ご注意ください。
「そういえば、エスデス。恋がしたいなどと血迷ったのは本当ですか。」
「血には狂わされるのはいつもだがもう少し言い方が。……これが条件だ。」
エスデスから手渡された紙を読む。心当たりがあります。物凄く。
「この条件に心当たりがあります。」
「本当か!我ながら無茶苦茶な条件だと思うんだが。」
将軍級の器、年下、地方の出身、危険種狩りが共に出来る。
タツミがものの見事に当てはまります。幸か不幸かわかりません。
「私でも底を見抜けない器。現在でも三獣士の一人を殺せる腕です。私より一つ上でしかないのに。」
「話に出てきたタツミという奴か。私と同じくらいの年齢だと勝手に思っていたが。そうか。後で紹介しろ。」
「それは構いませんが恋がしたいなら力尽くは駄目ですよ。」
それだとペットの調教になってしまいますから。恋は奪うものと言っても限度があります。
「ん、なぜだ。私色に染め上げるのが恋だ。違うか。」
それではお人形遊びと変わらないではないですか。
「相手の色のままで自分の物にするのが恋だと私は思いますよ。狩りでも殺すのと生け捕りはやり方が違うでしょう。」
「難しいものだな。ではどうすればいい。知っているだろう。」
私も恋をしたことはないのでわかりません。いえ、でも一般的な助言は出来ますか。
「同じ趣味を持つ。そうです。二人で超級危険種を狩りに行けばいいのではないでしょうか。」
「良いな。闘争も恋も満たせる。いい案だ。実力が足りなければ私が育てる事も出来る。ああ、楽しみだ。」
タツミ、帰ったら特訓が追加されます。まだまだ強くなれますよ。良かったですね。
もうエスデスもワクチンを打っていますから都市に入れます。私、エスデス相手の二対一の模擬戦が出来ます。
成長速度増加間違いなしです。
「私の邸宅に来ますか。歓迎しますよ。貴女ならハーフも区別しないでしょう。」
弱者か強者かで区別するのが貴女ですから。
「そうさせてもらう。……そろそろだな。下拵えは任せたぞ。」
帝具の二重使用はきついのですよ。
今の私が出せる目一杯の殺気をのせて恐怖の感情を引き出す演奏をスクリームで行う。
「笛の音は分からんが良い殺気だ。心地いいな。」
無差別なのですが気にも止めませんか。
さて、船外が騒がしくなって……来ませんね。
「失敗しましたか。」
「いや、成功し過ぎたようだ。恐怖のあまり気絶した者、心臓が止まった者までいるな。」
気配を探り直すと言われた通り弱々しくなった者、それを通り越して途絶えた者。そして、元気に動き回る者が二人。
「行きましょうか。同じ舞台で踊りましょう。エスデス。」
さて居るのは獣と……手配書のシェーレさんですか。
「エスデス。戦う相手には敬意を払いますから。」
「戦う相手か。全力で逃げる相手はどうする。」
面白くなるように殺すだけです。
「という訳です。戦うか逃げるかどういたします。私は戦う事をお勧めしますが。」
「逃げるぞ!勝てる相手じゃない!!」
獣の方はガタガタと震えながらつまらない事を言う
「戦います。勝手かもしれませんが逃げるより戦いたいんです。」
「ああ、もう。年貢の納め時か。最期まで付き合うよ。シェーレ!!」
ああ、そう来なければ。
「全力で足掻けば生き残れるかもしれませんよ。」
「そうだな。闘争で私を満たせば、拷問は無しだ。」
鉋を抜く。私の相手はどちらにしましょうか。
「表、裏。好きな方をエスデス。」
取り出した金貨を弾きながら聞く。
「裏だ。当たったな。なら、私は獣狩りをするとしよう。」
鋏持ち相手ですか。楽しむとしましょう。
零閃
「鈍で斬れないとは随分と硬いものです。でも担い手は弱いですね。」
縮地で背後に立ち、長い髪を斬り落とす。何時でも殺せると教えるために。
エスデスの殺気に当てられて絶好調ですからこんなに弱く感じるのかもしれません。
「窮鼠猫を噛むと言います。エクスタス!!」
「目に頼るようでは何時までも化け物の相手は出来ませんよ。雷龍閃。」
光を刀身で反射して直接目に叩き込む。鉋と鈍の兄弟ですからできると思っていました。鉋と鈍は打ち合わせると発光しますから。
暫くは眼が使い物にならないでしょう。さぁ、どう足掻きます。
「まだです!!エクスタス!!」
正確に私の元に大きく開いた鋏が襲い掛かる。防御など考えず。眼は見えずとも臆せず。いいです。実に素敵です。
「だから、避けません。」
彼女の攻撃は私の胴体を寸断し、私の一撃は首を飛ばす。
「パッチワーク、継ぎ接げ。貴方は生かして差し上げます。だってまだ殺すには勿体無いです。」
私の上半身と下半身。彼女の首を繋ぐ。本当に便利です。
彼女の意識を奪い、寸断されたドレスを縫い留める。
向こうはどうでしょうか。終わっていますね。
「その獲物はどうするつもりで。私は解放するつもりですが。」
「詰まらん戦いだったからな。これで遊ぶつもりだ。そっちはそんなに楽しかったか。」
「楽しくなりそうですね。視界を奪われても、私の殺気に臆せず捨て身の攻撃を行ってきました。」
「それは楽しみな逸材だ。こっちは戯れただけで終わったと言うのに。」
不満な分は拷問で補うのですか。シェーレに見せて差し上げましょう。憎悪は人を強くしますから。
牡蠣を剥きながら食べているとシェーレさんが目を覚ましました。
「おはようございます。シェーレさん。」
「殺しなさい。仲間は売りません。」
「いえ、貴女は無傷で解放します。ただ、あれを見た後ですが。」
「おい、また駄目になった。直せ。牡蠣殻も寄越せ。」
パッチワークで獣の削がれた手足を直しながら食べ終えた牡蠣殻を渡す。
「レオーネ!!止めてください!!」
「そろそろ牡蠣にも飽きが来ました。皮剥ぎ以外の拷問にしてください。」
スプーンを手渡しながら目を指差す。
「なら喉を直せ。悲鳴が聞けないなんて興ざめだろう。」
「熱湯を直接飲ませたことを恨んでください。声帯を直すのは面倒なのです。」
「貴方達は。貴方達は何を!!」
「「拷問
見ればわかるでしょう。
手足は骨が見えるまで削ぎ落とされ、胴体は熱傷による水膨れ。元の顔が分からなくなるまで砕かれた顔。
拷問以外の何だと言うのですか。
「エスデス。私はもう一度完璧に直します。何度目でしたっけ。」
「十くらいじゃないか。」
飛ばし過ぎです。通りで途中から反応が薄いと。
よし、直りました。
「シェーレさん。負けた相手をどう扱おうと勝者の自由です。だから、私は貴女を解放するのです。……牡蠣はいりませんか。お腹一杯なのですよ。」
だから、エスデスは拷問するのです。エスデスに負けた者の末路は一つだけです。
「……シェーレ。シェーレ!!助けて!!助けて!!お願い!!」
反応が薄くなってきたから壊れたかと思っていました。あぁ、エスデスがいい笑顔です。
牡蠣殻を手にすごくいい笑顔です。
「嫌だ。嫌だ。嫌だ。もう手足が削がれるのは嫌だぁ!!」
「高々14回目だぞ。ほら楽しめ。」
悲鳴がまた響く。
「よく見てください。敗者の姿を。蹂躙する彼女を。全ては弱さのせいです。だから、強くなってください。もっともっと強く。」
私を楽しませるくらいにね。
「アリア。スプーン。」
さっき渡しましたよね。
「次は眼をくり抜く。ほら、また入ってきたぞ。」
よく飽きませんね。エスデス。今度は凍傷にした後に熱湯をかけている。
あ、良い事を思い付きました。
「エスデス。それはシェーレさんに殺させましょう。」
「それは面白そうだな。仲間を殺すか。どんな顔をするんだろうな。」
「誰がそんな事をしますか!!」
「なら、別段いいです。無理強いはいけませんから。」
油を獣にかける。えっとレオーネさんでしたか。
「生かし続けろ。パッチワーク。」
「地獄の業火で焼かれろとはよく言われるが実際生きながら焼かれ続けるのはどんな気分だろうな。」
「中々心地よいものですよ。焼かれるのは。あ、頭が潰されれば流石に死にますよ。シェーレさん。」
手の拘束を解き、エクスタスを返す。
即座に私に斬り掛かりますが片手で防ぐ。
技量で劣り、疲労し、まともな精神状態でない。これだけコンディション悪ければどうとでもなります。
悲鳴が五月蠅いので松明の喉を潰す。
「人が話をしようとしています。お静かに。殺すのは私ではないでしょう。今は。飽きるまでしても構いませんが。」
「あ、ああ、あああああああああああああああああああああああ!!」
一太刀。見事に松明を縦に半分にします。流石にパッチワークでも直せません。
「そそる顔だな。今度、捕虜に同じことをさせてみようか。」
「自軍の兵士の刑罰に取り入れては。十人一組にして、一人を殺させる。武器は石が良いでしょう。頭蓋骨を砕く感覚は素晴らしい。そうでしょう。」
「一々気にしていなかったが気にしてみるか。」
茫然自失になっているシェーレさんの意識を再び奪い、龍船に五道転輪王をセットして脱出する。
『龍船、革命軍によって爆破。犠牲者多数。』
良い喧伝になりそうです。あぁ、なんて非道な革命軍と。
ナイトレイド一名死亡。私達に損傷は無し。良い結果です。
楽しみな素材も見つけました。まっすぐで、私以外には挑まない理想的な遊び相手。
壊れても直して飽きるまで遊んで差し上げます。
友人と共に遊ぶと言うのは本当に良いものです。また遊びましょう。
レオーネは割と好きなキャラだったのですが戦力的にナイトレイドで死んでもいいのは彼女だけなんですよね。
兄貴を殺してしまうとアリアとエスデスが攻略不能になりますから。
ドSが揃うとロクな事になりませんね。
本当に。
不愉快な思いをさせてしまったら本当に申し訳ありません。