一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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全ては終わりに向かう

生命が生まれ

生命が死ぬ

始まりがあるなら

終わりがある

これは終わりの始まり


動く世界

 世界から澪が姿を消して数週間。澪が人間ではないことも世界には知れ渡り、多くの女性主義者達が多くいる国や女権団、更にはIS委員会が澪を殺すべきだと騒いでいた。

 

 それに対して、澪を保護すべきだと言う国や団体も出始めていた。そんな世の中だが、女性主義者殺すべしと言わんばかりに女性主義者を滅する『鬼兵軍』と名乗る傭兵軍団が出現し、世界各地で活躍している。そして、澪といち早く接触した非公式国際同盟社『亡国企業』は澪の保護&合流の準備を着々と進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつは......」

 

 

 私は榊澪に関する情報文書を目を通し、一人そう呟く。

 

 

「M。てめぇなにやってんだ?」

 

「ああ......オータムか」

 

「それはあのガキの奴か。しっかしまあ......アイツも大変だな。

 本部の連中があのガキの保護と合流の準備をしてるが......」

 

 

 私はそんなオータムの言葉を聞きながら一人思う。何故世界はアイツに対してこれほど残酷なのか。無論アイツだけは無いが、世界には数え切れない程の女性主義による被害者が居る。しかし、特にアイツは酷かった。勝手に住んでた街を焼かれ、親しいものを全て殺され、嫌だったISの道に引きずり込まされ、世界から憎しみと殺意を受け続けなればならないという。

 

 IS学園に潜伏している調査員からアイツの機体『名前無き破壊者』が形態変化したと聞いた。しかし、形態変化の類でも相当歪なものだったとも聞いたが......ISが瞬間的に形態変化できる訳では無いが、あの機体は特別だった。その特別の中の例外級の形態変化......もしや二次移行かと思ったが、それは有り得ない。アイツの情報通りならあの機体には二次移行と言う概念が存在しない。

 

 

「────でよ......って、聞いてんのかよ?」

 

「済まない。聞いてなかった」

 

 

 そう言えば、数週間前に大気圏を突破する謎の物体が確認されたと上層部が騒いでいたが......まさかな。

 

──────────────────────────────

 

「ふむ。これはいけませんねえ」

 

 

 IS学園学園長室にて、学園の長である轡木十蔵がそう呟く。その手元には現在のIS学園の状況が記されていた。

 

 

「教師部隊の違法行為、契約違反。生徒会長の意識不明......あの子と仲が良かった生徒達に対してのイジメですか貴方」

 

「ああ」

 

 

 教師部隊は解散させ、元教師部隊の教員達は監禁中。生徒会長である更識さんは教師部隊の攻撃により意識不明で、あの子と仲が良かった生徒達はあの日を境にイジメにあっている。無論、特に女性主義国の生徒達は酷かった。イジメにあっていた生徒達はこういう時用に密かに建設されている特施の特別寮に入ってもらった。これには生徒達の親にも許可を得て、本人達の許可を得ての行動だ。あとは教員の山田先生が特施の方に移動してくださるとは......あの人は本当に良い先生ですねえ。

 

 

「そろそろ、この学園も終わりですかね」

 

「貴方......」

 

 

 あの子は本当に良くやっていた。多忙的な更識さんも助かってると聞いてたし、何しろこの学園での女性主義者に対する抑止力にもなっていた。あの子とも多少の交流を得て、こちらの依頼も快く受け持ってくれたし。

 

 しかし、今や女性主義者達がこの学園を支配しているような状態。生徒会は代理で会計だった布仏さんが生徒会長を務め、その妹さんと最近入った更識さんの妹さんの簪さんが頑張ってるのは知っている。それでも最早機能しなくなるのが目に見えていた。

 

 

「それと、ボーデヴィッヒさんの件はどうなっているかな?」

 

 

 ボーデヴィッヒさん。あのドイツ軍IS部隊管轄の最高責任者であったアーデルハイトが、VTSの使用と職権乱用、更に専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンの違法改造の指示など等が世界に露呈して失脚した。最後の悪あがきと言わんばかりに、アーデルハイトはボーデヴィッヒさんを強制的に除隊させた。どうやら作戦の実行と共にこれは行われたようだ。その為、今はドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒという事になっているようだ。

 

 

「あの子は特施に入るそうです」

 

 

 本当に......世界は醜くなったものですねえ。

 

 

「さて、我々も動きましょう」

 

 

 そう呟く轡木の視線の先には、黒い機械仕掛けの指輪が光っていた。

 

──────────────────────────────────

 

『......』

 

 

 −273.15 ℃ 絶対零度と真空の空間と呼ばれる宇宙。地球と月の間の宇宙にそれは居た。数週間前に地球圏をざわつかせたソレが。ソレは『殲滅』......もとい榊澪。その体の装甲が太陽の光に反射して煌めく。

 

────メインシステム起動

   OS正常、異常なし

   G機関稼働中、異常なし

   機体『殲滅』オールグリーン

   主、起きて下さい

 

 

 澪の頭の中にノーネームの声が響く。それまで蹲っていたが、その態勢を解いて背伸びをする。傍から見れば、ロボットが背伸びをして首をギュインギュイン回してる光景はとてもシュールに見える。首を回した後、デュアルアイセンサーが強く光るのはなんとも言えない。

 

 

『あれから数日......否、数週間か。地球全域とIS学園の状況を』

 

────了解です

 

 

 数日前......宇宙と地球では時間の進みが違うため、地球では数週間前の事だ。澪はIS学園から出て太平洋沖の小さな無人島に潜んでいた。システムの方を色々と弄っていたら、なんと殲滅には単機で大気圏突破機能・大気圏突入機能が発現されていた。暫くの間完全に追手が来ないだろう宇宙空間に待機しようと思い、澪は宇宙に上がった。その後、慣性の法則で凄まじい速度で地球と月の間までやって来た所で停止し、暫くの間機能停止していた......後は現在に至る。

 

 

『ふむ。亡国が俺と合流しようと?』

 

────はい。彼処は非公式組織では有りますが、現在IS関連の組織で完全に白な組織であるのは亡国だけです。

   そして、鬼兵軍と呼ばれる傭兵組織が粛清の元行動を開始している模様です。

 

 

『あのTVの件以降に動き始めたという傭兵達か。噂では国連が造ったと言う全身装甲型の戦闘用パワードスーツを改良したものを使用しているとも聞いていたが......』

 

 

────はい。確か『EOS』と呼ばれるパワードスーツです。それを改造......いえ、魔改造とも呼べるレベルまで良くし、ISにほぼ同レベルまでになった模様です。なお、この件には亡国も絡んでます。

 

 

『成程、つまり篠ノ之束が絡んでると?』

 

 

────はい。現在亡国・鬼兵軍・非女性主義者国と、IS委員会・女権団・女性主義者国は対立しています。各地で小競り合いが起きて、戦闘は激しさを増すばかりです。

 

 だとすると......遅かれ早かれ、ISが引き金になった世界戦争────IS大戦が起きるだろうな。

 

 

 世界最強のパワードスーツ『IS』。それが引き金になって起きる戦争は、かの第二次世界大戦よりも遥かに超える被害を出すだろう。ISとEOSは勿論、現代には大型超電磁砲や光学兵器、更には外道極まりない化学兵器や核兵器と言ったものが有る。IS大戦と言ったが、これこそ人類の滅亡をかけてしまうかもしれない『終末大戦』となるかも知れない。そうなればこうして人外と成して、宇宙でも生きることが出来る俺以外は滅亡してしまうだろう。

 

 

 

『ノーネーム』

 

────分かっておりますよ

 

 

『俺が......この状況を破壊できるんだろ?』

 

 

 

 対IS用のアンチプログラム及び最終プログラムであるこの機体。ISの能力を直接触れないといけないが、その能力を無力化出来る唯一の存在である。

 

 

────はい。主以外では出来ない事です。

 

 

『俺が行う事に......最後まで付いてきてくれるか?』

 

 

────全ては主の為です。それが例え、多くの屍の山を作ろうとも最後までついて行きます。それは他のコア人格達も同じく、最後までついて行きます。

 

 

『刀奈の方はどうなんだ?』

 

 

────駄目です。未だにISコアの深層深域に居ると思われます。しかも、私が立ち入れない程の奥底にいるのは分かるのですが......それ以上は分かりません。

 

 

『そうか...... そう言えば、もう既に日本は既に夏になってる頃だろう?』

 

────はい、因みにですが主。明日戻るとしたら、臨海学校とやらの三日目に戻れそうですが......どうします?

 

 

『臨海学校か......何やら嫌な予感がする。今すぐ戻るぞ』

 

────本当に今から戻るおつもりで?今からだと二日目の早朝4時頃ですが

 

『当然だ。IS学園のイベント=異常事態発生だからな』

 

 

────実は既に起きています異常事態

 

 

『......どうなってる?』

 

 

────臨海学校宿泊の旅館から沖に向かって数キロ先で、米国でイスラエルとの合同で極秘開発中だった軍用IS『銀の福音』が突如暴走。IS委員会アメリカ支部がこの破壊をIS学園に依頼......という事らしいです。まあ押し付けです。なお、これに対応するのは1年の専用機持ちとの事です。

 

────行きますか?

 

『勿論だ』

 

 

 殲滅の背中から円状の物体......『BE推進機関』を展開、機体の後ろ部分に展開する。

 

 『BE推進機関』......通称ブレイクエネルギー推進機関と呼び、空間上にある物質を吸収して破壊。それによって生じたエネルギーを瞬間的に爆発させる事によって光速級のスピードを出すことが出来る。これは殲滅になった事によって新しく追加された物で、教師部隊に接近した際に使ったものだ。あの時は様子見で最弱設定にして行った......だってこの機体の物はスペックがこの世の定理に当てられないから。話が逸れたが......更に、大気圏突破する際にもこれを用いたのだ。

 

 

 

『BE推進機関最大出力に設定』

 

────地球まで数秒

   目的地は臨海学校で泊まる宿泊先の沖合

   真紅の光壁を球体展開

   チャージ完了

   背中部及びBE推進機関の接続完了

   非固定浮遊部位とBE推進機関の同調完了

 

────主

 

『出せ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは全てを奪われ

 

 

 破壊者となった一般人の物語。

 

 

 この瞬間

 

 

 全ての終わりの扉が開かれた。

 

 

 

 全てを担う真紅の流星が宇宙を翔ける。




次章予告


始まりはIS
ISに全てを奪われた彼の者
その転機もIS
ISによって運命を弄ばれた者は
ISによって運命を覆す

男であって何が悪い
男女仲良くして何が悪い
女だから偉い......巫山戯るな
そうして破壊者が生まれ、殲滅に生まれ変わった

世界は歪んだ
歪んだ世界に異を唱える者達が立ち上がる
反逆せよ!
その運命に!
世界に!

天に、海に、地にその名を轟かせ
今世界を破壊し、歪みを殲滅する者
その名『榊澪』



    インフィニット・ストラトス
一般人15歳で〝 ちょっと〟変わった彼のIS生活

終章=破壊の英雄=

────────────────────────────────

次回予告

一つの閃光

それは天啓

それは滅亡の知らせなのか?


次回=強襲の暴力=

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