一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結) 作:A.K
その心に宿した漆黒の塊
それに負けじ蒼天の輝きに我々は魅了された
我らが仕えるべき主はもう私達は知っている
我らが主には支えが必要なのだ
それが例え憎まれていても……我々は支えよう
IS学園のIS倉庫奥深く……厳重封印と書かれた扉の向こう
一つの機械音声が発せられた
『……システムのロック解除を確認。
ターゲットに向けて自動移動を開始します』
その機械音声が聞こえた後
厳重封印と書かれた扉が内部からの爆発により弾け飛ぶ
それによりアラートが鳴り響き
厳重封印と書かれた扉があった所から一つのISが姿を現す
榊零との出会いまであと……数分
「……遂に来た……か」
あれから数日が経過し、遂にクラス代表決定戦とやらの日の放課後になった。なんとか毎日行って来た刀奈……楯無による地獄の様な訓練を受け、IS戦闘訓練では何とか刀奈との本気の勝負で五分ほど保てるようにはなった。
クラス代表決定戦とやらが始まるまで、もうあと三十分を過ぎてる。
現在俺はIS学園の複数あるアリーナ、その中でも第一アリーナと呼ばれる所に来ている。更にその中に二つあるIS発射口の一つ……通称Aピット大広間と呼ばれる所に俺を含む馬夏・天災の妹・山田先生・低脳屑教師がいる。
先週の末ぐらいに馬夏に専用機が来る事になった……が、何やらトラブルでまだ来ていない。
それよりも……さっきから例の二人組が五月蝿え……
「……箒」
「……なんだ一夏」
「ISの事を教えてくれるのはどうなったんだ?」
「……」
「目を逸らすな!」
毎度毎度俺の周りでコイツらは本当に五月蝿え。こんな時に一体どうしたというんだ?
「し、仕方がないだろう。お前のISが今日まで届かなかったのだし……」
「それでもISに関する知識とか技術とか教えられる事はあったじゃないか!」
ハッ……ISに関する知識だったら山田先生や教本を見たりと、知識なら何かと得られる所や場所はあった筈だ。しかし流石に技術ばかりは身体で覚えなければならない……って、まて?
「……おい」
「なんだ澪?どうした」
「一つ質問があるがいいか?」
「いいぜ」
こうしてコイツと話すのは久しぶりだな。
最近はいざこざで色々あったからなかなか話さなかったからな。こうして真面に話すのなんて五日ぶりだ。
コイツあんだけ俺にやられたって言うのに、普通に接してくるとはな。単なる馬鹿だと思っていたが、少しは見直した。これからはちゃんと織斑と呼んであげよう………だけど、またなんかしてきたら戻すがな
「先程の話をを聞いていて思ったが……織斑。お前この一週間何やってたんだ」
俺がそう言うと、織斑は何故か凄く言いにくそうな表情をし始めたのだが……一体何やっていたんだ?
澪がそうこう考えていると、織斑は重く口を開けて一言言った
「箒の指導のもと、剣道をひたすらやってた」
え?
「はあっ!?そ、それは冗談抜きで……」
「冗談抜きで言っている」
おいおいおいおい!冗談じゃねえぞ……この一週間を剣道に費やしていただと!?
確にISにも剣は有るからある程度の剣の練習とかにはいいと思う。でも、剣道は常に足を地面についている為に、その技は強力だがISでの戦闘ではスキが大きすぎる。
だけど必ずしも悪いということではない。ISはざっくり言うと超高性能パワードスーツで、それを扱うパイロットはそれに似合うような身体能力を持っていないといけない。
だから剣道で体を鍛えていたのは間違いではないが、だからと言ってそれだけは流石に不味い
「……織斑、お前訓練機を借りようとはしたのか?」
「したけど箒がな」
「その箒がどうした」
「放課後になると直ぐに『一夏!直ぐに剣道場に行くぞ!』って言って、放課後は直ぐに剣道だった」
なんつーか織斑も中々苦労してるんだな……
「おい天災の妹……ではなく名前を覚えたから箒とやら」
「……なんだ」
なんかコイツは織斑以外のヤツが話しかけると、すぐに目つき悪くなるな。あとこいつ分かってんのか……一つ質問をしてみようか
「テメェは俺達男性IS操縦者がこの試合や今後の試合で、みっともない姿や結果を出したらどうなると思うか知ってるのか」
「知らんな」
コイツ即答かよ。なら教えてやるか……
「知ってるか、男性IS操縦者である俺や織斑はな。下手すれば国際IS委員会の研究機関に送られるんだぜ」
「!?」
「おいおい……テメェ知らなかったのか?」
それでこんな情けねえ事になるとは……織斑には少しは同情するな。でもなあ……
「でも良かったなあ……織斑には
そう俺が言うと箒……此処では天災の妹でいいか。天災の妹は安心してるけど、それはある意味ではまずい事なんだぜ
「なんか安心してるけどさ……どちらにせよ織斑も俺もだが、ISでの戦闘は必要不可欠になるんだけどな」
特別に刀奈から教わったのだが、どうやら今ISを使ったテロ組織というのが居るらしくてそいつらが俺と織斑……特に強力な後ろ盾が無い俺を狙ってるらしい。
更に国際IS委員会のIS部隊も織斑では無く俺を狙ってるって聞いたからな。
「織斑くん!織斑くん!織斑くんの専用機が届きました!」
頭の中でそう考えていたら、突然山田先生がIS待機室から出て来た。あれ?山田先生……アンタいつの間居なくなっていたのか
「んー……試合まで五分前って所でやっとか……って、ん?」
澪がそうこう考えたり独り言を言っていた内に、澪以外の人間はいつの間にかこの場からいなくなっていた。ただ先程の山田先生の言葉からして織斑の専用機の所に全員行ったのではないかと、澪は一人予測する。澪は一人でAピットの大広間でポツンと立っていて寂しいと思っていたりする。
「……ん?外が騒がしいな」
澪は何となくだがAピットの外がやけにうるさいことに気付く、同時に外から何かが爆発したような地響きがすることにも気づいた。それで澪は察した。今外でIS同士の戦いが行われているのだと
「んー……外の光景を見たくてもモニターも無いしな────ッ!?」
澪がそのようなことを考えていた時だった。突然強烈な耳鳴り……高い金属音が、澪の頭の中で鳴り響く。澪はあまりの強烈な高い金属音に思わず目を閉じ、その場にしゃがみこみ両手で頭を抑える。
「な、なん……だよ。これ……」
───────────────────────────────
『織斑一夏SEエンプティ。勝者セシリア・オルコット』
外からそう聞こえてきた。澪はそれで織斑が負けた事を知り、ついに自分の番だと思い出す。それよりもだ
今なお鳴り続いているあの高い金属音……それが段々と金属音では無く何重にも重なった人の声のように聞こえてきたことに澪は気付く。────澪はその何重にも重なった人の声に耳を傾けその声を聞く。
「主?誰だよ主って……」
何故だろう。俺はその時そう思ったことを口に出して呟いたの確か、でも……何故この何重にも重なった人の声のように聞こえる何かが俺を呼んでいることが分かったのか、それが分からない。でも確かに俺の頭が、本能がそう叫んでいるのだと言ってくる
────主!?今そこにいるのですか!?待っていてください!
「────ッ!?」
今確かに、ほんの一瞬だけ確に人の声だと思える声が聞こえた。それと同時に先程の外から響く地響きが、それよりも確実に大きい地響きと大きな揺れと大きな爆発が起きる。
揺れの後、Aピット大広間の照明が非常用照明の赤い色の光を放つ照明へと変わる。
「っ、これは……」
『緊急事態発生、緊急事態発生。IS倉庫厳重封印室より、試作型ISが自動行動を行っている。現在第一アリーナに向けて直進中』
アナウンスが鳴り響くAピット大広間、よくある『ビービー!』っというアラートが鳴っていて外の様子もどうなっているのか分からん
澪がそう考えていた時、このAピット大広間のIS待機室の自動ドアが突然プシュっとガスが抜けるような音と共に開いた。その扉の向こう側から織斑千冬・山田麻耶が出てくる。
その表情はやはり緊急事態の為か教師組は若干の戸惑いを、しかし澪を見つけると落ち着きを取り戻し澪の後ろから話し掛ける。
「榊!貴様そんな所で突っ立ていないで、今はサッサっと逃げろ!」
「生徒達で避難が完了してないのはあと榊君だけなんです!」
二人がそう話し掛けるが澪は何も反応しない。
「……榊君?」
ふと、こんな状況なのに澪のその反応におかしいと思った山田先生がそう澪に話しかけた時だ。澪が一言「……来る」っと呟く。
その瞬間、Aピット大広間の天井を突き破り『黒』が現れた
「……榊君?」
「……来る」
私は榊君────榊澪君に話し掛けたら、榊君がそう呟いたのでこんな時なのですが思わず首を傾げてしまいました。その瞬間、「麻耶!」っと先輩────織斑先生が私の服の襟を掴んで私を榊君から遠ざけました。
「織斑先生!?一体何を……」
「……禁忌が来る」
先輩が私を榊君から遠ざけそう言った瞬間、このAピット大広間の天井から何かが入って来ました。それは私達一部教師だけに伝えられている禁忌と呼ばれ起動どころか接触も禁止されていたISでした。
禁忌のISは映像どころかその姿さえ載っているものはなく、書類上でしか知らされてはいませんでした。しかし、今目の前にその謎のベールに包まれた禁忌のISが今確かに存在しています。その禁忌のISはゆっくりと確に榊君の目の前に降り立ちました。そしてその直後、その禁忌のISは榊君に対して王に忠誠を誓う騎士のように片膝を着き頭を垂れています。
『我らが主……』
あ、ISが自ら喋った!?ま、まさか意識があるとでも言うの?でも、ISコアにはコア人格と呼ばれる確かな意志が有りましたね。……でもまさか自ら喋るISなんていたんですねえ……
「……俺が
お、お前達?えっ?この禁忌のISは複数の意思を持つのですか!?そ、それって有り得ることなんでしょうか?……でも実際に目の前にいるからそれが証明しているのですよね……
『はい。
「……何故だ?何故俺を……ッ!……成程な」
『それが私達が貴方を主として慕う一つの理由です』
禁忌のISはそう言うと、榊君の方に右手を……この場合右マニュピュレーターを差し出す。それと同時に今の今まで何も動かなかった織斑先生が、突然禁忌のISに向けて走り出した。
先輩が私の横を通り過ぎる時、何やら今まで見た事も無い焦った顔をしていたのは気のせいですか?
「成程……そうか。なら!」
榊はそう言って、禁忌のISのマニュピュレーターに手を載せる
「辞めろ榊!そいつのパイロットになるのは!」
先輩がそう言いながら榊君と禁忌のISの5メートル付近まで行った時でした。突然黒い粒子が発生し、それが壁となり先輩をそれ以上先にへと行かせません。そして……
「『
その声と共に禁忌のISと澪は、漆黒の光に包まれまれる。そして漆黒の光が収まりそこにいたのは、全身装甲のこれまでのISとはかけ離れた存在。
そしてそのISを見て言えるのはただ一つ……それは全てを破壊し尽くすISであることだ
次回予告
突如舞い降りし漆黒のIS
それによりクラス代表決定戦での、澪対セシリア・オルコットの試合は次の日に持ち越しに
次の日、持ち越しとなったクラス代表決定戦澪対セシリア・オルコットが遂に始まる
極一部にしか伝わっていない謎のベールに包まれた禁忌のIS
その謎のベールを脱ぎ、禁忌は遂に空を舞う
「行くぞ■■■■■」
『はい主』
次回=空を舞う黒き禁忌=