緋弾のアリア ~月を渡る前向きな武偵~   作:紫柳

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(´-ω-`)zzz

日曜
(´・ω・`)ア、カカナイト


「うーん、さすがに話をめんどくしすぎたかなぁ」

「過去編は一話で纏めたいし削るか」

「なるべくフラグは残しておいて削る削る…」

投稿10分前
「え…何これ酷い(話の展開が)」

一週間ぶりの投稿です
休憩中に書いていたのも少しだけで今日はほとんど全力で書きましたが文書作成能力がさらにひどくなった感覚に襲われました。
本当にすいません。
展開ひどくね?と思ってもどうかお許しを!(次回も酷いかもしれない)
一応この話にはめちゃくちゃ重要なフラグがあります。
お気に入り登録700ありがとうございます。



第39弾 語られる過去

あの日見た日常…いや非日常か

 

 

 

 

あの世界は壊れていた。

ある日が来ると必ず人が減っていく。

いや、これも誤りか。減るのではない。

殺されていく。

日常の中に組み込まれる非日常。

俺はそんな日常を繰り返していた。

そんな日常。

けど俺はその日常に慣れ…いや、機械的に繰り返した。

 

それならこれも非日常か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すすり泣く声が聞こえる。

 

今この部屋にはこの家にいる人が全員いる。

その全員が泣いているか苦痛の表情を浮かべている。

その原因

それはこの部屋の中心に置かれ布団に寝ている一人の仲居だ。

しかしそれは永遠に目覚めない眠り。

見るからに年若い彼女の顔に布がかけられる。

そのことから考えられる答えは決まっている

この世界に来てもあの時と同じ。

決められたときに人が消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の仲居がこの世を去って3日後

俺は今、動きやすい服装を着た晴雨と一緒に庭を歩いている。

彼女は俺の婚約者。

この家に婿養子に呼ばれて6年近くになる。

この人と結婚するとなると少し恥ずかしい感じだが。

庭を歩きながら俺たちは他愛ない雑談を続けている。

晴雨は微笑んでいるがその表情には少しだけ陰りがある。

最初から俺には記憶があるため人の表情から大体の感情は読み取れる。

彼女は気丈に振舞っているがやっぱり少しだけ表情が曇っている。

 

俺が彼女に…彼女たちにしてやれることは何もない。

これは仕方のないこと。

あまりにも大きいこの家の『呪い』の本質。

 

それはこの家にいる人全員が40代までしか生きていられないことだ。

 

正確には44年4カ月14日しか生きられない。

 

この家の呪いが俺たちの命を吸い取っているみたいだ。

あの狐のサーヴァントがいるならこのことについてなんとかしてくれるかもしれないがそれも無理だ。

電子手帳にも詳細が書かれていないため俺にはどうすることもできない。

どうすることも…

 

「…の?白野?」

 

晴雨がこちらの顔を覗き込んでくる。

 

「ご、ごめん。ちょっと考え事をな…」

 

俺は晴雨から顔をそらして返答をする。

晴雨自体がとても美少女だからその彼女の顔が正面にあると緊張してしまうのだ。

そしてもう一度彼女の顔を見てみると彼女は目に見えて複雑な表情を見せいていた。

 

「すいません…。私のせいで余計な心配を…」

 

どうやら逆に心配をかけてしまったみたいだ。

彼女は俺よりもきっといい人だ。

こんな俺が彼女をこんな顔にさせてしまうのはとても心苦しい。

 

「い、いや…こっちもごめん」

 

そこでその場に沈黙が流れる。

き、気まずい…沈黙が痛いよ。

 

しかし、その表情をするのも当然のことだ。

大切な家族と同等の一人が亡くなってしまったのだ。

確かに人間は必ず死んでしまう。

しかし、それが決められた短い未来ならなおさら苦しい。

俺は許せない。

人の命を吸い取り限りある人生を奪い去ってしまう。

そしてそれは周りの人々へと悲しみを伝染させる。

 

静寂の中立ちつくす俺たち

しかしその静寂を壊す人が来た。というか来ていた

 

「は・く・のくーん!」

 

「うおっ!」

 

そう言って気配もなく俺の背中に飛びついてきたのはユキだ。

俺は倒れないように足を踏ん張ってユキを抱える。

まったくこの人は一応俺の従者なのに。

 

「ちょっとユキ!あなた白野様にまた!」

 

「ええー。別にいいじゃない。白野君も特に何も言ってくれないしー」

 

後からミドリも出てきてユキを止めている。

けど正直助かった。

さっきまでの緊迫した雰囲気を壊してくれたことはありがたい。

俺が呆れながらも微笑んでいると晴雨から声がかかる

 

「白野。何でユキに抱きつかれて喜んでいるんですか?」

 

あ、あれぇ~?何で怒っているの~?

軽く微笑んでいるが今度は目が笑っていない。

 

「い、いやいやいや!こ、これはユキが…!」

 

そのあと襲われたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1か月が過ぎた。

3月中盤の桜舞う春の兆しがまぶしい。

しかしこの部屋の空気は重い。

 

また、一人の仲居が亡くなった。

それもまた呪いによって寿命が短くなり亡くなった一人だ。

また何もできずに人が亡くなっていく。

そこで俺は気付いた。

確かに呪いは許せない。

けどそれ以上に許せないものがある。

 

 

 

守ることもできない。

 

 

 

何もすることができない。

 

 

 

 

それが許せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな自分が許せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はトイレのために部屋から出る。

消沈した気持ちのまま廊下を歩いていると部屋から声が聞こえてくる。

 

盗み聞きするつもりはなかったが何故かその時は聞き耳を立ててしまった。

 

「…母さん!さすがにもう限界!なんとかできないの!」

 

この声は晴姫さんか。

察するに相手は晴海さんだろう。

彼女たちが言い争っているからなんとなく話を聞いていた

 

「…いいえ。ダメです。このことには余計に首を突っ込んではいけませんよ」

 

「よ、余計なことって!大事な家族がまた一人亡くなったのよ!それが余計なことではないでしょ!」

 

中から溜息の声が聞こえる。

どうやら晴姫さんもこの呪いのことでどうにかできないかと聞いているようだ。

確かに謎の呪いなのだろうがこの家の党首ともなれば何か知っているのかも知れない

 

「いいえ、ダメです。このことは党首にしか真実は告げられません。たとえ次期党首のあなたでも教えることはまだ駄目です。」

 

「いや!母さんも…後5年したら…私はみんなを…家族を守りたい…」

 

「…駄目です。これ以上深入りしたら…ん?誰ですか?」

 

―!

まずい!

思ったのもつかの間俺はその場を離れる。

それ以上聞くこともできぬまま俺はその場を去った。

けど、そのまま残って入ればこの問題も起きなかったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例の話から数日が過ぎた。

その日が運命の日

 

 

 

 

 

その日は妙な曇り空だった。

俺はこの時にはしっかりと続けていたランニング終わりタオルで汗をふきながら廊下を歩いている。

いつもはだれかと走っているのだが今日は一人で走っていた。

ミドリはユキに勉強を教えてもらっていた。

なんでも理系を教えてほしいだとか。

ユキはアホなのになぜか理系はいいんだよな…

晴雨はどうやら晴海さんに呼ばれてどこかへ行ったようだ。

俺は廊下を右に曲がると影となる左側から手を掴まれ引き込まれる。

何事?!と思ったが口を人差し指で防がれる。

俺は動揺したがその人物を見て落ち着きを取り戻す。

その人物は晴姫さんだった。

彼女は俺がこの家に来た時から俺に親しくしてくれた。

そんな彼女が一体と思い冷静になる。

晴姫さんもこちらが落ち着いたのがわかると口に置いた手を離し俺に話しかける。

 

「白野。ちょっと一緒に来てほしいところがあるのだけど」

 

「え?一体どこへ?」

 

彼女が真剣な表情で俺に話してくる。

俺は話について行けずあわてて問いた。

 

「ごめん。詳しくは教えられないけど、とにかくついてきてほしい」

 

表情では冷静に保っていたがその声は緊迫で張り詰めていた。

その声で俺は緊急だと悟った。

 

「…わかりました。」

 

俺の声を聞くとすぐに振り返り大股に歩きだす。

俺の手首をつかんだ手は汗ばみながらもとても冷え込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こんなところがあったのか…」

 

俺は今山登りをしている。

屋敷から数キロほど離れたさらに山の奥を登っていく。

道なき道の中晴姫さんの背中を追っている。

彼女は何も言わずどんどん道を進んでいく。

不思議に思った。

何が彼女をここまで動かすのだろうと。

俺が知っている晴姫さん。

いつもみんなを元気にするように笑っていてそれにみんなを愛している。

その彼女が今緊迫した表情で歩んでいる。

それなら俺はただ彼女について行くだけだ。

だって家族から助けを求められたら救いに行くものだろ。

 

 

 

 

 

 

森をさらに進むこと数十分開けた場所に出た。

目の前にはこんもりとした土の山があり、その中腹に円形の開き扉がある。

近くまで近づいてみてみると堅甲そうなでかい南京錠で閉じられている。

ここに晴姫さんは連れてきたかったのか?

 

「ここは一体?」

 

「…ここは夏目家の呪いが封印されている場所よ」

 

「そ、それは本当に?!」

 

俺はさらに問いただす

 

「ええ、私はその呪いをなんとかするためにこの場所に来た。けど私にはそれをどうすることもできないのよ」

 

そう言って南京錠を指さす

 

「それは、対超能力(アンチステルス)でできている。だから私の超能力でも破壊できないし強度も高いから物理での破壊もほぼ不可能。だからあなたを呼ばせてもらった。」

 

…なるほどな。

超能力も効かず物理での破壊も不可能そこで魔術の出番というわけか

超能力と魔術は一線が引かれている。

つまり対超能力道具でも相殺されないわけだ。

確かにそこで俺を呼ぶのは当たり前かもしれないが

 

「晴姫さん。確かに俺も呪いを許せません。けど、本当に俺が破壊していいんですか?」

 

「っ!どういうこと?」

 

動揺した声が聞こえるが俺は続けて話し出す

 

「呪いの真実は本来党首にしか伝えられないことなんじゃないですか?」

 

「…どこでそれを?」

 

「…たまたま知ってたんですよ」

 

訝しそうな顔で俺を見てくる。

どうやらあちらも勘づいているようだな。

まあもう別にいいけど

 

「その呪いのことをどうにかしてこいとか晴海さんに言われたりしたならわかりますけど、それなら普通父さんに話すんじゃ…」

 

「私はみんなを助けたい!けど母さんは関わるなというし何も教えてくれない!お願い白野。私に力を貸して…」

 

懇願するかのように俺に詰め寄ってくる。

その目を見ると本当にみんなを助けたいという気持ちが伝わってくる。

俺は少し罪悪感があった。

けど俺でも晴姫さんのように強行を起こしていたかもしれない。

そう考えると俺はその提案を受けたほうがメリットがあると思いその提案を受けることにした。

 

「わかりました。けど、その呪いをどうにかする方法を知っているんですか?」

 

俺の言葉に晴姫さんは後ろを向き返答をする。

 

「うん。それは任せてよ」

 

この時表情が見えなかったのがいけなかった

もしも面と向かっていたらこうはなっていなかった。

 

俺は扉から少し離れ扉を見る。

狙いは南京錠。

俺は電子手帳から『空気打ち/一の太刀』を取り出し衝撃波をぶつける。

南京錠は脆い豆腐のようにボロボロに破壊される。

そして俺たちは鉄の扉をあける。

 

そこは不思議な空間だった。

 

「うわぁ…!」

 

感嘆した。

その中は赤色、橙色、黄色、緑色、水色、青色、紫色の色がカラフルに染色されている。

それは幻想的でとても眩しかった。

俺はそのまま足を踏み入れようとするがそこで晴姫さんの異変に気付いた。

 

怯えている…のか?

 

彼女は顔を俯かせブルブルと震えている。

俺には一体何に怯えているのかわからない。

 

しかし、彼女は一度覚悟を決めるように肩に力を入れると俺の隣から先に中に入っていく。

一言声をかけようとしたが大丈夫なのか?

俺はもう役目を終えたが俺たちを苦しめた呪いがどんなものか一目見たかったので俺もなかへと足を踏み入れるのだった。

 

歩みは進めたがそれはすぐに付いた。

進むと少し開けた場所に出る。

そこには30センチ四方の祭壇

そしてその上に

 

「…あれが」

 

あれが呪いの元凶?

 

それは1センチほどのビー玉サイズの球だった。

しかしその色はこの洞穴の色の元凶だと示すように虹色に輝いている。

あまりに幻想的。

しかし、こんな小さなものがたくさんの人々を殺してきたと思うとやるせない気持ちになる。

 

俺はここからやることはない、後は晴姫さんに任せるだけ。

彼女はわき目もふらず祭壇に近寄る。

 

どうするのかと不思議に感じたがそこで驚愕の行動に出た。

 

「なっ?!」

 

何と晴姫さんはその球を一口に飲みこんだのだ!

あ、あれが対処法なのか?

 

しかし、それはまずいことだと知らしめられる。

飲み込んだことで少し苦しそうにしていたがその後静まる。

 

「…ハハハハハハハハハハハハ!!」

 

そして晴姫さんが突然笑い出した。

そして俺の顔を見る。

 

「…お前…誰だ?」

 

俺は問うた。

これが晴姫さんの心なのか?

それは何も見えない。この部屋を象徴するかのように虹色に染められた感覚が俺を覆う。

 

「何を言っているの白野?私は夏目晴姫よ」

 

「ふざけるな!」

 

「ふざけてなんかいないよ。この場所に来た時からこうしないといけないってこえがきこえた。こうすれば呪いは封印されるって。この扉の前に来た時からね」

 

俺は数分前の自分を殴りたい衝動になった。晴姫さんの表情さえ見れば止めることはできたのだ。

多分さっきこの扉を開けた時から晴姫さんはおかしくなったのだろう。

考えてみたらおかしかったのはこの場所に来た時からだ。

高威力ならわからなくともないが軽威力のコードキャストでもあの南京錠を破壊できたのだ。

この力を欲しがる分家ならどこにでもいる。

俺のコードキャストと同じくらいの爆破くらい起こせただろう。

それなのに今までこの場所にあったならさらに異種の力が抑止力であったということ。

気付けなかった自分が悪い。

しかし今後悔したところで後の祭りだ。

後手に回ったなら後手なりの回し方をしないと

 

俺は先制をとるように先に攻撃を仕掛ける

が、まるで読まれたかのように華麗に回避される。

そのあとも攻撃を仕掛けるがすべて回避される。

 

「…はあ…はあ…何故だ…!」

 

戦いの中晴姫さんの表情を見た。

それは絶対に勝てると言う余裕の表情。

 

なんとなく俺はその正体がわかった。

たぶん晴姫さんは『見ている』

俺の心を見ているのだ。

俺がそう思うと晴姫さんも満足したように笑みを浮かべる

 

駄目だ。勝てない。

 

「白野は本当にいい子だね」

 

かわしながら俺に聞いてくる

 

「こんな汚れた私でも助けようと一生懸命に頑張ってくれる。…だから」

 

そこで俺の耳元に口を近付け

 

「ここは見逃してあげる」

 

刹那

俺の腹に拳が突き刺さる

 

反対側の壁にぶつかり意識が遠くなる

意識を失う瞬間晴姫さんの姿が見える

彼女はこちらを見つめていたがどんどん意識が失われていく俺の姿を見ると外へ向かって歩き出す。

 

そこで岸波白野の意識は途絶えた

 

 

 

 

それから夏目晴姫の姿を見たのは今日までいなかった

 

 

 




39弾終わりました
次でオリジナル章も完結です
ナスカ級さん、悠々白雪丸さん、ミジンコドリームズさん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています

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