一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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それは一つ
『ISだ』
それは増える
『女性主義者』
それは繁栄する
『世界の滅び』
それは滅ぼされる
『殲滅のもとに』






世界を────

→滅亡させよ
 維持させよ


最終幕 破壊の英雄
強襲の暴力


 澪が宇宙で目覚めたその頃の地球に場所は移る。IS学園の林間学校に来ていた一年部生徒と、教師達がいた宿の1室。そこでは数人の教師達が居て、その目の前にあるのはISセンサーや通信機器と言った物だ。

 

 この日の前日、突如アメリカとイスラエルの極秘合同開発計画で製造されていた軍用IS『銀の福音』が暴走。暴走した銀の福音がIS学園の林間学校の宿泊先の旅館の周辺海域に通る為、銀の福音襲撃防衛及び討伐作戦に一夏・鈴・ラウラの3人が国の方から強制参加させられた。更に国家代表クラスの山田先生も自らもラファールのカスタム機で参加。

 

 作戦は途中までは上手くいった。しかし、突然複数の密漁船が作成領域内に侵入し、4人は密漁船の防衛に精一杯になる。そこを突かれSE量がその時最も少なかった鈴に銀の福音の特殊兵装『銀の鐘』が発射され、それから鈴を守る為一夏が鈴を庇い重傷を負った。そして、密漁船はいつの間にか消え、銀の福音も旅館の方角とは真逆の沖に向かった所を見計らい討伐メンバーも何とか撤退。

 一夏は意識不明の重体。その為緊急治療室(臨時で借りた部屋)にて治療。そして帰投した次の日の夜中の3時、突如として銀の福音が旅館方向に接近した。それに一夏を除く専用機持ちと山田先生が出撃。それから数十分後、突如旅館外から白式の反応が現れ、福音がいる方向に向かう......という事態が立て続けに起きていた。

 

 その為、教師達はあれやこれやと慌ただしく動いていた......そんな時だ。突然ISセンサーがビーッ!と鳴る。これは新たなIS反応が現れた事を示している。ある教師がなんだと思ってセンサーを見る。通常ISセンサーはその機体が持つエネルギーの量と機体全長によって表示される大きさが変化する。今この場にあるISセンサーは30km程の範囲なら問題なく捉える。しかし、今は違った。ISセンサー画面に映し出される反応は、30km圏内全てを塗り潰していた。

 

 

「ISセンサー画面全体にIS反応......ええっ!?それと、この反応って」

 

「どうした?」

 

 

 一人の教師の突然叫んだことに気付いたこの現場を取り仕切る織斑千冬が、その教員に尋ねた。

 

 

「破壊者の反応が」

 

 

 その時だ。旅館の外から轟音が鳴り響く。教員達は何事だと思い部屋の、丁度海が見れる窓を開けると──────────居た。

 赤黒の光をまだ薄暗い空に放つ、全てを滅する名を冠する人間とISの融合体。どうやら今の音で寝ていた生徒達や旅館の従業員達が起きた様で、教員同様窓を開けて殲滅を見ていた。

 織斑千冬は澪の視線がコチラに向けられている事を、何となく感づく......感づくと言うより殺意が向けられているからこそ気づいたのだが。

 

 

『おい』

 

「「「「!!」」」」

 

 

 IS専用の通信機から男の声......澪の声が響いた。

 

 

『俺は破壊

 俺は理不尽

 俺は怒り

 俺は憎しみ

 俺は狂気

 俺は悲しみ

 俺は、貴様らに終わりを与える者。

 俺は、貴様らに終わりを教える者。

 

 

 いつか、貴様らを殲滅してやる。覚悟しろ』

 

 

 そう言って通信は強制的に切られ、澪こと殲滅は一瞬の閃光と共に消え去った。ISセンサーで追跡しようとしたが、センサー画面にはエラー表示が出されており使用不可となっていた。向かった先は福音の所だろうと織斑千冬は分かっていたが、通信は一方的に切られているので連絡が出来ないことを悔やんだ。なら......

 

 

「葛城先生」

 

「あっ、どうしました?」

 

「────打鉄の準備を」

 

─────────────────────────

 

 あの光の翼を持つのがそうか。ノーネーム、コア人格とは話は出来たのか?

 

────はい。何とか暴走理由が判明することが出来ました。どうやら外部から後付けされた装置によって、強制的に暴走してるようです。

 

 

 付けられた云々の話は後からコアに聞くことにするが、福音の姿が情報とは違う......二次移行かあれは?

 

 

────いえ、あれは二次移行とは又違う主同様に異常移行です。

   

 

 暴走時に移行したのが原因か......それと、鈴達の姿を確認。織斑は......白式が二次移行したようだな。だが、既にSEは枯渇寸前、相変わらずだな。だが今はそんなことなどどうでも良い。俺がやる事は

 

 

『福音、お前を解放してやる』

 

 

 開放回線を最大量設定に変更。反逆する血の牙達を全機展開、腕部を砲撃仕様展開してOB起動。反逆する血の牙達にA.I.S.Sを譲渡。音速を維持し、超高速戦を仕掛ける。ノーネームは反逆する血の牙達のアシストを頼む。

 

────A.I.S.Sの譲渡を確認。

  ㅤ 行けます

 

 

 ノーネームの言葉の後、反逆する血の牙達が福音の銀の鐘に向けて突撃する。それは死を呼ぶ真紅の風。

 

 

 

『この場にいる福音を除いた全機体に連絡する。直ちにこの空域から退避しろ』

 

 

 織斑が何か言ってるが、血の牙に叩き落とされる。その時、個人間秘匿通信にて鈴から通信が来る。

 

 

『アンタ、一体どこ行ってたのよ!』

 

『それは言えんが、元気か? 』

 

『元気じゃないわよ!』

 

『そう言う割にはいつもと変わらんが?』

 

 

 澪はそう言いながら、復讐者の剣とアローで福音に攻撃を行う。光の翼の輝きが増し、銀の鐘の射撃量が増える。それに対して血の牙達が赤い壁となって打ち消す。

 

 

『本っ当に、アンタはいつもと変わらないわね。

 こちらの事はアンタに任せる。一夏と山田先生は私から話をしとくから......福音は頼むわ。流石に高火力機体じゃない私達じゃ落とせないのは明白だから』

 

『了解。では......『作戦後1回だけでもいいから旅館に顔を出しなさい』......ああ』

 

 

 澪はそう言って通信を切る。ため息をついて『出来たらな』と呟いたその瞬間、血の牙達を突き抜けて福音が澪に突撃して来た。

 

 

『接近戦か。ならッ!』

 

 

 OB状態で更に瞬時加速で福音に迫る。復讐者の剣を収納し、クローブレードを展開。展開し終えた瞬間には目の前に福音が居た。

 

 

『ラアッ!』

 

 X状に斬撃を放ち、更に蹴りで福音を吹き飛ばす。

 

『......っ!』

 

 

 続けて攻撃に移ろうとした時だ。どこからとも無く砲撃音がなって俺に直撃した。......IS委員会の船か。前回の作戦で乱入して来た密漁船はこれの事か!ついでに、IS委員会印のラファールに打鉄とテンペスタか。そして、福音の装置から発せられる電波があの委員会の船から発せられている事から犯人はアイツらか......ノーネーム、コア人格の回収頼む。それと福音に牽制を

 

────了解.....コア人格回収しました。

 

 

『《滅球》起動』

 

 

 俺は殲滅に新たに搭載された殲滅専用殺戮兵装《滅球》を起動させる。これは殲滅の手に超圧縮したエネルギー上の球体を大量に形成し、それを弾幕の様に相手に放つと言うものだ。爆発範囲は最小で直径50m、最大で5km程を一瞬にして灰に帰す。基本一度の形成で30程は出来るので高確率で相手を葬る事が出来る。

 無論、これは市街地では使用不可の兵装である。名前の通り完全に相手を葬り去ることを前提にされてるので、ホイホイと使えない兵装だ。

 

 

『ふん』

 

 

 薙ぎ払うかのように滅球を放つ。30程の球が委員会の連中達の方に向かい、赤黒の爆球を起こした。全て同じところに放ったので爆球は一つのみだが、連中はIS諸共塵一つ残さず消滅した。連中から見れば一瞬だろう。アイツらがこちらに何もせねば、未来は変わったのだろうがどちらにせよ俺に殺られていた運命だ。奴等だけは殺し尽くす......背後!?

 

────すみません、突破されました!

 

 澪がそう考えた時だ。背後から青白い光が放たれ、澪はそれを福音による砲撃だと気付く。その直後に背中に光の奔流が叩き込まれる。そのまま海に叩き付けられるが、光の奔流が止むことは無い。

 

 

『ゥゥゥラアッ!』

 

 

 真紅の光壁を螺旋状に展開する事により、光の奔流が周辺に逸らされる。殲滅になった影響で今まであった兵装が強化され、機関出力解放の影響で真紅の光壁は進化した。もはやそれは壁ではない、もっと上の絶対守護領域。さあ目覚めろ真紅の光壁......真の姿を見せろ

 

『解放......《真紅守護領域》』

 

 最早これに勝る守護はなく、暴力から守る為の怪物が持つ防御の真髄。 俺だけを守る為の盾ではない、せめて近くにいる者だけでも理不尽という名の暴力から守る為の守護の領域。実弾も、衝撃にE兵装も全て通さない......過去の経験からノーネーム達によって導かれた新たな守護専用兵装。

 澪を起点に、真紅の光の膜......詳しくは無限機関から発される超高密度エネルギー体の粒子が辺りに広がる。その影響で青い海が真紅の海に変貌していく。

 

『ァァアアア!』

 

 

 光の奔流を守護領域で押し返す。福音から見れば海が真紅に発光しているのが分かってるはずだ、だからこそ光の奔流は更に激しさを増す。しかし、光の奔流は全て澪に当たる事無く逸らされ、海中に霧散していく。

 澪は海中から脱出し、上空100m地点に居る福音に向けて飛翔する。天に君臨せし天使の様な姿をする銀の福音、それを狙うは真紅の光を纏いし殲滅の名を冠する者。澪は復讐者の剣を展開し、真紅の光壁同様に本来の姿に還す。

 

 

『《天啓の剣》起動』

 

 

 復讐者の剣が真紅の光に包まれ、その姿が変化する。刀身は真紅、それ以外は漆黒の剣。澪は天啓の剣にエネルギーを送り、真紅の刀身が赤黒く発行し刀身の周辺の空間が歪む。

 

 

『天から......落ちろォォーーーッ!』

 

 

 澪はそう言うと、福音の肩・太ももを高速で突き刺す。それで怯む福音を回し蹴りで吹き飛ばし、吹き飛ぶ福音の背後に回って光の翼を両断する。そして、脚のスラスターを悪魔の指で破壊する。

 

 

『ノーネーム、福音を操ってる後付け装置は何処にある!?』

 

────表示します!

 

 

 墜落する福音を追いながら、澪はノーネームに尋ねる。すると、福音の腹部の中央部分が赤く染る。その部分をよく見ると何かのチップらしい物が無理矢理付けたように存在していた。澪は天啓の剣を収納し、悪魔の指で落下中の福音を狙撃......見事命中して装置はボンっと音を出す。すると、福音の動きが止まり機能停止した様だ。澪は機能停止した福音を両手で掴み、先程の旅館に向かった。




次回予告

世界の歪みの元凶

それは一人の女性

ただ一人だけの肉親を守る為に

『平和』の世界を
『歪み』の世界に変えてしまった。

それを彼女は気づかない。
彼女はそれでいいと思っているから


それ故に、激昂する。

お前を許さない────と

次回=歪みと破壊と=

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