一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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名も無き者は

戦乱の火を浴び

その身を焦がし

全てを破壊尽くす




────行こう


双腕の破壊者

 

 

『……コイツがさっきのか?』

 

────生体スキャン反応無し。これも無人機のようです

 

 

 新たに現れた無人機。これまた凄いな。女性だと思われる黒い何かの体にゴテッゴテの分厚い装甲、さらに全身の至る所に何かしらのコンテナが装着されているみたいだな。背中には大型ブレードがある。はっきり言うと……黒い騎士だ

 

 それよりも、問題はその大きさだ。

 

 

『ノーネーム。コイツ大きくないか……?』

 

────はい。このISは全長6mもあります

 

『……これはISではなく、最早機動兵器とかの部類に入るぞ』

 

 

 目の前に居るISはその大きさが桁違いだった。俺でさえISでは比較的大型の部類である3mから4m級に入っていたが、目の前に居るのは桁が違う。俺よりも二回り程大きい。

 

 

────主、後退瞬時加速を!

 

 

 俺はノーネームの突然の叫びを聞いて後退瞬時加速で後方に下がる。その時、突然無人機から衝撃波が放たれた。ふー……危ない。ノーネームが教えてくれなければ、大ダメージを受けるところだった。

 

 澪は無人機の周辺20mの地面が衝撃波で抉られた光景を、汗は出ていないが汗が出るほど驚きながら見た。

 

 

────ん……?

 

『どうしたノーネーム?』

 

────前にいる無人機から通信が来てます

 

 

 ノーネームのその言葉に対して澪は何故?と疑問を抱いたが、ノーネームに通信を繋ぐように命じた。

 

 

『────オマエガハカイシャカ?』

 

『……確かにそう言われている。質問だ、お前は何だ?』

 

 

 俺が無人機からの通信に対しそう答え、質問をした時だ。目の前の無人機が突然背中にあった大型ブレードを片手で持って、俺に突撃してきた。

 

 澪は復讐者の剣を右手に展開し、無人機に対して斬りかかる。次の瞬間無人機は上段、名前無き破壊者は下段から己の武器を相手の武器に打ち付け合う。それによって衝撃波が生まれ、辺を襲う。

 

 

『オレガナニカ?ハン!オシエルワケネエダロォ?タメサセテモラウゼェェェ!』

 

 

 そう言いながらも無人機は脚部から小型の砲門が出現させ、俺に狙いを定める。動けないからその対応たと思うが、生憎その手は悪手だ。

 

 澪は無言で無人機を見つめながら反逆する血の牙達を展開し、瞬時に無人機の脚部からでる小型の砲門を貫き爆散させる。爆発の衝撃で少し力が弱まった所を狙い、一気に復讐者の剣に込める力を上げた。

 

 

『ああ……なんか五月蝿い奴だと言うのは分かった』

 

『コノガキィィ!』

 

 

 ふむ。あれだな。この無人機はどうやら遠隔操作型の無人機らしいな。あれか、ラジコンか。それと、こいつを操る者は頭に血が上りやすく男勝りだな。あと、なんかカタコトだ

 

 

『……クッ!?ドコカラコンナチカラガデル!?』

 

『俺とノーネーム達を舐めるなよ……!』

 

 

 いくぞ……お前達!

 

────我らは主のと共に……

 

 

 澪がそう言うと頭部の赤いバイザーが更に深紅に光り輝き、名前無き破壊者の出力が更に跳ね上がる。それに対し無人機は対応が出来なかったのかはじき飛ばされた。

 

 

『オレトシテハゴウカクダナ。ダガ……チッ、オレジャアコイツハダメカ。コウタイダ……M』

 

 

 はじき飛ばされたが瞬時に全身のスラスターを使い、姿勢を整え地面に着地した無人機が突然そう言い出す。

 

 

 

『交代だと?』

 

『……ツギハワタシノバンダ。セカンド』

 

 

 雰囲気が変わった……?さっきの奴が言うにはMとか言う奴か。多分コードネームみたいなものだろう。……殴られて喜ぶ奴とかではないだろう。

 

 

『ネンノタメイウガ、ワタシハヘンタイデハナイ』

 

『……気にしてるのか?まあいい、いくぞ……!』

 

『フン、スデニワタシハコウゲキシテルゾ』

 

────熱源反応確認。数は8つ?これは……遠隔脳波操作射撃兵装?

 

『イケ……ファング!』

 

 

 澪はノーネームの叫びを聞いて周りを見渡す、しかし、何処にもファングと呼ばれる脳波遠隔操作射撃兵装の姿は見えない。

 

 

『ぐがあっ!?』

 

 

 澪は突然背中に起きた衝撃に悲鳴を上げる。澪は再び周りを見渡すがやはりファングは見えない。しかし、その代わりにハイパーセンサーが何かを捉えた。

 

 

────これは……特殊な粒子ですね。この粒子がファングと呼ばれる物から放たれているのでしょう。ハイパーセンサーには反応しませんが、熱源センサーだけには反応する事から熱源反応だけは消せないのですね

 

 ハイパーセンサーには反応しなく、熱源センサーだけ反応する特殊な粒子を使った不可視の脳波遠隔射撃兵装……これは、とんでもないものが来たな。

 

 

『脳波遠隔のレベルは消え去ったあいつよりも数段高いようだな』

 

『ワタシヲアノキンパツトオナジニスルナ。ファング!』

 

 

 Mの言葉と共に襲い掛かるファングの猛攻に、その機動力でなんと避ける澪。復讐者の剣と名無しの運命でファングの一部を傷付け破壊するが、無人機のコンテナからまた次のファングがわらわらと出現する。

 

 

『ちぃ!?ファングが次から次へと……!』

 

『ヒャクチカクアルカラナ。コノテイドモンダイナイ』

 

 

 気付けば既に25000あったSEが13000まで減らされている。通常ISならば既に落とされていただろうが、そこは名前無き破壊者だからこそ言える。それでもこうなるのは、パイロットとしての差であろうか

 

 

『ドウシタ、ソノテイドカ!』

 

 

 Mが防戦に集中する澪に向けてそう叫ぶ。

 

 

『……俺まだ出来る。まだノーネーム達がいる限り、まだ戦える』

 

 

 ファングの猛攻の中、澪は絶対に生き残るという生きる気持ちを胸にMに向けてそう叫ぶ。それを聞いたノーネームが『ええ……!』と言う。

 

 

『オマエニデキルノカ?』

 

『生きて、生きて明日を過ごすんだよ。だから……お前を破壊する!』

 

 

 

 

キュイン

 

 

 

 澪は突然なった金属音。そして、名前無き破壊者が光輝き始めた事に驚く。しかし、以前もこのような事があったのを思い出す。それにまさかと思っていると……

 

 

 

 

 

────ODA作製率100.00%

 

────今回は強制換装させて頂きます!お許しを!

 

 

 澪は突然のODA作製の報告と、ノーネームのその言葉を聞いてやはりかと思った。澪は頼むとノーネームに一言

 

 

────新ODA『双腕』換装

 

 

 そのワイプが出た瞬間、全身の装甲が弾け飛び瞬時に新しい装甲がどこからとも無く出現する。頭部の赤いバイザーが、マスクが弾け飛ぶ。その影響で赤いバイザーの下にあったデュアルアイセンサーと人間の顔を模した顔が外気に晒されるように出現。さらに全身に出現した装甲が体にハマっていく。

 

 

 

 

────DAシリーズ『双腕』の換装を確認

────SE量が900に変更

────戦闘モード時の為30000に変更

────機体最高速度2000kmに変更

────瞬間突進速度2000kmに変更

────武装:超衝撃複合型武器腕『Dアームズ』

      :超衝撃武器腕展開近接装備『ビームランス』

      :脚部付属収圧縮荷電粒子砲『ジンライ』×2

      :頭部付属角『プラズマホーン』

      :全方位圧縮粒子衝撃波『エンドショック』

────『名前無き破壊者』『流星の破壊者』の武装は使用不可。注意して下さい

 

 

「これが……ODA第二の姿か!?」

 

 

 澪は視界に現れた機体データを見て驚いた。大型化した手足に、頭部の特徴的だった角が武器化。非固定浮遊部位の大型スラスターが更に大型化し、ゴツくなった。

 

 

 なんか……スーパーロボットだな。これは

 

 まあいい。しかし、この武装とスラスター、さらに装甲値の高さから近接白兵戦を想定しているのか?

 

 

────はい。重装甲と圧倒的パワーと突出力が特徴の『双腕の破壊者』です。戦闘モード時の為出力は最低でもIS10機分に値します。試合モード時はIS4機分に値します。

 

────……という訳だ!そして、このオレ様ツインが主をサポートするから安心しろよ!

 

 

 どうやら、新たなODA『双腕の破壊者』に換装出切るようになって新しいコア人格が目覚めたようだ。名前は……ツインだな。随分と自信のある声と大きさだ。

 

 

────ヘヘ!そう褒めるなって!

 

 

 とりあえず、サポートは任せたぞツイン

 

 

────おう!このツインに任せろ……って、主前!?

 

 

 澪はツインのその言葉にハッとして、意識を戻した直後。目の前に巨大な腕が迫っていた。

 

 

────プラズマホーン起動!

 

 

「おっ!?おわっ!?」

 

 

 ツインが咄嗟に頭部のプラズマホーンを起動させ、双腕の破壊者を迫る巨大な腕に突撃させたのだ。澪はどうにでもなれと思いながら、機体の全推進機を稼働させた。

 

 

 

『ナッ、ナンダト!?』

 

 

 

 次の瞬間。頭部のプラズマホーンが巨大な腕を両断し、さらに無人機をその衝撃で上空に吹き飛ばしたのだ。澪は何故こうなったのかを頭の中で考え、理解した。

 

 そうか。双腕の破壊者の特徴は重装甲と圧倒的パワー、さらに『突出力』。最低でもIS10機分のパワーと突出力が合さり、その衝撃がプラズマホーンに伝わりこれ程の威力を生み出したのか。

 

 

────主、今なら敵さん隙きだらけだぞ?このツインだったら、瞬間的に相手の懐に入って……

 

「……圧倒的力でねじ伏せるんだろう?」

 

 

 澪はそう言った瞬間、その異常とも呼べる瞬間的突出力で無人機の目の前に移動する。しかし、相手も既にそれを見越してかファングをタイミングよく双腕の破壊者の左右上下から突撃させていた。

 

 

「エンド」

 

 

 澪がそう呟くと同時に、全身の発光部分が光り輝き始めた。無人機を操るMはその場から直ぐに離脱しようとしたが、既に遅かった。

 

 

「ショーーーーーッッッッック!」

 

 

 その瞬間、ドオオッ!という音と共に双腕の破壊者から数十m範囲が赤黒い光に包まれた。光は瞬時に消え去り、そこから現れたのは無傷の双腕の破壊者と、全身の装甲やフレームが損傷している無人機だった。

 

 

 エンドショック

 

 それは胸部展開圧縮荷電粒子砲《名前無き破壊者》が前方に放たれるものが、全方位に放たれる様になったものだ。余りの強さにまるで光のドームだと思われる程のエネルギー状のドームが形成され、その範囲は最低限でも15m。発動までに時間が掛かるが、最高でも1kmの全方位攻撃が出来る。

 

 

『ウ、ウソダロ……? イチゲキデタイハ? コノキタイガ!?』

 

「手足……貰うぞ」

 

 

 澪はそう言って脚部からジンライを展開し、無人機の両足に向けて砲撃。無人機の脚部が爆発四散し、その場から跳躍し残った両腕をDアームズで片方ずつ全力で引きちぎる。パワー重視の双腕の破壊者と、今や全身ボロボロの無人機のフレームでは耐える事も出来ずに手足が失われていく。がら空きになった胴体部に連続ラッシュを決めて背中から地面に叩き付ける。

 内部フレームが露になり、そこからスパークが走る。そして、Dアームズを無人機の胴体部中央部分に当てる。次の瞬間、Dアームズの腕から多連装型パイルバンカーがせり出してきた。

 

 

『!?』

 

「全弾……喰らい尽くせぇぇぇぇぇ!」

 

 

ドガガガガガン!

 

 

 攻撃は見事に直撃し、その衝撃で最早死に体と言ってもいい程無人機は壊れ果てた。

 

 

 

『……ハカイシャ』

 

 

 突然個人間秘匿通信で無人機を操るMから話し掛けられ、澪は無人機を更に破壊しながら通信を繋げた。

 

 

『何だ? 大事な事だったら普通に喋れ。聞き辛い』

 

『ン……ナラ。私達『亡国機業』に来る気は無いか?』

 

 

 澪は突然流暢になった喋りに『最初からやれ』と思いながら答える。

 

 

『亡国機業……聞いた事の無い名だな。……その組織は何を目的に動いてるんだ?』

 

『……大まかに言えば、世界の修正』

 

『世界の修正ね……また大層な事を。そして、それは今の世界を?』

 

『そうだ。それが私達亡国機業の目的であり、数百年前から続く事だ』

 

 

 澪はその話を聞き、破壊しながら考えてから答えた。ふと手を止めて無人機を見たらISコア人格が居なく、四角形の灰色に輝くISコアが合った。

 

 

『その話────────』

 

 

 澪はそう呟いた直後、Mが『そうか』と言ってから無人機のISコアを粉々に砕いた。次の瞬間、無人機は盛大な爆発を起こし、双腕の破壊者を紅く照らした。

 

 

────お疲れ様主

 

────戦闘終了。何とか倒せましたね

 

 

 二人の言葉を聞き、今度こそ終わったと感じて一人溜息を吐いた。そして、今頃になった現れた教師部隊達がアリーナに入って来た。澪は早く入って来いよと思いながら見てると、突然────

 

 

『お前が所属不明機だな!各機攻撃開始、目標は所属不明機だ』

 

「はっ?」

 

 

 澪は突然の事に戸惑う。しかし、教師部隊達は俺に向けて武器を構えるのであった。




次回予告

全てが終わり

ある日の事

俺は……


次回=密会=

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