キャラ崩壊が多分一番激しいのですがどうか温かい目で見てください。
さらっと流してますが拷問描写ありです。ご注意を。
七大罪の一つは暴食。
閉じ込め飢えさせ、人を食ませましょう。
七大罪の一つは傲慢。
虚飾に紛れた皮を鑢で削り取ろう。
七大罪の一つは嫉妬。
命を奪い取る手をもつ貴方に手料理を振るまいしょう。
七大罪の一つは怠惰。
強制給仕で腹が裂けるまで食べさせましょう。
七大罪の一つは憤怒。
致死量の興奮剤を打ちましょう。
七大罪の一つは強欲。
溶けた金を浴びせましょう。
七大罪の一つは色欲。
山羊と。ね。
なのになぜ貴女は屈しない。
罪を犯すのに理由はいらない。呼吸するように息の根を奪おう。当たり前のことをなぜ貴女は憎む。
子供の頭で作ったボーラ。こんなに可笑しいのになぜ貴女は怒るのです。
楽しんでください。私は頑張って貴女の為に作ったパイプオルガンです。
ほら、弾いてみて。パイプの代わり人間を使っているので悲鳴が上がるのですよ。
これは女の子の甲高い声、これは男の低い声。か細い声に力強い声。一人一音で奏でましょう。
ここまでしても貴女は変わらない。
何時になったら、貴方の正義は折れる。
私はこれ以上肉体的苦痛で苛む手段を持ちません。
スプーンで何度も手足を削いだ、目をくりぬいた。歯には薬剤を塗り溶かした。内臓を引きずり出し捩じり切っていった。
私はこれ以上精神的苦痛で苛む手段を持ちません。
意味のない雑音を四六時中聞かせた。球体の鏡張りの部屋に閉じ込めた。白い部屋に閉じ込めた。五感を封じて放置した。
なのになぜ貴女は変わらない。
まるで私のように貴女は変わらない。
「私の負けです。セリュー・ユキビタス。私は貴方の正義を曲げる事が出来ない。貴方が私の悪を砕けないように。」
「いった……はず。せいぎは……くっしない。ゲホッ」
瞼も手足も瞳も体中の皮も鼻も耳も無く、それでも貴女は半年前と変わりはしない。
「ええ。驚いています。パッチワーク。修復。」
代わりのモノを継ぐ。
「何のつもりだ。」
「貴方の話を聞かせてください。私は初めて同類を見つけたのです。随分と都合のいいことを言っていますね。私。」
「キサマのような悪とどこが同類だ!!ふざけるな!!」
「気付いてないのですか。表しかない貴女と裏しかない私。そして人殺しを楽しんでいる。ほら、とても近い。」
「私は人殺しを」「楽しんでいますよ。人を殺す時に笑っていたじゃないですか。」
「違う!!あれは悪を殺したからだ!!」
「悪人だって人ですよ。まぁ、何の問題もありません。自覚していてもしていなくても私達は人を殺さずにはいられません。生き物を殺さずにはいられない。覚えがありませんか。」
「……。」
「お願いがあります。私に正義を教えて下さい。代わりに悪を教えます。」
「意味が分かりません。」
「表しかないコイン。裏しかないコイン。張り合わせれば普通のように見えるでしょう。」
「人間全てが悪人だとでもいうつもりか!!」
「悪人になりうる。です。貴女の真似をするならば悪に落ちるでしょうか。でも貴女は悪になり得ない。常に自分を正義だと信じるから。私と同じように。」
「犯罪者に教える事なんてない。」
「なら、大丈夫です。わたしは罪無き者ですから。」
持ってきておいた判決書を見せる。無罪とそこには書かれている。
「なんで、どうして!!私は知ってる。キサマが人を殺すのを。悍ましい道具にしたのを!!ブギーマン!!」
「無罪は無罪。偽造書ではありませんよ。本物です。それとも罪なき市民を殺すのですか。セリュー・ユキビタス。」
「ふざけるな!!そんなの。正義の帝国がすることじゃない。」
「私を止められるのは貴方だけですよ。私の取引を受けてくださいますか。」
「……分かった。その代り」「分かっています。ブギーマンは廃業です。大体の殺し方は行いましたから。」
絞殺、刺殺、溺殺、毒殺、斬殺、殴殺、鏖殺。
何人も何十人も何百人も何千人も何万人殺しましたがブギーマンとして生きていて一番嬉しかったのは貴女に会えたことです。
「これからよろしくお願いします。セリュー・ユキビタス。」
「……正義のため。……市民の為。よろしく。えっと。」
「アリア・フォン・トスカーナと申します。」
これが親友との出会い。まともな出会いではなくて、まともな人物でもなくて。でもそれは当たり前の話。
私もセリューも狂人なのですから。狂っているのが、間違っているのが正しいのですから。
分かり合えるまでさらに半年以上監禁したという落ちがつきますが。
ストックホルム症候群とリマ症候群から始まる友情。