれこの前はありがとうございました」

「気にするな」

「次に謝らせてくれ、私の為に停学処分になってしまって」

「気にすんなって、そんな事俺に言うんだったら今後の生活を楽しく過ごせや、じゃ!」

礼を言いに来ただけと思い話を切り飯を食べに戻ろうとするが

「待ってくれ」

「あ?まだなんかあんのか?」

呼び止めやがる、うぅ腹が減る

「お、お礼がしたいのだ、ちやんとした、お礼を…」

「お礼?んなのいらんがな、そもそも俺ぁ独断で動いたんだからお礼なんざぁいらねぇんだよ、ほれダチとでも楽しく遊んでな」

はやく飯が食べたい俺は早くクラスへ戻れと促す

「そうはいかないのだ、助けられたらお礼をするのが礼儀だから」

「あ~…そっ、じゃあ俺今昼飯食べているから、早めにお引き取りを願います」

相手は教室へ戻る気ないし、なんかめんどくさい感じになってきたからここはストレートに帰れ!と言う

「そ、そうだよな、お昼時間に来てしまっては迷惑だよな」

「そーそー、じゃつ」

「放課後また来るからその時に」

「こんでええわっ!!」

「なっ」

「おっと失敬、あのな~俺みてぇなバカの為に時間を使うならダチと遊んでこい、その方が面白いだろ?」

「そのバカに私は助けられたのだ」

「んなの俺の気まぐれとその情報を知っていたからだ、偶々偶然奇跡が起こった結果だ、だから俺に感謝するな」

「過程ばどうあれ君が私を救ってくれたことには変わりない、だからお礼を」

「いやだから」

「ですから」

「お前ら、話が進まないすぎだ」

ここで勇が入ってくる

「龍我、お前は素直に礼を受け取れ」

「ちゃんと感謝の言葉を受け取ったわ」

「言葉だけじゃダメだから私は」

「あーあーんなのいらんいんらん、行動に示すなら楽しく生きろ」

「氷堂も龍我がそう言ってるんだからそれでいいだろ」

「それでは私は納得できない」

「だってよ龍我、お礼は受け取っておく?ものだぞ」

なに!?こいつ俺の敵になるのか!?

「俺ぁ放課後用事あんだよ」

そうである、今日はやるこそがあるのだとても大切な

「恵華の所行くんだろ?」

鬼豪が行ってくる

「まーな」

「誰なんだ、その恵華って」

勇が聞いてくる

「名前は聞いたことあるけど、誰なんだ?」

タイチが言ってくる

「あ?俺の家族だよ、明日休日だら今日こここの寮に泊まるってなったから放課後連れにいくんだよ」

「相変わらず気持ち悪いぐらいに仲が良いな」

「それほど俺は信頼してるってことだ」

「でも家に戻るんだからそんな時間かかんないんじゃないのか?」

「あ?麗華女学院だよ」

「なに!?お前麗女にあてがいるのか!?」

麗華女学院とは県内偏差値NO.1であり、全国的に超有名な女子高校なのである

「まーな、いやー今日は何して遊ぼうかな、トランプか将棋か、麻雀もいいな」

「何今ウキウキしてるんだよ」

「まーな、タイチも来るか?暇だろ」

「失敬な…暇だ」

「っつー訳だ、お礼してーなら今度飯でも奢ってくれや」

「お?それはデートの誘いか?」

「でぇと?何言ってるんだ勇、俺が言ってるのは食堂の飯だよ、外食じゃねぇ」

「なんだ、つまんねえ」

「ってな訳だ、お引き取り願おう」

「………わかっか」

やっと納得!?してくれたのか教室へと戻る氷堂

「あー、やっと行ったぜ」

「おい龍我」

ここで吉川を筆頭に男子声をかけてくる

「ん?どうしたべ?」

「お前あの氷堂さんのお礼をよく断ったな」

「あんな美女から言われたらたまんねぇぞ」

「羨ましいいぃぃぃぃっ」

「…何言ってんだお前ら」

「くそ、なんでこんな奴に氷堂さんの振り向くんだ!」

「いくら助けてもらったからって、何がいいんだよ!?吊り橋効果か?何がドキドキさせてんだよぉ」

なんか勝手に騒いでいる男子共、無視して飯食べる

 

 

 

 

HR

「泉先生は出張で居ないから俺がやることになった」

今日紹介された副担任の石井先生が入ってくる

「げっ、石井!?」

「石井先生だろうが…龍我」

「かっ、警察がなーんで先生やってるんだよ」

石井大助、事件調査や非行少年少女の更正やヤクザなどの裏社会のことなど幅広く仕事をこなしている特殊な人、そのため俺はよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく世話になった覚えがあるので忘れる訳がない

「こう見えても教員の資格はある、臨時でよくやっているものだ…今回は別だがな」

「な、なんだよ」

「龍我、貴様が悪さしたから監視として俺が入ったんだ!!」

「はははザマァねぇな龍我」

「鬼豪、貴様もだ」

「な!?俺までもかよ?」

「貴様らには俺がたっぷりと指導して立派過ぎる社会人にさせてやる!!」

「はっ、はは…ここのクラス全員巻き添えかよ」

「ナムアミダブツ…」

「特に連絡事項はない、帰って勉強に励むんだぞ」

そう言い終わる

「龍我、鬼豪、ちょっとこい」

帰ろうとする俺らを呼び止める石井先生

「なんすか?」

「貴様ら、また派手にやらかしたんだってな」

「やったのは龍我だけだろ」

「お前はその爆破を乱発したそうじゃなうか」

「うっ」

「この俺がいる限り二度とさせない、覚悟しておくんだな」

「は、はい…」

「なら月曜日楽しみに待っていろ!」

と言い残し教室から出る、俺らにとっては犯人自ら顔を出し殺す人の前に立ち何食わぬ顔で殺害予告を告げられたようなもんである

「ふざけやがって…サツならサツらしく交番にでも引き籠もっていろバーカ!」

「お前んな事言ったら殺されるぞ」

「知るかバーカ、あんなの眼中に無いんだよ」

「お前な~、あれだけ世話になった人に対してそれは無いぜ」

「余計お世話だ!迷惑極まりねぇ」

「あのな~またボコボコにされるぞ」

「あ?あんなカスに負ける訳無いだろーが俺の爆破で一発だ瞬殺!」

「鬼豪ぉぉ、貴様ぁ言い度胸しているなぁぁ?」

背後から静かで荒々しく恐ろしい声と凄まじい殺気が聞こえる

振り向くと石井先生がいる

「うげ!?石井、なんでここに!?」

「戸締まりを確認するのを忘れたから戻ってきたんだ」

指をバキバキ鳴らしながら言ってくるのでちょっと目的が違う気がする

「はっ、そりゃご苦労様」

鬼豪は教室から出ようとするが

「俺から逃げれると思ったか?」

石井先生に捕まれ阻止される

「お、俺だけじゃねぇ龍我も言ったぞ」

「はぁ!?俺はんなこと言わない主義なんだ」

くそ、俺を巻き込もうとしているな

「バカ嘘は休み休みにしろ」

「はっ、こちとら学校1の真面目な俺なんだぜんな事言わない」

「貴様らの会話は最初から全部聞かせてもらった…」

「うっ!?」

「月曜日からたっぷりとしごいてやろうと思ったが…気が変わった、今からみっちりしごいてやる!!」

「ぐっ、くそ死ねやっ!!」

掴んでいる手を振りほどき石井先生に向かって爆破を放つ、まだ生徒がいるのにとこでもお構いなしだなこのバカは

「へへ、どーだザマァみろ!」

勝利を確信した鬼豪だが煙から手が出てきて顔を掴まれる

「教員に対する暴言暴力に加え器物破損生徒恐喝!」

「うぐっ、生徒恐喝は違うだろうが」

「周りを見ろ、生徒が怯えているぞ」

「そ、それはお前のせぐあぁぁっ」

片手で持ち上げられミシャリミシャリと頭を握り潰される

「二度と出来ないようみっちり指導してやる…今日は帰れないと思えぇぇ!!」

その迫力ある声と威圧威厳、そして鬼豪を子供扱いするその強さ、クラス全員は思った

絶対に怒らせてはいけないと

石井先生は鬼豪の顔を掴んだまま生徒指導室へと向かう

「鬼豪よ安らかに眠りたまえ……」

手を合わせ合掌し

「さぁ帰ろ帰ろ」

俺は学校舎から出てバイクにまたがり麗女へと向かう

 

 

麗華女学院

気品に満ち溢れたお嬢様だけが通う超エリート女学院、その為外見も綺麗で華やかだ

バイクでかっとばし正門までやってくる

ほとんどが黒塗りの高級車に乗って登校している

恵華ちゃんは麗女が経営しているアパート、すなわち寮に暮らしている、1人暮らしが出来身の回りの事をやり自立できるという事も出来る為親には喜ばしい…らしい

「そこのあなた」

ここで1人の気品溢れる女子生徒に声をかけられる

「……俺か?」

「そこにいられますと生徒達がご迷惑になりますので、お引き取り願います」

うむ、言葉使いまで上品だ

「あ~…なんといいますでしょうか、ちょっと人を待っているのでして、あなたさまは麗華女学院の生徒ですよね」

ここは俺も丁寧に上品な言葉使いで対応する

「そうですが」

「愛川恵華さんは存じられますでしょうか?」

「愛川さんでしたらまだ校舎内に居られますわ」

手に持っている紙を見ていう

「そうでございますか、でしたら呼んでくだされば嬉しいのでございますが?」

や、やばい言葉があやふやになってきて俺自身何言っているかわからない

この用な口調のせいか、その女子は笑う

「…なにかおかしなことをいったでございましょうか?」

「いえすみません、あなた様のようなお方がこのような口調をすると思うと」

確かにバイクに乗っているヤンチャな学制服を着た男がこのような口調をすれば誰だっておかしいものだ

「そうでございましょうか」

「それに使いなれてませんね、少しぎこちないですよ」

「そ、そうでございましょうか?」

「はいとても面白いです」

「そりゃどうも…あっ」

ここで普段の口調に戻ってしまう

「失敬、失礼しました、そうでございますか…良いお言葉として受けとめさせていただきます」

なんとか立て直し

「あなた様もとてもユニークで楽しいお方ですね」

誉められたので誉め返す、嘘言ってないから事実ね

「ありがとうございます」

と会話をしていると

「あっ、龍我くん待たせてごめんなさい」

恵華がやってくる

「恵華ちゃ、さんこんにちは」

「あれれ?どうしたのですか龍我くんその喋り方」

「ここは麗華女学院ですからこちらも無礼の無いような喋り方を」

「ここはそのような喋り方をしなくてもいんですよ」

「ほえ?ですがそちらのお方は」

「校外の人と喋るのですから敬語ですよ」

「…そうなのでございましょうか?」

俺は先程会話をしていたお嬢様生徒に聞く

「その辺の事でしたら皆様それぞれですので」

「なるほどですね、ありがとうございました」

なんか恥ずかしくなってきたのでその場から逃げたいという衝動にかけられる

「行きましょう恵華さん」

ヘルメットを恵華に渡しバイクの後ろの席に座ってもらう

「ではお仕事中失礼しました、それではご機嫌よう」

そう言いバイクにエンジンをかけ

「恵華さん、しっかり捕まってください」

「はい」

「それでは行きます」

出来るだけ音を出さず静かに麗華女学院かを後にする

 

 

 

「は~…疲れた」

車庫にバイクを停めヘルメットを外す

「龍我くんのお嬢様お似合いでしたよ」

「やめてください恵華ちゃん、俺とても恥ずかしかったですわ…あっ」

しまった、まだ残っている

「可愛いですよ龍我くん」

「うわあああぁぁぁっ」

今日は災難だ、恥ずかしい

「ここが龍我くんが暮らしている寮ですか」

「あぁ、こっちか食堂と浴場、俺達は上の階で暮らしているんです」

「5階建てですか」

「俺の部屋は5階の一番隅の方ですから多少遠いですぞ」

「大丈夫ですよ」

「なら行きましょう」

5階へ向かう為階段を登る

「ここが俺の部屋だす」

鍵を開け部屋へと招く

「ちゃんと整理されて綺麗ですね」

いやそれは多分モノが無いからだろう

「そちらの部屋はどうなの?」

「ここよりも少し広いですね、壁紙と家具以外後は同じです」

なるほど、やはり良い部屋なんだな

「てすけど1人だと寂しいですよ、ご飯の時も1人ですから」

まぁ1人暮らしだからそんなもんだろう

「ですから今日は沢山料理作りますよ」

「あぁ嬉しいね」

「はい、ですから残さず食べてくださいね」

「うん、でも台所小さいよ」

と小さ台所を見せる

「私の所もこんな感じですから心配あいません」

絶対に嘘だ

「でもオーブンが無いですからケーキが焼けませんね」

やっぱりね

「あ、そういや食材が無いな…」

「じゃあ買いに行きましょう」

「そうだな、行くか」

俺は鍵と財布を持つ

「歩いて行きましょう」

「え?遠いよ」

「偶には歩かなくちゃダメですよ」

ぬっ、俺が歩くのを嫌いなことを知って、痛い所を…

「そうだな、歩くか」

「はい」

なのでバイクの鍵を置いて出る

部屋の鍵をしっかりしめてと

「今日何作ってくれるの?」

「そうですね、龍我くんは何を食べたいですか?」

俺の意見を聞いてくれるなんて嬉しいぜ

「オムライス食べたいな~」

「分かりました」

「後ハンバーグと肉じゃがと~」

と、食べ物の話や学校生活の話をしているとスーパーへとつく

「まずはお野菜を買いましょう」

今日で買った材料を食べ尽くすからそんなに入らない、ましてや野菜だ農業の俺にはいらないものだが今何1つ実っていない、だから買うのである

「おっ、今日卵の特売品だ、安いな」

オムライスを作るのでタイミングが良くて嬉しい

「そうですね」

「肉はどうする?」

「そうですね~、ハンバーグ用のひき肉と明日の」

うむちゃんとよく考え買う、しかも値段を抑えてだ、主婦の鏡なり

「ちょっと買い過ぎちゃいましたか?」

「そんな事ないさ」

3000円ちょっとの買い物、恵華ちゃんのご飯が食べれるならばこんぐらいどうってことない

「龍我くん荷物持ちますよ~」

荷物全部持っている俺に気を使う、男が思いっきり荷物を持つものと考えていた俺にそのよう言葉を…なんて良い性格なんだ

「大丈夫だって、これくらい」

「そうですか?とても重そうですよ」

「へーきへーき」

橋を渡ってある時だ、何やら騒がしいな

「おい、子供が橋から落ちたぞ」

「きゃぁ、子供が溺れちゃう」

「誰かうちの子供を助けて」

「恵華ちゃん、頼んだ」

「龍我くん」

俺を荷物を置き、川へ飛び込む

目の前に溺れ流されている子供がいる、くそ、追いつけん

もがいていた子供だが川へと沈む

くそ、助けしたらぁ!

俺は沈みやすくするため息を全て吐き出し潜る

息は長く持たないがんなの知ったことかよ

潜り泳ぎようやく子供の手を掴む、あとは浮上するのみ

子供が死なないように全力で浮上し

ザッパアァン

「はぁ…はぁ…はー、しんど…」

近くの岸に子供を乗せ俺も上がる

「ガハッ…ゲホッゲホッ、カッ」

幸い子供は息をしていたし

「龍我くん」

恵華が駆けつけてくれる

「こいつ、頼む」

「はい」

恵華は泣いている子供を保護する

「はぁはぁ、ちょっと水泳するには時期が早かったな」

その子供の母親とやじうまがやってくる

「ありがとうございますありがとうございます」

「気にすんなや…次は気よつけなよ」

「はいありがとうございます」

「いいぞ少年!」

「格好いいぞ」

やじうまから拍手が送られる

「オラァ、見せもんじゃねぇんだとっとと消えな!」

んな鬱陶しいに極まりないやじうまを追い払う

「偉いですよ龍我くん」

「俺ぁ偉い事なんかしてねぇよ、これが常識なだけだ」

あーあ、全身びしょびしょだ、明日休みなのが幸いだな

「服脱がないと風邪引きますよ」

「こんな所で脱げないよ、後バカは風邪引かん、それより荷物は?」

「あ、置っぱなしです」

「荷物持って、帰るか」

「はい」

ちょっとしたことに巻き込まれだがまぁ気にせず寮へと戻る

 

 

 

「龍我、お前どうしたんだ?」

寮へと帰るとタイチと遭遇する

「ん?ちょっと泳いできたんだよ」

「泳いできたって、服つぶぬれじゃないか」

「だから言ったろ泳いできたって」

「泳ぐなら服ぐらい脱げよ」

「面倒なんだよ、それに文句言う前にはやく俺を部屋に入れろよ、さすがに服着替えたいわ」

「あぁすまない」

俺と恵華は部屋へと入る

「って、誰だあの女性は!?」

「俺軽くシャワー浴びるから待ってて」

「じゃあ私は紅茶を入れますね」

「ありがとう」

俺はシャワーしかない小さな風呂場へいき、軽く体を流す

「あ~サッパリ~」

黒のジャージを着て風呂から上がる

「龍我くん髪の毛塗れてますよ」

「ん?後は自然乾燥だろ?」

「ダメですよちゃんと拭かないと」

バスタオルで拭いてくれる

「ドライヤーもして」

「いや、そんな女々しい事」

「やりますよ」

「い、いやでもドライヤー無いしさ」

「そうですか…でもちゃんと拭いてくださいよ」

「は、はい」

ここでドアからノックの音聞こえたので開ける

「龍我…?」

相手は優香、手には何か紙を持っている

「なんだその疑問系は、正真正銘俺は桜義龍我だぜ」

「い、いや髪型が違うからさ、見間違えたわ」

風呂上がりの俺の髪形はオールバックのような形になる、鬼豪からは似合ってるからそれにしろよと言ってくるが俺はセットがめんどくさいしそもそもセットの仕方が分からないのでやらない

「そうか、で、なんの用?」

「龍我プリント教室に忘れちゃってるから届けたのよ」

「おぉそうか悪い悪い、ありがとうな」

「どういたしまして」

優香からプリントを貰い

「んじゃっ!」

優香と別れ

「龍我くんのお友達ですか?」

「あぁ、後で紹介する」

プリントを置き部屋へと戻り

「今日の紅茶はリゼですよ」

うっ、初めて聞くやつだ、恵華ちゃんとは長い事紅茶を飲んできたがここで新たな種類が出るとは…紅茶種類多っ!?

濃い茶色の紅茶、とりあえず飲む

うむ変わった味だな…

「珍しい紅茶なんですよ」

「へー、だから聞いたことがないのか」

「龍我くんは確かヌワラエリアがお好きでしたよね」

「あぁアレは美味しかったな」

「今度持ってきますね」

実際俺は紅茶よりもお茶が好きなんだよね、緑茶とか、でもまっ恵華ちゃんが紅茶を教えてくれたから今は五分五分である

「そろそろ飯作らないと食べる時間遅くなるな」

「そうですね、すぐに作りますから待っててください」

「いくらでも待ちます」

と待っていると再びドアからノックがするので出ると今度はタイチがいる

「おータイチ、どうした」

「さっきの女性は誰か気になってな」

「愛川恵華ちゃん、今飯作ってっから手がはなせ」

「愛川恵華です、よろしくおねがいします」

恵華が龍我の肩の上から出てくる

「恵華ちゃん、調理中じゃ」

「まだ下準備ですから」

「九道蓮です、よ、よろしく」

「はいよろしくです」

恵華の天使のような微笑みに一瞬みとれる

「っつーかけだ、忙しいからまた後で」

「蓮くんも一緒にご飯どうですか?」

「恵華ちゃん」

「みんなで食べた方が美味しいですよ」

「ん~…飯食べたか?」

「これからだけど、というかお前を誘おうと来たんだが」

「しゃーない、あがれ」

「いや、今下で優香を待たせているから」

「優香さん?さっきき来た人ですか?」

「あぁ」

「その人も招待したらどうですか?」

「いや、この部屋で4人はちと狭いしなによりテーブルがな」

「俺の所から持ってくる」

「…仕方あるまい、呼んでこい」

「でも本当にいいのか?」

「作る本人が言っているんだ、だから良しだ!」

「…そうか」

ってな訳で

「愛川恵華です、よろしくおねがいします」

「な、夏目優香ですよろしく」

優香も恵華の微笑みを見ると少し顔を赤くする、照れてる

「料理なら私も出来るから手伝おうか?」

「はいお願いします」

「手伝うって、こんな狭い台所じゃーな」

「なによ、IHなら全ての部屋についているんだから大きくしようと思えば出来るのよ」

「よし持ってくるぞタイチ」

タイチの部屋にあるIHとテーブルを持ってくる

「器は食堂から持ってくる」

「ご飯は?」

「食堂からだ、タイチはようこい」

IHをセットしテーブルを置き食堂へ向かい大量のご飯を貰い器を借りる

「6合ってかなりあるぞ」

「4人だから少ない、それに恵華ちゃんの飯は旨いからすぐに無くなる」

「そうか」

俺らがやることを終えたのでテーブルにつき飯がくるまでくつろいでいると

ドンドンと再びドアから音が聞こえる

「タイチ出ろよ」

「お前の部屋だろ?」

「……仕方あるまい!」

俺は立ち上がりドアを開ける、今度は氷堂がいる

「ゆ、夕ご飯はもうた、食べたのか?」

「あ~…どうした?」

「その…奢る約束…」

「んなしたっけ?…まぁいい、んなことせんでもええからダチと飯食べてろ」

「そ、そうだな、そうだよな」

「ならとっととかえべはっ」

俺の頭に凄まじい衝撃が走る

「コラ、女性からのご好意なんだからちゃんと受けとりなさい」

犯人は優香だ、手に持っているフライパンが何よりも証拠

「つぅ~…さすがにフライパンは痛いぞ」

「フライパン?素手よ素手」

「なっ!?」

「そんな事より氷堂さん、龍我が失礼な態度を取ってすみません」

「いや、気にすることはない」

「なんで下からなんだよ、強きで行け」

「1学年長で1学年長の寮長だからね」

「なぬ」

「優香さん、何もそのような態度じゃなくても」

「そう?じゃあ氷堂、私のことも呼び捨てよろしくね」

「わかったわ」

「どう?ご飯まだなら食べていく」

「うおい!ここ俺の部屋、勝手に招くな」

「いいのか?」

「いいのいいの、作り過ぎちゃったから」

「ならお言葉に甘えて」

「俺の話を聞けえぇっ!」

んで

「狭いな」

「あぁなんか狭いな…肩身が」

男2人に対して女3人、人数で負けている

「…勇も呼ぶか?」

「あいつ実家通いだから」

「くっ…」

おかしいな、最初は恵華ちゃんと一緒にご飯食べる予定だったのがタイチ、優香、氷堂と増えていっている、これじゃあゆっくりとした時間が過ごせない

「これ全部2人で作ったのか?」

「あー、大半は恵華かな?私はどちらかというと足を引っ張っていたような……はぁ」

「そんなことないですよ、優香さんに手伝って貰ったおかげではやく終わりました」

「その言葉が救いなのか痛いだけなのか…はぁ」

同じ高校生だというのにここまで料理技術の差があるとは、とてもショックな優香

「せっかく料理も温かいのですから、温かいうちに食べましょう」

「…そうね」

向こうは向こうで楽しんでいるから別にいいか、まっ、友達紹介としてはよかったな

「どうしたのですか龍我くん」

ぼーっとしていたのか恵華に声をかけられる

「ほえ?」

「沢山作ったので食べてください」

「とーぜん、美味しく頂くよ」

両手を合わせ

「いただきます」

「あら、龍我ってそういうのしっかりやるんだ、意外」

「バーロ、当然の行為なんだから意外とかいうな、やらない方が意外だ」

「まっ、そうよね」

「そもそも食事とは」

「あー、はいはい言いから食べて食べて」

俺のありがた~いお言葉をあしらうとは流石は優香、そして、くそ、なんてやつだ

「お、美味しい…」

「ありがとうございます」

タイチの一言に感謝の言葉を言う恵華

「当たりまえだろ、まっ、不味いって言った矢先俺がその舌引っこ抜いてやっからな」

「人の味覚はそれぞれなのに、とんでもないことを言うな君は」

「はっ、全ての万物が旨いと思える飯なんだよ」

「なんだそれは…」

「例えだ、例え!文句あるってことは不味いってことやろ、出てけ」

「龍我くん」

ここで恵華ちゃんが俺の名前を呼ぶ、こういう時に怖い声に聞こえるのは恐らく俺だけ

「…冗談だから黙って食べるのは嫌いだから喋って食え」

「いろいろ変わっているな、君は」

「ほっとけ」

「……それにしても、よく食べるわね」

「そうか?」

オムライスを食べパスタ(優香が作ったやつ)を食べ、ご飯2杯目を食べ3杯目に突入している俺に言う

「それだけ食べてその体型…羨ましいわ」

「アホ、こっちは良い迷惑だ、体重60kgにもいかないし体脂肪もニ桁いかない、迷惑過ぎる」

「動き過ぎなんだよ…きっと」

「まっ、燃費が悪いからな、これぐらい食べないと餓死だ餓死」

「燃費が悪い…か」

Aクラス戦で最後に見せたあの細身ながらも逞しい肉体、あれを見ればこの食事は当然とでも言えることであろうか?

「逆にお前らはそれっぽちしか食べないで良く生きていけるな、特に氷堂」

「私か?」

「俺と戦い勝った奴がんだけしか食べてないなんて、よく体がもったな」

「いや、そうでもないぞ」

「まぁええわ、ほれどんどん食え」

俺は目の前にあるハンバーグを食べる、うむ旨い

「まだ食べるのね」

その食欲に優香は苦笑い

「龍我くんは残さず全部食べてくれますから作りがいがあります」

「俺も恵華ちゃんの作る料理美味しいからつい食べ過ぎちゃうんだよね」

「そうですか?」

「そうなんです」

「あははははは」

「あははははは」

笑顔で笑う龍我と恵華

「なんか、凄い仲が良いってのはわかるけど…度を越えてるわ」

「それだけ親密な仲ってことなのでしょう」

俺と恵華ちゃんとの仲を偏見されたのに気づく訳がない、そのまま食事は終え

「ごちそうさまでした」

俺は料理全てを平らげ

「ふ~、食べた食べた」

「本当に全部食べたわね」

「ここまでとは…」

「食べ物を残すと食材と作った人が悲しむ、男桜義龍我 出されたものは全て食べる!!」

「君らしい発言と捉えておくよ」

「勝手にしろ」

「龍我くん明日はお弁当いるんですか?」

「ん~…どうだろうな、微妙なラインだ…」

「龍我、明日どこか行くのか?」

「ん?ちょっと居残りがあってな?」

「居残り?」

「本当は前の週にやる予定が俺学校に来れなくなっちまったからさ、明日やるのさ」

「何をするんだ?」

「ん?田植えだよ田植え」

「は?田植え?」

「農業科だからな、幸い土曜日だから助っ人として恵華ちゃんと柚子を呼んだんだよ」

「で、お泊まりと」

「その通り」

「え?お泊まり?龍我と恵華が?」

その事を知らない優香は驚いた様子

「ってことは…彼女?」

「彼女?まさか、んなわけ、恵華ちゃんとは家族だよ」

「か、家族!?ってことはけけけ、結婚?」

「何バカ言ってんだ、家族同時、兄弟の結婚はこの国は許してないだろ?」

「え?あれ?じやあ、恵華は龍我の姉?妹?」

「姉だろうな、一般で言う義理の」

「え?義理?」

「どういうことだ、恵華さん」

「龍我くんとは一緒に住んでいましたよ」

「住んでいた?」

「はい」

「…同棲?」

「違いますよー」

「なるほど、一緒に住んでいたか、だから家族か」

そうなると友達と彼女とかよりも家族と表現した方が正しい…のか?

「んな俺達の過去話してもつまんないから今の話しようや、恵華ちゃん学校はどうだ?」

「楽しいですよ」

「そっかー楽しいかー、でも結構校則厳しいだろ?」

「そんなことないですよ」

「そうなのか、麗女ってもっと厳しいものかと」

「え?麗女?麗女って麗華女学院…?」

「はいそうですよ」

「ってことは優等生?お嬢様?」

「そう言えば愛川って…確かあの愛川家と同じ名字な気がする、まさか」

このような善良過ぎる人柄、まるで天使を連想される者が一般市民な訳がない

「だぁ、んなくっそっカッタるい話はやめぇ!身分がなんじゃ!」

「そ、そうだな」

「でよ、学校ってやっぱり中も綺麗なんだろ?外見があんだけ立派ならな」

「はい、とても綺麗ですよ」

「授業とか難しいのか?」

「そうですね難しいです、音楽の時間にバイオリンとかありまして」

「ば、バイオリン…」

「本格的にお嬢様だな…」

「あれ、恵華ちゃん音楽は得意じゃなかったっけ」

「はい得意ですよ、でも24のカプ」

「あーはいはい、わかった。難しい曲を選んじゃったんだな」

「いえ、課題曲です」

「あ~、なるほどね」

「…どうした龍我」

俺の行動に?がついたのか、聞いてくるタイチ

「あれだ、恵華ちゃんなんでもできっから先生方に高く評価されてるんだ、だから特別待遇として更に上の課題をかせられることがあるんだ、勿論本人の為と思って」

「な、なるほど」

才能を拒ませないように無事開花させる為に先生方も必死なのである

「でもまっ、それを嫌がらず懸命に取り組むのがさすがなんだよな」

「なるほどね」

ニコニコ微笑む恵華を見る、ああ見えて影でコツコツと頑張る努力家て負けず嫌いであったりという意外性を知る

「そろそろ風呂入らんとマズい時間だな、優香、恵華ちゃんを頼んだ」

「え?でも部外者は…」

「大丈夫、恵華ちゃんは顔見知りだから」

「?」

「んで氷堂は、一緒に入って治して貰え」

「!?」

「俺らも入るぞタイチ」

「あ、あぁ」

解散し大浴場へと向かう

「あら恵華さん、遊びに来ていたの?」

「お久しぶりです柊さん」

寮主であり食堂、大浴場を管理している柊明乃と恵華が会話をしている

「龍我の所でお泊まりかい?」

「はい、お風呂使ってもいいですか?」

「あぁ勿論だよ、いくらでも使ってくれ」

「ありがとうございます」

とちゃんと自ら了解を得て皆の所へ戻る

「へー、本当に知り合いだったんだね」

「はい」

「結構顔広いんだね」

「そんなことありませんよ、龍我くんの紹介で知り合っただけですから」

「やっぱあいつは顔が広いわね、意外」

「………」

男湯

「す、凄いなその筋肉…」

「あ?そうか?」

「普通の高校生とは思えないぞ」

「あんま見るな照れるだろ、この体はあんまり見られたくないんだら」

「なんで、ムキムキだから恥ずかしがることないじゃないのか?」

「いや体細いしさ、ヒョロヒョロじゃん?こう見えているのは痩せているだかであって」

「……」

確かにそう言われると痩せている者はムキムキに見えるという事実はある、だが龍我は別である、痩せているからといってボディビルのような体になれるという訳ではない

もっとも金網を簡単に引き裂き、壁に穴をあけ、パイプ椅子を曲げ、体育館のドアを蹴り破るなどとそうそう出来るものではないがな

「……力んでみて」

「ふうぅん!」

バッキンバッキンの筋肉を見せてくる、上半身だけじゃなく下半身もしっかりと鍛えているからとてもバランスよく見える

やはり異常だ、そう思ったタイチであった

「凄い筋肉だな」

「だから痩せているだけなんだって」

そのことだけは譲れない龍我であった

女湯

「…優香さん恵華さん、最初に入っていてくれないか」

「え?どうしたの?」

「いや、ちょっとな…」

「あ…」

服を脱ぐのに躊躇いあるのを見て優香は思いだす、氷堂が今ボロボロだということを

「そっか、じゃあ私達先に体洗っているね、この時間だと誰も入ってこないし」

「あぁそうだな」

「行こう恵華」

「???」

優香と恵華が浴槽へ向かうのを見て私は椅子に腰をおろす

「………」

私の体はあの男せいでボロボロである、こんな姿誰にも見せたくはない

「こんな傷、無くなればいいのに…」

傷は深く消えることはない、私はこのままずっと1人でいる運命なのだ

しかしこのまま上がっているのを待つのは不自然だから入るしかない、傷はタオルで隠せばなんとかなるし、湯船は肩までつかれば気づかれずにすむ

幸い中は湯気で真っ白だ

2人が湯船に浸かってから体を洗い、浴槽は広いので距離をとって入る

「………」

「氷堂さん、どうしたんですか?そんなに暗い顔して」

恵華が声をかけてくる

「すまない、ちょっと人に肌を晒すのは苦手なのだ」

「そうなんですか」

「恵華、氷堂は他人に肌を見せたくないのよ」

「なにかあったんですか?」

「あー、アレよアレ…なんだろう」

「なんでしょうかね」

気づいている優香はごまかそうとしている、気を使ってもらうなんて、情けない、これじゃ必死に隠している私がバカらしく思える

「とにかくそっとしてあげて」

「そうですか?でも氷堂さん、心が真っ黒ですよ」

「!?」

「何か嫌な事があったんですか?」

「え?さ、さぁ、私はわからないわ」

「私で良ければ相談に乗りますよ」

恵華が私に近づいてくる

怖い、この傷を見たらどんな反応されるのか、怖い、この姿を見て軽蔑されるのが、怖い、このような私に同情されるのが、怖い、今の関係が崩れるのが、怖い、怖い…怖い怖い怖い怖いこわいこいわこいわこいわコワイコワイ

見られたくない…

「どうしたのですか?」

「こ、来ないでぁ」

私は声を上げ近づく恵華を追い払い距離を取る

「氷堂さん?」

「はぁ…はぁ…」

「恵華、やめなさい」

「氷堂さんの体…傷だらけ」

「っ!?」

見られた…距離を取る時立ち上がったからその時に…

「どうしたのですか、その傷」

この優しさが

「………」

「可哀相です…」

この同情が

「ですから」

「うるさい!」

そんな風に思われるのが嫌なの、ツラいの、苦痛なの、静かに…そっとしておいてほしい

「…こんな傷だらけの…私…嫌よね、失望した?」

こんな体見られれたら普通の扱いは絶対にしてくれない、そんなの耐えられない、私をみんなと同等に見てほしい

「大丈夫ですよ、その傷、治してあげますから」

意外な返答が帰ってきた

この傷を消す?薬を塗っても安静にしても何やっても治らなかったこの傷を、消えない傷を無くせるのか?

「触りますね」

恵華は私の体にそっと触る、全身に優しく温かい淡い光が包む

「………はい、終わりました」

手首にある切り傷も、体中にある痣や腫れ、傷後も完全に消えている

「…これは?」

「癒やしの能力です、心まで癒やすことは出来ませんが、このくらいのことならできます」

「恵華、能力者なの?」

「はい、いつの間にか身についていました」

「これで傷の事は心配しないでください、もし傷があったとしても嫌ったりしませんよ」

「恵華さん…」

「それに龍我くんも全身傷だらけですから」

「そう言えばそうよね、なんで治さないの?」

あの時見せた肉体、その仕上がりの凄さにも驚いたが無数様々な傷後も驚いた

「私も治したいんですけど、龍我くんがこの傷は俺の歴史であり俺の糧でもあるんだ!って言って治させてくれないんです」

「あー、なんか言ってそうだね」

「ですから気にしないでください」

「…………」

龍我、その傷どうやって出来たん?

あぁ?この傷?聞くか俺の歴史を

いや、やっぱいい

聞けよぉ!!…っとは言うが実は案外対したことないんだよね

勝手に落ち込むな!

となんか男湯から聞こえてくる、壁が薄いのか静かなのが原因なのかは知らない

「傷か…案外対したものじゃなかったのかもな…」

「そんなことないですよ、女の子にとって傷は致命傷ですよ!」

私の言葉にえらく反応する恵華

「今度怪我したら教えてください、私が治します…あ、でも命は治せませんから」

「…なんとなく知っていた」

「でも便利な力ね、私もそういうの欲しいな~」

「意外にそうでもないんだ」

「そうなの?」

「私、氷を操れるのはいいけど、暑さに、弱いんだ、だから」

氷堂はフラフラし湯に沈む

「あぁ氷堂さん」

「って、あれ素の能力だったの?」

と驚きながら溺れる氷堂を救いだし脱衣所へと運ぶ

「のぼせたんですね」

「それにしても能力が人体に影響するなんて…やっぱ能力なんていらない、平和が一番よ」

「そうですね」

ぐったりしている氷堂に扇風機を当て冷やす

しばらくして体調が少し良くなったので

「うっ…頭が痛い」

「大丈夫ですか~氷堂さん」

「あぁ、大丈夫だ」

「しっかしあの短時間でのぼせるたんて、夏はしんどいんじゃないの?」

「夏は私の敵だ、今年は部屋にこもっている予定だ」

「そしたら遊べないじゃないですか」

「遊ぶ?暑いのに?」

「はい、去年はプールに買い物に遊園地、水族館、海、山、キャンプもしました」

「沢山行っているな」

「はい」

「へーじゃあ今年はどこに行くか決まっているの?」

「まだですよ、決める時はみんなで決めますから」

「へー、行くなら私も誘ってよね」

「はい、氷堂さんも行きますよね」

「え、いや、私は」

「行きましょう」

「う、うん」

脱衣室を出ると龍我とタイチが腕相撲をしている

「ははは、非力だな」

「くっそっ、両手使っているのにビクともしない」

「はは、なら一緒に体鍛えて強くなろーぜ」

んであっさり倒す

「1回だけなら片手で最大32kg上がるからな」

「腕だけで」

「勿論、やる時は血管バキバキだけどな」

「とんでもないなお前」

「だろ~」

「…なにやってんのよ」

「おー、上がったか、いやーな、俺と腕相撲をしたいって言うからやったのさ」

タンクトップ姿なので腕をムキッとさせて見せる

「いつ見ても凄い筋肉ね」

「痩せているだけさ」

「筋肉は凄いのは分かったけど、その傷はどうしたの?」

「ん?この傷?聞きたいか俺の歴史を」

「いや、やっぱいいわ」

「なに!?…まぁそんな凄い話じゃないから別にいいんだけど」

と、風呂場のタイチと同じやりとりになってしまった、まぁ当然だろう

「さて、部屋ぁ戻るぞ~」

「そういやさ龍我」

「どーしたタイチ」

「恵華が泊まるなら、布団はどうするんだ?」

「布団…布団ねぇ…布団!?」

「どうした急に」

そういや、ベッドについている奴しかないんだった…まぁいいや、俺が床で寝ればいいだけだから

「いや、なんでもない」

「あ~明日6時起きはツラいな~休日の早起きはしんどいぜ」

「8時に学校集合ですよね」

「あ~柚子迎え行くのダルいな~」

「ちゃんと連れてきてくださいね」

「わかってるって…おぉそうだタイチお前も来るか?田植えに」

「田植えって、ドロだらけになるだろ?」

「大丈夫だって、作業着はあるから」

「いや、そういう訳じゃないんだけど」

「お!?もしや潔癖症か?ご苦労様です」

「違うって」

「泥が嫌だなんて情けないわね」

「だからそういう訳じゃ」

「いねー優香、来るか?」

「考えておくわ」

「まっ、来る気があるなら7時30分にドア叩けや、じゃっお休みぃ」

タイチと別れ、自分の部屋へと戻る

「…ありがとう…君達には感謝しきれない…」

突然氷堂が言ってくる

「あ?お前どうした急に」

「私を助けてくれたお礼さ」

「なんのこっちゃ、感謝するのは恵華ちゃんだけにしろ、少なくとも俺は部外者だ、じゃーな」

俺と氷堂と別れ部屋へと戻り、しばらく恵華ちゃんと雑談をしたが2人共夜更かしが出来ないのですぐに寝てしまうのであった

 

 

 

 

つづく

 


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