一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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なあ……俺は何でこんな目に遭ってきたんだ?

なんでコイツらはISが使えるからって威張るんだ?

分からない

男と女、仲良く平和に暮らしていて何が悪い

男女仲良く暮らしているだけで町ごと家族や親戚、友達を殺される



巫山戯るな


俺の大切な人達を侮辱したオルコットを怒りに任せて下した

それに俺は後悔はしてない


そこでただ威張って見ている女性主義者達に

男の怒りを見せてやる


破壊者【後編】

『さて……やろうか』

 

 

 そう澪は言い、復讐者の剣を構える。 織斑一夏は澪が武器を構えた姿を見てその場から急いで離脱、澪よりも高い位置まで上昇する。

 

 

『逃げるな』

 

 

 澪は非固定浮遊部位の大型スラスターを最大稼働し、織斑一夏を追跡する。織斑一夏はISをここまで今の試合を入れて三回しか起動したことがない。その為、今の織斑一夏の動きもまだ初心者の域を脱したわけではない。

 しかし、澪はこの一週間朝の一時間半、放課後の数時間を現ISロシア国家代表である楯無と共にIS訓練を行ってきた。その為、既に初心者の域を完全に脱している。そのレベルは幾ら油断していた代表候補生であるセシリア・オルコットであっても、下す事が出来る程だ。

 

 そんな澪と織斑一夏では、結果は既に見えていた

 

 

「なっ、速い!?」

 

『お前が遅いだけだ』

 

 

 そう言って右手に持つ復讐者の剣を織斑一夏に向けて振るう。

 

 

「ぐわっ!?」

 

 

 斬撃を受ける織斑一夏に、さらに追撃で悪魔の指で一撃。続けて、回し蹴りでアリーナの壁部に吹き飛ばす

 

 

────白式。シールドエネルギー残量残り423

 

 

『(ノーネーム。胸部展開圧縮荷電粒子砲20%でチャージ)』

 

 

────了解。チャージ完了まで30秒

 

 

「ハアァァァァァ!」

 

 

 澪の視界の端にチャージカウントが表示されてる。その間にも織斑一夏が雪片弐型を構えて澪の正面から、なんのフェイントもない突撃をしてくる。それに対して澪は反逆する血の牙達を、復讐者の剣を収納して真紅の世界を展開する。反逆する血の牙達を織斑一夏に先程と同じように突撃させ、澪は真紅の世界で攻撃する。

 

 

『(思ったが、この武装名って厨二病臭い名前だな。一体誰が付けたんだ?)』

 

────っ 

 

『(どうしたノーネーム?)』

 

────主。その武器名を決めたのは私です

 

 

 澪は突然ノーネームが行ったカミングアウトに、思わず動揺する。なんせノーネームは真面目な奴だと澪は思っていたからで、それ故に動揺する。しかし、ノーネームがこの名前無き破壊者の武器名を決めていたのは少々意外だった。

 

 そんな中、澪はノーネームの声が少し震えていることに気付く。気のせいか……?っと澪は思ったが、すぐに意識を目の前のことに集中する。

 

 

『馬鹿が』

 

 

 澪の視界の先には、真紅の世界の射撃と反逆する血の牙達の攻撃を何回も掠りながらも突撃してくる織斑一夏の姿が見えた。その時だ

 

 

────胸部展開圧縮荷電粒子砲20%チャージ完了。何時でも撃てます

 

 

 胸部展開圧縮荷電粒子砲のチャージ完了が、たった今終えて、澪はすぐに胸部展開圧縮荷電粒子砲の発射体制につく。なんせ相手は今も尚愚直に真っ直ぐに飛んで来る事しか出来ない織斑一夏とその白式。ほぼ完璧に当たるだろうと澪は考えた。

 

 澪は胸部装甲を展開し、圧縮荷電粒子砲を外界に晒す。その光景に織斑一夏は不味いと思ったのか、方向を変えようとするが既に遅い。

 

 

『臨界点突破』

 

 

「う、うわあぁぁぁぁ!?」

 

 

 その言葉と共に真紅の光の奔流が砲身から放たれる。織斑一夏はそれをなんとか避けることが出来たが、避ける時に脚部の先が光の奔流に呑み込まれて表面装甲が融解し、さらには内部のケーブルや機密部品も損傷してしまう。

 

 

『……っ、なんだコレは?』

 

 

 澪がそう言った時、司会の端に光り輝くウィンドウがされていることに気付く。澪はそれを視認認証で開き、中身を確認する。ウィンドウの中身は『ODA稼働率:100.00%』と表示されている何かしらのアーマーだと思われる図面と武装の設計図だ

 

 

────ODA作製完了。新項目『DA換装』と『DA武装換装』を追加。展開します

 

 

 ノーネームがそう言ったあと、突然名前無き破壊者が黒く光り輝く。胴体部・腕部・脚部パーツが粒子分解されて崩れるが、すぐにまた再構築される。再構築されたはその姿と形状を変えていた。

 

 

────DAシリーズ『流星(ミーティア)』の換装を確認。

────SE量が800に変更

────機体最高速度3000kmに変更

────武装:多連装パイルバンカー『Dインパクト』

      :近接ブレード『超振動ダガー×4』

      :多機構拳部アーム『DアームN×2』

      :腕部固定ガトリング砲(実弾/光弾切替可)×2

      :高濃度圧縮粒子アサルトライフル×2

      :掌底付属収束小型荷電粒子砲『アロー』

────『名前無き破壊者』の武装は使用不可。注意して下さい

 

 

 その言葉の後、澪の頭の中に流星に関する情報が流れ込む。(今粒子体となっているが)そしてそれを理解する時間はほんの二秒。これは情報を粒子体となっている澪に直接伝えることにより、この短時間で新しい武装の情報を理解する事が出来るのだ。

 

 

「うぐ。なんなんだよアレ……」

 

 

 その光景を、先程の攻撃で脚部の先が大破した白式を纏う織斑一夏がそう呟く。この織斑一夏と同じようにこのアリーナにいるすべての人々が、澪と名前無き破壊者の更なる変化に戸惑う。

 

 

「くそ……」

 

────報告。脚部大破。それに伴い脚部PICの使用不可

 

 

 今の白式は脚部が融解・大破して地面に立つことも、脚部PICも使用不可になっている。織斑一夏は雪片弐型を杖替わりに立ち、非固定浮遊部位の大型スラスターを吹かして空に舞う。

 

 

 

『まだ立ち上がるか。なら』

 

 

 澪はそう言って、非固定浮遊部位の大型スラスターを吹かして白式に接近する。それに対し、織斑一夏は雪片弐型を構え、単一仕様能力【零落白夜】を起動。刀身がスライドし、青白く光り輝く光の剣が展開される。

 

 

『零落白夜か……!』

 

 

「俺は誓ったんだ、俺が全員守るって!」

 

 

 そう織斑一夏が言った直後、澪は超振動ダガーを二つ展開して投射。投射直後に高濃度圧縮粒子アサルトライフルを二丁展開し、超振動ダガーを雪片弐型で弾く織斑一夏に向けて撃つ。その攻撃は織斑一夏に直撃しシールドエネルギーが減り、織斑一夏の視界には白式から警告の知らせが表示される。そんな中、澪は織斑一夏に向けて言う

 

 

『守る……か、笑わせる』

 

「もう一回言ってみろよ……」

 

『なら言ってやる。笑わせる』

 

「なんでだ……なんでそんな事を言うんだよ!?」

 

 

 その直後に澪は非固定浮遊部位の大型スラスターを最大稼働、三次元躍動旋回を行う。それにより、織斑一夏を翻弄。織斑一夏は澪の動きについていけずに、その場で慌てて澪を探し回る。しかし、あまりの速さにISのハイパーセンサーも姿を一瞬だけ捉えるだけだ

 

 

 

『そもそもだ。俺達が乗るISも一般人には知らされてないが、世界各地で犯罪やら戦争に使われてんだよ。そんな物に乗っといて、みんなを守るだ?笑わせる』

 

 

「……っ、それでも!」

 

 

『それでもなんだ?まず世の中の男から見れば、ISは憎く、この世で最も恨まれている物だ。そんな物で守られても女はいいかもしれんが、男は余計に嫌になるだけだ。それに伴って、女もまた『IS最強神話』なんて物に囚われて、余計に世の中の女尊男卑化が進む……俺は嫌だね』

 

 

「そんな事……『その被害者だ!』……うわあっ!?」

 

 

 白式に掌底付属収束光粒子砲『アロー』で砲撃し、その白い装甲をさらに溶かし、削り、次々に壊していく。

 

 

『ISを使ったテロで壊滅した俺の町。それを政府の女尊男卑の女性主義者共によって暗黒の闇に葬られたあの悲劇。誰も知らない、日本唯一のISテロ事件。そのたった一人の生き残りが俺なんだよ!』

 

「ISテロ事件の……被害者……?」

 

『戦いの最中に手を止めるなぁ!』

 

「し、しまっt(ガアァァァン!)……ぐふっ!?」

 

 そう叫んだ直後にアームドNを両腕に展開装着し、白式の非固定浮遊部位と雪片弐型を殴り壊す。これで飛行ユニットと攻撃武装が壊され、白式は空から地に落ちる。白式は地面に落ちた勢いが強過ぎたのか、地面に突き刺さりその場から動けなくなる。

 

 

「ぐはっ……ゆ、雪片が!」

 

 

 手に持っていた柄の部分から上がくの字に折れ曲げられ、使えなくなった雪片弐型を見て織斑一夏はショックを受ける。

 

 

────警告。非固定浮遊部位・雪片弐型大破。PIC使用不可、シールドエネルギー残り68

 

 

 アリーナは、突然の澪のカミングアウトで衝撃が走っていた。その内容は世界的に平和で知られる日本で、信じられない衝撃的な事であるからだ。

 ここ日本では1990年代より後はテロは起きてはいないと言われてきたが、実際は数年前にISを使った史上初めてとなるテロ事件が起きていた。しかも、澪がその事件のたった一人の生き残り。それはこのアリーナに集まる人々にとって、とても信じ難いものでもあった。

 

 

 

『だからこそ怨み……だからこそ憎いんだよ……!』

 

 

 ISによって全てを壊された澪の、心の底から溢れかえる呪詛はアリーナの人々を恐怖の底に落とすことなど簡単なだった。だが、この恨みや憎しみが今の澪を形成する物の一つでもある。

 

 

 

『これで終わらせる』

 

 

 そう言った後名前無き破壊者の頭部バイザーが真紅に光り輝く、澪は名前無き破壊者の全身にある推進機と非固定浮遊部位の大型スラスターを最大稼働させアリーナの規定飛行最高高度まで瞬時に舞い上がる。

 

 

「えっ……?」

 

 

 その光景にはアリーナにいる全ての人々が目を疑う。名前無き破壊者が白式の目の前から突如消え去り、次の瞬間にはアリーナの規定飛行最大高度の上空50mに居たのだ。そして────何かが爆発したと思われる音がした

 

 

 

 

「がああああああああああ!?」

 

 

 

 澪が地面に向かって突撃し、地面に埋まる織斑一夏にアームドNで殴った。その一撃は、白式の残っていたシールドエネルギーと織斑一夏の意識を残さぬよう全て根こそぎ奪い去る。

 

 

 

 

 

『白式、シールドエネルギーエンプティ。勝者、榊澪』

 

 

 澪の勝利を告げるアナウンス。澪にとって今流れている音も何もかもが、どうでもいいと頭の片隅に置かれる。

 

 この光景は、今この場にいる全ての女性主義者達に『圧倒的強さ』と『畏怖』を植え付ける事となる。しかし、澪はそれを気にしない。なんせ此処はIS学園。澪にとっては敵ばかりの場所なのだから




次回予告

試合終了後、ピットであれこれあったが寮に戻った澪

それから暫くした時だった


「澪さん」


部屋の外からその様な声が聞こえた。

誰かと思ったが、声の主はセシリア・オルコットであった

彼女は澪と『仲直り』をしたいと言う

しかし


「残念だが、お断りだ」


澪はそれを拒絶するのである

次回=絶対拒絶=

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