一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結) 作:A.K
かの者の願い
それは歪み、世界を壊していく
例え悪と呼ばれようと
我ら世界の歪みを破壊する
我らは────亡国機業
あのクラス対抗戦から数日。今日はある目的の為に早朝から、IS学園と本土を繋ぐモノレール駅に居る。
早朝から出るのは女性主義者共と、あの糞教師から逃れる為だ。外出届けも既に糞教師に知られる事なく、別のルートで提出して上層部に受理されている。
────しかし、あの時は大変でしたね主
「全くだ……」
無人機撃破後に現れた教師部隊。あれは典型的な女性主義者の教師達で構成されていて、俺が消耗していると思っていたらしい。しかし、あの時の俺は面倒事が終わってイイ気分だったのを邪魔されて……
♦
「……あんたら。今自分達が何やってるのか分かってるのか?」
俺はラファール・リヴァイヴを纏う教師部隊を、目と一体化しているデュアルアイセンサー越しに見て言う。直後、教師部隊のラファール・リヴァイブの武装のロック解除と、俺に向けてのターゲットロックが確認された。……完全にやる気か
「へえ?男の声がするじゃない。だったら、捕まえて襲撃理由を聞きましょうか」
IS反応に名前無き破壊者の名前が出ていて、分かってるくせにそう言うか。あとから来たと思ったらこれか……屑共が
「いいわね。じゃあ……殺りましょうか!」
ラファール・リヴァイブを纏う教師部隊の奴等がそう言ってオレに向けてレッドパレットや、レイン・オブ・サタディを向けて撃ってくる。体に当たるが、これぐらいでは傷一つ付かん。なんかぎゃあぎゃあと喚いているが、黙らせよう。
「まずは1匹」
瞬時加速で教師部隊の中の一人に近づき、フルスイングでDアームズをラファール・リヴァイブに乗る部隊員に振るう。次の瞬間にはその者はアリーナの壁にめり込んで、すぐ様近くにいた奴らをエンドショックでまとめて吹き飛ばした。エンドショックを受けてまだ動ける奴らをDアームズで殴り、ジンライで吹き飛ばす。
「……何逃げようとしてんだ?」
「ひぃっ!?」
逃げ出そうとしている教師部隊のメンバー二人を視界の端に捉え、そう問い掛ける。しかし、二人は悲鳴を上げるや否や非固定浮遊部位のスラスターを吹かしてその場から離脱しようとする。
澪は逃がすつもりは無い。己に武器を向けた時点で、既に逃げ道なぞ教師部隊達からは消えているのだ。あるのは圧倒的殺意と暴力による蹂躙。慈悲など無い。
「ジンライ!」
脚部にあるジンライでラファール・リヴァイブの非固定浮遊部位のスラスターを撃ち抜き、アリーナの地面にへと墜落させる。墜落した所に行き、まだ気絶してない様なのでDアームズに内装されている多連装パイルバンカーで腹部を攻撃。
「連射モード」
澪がそう言うと、視界に『多連装パイルバンカー連射モード』と表示される。澪は残った二人の頭部を掴み、叫ぶ。
「果てろぉぉぉーーっ!」
その後だ。何かが砕ける音と共に、アリーナの壁に残った二人がISを纏ったままめり込んだ
「起きろ」
「げはっ!?」
教師部隊のリーダー格の奴……何時も俺にちょっかい出してくる女性主義者共のボスは、まだまだ怒り足りないな。だからさ……
『お前は……まだ終わらんよ』
俺は双腕の破壊者から試合モードの名前無き破壊者に戻り、リーダー格の教師の首を掴んで持ち上げる。なお、A.I.S.S.を起動して直接首を掴んでいる。その為か、リーダー格の教師はシールドバリアーが機能してない事に混乱している。
『さあ。始めよう……!』
その後、リーダー格の教師を反逆する血の牙達で地面に固定して、胸部展開圧縮荷電粒子砲《名前無き破壊者》をわざとリーダー格の教師に当たるか当たらないぐらいの所に放った。結果は教師は泡を吹いて気絶、おまけに失禁していた。
♦
あの後、山田先生に聞いた所この教師部隊を指揮する者が糞教師だと分かった。俺はすぐにピットに戻り糞教師にその事について聞いた。勿論、何時も懐に入れてあるICレコーダーを密かに起動させ、糞教師と俺の会話を録音した。
そしたら、出るわ出るわ。俺が名前無き破壊者の詳細なデータを寄越さないから、わざと教師部隊にデータ取りと強制捕獲を要請したという事が。さらに、戦闘モードのデータを寄越せと強要して来たがそこはいつも通り軽く避けてトンズラした。その後すぐにICレコーダーを切って録音を終わらせた。ただし、あの無人機についてのデータは提出した。無人機……って言う事と、武装と戦闘データだけだ。
そして、この事を学園上層部の学園長夫妻と生徒会に報告&ICレコーダーを提出。あの糞教師は半年以上の給料半減、五日間の謹慎処分との事だ。軽いような気がするが、天災との友人という事から何かされるのではという考えの元の結果らしい。それと、あの時の教師部隊は、退職金も無しでの強制解雇された。
『間も無く列車が着きます。ホームの……』
そうこう考えている内にモノレールが来たようだ。
早朝始発の為に、人が乗っているということはなく澪は一人モノレールに乗った。別にやろうと思えば人間体でもPICは使える訳であり、空や海を渡ればいいがそうするとまた面倒臭いので普通に移動する事にした。因みに、現在の服装は白のTシャツに蒼のGパン、鼠色のパーカーを着ている。
あとの荷物は全て名前無き破壊者の拡張領域の中に締まってある。本当は俺が荷物が入った(着替え等も有り)バッグで持っていこうとしたら、ノーネームが「主の荷物を持つのは、従者の務めです」と言ってほぼ強制的に入れられた。因みに今回の目的は誰にも教えてはいない。教えたらそれは大問題だからだ……
この後、モノレールを降りてバスに乗り換え、澪はとある山奥の温泉街にへと向かって行った。
────これは凄いですね……
「ああ。海もいいが、やはり山も素晴らしい……特にこの辺りでは余り女性主義者達がいなそうだからな。」
────やっぱりそれですか
「それもそうだが。奴等……亡国機業は何でこんな温泉街を待ち合わせ場所にしたんだ?」
上の方には2日程出掛けることを言っておいたので別に今日は帰らなくてもいい。そんなことを考えている内に終点のバス停にへと到着してバスから降りた。
「とりあえず……今日は泊まりだからな。何処か安い宿を探すか……」
しかし、辺りに人は居ない。流石に朝っぱら早朝から人が多くいるわけでもない。澪はさてどうするかと思っていた時、視界のターゲットタグが60代の白髪の男を捉えた。男もこちらに気付いたのか「おはよう」と朝だからか挨拶して来た。
「おはようございます。あのスミマセンが……この温泉街で何処か安い宿を知りませんか?」
朝から宿探しなんて何か怪しまれるかと思っていたが、目の前のおじいさんは「この辺りになら……あるぞ」と真面目に答えてくれた。しかし、表情が良くない。
どうやら凄く安いのだが、幾らか前にそのゆらぎ荘にて起きた学生の死亡事故後から幽霊が出るらしい。俺は別に幽霊が出るなんてどうでもいいと思った。幽霊が出るだけで客足が減るなんて可笑しいだろ……さらに詳しく話を続けた所中々いい所だと分かった為早速行くことに決めた。
────主。それでも今の時間帯からやっていますかね?一応6時は回っていますが……
まあ……やっていなかったらそれでいい。場所も教えて貰えたんだ。行くぞ
────了解
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「……ここか」
以外にもものの数分で目的の『ゆらぎ荘』とやらに着いたな。出入口だと思われる所が開いているのは確認でき、女の子が出入口付近を竹ほうきで掃除している。……多分ここの人か?割烹着も着ているし、多分その筈だ。流石にこの子が女性主義者ではないだろう……
「……あの」
「あら?こんな朝早くから……どうされました?」
────心配して損でしたね主
……こんな事もあるさ
「今宿探ししてるのですが、ここって泊まれます?今日明日だけなんですが……」
「それなら大丈夫ですよ。……荷物の方は?何も持って無さそうですが」
────主
……ああ。まあ、もう顔は世界中に割れてんだ。今更だ
「それならここに」
澪はそう言って名前無き破壊者の拡張領域から、荷物が入ったバッグを手に展開する。女の子はその様子に酷く驚いており、澪はその光景に?と頭の中に浮かべた。
「……あっ、それではご案内致します。」
それから俺は出入口の靴箱に靴を入れ、5号室と書かれた部屋に案内された。やはり朝ということもあってか朝食の準備をしなくてはいけないとのこと。女の子……仲居ちとせさんが言っていた。さん付けなのはあの子がここの仲居という事だからだ。PICを応用して出入口付近に置いてあった宿泊表の所に瞬時に移動し、書いて置いた。先程ちとせさんから「あっ……宿泊表」と言われた時にそのことを報告した。
ゆらぎ荘の食事は住民一斉に集まって、一緒に食べると言う。今どんな人がいるか聞いたところ男一人にちとせさん含めた女4人という事らしい。今は部屋で荷物の整理をして、窓から見える外の景色を楽しんでいた。……そんな時だった。なんと空高い所から同年代だと思われる男子が落ちて来ていた。……なんか、薄くだが浴衣姿の女の子も一緒に落ちて来てる────あっ、川に落ちた。
その後、俺はあの女の子……仲居ちとせさんの所に行って少し出掛けてきますと言ってゆらぎ荘を出た。ここは山の景色が良く、俺は歩いて山道を歩き、山の頂上にあるこの町を一望出来る場所に居た。
────主、ハイパーセンサーにIS反応を確認。
俺はノーネームからの報告に『場所は?』と問い、『この街の高等学校屋上、現在地から西の方角3km先』とノーネームが答える。俺の中で、一気に緊張感が高まる。まだ朝……しかもこんな所で戦闘が起きるかもしれない。そのような事が頭に浮かぶ。
────この時間帯は既に多くの人々が活動しています。人間体のままでの活動をお勧めします
「分かってる。ノーネーム、脚部パワーアシストとPICを最大値に設定。十秒以内にやれ」
────……完了しました。それでは、ルートを主の視界に表示します
「……行くぞ!」
澪はそう言ってから地面を蹴る。その影響で轟音と衝撃が地面に伝わり、地面が大きくひび割れちょっとしたクレーターができた。丁度山の頂上……しかもこんな朝早くから居た為、人は付近にはおらず誰にも見られる事は無かった。
衝撃は澪を空高くに打ち上げ、PICを応用してこの温泉街にある唯一の高等学校の屋上にへと向かう。
────IS反応。BTシリーズ二号機『サイレント・ゼフィルス』と特定
BTシリーズ?つまり……あのブルー・ティアーズと同系列の機体か。見た感じも……同じか?いや、全くといっていいほど同じでは無い。こっちは紫の蝶をモチーフにしている……これはこれで素晴らしい機体だ。
そうこう考えている内に澪は高等学校屋上に居るサイレント・ゼフィルスの目の前に降り立つ。サイレント・ゼフィルスのパイロットは、澪が生身で空を飛んでやってくるとは思わなかったようで驚いていた。しかし、澪はそのパイロットがフルフェイスヘルメットを付けている為どのような反応をしているかは分からなかった。
「……約束通り、来てやったぞ亡国」
澪がそう言うとサイレント・ゼフィルスは粒子となって霧散して、サイレント・ゼフィルスを駆るパイロットの素顔が露になる。その顔を見て、澪は固まった。
「────奴と同じ顔?」
「……お前とはこうして会うのは初めてだな。セカンド」
「っ!その声と話し方……お前はMか」
「もう一度言うが、私に苛められて興奮するような物はない。絶対だ」
「……了解した」
やつと同じ顔────世界最強織斑千冬の幼くした様な顔をした少女こと、M。それがこの間戦った相手でもあった。
「あの時の確認だ────本当に亡国に入るのだな?」
「……ああ。俺としても、現在の世界は気に入らん。特に────一度は世界から抹消された存在として、な。」
「やはり……Rの情報通りだったのか」
「R?それもお前達のコードネームか……M」
「そのような物だな。この際教えておくが、私の本当の名は『織斑マドカ』。お前は察しているだろうが、織斑千冬のクローン……それが私だ」
何となく、察していたがその通りだったか……言葉使いは似ているが奴とは真反対と言ってもいい程その身から出る気迫が違う。奴は絶対強者という自信ゆえに慢心気味だが、Mは真っ直ぐ研ぎ澄まされた気迫が俺にヒシヒシと伝わって来る。
「だが、今は『篠ノ之マドカ』、Rが『貴女も私の家族だ』と言って名付けてくれたよ」
澪ほその言葉に目を大きく開け驚愕した。『篠ノ之』────つまり、現日本にてその名を持つ者が10人以下の名字。それは天災の血筋と同じく名だ。そして、天災の名は『篠ノ之束』。篠ノ之束は常にウサギ耳の装置を頭に付けていることが知られている。澪はまさか?と思いマドカに目を向けると、彼女は頷く。
「Rは今亡国機業に入って、世界で暗躍している。本人は『私が犯した罪の償いのため』と言っているが……っと、これは────」
「分かってる……秘密にしろって事だろう?そうか、天災が……」
澪は現在の世界にした根源である人物、天災『篠ノ之束』が亡国機業に入り、己が犯した罪のために世界で暗躍している事を知り驚いた。世間一般では篠ノ之束は自己中心的で、親しい者にしか話をしないとも呼ばれていた人物だ。その人物が────他人の為に動いている。中々驚く事だ。己の人生を塗り替えた根源でもあるのだ、篠ノ之束に対して沸き上がり止まることのない怒りが湧き続ける。
そんな事を考えていると、澪は己の視界にマドカ……サイレント・ゼフィルスとの専用個人間秘匿通信の番号が送られて来た。
「私も中々忙しい身でな、今回こうやって来れたのも偶然に近い」
「もう行くのか……?悪いな、忙しい時に」
「構わんさ。また近い内会うことになるだろう。その時にまた色々話をしよう。さらばだ……」
そう言ってからマドカは再びサイレント・ゼフィルスを纏い、空に舞って何処かにへと飛んで行く。青い炎が尾を引くその姿は、朝日に輝く流星だった。
────予定が早く終わりましたね
「……そうだな。まあいいさ、あとはゆっくり休むとするさ……戻ろう」
澪はそう言ってからPICを使用し空高く舞い、ひっそりとゆらぎ荘の近くまで素早く飛んで行ったのであった。その後、問題という問題は無く。残りを自分の癒しに使え、日頃のストレスを浄化させていくのであった。
次章予告
日に日に力を付けていく澪
ある日の事、新たな転入生がやって来る
金髪の男と銀髪の少女
「……これも仕事なんだ。ごめんね……」
己の大切な物を奪おうとする者
「……さて、どうなるか分かってるんだろうなぁ!」
破壊者の怒りを受け
そして────
「俺はお前がどんな奴なんて関係ない」
「────────!」
「だから……その呪縛から開放する!」
銀髪の少女の願いを受け
「助け……て……」
「……行くぞぉぉぉ!」
────了解です。主
破壊者はその呪縛を破壊する
次章=破壊すべきはその呪縛=
次回予告
今日も今日とて
襲撃を避けていく
ある日
二人の転入生が俺のクラスに来たのだ
「……男?」
転入生の一人は男……?
「貴様が教官の弟か」
「っ!?何をするんだ!」
織斑に挑発行為をする銀髪の少女だった
次回=金と銀=