一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結) 作:A.K
その中に秘めし力
今蓄え
次の衝動に
全てを破壊せんと蓄える
一日の学業が終わり、放課後。俺は第一アリーナに来ていた……いや、来させられた。
「こいつ……本当に強いの?」
「強くないでしょ。根暗みたいな外見だし」
今日の昼休みの事だった。屋上で購買のパンを食べていたら突如、毎度の如く女性主義者達がやって来た。あーだのこーだの言っていたが余りにも五月蝿くて無視していたら、コイツら……よりによってまだ食べて無く、袋に包まれたままのパンを蹴り飛ばしやがった。
折角の食べ物を蹴り飛ばされた怒りを胸に女性主義者達を睨んだら、何か直ぐに泣き始めた。コイツらが無き喚こうが俺にとって何も感じないのでどうでも良かった……で、ほかの奴らと同じようにコイツらも泣きながら逃げてた。しかし、放課後また教室に来た……五十を超える人数で。そして、その後そのまま第一アリーナの戦闘区域まで連れてかれ、待機しろと言われその状態だ。
「やっぱ?やっぱりこいつって要らない奴らよね」
俺の視界には、十を越える訓練機を纏う女性主義者達が居る。因みに、この機体達のコア人格達が最近俺の中に移ってきた。それが分かったのが今朝起きた時だ。珍しく朝の訓練に寝坊思想になった時に、ノーネームとミーティア以外に十を越える甲高い声が響いてきた。今朝は刀奈と一緒に訓練をしたのでその時に言ったら、「私達の娘が増えたわね」と言ったので蒸せた。話が逸れたが、その為今目の前に存在する訓練機達のISコアにはコア人格が居ない。
「……ふう。口を開ければ俺の批判しかしないとは、全く……流石世界を食い潰す愚か者共が」
とりあえず五月蝿いので一言言ったら……おお、吐瀉物の様な顔をしやがって……気味悪い。更にはテレビで放送したらピーとかバキューン!等の効果音が付きそうな言葉の嵐。はあ……散々待たし、やっと来たと思ったら今度は批判話。いつの間にか訓練時間も終わろうとしてるし……うぜぇぇぇ
『とりあえず……黙れゴミ共』
目の前に居る……女性主義者を略し、この世のゴミを片付けるか
澪が瞬間的にIS体になって、ODA『ミーティア』に換装。その事態に女性主義者達が狼狽え、戸惑っていた。
『ろくに訓練しないで、ただISに乗れるだけで威張るな』
「えっ、後ろ……がっ!?」
声の聞こえる方に顔だけ向けるなよ。せめて武器を一緒に構えながら向けるか、攻撃しながら振り向けよ。とりあえず……まずは一匹。
澪は打鉄に乗る女性主義者の生徒の頭を掴もうとするが、絶対防御が本体に触れぬようにする。打鉄のパイロットはそれにニヤニヤと笑みを浮かべ、周辺の女性主義者達が澪に向けて武器を向ける。澪はその表情にイラつき……澪とノーネーム達だけ知っている物を起動させた。
『アイズ起動 』
アイズ……Anti.Infinite.Stratos.Systemの略して言った単語のことだ。『A.I.S.S.』を起動させて打鉄のパイロット頭部の絶対防御を少しだけ残して解除。パイロットの頭部を直に掴む。周囲の女性主義者達がその光景で固まる中、全力で地面にぶん投げる。打鉄は地面にぶつかって数回バウンドした後、アリーナの外壁に直撃して沈黙した。
(ノーネーム。アイズの解除を)
────主。いいので?
(見せしめにやっただけだ。まあ……)
『……ぶっ潰す』
澪はそう言って両拳を合わせ、機体中のエネルギーを拳に集める。拳に集まったエネルギーは真紅の光を放っていた。ノーネームは主である澪の命令に従いA.I.S.S.を解除した。
「ひっ……」
「きゃあぁぁぁ!?」
目の前の光景を見ていた女性主義者達が逃げようとするが、大型スラスターを吹かせて女性主義者達の前に回る。 逃がすかよ
1人
「ぎゃ!?」
2人
「ぐえっ!?」
3人4人
「「ぶべぇぇ!?」」
目の前で仲間が手加減無しで蹂躙される光景を見て、アリーナの観客席で見ていた女性主義者達が震える。女性主義者達は今まで男などと……見下して来た。それはこの時代だから、だからと言っても……それは決して許されることではない。女性主義者達がやって来た愚かな行為が、こうして還ってこようとしている……自分達に
「う、うわあぁぁぁぁぁ!!」
残っていた一人が、纏っていたラファール・リヴァイブの拡張領域から取り出したAE社印の簡易IS用ロケットランチャーで澪に向けて発射。澪はまさかそれが有るという事と、撃ってくるとは思わずに反応が遅れる……が、避けるとことはせずにそれを真横から受けた。簡易IS用ロケットランチャーの砲弾が起こした爆発で澪を隠した。
「あ、アハハハ!」
殺った。世界が憎き憎んでいる男を己の手で殺ったと思い、ラファール・リヴァイブのパイロットが狂ったように笑う。アリーナの観客席で見ていた女性主義者達も歓声を上げている。
やはり男なぞ女以下
女性主義者達の頭の中ではこのような言葉が浮かび、自分達が男よりも優れているという優越感に浸る。
『……排除』
その一声共に放たれた鋭い殺気、それによって歓声が止まる。簡易IS用ロケットランチャーは対IS用武器の一つで、一般機はもちろん専用機でさえ一撃でSEを半分までまでする代物だ。本来この学園には無い物であるが、ここにあるのは……女権団だ絡んでいるがそれは置いて……
『排除』
幾ら専用機でさえ多大なダメージを与える武器だとしても、一般機はもちろん専用機でさえ凌駕し、『禁忌』の渾名を持つ澪と名前無き破壊者は耐えた。
爆炎を吹き飛ばし、中から名前無き破壊者が飛び出す。澪はラファール・リヴァイブのパイロットが完全に油断していると判断し、瞬時加速で接近。ラファール・リヴァイブのパイロットの腹部に一撃与え、アリーナの外壁に叩き付ける。
『……毎度毎度面倒臭いんだよ、屑共』
澪はそう言ってからアリーナのピットに戻った。暫くの間、アリーナは静寂に包まれた。
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「……ふう」
あれから数刻、時間は夜十時前を刺そうとしている。
現在澪は寮の1階、自動販売機の近くにある休憩場に休んでいた。この時間帯なら女性主義者達と出会う事が無いので、いつもこの時間は此処に居るのだ。
「ん……?泣き声」
ふと、泣き声が聴こえてきた。澪はどこかで聞いたことがある声だなと考えていると、涙目の鈴がよろよろと歩いて来た。澪はあの活発で元気の塊みたいな鈴が泣いているのを見て思わず立ち上がり、鈴に近付いた。
「鈴!?」
「ん……澪。何よ」
「何よ……じゃない!どうしたんだ、お前が泣くなんて」
俺の言葉に戸惑いを表しながらも、鈴は涙を流しながら言う。
「少し……相談していい?」
「俺でよければ」
「……で、一体何があった?」
澪はとりあえず休憩場のソファーに、鈴を己と対面するような形で座らせた。鈴はまだヒック……と少し泣いているようだ。
「一夏と、ケンカ……した」
ふと、鈴が話した言葉に澪は理解した。鈴は織斑の事が好きなんだと……
しかし、織斑とケンカした……か。ケンカして泣くレベルとなると、よっぽどの事があったんだな。
それから鈴はゆっくりだが、俺に件の事について話してくれた。成程な……中学の頃に中国に帰る前、味噌汁うんぬんかんぬんを織斑に言って、織斑がそれに了承した。で、さっき織斑にその事を覚えてるか聞いたら違う意味で覚えていて……それでケンカになったのか
まあ……なんと言うか
「織斑……アイツは何をどう捉えればその返答になるんだ」
鈴は味噌汁を酢豚に変えて言ったみたいだが、少し考えれば分かる事だろう。それを織斑は……はあ、馬鹿野郎が
全く……こんな純粋な鈴を泣かすとは、許さんな
「しかし、それでも鈴が味噌汁で言えば良かったんじゃないのか?」
「うぅ……」
しかし、鈴……お前それは止めろ。いつの間に俺の横に来た。それと、頭を俺の腹にグリグリするな。くすぐったいのと、可愛いじゃないか。あっ……山田先生、そこで何を見てるんですか?えっ……なんで顔を赤くしている!?私見ちゃいましたじゃない……あっ、逃げやがった!?
「鈴、鈴?」
「すぅ……すぅ」
寝てる。鈴の奴寝てやがる。一体いつの間に……あー、また部屋に運ばなければ。ああ……また気まずい。それと、明日織斑に問うか
この後、鈴の自室(以前行った時に覚えた)まで鈴を背負って運び、同居人に『あ……お疲れ様』と澪は言われたのであった。
次回予告
人の恋
それにあれこれ言うつもりはないが
鈴の涙を見ては……我慢ならん
1度、純粋な女の子を泣かしたんだ
一度……その罪を体に叩き込むんでやる
次回=因果応報=