最強を目指して   作:匿名希望ただの人

100 / 167
光が届かない暗い場所、唯一の光は床に描かれている魔方陣が放つ不気味なものだけだ
そこに一人の少女が全身を特別な鎖で拘束され、天井に吊るされていた
「なるほど、やはりここにいたのか…カグヤ。」
黒のフードを被った者が牢を開け鎖を斬りその少女を連れ去った



これは龍我が誘拐を知る数日前の事だった。


奇襲敵襲激襲

 

 

星蘭学校

「どうだ間に合ったぞ」

チャイムと同時に窓からやってきたのは返り血で真っ赤になった上半身裸の龍我が町田を抱えている

他の世界を襲った化物達をたった一晩中で鎮圧した龍我、その背景には主人が来た事で戦姫がやる気になったからでもある

「別にまだいてもよかったのに」

町田は不満気である、なんせ仲良くなったティナ達と離れてしまったから

「バカヤロウ、家族や友達が心配すんだろ…それにお前は学生なんだから勉強してろ」

「あなたも学生でしょ」

「勉強してる暇はねぇ、はやくしないと手遅れになる」

「手遅れ…例のカグヤって人?」

「あぁ、あいつは重要な人物なんだ。もし居なくなれば世界の均衡が崩れ扉が解放状態になる」

「じゃ、じゃあここにも」

ついさっきまで第1世界の悲惨な光景を見てきたばかりだからどうなるか結果は見えている

「あぁ、どでかい扉が開いて化物共がやってくるだろ」

「!?」

「もっとも他の世界が黙ってないだろうがな」

「他の世界?」

「そうだ、俺の戦姫達を筆頭にこの世界へ来るだろう。勿論ティナ達も取り返しにくるだろうな」

「………」

「罪人には罰を、許されざる者には報いを。カグヤを拉致した奴ら全員、いや、この世界が滅ぼされるかもしれん」

「そ、そんなのあんまりだわ」

そいつのせいで他のこの世界が戦場になるなんてそんな酷い話があるか

「そうならない為に、探すんじゃねぇか…まぁ俺も犯人の出方次第じゃ破壊せざるを得ないが…。」

クラスの生徒達を見る、みんな何を話しているのか理解出来ていない、こいつらは何も知らずを殺されるかもしれないな

「手掛かりはあるの」

「カグヤは強大な魔力を持っている、その魔力を封じ込めるのは簡単じゃない…となるとだ」

龍我はある一つの考察があった、それは世界を旅に闇を知っているからこそたどりつくものだ

「この世界全員がグルなんじゃないかと俺は考えている」

この世界は国が多く生き残るために裏で独自に進化した技術や科学がある。実際にエミリアは魔力を封じ込まれ監禁されていり、ドラゴンなど屈強な生物を捕まえては強硬な鎖で拘束したりしていた

そして、それなの情報は決して他国へ流れない。つまりそいつらが協力して監禁しているのではないかと

「片っ端から脅迫する(聞いてみる)」

「私には脅迫するしか聞こえないわ」

「うっせ、時間が惜しいからもう行くぜ」

「何か手伝えることがあれば言ってね」

「おう、頼りにしてるぜ」

そう言うと窓から飛び立つ

 

 

 

 

 

 

 

その頃

「…………」

虎我は七番隊の本部の屋上で目を閉じ立っていた

(どこだ、どこにいる)

気を張り巡らせ世界中を探している、コイから聞いた時から既に探し始めているが手掛かりが何もないのだから、しらみ潰しに探す。すでに世界の5分の1を探し終えていた

(アルガトにもレオルドにもいない…ならどこにいる)

目の届かない場所にいるのか、だが俺が言った所は全てさがしている。俺の知らない場所など探すのはほぼ不可能、運命を操ればすぐに見つけられるが訳あってつかえない

(くそ、待ってろよカグヤ、すぐ助けてやる!)

「虎我さん、重大な情報が入りました」

そこへ高雄がやってくる

「なんだ」

「織田龍那が政府から重要人物を誘拐したそうです」

「龍那さんが?」

織田龍那、異界の化物を圧倒的力で倒し、数多の猛者相手に彼女が負けた事がないことから世界最強と呼ばれている女性

同然、虎我や龍我にも関わりがある

「その人が、虎我さんが見せた少女と似てます」

手に持つ写真を虎我見せる

「!?」

龍那に抱えられている少女、服はボロボロで顔も痩せ干せいるが、間違いない。カグヤだ

「これはどこで」

「聖英学園らしい、これが最後の目撃情報だ」

「聖英か」

あそこは政府に息がかかった教師もいる、なぜ危険をおかしてまで向かったのか、彼女が無駄な事はしない…聖英、カグヤ…

まてよ、今の聖英にはアルガトの王女がいたな。確か弟の知り合い、だけど亡命するには危険だ、ほかに…

「……ネーシャルムーン」

ネーシャルムーンのお嬢様、アリスがいたな。以前特別教師として学園でも会った事がある。

あそこなら龍我の顔もある、それに領土主のレースは確かカグヤを知っている。あそこなら国全体でかくまってくれるはずだ

虎我も信用している場所だ、だから探すのは最後にしておいたのが裏目にでたか、いや、そうだとしても多くの気が消えている、龍那さんの気も感じる、なぜ気づかなかった。カグヤだけの力を探して集中してた。なんてダメな神なんだ俺は

「ネーシャルムーンに恐らく向かっている」

「ネーシャルムーンだと!?」

「情報をありがとう、あとは任せた」

そう言うと虎我はそのまま飛び立つ

「ネーシャルムーンか…」

向かうにも距離が距離なので高雄達は行けない、その代わり、来ると思われる襲撃に備え準備している

上からの命令がなければ基本動けないのだが、そんなのは無視だ。そして恐らく最初に襲撃が会うのは龍我が通っている学校だ、姫華達は普通に通ってもらい何かあったらすぐに連絡してもらう。移動手段は空挺を使うので一瞬だ

「何もないのが、一番いいのだがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎我がネーシャルムーンへ向かう数時間前

「もう追ってが来たのか」

青色の瞳、高い鼻、整った顔立ちは読んで文字の如く『美』しい『女』

さすがは政府、情報収集がはやい

街の前で武装した軍人がいる、レースやアリスが説得をするも聞く耳を持たなかった、それどころか犯罪者扱いにされ宣戦布告もされたので龍那が急いで出向いた、それに街で争われ住民に迷惑をかけてしまわないようにとせめての気遣いでもある

「なるほど…この世界、ここを除く全部が協力者だったか」

ネーシャルムーンに来たそれぞれ違う軍服を着た軍人達を睨む、アルガト、レオルド、ドルツェ、クイナなど各国の戦力が目の前に立ちはだかっている、中には彼女と同じ軍服を着た者もいる。

アルガトとレオルドは冷戦で協力関係はなかったとは思ったが、まぁどうでもいい

「龍那、今すぐその子を返せ。今ならまだ間に合う」

「俺達もこんな時にあなたと争いたくない」

軍人は話し合い解決をしようとするが

「すまないが、彼女はお前達には過ぎた存在だ…元の場所へ帰させてもらう」

龍那は返す気などなく、速達する

「なぜ邪魔をする」

「邪魔だと?私はお前達を助けているのたぞ?」

「助けているだと!?ふざけるな、お前が拐ったせいで化物達が攻めてくるんだぞ!!」

どうやら、こいつらは知らないようだ。やっている事はその逆で、更に相手にはしてはいけない人物を相手にしようとしていることを

「お前達は、あいつがどんな人物か知っているのか?」

「詳しくは知らない、ただそいつがいれば世界は平和になれる」

「そいつの力が必要なんだ、さぁはやく!」

「そうか…なら、8年前に現れた破壊者をお前達にとめられるか?」

「!?」

8年前、突如現れた謎の男。姿をドラゴンに変え世界を一瞬で壊滅状態にした化物

「先に言っておくが、私はお前達に加勢はしない」

「なに」

「お前らが拐ったやつは破壊者の部下であり家族だ、あいつらは怒り狂っているに違いない……今度こそ滅ぶ」

「それを知ってなお取り返すなら、私を殺して奪え!!」

「…俺達は任務を遂行するまで」

「たとえ世界最強だろうと、闘うまでだ!」

「いけー!」

「うおおぉぉ!!」

一斉に襲いかかる軍人、手に持つ武器を振るい龍那を殺そうとするが、かすり傷すらつけることなく龍那に斬られていく

「数で押せ、やつの動きをとめろ!」

「街に入って探せ!」

こんなやつらを蹂躙するのは容易い、だが全力でやれば街に被害がでる、かといって街を守りながらだと苦戦は強いられる

加減をした龍那一人では街への侵入は防げない

「ここから先は通させない!」

アリスと武装した兵士が立ちふさがり阻止する

「貴様ら、世界を相手にする気か!」

「リューガ様やカグヤ様の為なら喜んで相手になりますわ!」

「いつまでも守られてちゃダメだ」

「俺達だってたまには力にならないとな!」

「こんなやつら、制圧して街へ入れ!!」

数百人に対しアリスは十数人、明らかに不利である

「神霊魔装具(アーティファクト)・狂なる氷魔の槍(グラディス)」

虚空から光の粒が集まり禍々しくも美しい槍を作り出し持ち構える

「はぁ!」

傷口から凍結しはじめ瞬く間に全身が凍りつく

「吹雪よ狂い荒れろ!」

高速で槍を振り回すと吹雪の竜巻が出来る、その寒さに体温が急激に低下し倒れる

「さすがアリスお嬢様!」

「俺達も前線にでるぞ」

「バカ、出たら死ぬぞ」

アリスの邪魔にならないように後方で待機している兵士、たまに突破してくるやつらをとっちめている

「ふっ、やるじゃないか」

アリスの奮闘を見て安心する龍那、これでこっちも集中できる

「どうした、サブレットやヴァニラはこないのか?」

「っ、あれは切り札だ!使うまでもない」

裏の仕事に主力となる者は使えないのは当然だ、つまりこいつらはただの寄せ集めに過ぎない

「はぁぁ!」

両手に斧を持った大男が龍那の背後から攻撃する

「どうやら雑魚だけじゃないようだな」

「フォッフォッフォッ、さすがに当たらないか」

「お前が出てくるとはな、ヒルファーザ」

周りには見たことのある幹部達もいる、この奪還にこれほど戦力をかけているのをみると相当必死なようだ

「龍那、お前が裏切るとは思わなかったよ」

「悪いが、ミナティブルになったつもりはない」

「その強さがあれば我々と一緒に全ての世界を支配できる」

「生憎、世界の支配なんて興味ない。あるならとっくにやってるさ」

「小娘が…!」

力任せに振る斧を受け止める龍那、そのまま押し潰す

「ここ以外の軍は全てミナティブルの支配下になる、圧倒的武力が終結する」

「普通の人間ならたいしたことない」

「どうかな…お前一人が強くても全ては守れない!」

ドォン

背後から爆発音がする、振り返ると街から火が上がっている

「くそ」

「この数相手に助けにいけると思うのか?」

街の周りにも兵士が守っていたに違いない、だから突破されたに違いない

街を戦場にするわけにはいかない、ここを離れる訳にもいかない

この状況に微かに焦りだす龍那

 

 

 

 

 

 

 

 

龍那が奮闘してる頃、街では

「制圧せよ!」

銃を乱射し兵士だけでなく無抵抗な市民も撃つ

「目標は城にいる、進め!」

ネーシャルムーンが使う体術はこの世界で右に出るものはないと言われるほど強い、地の理を利用した戦術は敵に回すと厄介である

だが、この国では銃や爆弾などの兵器は使用しない、飛び道具は弓がいいところだ、相手の銃に苦戦しどんどん攻められていく

魔法が使える数少ない兵士が攻撃魔法で対抗するがアルガトの防御魔法や対魔法にくつられた盾で防がれてしまう

体術も魔法も優れたネーシャルムーンでも世界の技術相手では手も足も出ない

「くそ、このままじゃ攻め落とされる」

「ぐわっ」

次々と倒れていく兵士達、迫り来る兵士達をなぎ倒す大男

「大丈夫ですか、みなさん」

獣の毛皮で作った胴着だけ身につけた上半身裸の大男が笑顔で振り向く

「イエスマンさん!」

「シロモフ・イエスマン、貴様も邪魔をするのか」

「ここは私の故郷、守るのは当然です」

問答無用で銃を連射するが一切動じることなく前へ進む

「そんなものでは私を殺せませんよ」

「対異界用の銃を持ってこい相手はモンスターだ、生半可な攻撃じゃ倒せない!」

「ここは私に任せて、みんなを避難させてください」

「わかりました、無理しないでください」

「オーイエス、出来るだけ頑張ってみます」

兵士達を見送るシロモフに背後から放たれたロケットランチャーを掴み空へ投げ捨てる

「北の大地で鍛えられしこの肉体、この精神、この技…とくと御覧いただこう!」

 

 

 

 

 

 

 

「城を攻め落とせ!」

「目標はこの先だ!」 

城の塀壁は爆弾でも傷一つつかない、窓は少なくあっても梯子がないと届かない所にある、突入するには頑丈な門を破壊しなければならない、ここまでくると城というより要塞である

その中で街の人々が避難している、兵士達は門の前で突破された時の為に待機している

「大丈夫です、私達がお守りします」

プラチナブロンドの長い髪や顔つきなどアリスに似た清楚な身なりをした女性レースが少女を抱き締める

「………」

ボロボロな装飾着をみにつけた長い緑髪の少女、カグヤは顔を青くして震えている

「カグヤ様」

「何者だ!」

声がした方へ槍を構える。ここは王室、この2人以外は中にいない

「ま、待って、待って、私は敵じゃないわ。味方よ」

両手を上げてその場に座る一人の少女、特に武装をしている訳でなく庶民的な服装で軍人には見えない、だがそう装っているのかもしれない。

(敵か、味方か、油断はできないわ)

「…天明ちゃん?」

その少女を見てカグヤは目を見開く

「わかりますか、カグヤ様」

「…カグヤ様、知り合いですか」

「はい、私のお友達です」

「……」

槍を置き静かに座る、敵ではないと確認したのだろう

「どうしてここに」

「この世界が私に教えてくれました、助けてやってほしいと」

「レース様、聖皇様にお願いをして微力ながら援軍に来ました。」

「外では武能の人達が戦ってくれています、あと少しでタイガー様もリューガ様も来てくれます」

「本当ですか」

「はい、私達はそれまで足止めをします…私も僅かながらお力になります」

天明の足元に魔方陣が描かれそこから淡い光が放射線状に広がり城をつつむ

「なにをした」

「結界をはりました、これなら本気さん達も全力で闘えると思います」

「これは…守霊結界?」

「はい、私も天津神家の者ですから」

「結界…」

「頑張ってください。みなさん」

そこ頃城の外では

「お?天明が結界を張ったみたいだな」

「これで守りは完璧ですね」

2人の女性が城を覆う光を見て言う、一人は黄色でボサボサの髪の毛で豪快な女性でもう片方は黒髪の清楚な女性。

「当たり前だ、天明が張ったんだぞ」

黒い鎧を身につけた男が槍を振り回し敵を一掃する

その他12名は全員龍那と同じ軍服を着ている、そしてそいつら全員能力者である

「鷹田、やり過ぎるなよ島が崩れる」

「わかってるよ!先輩!!」

「武能風情が、十二将に勝てると思うな!」

「何が十二将だ、代が変わって無法化したチンピラが…正義の味方に勝てると思うようになよ」

「それは俺達がやめたからって聞こえるぞ、花道」

「そうだろ、高雄と侠志郎以外全員あいつらの駒になったんだぞ」

「そうだな、お前が敵にならなくてよかったぜ」

「そうだろぉ!」

「喋ってないで戦え!」

敵陣に入り次々斬り倒していく、この人数差となると飛び込んだ方が銃で射たれにくいし、接近戦を得意とするので戦いやすい、そして能力による仲間入りへの被害がでにくい。

「大震波」

大気を揺らしできた衝撃が敵を吹き飛ばす

「おっと!?」

振り返り様に剣を振られ横へ飛びかわし距離をとるが周りのやつらから攻撃される

さすがは世界の精鋭達だ。連携がとれた攻撃をしてくる、各国から集められたから疎かと思ったのだがそうでもなかった

持久戦になれば明らかに不利、短期決戦を狙ったがそう上手くいかない、せめて切り札到着までの時間稼ぎだ

「な、なんだ?」

突如現れたに剣を握りもう片方は腕そのものが砲になった、足がなく上半身だけの悪魔が浮いている

「まさか!?異界の敵か!?」

「ォ、ォォォ…ォォオオオッ」

地を這うような呻き声と共に手に持つ禍々しい剣を振るい暴れ始める

「射て、やつをしとめろ」

悪魔は砲に力を溜めエネルギー波を放ち射撃部隊は一瞬で壊滅する

「なっ、なんてやつだ」

「ヒメ、マモ、ル、ォォォォッ」

「おい、まずいんじゃないのか!?」

「倒すか」

「まて、様子がおかしい」

見境なく攻撃する、だがあいつは城をねらう者だけを倒している

ズウゥンと空から巨人が落ちてくる、6つの目をした城を優に越える巨体、手には巨大な異形な形をした大槌をもっている

「ウオオォォォォッ」

雄叫びをあげるだけで軍隊は吹き飛んでしまう

「おいおいおい、攻めてきてるぞこれ!」

「こんな時にくるなんて、まさかカグヤってやつは本当に」

6つの目かギロリと城の方へやると不適切に笑い大槌を振り落とす

「!?」

意外にもその大槌を止めたのは悪魔だ

首を縦に振るうと、今度は下にいる人々に目をやり巨大な足を上げて踏みつける

「こいつら、なんでか知らんが城を守っている」

「じゃあ、助けてにきたのか?」

「さぁな」

「御主人様にかわりカグヤ様を迎えにまいりました」

この場に不似合いなメイド、セツナが現れる

「お前は確か龍我のメイド」

「御主人様が御世話になっております、ここからは私達にお任せください」

「そういうことだ、後は私達でケジメをつける」

セツナの外に5人の女性が現れる、そして悪魔や巨人と一緒に戦いだす

武器を捨て逃げ出す者にも容赦なく攻撃する、どうやら誰も許す気はないようだ

「あーあ、私達の出番少ないな~」

「まーでもあのままだったらまずかったしな」

「あらあら、情けないわね。鷹田ちゃん」

黒く長い髪にそこからピョコンと耳があり、胸元が大きく肌蹴た着物を着たモフモフの尻尾を九つはやした女が空から降りてくる

「おー、仙狐…尻尾くれよ」

「あげないわよ、こんな時によく冗談が言えますね」

「まーな、それでお前の御主人様はどうした?」

「もうすぐ来ますよ、随分怒っているようで」

「鷹田、知り合いか?」

「龍那さんの所に夜獅と鴉魔が行ってます、」

「クリュゥとオニキシがいってるのでもう安心かと」

「そうか、助かった」

「…まだ安心するのははやいですよ」

「えぇ、私達が来たのはカグヤ様の迎えと害虫の駆除ですから」

「害虫?」

「異界の化物ですよ」

「その前に、御主人様にこの世界を破壊されなけばいいのですが」

「判断は御主人様、私達はそれに従うまでです」

「ほら、来ましたよ。」

「カグヤはどこだあぁぁぁぁっ!!!」

虎我が声を荒上げる、それに戦っている者の手がとまり全員がその方へ顔を向ける

「お前達、デストラクションに喧嘩を売るとはいい度胸だ…」

鋭い視線で見られた者全員が恐怖し誰も動けない、虎我から発する闘気にほとんどの人がその場で倒れる

「覚悟、出来ているよな?」

 

 

 

 

 

 

 

「なっ、なんだあの化物は!?」

街に現れた巨人に動揺する軍人達

「ふっ、どうやら間に合わなかったようだな」

「異世界の敵か!?貴様が渡さないから取り返しのつかないことに」

「これはお前らが招いたものだ、そもそもカグヤに境界を操れる力は無い、ただ全てに混乱と巨大な敵をつくっただけだ」

「そ、そんなバカな、それでは俺達がしたことは」

「無駄な事をしただけだな!」

何者かがヒルファーザをグシャンと踏み潰す

「カグヤちゃんを拉致したやつらをぶっ殺しに来たぜ」

黒髪に両肩を出し胸元を露出した際どい着物を着こなす2本の角をはやした女が龍那を睨む

「おっと、主の奥さんじゃないか!よっ!」

「久しいな、オニキシ…来るのが遅かったな」

「色々あったんだ、お前こそこんな雑魚相手に苦戦してるな」

「本気で戦えば被害は大きくなるからな」

「なーるほど!」

「無駄な喋りはそこまでだ」

「そうだな、龍那はそこでお嬢ちゃんを守ってな」

息を切らしているアリスに指をさす、長い時間世界の軍と戦い抜いた彼女の実力はなかなかのものだ

「ここからは私達の番だ」

「さぁ喧嘩だ、どっからでもかかってこいや」

「オニキシ、酔ってないな…酒でも飲め」

緋色の瞳に長い青髪を後ろで結んだ凛とした顔つき、背中が肌蹴た純白のドレスと白銀の頭当てをつけた女性、華奢な手には自身より巨大な戦斧を軽々しく持っている

「怒り酒は嫌いなんでな」

「そうか、ならほどほどにしろよな」

「よっしゃあぁぁっ!!」

「私も混ぜてもらうか!」

「私もいるよ~」

白髪の目付きの鋭い女性と黒髪の白の翼を羽ばたかせ降下してくる女性

「おい夜獅、鴉魔、私の獲物だ!邪魔するな」

「なら、早い者勝ちだな」

「面白い、どっちが多く倒せるか勝負だな」

「いいね、勝負いいね!」

瞬間凄まじい爆音がし地面が抉れ軍隊はほとんど壊滅状態になる

それには龍那は頭に手を当て思わずため息を出してしまう

「あれ?もうおしまいか?」

「手加減してのだが」

「力加減もできないのか!脳筋!」

「脳筋!脳ミソ筋肉!脳筋!」

オニキシとヤシに呆れたように言うクリュゥとカラスマ

「なっ!?」

「カラスマ、お前まで」

「せっかく龍那が気を使ったのに台無しにしやがって」

「龍那ちゃんかーわーいーそーおー!」

「わりいわりい」

「ダイヤがいるんだ、元に戻してもらおう」

「…今日のごはんなし」

「さんせー!」

「ちょっとまて」

「それはない」

戦場で和気あいあいと話している4人、その圧倒的力に戦意は完全になくなった

「なっ、なんなんだこいつら」

「勝てる訳ない」

「うわあぁぁ」

一目散に逃げ出す、どんなに忠義があっても目の前の強風には勝てない

「あ、逃げた」

「殺すか」

「オッケー!サクッと終わらしちゃうよ!」

カラスマが翼を羽ばたかせる

「まて、やつらから話を聞きたい。生け捕りだ…特にあの白の甲冑をつけた女はな」

「オッケー!」

龍那の指示に従い、その女を捕まえ戻ってくる

「な、なにをする、はなせ!化物」

ジタバタもがく女、涙を流し必死に抵抗する

「化物?ひどーい傷ついた」

「化物」

「化物」

「化物」

「鶏肉」

「唐揚げ」

「鳥頭」

「「「バカラスマアホ~!」」」

「みんなひどーい!」

3人から罵倒される、最後なんか打ち合わせをしたかのように息ぴたりだった。さすがのカラスマも涙目でいじけていた

「よくやったカラスマ」

そんなカラスマの頭を優しくなでる龍那

「私の事を誉めてくれるのは御主人様と龍那ちゃんだけだよ~」

「よしよし」

「甘やかしてもダメだって、厳しくしないと」

「そうそう、タイガーさんはみんなに甘いからな」

「私らで教育しないと」

「教育じゃないよ、いじめだよ!怒るよ!」

「冗談冗談」

「三歩歩いて忘れろ」

「キーッ鶏じゃないもん、白鴉だもん八咫烏だもん!」

「そういやここではタイガーさんのこと八咫烏ってアダ名あるんだぜ」

「本当に?かわいそー」

「どういう意味よ!」

仲良く会話している4人、それを無視して龍那は捉えた女、ミルスに尋問している

「お前達のボスは誰だ?」

闇に関わってきたがミナティブルのボスの正体はほんの極一部しか知らない、だがこいつは幹部で顔が広い、恐らくボスが誰なのか知っているかもしれない

「し、知らなぐわあぁぁっ」

ミルスの腿に剣を突き刺す

「次は抉る、その次は指から順に切り落とす」

「…………。」

それでも喋ろうとしないミルス、宣言通り腿の肉をえぐりとる

「ぎゃああああっ」

「次は斬るぞ、手遅れになる前に答えた方がましだ」

それでも沈黙するミルス、知らないなら訴えるが沈黙するということは知っているに違いない、ここは容赦なく斬らせてもらう。恨むなら自分の運命を恨め、自分達がやったことを呪え

「!?」

突然、空が暗くなった

空を見上げると巨大な赤い龍が島の周りをグルグルと回っている

その姿に逃げ出した奴らはその強大な恐怖に動けなくなりその場でうずくまる

「一足遅かったな、グラハハハハ」

龍は龍那達が集まる所に顔を近づける

「御主人様、鎮圧いたしました」

クリュゥは片ヒザをつき頭を報告をする、他の3人も同じようにすわっている

「御苦労、忙しい中で急な召集に応じてくれて感謝する」

「御主人様の為なら喜んで参上いたします」

「ん~…お前か、ワシの大切な国を襲ったのは」

「あっ、あぁ」

ミルスも声もまともに発することができない

「グラハハハハ、レースから聞いたぞ、ネーシャルムーンに宣戦布告したそうじゃないか」

巨体をうねうね動かし島の周りを軽く一周する

「面白いな、ワシの大切な家族に手を出して挙げ句の果てには宣戦布告……。」

城ではネーシャルムーンの民や悪魔や巨人、セツナ達が龍の前に頭を下げている

「望み通り喧嘩を買ってやるよ!さぁ世界の終わりを始めようぜ!」

咆哮と共に高らかに宣戦布告を宣言する

「まて龍我、その相手の場所がわからないんだ?」

その龍の頭上に乗っている龍那が言う

「…げっ」

「げっとはなんだ、愛する妻に向かって」

「降りろ化もいてててっ、刺すな刺すな」

龍の頭に剣を何度も突き立てる龍那

「こんな時に夫婦喧嘩するな龍我!」

虎我が飛び上がり龍の頭上に乗る

「兄貴、こいつが俺の威厳をぶち壊した!いい雰囲気だったのに!!」

「黙れ、喋るな」

「はい」

「龍那さん、相手がわかりますか?」

「ミナティブルだ、だがどこにそのボスがいるのかわからない」

「ミナティブルか…確か全世界を支配してる組織か」

昔そいつの事で事件を巻き込まれた事がある虎我、戦力は壊滅さてたのだが結局は解決にはなってない

「…聞いた事がある。たしか統華とかいう奴だ」

「…なんだと?」

「なぜ知っている」

「昔、神代から聞いた事がある、統華という奴が裏で世界を牛耳っていると」

「なるほどな」

「ちょうどいい、神代の親を殺したやつだからな。そろそろ殺す予定だった手間が省けた」

「統華って、まさか」

「あぁ、武能と十二将をつくった愛川統華…シャアにも行ったことがあるあいつなら、カグヤの存在を知り拐うこともできる」

「なら、場所は八雲島だ」

「行くぞ!!」

「ウオォォッ」

龍に巨人が掴み飛び上がり股がる

「ギガドラ、お前は留守番だ」

「ウガッ」

大巨人ギガドラは悲しそうに龍からおりた

「レース、アリス…すまないがカグヤを頼む」

「わかりました」

「セツナ、任せたぞ」

「仰せのままに」

「いいのか伊達にい、いかなくて」

「バカ言え、俺達にはカグヤ様を守る聖皇様の命令があるんだ、放棄できねーよ」

「そうか」

「きっちりケリつけろよな!」

「任せろ!」

「お土産よろしく」

「相変わらずだな鷹田、任せろ!」

「いくぞ!」

龍は天高く飛び上がり八雲島めがけ凄まじい早さで飛ぶ

「あれが龍我か、見かけによらないなー」

「人間の姿は可愛いのにね」

「つまらんこと言うな、ほら街の復興手伝うぞ」

「まだ襲撃があるかもしれないのに?」

「怪我人の手当てだ、見ろイエスマンは薬草を取りに山へ行ったぞ」

「なに!?イエスマンが?私もいこーー!」

「バカまて、大河、鷹田、お前ら迷子になるだろ!」

「山は私のホームグランドだぜ」

「なー!はははは」

「夜空はセツナさんと手当てに回ってくれ、俺達見張りだ」

「ウガガガッ」

ギガドラが雄叫びをあげ近くにあった岩を投げる

「…………どうやら、第2ラウンド開始のようだな」

その先には空間から亀裂が入りそこから何か出てきている、それも大量に

「こっからが本番か…気合いいれてけ!」

「うおおおぁぉぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

星蘭高校

「来たわね、化物」

生徒会室から空に出来た亀裂を見る姫華

「会長、七番隊に連絡は」

「したわ」

まぁ反応なしだけどね。きっと向こうも気づいて行動を移したのだろう

「やろう、姫華」

「えぇ、自分達の世界を守れないで倒せる訳ないわ…必ず勝って生きて残りましょう」

「はい」

「そうね」

既に避難の放送が街中に流れ星蘭学校に集まっている、先生や町田のお陰で乱れることなく避難できている

「私がいるから狙われやすいのよね」

「いいじゃないですか、敵は僕達に集中してるんだすから」

「そうね、私達のハードルが上がったわね」

避難したみんなを守る為に負ける訳にはいかない、だが相手は恐らく大規模な数で来るだろう

外に出ると七番隊だけでなく武能の人々が集まって防壁を作っている

既に向かった戦闘機は全て落とされ、海辺で自衛隊が敵と激しい戦闘を繰り広げている、姫華達は最終防衛ラインにいる

「やっぱり集まってきたわね」

化物達はすでに空を埋め尽くしている

防衛ラインを突破して姫華達の学校に向かって他の所に目もくれず一直線に向かってきた

「本当に集めたな」

「だが、この方が被害が少ない」

「あぁそうだな、ここで大勝利を納めて七番隊の名をあげようぜ」

茂男と陽介が武器を持ち化物達を睨む

「全員空を飛べるのがやっかいだな」

「あぁそうだな、お前が打ち落とせ」

「そうするさ」

「弾薬全て使いきれ、出し惜しみするな」

「生き残りたくば死ぬ気で戦え、武運を祈る!」

刀を抜き鞘を捨てる高雄、敵を睨み刃を向ける

「総員突撃!」

「うおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

 

 

 

 

 

つづく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。