アリアは踊る   作:mera

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第十五話

はぁ。気が重い。いつも笑っているから案内くらい簡単だな。ですか。

初対面の方と話すのはそこまで好きではないのです。

そもそも案内以外の雑務も押し付けられましたし。

事前の調査だけで何日潰れた事か。

クロメの髪を梳きたい。紅茶が飲みたい。殺し合いたいです。

エスデスの頼みでなければ無視しています。ああ、でもセリューの頼みなら二つ返事でしょうね。

あと少しで頭を切り取る楽しい作業ができます。それをご褒美だと思って。頑張りましょう。

「初めまして!帝国海軍から来たウェイブです!」

元気がいい人が。その大量の食材はなんでしょう。せめて保存のきく乾物だとありがたいのですが。

「副隊長を務めています。アリアと申します。背中の荷物を受け取っても。」

「はい、構いません。」

「敬語、くずしてかまいませんよ。」

荷物を受け取り冷蔵庫に入れながら言う。氷はまだ大分大きいのでぎゅうぎゅう詰めにしても大丈夫でしょう。

氷が足りなければエスデスに追加させます。塩もです。

「あ、ほんとか。ありがたい。」

「確認をさせてもらいます。帝具 グランシャリオの使用者。ウェイブ伯長で間違いありませんね。」

「おう。それであってる。それで、えーとそこのマスクの人は。」

「あ、私はボルス。よろしくね。」

「焼却部隊隊長ボルスさん。使用帝具はルビガンテ。人格者ですから困った時はまず彼に話してみる事をおすすめします。」

自分の顔が醜いと言っていますが味方を守る際の火傷を醜いと罵る人はいないと思います。

「何でマスクを。」

「昔、火傷を負ちゃってね。醜いから隠してるの。」

「資料を見る限り味方を庇っての名誉の戦傷だと思うのですが。」

「それでも気分を悪くする人がいたら悪いから。」

確かにケロイドは慣れていなければ気分を害するかもしれません。私は疱瘡やライ病で見慣れているので平気ですが。

「見た目で引いてすいませんでした!!ボルスさん。」

本当に好青年です。隊内での揉め事は起きなさそうですね。まずは一安心でしょうか。

「ボルスでいいよ。ウェイブ君。君じゃ失礼かな」

「俺の事は好きに呼んでかまいません。」

「では、磯の香りの助と。」

「そういう意味じゃ!」

「戯言です。と実は任務が入っています。詳細な説明はあと一人の入隊者待ちですね。」

タツミと同じ感じがします。からかわれる素質の持ち主です。

気配から察するに来ましたか。

「失礼します。ジョヨウから来ましたランと言います。」

「帝具 マスティマの使用者。ジョヨウ警備隊隊長ランさんですね。敬語はくずしてもかまいません。」

「身に染み付いてしまっていまして。」

慣れているなと思いましたが私のように敬語が地なのですね。それはそれでかまいません。

資料では要注意人物。

蜂蜜の罠は女性の特権ではありませんからそこまで不快感はないのですが。

ただ、クロメが引っかからないか心配です。

そんなこと有り得ないと分っていても心配です。

本当に心の底から心配です。

心配なのでここで殺してしまいましょうか。

「バラの様ですね。貴女は。」

青色の(高貴な)バラですよ。私は。戯れはここまでに。初任務を伝えます。賊の殲滅です。」

「というより革命軍の私掠部隊殲滅が正しい。そうだよね、アリア。・・・・・・来て早々殺気を感じたけど姉馬鹿もいい加減にしときなよ。」

随分と早く着きましたね。今週中につくとは思っていなかったのですが。まぁ、親友に常識を説いても今更な感じがします。どうせ足のローラーを酷使して不眠不休で来たのでしょう。不眠不休なのはコロだけかもしれませんが。

後、誰が姉馬鹿ですか。クロメの事が気になって仕方ないだけです。ああ、姉馬鹿でした。

「帝具 ヘカトンケイルの使用者。憲兵隊隊長セリュー。……会いたかったです。」

「私も会いたかったよ。アリアはいつも心配だから。」

悪い事をしてないか。それが心配なのでしょう。していません。そんな大々的には。

それにしても革命軍の私掠部隊は多すぎます。一体いくつ潰したか。小さなものなら警備隊を連れて行って迫撃砲を撃ち込むだけなのですが。

「その通りです。セリュー。この任務には私、ボルスさん、ウェイブさん、ランさん。この四人で当たります。」

「何で全員じゃない。全員でやった方が」

「試金石という訳ですか。」

その通りです。

でもセリューから聞いた話が正しいならボルスさんは試す必要はないと思っています。

引率者として参加してもらいます。手が足りないのです。

「海の物とも山の物とも分からない方ですから。いえ、例え話ですから。そんな自己主張要りません。」

「わ、分かってたし。例え話だってことくらい。別段海の男アピールとかしてないし。」

慌てすぎです。ウェイブさん。

「ただ、試金石にしては手強すぎるかもしれません。これをご覧ください。」

事前に偵察させた資料を配る。

「アリア。これ近場の連中を狩っていたら合流された。そうだよね。」

「確実に待ち受けてますね。これは。私は私の勤めを果たすだけですが。」

「もう軍の仕事だろ。これ。四人でやる仕事とは思えねぇ。だがいい感じだ。」

「燃やし尽くすのは骨が折れそうだね。」

それぞれの四者四様の顔をする。

「これでも警備隊の撃ち漏らしは三割以下です。軍は一度制圧に赴き、榴弾砲と草竜兵数騎に蹂躙されました。」

「アリア。もうそれちょっとした軍。ロケット弾を遠くから叩き込むよ。憲兵隊(私たち)なら。」

「対危険種用機関砲や重機関銃。本当に軍の装備だね。」

「漢、ウェイブの見せ所だな。」

「でしたら、先駆けは任せます。」

グランシャリオなら重機関銃程度なら直撃しても無傷です。さすがに対大型危険種用機関砲を連続で受け続けるのは駄目でしょうが。

「となると私は遊撃ですね。破壊手段の融通をしてもらっても。」

「爆弾を用意させますよ。焼夷、破砕、お好きなものを。」

「ごめん。アリア、試金石なのは理解してる。でも要塞から逃げ出した賊は私が撃ち殺す。文句はないよね。」

私を威圧しながら聞くセリュー。何時もながらの気軽さで殺気を飛ばし合う。

「高い弾丸を使わないなら。」

「大丈夫。砲弾は使わない。安心して。高々800。外しはしないよ。」

ならいいでしょう。

「正面はグランシャリオで突撃。思いっきり注意を惹いて下さい。その隙にランさんが空中から銃座を破壊。最低でも対危険種用砲座は破壊を。その後、ボルスさんが残った建物を全て焼き払う。作戦はこんなものですか。」

「アリアさんは。」

「遠距離から狙撃に徹します。支援が欲しければ採光弾を上げてください。設置火器を重点的に破壊します。」

だからセリューには観測手をして欲しかったのですが。部下を一人呼びましょうか。

 

「さぁ、お仕事をしましょう。人を殺す素敵な時間です。」

「そうだね。正義を知らしめる時間だ。悪には速やかな死を。」

「・・・・・・一番おかしいのは隊長格じゃないか。」

「実力があってまともな人格者でしたら帝国にはいないと思いますよ。」

「仕事は仕事。気を引き締めてね。」

「ボルスさんだけが癒しです。」

仲にいいことは良い事です。

敵は鏖殺し味方は無傷。何時も通りです。

 




人数が増えると描写が大変です。
どうにか一人一人の描写を濃くする方法はないでしょうか。



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