一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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私は何を思ったのか

私は何を強さと思ったのか

それが何を表すのか



武力



それがあの人が言っていた強さ


私はそれで納得した


そのお陰で私は前よりも強くなった






でも





私には……それが強さと呼べない気がしたんだ


第三幕 破壊すべきはその呪縛
金と銀


 5月のクラス対抗戦とGWも終え、あれから毎日の様に理不尽と馬鹿共に襲われる毎日を過ごした。気が付けば既に6月に突入していた。

 何時もの生活が始まる今日、現在時刻にして朝の6時ピッタリ。特施の射撃訓練場にて、生身での銃火器の射撃訓練中である。今朝のIS訓練は月に一度の特施の点検整備により、訓練場のシールドバリアー発生装置の点検につき使用不可。訓練できないと言って日々の鍛錬を怠ることは駄目なこと、その為たまにはと思い射撃訓練場に足を運んで来たのだ。

 

 

「……」

 

 

 人間体で銃火器を撃つと、視界のターゲットタグが撃とうとする所に自動にロック。それに合わせて銃……今はハンドガンを握っているが、銃を持つ手がそれに合わせるように照準を合わせる。

 

 

タァン!タァン!タァン!

 

 

 その音と共に薬莢がハンドガンから排出され、軽い金属の音を響かせ地面に落ちる。結果は一つ一つ微妙に当る場所が微妙にズレているが、ほぼド真ん中だった。どうやら人間体でもISの自動照準システムが正常に起動して、自動的に合わせたみたいだな。流石に弾の軌道までとはいかない

 

 

「……これでは意味が無い、か」

 

 

 このままやっても意味が無い。どちらにせよ、この機能を切って訓練────という事は出来ない。そう考えた澪は数分後特施を出て寮に戻り、身支度を終えるまでの間……ハイパーセンサーに反応する未確認IS反応の事について考えるのであった。

 

 

 

 

 

────────────────────────────

 

 

 

「……んっ」

 

 

 教室に付き幾分か経った。何やら騒がしい……一体なんだと言うんだ?今日は珍しく廊下に人が集っている。

 

 ……ノーネーム起きているか?

 

 

────主、おはようございます。

 

 

 突然で悪いが、今日はやけに五月蝿い。何か理由を知らんか?

 

 

────……あの

 

 

 なんだノーネーム?

 

 

────大変失礼ながら一言。髪切られましたか?

 

 

 ……あっ、ああ。最近少しばかり熱くなっただろう?それに目に髪の毛が当たって痛い思いをしてるのでな。この際と思い切ったんだ。

 

 

 

────主。それです

 

 

 はっ?こ、これが……騒ぐ理由?そんな馬鹿な。有り得ん。ただ邪魔な髪の毛を切っただけだぞ。

 

 

────主。はっきり言いますと、新鮮ですね

 

 

 俺は織斑のようにイケメンって訳ではない。せいぜい普通だ。

 

 

────ご謙遜を……主の格好良さに気付いた所で最早あの者達にとっては遅く、もはや主の眼中にはありません。だからあのような目線等……!

 

────おーい、ノーネーム騒ぎ過ぎだぜぇぇ……

 

 

 ノーネームの言っている事が、徐々におかしくなって来た時にミーティアが眠たそうな声をしながら会話に参加してきた。いや、起こされた感じだな……これは。

 

 ノーネームも少しは落ち着け。

 

 

────あっ、も、本当に申し訳ございません!

 

 

 

 ……たく。なんで髪切っただけでこうなるんだ。なんかクラスの奴等もこっちを見てヒソヒソとしてる。あー……

 

 

 

「黙れ」

 

 

 澪の突然の一言にざわついた声が消え、辺りがシンとなった。その直後、澪は席の左側窓を開けてその前に立つ。そして、そのまま窓の縁に足を掛け、立つ。その光景に生徒達が再びざわつき始めるが、あまりのうざったらしさに頭に来た澪はそんな事にお構い無しに窓からその身を出す。

 生身の人間が窓からその身を投げ出す。その様な光景に悲鳴を上げ、様々な反応を見せる女子達。多くの者は飛び降りた澪を見に行ったが……

 

 

 

「……あれ?」

 

「居ない?」

 

 

 

 窓の外の遥か下にある地面には、澪の姿も異常も何も無く。何時もと何の変わりのない地面があった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

「髪切っただけで、なんでこうなる」

 

 

 澪は誰も居ない屋上にて一人そう呟く。澪は先程窓から飛び出て、その後PICと脚部パワーアシストを使って屋上に校舎の壁を駆け上がったのだ。流石に校舎の壁を駆け上がるなど誰も考えていない。

 

 

「……何時まで苛立っても無駄か。ミーティア」

 

────なんだ主、私を呼ぶなんて珍しいな

 

 

 朝早くだと怠そうにしているミーティアだが、完全に日が昇った今の時間はキチンとしていた。

 

 

「ノーネームがあの様子ではまともに話せん」

 

 

 澪のその言葉にミーティアが成程と呟く。

 

 

「それでだ。朝から確認されてる新しいIS反応二つ……それを調べて欲しい。頼めるか?」

 

────その程度なら……出来たぜ主!

 

 

 澪の言葉を聞いてミーティアがそう言って3秒程で、視界に様々なデータが表示される。

 

 

「早い……こういうのが得意なのか?」

 

────私がこういうことが得意なの意外だったか?

 

「意外だったな……でも、助かったよ。ありがとうミーティア」

 

────そ、それは良かった!じゃ、じゃあな主

 

 

 澪は突然慌てた様子のミーティアにどうしたのかと疑問に思ったが、とりあえずまあいいかと片付けた。

 

 

 IS反応識別国……一つはドイツで、二つ目はフランスか。ドイツ機は……『シュヴァルツェア・レーゲン』 もしかしてシュヴァルツェアシリーズの第三世代機か。シュヴァルツェアシリーズの特徴である漆黒の装甲はそのままに、シリーズ最高の攻撃・軌動・耐久性を持つか。シールドエネルギー量も他の機体と違って相当な量だな。防御性能も優れている。しかし、他の三世代同様に消費量問題は健在か。それでも今まで見た中では厄介な機体だ……そして、特殊兵装ありか。気を付けなければ

 

 フランス機は『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII』 ラファールの改良カスタム型か?こっちはどうでもいいな……

 

 

────主

 

 

「ノーネームか。どうした?」

 

 

────間もなくSHRです

 

 

「……戻るか」

 

 

 そう言って澪はまたPICと脚部パワーアシストを使って校舎の壁を下り、自分の教室にへと戻った。教室には既に全員居て、窓から来た澪に教室中の生徒達が驚きの声を上げるが澪の睨みで静かになった。

 

 

 俺が教室に着いて数分後、山田先生と糞教師がやって来た。それと……朝から確認していたIS反応二つが、教室の前の扉の前で止まっていたことに気付いた。

 ふと思ったが、ISは一般的には3機で首都陥落が可能であると言われている。しかし、それは量産型の打鉄やラファールと言った機体ならではの話だ。問題は専用機。専用機は一般的量産型を遥かに上回る性能と戦闘力を持つ。それこそ、下手すれば1機で首都陥落なんて簡単に出来る程だ。結局何が言いたいのかと言うと、このクラスには専用機持ちが俺と織斑の二人居る。織斑と言えど、ここ最近はIS操縦のレベルが上がりつつある。俺も名前無き破壊者と言う規格外であり、半永久に動き続けるISがある。

 AIS兵器のような物さえ無ければ、国さえ落とせてしまう。ある意味特記戦力なのだ……専用機とは。そんな物が更にこのクラスに増えようとしている。二つも。最早このパターンでは何が起きるなどと、想像は簡単だ。

 

 

「今日からこのクラスに新しく二人の転校生が来ます!」

 

 

 俺がそう考えていたら、予測通りの言葉を山田先生が発した。それで他の奴らがざわつくが、珍しく糞教師が手を叩いて他の奴等を静かにさせた。普段からそれぐらい普通にすれば、至って普通の先生なんだがな……

 

 

「それでは……二人共入って来い」

 

 

 糞教師がそう言うと、前の扉が開き、二人の生徒が入って来た。一人は左目に眼帯を付けた銀髪の……背の小さな女子で、その女子からシュヴァルツェア・レーゲンの反応が出ていた。もう一人は………………男子用制服を着ている女子生徒だった。そいつからはラファール・リヴァイヴ・カスタムIIの反応か。

 シャルル・デュノア、フランスの代表候補生……男?ノーネーム、ミーティア

 

 

────なんでしょうか主

────ん……なんだ?

 

 

 ミーティアはシャルル・デュノアとデュノア社について調べて、俺に報告。ノーネームは刀奈の所にシャルル・デュノアの事について聞いて来てくれ。

 

 

────うん。3分以内に報告するぜ

────了解致しました

 

 

 その様な事をノーネーム達に頼んだ時だった。えー……糞教師の事を教官と呼ぶ銀髪で左目に眼帯を付けた女子────ラウラ・ボーデヴィッヒが織斑に向けてビンタを寸止めだけど繰り出していた。いいぞ、もっとやれ

 

 

「……っ!何しやがる!?」

 

「この程度の攻撃さえ避けれないとはな……貴様の己の危機感の無さには呆れたものだ。だが……」

 

 

 そう言ってラウラ・ボーデヴィッヒは教室の後ろの左隅に居る俺の席の前まで歩いて来た。……なんだ?

 

 

「貴様は己の危機感を認識しているようだな。そのスキのなさ……噂以上だ。気に入った……私の部隊に入らないか?」

 

 

 

 しまった。途中の話聞いてなかった

 

 

「……そいつはどうもラウラ・ボーデヴィッヒさんよ。そして、何の話だ?」

 

「私の所属する部隊に入らないか?」

 

「……軍属か?そして、その期待の目を止めろ」

 

 

 その期待を込めた目で俺を見るな。ええい……お前達も俺をポカンとした目で見るな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ターゲット確認」

 

 

 ふと、澪はそんな声が聞こえた。同時に編入生であるシャルル・デュノアからよくわからない視線を受けていたことに気づくのであった。 




次回予告

SHRが終わり授業が始まる

普段接してない奴ら

仲良くしようとしてくれるが

俺は疑い深いんだ

なあ……デュノア ?

俺を怒らすな

次回=疑心が晴れれば怒心=

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