IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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皆さん、お待たせしました。

生存報告込みの投稿となります。

モチベーションが上がらず、ダラダラと書いていた結果こうなってしまいました。


第57話

二人の戦いは予想通り、想像を絶する戦いだった。

 

壁には何かで切り裂いた痕が残り、地面は無残にえぐられ、上空で二人はISでは出せない打撃音をアリーナ内で鳴り響かせ、俺の不安を膨らませながら避難せざる得なかった。あの二人の戦い方を言い換えるなら、バトルマンガでの戦闘を実際にやったらできたような感じだった。戦いの結果は・・・

 

「お前達・・・ここはどこなのか言ってみろ」

 

「ここはIS学園です・・・」

 

「そして、ここは学園内にあるアリーナです・・・」

 

二人を正座させて説教をしている千冬姉の勝利である。

 

「お前達の戦い方は、周りには何の参考にならないと何度か言ったはずだ。ただ力をふるうだけでなく、その力を次の世代に伝えるのも、力ある者の務めだ」

 

マドカとラウラ以外の生徒も同世代だよ千冬姉。

 

「それに、ISファイトは18歳からだ。未成年が行っていいものではない」

 

えーと・・・どこからツッコめばいいんだ。

 

「今回の授業は中止だ。ボーデヴィッヒとマドカは、アリーナの修復が終わるまで帰宅を禁止する」

 

千冬姉の冷酷な指示に、さすがの二人も・・・

 

「仕方ない。3時間で終わらせるか」

 

「いや、2時間で十分だ」

 

二人は俺の常識を超越している存在である事を今更知ってしまった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

食堂

 

「うーん・・・本当に何があったんだ?」

 

二人がアリーナで修復作業をしている中、教室では普通に授業を進めていたが真耶が俺と目を合わせようとしない。俺が真耶に何かをした訳でもない。むしろ、俺が何をしたのか教えて欲しい所だ。たまに二人で食事したり、書類を運んでるだけで、それ以外はこれといった事はしていない。一体、真耶に何があったんだ?

 

「心当たりが見当たらない・・・」

 

「おりむー。隣いい?」

 

頭を抱え、食事すらしていない俺の背後から、のほほんさんが声を掛けて来た。

 

「ん?いいけど、相川さん達は?」

 

「まどっちに夕食を届けに行ったよ~」

 

「そうか。マドカが『普通の女の子』に戻るのは一体いつになるんだか」

 

「それは、随分後の話になっちゃうよね~」

 

俺の質問を受け流しているように感じる。獲物を今か今かと待ちわびている様に、話題を振るタイミングを探っている。別にそんな話題を振られても構わないけど。

 

「ねえ、おりむー」

 

「何?」

 

「今日のまーやん。少し変だったよね?」

 

「ああ。何か、俺から避けてるように見えるんだ。どうして避けてるのか、見当もつかなくて・・・」

 

俺の悩みを聞いた途端、のほほんさんの顔がにやけ始めた。どうやら食いつかれたみたいだ。でも、真耶が俺から避けてる理由が聞けるなら本望だ。

 

「おりむー。その原因、私は知ってるよ~」

 

「本当!?」

 

「でも、それをタダで教える訳にはいかないな~」

 

「え?」

 

そう言い、本音が食堂の入り口に置かれてある看板を指差した。

 

 

 

『DXパフェ ~スペシャルセット~』 800円

 

 

 

「デザートを奢ってくれたら教えてあげるよ~」

 

「・・・・・・」

 

マドカの食い意地で金欠気味の俺には大きい代償である。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「『やまぴーの部屋に行けば分かるよ~』って、言ったけど・・・何なんだ?」

 

のほほんさんの言う通りに真耶の部屋の前にいるんだが、部屋の中が騒がしいのか多くの物音が立たれている。

 

「えっと、まだノックもしてないけど・・・入ってみるか」

 

俺は物音が収まる前にドアを開けた。そこには・・・

 

「い、一夏くん!?」

 

黒のハーフパンツに胸部の主張が激しい緑のスポーツブラでストレッチをとっている真耶がいたのである。

 

「ま・・・真耶!?」

 

真耶の周辺は部屋着と書類が散乱し、足場といえる足場が存在しない程部屋の中は散らかっている。

 

「あ・・・いや!これはね!少し太ったからストレッチしてるわけじゃなくて、気晴らしにストレッチを・・・はっ!・・・あうぅ・・・」

 

真耶が顔を赤くしながらうずくまってる姿を見て、俺の疑問は3秒で解決した。

 

「俺を避けてた理由は・・・」

 

「お願い!言わないで!これは私にとって一大事なの!このままだと、一夏君に醜い姿を見せちゃうから!」

 

涙目で俺の膝に抱きついて訴えてくる真耶を見て俺は一つ考えが浮かんだ。

 

「そのストレッチ、俺も手伝ってもいいか?」

 

「ええっ!?」

 

「真耶が一人で頑張ってるのに、俺がのうのうとしてるのは何か申し訳ないからさ。それに、学園生活で色々と助かっているから、そのお返しもしたいんだ」

 

少しでも真耶の手助けをしたいと思ったが・・・

 

「ま、待って!」

 

「真耶?」

 

「その・・・一夏君の手伝いは要らないから」

 

「え?」

 

目を逸らしつつ、申し訳ないと思いながら断られてしまった。

 

「いや、でも真耶が・・・」

 

「大丈夫!私一人で何とかなるから!」

 

「いや、どう見ても・・・」

 

「ささっ!もうすぐ、マドカさんが部屋に戻ってくる時間だから!」

 

「ちょっと真耶!?」

 

何も言うことなく、真耶に押されに押されて部屋から追い出された。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「はぁ・・・一夏君ごめんね。でも、これは一夏君の為なの」

 

ベットに横たわり『シンデレラ』と書かれた用紙を凝視した後、自分の腹をつまんでは溜息を吐くのを繰り返している。

 

「間に合うかな・・・学園祭までに」

 

ベットの上で左右に寝転びながら学園祭までにすべきことを頭の中で整理している姿を千冬(SHINOBI)に見られてしまい、その場で2時間の説教を喰らったのはその直後であった。




次回から、ラバーズが活動する予定です。

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