やめて!!冬木市の復興予算はもうゼロよ!!   作:後藤陸将

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元々は、今年のエイプリルフール用にはネタを3つ用意していました


シティーハンターとゴルゴ、Fateをクロスさせた『Good Bye My April Fool』

冴羽獠に育てられたスケベな一夏をIS学園に入学させるシティーハンターとISのクロス、『もっこり一夏』

二次創作上でもかつてみないほどに冬木市にやさしくない聖杯戦争『やめて!!冬木市の復興予算はもうゼロよ!!』

この3つの中で、一番書きやすそうという理由と、資料として見直したシティーハンターの面白さに惹かれてという理由で、『Good Bye My April Fool』をエイプリルフール短編として執筆しました。

しかし、『もっこり一夏』はもっこりばっかりしている一夏を書くのが難しく、プロローグで断念しましたが、実は『やめて!!冬木市の復興予算はもうゼロよ!!』は各サーヴァントの設定をして序盤まで執筆していたんです。

『やめて!!冬木市の復興予算はもうゼロよ!!』のお蔵入りは惜しいなぁということで、とりあえず投稿してみたいと思いました。

まずはプロローグです。いきなりクライマックスシーンとなります。何故こんなことになったのかは、次回から少しずつ明かされていく予定です。


そりゃあ、あんなの呼び出したらこうなるよ

 冬木市は、山と海に囲まれた自然豊かな地方都市だった。

 都市の中央を流れる未遠川を挟んで東側は新都と呼ばれ、近年発展が進み冬木ハイアットホテルやセンタービルなどが立ち並ぶビル街もあった。また、多目的ホールである冬木市民会館も完成を目前に控えていた。

 未遠川を挟んで東側は深山町と呼ばれる古くからの町並みを残す区画で、昔ながらの商店街、マウント深山や、趣のある大邸宅がいくつか存在した。そして、未遠川には深山町と新都を繋ぐ片側二車線の冬木大橋がかかっていた。

 そう、冬木市はごくごくありふれた、地方都市()()()のだ。

 

 しかし、冬木市が日本中に存在する極ありふれた地方都市(60年周期で色々発生した謎の怪事件などはおいといて)だったのはほんの数日前までの話。今の冬木市は、かつての景観の欠片もない地獄とかしていた。

 新都に立ち並んでいたビル群は跡形もなく、粉々に砕け散ったコンクリート片で新都そのものが舗装されているように見える。さらに、そのコンクリート片に覆い重なるように火の海が広がっている。

 激しく燃え盛る焔は、煌々としてかつての繁栄の残滓を照らす。そして同時に、その焔の海に取り残された人々をその生死に関係なく等しく火葬していく。

 

 惨状が広がっているのは新都だけではない。未遠川を挟んだ反対側、深山町にもまた地獄のような景色が広がっていた。

 新都の惨状を火の海と表現するのであれば、こちらは死の世界と表現するのが正しいだろう。昔ながらの街並み、言い換えれば木造建築が多いこの地区では、新都に比ではないほど激しい焔が猛威を振るっていた。

 巨大な火柱が立ち上り、地表が見えないほどに煌々とした光で覆い、空は黒煙が町全体を雲のように覆っていた。これだけでも、深山が地獄のように見えてもおかしくはない。そして、街のいたるところに負傷者の姿があった。

 だが、その負傷者の姿は尋常なものではない。

 焼けただれ、まるで薄布のように剥がれた皮膚をふんどしのように引き摺っているおぞましい姿をした人間がいる。身体中にガラスの破片が突き刺さり、血を噴出しながら、ただ逃げ道を探そうと必至に前を探る人間がいる。

 彼らはまるで亡霊のように闊歩して、口々に「水をくれ」「水……水……」と水を求めているのだ。街の所々で見かける人影は、大概が彼らのような人にあらざる姿をしたものか、真っ黒に焼けた人だったものだ。その中に、五体満足で傷もない人間は誰一人としていなかった。

 目に見える風景だけを見ても、この世の地獄としか言いようのないものであったが、この地獄には目に見えぬ恐怖もまた存在していた。この地には、目に見えない死神も憑り付いているのだ。

 その見えざる死神の大鎌の正体は火災による熱傷でも、一酸化炭素中毒でもない。許容量を超えた放射線を短時間で浴びたことによる被爆だった。

 そう、見た目からしてこの世の地獄にしか見えないこの深山町だが、この地はさらに膨大な量の放射線を浴びた被爆地でもあったのだ。今、この冬木の地に半世紀近く前の広島、長崎と同じ光景が広がっていた。

 

 

 その地獄の中心、深山町の中心地には、周囲の地獄のような惨状を生んだ禍々しい巨大なキノコ雲ではなく、神々しいと感じるほどにきれいな光の円柱が立ち上っている。光の柱の根元には水蒸気が吹き上がっており、細かな水の粒が光を反射して煌いているうようにも見える。

 それは、まるで天使が降りてくるかのような、または聖人が天に迎えられるような、そんな荘厳ささえ感じさせる美しい光景だった。

 しかし、その光はそんな見た目のような聖なる光ではない。その光が発しているものは、周囲の計器の針が振り切れるほどの膨大な量の放射線なのだ。その放射線量は、広島や長崎で観測された放射線量とは比べ物にならないレベルである。

 

 

 

 そんな地獄と天国の入り交ざった光景を、破壊を幸運にも免れた冬木市郊外にある丘の上から眺める一人の男がいた。ボロボロになったコートに身を包み、男はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。何故ならば、このどこにでもいそうな冴えない30歳ほどの男こそが、この地に地獄を作り出した張本人の一人であったからだ。

 男は虚ろな目で、ただ自分の無力さ、愚かさに打ちひしがれてそこで絶望していた。

「バーサーカーが、冬木を死の街にして融けてゆく……」

 そう呟いたのは、血と泥に塗れたカソックに身を包んだ若い神父だった。彼は気づいているだろうか。

 この地獄を、惨状を見つめる自分の顔が、生まれて初めての心からの『笑み』を浮かべているということに。彼が28年の人生で常に心の奥底で期待し、望み続けていた風景が目の前の光景であったということに。

 自身の隣で絶望に打ちひしがれる『宿敵』と認めた男に対する興味を失った神父は、ただ目の前の光景に見惚れていたのである。

 そして、笑みを浮かべる神父の隣で惨状となった冬木から目を逸らすことができないでいる背の低いアングロサクソンの少年がポツリと呟いた。

「これが僕たちの償いなのか……」

「償い……?」

 絶望に打ちひしがれていた男が、少年の言葉に反応して、問いかける。

「魔術を、英霊を弄んだ、僕達魔術師の……」

 その言葉を聞いて、男は膝を屈した。

「ふざけるな……」

 その虚ろな瞳から涙を零し、男は心からの思いを吐き出した。

 これが償いであるのか。自分たち、魔術師の勝手な都合で巻き込んだ命を代償にすることが、魔術師の罪を清算することなのか。これを見届けることが、この光景を作りだした自分たちに課せられた罰であるというのか。

 そんなふざけたことが、容認されていいのか。

「ふざけるな!!……馬鹿野郎!!」

 

 死の街となった冬木市をその両目に焼付けながら、男は慟哭した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の聖杯戦争におけるマスターとサーヴァント一覧

説明とタグで察してください

 

 

セイバー:古代文明をを滅ぼしかけたサイボーグ怪獣

マスター:衛宮切嗣

 

アーチャー:空から恐怖の大魔王が降りてくる

マスター:遠坂時臣

 

ランサー:あの子も仲間をガメラに殺されたのよ

マスター:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト

 

ライダー:南海の孤島に住み、人と守護神の橋渡しをする妖精

マスター:ウェイバー・ベルベット

 

アサシン:地球最大の死闘(デスバトル)

マスター:言峰綺礼

 

キャスター:破壊神降臨

マスター:雨生龍之介

 

バーサーカー:水爆実験はついに、太平洋に眠る大怪獣の怒りをかった!!

マスター:間桐雁夜

 

 

ルーラー:こいつは……地球人より……地球の事が好きな……大バカ野朗だ!

 

 

 

……この物語は、冬木どころか日本があぶねぇよっていう聖杯戦争です




目指すは、二次界隈でもかつてないほどに冬木市にやさしくない聖杯戦争
焼け野原+放射能汚染で冬木市は二万五千年の荒野と化しました。

え?こいつら聖杯戦争で呼べねぇだろって突っ込みはカンベンして下さい。
筆者もそのことは分かっています。
そこだけは目を瞑っていただけると助かります。
あくまで、ネタ作品として見てください。





P.S.
穢れた聖杯も、種ZIPANGUも捨てたわけではありません。
この作品は、4月までに書き溜めていた没ネタに手を少し加えているだけで、穢れた聖杯などをほっぽらかして新作を書いているわけではないということをご了承下さい。

忙しく最新話を書く余裕が中々ありませんが、5月くらいには、種ZIPANGUの方が更新できると思います。

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