一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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その刃に怒りを乗せろ

その拳に殺意を乗せろ

この体で

その意志で


千の終わり、一つの始まり

 IS学園地下特殊通路にて、二つのISが激しい戦闘を繰り広げている。片や世界最強が載るカスタムIS、片や破壊を冠するIS。その戦闘は常人が入ることは許されず、入れば最後粉々に砕け散るという結果が残るだろう。

 

 拳が震え、闘志が溢れる。感情はシステムを得て、その身を強化する力と成す。打ち合うほどに大気は震える。

 

 剣を振るう。剣は速さを持って、その刀身の強さを持って、振るう者の力によって総てを斬り捨てる力と成す。打ち合う度に衝撃が空間を走る。

 

 

『ぬぁぁぁぁぁ!!』

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 二人の前には、邪魔する者など不要。邪魔をすれば消え去るのみ。となれば、あとは自然に二人だけの世界になる。

 澪は目の前の千冬と戦いながら任務である地下通路の破壊を達成させた。普通なら逃げる......が、澪には無理な話だ。世界の憎き敵、自分にとっての敵。許すはずの無い敵なのだ。これからの世界に目前に居る千冬は『邪魔』だ。だから殺す。何が何でも今この場で仕留める。

 

 

『殺す......殺す殺す殺す殺すッッッ!!』

 

 

 今まで溜まっていた千冬に対しての怒りが、殺意が底なしに湧き上がる。ISのコアネットワーク、その主体となるISコアとコア人格がある。ISは現在世界各地にほぼ均等になるよう配置されている。

 コア人格はISの機体から外の様子を見る事ができ、同時に周辺の人間の感情を読み取る。そう......『感情』が、世界各地にあるISから『怒り』と『憎しみ』、更には『悲しみ』の感情が澪に向けて送られているのだ。ISに対してのイメージは一般的には良いものとしているが、それはマスメディアの情報操作の結果であって本当の事ではない。実際は嫌っている人も多いのが現状で、それを伝えないのが今の社会である。

 話が逸れたが、いわば今の澪はこの世界を憎む、怒り、悲しむ人々の総意の器。言わば『願望器』そのものとしている。それが今の澪だ。三つの感情が混じり合い、泥々とした黒い感情の塊としたナニカだ。無論、澪の意思はある。だが、それが止まることない。目の前にいる全ての元凶である『白騎士のパイロット』を殺すまで。その命を消すまで────破壊は続く。

 

 

「ふん。その程度......!」

 

 

 殲滅の拳を零落白夜モドキを発動している葵、『葵改』で弾く。千冬は前回の一戦後、衰えた体を鍛え始めた。機体性能差というものがあるが、あの時の千冬はそれでも勝てるだろうと思っていたが結果はボロクソに負けた。次会った時、確実に澪を葬ることが出来るように......機体性能差が有ろうと、確実に殺るために現役の頃と同じ......つまり身体能力を自身の最高値まで戻したのだ。

 

 

『Dショック!』

 

 

 それを上回る様に目の前の澪は迫り来る。左腕を殲滅に捕まれたままDショックによる衝撃波をゼロ距離から喰らい、あまりの衝撃に千冬は吹き飛ばされそうになる。だがコレを待っていたように千冬は内心笑いながら、右手に持つ葵改で殲滅の左腕を神速の如くの圧倒的速さで切り落とす。

 

 

『だからどうしたァ!』

 

 

 もはや痛覚さえ存在しない状態の澪に、腕を切り落した所で無意味に等しい。IS独自の自己修復能力を起動し、切断面からエネルギーと粒子が溢れ返る。

 

 千冬は少し驚いた。過去10年間、ISの研究によって様々な現象やシステムの開発を具現を見てきた。しかし、それらを軽く凌駕する現象を目の前で行われてるからだ。千冬自身過去に白騎士を操縦し、搭乗者の怪我修復システムがあることを知ってはいたし機体の修復能力もあることは理解していた。だが、それは待機状態での事で機体を展開してる時ではない。その修復の異常さに驚くしかない。

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

 驚く千冬を他所に、澪は空いた右腕で地面に叩きつけて咆哮『ハウリングボイス』を起動する。

 

 

『ゴォォァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!!』

 

 

 目の前の千冬が、通路が、この場にある澪以外の全てが爆音と衝撃波に襲われる。鉄製の通路が次々にひしゃ曲がる。あまりの衝撃で吹き飛ばされる千冬、だが吹き飛ばされながらも葵改を槍のように全力で投げて左肩部を貫通させた。その一撃で肩を含めた左腕部が吹き飛んだが、澪はさらに怒りを込めて叫ぶ。左肩部接合部からは血のようにエネルギーと粒子が吹き出して、痛々しい光景だ。

 

 

『────────ッ!?』

 

 

 投げ飛ばした葵改を粒子に変えて回収、千冬は目の前の澪に向けて更に葵を複数展開して投げ飛ばす。この葵は通常の葵より耐久値と斬れ味を高めた葵2式と呼ばれ、この時のために千冬が倉持技研に頼んでおいた特注品だ。今までなら澪との打ち合いで砕けた葵、しかし今のやりとりで砕けた葵2式は無し。その耐久性は最高とも呼べる程のもので、さらに斬れ味もある。

 そんな葵2式が千冬の腕力とISのアシストによって加わった力で投げ飛ばされたらどうなるか?

 

 

ドドドドッ!!

 

 

 弾かれることなく、砕かれること無く殲滅の体に突き刺さる。一つは首部を少し切断して何処かへ飛んでいき、残るは胴体・両足に突き刺さった葵2式。澪は突き刺さる衝撃と自分の光景に驚いてハウリングボイスを中断。

 

 

『ギギ...a...g......!?』

 

 

 首部がやられた影響か、発音が出来ない。殲滅は両足の葵2式2本を引っこ抜き、纏めて握り壊す。脚部をやられたというのにその足取りはしっかりしており、真紅に光る双眸は千冬を真っ直ぐに捉えている。真紅の粒子が形を成して肩部が直り、腕部を修復している。

 

 

「化物が......!!」

 

 

 痛覚がない事を知らぬ千冬はそう言う。しかし、本当にISなのかという性能を見せられた千冬にとっても、他の人々が見てもそう思うだろう。

 

 

『g.....on....!!』

 

「なにっ!?」

 

 

 左腕は損失、しかし再生。両足は貫通されて歩行不可の筈なのに、平気で歩き出す。胴体部には葵2式が刺さったままで、澪は先程と変わりのない動きで迫る────否、断じて否ッッ!!

 

 その動きは先程よりも速く迫って来ているッッ!!

 

 

「ぐっ!」

『────ッッッ!!』

 

 

 左腕を失って機体姿勢制御に支障が出ているはずのに、動きはより良く、精密に、そして速くなる。短時間で急激に、それも自分の弟で同じ急成長型の一夏よりも倍以上の速さで強くなっていく。更に体が傷つけば傷付くほど、相手が強い程強くなる。そのタチの悪い素質がまさに化物だ。

 

 澪が振るう拳の速度が速くなる。さらにPICを乗せてさらに拳の速度が加速する。千冬の動体視力と超近接仕様にしてある打鉄だからこそその拳に反応できているが、ここで葵2式がピシと音を立て始める。

 

 

(馬鹿な)

 

 

 千冬本人は確かに澪の拳を上手く流している。しかし、この急激な成長によって強くなっていく澪の拳の威力に葵2式が対応出来なくなってきている。片手両足から繰り出される暴風の様な乱撃、更には非固定浮遊部位での打撃も加える異様な攻撃に千冬は押されていた。

 

 

 そして

 

 

バリン!

 

 

 折れた。遂に葵2式が折れた。千冬はすぐ様次の葵2式を展開するも、三回ほど打ち合うとその刀身にヒビが入る。それと同時に殲滅の両足が内部フレームごとちぎり飛ぶ。貫通され、修復しながら戦っていた影響で脚部が耐えられなかったのだ。

 

 

『o...u...o.....ォ......ゥゥォォオオオオオオ!!』

 

 

 それがどうしたと言わんばかりにPICで体を支え、何事も無かった様に攻撃をする。肩部は再生し、左腕は再生中で、両足も破損で修復中。幾ら殲滅だからと言って、動きは一気に下がる。

 千冬は隙が増えた澪に対し、瞬時加速で一気に近づく。そして、胴体部に突き刺さる葵2式を持ち────────真一文字に胴体を斬り裂いた。

 

 

 

 

 俺は目を覚ました......それも突然の事だ。

 確か学園長に無理矢理地下避難室に連れてこられた筈だが、今は何故か海上のボートにいる。

 

 

「一夏、目が覚めたの?」

 

 

 何故か警戒している鈴がそう言ってきたのだが、鈴も何でいるんだ?それと......なんだこの『声』は、それとあの閃光は誰かが戦っているのか?

 

 

「なんだよ?なんの声だ?」

 

 

『集え 集え 破壊と戦女神の元に』

 

 

「どうしたの一夏?」

 

 

『榊澪と織斑千冬の元に集え────織斑一夏』

 

 

 その頭に響く声に導かれて体を動かす。

 何より自分の姉が澪と戦っているということに黙っていられない。自分だって今や初心者では無い。少しばかりでも戦えるはずだ────と、ここで気づいた。

 

 自分の体が勝手に動いている。

 

 

「なんだ、よ。こ......れは!?」

 

 

 もがいても意識関係無く、体が動かされている。体が勝手に動き、ボートの縁に立ってそこから直ぐ目の前の海にダイブ。一瞬海に浸かったがISも勝手に起動して白式が展開し、視界に映る澪と千冬の戦域に飛翔する。

 

 

「一夏!?何処に行くのよ!?」

 

 

 鈴の声が聞こえる。俺を呼び止めようとする声がして戻りたいと思った。でも駄目だ。

 

 ああ......意識が、体が、ISがあの場所に導かれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 殲滅は機体中央部をやられた影響か、小規模爆発が胸部から発生する。それと同時に殲滅の左腕と肩部の修復が終わった。この間たった10分の出来事である。

 

 

────胸部自己修復、最速で終わらせます!

 

『終わるかよォォ!!』

 

 

 切断された両足からエネルギーを過剰噴出し、更に瞬時加速で突貫する。虚をつかれた千冬はそれをもろに受けるが、澪はそのまま両肩を掴んで個別式瞬時加速で加速する。

 

 

『テ、メェは......この場で、殺す......絶対に!

 血塗られた時代を作った、大本であるテメェを!

 世界から憎まれ、倒されるべき敵を!     』

 

 

 壁際に移動し、千冬を壁にめり込ませながら加速を続ける。そうこうしている内に両足も修復した。

 

 

『世界中のテメェを恨む奴らが、怒る奴らが俺に力を与えてくれる。

 テメェを殺すために、この場で殺す為にィィーーーっ!!』

 

 

 これに対して千冬は無理やり瞬時加速を起こし、今度は澪が壁にめり込む。

 

 

「それは貴様の言い分だろう!

 私には私にとって守りたい者が......守りたい者達が、ここに居る者達を守りたいのだ!」

 

『ぐがあっ......!!それがIS委員会の奴らにこの学園を占拠させる事と関係すんのかよ。

 話し合えば解決するかもしれない事も、テメェは全て武力によって解決させる気か!』

 

「そうだ。所詮人は武力によって解決し、話し合いなんて建前だ......それが私が過去に体験してきた事だからな!」

 

『それをテメェ個人の体験だけで、一括りにするなァァッッッ!!』

 

 

 もみくちゃになりながら飛行していたのが原因か、澪と千冬は地下通路を突き抜けてIS学園外の海洋に飛び出た。

 突き抜けた衝撃で両者共に手を離し、互いに距離を取る。既に東の空には太陽が登り始めていて、朝日が照らす空で対峙する。

 

 

『確かにテメェの言う通り歴史の中で世界が動く物事は結局武力で解決されることが多い。だけど、話し合いで解決されてきた事だって確かにあるんだ。

 過去も現在も、人類が歩んで来た歴史の中でそれらは確かにあった事だ。』

 

 

 澪はそう言って背後の空間から反逆する血の牙達を展開、真紅の牙達が犬の待ての様にその場に留まる。そして、天啓の剣を構える。

 

 

「私は織斑、一夏と共に両親から捨てられた時。束の家族に世話になった。だが、それでも私は信じられなかった......束は親友だからこそ信じられたが当時の私は他人も大人と言う存在に対して信じる事など出来なかった。

 故に、束からISという物をを開発したという事を聞いて見に行った。そしてそれを見た時、私にはISは新たな力......新しい時代を創る『武力』になると感じ取った。同時にたった一人の家族を守れる力にも感じ取れた......故に私は束にISの力を示す『白騎士事件』を起こした。

 

 

 見てみろッッ!!

 その武力は時代を創り、私はその武力によって大切な家族を守ってこれた。これを無駄、ダメだという考えになぜなる!!」

 

 

 千冬はそう言って葵改を展開し斬り掛かる。

 

 

『武力だけの世界の果てに、悲しみの連鎖しかないと言ってるんだよ!!』

 

 

 それに澪は天啓の剣で迎え撃ち、鍔迫り合いが起きる。その衝撃波で海は荒れる。大気は震え、両者共々また吹き飛ぶ。それに遅れて反逆する血の牙達が動き始め、千冬にその真紅の牙を突き刺すために殺到。それを葵改で神速とも呼べる速度で切り払い、切り落とす。

 

 

『テメェが信じる武力......『ISによる女性の特権』や『ISによる軍事力変動』の結果、世界は女だけのものとなった。それが本来起こるはずのない理不尽な殺害、復讐、紛争、戦争、テロを世界中で沸き起きているのが現実だ!

 確かにたった一人の家族を守りたいのは分かるさ、分かるとも......だけどその為に他人を、世界中を巻き込むのは1番駄目だろう!』

 

 

 それは今まさに世界各地で起きている事を示していた。それに対して千冬は自覚はしているし、納得もしている。だが

 

 

「それでも、私はたった一人の家族を守りたい。」

 

 

 その決意は揺るがない。たとえ世界が敵になろうと、世界に一人だけの家族を守らんとする姉としての覚悟がそこにはあった。それは世界最強のIS乗りとして、生身でも己に勝る者がまずいない故の自信であり結果だ。

 

 

「その為にも私は貴様を斬り払い」

 

 

 澪は目の前の打鉄からエネルギーが過剰放出している事を捉え、反逆する血の牙達の攻撃の手を更に激しくさせ澪も天啓の剣を持って突撃する。

 

 

「今の世界を

 

 変わらぬ明日を

 

 一夏が笑える明日を

 

 何としても守り抜く。貴様を殺してな!!」

 

 

 瞬間、千冬に群がっていた百を超える血の牙達が爆発。真紅の爆発と粒子をまき散らしながら、突如起きた事態を澪に伝える。

 

 

────上方10m回避行動!

 

 

 ノーネームの叫びで大型スラスターを全開、上方向に回避した直後に暴風が澪を襲う。PICで体制を整え、暴風が向かった先を見つめると葵改を振り下ろしている千冬の姿があった。

 打鉄の機体からは膨大なIS反応が検出、それにSEと思われる青いエネルギーがこれでもかと放出されていた。

 

 

『打鉄のリミッターを解除した......?違う、アレは暴走状態しているとでも言うのか』

 

────攻撃が来ます、回避を!

 

 

「ふんッ!」

 

 

 再び爆音が鳴り響き、咄嗟に天啓の剣で胸部を防御。更に全身のスラスターと大型スラスターを最大噴出させた。次の瞬間、天啓の剣の刀身が弾け散った。目の前には千冬が次の攻撃動作に移っている。咄嗟にDショックとハウリングボイスを起動させ千冬を吹き飛ばし、距離をとる。

 

 

────天啓の剣修復。完了までおよそ5分

    しかし、今の動きは......

 

 澪から見ても今の打鉄の動きは変だ。いくらリミッター解除した打鉄だからと言って、瞬時加速以上の動きで接近して武装も強化されている。

 澪はチラッと打鉄を見て気付いた。打鉄全身の装甲にヒビが、装甲自体からSEと思われる青いエネルギーが放出されていることを。どう考えてもこのままでは打鉄は壊れる......その考えに至って気づく。

 

 

(打鉄を自壊させることを前提に出力リミッター解除だけではなく、機体そのものの枷も全て解除......なら、あの青いエネルギーはSEと『ISコアから直接放出されているエネルギー』という事か。)

 

 

 澪はだからこれ程の過剰出力と、圧倒的攻撃力の上昇を果たしたのかという事に理解した。しかし、それ故に普通の人間なら耐えることが出来ないのだがそれに耐える千冬はいかに常軌を脱した存在か理解できる。

 反逆する血の牙達を今ある分だけ全て展開、その中から二つを連結させ手に持つ。そしてBE推進機関を最低出力で起動。再び向かって来た千冬に突撃し、肩部に接触して奴の動きが止まる────が、澪は止まることなく100m程離れた所で反転して止まって背中ががら空きな千冬に強襲。

 

 

『ごがっ!?』

 

 

 千冬はPICの応用によるバク転蹴りを繰り出し、澪は突撃した速度に蹴られた速度を足された状態で凄い勢いで空に上がっていく。追撃してくる千冬に血の牙達を全て差し向けて。その光景はまさに真紅の風......だが千冬は自分に直撃するだろう部分だけを斬り捨て、真っ直ぐ澪に向けて突撃する。

 PICにてようやく体勢を整え、アローによる連続射撃を繰り出すもののエネルギー体のため葵改から放たれる零落白夜によって斬り消される。近接武装にハンドクローが有るが、ハンドクローでは今の千冬に簡単に粉砕される。その為、近接武装の中で一番耐久値が高い天啓の剣が修復されるまで時間を稼がなくれてはいけない。今手に持つ反逆する血の牙達を強化した『復讐者の剣牙』にした所でまだ天啓の剣まではいけない。だが持ちこたえることは出来るはずだ。

 

 

────天啓の剣の修復完了まで残り2分

 

 

『ええい......っ!』

 

 

 反逆する血の牙達を復讐者の剣牙にし、突撃する。見た所一応ダメージは入った様で、非固定浮遊部位が破損して今にも爆発しそうだ。

 

 

『当たれえぇぇぇぇ!!』

 

 

 復讐者の剣牙とアロー、更に悪魔の指.....同時発射可能射撃武器の同時射撃。それはまさに弾幕、全てを一瞬で終わらす暴虐の嵐。だが、それでも千冬は弾幕を斬り伏せた────しかし数発が機体に直撃。直撃箇所には運良く非固定浮遊部位が入っており、この射撃によって爆発四散する。

 

 

『くっ......アアァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!』

 

 

 瞬時加速で一瞬の間で接近した澪は、復讐者の剣牙で斬り掛かる。そして、身に纏う打鉄の脚部を溶断された事に気付いた千冬が葵改で殲滅の胴体部を斬る。

 

 

『ッッ......!!』

 

 

怯んだ所を、すかさず海面に向けて澪を殴り叩き付ける。真っ直ぐ海面に向かった澪は大きな飛沫を上げて直撃し、大きな飛沫をあげて沈黙。

 

 

「......」

 

 

 千冬はそれを見てどうするかと考えた時、突如IS学園から少し離れた海上から『白式』の反応を確認。そしてそれらは真っ直ぐこちらに突き進んでいる。予想外の登場に驚いた千冬は一夏の方を見た。

 

 

 

 

 

 この一瞬の油断が千冬にとって一番大きな隙を生み

 

 

『何処を』

 

 

 海面から爆音と共に這い上がって来た澪。その手に持つは、修復された天啓の剣。澪は天啓の剣で牙突で突撃する。

 

 

 

『見てやがる!!』

 

 

 

 殲滅に気付いて為なのか、それとも故意的になのか不思議な事に既に一夏は千冬の目の前に浮遊していた。瞬時に二次移行した《白式・雪麗》の荷電粒子砲を直感的に殲滅の進行ルートに向けて放つ......が、荷電粒子砲の光線は中心から弾け飛ぶ様に消滅。

 天啓の剣の剣先は真っ直ぐ一夏目掛けて────

 

 

 

 

 

 

 

『だから言っただろう。

 織斑千冬......テメェは倒されるべき敵だってな。』

 

 

 一夏を守る為。

 

 千冬は一夏を押しのけ、打鉄の装甲ごと叩き斬られ海に墜落。その数秒後、打鉄が落ちた所で爆発が起こりSEだと思われる青い光が周囲を照らす。

 

 

 

 

「レェェェェェェェイ!!」

 

 

 憎しみに満ちた一夏の声が海上に鳴り響く。

 その手に雪片弐型を持ち澪に迫った。




次回予告

一夏は怒る
己の姉の敵を討たんと

澪は嘲笑う
真実を知る故に
ならば無理矢理教えるまで


あと少しで世界は変わる
全てを変える戦が始まる




これはその前の最後の戦い


次回=The END of World=

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